{第1実施形態}
以下、第1実施形態に係る保護部材、保護部材付電線及び保護部材の製造方法について説明する。図1は、第1実施形態に係る保護部材20を示す側面図である。図2は、第1実施形態に係る保護部材付電線10を示す斜視図である。図3は、第1実施形態に係る保護部材付電線10を示す側面図である。図4は、第1実施形態に係る保護部材付電線10を示す平面図である。
保護部材20は、保護等を目的として線状体の周囲に取り付けられる。ここでは、線状体として電線12が想定されている。つまり、ここでは電線12の周囲に保護部材20が取り付けられ、保護部材付電線10をなしている。
電線12は、少なくとも1本含まれていればよい。電線12は、その長手方向の中間部分に保護部材20が外装されている。電線12は、芯線の外周に樹脂が押出被覆等されることで被覆部が形成された構成とされている。ここでは、複数の電線12が束ねられた電線束12aの例で説明する。なお、電線束12aには、光ファイバ等が電線12に沿って配設されていてもよい。電線12は、車両等の配設対象箇所に配設された状態で、車両等に搭載された各種電気機器同士を電気的に接続するものとして用いられる。なお、図2〜図5及び図9〜図11では、電線束12aの概形が描かれている。
保護部材20は、シート状部材40が曲げられて形成されている(図6参照)。シート状部材40としてここでは、不織布が採用されているものとして説明するが、このことは必須ではない。シート状部材40としては、例えば、複数の素線が織られた織布又は樹脂成形品等、不織布以外であってもよい。
ここで、保護部材20を構成するシート状部材40として採用されている不織布について説明する。不織布は、例えば、絡み合う基本繊維とバインダと称される接着樹脂とを含む。接着樹脂は、基本繊維の融点よりも低い融点(例えば、約110[℃]から約150[℃]の融点)を有する熱可塑性樹脂である。このような不織布は、基本繊維の融点よりも低く、かつ、接着樹脂の融点よりも高い温度に加熱されることにより、接着樹脂が溶融して基本繊維の隙間に溶け込む。その後、不織布の温度が、接着樹脂の融点よりも低い温度まで下がると、接着樹脂は、周囲に存在する基本繊維を結合した状態で硬化する。これにより、不織布は、加熱前の状態よりも硬くなり、加熱後の冷却時に型枠等によって拘束された形状に成形される。
接着樹脂は、例えば、粒状の樹脂又は繊維状の樹脂などである。また、接着樹脂は、芯繊維の周囲を覆うように形成されることも考えられる。このように、芯繊維が接着樹脂で被覆された構造を有する繊維は、バインダ繊維などと称される。芯繊維の材料は、例えば、基本繊維と同じ材料が採用される。
また、基本繊維は、接着樹脂の融点において繊維状態が維持されればよく、樹脂繊維の他、各種の繊維が採用され得る。また、接着樹脂は、例えば、基本繊維の融点よりも低い融点を有する熱可塑性樹脂繊維が採用される。
不織布を構成する基本繊維と接着樹脂との組合せとしては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)を主成分とする樹脂繊維が基本繊維として採用され、PET及びPEI(ポリエチレンイソフタレート)の共重合樹脂が接着樹脂として採用されることが考えられる。そのような不織布において、基本繊維の融点は概ね250[℃]であり、接着樹脂の融点は約110[℃]から約150[℃]の間の温度である。
具体的には、保護部材20は、第1部分筒部22と開閉片部30とを含む。第1部分筒部22と開閉片部30との間には隙間があいており、当該隙間を通して第1部分筒部22に電線束12aを挿入可能である。また、第1部分筒部22に電線束12aを挿入した後に、上記隙間を塞ぐように開閉片部30を閉じることができる。第1部分筒部22に電線束12aを挿入した状態で、開閉片部30が閉じられることで、保護部材20が電線束12aに取り付けられた状態となる。
第1部分筒部22は、シート状部材40の幅方向一方側端部41を曲げて形成されている。より詳細には、第1部分筒部22は、シート状部材40の幅方向一方側端部41から中間部分にかけての部分が丸められることで形成されている。上述したように、第1部分筒部22は、保護部材20が電線束12aに取り付けられる際に、最初に電線束12aが挿入される部分である。
より具体的には、第1部分筒部22は、周方向に開環した筒状(ここでは半筒状)に形成されている。この際、第1部分筒部22は、半筒より小さく(例えば、3分の1筒状)形成されていてもよい。しかしながら、第1部分筒部22が半筒以上に形成されていると、第1部分筒部22に電線束12aを挿入した後であって開閉片部30を閉じる前の状態で、電線束12aが第1部分筒部22から外れにくくなり、開閉片部30を閉じる作業が容易になる。
また、ここでは、第1部分筒部22の内径は、電線束12aの外径と略同じに設定されている。もっとも、第1部分筒部22の内径は適宜設定されていればよい。しかしながら、第1部分筒部22の内径が電線束12aの外径と同じかそれ以下に設定されていると、第1部分筒部22に電線束12aを挿入した後であって開閉片部30を閉じる前の状態で、電線束12aが第1部分筒部22から外れにくくなり、開閉片部30を閉じる作業が容易になる。
