以下、実施形態に係るシート材の製造装置及び製造方法について説明する。
{シート材について}
説明の便宜上、製造対象となるシート材10及び当該シート材10から製造されるワイヤーハーネス保護材20について説明する。図1はシート材10を示す斜視図であり、図2はワイヤーハーネス保護材20を示す斜視図である。
シート材10は、高温状態で圧縮されることによって高剛性に加工可能なシート材料を加工することによって、部分的に加工状態が異なるように加工されたシートである。部分的に加工状態が異なる態様としては、高剛性に加工された部分とこの部分よりも柔軟な状態に保たれた部分とが存在する態様、ある部分(平坦な部分又は凹凸部の間等)に対して一方主面側に突出する(他方主面側から見ると凹む)凹凸部が形成された態様等が挙げられる。
かかるシート材料としては、複数の繊維が織られずに絡み合ったシート材であって、加熱によって少なくとも一部が溶融して高剛性を呈するように加工可能な不織シート材料を用いることが好ましい。
具体的は、不織シート材料としては、絡み合う基本繊維と、接着樹脂(バインダとも呼ばれる)とを含むものを用いることができる。接着樹脂は、基本繊維の融点よりも低い融点を有する樹脂である。そして、この不織シート材料を、基本繊維の融点よりも低くかつ接着樹脂の融点よりも高い温度に加熱することで、接着樹脂が溶融して基本繊維間に染みこむ。この後、不織シート材料が接着樹脂の融点よりも低い温度になると、基本繊維同士を結合した状態で接着樹脂が固化する。これより、不織材料が加熱前の状態よりも硬くなる。また、接着樹脂が溶融している状態で、不織シート材料を圧縮すると、当該不織シート材料は、その圧縮時における所定の成形形状に維持される。
接着樹脂は、粒状であっても繊維状であってもよい。芯繊維の外周に接着樹脂層を形成してバインダ繊維を構成し、これを基本繊維と絡み合わせるようにしてもよい。この場合の芯繊維としては、上記基本繊維と同材料のものを用いることができる。
上記基本繊維としては、接着樹脂の融点で繊維状態を保ち得ればよく、樹脂繊維の他、各種繊維を用いることができる。また、接着樹脂としては、基本繊維の融点よりも低い融点を持つ熱可塑性樹脂繊維を用いることができる。基本繊維と接着樹脂の組合わせとしては、基本繊維をPET(ポリエチレンテレフタレート)の樹脂繊維とし、接着樹脂をPETとPEI(ポリエチレンイソフタレート)の共重合樹脂とした例が挙げられる。この場合、基本繊維の融点は接着樹脂の融点よりも大きく、このため、不織材料をその融点間の温度に加熱すると、接着樹脂が溶融し、溶融せずに繊維状を保つ基本繊維間に染込む。そして、不織材料が接着樹脂の融点よりも低い温度になると、基本繊維同士を結合した状態で接着樹脂が固化し、不織材料は硬くなって加熱時の成形形状を維持する。つまり、上記不織シート材料を、高温状態で、所定の面間に挟み込んで圧縮することで、不織シート材料が前記所定の面に応じた所定形状に成型され、冷却されると、当該成型された形状に維持される。
シート材10は、上記不織シート材料を高温状態で圧縮することにより形成されたものであり、次の態様にて、部分的に加工状態が異なるように加工されている。
すなわち、シート材10は、方形状、ここでは、一方向に長い長方形板形状に形成されている。
シート材10の長手方向において間隔をあけて複数(ここでは5つ)の柔軟部分12が形成されており、その他の部分は、当該柔軟部分12よりも剛性が高い(ここでは硬い)高剛性部分14に形成されている。高剛性部分14は、不織シート材料を上記バインダの融点よりも高い温度条件で所定の面間に挟んで圧縮することにより形成されている。かかる高剛性部分14は、加工後の所定形状、ここでは、平板状形状を保つことができる部分である。柔軟部分12は、上記高剛性部分14を加工する際に、不織シート材料を当該高剛性部分14よりも圧縮度合を小さくして又は圧縮しないことによって形成された部分であり、比較的柔軟な状態を保ったままに維持された部分である。不織シート材料のうち柔軟部分12に対する圧縮度合を小さくすること又は圧縮しないようにすることで、上記高剛性部分14を加熱する際に、本柔軟部分12に含まれるバインダが部分的に溶けたとしても、柔軟部分12は、高剛性部分14よりも柔軟な状態を保つ。
各柔軟部分12は、シート材10の幅方向全体に亘って形成される細長い領域部分に形成されている。
また、このシート材10の高剛性部分14には、シート材10の長手方向に沿う線状のリブ部16が形成されている。ここでは、シート材10をワイヤーハーネス保護材20に組立てた状態で、高剛性部分14のうち底部22をなす部分の両側部分のそれぞれに沿ってリブ部16が形成されている。リブ部16は、シート材10の一方主面側では線状に凹んでおり、シート材10の他方主面では線状に突出する凹凸形状部分である。ここでは、リブ部16は、その長手方向に対して直交する断面がV字状をなす形状に形成されている。このリブ部16は、高剛性部分14のうち底部22が湾曲し難いように、当該底部22を補強する役割を果す。
また、このシート材10には、その長手方向に沿う線状の折目18が形成されている。折目18は、例えば、シート材10の一方主面側から他方主面に達する手前まで部分的に切込むことにより形成されている。ここでは、折目18は、高剛性部分14にも柔軟部分12にも形成されているが、高剛性部分14のみに形成されていてもよい。折目は、上記構成の他、その延在方向に沿って間欠的に切れ目が形成されたミシン目によって構成されていてもよい。
上記折目18は、シート材10の幅方向において間隔をあけて複数本(ここでは、4本)形成されている。具体的には、シート材10からワイヤーハーネス保護材20を組立てた状態で、底部22とその両側壁部24、25との各間、一方の側壁部24とその外方の合わせ片26との間、及び、他方の側壁部25とその外方の蓋部28との間に、折目18が形成されている。
上記シート材10を上記折目18で折ることで、ワイヤーハーネスWHを覆った状態で保護可能なワイヤーハーネス保護材20が形成される(図2参照)。
すなわち、シート材10を、底部22と両側壁部24、25との間の折目18で直角に折ると、底部22の両側に側壁部24、25が立設された、半角筒状の保護本体部21が形成される。
また、一方の側壁部24とその外方の合わせ片26との間の折目18を外向けに直角に折ることで、一方の側壁部24の縁部に外向きに延出する折目18が形成される。折目18は、蓋部28の外縁部が重ね合される部分であり、保護本体部21の内側に折られていてもよい。
また、他方の側壁部25をその外方の蓋部28との間の折目18を折ることで、保護本体部21の上方開口を閉じるように配設可能な蓋部28が形成される。
そして、保護本体部21内にワイヤーハーネスWHが収容された状態で、蓋部28で保護本体部21の上方開口を閉じて、蓋部28の外縁部を上記合わせ片26に重ね合せる。この状態で、蓋部28の外縁部と合わせ片26とを、熱溶着、超音波溶着、両面テープ等で接合すると、ワイヤーハーネス保護材20がワイヤーハーネスWHを収容した状態で当該ワイヤーハーネスWHに組付けられる。
なお、上記合わせ片26が省略されてもよく、さらに、蓋部28が省略されていてもよい。この場合、ワイヤーハーネス保護材がワイヤーハーネスを覆った状態で、粘着テープが螺旋巻きされること等で、ワイヤーハーネス保護材がワイヤーハーネスを覆った状態を維持してもよい。
このワイヤーハーネス保護材20は、上記ワイヤーハーネスWHを覆うことによって当該ワイヤーハーネスWHを保護する役割を果す。
また、このワイヤーハーネス保護材20は、高剛性部分14と柔軟部分12とがその延在方向に沿って交互に設けられた構成とされている。このため、高剛性部分14は、ワイヤーハーネスWHを十分に保護すると共にワイヤーハーネスWHを直線の経路状態に維持する役割を果す。また、柔軟部分12は、ワイヤーハーネスWHを保護しつつ、当該ワイヤーハーネスWHを配設対象となる経路に沿って曲げることができるようにする役割を果す。
また、上記ワイヤーハーネス保護材20は、シート材10を折ることによってワイヤーハーネスWHを保護可能な形状に形成されるため、ワイヤーハーネスWHの組立図板上において、事前に折られたシート材10をワイヤーハーネスWHに組付けることで、又は、シート材10を折りつつワイヤーハーネスWHに組付けることができる。このため、ワイヤーハーネスWHの組立図板設備の構成を簡易化できる。また、シート材10は、偏平な形状を呈しているため、保管効率、運送効率等に優れるという利点がある。
なお、シート材10に対して、柔軟部分12と高剛性部分14との両方が設けられていること、リブ部16が設けられていること、折目18が設けられていることは必須ではない。
例えば、図3に示すように、柔軟部分12と高剛性部分14との両方が設けられているが、リブ部16及び折目18が省略されたシート材10Bであってもよい。
また、例えば、図4に示すように、柔軟部分12と高剛性部分14との両方、リブ部16が設けられているが、折目18が省略されたシート材10Cであってもよい。
その他、柔軟部分と高剛性部分との両方、折目18が設けられているが、リブ部16が省略されたシート材、または、全ての部分が高剛性に加工され、部分的にリブ部又は折目の一方が形成されたシート材としてもよい。
いずれにせよ、高温状態で圧縮されることによって高剛性に加工可能なシート材料を用いて、ワイヤーハーネス保護材を構成する場合には、保護経路、保護性能、作業性等に応じて、シート材料を、部分的に加工状態が異なるように加工してシート材を得ることが要請される場合がある。以下の各実施形態では、そのようなシート材をなるべく安価な設備で、効率よく製造できるようにするための製造装置及び製造方法について説明する。
