JP6201443B2 - 液体現像剤 - Google Patents

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Description

本発明は、トナー粒子が絶縁性液体に分散されてなる液体現像剤に関する。
省エネルギー化に伴って、定着時に要するエネルギー(定着エネルギー)の低減が望まれており、種々の提案がされている。たとえば、特許文献1には、絶縁性液体よりも低いアニリン点を有する液体を含むトナー粒子を用いることが記載されている。特許文献2には、液体現像剤に含まれる樹脂の主成分として、JIS K7210に基づき2160±10gの荷重をかけて150±0.4℃で測定したメルトマスフローレイトが10〜1200g/10分である結晶性ポリエステル樹脂を用いることが記載されている。特許文献3〜4には、液体現像剤に含まれる樹脂の軟化点を低温化することが記載されており、特許文献5〜6には、トナー粒子の乾燥状態における100℃程度での溶融粘度を最適化することが記載されている。近年、紙温度が70〜80℃程度での定着が望まれており、このような定着を実現するためには液体現像剤が50〜70℃で軟化することが好ましい。
特開2008−299142号公報 特開2005−62466号公報 特開2003−20423号公報 特開2002−356635号公報 特開平10−333366号公報 特開平5−188659号公報
しかしながら、定着エネルギーの低減化を図ると、樹脂が低温で溶融し易くなるので、高温オフセットが起こりやすくなる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、定着エネルギーの低減化を図りつつ高温オフセットの発生を防止可能な液体現像剤の提供である。
本発明に係る液体現像剤は、トナー粒子が絶縁性液体に分散されてなる。絶縁性液体は、その引火点が100℃以上である。トナー粒子は樹脂を含み、樹脂はポリエステル樹脂に由来する成分を含む第1樹脂を80質量%以上含む。液体現像剤から絶縁性液体を除いた部分に相当する液体現像剤の固形分は、温度T0(℃)における貯蔵弾性率をG’(T0)とし、温度(T0+10)(℃)における貯蔵弾性率をG’(T0+10)としたとき、G’(T0)/G’(T0+10)≧10を満たし(ただし50℃≦T0≦70℃である)、好ましくはG’(T0)/G’(T0+10)≧50を満たす。ここで、温度T0は、次に示す方法にしたがって求められる。温度Tを横軸とし貯蔵弾性率G’(T)を縦軸として液体現像剤の固形分の貯蔵弾性率の温度依存性をグラフ化し、50℃≦T≦70℃を満たすグラフ上の任意の2点を直線で近似して傾きを求め、その傾きが最大となるときの温度をT0とする。
ポリエステル樹脂に由来する成分は、酸成分に由来する構成単位と、アルコール成分に由来する構成単位とを含むことが好ましい。酸成分に由来する構成単位およびアルコール成分に由来する構成単位に占める脂肪族モノマーに由来する構成単位の割合は、90質量%以上であることが好ましい。第1樹脂は、ポリエステル樹脂、および、ポリエステル樹脂に由来する成分がイソシアネート基を含む化合物により鎖長されてなるウレタン変性ポリエステル樹脂の少なくとも一方であることが好ましい。樹脂は、第1樹脂を90質量%以上含むことが好ましい。
本発明に係る液体現像剤では、定着エネルギーの低減化を図ることができるとともに高温オフセットの発生を防止することができる。
電子写真方式の画像形成装置の概略概念図である。 実施例の結果を示すグラフである。
以下、本発明の液体現像剤について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
<液体現像剤の構成>
本実施形態に係る液体現像剤は、複写機、プリンタ、デジタル印刷機もしくは簡易印刷機などの電子写真方式の画像形成装置(後述)において用いられる電子写真用液体現像剤、塗料、静電記録用液体現像剤、インクジェットプリンタ用油性インクまたは電子ペーパー用インクとして有用であり、トナー粒子が絶縁性液体に分散されてなる。本実施形態に係る液体現像剤では、液体現像剤から絶縁性液体を除いた部分に相当する液体現像剤の固形分(トナー粒子に相当。以下では「液体現像剤の固形分」と記す)が、温度T0(℃)における貯蔵弾性率をG’(T0)とし、温度(T0+10)(℃)における貯蔵弾性率をG’(T0+10)としたとき、G’(T0)/G’(T0+10)≧10を満たす(ただし50℃≦T0≦70℃である。以下においても同様)。これにより、本実施形態に係る液体現像剤は、低温でのシャープメルト性に優れるので、低温(たとえば70〜80℃)での定着が可能となる。したがって、本実施形態に係る液体現像剤では、定着エネルギーの低減化を図ることができる。従来では、定着エネルギーの低減化を図ろうとすると高温オフセットの発生を招いていた。しかし、本実施形態では、絶縁性液体は、その引火点が100℃以上であるので、高粘度且つ低揮発性であり、よって、定着時にトナー粒子の表面に残存し易くなる。以上より、本実施形態に係る液体現像剤では、定着エネルギーの低減化を図ることができるとともに高温オフセットの発生を防止することができる。
<G’(T0)/G’(T0+10)>
G’(T0)/G’(T0+10)が大きければ大きいほど、液体現像剤はシャープメルト性に優れることとなるので、定着温度の更なる低温化を図ることができる。よって、定着エネルギーの更なる低減化を図ることができる。たとえば、G’(T0)/G’(T0+10)≧50以上であることが好ましい。また、G’(T0)/G’(T0+10)>300を実現することは難しいため、G’(T0)/G’(T0+10)≦300であることが好ましい。一方、G’(T0)/G’(T0+10)<10であれば、液体現像剤はシャープメルト性に優れなくなるため、定着エネルギーの低減化を図ることが難しくなる。また、目標紙温度(たとえば70〜80℃)での樹脂(トナー粒子に含まれる樹脂)の溶融性の確保が困難となるため、定着性の低下を招き、紙などのメディア上に形成された画像の光沢性の低下も招く。