開閉片部30は、第1部分筒部22の縁部からシート状部材40の幅方向他方側端部42に亘る部分である。開閉片部30は、自然状態で第1部分筒部22との間で開口が形成されるように延びている。より詳細には、上述したように第1部分筒部22が半筒状に設けられたうえで、開閉片部30と第1部分筒部22とが自然状態で間隔をあけるように設けられることで、第1部分筒部22の開環した部分が外部に露出している。ここでは、開閉片部30は、第1部分筒部22の一方側端縁部から当該端縁部の接線方向に延びるように形成されている。この際、開閉片部30は、自然状態で平板状を維持可能に形成されている。このため、保護部材20は、側面視で略J字状に形成されている。なお、開閉片部30は、上記接線方向よりも内側又は外側に延びるように形成されていてもよい。
ここで、自然状態とは、作業者等による意図的な外力が働いていない状態である。なお、開口を鉛直方向上向きにした状態で保護部材20を保持した場合には、自然状態であっても、自重(重力)によって開閉片部30が曲がり、開口を塞ぐことはあり得る。しかしながら、開口を鉛直方向下向きにした状態で保護部材20を保持した場合には、自然状態であれば、開閉片部30が開口を塞ぐことは抑制される。
開閉片部30は、自然状態であって開口を鉛直方向上向きにした状態で保護部材20を保持した場合でも、後に開口を閉じるように曲げ可能な範囲内で、開口を塞がない程度の剛性を有するように形成されていることが好ましい。
第1部分筒部22の内部に電線束12aを挿入する際には、開閉片部30と第1部分筒部22との間の隙間が取っ掛りとなる。即ち、開閉片部30と第1部分筒部22との間の隙間の寸法が電線束12aの外径より小さい場合でも、作業者は、当該隙間を容易に広げることができる。この場合、例えば、開閉片部30を曲げてもよいし、第1部分筒部22を曲げてもよい。また、開閉片部30と第1部分筒部22との間の隙間の寸法が電線束12aの外径以上であれば、作業者は、当該隙間からそのまま電線束12aを挿入することができる。なお、第1部分筒部22の開口が電線束12aより小さければ、上記隙間を広げるのと同様に開口を広げるように開閉片部30と第1部分筒部22とを離間させるとよい。ここでは、上述したように保護部材20が略J字状に形成されると共に第1部分筒部22が半筒状に形成されているため、例えば、電線束12aを開閉片部30の内向き面に沿って摺動させるように挿入させることで、隙間及び開口を広げなくとも、電線束12aを第1部分筒部22に挿入することができる。これにより、第1部分筒部22の内部に電線束12aを収容する作業が容易となる。
また、開閉片部30は、第1部分筒部22に電線束12aを挿入した後に第1部分筒部22の内周側又は外周側に重なるように曲げ可能に形成されている。上述したように、保護部材20を電線束12aに取り付ける際、第1部分筒部22に電線束12aを挿入した後に開閉片部30が閉じられる。この際、ここでは、開閉片部30の先端、つまり、シート状部材40の幅方向他方側端部42は、第1部分筒部22の外側に重なる。従って、保護部材20が電線束12aに取り付けられた際に、シート状部材40の幅方向他方側端部42の端縁部は外部に露出し、幅方向一方側端部41の端縁部は外部への露出が抑えられている。なお、保護部材20を電線束12aから取り外す必要が有る場合には開閉片部30が開かれて、第1部分筒部22から電線束12aを取り出し可能となる。
ここでは、第1部分筒部22は、少なくともその外形を維持可能な程度の剛性を有するように形成される。また、開閉片部30は、第1部分筒部22よりも低い剛性を有するよう形成されている。これにより開閉片部30が第1部分筒部22よりも曲げ容易であるため、開閉片部30は、第1部分筒部22に対して容易に開閉可能とされている。なお、例えば、不織布のバインダ繊維の種類或いは量又は不織布から保護部材20を形成する際に加える熱量等を調節することで、開閉片部30を変形可能に形成することができる。
また、開閉片部30は、保護部材20が電線束12aに取り付けられた状態で、第1部分筒部22の周方向において4分の1周分以上4分の3周分以下の範囲で(ここでは、4分の1周)重なっている。もっとも、開閉片部30の重なりの範囲は、第1部分筒部22の周方向において4分の1周分未満であってもよいし、4分の3周分より多い範囲であってもよい。しかしながら、開閉片部30が、第1部分筒部22の周方向において4分の1周分以上重なることにより、開閉片部30と第1部分筒部22との間から電線束12aがはみ出すことをより確実に抑制することができる。また、開閉片部30が、第1部分筒部22の周方向において4分の3周分以下の範囲で重なることにより、第1部分筒部22に電線束12aを挿入した後に開閉片部30を第1部分筒部22に重ねる作業が面倒になることを抑制することができる。
また、ここでは、保護部材20は、内周側の部分が外周側の部分に比べて硬くなるように形成されている。