{第1実施形態}
図5は第1実施形態に係るシート材の製造装置30を示す概略斜視図であり、図6は一対のローラ40によってシート材料19を挟込んだ状態を示す説明図である。なお、図6は、一対のローラ40の回転軸を通る断面における説明図である。
このシート材の製造装置30は、上記したように高温状態で圧縮されることによって高剛性に加工可能なシート材料19を用いて、部分的に加工状態が異なるように加工されたシート、ここでは、図3に示すシート材10Bを製造するためのものである。
このシート材の製造装置30は、シート材料19が連続的に搬送される搬送路Pの途中に設けられるものである。
ここで、シート材料19を連続的に搬送するためのシート供給搬送機構90について説明しておく。
シート供給搬送機構90は、シート材料19を搬送する搬送路Pにおける搬送方向に沿って設けられるものであり、搬送方向上流側に設けられるシート供給部92と、シート供給部92からシート材料19を引出して搬送路Pに沿って搬送する搬送駆動部94とを備える。
シート供給部92は、長尺帯状のシート材料19が巻回収容されたシート巻回部を備えており、このシート巻回部がその中心軸周りに回転可能に支持された構成とされている。このシート巻回部からシート材料19を連続的に引出すことができるようになっている。なお、ここでは、シート材料19を、シート材10Bの幅寸法(図3参照、柔軟部分12の長さ寸法)で切断することで、当該シート材料19から複数のシート材10Bを製造することを想定している。このため、シート材料19は、上記シート材10Bの長さ寸法(柔軟部分12の延在方向に対して直交する方向の長さ寸法)と同じであるか当該長さ寸法よりも大きな幅で、かつ、シート材10Bを複数個形成することができる長さ寸法(シート材10Bの幅寸法よりも十分に長い寸法)に設定されている。なお、シート材料19の両側部は必要に応じて切除される。
搬送駆動部94は、一対の第1搬送用回転体95と、一対の第2搬送用回転体96と、回転駆動機構97とを備える。
一対の第1搬送用回転体95は、シート供給部92に対して搬送路Pの下流側(ここでは、シート供給部92の近く)に、当該シート供給部92から引出されるシート材料19を挟込み可能に設けられている。
第1搬送用回転体95は、シャフト95aと、一対の搬送用ローラ95bと、ギヤ95cとを備える。
シャフト95aは、シート材料19の幅寸法よりも大きな長さ寸法に形成されており、その両端部がシート材料19の両側外方にはみ出るように配設される。一対の搬送用ローラ95bは、上記シャフト95aに対してシート材料19の両側部に接触可能な間隔をあけて回転不能に取付けられている。ギヤ95cは、平歯車であり、上記シャフト95aの一端部に回転不能に取付けられている。
一対の第1搬送用回転体95のシャフト95aは、シート供給部92から搬送路Pに沿って引出されるシート材料19の一方主面側(図5では上側)及び他方主面側(図5では下側)で、図示省略の支持機構によってシート材料19の幅方向に沿った姿勢で回転可能に支持されている。
この状態で、一対の第1搬送用回転体95の両端部側では、シート材料19を介して対向し合う搬送用ローラ95bが、搬送路Pに沿って引出されるシート材料19の側部を挟込んでいる。このため、一対の第1搬送用回転体95が互いに異なる方向であってシート材料19を搬送方向に沿って送出す方向に回転することで、シート材料19が搬送路Pの搬送方向下流側に搬送される。
また、上記状態で、一対の第1搬送用回転体95のギヤ95c同士が噛合っている。このため、一対の第1搬送用回転体95は、同期して互いに反対方向に回転するようになっている。
一対の第2搬送用回転体96は、上記一対の第1搬送用回転体95に対して、間隔をあけて搬送路Pの下流側の位置で、搬送路Pに沿って搬送されるシート材料19を挟込み可能に設けられている。一対の第1搬送用回転体95と一対の第2搬送用回転体96との間には、シート材の製造装置30の一対のローラ40及び加熱機構60を配設可能な間隔が設けられている。
第2搬送用回転体96は、上記第1搬送用回転体95と同様構成であり、即ち、シャフト95aに対応するシャフト96aと、一対の搬送用ローラ95bに対応する一対の搬送用ローラ96bと、ギヤ95cに対応するギヤ96cとを備える。
一対の第2搬送用回転体96のシャフト96aは、搬送路Pに沿って搬送されるシート材料19の一方主面側(図5では上側)及び他方主面側(図5では下側)で、図示省略の支持機構によってシート材料19の幅方向に沿って回転可能に支持されている。
この状態で、一対の第2搬送用回転体96の両端部側では、シート材料19を介して対向し合う搬送用ローラ96bが、搬送路Pに沿って引出されるシート材料19の側部を挟込んでいる。このため、一対の第2搬送用回転体96が、上記一対の第1搬送用回転体95と同様に回転することで、シート材料19が搬送路Pの搬送方向下流側に搬送される。
また、上記状態で、一対の第2搬送用回転体96のギヤ96c同士が噛合っており、一対の第2搬送用回転体96は、同期して互いに反対方向に回転する。
回転駆動機構97は、上記一対の第1搬送用回転体95及び一対の第2搬送用回転体96を、同期して回転駆動するように構成されている。
具体的には、回転駆動機構97は、モータ等の回転駆動部97aと、伝達用環状部材としての連動ベルト97c、97dとを備える。
連動ベルト97cは、回転駆動部97aの回転軸97bと一方(ここでは、下側)の第1搬送用回転体95のシャフト95aの他端部に巻掛けられている。これにより、回転駆動部97aの回転軸97bの回転運動が、連動ベルト97cを介して一方の第1搬送用回転体95に伝達される。
また、連動ベルト97dは、一方(ここでは、下側)の第1搬送用回転体95のシャフト95aの一端部と一方の第2搬送用回転体96のシャフト96aの一端部とに巻掛けられている。これにより、一方の第1搬送用回転体95の回転運動が、連動ベルト97dを介して一方の第2搬送用回転体96に伝達される。
この搬送駆動部94によると、シート供給部92により引出されるシート材料19を、一対の第1搬送用回転体95及び一対の第2搬送用回転体96のそれぞれにおいて挟み込んだ状態で、回転駆動部97aを回転駆動させると、一対の第1搬送用回転体95及び一対の第2搬送用回転体96が、搬送路Pに沿ってシート材料19を搬送方向下流側に搬送するように、同期して回転する。これにより、シート供給部92に巻回収容されたシート材料19を、搬送路Pに沿って連続的に引出して搬送することができる。一対の第1搬送用回転体95と一対の第2搬送用回転体96との間では、シート材料19は同一平面上に延在した状態で、連続的に搬送される。
なお、回転駆動部から一対の第1搬送用回転体及び一対の第2搬送用回転体への回転運動の伝達は、歯車等を利用した他の伝達機構によって行われてもよい。一対の第1搬送用回転体には回転運動が伝達されず、シート材料の搬送に伴って従動回転するものであってもよいし、また、一対の第1搬送用回転体は省略されてもよい。
シート材の製造装置30は、シート材料19が連続的に搬送される搬送路Pの途中、ここでは、一対の第1搬送用回転体95と一対の第2搬送用回転体96との間に設けられるものであり、一対のローラ40と、加熱機構60とを備える。
一対のローラ40は、シート材料19が第1搬送用回転体95から第2搬送用回転体96に向けて搬送される搬送路Pの途中で、シート材料19を連続的に挟込み可能に配設されている。また、一対のローラ40の少なくとも一方側の外周面は、凹凸形状を有する形状に形成されている。この凹凸形状によって、シート材料19を部分的に加工状態が異なるように加工することができる。
より具体的には、一対のローラ40は、第1搬送用回転体95から第2搬送用回転体96に向けて搬送されるシート材料19を両面側から挟む位置で、回転可能なように、シャフト48によって回転可能に支持されている。
シャフト48は、シート材料19の幅寸法よりも大きな長さ寸法に形成されており、その両端部がシート材料19の両側外方にはみ出るように配設される。一対のシャフト48は、図示省略の支持部によってシート材料の一方主面側及び他方主面側のそれぞれで、図示省略の支持部によって回転可能に支持されている。なお、シャフト48は、中空管形状に形成され、その内部を冷媒が流れるようになっている。
一対のローラ40は、一対のシャフト48のそれぞれに対して回転不能に取付けられている。ローラ40は、円柱状に形成されており、その長さ寸法は、シート材10Bに対して加工を行う幅(ここでは、シート材10Bの長さ方向寸法(柔軟部分12に対して直交する方向の寸法)と同じ)と同じに設定されている。
ローラ40の外周面には、凹凸形状として、非圧縮用凹部42が形成されている。より具体的には、ローラ40の外周面には、その長手方向に沿って間隔をあけて複数の非圧縮用凹部42が形成されている。非圧縮用凹部42は、ローラ40の外周面の周方向に沿って連続的に凹む溝形状に形成されている。非圧縮用凹部42の幅は、シート材10Bにおける柔軟部分12の幅と同じに設定されている。非圧縮用凹部42の深さは、一対のローラ40によってシート材料19を挟み込んだ状態で、当該シート材料19の表面が非圧縮用凹部42の底部に接触しない程度に設定されていることが好ましいが、これは必須ではない。
非圧縮用凹部42の各間の寸法、及び、両端の非圧縮用凹部42とローラ40の端部との間の寸法は、シート材10Bの高剛性部分14の幅と同じに設定されている。一対のローラ40のそれぞれに上記非圧縮用凹部42が形成されており、一対のローラ40は、それぞれの非圧縮用凹部42を対向させた状態で、シート材料19を挟込むように配設される。