G’(T0)/G’(T0+10)≧10を満足させる具体的な方法としては、たとえばトナー粒子に含まれる樹脂が第1樹脂(ポリエステル樹脂に由来する成分を含む樹脂)を80質量%以上含むこと、第1樹脂が結晶性を有すること、または、第2樹脂が結晶性を有することなどが挙げられる。酸成分に由来する構成単位およびアルコール成分に由来する構成単位に占める脂肪族モノマーに由来する構成単位の割合が高ければ、第1樹脂の結晶性が高くなる。これにより、G’(T0)/G’(T0+10)≧10を満足させることができる。酸成分に由来する構成単位およびアルコール成分に由来する構成単位は、どちらも、ポリエステル樹脂に由来する成分に含まれる。
G’(T0)/G’(T0+10)≧50を満足させる具体的な方法としては、上記と同じであるが、第1樹脂または第2樹脂の結晶性をより高めることが挙げられる。たとえば、酸成分に由来する構成単位およびアルコール成分に由来する構成単位に占める脂肪族モノマーに由来する構成単位の割合が90質量%以上であれば、G’(T0)/G’(T0+10)≧50を満足させることができる。
貯蔵弾性率の測定方法は、本明細書では、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製の粘弾性測定装置を用いて測定開始温度を40℃とし昇温速度を3℃/分とし周波数を1Hzとして試料の粘弾性を測定するという方法である。
<絶縁性液体>
絶縁性液体は、その引火点が高ければ高いほど、その粘度は高くなり、揮発し難くなる。よって、絶縁性液体は定着時にトナー粒子の表面に残存し易くなるので、高温オフセットの発生が防止され易くなる。たとえば、絶縁性液体は、その引火点が100℃以上200℃以下であることが好ましく、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素またはポリシロキサンなどであることが好ましい。本実施形態に係る液体現像剤では、2種以上の絶縁性液体が混合されていても良い。本明細書では、絶縁性液体の引火点は、JIS K2265のクリーブランド開放式に準拠して測定したものである。
脂肪族炭化水素は、その炭素数が15以上50以下であることが好ましく、その炭素数が20以上35以下であることがより好ましい。
ハロゲン化炭化水素は、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素または芳香族炭化水素のいずれかのハロゲン化化合物であることが好ましい。ポリシロキサンは、その重合度が10以上20以下であることが好ましい。
絶縁性液体は、その抵抗値が静電画像を乱さない程度の抵抗値(1011〜1016Ω・cm程度)であることが好ましく、さらには臭気および毒性が低い溶媒であることが好まし。このような観点から、絶縁性液体は、ノルマルパラフィン系溶媒またはイソパラフィン系溶媒であることが好ましく、たとえばモレスコホワイト(株式会社MORESCO製)、アイソパーM(エクソンモービル株式会社製)またはIPソルベント2835(出光興産株式会社製)などであることがより好ましい。液体現像剤における液体現像剤の固形分の濃度は1質量%以上60質量%以下であることが好ましいので、このことを考慮して液体現像剤における絶縁性液体の含有量を決定することが好ましい。また、本実施形態に係る液体現像剤は、絶縁性液体とは異なる有機溶剤を含んでいても良い。
<トナー粒子>
トナー粒子の粒度分布を体積基準で測定したときのメジアン径D50(以下では「トナー粒子のメジアン径D50」と記す)は、0.5μm以上5.0μm以下であることが好ましい。この粒径は、従来用いられていた乾式現像剤に含まれるトナー粒子の粒径よりも小さく、本発明の特徴の一つである。トナー粒子のメジアン径D50が0.5μm未満であれば、トナー粒子の粒径が小さすぎるので、電界でのトナー粒子の移動性の悪化を招くことがある。よって、現像性の低下を招くことがある。一方、トナー粒子のメジアン径D50が5.0μmを超えると、トナー粒子の粒径の均一性の低下を招くことがあり、よって、画質の低下を招くことがある。トナー粒子のメジアン径D50の測定方法としては、たとえば、市販の粒度分布測定装置(たとえば、株式会社島津製作所製のSALD−3100またはシスメックス株式会社製のFPIA−3000など)を用いた測定などが挙げられる。
トナー粒子の平均円形度は0.85以上0.96以下であることが好ましく、トナー粒子の円形度の標準偏差は0.01以上0.1以下であることが好ましい。トナー粒子の円形度は、(トナー粒子の投影面積と等しい面積を有する円の周囲長)÷(検知されたトナー粒子の周囲長さ)で求まる値であり、トナー粒子を光学的に検知して演算される値である。これらの値は、たとえばフロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製のFPIA−3000S)などを用いて計測可能である。この分析装置では、溶剤をそのまま分散媒体として使用することが可能であるので、この分析装置を用いれば、水系で測定する系よりも実際の分散状態に近い状態におけるトナー粒子の状態を計測することができる。
トナー粒子の定着性および液体現像剤の耐熱安定性などの観点から、トナー粒子は、液体現像剤に、10〜50質量%含まれていることが好ましく、15〜45質量%含まれていることがより好ましく、20〜40質量%含まれていることがさらに好ましい。このようなトナー粒子は、樹脂を含み、好ましくは着色剤などの添加剤をさらに含む。
<樹脂>