ここで、保護部材20のうち内周側の部分を外周側の部分に比べて硬くするには、例えば、不織布のうち内周面側のバインダ繊維の融ける量を外周面側のバインダ繊維の融ける量よりも多くすることが考えられる。より詳細には、上記のようなバインダ繊維を有する不織布は、一般に、バインダ繊維のうち一度融けた後、冷えて固まるバインダ繊維の量が多いほど固くなる性質を有する。このように、内周面側のバインダ繊維の融ける量を外周面側のバインダ繊維の融ける量よりも多くするには、例えば、以下のように、融ける前の段階で不織布の中に配合するバインダ繊維の量を調節する方法と、バインダ繊維の融点を低くする方法と、融かすバインダ繊維の量を調節する方法とが考えられる。なお、上記3つの方法は、いずれか1つだけ行われてもよいし、複数が併用されてもよい。複数が併用されると、より確実に、保護部材20のうち内周側の部分を外周側の部分に比べて硬くすることができる。
融ける前の段階で不織布の中に配合するバインダ量を調節するには、不織布のバインダ繊維の量を内周面になる側に多く配合するとともに、外周面になる側に少なく配合すればよい。このようにバインダ繊維の量を変化させる場合、例えば、1枚の不織布の中でバインダ繊維の混入量を一方主面側から他方主面側にかけて内周面側が配合量が多くなるように連続的に変化させることが考えられる。また、例えば、1枚の不織布の中でのバインダ繊維の分布は均一だが、その配合量の異なる複数枚の不織布を配合量の多い不織布が内周面側にくるように厚み方向に重ね合せることも考えられる。
また、バインダ繊維の融点を低くするには、バインダ繊維の種類を変えればよい。より詳細には、バインダ繊維を融かす際に、その融点が低い方がより融けやすくなり、同じ加熱温度及び加熱時間で融ける割合がより確実に増える。これを利用して、不織布のうち内側になる部分のバインダ繊維を外側になる部分のバインダ繊維よりも融点が低いものを用いることで、熱処理後に冷えた保護部材20で、内周側が外周側よりも固くなる。
また、融かすバインダ繊維の量を調節するには、例えば、熱処理の温度、熱源までの距離または時間等を調節して、加えられる熱量(及び放出される熱量)を調節すればよい。より詳細には、熱処理する際に、内周面になる側を高温で処理するとともに外周面になる側を低温で処理する、内周面になる側を熱源に近い位置で処理するとともに外周面になる側を熱源に遠い位置で処理する、又は、内周面になる側を長時間かけて処理するとともに外周面になる側を短時間で処理するなどすることで、内周面側のバインダ繊維の融ける量を外周面側のバインダ繊維の融ける量よりも多くすることができる。これにより、熱処理後に冷えた保護部材20で、内周側が外周側よりも固くなる。
なお、保護部材20の内周側の部分が外周側の部分に比べて硬くなるように形成されている場合、保護部材20のうち線状体に接している又は対向している部分が外周側の部分に比べて硬くなるように形成されていればよく、第1部分筒部22と開閉片部30とが重ねあわされている部分のうち外周側に位置する部分に関しては、シート状部材40の内周側の部分が外周側の部分に比べて硬くなるように形成されていることは必須ではない。もっとも、ここでは、1枚のシート状の不織布を一括して処理することで保護部材20と成しているため、保護部材20は全体として内周側の部分が外周側の部分に比べて硬くなるように形成されている。
なお、シート状の不織布のうち内周面側に位置する部分が、例えば、外周面側に位置する部分に比べて熱収縮率が大きくなるように設定されていると、シート状の不織布を曲げて保護部材20を形成する際に、シート状の不織布が曲がり易くなると共に曲がった状態に維持されやすい。例えば、シート状の不織布のうち、第1部分筒部22に成形される部分の一方主面側が他方主面側よりも熱収縮率が大きくなるように設定される。このように、シート状の不織布のうち、一方主面側の熱収縮率を他方主面側の熱収縮率よりも大きくするには、例えば、以下の方法が考えられる。
即ち、配合する繊維の素材で熱収縮率の異なる2種類の繊維を用い、内周側を熱収縮率の大きい繊維の割合が多くなるようにする。熱収縮率の異なる2種類の繊維として、ここでは、PET(ポリエチレンテレフタレート)とPP(ポリプロピレン)とが用いられている。PETとPPとでは、一般に、PPの方が、熱収縮率が大きくしやすい。このため、不織布のうち内周側になる方に外周側になる方よりもPPを多く配合することで、不織布のうち内周側に位置する部分の方が外周側に位置する部分よりも熱収縮率が大きくなる。
なお、内周側にPPを多く配合するには、例えば、上述したバインダ繊維と同様に、1枚の不織布の中で、内周側の方が多く分布するようにする方法と、PPの配合量の異なる複数枚の不織布を厚み方向に重ねる方法とが考えられる。
また、このほか融点が異なる2種類の繊維のうち融点が高い繊維を外周側に配合すると共に融点の低い繊維を内周側に配合したうえで、融点が高い繊維の融点よりも低い温度で熱収縮させることでも、内周側を熱収縮させやすくすることができる。
ここで、保護部材20を電線束12aに取り付ける様子について説明する。図5は、実施形態に係る保護部材20を電線束12aに取り付ける様子を示す説明図である。