シャフト48の一端部にはギヤ49が回転不能に取付けられている。ギヤ49は、平歯車であり、一対のシャフト48の一端部のギヤ49が噛合っている。これにより、一対のローラ40は、同期して互いに反対方向に回転するようになっている。
一対のローラ40がシート材料19を挟込んだ状態では、ローラ40の外周面のうち非圧縮用凹部42が形成された部分以外の部分は、シート材料19を比較的高い圧縮度合で挟込んでおり、非圧縮用凹部42が形成された部分では、シート材料19を圧縮していないか若しくは比較的低い圧縮度合で挟込んでいる(図6参照)。
また、一方のローラ40(ここでは、上側のローラ40)が取付けられたシャフト48の他端部と、一方の第1搬送用回転体95のシャフト95a(ここでは上側のシャフト95a)の他端部とに、連動ベルト97eが巻掛けられている。これにより、回転駆動部97aによる回転運動が、一対の第1搬送用回転体95及び連動ベルト97eを介して、一方のシャフト48に伝達され、一対のローラ40も、一対の第1搬送用回転体95等と連動して回転する。なお、一対のローラ40は、シート材料19の搬送に伴って、従動回転する構成であってもよい。
また、上記一対のローラ40は、シート材料19を冷却可能に構成されている。
ここでは、製造装置30は、一対のローラ40を冷却するローラ冷却部50を備える。ローラ冷却部50は、冷媒を冷却する冷却装置(チラー)52と、冷媒が冷却装置52と各ローラ40内(ここでは、シャフト48)を通過するように循環させる冷媒管54とを備える。
冷却装置52は、冷媒を冷却する圧縮機を備えている。冷媒管54は、冷却装置52と一方のローラ40側のシャフト48の一端部との間、一対のローラ40のシャフト48の他端部間、及び、他方のローラ40側のシャフト48の一端部と冷却装置52とを連結するように配設されている。これにより、冷却装置52によって冷却された冷媒が、一対のシャフト48内を通って一対のローラ40を冷却しつつ循環するようになっている。
加熱機構60は、シート材料19が一対のローラ40で挟込まれる位置及びその位置よりも前記搬送路Pの上流側の位置の少なくとも1箇所で、シート材料19を加熱可能に構成されている。
ここでは、加熱機構60が、第1加熱機構として、シート材料19が一対のローラ40で挟込まれる位置よりも前記搬送路Pの上流側の位置で、シート材料19を加熱する例を説明する。加熱機構が、シート材料が一対のローラで挟込まれる位置でシート材料を加熱する例については別の実施形態で説明する。
加熱機構60は、熱風吹出部62と、熱風発生部64と、これらの間を連結する熱風管66とを備える。
熱風吹出部62は、搬送路Pのうち一対の第1搬送用回転体95と一対のローラ40との間、ここでは、当該間に沿って搬送されるシート材料19の一方主面側(図5では上側)の位置に設けられている。熱風吹出部62は、シート材料19の幅と同程度の幅を有する偏平な箱形状に形成されている。熱風吹出部62のうちシート材料19に対向する部分には、熱風吹出口が設けられている。
熱風発生部64は、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する等することで、気体(例えば、空気)を加熱するヒーターと、気体を熱風吹出部62に向けて送出す送風機構等を備えている。熱風発生部64と熱風吹出部62とは、熱風管66によって連結されている。
そして、熱風発生部64によって加熱された気体が、上記熱風管66を通って熱風吹出部62に向けて送られ、熱風吹出口から吹出される。そして、シート材料19が熱風吹出部62のうち熱風吹出口の対向領域を通過する際に、熱風吹出口から吹出された熱風がシート材料19の幅方向全体に亘って吹付けられ、これにより、シート材料19が加熱される。熱風吹出口から吹出される熱風の温度は、シート材料19を接着樹脂の融点よりも高い温度に加熱できる温度であり、好ましくは、シート材料19を接着樹脂の融点よりも高い温度で、かつ、基本繊維の融点よりも低い温度に加熱できる温度である。
なお、加熱機構としては、上記の他、シート材料19を直接加熱する赤外線ヒーター等が用いられてもよい。
以上のように構成されたシート材の製造装置30の動作について説明する。
まず、初期状態において、シート供給部92から引出されたシート材料19が、一対の第1搬送用回転体95間、熱風吐出部62の下方、一対のローラ40間、及び、一対の第2搬送用回転体96間を通って、搬送路Pに沿って配設されるようにする。
この状態で、熱風吐出部62から熱風を吹出しつつ、回転駆動部97aの駆動により、一対の第1搬送用回転体95、一対のローラ40、及び、一対の第2搬送用回転体96を回転させる。
すると、シート供給部92から連続的に引出されるシート材料19が、搬送方向上流側で、熱風吐出部62からの熱風によって、接着樹脂の融点よりも高く、基本繊維の融点よりも低い温度に連続的に加熱される。
この後、シート材料19は、接着樹脂の融点よりも高く、基本繊維の融点よりも低い高温状態を維持した状態で、熱風吐出部62の下流側に搬送され、一対のローラ40間に送込まれる。
一対のローラ40で挟込まれたシート材料19は、ローラ40の外周面のうち非圧縮用凹部42が形成された部分以外の部分では、比較的高い圧縮度合で挟込まれる。また、冷却された一対のローラ40で挟込まれたシート材料19は、接着樹脂の融点以下となるように冷却される。これにより、シート材料19のうち、ローラ40の外周面のうち非圧縮用凹部42が形成された部分以外の部分で挟込まれた部分は、比較的薄くかつ高剛性に保たれた高剛性部分14に加工される。
また、一対のローラ40で挟込まれたシート材料19は、ローラ40の外周面のうち非圧縮用凹部42の部分では、圧縮されず、又は、比較的低い圧縮度合で挟込まれる。また、この部分も、一対のローラ40の外周面に近づくため、冷却された一対のローラ40によって冷却される。これにより、シート材料19のうち、ローラ40の外周面のうち非圧縮用凹部42の部分で挟込まれた部分は、比較的厚くかつ柔軟性を保った柔軟部分12に加工される。
シート供給部92より供給されるシート材料19に対して連続的に上記加工が行われることで、シート材料19の長手方向に沿って、高剛性部分14及び柔軟部分12が形成されたシート材料19を得ることができ、かかる、シート材料19をその長手方向において分割するように切断することで、上記シート材10Bを製造することができる。
以上のように構成されたシート材の製造装置30によると、加熱により高温状態となったシート材料19が一対のローラ40で挟込まれると、少なくとも一方側の外周面に形成された凹凸形状、ここでは、非圧縮用凹部42によって、当該シート材料19に対して部分的に異なる圧縮状態で加工することができる。つまり、シート材料19を加熱し、加熱により高温状態となったシート材料19を、少なくとも一方側の外周面が凹凸形状を有する形状に形成された一対のローラ40で挟込みつつ送出すことで、シート材料19の加工を行っている。そして、連続加工されたシート材料19を切断することで、シート材10Bを製造することができる。これにより、部分的に加工状態が異なるように加工されたシート材10Bをなるべく安価な設備で、効率よく製造できる。
結果、安価にシート材10Bを製造することができ、ワイヤーハーネス保護材も低コストで提供可能となる。
また、ローラに形成された凹凸形状を適宜変更すれば、シート材料19に対して種々の周期的パターン形状を持つ加工を行え、形状自由度が高い各種構成のシート材及びワイヤーハーネス保護材を連続的に製造することも可能となる。ローラに形成された凹凸形状の他の例については、後で説明する。
また、上記一対のローラ40には、非圧縮用凹部42が形成されているため、シート材料19を一対のローラ40のうち非圧縮用凹部42では柔軟な状態に保ちつつ、一対のローラ40のうち非圧縮用凹部42以外の部分では高剛性に加工できる。これにより、部分的に高剛性に加工されたシート材10Bを、なるべく安価な設備で、効率よく製造できる。
また、仮に比較的大きいシート材料の加工が必要となった場合、固定金型でシート材料を挟込んで加工を行うとすれば、固定金型はシート材料と同程度の大きさとする必要があり、固定金型自体大型化してしまい、また、そのような固定金型を支持する構成としても頑丈で高剛性なものを用いる必要があり、その設備費用が増大してしまう。これに対し、本実施形態では、シート材料19を連続的に搬送しつつ一対のローラ40で挟込んで部分的に異なる加工状態に加工するため、その加工対象となるシート材料の大きさに比べれば比較的コンパクトな設備で、かつ、安価な設備によって加工を行える。
なお、一対のローラの一方のみに非圧縮用凹部が形成されており、他方のローラの外周面は凹凸が無く連続する周面を描いていてもよい。この場合であっても、一方のローラに形成された非圧縮用凹部によって、シート材料の部分的に柔軟な状態に加工することができる。
また、非圧縮用凹部42は、ローラ40の外周面に連続する溝形状に形成されているため、柔軟部分12が直線状に連続するシート材料19及びシート材10Bを容易に製造することができる。
もっとも、一対のローラ40の外周面において、その周方向において部分的に凹む非圧縮用凹部が形成されていてもよい。これにより、シート材料の搬送路に沿った方向において部分的に柔軟部分が形成されたシート材料を製造できる。
また、加熱機構60は、シート材料19が一対のローラ40で挟込まれる位置よりも搬送路Pの上流側の位置で、シート材料19を事前加熱するため、シート材料19が一対のローラ40で挟込まれる前に、当該シート材料19を十分に加熱することができる。