樹脂は、ポリエステル樹脂に由来する成分を含む第1樹脂(以下では単に「第1樹脂」と記す)を80質量%以上含み、第1樹脂を90質量%以上含むことが好ましい。ポリエステル樹脂は結晶性に優れることが知られている。そのため、トナー粒子に含まれる樹脂が第1樹脂を80質量%以上含んでいれば、トナー粒子に含まれる樹脂がシャープメルト性に優れることとなるので、シャープメルト性に優れた液体現像剤を提供することができる。よって、定着エネルギーの低減化を図ることができる。トナー粒子に含まれる樹脂が第1樹脂を90質量%以上含んでいれば、トナー粒子に含まれる樹脂がシャープメルト性にさらに優れることとなるので、シャープメルト性にさらに優れた液体現像剤を提供することができる。よって、定着エネルギーの更なる低減化を図ることができる。ここで、トナー粒子に含まれる樹脂における第1樹脂の含有量の求め方としては、たとえば、赤外線吸収スペクトルを測定し当該スペクトルから算出する方法、核磁気共鳴により得られたスペクトルから算出する方法またはGCMS(ガスクロマトグラフ質量分析計)を用いて測定する方法などが挙げられる。
第1樹脂は、たとえば、ポリエステル樹脂またはポリエステル樹脂に由来する成分がイソシアネート基を含む化合物により鎖長されてなるウレタン変性ポリエステル樹脂(以下では単に「ウレタン変性ポリエステル樹脂」と記す)などであることが好ましい。トナー粒子に含まれる第1樹脂がウレタン変性ポリエステル樹脂を含んでいれば、第1樹脂の結晶性が高くなるので、第1樹脂が強靭性に優れることとなる。よって、トナー粒子の定着性が向上する。また、トナー粒子の定着性が向上すれば、メディアへのトナー粒子の密着性が良好となるので、ドキュメントオフセットの発生を防止することができる。これらの効果を有効に得るためには、第1樹脂は、ウレタン変性ポリエステル樹脂を80質量%以上100質量%以下含むことが好ましく、ウレタン変性ポリエステル樹脂からなることがより好ましい。たとえば赤外線吸収スペクトルの測定、核磁気共鳴スペクトルの測定、またはGCMSを用いた分析などにより、第1樹脂がウレタン変性ポリエステル樹脂を含んでいるか否か、または、第1樹脂におけるウレタン変性ポリエステル樹脂の含有量などを調べることができる。なお、ポリエステル樹脂に由来する成分とは、第1樹脂がポリエステル樹脂である場合にはポリエステル樹脂そのものを意味し、第1樹脂がウレタン変性ポリエステル樹脂である場合には第1樹脂からイソシアネート基に由来する部分を除いた部分を意味する。
同様の理由から、ウレタン変性ポリエステル樹脂におけるウレタン基濃度[(ウレタン変性ポリエステル樹脂におけるウレタン基の質量)/(当該ウレタン変性ポリエステル樹脂の質量)×100]は、0.5%以上5%以下であることが好ましく、1%以上3%以下であることがより好ましい。ウレタン変性ポリエステル樹脂におけるウレタン基濃度は、GCMSを用いて測定可能である。具体的には、下記(ウレタン変性ポリエステル樹脂の熱分解の条件)に示す条件でウレタン変性ポリエステル樹脂を熱分解させてから、GCMSを用いて下記(ウレタン変性ポリエステル樹脂におけるウレタン基濃度の測定条件)に示す条件でウレタン基濃度を測定する。そして、熱分解されたウレタン変性ポリエステル樹脂から検出されたイオン強度の比率を用いてウレタン変性ポリエステル樹脂におけるウレタン基濃度を算出する。
(ウレタン変性ポリエステル樹脂の熱分解の条件)
装置:フロンティア・ラボ株式会社製のPY−2020iD
試料の質量:0.1mg
加熱温度:550℃
加熱時間:0.5分。
(ウレタン変性ポリエステル樹脂におけるウレタン基濃度の測定条件)
装置:株式会社島津製作所製のGCMS−QP2010
カラム:フロンティア・ラボ株式会社製のUltraALLOY−5(内径:0.25mm,長さ:30m,厚さ:0.25μm)
昇温条件:昇温範囲:100℃〜320℃(320℃で保持)、昇温速度:20℃/分。
「第1樹脂の結晶性が高い」とは、第1樹脂の軟化点(以下「Tm」と略記する)と第1樹脂の融解熱の最大ピーク温度(以下「Ta」と略記する)との比(Tm/Ta)が0.8以上1.55以下であることを意味し、DSC(Differential scanning calorimetry)法により得られた熱量変化の結果が階段状の吸熱量変化を示すのではなく明確な吸熱ピークを有することを意味する。なお、TmとTaとの比(Tm/Ta)が1.55より大きければ、その樹脂は結晶性に優れないと言え、その樹脂は非結晶性を有するとも言える。
高化式フローテスター(たとえば株式会社島津製作所製のCFT−500D)を用いて、Tmを測定することができる。具体的には、1gの試料を昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャーにより上記試料に1.96MPaの荷重を与え、直径1mmおよび長さ1mmのノズルから上記試料を押し出す。そして、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」との関係をグラフに描く。プランジャーの降下量が当該降下量の最大値の1/2であるときの温度をグラフから読み取り、その値(測定試料の半分がノズルから押し出されたときの温度)をTmとする。
示差走査熱量計(たとえばセイコーインスツル株式会社製の「DSC210」)を用いてTaを測定することができる。具体的には、試料を、130℃で溶融した後、130℃から70℃まで1.0℃/分の速度で降温させ、その後、70℃から10℃まで0.5℃/分の速度で降温させる。その後、DSC法により、試料を昇温速度20℃/分で昇温させて当該試料の吸発熱変化を測定し、「吸発熱量」と「温度」との関係をグラフに描く。このとき、20〜100℃に観測される吸熱ピークの温度をTa’とする。吸熱ピークが複数ある場合には最も吸熱量が大きいピークの温度をTa’とする。そして、試料を、(Ta’−10)℃で6時間保管した後、(Ta’−15)℃で6時間保管する。
試料に対する前処理が終了したら、DSC法により、上記前処理が施された試料を降温速度10℃/分で0℃まで冷却してから昇温速度20℃/分で昇温させる。このようにして測定された吸発熱変化から、「吸発熱量」と「温度」との関係をグラフに描く。そして、吸熱量が最大値をとったときの温度を融解熱の最大ピーク温度(Ta)とする。