上述したように自然状態で保護部材20は第1部分筒部22と開閉片部30との間があいているため、第1部分筒部22に電線束12aを容易に挿入させることができる。より詳細には、ここでは、第1部分筒部22が電線束12aの外径と略同じ内径を有する半筒状に形成されると共に開閉片部30が第1部分筒部22から接線方向に延びるように形成されているため、第1部分筒部22と開閉片部30との間の間隔(第1部分筒部22の自由端側の端縁部と開閉片部30との間隔)も、電線束12aの外径と略同じである。これにより、開閉片部30及び第1部分筒部22を開くことなく第1部分筒部22に収容される電線12全てを一度に第1部分筒部22の開口に導くことができる。さらに、第1部分筒部22を開くことなく第1部分筒部22の開口に導かれた電線束12aを第1部分筒部22に挿入することができる。
なお、第1部分筒部22と開閉片部30との間の間隔が電線束12aの外径よりも小さい寸法に設定されている場合、電線12をわけて順番に挿入していってもよいし、開閉片部30又は第1部分筒部22を開いて第1部分筒部22と開閉片部30との間の間隔を電線束12aの外径以上にしてから、電線束12aを一度に挿入してもよい。開閉片部30を開く場合、第1部分筒部22と開閉片部30との間の間隔が取っ掛りとなることによって開閉片部30が開きやすい。
電線束12aを第1部分筒部22の内部に収容した後は、開閉片部30を閉じて、開閉片部30の先端を第1部分筒部22に重ねる。これにより、電線束12aの挿入に用いた開口が塞がれ、保護部材20が電線束12aに取り付けられた状態となる。
なお、開閉片部30を閉じた後、開閉片部30が閉じられた状態を維持可能となるように保護部材20の周囲にテープ90等の結束部材が巻付けられることが好ましい。この際、電線束12aに対して保護部材20が位置決めされるように保護部材20の長手方向端部と電線束12aとに亘るようにテープ90が巻付けられることがより好ましい。この際、保護部材20の長手方向中間部分にもテープ90等が巻付けられてもよい。これにより、保護部材20の口開きがより確実に抑制される。
なお、保護部材20の取り付け方によっては、電線束12aがその周方向において全周で保護部材20と接している場合もあり得るし、電線束12aと保護部材20との間に隙間が設けられている場合もあり得る。
<製造方法>
次に、保護部材20の製造方法について説明する。図6は、実施形態に係る保護部材20の製造法の一例を示す説明図である。ここでは、図6に示されるように、保護部材製造装置50を用いて保護部材20を製造する方法について説明する。
ここで、保護部材製造装置50の構成について説明しておく。
保護部材製造装置50は、上流側シート搬送機構60、加熱部70及び成形部80を備えている。また、保護部材製造装置50は、必要に応じて冷却ファン54を備える場合もある。
図6が示す例では、成形部80は基礎台52に支持されている。また、加熱部70が基礎台52に直接支持されること、また、加熱部70を介して成形部80が基礎台52に支持されることも考えられる。
<上流側シート搬送機構>
上流側シート搬送機構60は、熱可塑性樹脂を含むシート状部材40(ここでは、シート状の不織布)を予め定められた経路に沿って搬送する機構である。以下、シート状部材40が搬送される経路のことを搬送経路R1と称する。加熱部70、成形部80は、搬送経路R1に沿う位置に配置されている。
上流側シート搬送機構60は、搬送経路R1における加熱部70の位置よりも上流側の位置に配置されている。上流側シート搬送機構60は、シート状部材40を加熱部70の位置へ送り込む。
上流側シート搬送機構60は、一対の送り込みローラ62と送り込みローラ駆動部64とを備えている。一対の送り込みローラ62は、搬送経路R1における加熱部70の位置よりも上流側の位置において、平坦なシート状部材40を挟み込んで回転する部材である。図6が示す例では、上流側シート搬送機構60は、搬送経路R1の方向に並んで配置された二対の送り込みローラ62を備えている。
送り込みローラ駆動部64は、一対の送り込みローラ62を回転させる駆動機構である。例えば、送り込みローラ駆動部64は、モータとそのモータの回転力を一対の送り込みローラ62に伝達するギア機構とを含む。
送り込みローラ駆動部64が一対の送り込みローラ62の両方を反対方向に回転させることの他、送り込みローラ駆動部64が一対の送り込みローラ62の一方のみを回転させることも考えられる。後者の場合、一対の送り込みローラ62の一方がシート状部材40を加熱部70の側(下流側)へ搬送し、一対の送り込みローラ62の他方は移動するシート状部材40に接して従動する。
一対の送り込みローラ62は、例えば円柱状もしくは円筒状に形成されている。一対の送り込みローラ62各々の外周面は、シート状部材40に対する摩擦抵抗が高い材料で構成されていることが望ましい。例えば、一対の送り込みローラ62各々の外周面が、エラストマーなどのゴム系材料で構成されていることが考えられる。
<加熱部>
加熱部70は、搬送経路R1を移動中のシート状部材40を加熱する装置である。加熱部70は、例えば熱風送風機又は赤外線ヒータなどのように非接触でシート状部材40を加熱する装置である。
加熱部70は、熱可塑性樹脂を含むシート状部材40を加熱することにより、シート状部材40を塑性変形可能な程度に軟化させる。即ち、加熱部70によって加熱されたシート状部材40は、外力が加わって変形した後に冷却すると、冷却時の形状を維持する。