また、一対のローラ40は冷却されているため、シート材料19が一対のローラ40によって挟込まれて圧縮されて高剛性に加工されるのと同時に冷却される。このため、シート材料19のうち圧縮された部分が迅速に冷却硬化されることになり、高剛性部分14をより確実に高剛性に圧縮された部分に加工することができる。また、柔軟部分12についても同様に迅速に冷却されることが期待されるため、柔軟部分12の接着樹脂の溶融が進み難くなり、柔軟部分12をより柔軟に保つように仕上げることができる。
なお、もっとも、一対のローラ40を強制的に冷却することは必須ではない。特に、加熱機構として、搬送路に沿って搬送されるシート材料19の少なくとも一方の主面に、電力供給によって発熱するヒーター(シート材料を広範囲に加熱するためには、板状のヒーターを用いることが好ましい)を対向配置(一方のみでもよい)し、当該ヒーターによってシート材料19を加熱し、また、一対のローラによってシート材料19を挟込みつつ自然冷却する構成とすれば、流体を用いた冷却、加熱構成を組込む必要が無くなり、シート材の製造装置の構成の簡易化、さらには、シート材の製造コストの低下を実現することができる。
また、シート材料を事前加熱しないで、一対のローラを加熱し、この加熱された一対のローラによって、シート材料を挟込みつつ加熱するようにしてもよい。
また、本実施形態では、単一の回転駆動部97aによって、シート供給搬送機構90の駆動及び一対のローラ40の回転駆動を行っているため、装置30の構成の簡易化が可能となる。なお、後の各実施形態においても、単一の回転駆動部97aによって、他の一対の後続ローラ272、372等の回転駆動を行っており、同様のメリットがある。
<変形例>
上記第1実施形態に係る変形例を説明する。図7は本変形例に係るシート材の製造装置30Bを示す概略斜視図であり、図8は一対のローラ40Bによってシート材料19を挟込んだ状態を示す説明図である。図8は、一対のローラ40Bの回転軸に対して直交する断面における説明図である。なお、本変形例の説明において、上記実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略し、上記実施形態で説明したものとの相違点を中心に説明する。
この変形例に係るシート材の製造装置30Bが、上記製造装置30と異なる点は、一対のローラ40に対応する一対のローラ40Bの一方に凹凸形状形成用凹部44Bが形成され、他方に凹凸形状形成用凸部45Bが形成されている点である。
すなわち、一対のローラ40Bの一方(図7及び図8では下側)には、上記と同様の非圧縮用凹部42が形成されている。また、一方のローラ40Bの外周面のうち非圧縮用凹部42が形成された部分以外の部分(つまり、高剛性部分14を加工する部分)に凹凸形状形成用凹部44Bが形成されている。ここでは、ローラ40Bの外周面の周方向に沿って部分的に、より具体的には、前記周方向に沿って間隔をあけて2箇所に凹凸形状形成用凹部44Bが形成されている。各凹凸形状形成用凹部44Bは、ローラ40Bの回転軸方向に沿って延びる溝形状、ここでは、奥側に向けて徐々に細くなるV字溝形状に形成されている。
すなわち、一対のローラ40Bの他方(図7及び図8では上側)には、上記と同様の非圧縮用凹部42が形成されている。また、他方のローラ40Bの外周面のうち非圧縮用凹部42が形成された部分以外の部分(つまり、高剛性部分14を加工する部分)に凹凸形状形成用凸部45Bが形成されている。ここでは、ローラ40Bの外周面の周方向に沿って部分的に、より具体的には、前記周方向に沿って間隔をあけて2箇所に凹凸形状形成用凸部45Bが形成されている。各凹凸形状形成用凸部45Bは、ローラ40Bの回転軸方向に沿って延びる細長い凸形状、ここでは、先端側に向けて徐々に細くなるV字凸形状に形成されている。
上記凹凸形状形成用凹部44Bと凹凸形状形成用凸部45Bとは、一対のローラ40Bが同期して互いに逆方向に回転する際に、互いに対向する位置に形成されている。つまり、一対のローラ40Bが同期して互いに逆方向に回転する際に、凹凸形状形成用凹部44Bと凹凸形状形成用凸部45Bとは周期的に嵌まり合う。
なお、本変形例において、一対のローラ40Bの円周寸法は、製造対象となるシート材10Cの幅寸法(図4参照、リブ部16の延在方向に対して直交する方向の寸法)の自然数倍の長さ寸法とすることが好ましい。これにより、一対のローラ40Bを1回転させる毎に、シート材10Cの前記自然数個分の加工を行えるからである。
この変形例によると、一対のローラ40Bがシート材料19を挟込む際、一対のローラ40Bのうち非圧縮用凹部42以外の部分は、上記と同様に、当該シート材料19を比較的高圧縮で圧縮して、高剛性部分14に加工する。この際、凹凸形状形成用凹部44B及び凹凸形状形成用凸部45Bが形成された部分では、シート材料19を圧縮しつつ、当該シート材料19の部分を凹凸形状形成用凸部45B側で凹み、凹凸形状形成用凹部44B側に突出する凹凸形状、即ち、リブ部16の形状に加工する。このため、図4に示すシート材10Cを製造可能なように、シート材料19を加工することができる。つまり、周方向に沿って異なる凹凸形状を呈する部分を有する一対のローラ40Bによって、搬送路Pに沿って異なる態様で加工を行える。
また、凹凸形状形成用凹部44B及び凹凸形状形成用凸部45Bは、一対のローラ40Bの周方向に沿って部分的に形成されているため、シート材10Cに対して前記搬送路Pに沿って断続的な凹凸形状部分を形成することができる。
なお、本変形例において、凹凸形状形成用凸部及び凹凸形状形成用凹部が、一対のローラの周方向に沿って連続して形成されていてもよい。これにより、シート材料19に対してその搬送路に沿って延在する凹凸形状部分を形成することができる。
また、本変形例において、上記非圧縮用凹部42が省略されていてもよい。この場合であっても、部分的に凹凸形状が付されているという点で、部分的に加工状態が異なるように加工されたシート材を製造することができる。
{第2実施形態}
第2実施形態に係るシート材の製造装置130について説明する。図9は本実施形態に係るシート材の製造装置130を示す概略斜視図であり、図10は一対のローラ40によってシート材料19を挟込んだ状態を示す説明図である。なお、図10は、一対のローラ40の回転軸を通る断面における説明図である。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略し、上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。
この実施形態に係るシート材の製造装置130が、上記製造装置30と異なる主な点は、一対のローラ40を加熱するようにした点、及び、一対のローラ40に対して搬送路Pの搬送方向下流側で、シート材料19を冷却するようにした点である。
すなわち、本製造装置130では、一対のローラ40は、上記一対のシャフト48に対応する一対のシャフト148にそれぞれ回転不能に取付けられている。
シャフト148には、冷却装置は連結されず、代りに、第2加熱機構としてのヒーター149が設けられている。ヒーター149は、ローラ40を加熱するものであり、ここでは、棒状のヒーター149がシャフト148内に挿通されている。そして、ヒーター149の熱がシャフト148を介してローラ40に伝わり、これにより、ローラ40が加熱されるようになっている。
本実施形態では、第1実施形態で説明した加熱機構60が、第1加熱機構として、シート材料19が一対のローラ40で挟込まれる位置よりもシート材料19の搬送路Pの上流側の位置でシート材料19を加熱し、上記ヒーター149が、第2加熱機構として、一対のローラ40を加熱する。
加熱機構60の熱風吹出部62の熱風吹出口から吹出される熱風の温度は、シート材料19を接着樹脂の融点よりも低い温度に加熱できる温度であり、好ましくは、シート材料19を接着樹脂の融点よりも僅かに低い温度に加熱できる温度である。
ヒーター149による加熱温度は、一対のローラ40によって挟込まれるシート材料19を接着樹脂の融点よりも高い温度に加熱できる温度であり、好ましくは、一対のローラ40によって挟込まれるシート材料19を接着樹脂の融点よりも高く、かつ、基本繊維の融点よりも低い温度に加熱できる温度である。これにより、シート材料19のうち一対のローラ40で挟込まれる部分であって当該ローラ40の外周面に直接的に接触する部分、即ち、非圧縮用凹部42が形成された部分以外の部分で、シート材料19を接着樹脂の融点よりも高くすることができる。また、シート材料19のうち一対のローラ40で挟込まれる部分であって非圧縮用凹部42が形成された部分では、シート材料19の加熱を抑制することができ、その部分での接着樹脂の溶融を抑制して、より確実に柔軟な状態に保つことができる。
また、本実施形態に係るシート材の製造装置130は、シート材料19が一対のローラ40で挟込まれる位置よりも搬送路Pの下流側の位置で、シート材料19を冷却する冷却機構170を備える。
ここでは、冷却機構170は、一対の板状部材172と、冷媒を冷却する冷却装置(チラー)174と、冷媒が冷却装置174と各板状部材172を通過するように循環させる冷媒管176とを備える。
板状部材172は、ローラ40の長さ寸法と同じかこれよりも長い、細長板状に形成されている。板状部材172の一方長辺側の側部は、その先端側に向けて順次薄肉となるように形成された先端部172aに形成されている。ここでは、先端部172aは、板状部材172の一方主面側では板状部材172のその他の一方主面側部分に対して傾斜し、他方主面側では板状部材172のその他の他方主面側部分に対して同一平面上に延在する形状、即ち、片刃状に形成されている。