第1樹脂の結晶性が高い場合、第1樹脂は下記式(1)〜(2)を満たすことが好ましい。下記式(1)〜(2)において、H1は、DSC法による初回昇温時の融解熱(J/g)を表し、H2はDSC法による2回目昇温時の融解熱(J/g)を表す。H1およびH2は、JIS−K7122(2012)「プラスチックの転移熱測定方法」に準拠して測定することができる。具体的には、まず、第1樹脂を5mg採取して、標準ポリエステルとともにアルミパンに入れる。示差走査熱量測定装置(たとえば、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製のRDC220またはセイコーインスツル株式会社製のDSC20など)を用いて、0℃から180℃まで昇温速度を毎分10℃として、溶融による第1樹脂の吸熱ピークにおける温度(融点)を測定し、吸熱ピークの面積S1を求める。そして、求められた吸熱ピークの面積S1から、H1を算出することができる。H1を算出してから、冷却速度を90℃/分として0℃まで冷却した後、昇温速度を毎分10℃として、溶融による第1樹脂の吸熱ピークにおける温度(融点)を測定し、吸熱ピークの面積S2を求める。そして、求められた吸熱ピークの面積S2から、H2を算出することができる。用いる標準ポリエステルは、東ソー(株)社製のTSKstandard POLYSTYRENE12点(分子量:500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000)である。
5≦H1≦70・・・・・・・・・(1)
0.2≦H2/H1≦1.0・・・(2)。
H1は、トナー層に含まれる第1樹脂の溶融速度の指標である。一般に、融解熱を有する樹脂は、シャープメルト性を有するため、少ないエネルギーで溶融する。第1樹脂のH1が70を超えると、定着エネルギーの低減を図ることが難しい。よって、低温での定着が困難となる。また、メディアへのトナー粒子の密着性が低下するため、ドキュメントオフセットが発生し易くなる。一方、第1樹脂のH1が5未満であれば、定着エネルギーが低くなり過ぎるため、ドキュメントオフセットが発生し易くなる。しかし、H1が上記式(1)を満たせば、低温での定着が可能である。また、メディアへのトナー粒子の密着性が確保されるので、ドキュメントオフセットの発生を防止することができる。好ましくは15≦H1≦68であり、より好ましくは35≦H1≦65である。
上記式(2)におけるH2/H1は、第1樹脂の結晶化速度の指標である。一般に、樹脂からなる粒子(樹脂粒子)を溶融させた後に冷却して使用する場合、当該樹脂粒子中の結晶成分が結晶化されていなければ、当該樹脂粒子の抵抗値が下がる、または、当該樹脂粒子が可塑化されるなどという不具合が生じる。このような不具合が発生すると、冷却により得られた樹脂粒子の性能が当初設計した性能とは異なることがある。以上のことから、樹脂粒子中の結晶成分を速やかに結晶化させ、樹脂粒子の性能に影響を与えないようにする必要がある。H2/H1は、より好ましくは0.3以上であり、さらに好ましくは0.4以上である。また、第1樹脂の結晶化速度が速ければ、H2/H1は1.0に近づくため、H2/H1は、1.0に近い値をとることが好ましい。なお、上記式(2)におけるH2/H1は、理論的には1.0を超えないが、DSC法による実測値では1.0を超えることがある。しかし、DSC法による実測値(H2/H1)が1.0を超えた場合も、上記式(2)を満たすものとする。
ここで、ポリエステル樹脂は、たとえば、ポリオール(アルコール成分)と、ポリカルボン酸(酸成分)、ポリカルボン酸の酸無水物(酸成分)またはポリカルボン酸の低級アルキル(アルキル基の炭素数が1〜4)エステル(酸成分)などとの重縮合物であることが好ましい。重縮合反応には、公知の重縮合触媒などが使用できる。ポリオールとポリカルボン酸との比率は、特に限定されない。水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]との当量比([OH]/[COOH])が好ましくは2/1〜1/5となるように、より好ましくは1.5/1〜1/4となるように、さらに好ましくは1.3/1〜1/3となるように、ポリオールとポリカルボン酸などとの比率を設定すれば良い。
ポリオールは、たとえば、ジオール、または、3以上の価数を有するポリオールなどであることが好ましい。ジオールは、たとえば、炭素数が2〜30のアルキレングリコール(たとえば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、デカンジオール、1,10−デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコールまたは2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなど);Mn=106〜10000のアルキレンエーテルグリコール(たとえばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);炭素数が6〜24の脂環式ジオール(たとえば1,4−シクロヘキサンジメタノールまたは水素添加ビスフェノールAなど);Mn=100〜10000の上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下「アルキレンオキサイド」を「AO」と略記する)付加物(付加モル数が2〜100)(たとえば1,4−シクロヘキサンジメタノールエチレンオキサイド(以下「EO」と略記する)10モル付加物など);炭素数が15〜30のビスフェノール類(たとえば、ビスフェノールA、ビスフェノールFもしくはビスフェノールSなど)AO[たとえば、EO、プロピレンオキサイド(以下「PO」と略記する)もしくはブチレンオキサイドなど]付加物(付加モル数が2〜100)または炭素数が12〜24のポリフェノール(たとえばカテコール、ハイドロキノンもしくはレゾルシンなど)の上記AO付加物(たとえば、ビスフェノールAのEO2〜4モル付加物またはビスフェノールAのPO2〜4モル付加物など);重量平均分子量(以下「Mw」と略記する)=100〜5000のポリラクトンジオール(たとえばポリ−ε−カプロラクトンジオールなど);Mwが1000〜20000のポリブタジエンジオールなどであることが好ましい。