なお、ここでは、加熱部70は、シート状部材40を幅方向に沿って全体的に加熱している。これにより、シート状部材40のうち保護部材20に成形する際に曲げられない部分(ここでは、開閉片部30に成形される部分)も、シート状部材40の剛性より大きい剛性を有するように成形される。もっとも、加熱部70がシート状部材40を幅方向に沿って全体的に加熱することは必須ではない。例えば、加熱部70は、シート状部材40から曲げて成形する部分(ここでは、第1部分筒部22に成形される部分)のみを加熱することもあり得る。この場合、成形後の開閉片部30は、シート状部材40の剛性と同等かそれより若干大きい剛性を有する。
<成形部>
成形部80は、搬送経路R1における加熱部70の位置よりも下流側の位置に配置されている。成形部80は、ここでは、型82を含む。図7は、型82を上流側から見た図である。図8は、型82を下流側から見た図である。
型82は、加熱されたシート状部材40を保護部材20の形状に成形する成形面84を有している。ここでは、型82の本体部82aのうち上流側を向く面と下流側を向く面とを貫くように開けられた貫通孔82hの内周面が成形面84をなしている。この際、型82の本体部82aは、上流側を向く面において、下面側が上面側よりも上流側に出っ張る態様で傾斜するように形成されている。このため、貫通孔82hのうち上流側は上側が開いた溝状に形成され、貫通孔82hのうち下流側は閉環状に形成されている。具体的には、成形面84は、外側成形面85と内側成形面86とを有する。
外側成形面85は、シート状部材40の両主面のうちシート状部材40が保護部材20に成形されたときに外周側面となる側の主面を支える。外側成形面85のうち第1部分筒部22を成形する部分は、搬送経路R1の上流側から下流側へ向かうほど、平坦面に近い形状から外周側面に沿う環状に近い形状へ徐々に変化する形状で形成されている。また、外側成形面85のうち開閉片部30を成形する部分は、上流側に誘い込みの傾斜が設けられる以外は、上流側から下流側へ向けて略平坦面状に形成されている。
図6が示す例では、型82の外側成形面85のうち第1部分筒部22を成形する部分における上流側の端部は、第1部分筒部22の外周側面よりも曲率半径が大きく形成されている。一方、型82の外側成形面85のうち第1部分筒部22を成形する部分における下流側の端部は、外周側面の曲率半径と同等もしくは外周側面の曲率半径よりも小さい曲率半径に形成されている。そして、外側成形面85は、上流側の端部から下流側の端部へ向かうほど徐々に曲率半径が小さくなる形状で形成されている。
内側成形面86は、シート状部材40が保護部材20に成形された時の内周側面となる側の主面を成形する。内側成形面86は、外側成形面85によって曲げられたシート状の不織布の移動を規制する。内側成形面86は、搬送経路R1の上流側から下流側へ向かって一定の形状に形成されている。
型82は、その外側成形面85を摺動するシート状部材40を平坦に近い形状から成形品の形状に近い形状へ徐々に変形させる。これにより、加熱されたシート状部材40は、円滑に型82を通過可能となる。
従って、型82のうち下流側における外側成形面85と内側成形面86との間の空間がシート状部材40を保護部材20の形状に拘束する成形通路88をなしており、型82のうち上流側における外側成形面85と内側成形面86との間の空間がシート状部材40を成形通路88に案内する(つまり、シート状部材40を徐々に保護部材20の形状に近づける)案内通路87をなしている。ここでは、貫通孔82hのうち上流側における溝状に形成された部分が案内通路87であり、下流側における閉環状に形成された部分が成形通路88である。
型82のうち案内通路87を構成する部分がヒータなどの熱源によって加熱されない場合、即ち、型82のうち案内通路87を構成する部分の温度が加熱されたシート状部材40の温度よりも低い場合、シート状部材40は案内通路87の内周面と接触することにより冷却される。しかしながら、シート状部材40が成形通路88に達する前に硬化すると、シート状部材40を所望の形状に成形することができなくなる。
従って、型82のうち案内通路87を構成する部分との熱交換によるシート状部材40の温度降下は大きくないことが望ましい。例えば、型82のうち案内通路87を構成する部分が、型82のうち成形通路88を構成する部分の材料に比べてシート状部材40及び空気との間の熱伝達率が小さい材料で構成されることが考えられる。また、型82のうち案内通路87を構成する部分が、不図示のヒータ又は熱風送風機などの加熱手段によって予め定められた温度に維持されることも考えられる。
加熱されたシート状部材40は、その両主面各々が外側成形面85と内側成形面86との各々に接触しつつ成形通路88を通過する。従って、シート状部材40における成形通路88を通過する部分は成形通路88と同じ形状、即ち、成形後の保護部材20の形状となる。
また、型82のうち成形通路88を構成する部分は、自然放熱により、又は強制冷却されることによって成形通路88に入る直前のシート状部材40の温度よりも低い温度に維持されている。そのため、型82のうち成形通路88を構成する部分は、シート状部材40との熱交換によってシート状部材40を冷却する。