一対の板状部材172は、一対のローラ40と、一対のローラ40から送出されるシート材料19の一方及び他方主面とのそれぞれの間に、図示省略の支持部によって固定支持されている。この支持状態において、各板状部材172の上記先端部172aは、一対のローラ40とシート材料19の一方主面又は他方主面との接触箇所を向いている。つまり、板状部材172は、一対のローラ40とシート材料19の一方主面又は他方主面との接触箇所に向けて順次薄肉となるように形成されており、これにより、板状部材172の先端部172aの最先の縁部を、一対のローラ40とシート材料19の一方主面又は他方主面との接触箇所になるべく近づけて配設することができる。板状部材172のうちシート材料19の一方主面又は他方主面を向く面は、シート材料19のなるべく近くに配設され、好ましくは、シート材料19に接触するように配設される。なお、板状部材172の一端部から他端部に向けて、冷媒が通過可能な孔が形成されている。
冷却装置174は、冷媒を冷却する圧縮機を備えている。冷媒管176は、冷却装置174と一方の板状部材172の一端部との間、一対の板状部材172の他端部間、及び、他方の板状部材172の一端部と冷却装置174とを連結するように配設されている。これにより、冷却装置174によって冷却された冷媒が、一対の板状部材172内を通って当該一対の板状部材172を冷却しつつ循環するようになっている。
なお、一対の板状部材172が設けられていることは必須ではなく、1つのみ設けられていてもよい。
このシート材の製造装置130では、シート材料19は、加熱機構60によってある程度の温度に加熱された後、一対のローラ40で挟込まれてさらに加熱される。このため、一対のローラ40によってシート材料19を挟込む時点で、シート材料19を加工するのに適した温度、例えば、接着樹脂の融点以上の温度に容易かつ確実に加熱することができる。
また、加熱機構60によるシート材料19の加熱温度を、接着樹脂の融点未満となるように設定しておくことで、加熱機構60により加熱された時点で、シート材料19の接着樹脂が溶融することが抑制される。そして、このように予備加熱されたシート材料19を一対のローラ40で挟込む際に、シート材料19のうち一対のローラ40の外周面に触れて圧縮される部分(つまり、非圧縮用凹部42が形成された部分以外の部分)を接着樹脂の融点以上に加熱して、高剛性に加工することができる。また、このように予備加熱されたシート材料19を一対のローラ40で挟込む際に、シート材料19のうち一対のローラ40の非圧縮用凹部42が形成された部分では、シート材料19と非圧縮用凹部42とを接触させないことにより、又は、シート材料19を非圧縮用凹部42に強く押付けないようにすることにより、シート材料19の加熱を抑制し、もって、接着樹脂の溶融を抑制できる。これにより、シート材料19の柔軟部分12をより確実に柔軟に加工できる。
このように、本実施形態によると、シート材料19のうち高剛性部分14に加工すべき部分を選択的に加熱してより確実に高剛性に加工することができ、かつ、柔軟部分12をより確実に柔軟に加工することができる。これにより、高剛性部分14と柔軟部分12との境界をはっきりとさせて、両者を加工し分けることができる。
また、一対のローラ40から送出されたシート材料19は、冷却装置174によって冷却される。このため、シート材料19が一対のローラ40によって挟込まれて接着樹脂の融点以上に加熱された後、シート材料19が迅速に冷却される。これにより、高剛性部分14を接着樹脂の融点以上に加熱した後、予熱が柔軟部分12に伝わって硬化してしまうことが抑制され、柔軟部分12をより確実に柔軟な状態に保つことができる。また、高剛性となるように圧縮された部分が、その直後に迅速に硬化するため、圧縮後、接着樹脂が硬化する前の状態で、シート材料19自体が持つ原形復元力によってもとの状態に戻ってしまうことが抑制され、高剛性部分14をより高剛性に加工することもできる。
なお、一対のローラ40から送出されたシート材料19を冷却する構成は、上記例に限られない。シート材料を、別の一対のローラで挟込んで冷却する構成、シート材料に冷却用の風を吹付けて冷却する構成等であってもよい。前者の構成例については、別の実施形態で説明する。
また、冷却装置174は、順次薄肉となるように形成された先端部172aを有する板状部材172を備えているため、シート材料19がローラ40の表面にくっついてしまうような事態が生じても、当該板状部分172の先端部172aによって、ローラ40の表面からシート材料19を剥がしながら、当該シート材料19を冷却できる。このため、シート材料19を連続的に円滑に加工することができる。
なお、板状部材172は、自然冷却等によって冷却されてもよい。
また、本実施形態において、冷却装置174は必ずしも必須ではない。
なお、本実施形態においても、ローラ40を冷却することによる作用効果を除いて、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
{第3実施形態}
第3実施形態に係るシート材の製造装置230について説明する。図11は本実施形態に係るシート材の製造装置230を示す概略斜視図である。なお、本実施形態の説明において、上記第1又は第2実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略し、上記第2実施形態との相違点を中心に説明する。
この実施形態に係るシート材の製造装置230が上記第2実施形態に係る製造装置130と異なる点は、一対の板状部材172に代えて、一対の後続ローラ272を含む、ローラ式冷却機構270を備える点である。
すなわち、ローラ式冷却機構270は、一対の後続ローラ272と、冷媒を冷却する冷却装置(チラー)276と、冷媒管278とを備える。
一対の後続ローラ272は、一対のローラ40に対してシート材料19の搬送路Pの下流側で、シート材料19を挟込み可能に構成されている。
ここでは、一対の後続ローラ272は、上記ローラ40と同様形状に形成されており、外周面に、上記非圧縮用凹部42と同様の非圧縮用凹部273が形成されている。一対の後続ローラ272は、ローラ40に対してなるべく近くに設けられていることが好ましい。なお、一対の後続ローラ272の外径と、一対のローラ40の外径とは異なっていてもよい。
一対の後続ローラ272は、一対のローラ40の下流側で、当該一対のローラ40から送出されるシート材料19を両面側から挟む位置で、回転可能なように、一対のシャフト274によってそれぞれ回転可能に支持されている。なお、シャフト274は、上記シャフト48と同様構成であり、図示省略の支持部によって回転可能に支持されている。
また、一対のシャフト274の一端部には、ギヤ274aが回転不能に取付けられている。ギヤ274aは、上記ギヤ49と同様構成であり、一対のシャフト274の一端部のギヤ274aが噛合っている。これにより、一対の後続ローラ272は、同期して互いに反対方向に回転するようになっている。
また、一対のシャフト274の一方(ここでは下側)の他端部と一対のシャフト48の一方(ここでは下側)の他端部に、連動ベルト97fが巻掛けられている。これにより、回転駆動部97aの回転軸97bの回転運動が、連動ベルト97fを介して一方のシャフト274にも伝達され、これにより、一対の第1搬送用回転体95、一対の第2搬送用回転体96及び一対のローラ40と同期して、一対のシャフト274及び一対の後続ローラ272が回転する。
冷却装置276は、上記冷却装置174と同様構成であり、冷媒管278は、冷却装置276と一方のシャフト274の一端部との間、一対のシャフト274の他端部間、及び、他方のシャフト274の一端部と冷却装置276とを連結するように配設されている。これにより、冷却装置276によって冷却された冷媒が、一対のシャフト274を通って一対の後続ローラ272を冷却しつつ循環するようになっている。
本実施形態によると、一対のローラ40によって加熱されたシート材料19を、後続ローラ272によって挟込んでより直接的に冷却することができる。このため、柔軟部分12については予熱が伝わるのを抑制してより柔軟に加工でき、高剛性部分14については接着樹脂が硬化する前に自己の復元力によって原形に戻ってしまうのを抑制してより高剛性に加工することができる。
また、後続ローラ272のうち非圧縮用凹部273が形成された部分では、加熱直後のシート材料19をなるべく圧縮しない状態に保つことができるので、当該後続ローラ272によって柔軟部分12が圧縮されてしまうことを抑制できる。また、後続ローラ272のうち非圧縮用凹部273が形成された部分以外の部分では、シート材料19が圧縮されつつ冷却されるので、より高剛性に加工される。
なお、本実施形態によっても、板状部材172の形状によって得ることができる作用効果を除き、上記第2実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
{第4実施形態}
第4実施形態に係るシート材の製造装置330について説明する。図12は本実施形態に係るシート材の製造装置330を示す概略斜視図であり、図13は一対の後続ローラ372によってシート材料を挟込んだ状態を示す説明図である。なお、図13は、後続ローラ372の回転軸に対して直交する断面における説明図である。本実施形態の説明において、上記第1〜第3実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略し、上記第3実施形態との相違点を中心に説明する。
この実施形態では、一対の後続ローラ272に対応する一対の後続ローラ372の一方に凹凸形状形成用後続凸部374が形成され、他方に凹凸形状形成用後続凹部375が形成されている。