3以上の価数を有するポリオールは、たとえば、3〜8価またはそれ以上の価数を有し且つ炭素数が3〜10の脂肪族多価アルコール(たとえばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタンまたはソルビトールなど);炭素数が25〜50のトリスフェノールのAO(炭素数が2〜4)付加物(付加モル数が2〜100)(たとえば、トリスフェノールEO2〜4モル付加物またはトリスフェノールポリアミドPO2〜4モル付加物など);n=3〜50のノボラック樹脂(たとえばフェノールノボラックまたはクレゾールノボラックなど)のAO(炭素数が2〜4)付加物(付加モル数が2〜100)(たとえば、フェノールノボラックPO2モル付加物またはフェノールノボラックEO4モル付加物など);炭素数が6〜30のポリフェノール(たとえばピロガロール、フロログルシノールまたは1,2,4−ベンゼントリオールなど)のAO(炭素数が2〜4)付加物(付加モル数が2〜100)(たとえば、ピロガロールEO4モル付加物など);n=20〜2000のアクリルポリオール{たとえば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他の重合性二重結合を有する単量体[たとえば、スチレン、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルなど]との共重合物など}などであることが好ましい。これらのうち3以上の価数を有するポリオールとして好ましいのは脂肪族多価アルコールまたはノボラック樹脂のAO付加物であり、3以上の価数を有するポリオールとしてより好ましいのはノボラック樹脂のAO付加物である。
ポリカルボン酸は、たとえば、ジカルボン酸、または、3以上の価数を有するポリカルボン酸などが挙げられる。ジカルボン酸としては、たとえば、炭素数が4〜32のアルカンジカルボン酸(たとえば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸またはオクタデカンジカルボン酸など);炭素数が4〜32のアルケンジカルボン酸(たとえばマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸またはメサコン酸など);炭素数が8〜40の分岐アルケンジカルボン酸[たとえば、ダイマー酸、または、アルケニルコハク酸(たとえば、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸もしくはオクタデセニルコハク酸など)など];炭素数が12〜40の分岐アルカンジカルボン酸[たとえば、アルキルコハク酸(たとえば、デシルコハク酸、ドデシルコハク酸またはオクタデシルコハク酸など)など];炭素数が8〜20の芳香族ジカルボン酸(たとえば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸またはナフタレンジカルボン酸など)などであることが好ましい。
3以上の価数を有するポリカルボン酸は、たとえば、炭素数が9〜20の芳香族ポリカルボン酸(たとえばトリメリット酸またはピロメリット酸など)などであることが好ましい。
ポリカルボン酸の酸無水物は、たとえば、ジカルボン酸の酸無水物または3以上の価数を有するポリカルボン酸の酸無水物などであることが好ましく、トリメリット酸無水物またはピロメリット酸無水物などであることが好ましい。ポリカルボン酸の低級アルキルエステルは、たとえば、ジカルボン酸の低級アルキルエステルまたは3以上の価数を有するポリカルボン酸の低級アルキルエステルなどであることが好ましく、メチルエステル、エチルエステルまたはイソプロピルエステルなどであることが好ましい。
また、イソシアネート基を含む化合物は、1分子内に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物であることが好ましく、鎖状脂肪族ポリイソシアネートであっても良いし、環状脂肪族ポリイソシアネートであっても良い。鎖状脂肪族ポリイソシアネートは、たとえば、エチレンジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(以下「HDI」と略記する);ドデカメチレンジイソシアネート;1,6,11−ウンデカントリイソシアネート;2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;リジンジイソシアネート;2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート;ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート;ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート;2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート;これら2種以上の併用などであることが好ましい。また、環状脂肪族ポリイソシアネートは、たとえば、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」と略記する);ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI);シクロヘキシレンジイソシアネート;メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI);ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート;2,5−または2,6−ノルボルナンジイソシアネート;これら2種以上の併用などであることが好ましい。