シート状部材40の幅方向一方側端部41における成形通路88を通過する部分は、半円弧状に拘束された状態で冷却され、半円弧状に曲がった状態のまま硬化する。即ち、シート状部材40における成形通路88を通過する部分は、半円弧状に成形される。従って、移動中のシート状部材40の幅方向一方側端部41における、成形部80の位置よりも搬送経路R1の下流側の部分は、半筒状に成形された状態となる。その半筒状に成形された部分が保護部材20の第1部分筒部22である。
型82のうち成形通路88を構成する部分は、シート状部材40及び空気との間の熱伝達率が高い材料で構成されていることが望ましい。例えば、型82が、ステンレス、鉄又は銅などの金属の部材であることが考えられる。
また、型82の放熱性を高めるため、型82のうち成形通路88を構成する部分の内側面以外の面に、放熱フィンが形成されることも考えられる。
図6が示す例では、型82のうち成形通路88を構成する部分は、冷却ファン54によって強制空冷されている。
上記保護部材製造装置50を用いて、保護部材20を製造するには、例えば、以下のようにする。
即ち、まずは、シート状部材40は、上流側シート搬送機構60によって搬送される。具体的には、シート状部材40のうち第1部分筒部22に成形される部分を上流方向から見て左側に配置し、開閉片部30に成形される部分を上流側から見て右側に配置する。さらに、第1部分筒部22に成形される部分のうち熱収縮率の大きい一方側主面が基礎台52の上面と接しない側に位置し、シート状部材40のうち熱収縮率の小さい他方側主面が基礎台52の上面と接した状態で搬送されるようにする。
次に、保護部材製造装置50の加熱部70によって、搬送経路R1に沿って移動中の熱可塑性樹脂を含むシート状部材40を加熱する。この際、シート状部材40の一方側主面(基礎台52の上面と接していない方の主面)の熱収縮率がシート状部材40の他方側主面の熱収縮率よりも大きく設定されているため、加熱後のシート状部材40は、一方側主面を内側にして収縮しやすい。
なお、上述したように、シート状部材40のうち第1部分筒部22に成形される部分のみを加熱することも考えられる。
次に、搬送経路R1における加熱部70の位置よりも下流側の位置に配置された案内通路87を用いて成形される。ここでは、加熱部70によって加熱されたシート状部材40を平坦に近い形状から成形通路88の形状に近い形状へ徐々に変形させる。より具体的には、搬送経路R1に沿って搬送されるシート状部材40を案内通路87の外側成形面85に摺動させることによってシート状部材40を変形させる。
次に、搬送経路R1における加熱部70及び案内通路87の位置よりも下流側の位置に配置された成形通路88を用いて成形される。ここでは、シート状部材40を、成形通路88を通過させることで、シート状部材40における成形通路88を通過する部分を成形品の形状に拘束しつつ冷却する。
そして、シート状部材40は、成形通路88を通過するときに型82との熱交換によって冷却され、成形通路88と同じ形状で硬化する。従って、搬送されているシート状部材40における、成形通路88の位置よりも搬送経路R1の下流側の部分が保護部材20となっている。
以上のようにして保護部材製造装置50を用いて製造された一連の保護部材20は、一単位分の保護部材20として必要な長さにカットされて用いられる。即ち、保護部材製造装置50は、複数単位分の保護部材20を連続的に製造することができる。もちろん、一単位分ごとにシート状部材40が保護部材20に成形されてもよい。
もちろん、保護部材20が上記保護部材製造装置50を用いて製造されることは必須ではなく、保護部材20は、作業者の手作業により、又は、他の装置等により製造される場合もあり得る。
第1実施形態に係る保護部材20によると、シート状部材40の幅方向一方側端部41を曲げて形成された第1部分筒部22と、第1部分筒部22の縁部からシート状部材40の幅方向他方側端部42に亘る部分であって、自然状態で第1部分筒部22との間に開口を形成可能に延び、第1部分筒部22に線状体を挿入した後に第1部分筒部22の内周側又は外周側に重なるように曲げ可能に形成された開閉片部30とを備える。このため、自然状態で、開口を通して容易に第1部分筒部22内に電線等を挿入することができる。また、電線挿入後に第1部分筒部22は部分筒形状を維持しているため、電線挿入後の取扱性の低下が抑えられる。
また、第1部分筒部22が半筒に曲げて形成されているため、第1部分筒部22が半筒未満に曲げられる場合に比べて電線の挿入性の低下を抑えつつ、電線挿入後の取扱性を向上させることができる。
また、開閉片部30は、自然状態で平板状を維持可能に形成されているため、開閉片部30に多少の外力がかかっても第1部分筒部22の開口を塞ぐような変形がし難くなる。これにより、電線等の挿入性の向上につながる。
また、シート状部材40が不織布を材料として形成されているため、シート状部材40から保護部材20を容易に製造することができる。
また、延在方向に沿って送られている途中のシート状部材40が加熱された状態で型82に通されることで、自然状態の形状を維持可能に形成されているため、シート状部材40から保護部材20を連続的に製造することができる。