上記凹凸形状形成用後続凸部374は、第1実施形態の変形例で説明した凹凸形状形成用凸部45Bと同形状であり、凹凸形状形成用後続凹部375は、第1実施形態の変形例で説明した凹凸形状形成用凹部44Bと同形状である。このため、一対の後続ローラ372は、第1実施形態の変形例で説明した一対のローラ40Bと同構成とされている。
本実施形態によると、一対の後続ローラ372がシート材料19を挟込む際、シート材料19のうち、一対のローラ40で高圧縮に挟込まれ圧縮された部分(高剛性部分14)は、一対の後続ローラ372のうち非圧縮用凹部273が形成された部分以外の部分で再度圧縮されつつ冷却される。この際、凹凸形状形成用後続凸部374と凹凸形状形成用後続凹部375とでシート材料19を挟込むことで、シート材料19を凹凸形状、即ち、リブ部16の形状に加工しつつ、当該凹凸形状部分を冷却してより確実に一定形状に維持できる。
また、凹凸形状形成用後続凸部374及び凹凸形状形成用後続凹部375は、一対の後続ローラ372の周方向に沿って部分的に形成されているため、前記搬送路Pに沿って断続的な凹凸形状部分(リブ部16)が形成されたシート材10C(図4参照)を形成することができる。
なお、本変形例において、凹凸形状形成用後続凸部及び凹凸形状形成用後続凹部が、一対の後続ローラの周方向に沿って連続的に形成されていてもよい。これにより、シート材料19に対してその搬送路に沿って延在する凹凸形状部分を形成することができる。
また、本変形例において、上記非圧縮用凹部42が省略されていてもよい。この場合であっても、部分的に凹凸形状が付されているという点で、部分的に加工状態が異なるように加工されたシート材を製造することができる。
なお、本変形例において、一対の後続ローラ372の円周寸法は、製造対象となるシート材10Cの幅寸法(リブ部16の延在方向に対して直交する方向の寸法)の自然数倍の長さ寸法とすることが好ましい。これにより、一対の後続ローラ372を1回転させる毎に、シート材10Cの前記自然数個分の加工を行えるからである。
{第5実施形態}
第5実施形態に係るシート材の製造装置430について説明する。図14は本実施形態に係るシート材の製造装置430を示す概略斜視図である。なお、本実施形態の説明において、上記第1〜第4実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略し、上記第4実施形態との相違点を中心に説明する。
このシート材の製造装置430は、シート材料19を切断する切断刃481を備える。
より具体的には、一対のローラ40の下流側、ここでは、一対の後続ローラ372の下流側に一対の追加加工用ローラ480が設けられている。追加加工用ローラ480の円周の長さ寸法は、製造対象となるシート材の幅寸法(図1〜図4の各例では、柔軟部分12の延在方向における長さ寸法)の自然数倍の寸法に設定されている。追加加工用ローラ480の円周の長さ寸法が、製造対象となるシート材の幅寸法のN倍(Nは、自然数)である場合、切断刃481は後続ローラ372の外周周りにN個設けられる。
追加加工用ローラ480の外周面には、円柱外周面が形成されており、その周方向の一部にその軸方向に沿って延びる切断刃481が形成されている。切断刃481の長さ寸法は、シート材料19の幅と同じかこれよりも大きく設定されている。
一対の追加加工用ローラ480は、一対の後続ローラ372から送出されるシート材料19を両面側から挟む位置で回転可能なように、シャフト488によって回転可能に支持されている。
シャフト488は、シート材料19の幅寸法よりも大きな長さ寸法に形成されており、その両端部がシート材料19の両側外方にはみ出るように配設される。一対のシャフト488は、図示省略の支持部によってシート材料の一方主面側及び他方主面側のそれぞれで、図示省略の支持部によって回転可能に支持されている。このシャフト488に対して、一対の追加加工用ローラ480が回転不能に取付けられている。
シャフト488の一端部にはギヤ489が回転不能に取付けられている。ギヤ489は、平歯車であり、一対のシャフト488の一端部のギヤ489が噛合っている。これにより、一対の追加加工用ローラ480は、同期して互いに反対方向に回転するようになっている。
また、一方の追加加工用ローラ480(ここでは、上側の追加加工用ローラ480)が取付けられたシャフト488の他端部と、一方のシャフト274の他端部とに、連動ベルト97gが巻掛けられている。これにより、回転駆動部97aによる回転運動が、一方のシャフト488にも伝達され、一対の追加加工用ローラ480も、一対の第1搬送用回転体95、一対の第2搬送用回転体96、一対のローラ40、一対の後続ローラ372と連動して回転する。
そして、シート材料19が搬送路Pに沿って搬送され、一対のローラ40及び一対の後続ローラ372のそれぞれによって加工が施された後、当該シート材料19は一対のローラ40よりも搬送路Pの下流側の位置で一対の追加加工用ローラ480によって挟込まれる。そして、シート材料19の搬送に伴って、一対の追加加工用ローラ480が同期して回転することで、シート材料19の延在方向における一定間隔毎に、切断刃481がシート材料19の両面側から当該シート材料19に押付けられ、これにより、シート材料19がその幅方向に沿ったラインで裁断され、個々のシート材として分割される。
このため、本シート材の製造装置430において、シート材への分割も行えるため、当該シート材をより効率的に製造できる。
なお、本実施形態では、一対の追加加工用ローラ480の両方に切断刃481を形成した例で説明したが、一方の追加加工用ローラの外周面には切断刃が形成されていなくてもよい。この場合でも、一方の追加加工用ローラに形成された切断刃を、他方の追加加工用ローラの外周面に押付けることで、シート材料を切断することができる。また、追加加工用ローラが1つだけ設けられ、この追加加工用ローラに対してシート材料を挟んで反対側には、切断刃を受ける平滑な面が固定設置されていてもよい。
{第6実施形態}
第6実施形態に係るシート材の製造装置530について説明する。図15は本実施形態に係るシート材の製造装置530を示す概略斜視図である。なお、本実施形態の説明において、上記第1〜第5実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略し、上記第5実施形態との相違点を中心に説明する。
このシート材の製造装置530は、シート材料19に折目18を形成する折目形成刃532を備える。
より具体的には、上記追加加工用ローラ480の外周面のうち切断刃481が形成された部分以外の部分に折目形成刃532が形成されている。ここでは、折目形成刃532は、追加加工用ローラ480の外周面の周方向の一部にその軸方向に沿って延びるように形成されている。折目形成刃532の先端縁部は直線状に延在しており、本折目形成刃532がシート材料19に押付けられると、当該シート材料19の厚み方向途中まで切込む。これにより、折目18が形成されたシート材10(図1参照)を製造することができる。
なお、折目形成刃としては、上記構成の他、間欠的な切れ目であるミシン目を形成する刃形状(例えば、ノコギリ刃形状)に形成されていてもよい。また、折目形成刃は、追加加工用ローラの外周面の周方向に沿って延びる形状であってもよいし、周方向に対して斜め方向に延びる形状であってもよい。
折目形成刃532の突出寸法は、シート材料19を裁断してしまわない程度の大きさに設定されている。
折目形成刃532は、一対の追加加工用ローラ480の両方に形成されていてもよいし、一方の追加加工用ローラ480にのみ形成されていてもよい。シート材料19を裁断しないようにするためには、一対の追加加工用ローラ480の両方に折目形成刃532を形成した場合には、両方の折目形成刃532の突出寸法の和が、シート材料19の高剛性部分14の厚み寸法を超えないように設定するとよい。一方の追加加工用ローラ480のみに折目形成刃532を形成した場合には、折目形成刃532の突出寸法がシート材料19の高剛性部分14の厚み寸法を超えないように設定するとよい。
なお、追加加工用ローラが1つだけ設けられ、この追加加工用ローラに対してシート材料を挟んで反対側には、折目形成刃532を受ける平滑な面が固定設置されていてもよい。
そして、シート材料19が搬送路Pに沿って搬送され、一対のローラ40及び一対の後続ローラ372のそれぞれによって加工が施された後、当該シート材料19は一対のローラ40よりも搬送路Pの下流側の位置で一対の追加加工用ローラ480によって挟込まれる。そして、シート材料19の搬送に伴って、一対の追加加工用ローラ480が同期して回転することで、シート材料19の延在方向における一定間隔毎に、折目形成刃532がシート材料19の両面側から当該シート材料19に押付けられ、これにより、シート材料19の両面に折目18が形成される。
このため、本シート材の製造装置530において、折目18が形成されたシート材10をより効率的に製造できる。
また、切断刃481と折目形成刃532とが、共通する追加加工用ローラ480の円柱外周面上に設けられているため、シート材料19の切断と折目18の形成とを容易に実施できる。
もちろん切断刃と折目形成刃とが、別々の追加加工用ローラの円柱外周面上に設けられていてもよい。また、追加加工用ローラにおいて切断刃が省略され、折目形成刃のみが形成されていてもよい。
{第7実施形態}
第7実施形態に係るシート材の製造装置630について説明する。図16は本実施形態に係るシート材の製造装置630を示す概略斜視図であり、図17は同製造装置630の部分概略平面図であり、図18は同製造装置630の部分概略側面図である。なお、本実施形態の説明において、上記各実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略し、上記第3実施形態との相違点を中心に説明する。