酸成分に由来する構成単位およびアルコール成分に由来する構成単位に占める脂肪族モノマーに由来する構成単位の割合は、90質量%以上であることが好ましい。これにより、トナー粒子に含まれる第1樹脂の結晶性が高まるので、トナー粒子の定着性が向上する。また、メディア上に形成されたトナー層(トナー層が画像を形成する)の脆弱化が防止される。詳細には、本実施形態に係る液体現像剤では、絶縁性液体は、その引火点が100℃以上であるので、低揮発性を有し、よって、形成されたトナー層内に残存し易くなる。その結果、トナー粒子の定着性の低下を招くことがある。また、トナー層内に残存した絶縁性液体が当該トナー層の樹脂分子間に浸入してトナー層の脆弱化を引き起こすことがある。しかし、酸成分に由来する構成単位およびアルコール成分に由来する構成単位に占める脂肪族モノマーに由来する構成単位の割合が90質量%以上であれば、トナー粒子に含まれる第1樹脂の結晶性が高まるので、低揮発性の絶縁性液体を用いたことに起因するトナー粒子の定着性の低下を防止することができる。また、トナー粒子に含まれる第1樹脂の結晶性が高まると、第1樹脂分子は形成されたトナー層において整列されることとなる。よって、トナー層における第1樹脂分子間のスペースが狭くなるので、トナー層内に残存した絶縁性液体が当該トナー層における第1樹脂分子間に浸透することが防止される。したがって、トナー層の脆弱化も防止される。ここで、酸成分に由来する構成単位およびアルコール成分に由来する構成単位に占める脂肪族モノマーに由来する構成単位の割合の求め方としては、たとえば核磁気共鳴により得られたスペクトルから算出する方法またはGCMSを用いて測定する方法などが挙げられる。
ポリエステル樹脂は、上述のようにポリオールとポリカルボン酸などとの重縮合物であることが好ましいため、脂肪族ポリオールと脂肪族ポリカルボン酸などとの重縮合物であることが好ましく、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸などとの重縮合物であることがより好ましい。脂肪族ジオールは、炭素数が4以上の直鎖状のアルキル骨格を有することが好ましく、たとえば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオールまたは1,10−デカンジオールなどであることが好ましい。脂肪族ジカルボン酸は、たとえば、炭素数が4〜20のアルカンジカルボン酸;炭素数が4〜36のアルケンジカルボン酸;これらのエステル形成性誘導体などであることが好ましい。脂肪族ジカルボン酸としてより好ましいのは、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸もしくはフマル酸などであり、または、これらのエステル形成性誘導体である。
液体現像剤の用途に応じて、第1樹脂の数平均分子量(Mn)、融点、TgおよびSP値を適宜調整することが好ましい。たとえば本実施の形態にかかる液体現像剤を電子写真、静電記録または静電印刷などに使用される液体現像剤として用いる場合には、第1樹脂のMnは5000〜50000であることが好ましく、第1樹脂の融点は30〜80℃であることが好ましく、第1樹脂のTgは40℃以上であることが好ましく80℃以下であることがより好ましい。第1樹脂のTgが80℃以下であれば、低温での定着が可能となる。
第1樹脂のMnは、GPC(Gel Permeation Chromatography)用いて、以下の条件で測定することができる。
測定装置:東ソー株式会社製の「HLC−8120」
カラム:東ソー株式会社製の「TSKgelGMHXL」(2本)と東ソー(株)製の「TSKgelMultiporeHXL−M」(1本)
試料溶液:0.25質量%のTHF溶液
カラムへの試料溶液の注入量:100μl
流速:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:東ソー株式会社製の標準ポリスチレン(TSK standard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000)。
第1樹脂の融点は、DSC装置(セイコーインスツル株式会社製のDSC20またはSSC/580など)を用いてASTM D3418−82に規定の方法に準拠して測定することができる。
第1樹脂のTgは、DSC法により測定することもできるし、フローテスターを用いて測定することもできる。DSC法によりTgを測定する場合には、たとえば、上記DSC装置を用いてASTM D3418−82に規定の方法に準拠して測定することができる。フローテスターを用いてTgを測定する場合には、高化式フローテスター(たとえば、株式会社島津製作所製のCFT500型など)を用いて以下に示す条件で測定することができる。
荷重:3MPa
昇温速度:3.0℃/分
ダイ口径:0.50mm
ダイ長さ:10.0mm。
トナー粒子に含まれる樹脂は、第1樹脂とは異なる樹脂(以下では「第2樹脂」と記す)を20質量%以下含んでいても良い。第2樹脂は、特に限定されず、ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂またはポリカーボネート樹脂などであることが好ましく、ビニル樹脂であることがより好ましい。