また、内周側の部分が外周側の部分に比べて硬くなるように形成されているため、電線12が保護部材20の内周側の部分で確実に保護される。また、外周側の部分が内周側の部分と比べて柔らかいため、保護部材20が周囲の部材と干渉した際に、音の発生を抑制することができる。
また、シート状部材40の第1部分筒部22のうち丸められた状態で内周側に位置する部分は、外周側に位置する部分に比べて熱収縮率が大きくなるように設定されているため、シート状部材40に熱をかけることで、シート状部材40が容易に丸まる。これにより、シート状部材40から保護部材20を形成しやすくなる。
また、開閉片部30は、第1部分筒部22の周方向において4分の1周分以上4分の3周分以下の範囲で重なっているため、開閉片部30を閉じる作業性の低下を抑えつつ、電線12のはみ出しをより確実に抑制することができる。
{第2実施形態}
第2実施形態に係る保護部材20Aについて説明する。図9は、第2実施形態に係る保護部材20A及びこれを備える保護部材付電線10Aを示す側面図である。なお、本実施の形態の説明において、第1実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
第2実施形態に係る保護部材20Aは、開閉片部30Aの形状が第1実施形態に係る保護部材20の開閉片部30の形状とは異なる。
具体的には、開閉片部30Aは、第1部分筒部22側に曲げられている。そして、開閉片部30Aは、自然状態で第1部分筒部22の曲率半径よりも大きい曲率半径を有する板状を維持可能に形成されている。この際、ここでは、開閉片部30Aは、第1部分筒部22との連結部分からの先端にいくにつれて、曲率半径が段階的に大きくなるように形成されている。もっとも、開閉片部は、第1部分筒部22との連結部分から先端にかけて一定の曲率半径で形成されていてもよい。
このような保護部材20Aも、型82の形状を変えることで、第1実施形態に係る保護部材20と同様に保護部材製造装置50を用いて製造することができる。具体的には、型の外側成形面のうち開閉片部30Aを成形する部分における上流側の端部が、開閉片部30Aの外周側面よりも曲率半径が大きく形成される。一方、型の外側成形面のうち開閉片部30Aを成形する部分における下流側の端部は、開閉片部30Aの外周側面の曲率半径と同等もしくは外周側面の曲率半径よりも小さい曲率半径に形成される。外側成形面は、上流側の端部から下流側の端部へ向かうほど徐々に曲率半径が小さくなる形状で形成される。また、型の内側成形面は、上流側の端部から下流側の端部へかけて、保護部材20Aの内周側面と同様の形状で一定に形成される。これらより、型82の形状を変えることで保護部材製造装置50を用いて保護部材20Aを製造することができる。
第2実施形態に係る保護部材20Aによると、開閉片部30Aが第1部分筒部22側に曲げられているため、保護部材20Aが単体として存在する際にその外形を小さくすることができる。また、開閉片部30Aが第1部分筒部22側に曲げられているため、保護部材20Aが電線束12aに取り付けられた際に、開閉片部30Aの先端がめくれにくくなる。
{第3実施形態}
第3実施形態に係る保護部材20Bについて説明する。図10は、第3実施形態に係る保護部材20B及びこれを備える保護部材付電線10Bを示す側面図である。なお、本実施の形態の説明において、これまでの実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
第3実施形態に係る保護部材20Bは、第1部分筒部22Bの形状が第1実施形態に係る保護部材20の第1部分筒部22の形状とは異なる。
具体的には、第1部分筒部22Bは、4分の3円筒状に形成されている。これにより、第1部分筒部22Bに電線束12aを挿入した後、電線束12aが第1部分筒部22Bから抜けそうになった場合に、電線束12aが第1部分筒部22Bの端縁部に引っ掛かり抜けにくくなる。この際、開閉片部30は、第1部分筒部22Bの一方側端縁部からその端縁部における接線方向に延びるように形成されているが、当該接線方向よりも内側又は外側に延びるように形成されていてもよい。
この際、第1部分筒部22Bが第1部分筒部22よりも大きい筒状に形成されているため、第1実施形態と同様に開閉片部30Bを第1部分筒部22Bの外側に4分の1周重ねるように開閉片部30Bが設けられている場合に、シート状部材40の幅方向における開閉片部30Bの寸法は開閉片部30の寸法よりも短くて済む。これにより、保護部材20Bが単体として存在する場合の保護部材20Cの外形を小さく抑えることができると共に開閉片部30を閉じる作業が容易になる。
このような保護部材20Bも、型82の形状を変えることで、第1実施形態に係る保護部材20と同様に保護部材製造装置50を用いて製造することができる。具体的には、例えば、型の外側成形面のうち第1部分筒部22Bを成形する部分における下流側の端部が4分の3円弧状に形成され、上流側の端部から下流側の端部へ向かうほど徐々に曲率半径が小さくなる形状で形成される。また、例えば、上記第1実施形態に係る型82において、第1部分筒部22側はそのままで、開閉片部30のうち第1部分筒部22と連なる部分を成形する部分を4分の1円弧状に形成されていてもよい。これらより、型82の形状を変えることで保護部材製造装置50を用いて保護部材20を製造することができる。