このシート材の製造装置630は、一対のローラ40と一対の後続ローラ272との間で、シート材料19を加熱する中間加熱部610を備える。なお、一対の後続ローラ272としては、第4実施形態で説明した一対の後続ローラ372と同様構成のものが用いられてもよい。
中間加熱部610は、一対のローラ40と一対の後続ローラ272との間で、シート材料19の幅方向に沿った長尺領域を加熱可能に構成されている。かかる加熱機構610としては、赤外線ヒーター等、電磁波を照射して加熱する装置、上記加熱機構60と同様に、温風を送って加熱する装置等を用いることができる。
中間加熱部610は、搬送路Pに沿って搬送されるシート材料19を平面視した場合において、そのシート材料19のうち一対のローラ40と一対の後続ローラ272との少なくとも一方に重なる領域を加熱可能なように配設されていることが好ましい。
ここでは、中間加熱部610として、シート材料19の幅方向に沿った長さ寸法に形成された細長板状のヒーターであって、その一方の長方形状の主面からの電磁波等を照射することで、長尺領域を加熱可能なものが用いられている。
そして、シート材料19の両面のそれぞれにおいて、中間加熱部610が、ローラ40と後続ローラ272とシート材料19とで囲まれる領域内に、ブラケット等を介して固定されている。この領域内で、中間加熱部610は、シート材料19の幅方向に沿った姿勢で、かつ、電磁波等をシート材料19に向けて照射可能な姿勢で固定されている。また、中間加熱部610の幅は、ローラ40と後続ローラ272との隙間よりも大きい(図17及び図18参照)。そして、その一方の長方形状の主面から照射される電磁波等が、ローラ40と後続ローラ272との隙間よりも大きい幅で、シート材料19に照射されるようになっている。これにより、シート材料19が一対のローラ40間から一対の後続ローラ272間に向けて搬送される際に、そのシート材料19を平面視した状態において、シート材料19のうち一対のローラ40と一対の後続ローラ272とのそれぞれに重複する領域及びその間の領域が加熱されることになる。
この中間加熱部610は、一対のローラ40によって加熱されたシート材料19が一対の後続ローラ272に搬送される迄の間に自然冷却される程度を抑制する役割を果す。このため、中間加熱部610による加熱温度は、その周辺雰囲気温度よりも高ければよい。中間加熱部610による加熱温度は、シート材料19が一対の後続ローラ272によって挟込まれる時点で、シート材料19を高剛性に加熱するのに適した温度以上とすることができる温度であることが好ましい。かかる中間加熱部610による加熱温度は、一対のローラ40によるシート材料19の加熱温度、シート材料19を高剛性に加熱するのに適した温度、一対のローラ40と一対の後続ローラ272との距離、シート材料19の搬送速度等に応じて実験的、経験的に決定される。
なお、中間加熱部610は、シート材料19の一方面側のみに設けられていてもよい。また、中間加熱部610は、一対のローラ40と一対の後続ローラ272との少なくとも一方に重なる領域を加熱することが好ましいが、これは必須ではない。中間加熱部が、一対のローラと一対の後続ローラとの間であってそれらの重ならない領域のみを加熱してもよい。
このように構成されたシート材の製造装置630によると、シート材料19が一対のローラ40から引出された後、加熱され、その後、一対の後続ローラ272に送込まれる。このため、一対のローラ40でのシート材料19の加熱温度をそれ程高くしなくても、当該シート材料19を一対の後続ローラ272で挟込んで高剛性に加工することができる。これにより、シート材料19を硬い部分と柔軟な部分とに作分け易い。特に、一対のローラ40の少なくとも一方、及び、一対の後続ローラ272の少なくとも一方に、非圧縮用凹部を形成して、硬い部分と柔軟な部分とに作分ける場合に有効である。
これを、図19を参照して説明する。図19は、搬送路P上の各位置におけるシート材料の温度変化を示す図である。横軸は搬送路P上におけるシート材料19の位置を示しており、L1は一対のローラ40がシート材料19を挟込む位置、L2は一対の後続ローラ272がシート材料19を挟込む位置を示している。また、縦軸はシート材料19の温度変化(高剛性に加工すべく一対のローラ40及び一対の後続ローラ272の凸部分で挟込まれる位置での温度変化)を示しており、Tmはシート材料19を高剛性に加工するのに必要な温度(例えば、バインダの融点)を示している。また、同図において曲線C1は、中間加熱部610を設けなかった場合の温度変化を示しており、曲線C2は中間加熱部610を設けた場合の温度変化を示している。
一対の後続ローラ272によってシート材料19を挟込む際に、当該一対の後続ローラ272の凸部分でシート材料19を高剛性に加工するためには、シート材料19が一対の後続ローラ272に達する位置で、当該シート材料19が上記温度Tm(例えば90℃)以上である必要がある。
ところが、中間加熱部610を設けない場合、シート材料19は、一対のローラ40によって加圧及び加熱された後、次の一対の後続ローラ272に達する迄の間で自然冷却されてしまう。そこで、この自然冷却分を考慮して、一対のローラ40ではシート材料19を十分に高い温度Taに加熱する必要がある。ところが、シート材料19を高い温度Taに加熱してしまうと、シート材料19のうち高剛性に加工すべきでない部分、即ち、非圧縮用凹部42に対応する部分も比較的高い温度に加熱されてしまう。このため、当該部分を加圧しないとしても、当該部分でバインダが溶融し、硬くなってしまう恐れがある。このため、加工後のシート材において硬い部分と柔軟な部分との柔軟性の差が生じ難くなってしまう。
そこで、中間加熱部610を設けると、シート材料19が一対のローラ40によって加圧及び加熱された後、次の一対の後続ローラ272に達する迄の間で、冷却され難くなる。つまり、シート材料19が一対のローラ40から次の一対の後続ローラ272に至る迄の間で、シート材料19の温度降下を上記の場合よりも小さくすることができる。
このため、一対のローラ40でのシート材料19の加熱温度Tbを上記加熱温度Taよりも低くすることができる。結果、シート材料19のうち高剛性に加工すべきでない部分、即ち、非圧縮用凹部42に対応する部分を比較的低い温度に保つことができ、柔軟に保つことができる。このため、加工後のシート材において硬い部分と柔軟な部分との柔軟性の差を大きくして、それらをより明確に区分けして加工することが可能となる。
特に、中間加熱部610が、搬送路Pに沿って搬送されるシート材料19を平面視した場合において、そのシート材料19のうち一対のローラ40と一対の後続ローラ272との少なくとも一方と重複する領域を加熱することで、それらの間でシート材料19を効果的に加熱し、シート材料19を硬い部分と柔軟な部分とにより確実に作分けることが可能となる。
{第8実施形態}
第8実施形態に係るシート材の製造装置730について説明する。
まず、製造対象となるワイヤーハーネス保護材及び当該ワイヤーハーネス保護材を製造するためのシート材の例について説明しておく。図20は、ワイヤーハーネス保護材720がワイヤーハーネスWHに装着された状態を示す説明図であり、図21はシート材719を示す斜視図である。
ワイヤーハーネス保護材720は、通常状態では柔軟であり、高温状態で圧縮されることによって高剛性に加工可能なシート材料を加工することによって形成されたものであり、一対の半筒状部分722を備える。一対の半筒状部分722は、ヒンジ部723を介して折曲げ可能に連結されている。また、一対の半筒状部分722の外側側部には、板状縁部724が形成されている。そして、一対の半筒状部分722をヒンジ部723で曲げ、それらの間に形成される円柱状空間内にワイヤーハーネスWHを収容する。この後、突合わされた板状縁部724を熱溶着、超音波溶着、粘着材等で接合し、必要に応じて、ワイヤーハーネス保護材720とワイヤーハーネスWHとに粘着テープ等を巻回する。これにより、ワイヤーハーネスWHに対して筒状をなすワイヤーハーネス保護材720が装着される。なお、ここでは、半筒状部分722は、半円筒状に形成され、従って、ワイヤーハーネス保護材720は円筒状に形成される。もっとも、半筒状部分が半角筒状等に形成され、ワイヤーハーネス保護材が角筒状に形成されてもよい。
図21では、上記ワイヤーハーネス保護材720を形成するための保護材形成用シート部719aが、複数並列状態で繋がった形態としてシート材719が形成されている。
すなわち、保護材形成用シート部719aは、一対の半筒状部分722がヒンジ部723を介して連なった部分として形成されている。シート材719の形態では、保護材形成用シート部719aは、1つのワイヤーハーネス保護材720を形成する長さ寸法よりも大きく形成されており、ワイヤーハーネス保護材720を形成する際に、適宜、必要長さに切断される。
また、複数(ここでは2つ)の保護材形成用シート部719aが、中間連結部719bを介して連結されている。中間連結部719bは、2つの保護材形成用シート部719aの板状縁部724が分離容易線719Lを介して板状に連なった構成とされている。分離容易線719Lは、中間連結部719bをその幅方向中央のラインに沿って、部分的に切込むことにより形成されている。従って、2つの保護材形成用シート部719aは、分離容易線719Lの切残し部分を介して並列状態で連なっている。そして、上記ワイヤーハーネス保護材720を形成する際には、分離容易線719Lに沿って2つの保護材形成用シート部719aを容易に分離させることができる。