ビニル樹脂は、重合性二重結合を有する単量体が単独重合されて得られた単独重合体であっても良いし、重合性二重結合を有する二種以上の単量体が共重合されて得られた共重合体であっても良い。重合性二重結合を有する単量体としては、たとえば、下記(1)〜(9)が挙げられる。
(1) 重合性二重結合を有する炭化水素
重合性二重結合を有する炭化水素は、たとえば、下記(1−1)で示す重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素、または、下記(1−2)で示す重合性二重結合を有する芳香族炭化水素などであることが好ましい。
(1−1) 重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素
重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素は、たとえば、下記(1−1−1)で示す重合性二重結合を有する鎖状炭化水素、または、下記(1−1−2)で示す重合性二重結合を有する環状炭化水素などであることが好ましい。
(1−1−1) 重合性二重結合を有する鎖状炭化水素
重合性二重結合を有する鎖状炭化水素は、たとえば、炭素数が2〜30のアルケン(たとえば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセンまたはオクタデセンなど);炭素数が4〜30のアルカジエン(たとえば、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエンまたは1,7−オクタジエンなど)などであることが好ましい。
(1−1−2) 重合性二重結合を有する環状炭化水素
重合性二重結合を有する環状炭化水素は、たとえば、炭素数が6〜30のモノまたはジシクロアルケン(たとえば、シクロヘキセン、ビニルシクロヘキサンまたはエチリデンビシクロヘプタンなど);炭素数が5〜30のモノまたはジシクロアルカジエン(たとえば、シクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンなど)などであることが好ましい。
(1−2) 重合性二重結合を有する芳香族炭化水素
重合性二重結合を有する芳香族炭化水素は、たとえば、スチレン;スチレンのハイドロカルビル(たとえば、炭素数が1〜30のアルキル、シクロアルキル、アラルキルおよび/またはアルケニル)置換体(たとえば、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレンまたはトリビニルベンゼンなど);ビニルナフタレンなどであることが好ましい。
(2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体およびそれらの塩
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体は、たとえば、炭素数が3〜15の不飽和モノカルボン酸[たとえば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸または桂皮酸など];炭素数が3〜30の不飽和ジカルボン酸(無水物)[たとえば、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸またはメサコン酸など];炭素数が3〜10の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数が1〜10)エステル(たとえば、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステルまたはシトラコン酸モノデシルエステルなど)などであることが好ましい。本明細書では、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。
上記単量体の塩は、たとえば、アルカリ金属塩(たとえば、ナトリウム塩またはカリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(たとえば、カルシウム塩またはマグネシウム塩など)、アンモニウム塩、アミン塩、および、4級アンモニウム塩などであることが好ましい。
アミン塩は、アミン化合物であれば特に限定されず、たとえば、1級アミン塩(たとえば、エチルアミン塩、ブチルアミン塩またはオクチルアミン塩など);2級アミン塩(たとえば、ジエチルアミン塩またはジブチルアミン塩など);3級アミン塩(たとえば、トリエチルアミン塩またはトリブチルアミン塩など)などであることが好ましい。
4級アンモニウム塩は、たとえば、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルラウリルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩およびトリブチルラウリルアンモニウム塩などであることが好ましい。
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩は、たとえば、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、マレイン酸モノナトリウム、マレイン酸ジナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、マレイン酸モノカリウム、アクリル酸リチウム、アクリル酸セシウム、アクリル酸アンモニウム、アクリル酸カルシウムおよびアクリル酸アルミニウムなどであることが好ましい。
(3) スルホ基と重合性二重結合を有する単量体およびそれらの塩
スルホ基と重合性二重結合を有する単量体は、たとえば、ビニルスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレートまたは2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸などであることが好ましい。スルホ基と重合性二重結合を有する単量体の塩は、たとえば、上記「(2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体」において「上記単量体の塩」として列挙した塩であることが好ましい。