第3実施形態に係る保護部材20Bによると、第1部分筒部22Bが4分の3筒以上に曲げて形成されているため、第1部分筒部22Bが4分の3筒未満に曲げられる場合に比べて電線挿入後の取扱性を向上させることができる。
{第4実施形態}
第4実施形態に係る保護部材20Cについて説明する。図11は、第4実施形態に係る保護部材20C及びこれを備える保護部材付電線10Cを示す側面図である。なお、本実施の形態の説明において、これまでの実施形態で説明したものと同様構成要素については同一符号を付してその説明を省略する。
第4実施形態に係る保護部材20Cは、開閉片部30Cの形状が第1実施形態に係る保護部材20の開閉片部30の形状とは異なる。
具体的には、開閉片部30Cは、第2部分筒部32と、連結部36とを含む。
第2部分筒部32は、シート状部材40の幅方向他方側端部42を第1部分筒部22と同じ曲率半径で第1部分筒部22側に曲げて形成されている。第2部分筒部32が第1部分筒部22側に曲げられて形成されているため、保護部材20を電線束12aに取り付けた際に第2部分筒部32がめくれにくくなる。
ここでは、第2部分筒部32は、半筒(半円筒)状に形成されているが、半筒未満であってもよいし、半筒より大きくてもよい。第2部分筒部32が半筒より大きい場合、開環状に形成されていることが好ましい。第2部分筒部32は、半筒以上に形成されていることにより、第1部分筒部22に電線束12aを挿入した後、第2部分筒部32を電線束12a及び第1部分筒部22の外側に被せることで、第2部分筒部32が電線束12a及び第1部分筒部22から抜けにくくなる。一方、第2部分筒部32が半筒以下に形成されていることにより、第2部分筒部32を電線束12a及び第1部分筒部22の外側に被せる際に、第2部分筒部32を広げる必要がなくなり、取付易さが低下することを抑えることができる。これらより、ここでは、第2部分筒部32は半筒に形成されている。
連結部36は、自然状態で第1部分筒部22と第2部分筒部32との間に間隔があくように第1部分筒部22と第2部分筒部32とをつなぐ部分である。ここでは、連結部36は、平板状に形成されている。この際、連結部36は、第1部分筒部22の一方側端縁部からその端縁部における接線方向に延びるように形成されている。また、連結部36は、第2部分筒部32の一方側端縁部からその端縁部における接線方向に延びるように形成されている。このことと、第1部分筒部22及び第2部分筒部32が共に半円筒状に形成されていることにより、連結部36の寸法が、自然状態における第1部分筒部22と第2部分筒部32との間の間隔寸法となっている。もっとも連結部は、第1部分筒部22又は第2部分筒部32の端縁部における接線方向よりも内側又は外側に延びるように形成されていてもよい。
また、連結部36は、自然状態で平板状を維持可能に設けられている。これにより、自然状態で、保護部材20Cに多少の外力が加わっても開閉片部30Cが、第1部分筒部22の開口を塞ぐような変形をしにくくなる。なお、連結部は、第1部分筒部22よりも大きい曲率半径を有するように曲げて形成されると共に、自然状態でその形状を維持可能に形成されていてもよい。
このような保護部材20Cも、型82の形状を変えることで、第1実施形態に係る保護部材20と同様に保護部材製造装置50を用いて製造することができる。具体的には、例えば、上記第1実施形態に係る型82において、第1部分筒部22側はそのままで、開閉片部30のうちシート状部材40の幅方向他方側端部42を成形する部分が第1部分筒部22を成形する部分と同様の形状に形成されていることが考えられる。これにより、型82の形状を変えることで保護部材製造装置50を用いて保護部材20Cを製造することができる。
第4実施形態に係る保護部材20Cによると、開閉片部30Cは、シート状部材40の幅方向他方側端部42を第1部分筒部22と同じ曲率半径で第1部分筒部22側に曲げて形成された第2部分筒部32を含むため、保護部材20Cの他方側端部がめくれることを抑制することができる。この際、開閉片部30Cが自然状態で第1部分筒部22と第2部分筒部32との間に間隔があくように第1部分筒部22と第2部分筒部32とをつなぐ連結部36を含むため、電線12の挿入性の低下を抑えることができる。
また、第2部分筒部32は、半筒に曲げられて形成されているため、第2部分筒部32を第1部分筒部22の外側で線状体の周囲に取り付けた際に第2部分筒部32が線状体から外れにくくなる。これにより、電線挿入後の取扱性の向上につながる。また、第2部分筒部32を第1部分筒部22及び線状体の外側に取り付ける際に、第2部分筒部32を広げなくとも取り付けることができる。これにより、保護部材20Cの取付性の向上につながる。
また、連結部36が自然状態で平板状を維持可能に形成されているため、開閉片部30に多少の外力がかかっても第1部分筒部22の開口を塞ぐような変形がし難くなる。これにより、電線等の挿入性の向上につながる。
なお、上記各実施形態で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
以上のようにこの発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。