図22は上記シート材719を製造するためのシート材の製造装置730を示す概略斜視図であり、図23は部分切断刃749を示す斜視図であり、図24は図22のXXIV−XXIV線における概略断面図である。
このシート材の製造装置730は、シート材料19が連続的に搬送される搬送路Pの途中に設けられるものである。なお、シート材料19は、上記第1実施形態と同様に、長尺帯状のシート材料19が巻回収容されたシート供給部92から、搬送駆動部(図5参照、図22では省略)によって搬送路Pに沿って引出される。
シート材の製造装置730は、一対のローラ740A、740Bと、加熱機構部760とを備える。
一対のローラ740A、740Bは、搬送路Pの途中でシート材料19を連続的に挟込み可能に配設されている。また、一対のローラ740A、740Bの外周面は、凹凸形状を有する形状に形成されている。この凹凸形状によって、シート材料19を部分的に加工状態が異なるように加工することができる。
より具体的には、一対のローラ740A、740Bは、搬送路Pに沿って搬送されるシート材料19を両面側から挟む位置で、回転可能なように、シャフト748によって回転可能に支持されている。
シャフト748は、上記第1実施形態におけるシャフト48と同様に、図示省略の支持部によってシート材料19の一方主面側及び他方主面側のそれぞれで、図示省略の支持部によって回転可能に支持されている。また、シャフト748は、中空管形状に形成され、その内部を冷媒が流れるようになっている。
一対のローラ740A、740Bは、一対のシャフト748のそれぞれに対して回転不能に取付けられている。ローラ740A、740Bは、円柱状に形成されており、その長さ寸法は、シート材719に対して加工を行う幅(ここでは、2つ分の保護材形成用シート部719aの幅と同じに設定されている。
一対のローラ740A、740Bの一方であるローラ740Bには、凹凸形状形成用凹部744Bが形成されており、他方のローラ740Aには、凹凸形状形成用凸部744Aが形成されている。
すなわち、ローラ740A(図22及び図24では上側)には、凹凸形状形成用凸部744Aが形成されている。ここでは、ローラ740Aの外周面には、ローラ740Aの軸方向において隣合う一対の凹凸形状形成用凸部744Aが、同軸方向において隣合うように2組形成されている。各凹凸形状形成用凸部744Aは、ローラ740Aの外周面の周方向に沿って連続して突出する凸形状に形成されている。
また、ローラ740Aの軸方向中凹部であって、一対の凹凸形状形成用凸部744Aの各組間には、部分切断刃749が設けられている。部分切断刃749は、金属等で形成された円板状部材であり、その外周縁部は外周側に向けて徐々に薄くなる環状刃に形成されている。また、部分切断刃749の外周部には、切欠状の凹部749nが形成されている(図23参照)。
そして、シート材料19の搬送に伴って、本部分切断刃749をシート材料19の幅方向中央部(即ち、一対の凹凸形状形成用凸部744Aの各組間の位置)に押し当てつつ回転させると、シート材料19は、上記凹部749nを除く位置で切断され、凹部749nの位置では切断されず切残される。これにより、隣合う保護材形成用シート部719aの間で部分的に切断されたシート材719が得られる。
なお、ここでは、部分切断刃749は、ローラ740Aに組込まれているが、当該ローラ740Aの下流側等に別途設けられていてもよい。
ローラ740B(図22及び図24では下側)には、凹凸形状形成用凹部744Bが形成されている。ここでは、ローラ740Bの外周面には、上記各凹凸形状形成用凸部744Aと対応して、一対の凹凸形状形成用凹部744Bが、2組形成されている。各凹凸形状形成用凹部744Bは、ローラ740Aの外周面の周方向に沿って連続的に凹む凹形状に形成されている。この凹凸形状形成用凹部744Bは、凹凸形状形成用凸部744Aに対応する凹形状であり、一対のローラ740Bをその軸に沿った面で切断すると、凹凸形状形成用凹部744Bは、ローラ740Bの内部に向けて半円弧状に凹む形状として観察される。この凹凸形状形成用凹部744Bによって半筒状部分722の外周形状を形作ることができる。
そして、シート材料19を一対のローラ740A、740Bで挟込みつつ当該一対のローラ740A、740Bを回転させることで、一対の半筒状部分722がヒンジ部723を介して連なる保護材形成用シート部719aを形成することができ、また、この保護材形成用シート部719aが一対の並列状態で連なるシート材719を形成することができる。
なお、ローラ740A、740Bの外周面のうち上記凹凸形状形成用凸部744Aを形成した部分以外の部分は、円筒表面形状を呈している。特に、ローラ740Bの外周面の軸方向中央部は、上記部分切断刃749を受けるべく、円筒表面形状を呈している。もっとも、これは必須ではなく、例えば、ローラ740A、740Bのうちヒンジ部723を形成すべき場所が凹んでおり、その表面がシート材719の表面に押し当てられない構成となっていてもよい。これにより、ヒンジ部723を柔軟に加工できる。
上記一対のローラ740A、740Bは、上記第1実施形態で説明したのと同様構成によって、シート材719の搬送に伴って回転駆動される。また、一対のシャフト748には、上記第1実施形態と同様に冷却装置752からの冷媒が循環供給される。これにより、一対のローラ740A、740Bが冷却される。
加熱機構部760は、シート材料19が一対のローラ740A、740Bで挟込まれる位置よりも前記搬送路Pの上流側で、シート材料19を加熱可能に構成されている。
ここでは、加熱機構部760は、搬送路Pに沿って搬送されるシート材料19をその両面側から加熱すべく、2つ設けられている。加熱機構部760としては、電力供給によって発熱するヒーター(シート材料を広範囲に加熱するためには、板状のヒーターを用いることが好ましい)が用いられている。
加熱機構部760としては、上記第1実施形態で説明したものと同様構成のものが用いられてもよい。また、シート材料19を一方主面側のみから加熱するものであってもよい。また、上記一対のローラ740A、740Bを加熱するようにしてもよい。この場合、当該一対のローラ740A、740Bの下流側に、冷却機構を設けることが好ましい。冷却機構は、第2実施形態で説明したように、板状部材によって冷却する構成であってもよいし、第3実施形態で説明したように、一対の後続ローラによって冷却する構成であってもよい。
本シート材の製造装置730の動作について説明する。
まず、初期状態において、シート供給部92から引出されたシート材料19が、一対の加熱機構部760及び一対のローラ740A、740B間を通って、搬送路Pに沿って配設されるようにする。
この状態で、一対の加熱機構部760を作動させると共に一対のローラ740A、740Bを回転させつつ、シート材料19を搬送する。
すると、シート供給部92から連続的に引出されるシート材料19が、搬送方向上流側で、一対の加熱機構部760によって接着樹脂の融点よりも高く、基本繊維の融点よりも低い温度に連続的に加熱される。
この後、シート材料19は、一対のローラ740A、740B間に送込まれる。
一対のローラ740A、740Bで挟込まれたシート材料19は、一対のローラ740A、740Bの凹凸形状形成用凸部744A及び凹凸形状形成用凹部744B間で挟込まれ、一対の保護材形成用シート部719aが並列状態で連なるシート材719が形成される。
上記を、搬送されるシート材料19に対して連続的に行うことで、シート材719を連続的に製造することができる。
なお、一対のローラには、その周方向において部分的に突出する又は凹む凹凸形状が形成されていてもよい。また、別途、シート材719をその幅方向に沿ったラインで切断する又は部分的に切断する切断刃が形成されたローラが設けられていてもよい。
このように構成されたシート材の製造装置730によると、シート材料19を、半筒状部分722が並設された保護材形成用シート部719aに容易に加工することができる。そして、半筒状部分722を合体させることで、ワイヤーハーネスWHを収容可能なワイヤーハーネス保護材720を構成することができる。
また、ローラ740Aに、一対の凹凸形状形成用凸部744Aを複数組形成し、ローラ740Bに、一対の凹凸形状形成用凹部744Bを複数組形成し、それら各組間に、シート材料19を隣合う保護材形成用シート部719aの間で部分的に切断する部分切断刃749が設けられているため、複数の保護材形成用シート部719aを効率よく製造できる。
そして、隣合う保護材形成用シート部719aを、部分切断刃749によって切断されず切残された部分で繋がった状態とすることができるため、複数の保護材形成用シート部719aを効率よく保管、輸送することができる。また、保護材形成用シート部719aからワイヤーハーネス保護材720を製造する際には、隣合う保護材形成用シート部719aを部分切断刃749によって形成された分離容易線719Lで容易に切断することができ、効率よくワイヤーハーネス保護材720を製造することができる。
{変形例}
なお、上記各実施形態及び変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組合わせることができる。
例えば、追加加工用ローラ480が第1実施形態〜第4実施形態、第7実施形態、第8実施形態に適用されてもよい。また、第1実施形態の変形例に係るローラ40Bが、その他の実施形態に適用されてもよい。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。