(4) ホスホノ基と重合性二重結合を有する単量体およびその塩
ホスホノ基と重合性二重結合を有する単量体は、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェートまたは2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸などであることが好ましい。ホスホノ基と重合性二重結合を有する単量体の塩は、たとえば、上記「(2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体」において「上記単量体の塩」として列挙した塩であることが好ましい。
(5) ヒドロキシル基と重合性二重結合を有する単量体
ヒドロキシル基と重合性二重結合を有する単量体は、たとえば、ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミドまたはヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどであることが好ましい。
(6) 重合性二重結合を有する含窒素単量体
重合性二重結合を有する含窒素単量体としては、たとえば、下記(6−1)〜(6−4)で示す単量体が挙げられる。
(6−1) アミノ基と重合性二重結合を有する単量体
アミノ基と重合性二重結合を有する単量体は、たとえば、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾールまたはアミノメルカプトチアゾールなどであることが好ましい。アミノ基と重合性二重結合を有する単量体は、上記列挙した単量体の塩であっても良い。上記列挙した単量体の塩は、たとえば、上記「(2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体」において「上記単量体の塩」として列挙した塩であることが好ましい。
(6−2) アミド基と重合性二重結合を有する単量体
アミド基と重合性二重結合を有する単量体は、たとえば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミドおよびN−ビニルピロリドンなどであることが好ましい。
(6−3) ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数が3〜10の単量体
ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数が3〜10の単量体は、たとえば、(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレンおよびシアノアクリレートなどであることが好ましい。
(6−4) ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数が8〜12の単量体
ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数が8〜12の単量体は、たとえば、ニトロスチレンなどであることが好ましい。
(7) エポキシ基と重合性二重結合を有する炭素数が6〜18の単量体
エポキシ基と重合性二重結合を有する炭素数が6〜18の単量体は、たとえば、グリシジル(メタ)アクリレートなどであることが好ましい。
(8) ハロゲン元素と重合性二重結合を有する炭素数が2〜16の単量体
ハロゲン元素と重合性二重結合を有する炭素数が2〜16の単量体は、たとえば、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロロスチレン、ブロムスチレン、ジクロロスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレンおよびクロロプレンなどであることが好ましい。
(9) そのほか
重合性二重結合を有する単量体は、上記単量体以外に、下記(9−1)〜(9−4)で示す単量体であっても良い。
(9−1) 重合性二重結合を有する炭素数が4〜16のエステル
重合性二重結合を有する炭素数が4〜16のエステルは、たとえば、酢酸ビニル;プロピオン酸ビニル;酪酸ビニル;ジアリルフタレート;ジアリルアジペート;イソプロペニルアセテート;ビニルメタクリレート;メチル−4−ビニルベンゾエート;シクロヘキシルメタクリレート;ベンジルメタクリレート;フェニル(メタ)アクリレート;ビニルメトキシアセテート;ビニルベンゾエート;エチル−α−エトキシアクリレート;炭素数が1〜11のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートまたは2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど];ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数が2〜8の直鎖アルキル基、分枝アルキル基または脂環式のアルキル基である);ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数が2〜8の直鎖アルキル基、分枝アルキル基または脂環式のアルキル基である);ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(たとえば、ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタンまたはテトラメタアリロキシエタンなど);ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合を有する単量体[たとえば、ポリエチレングリコール(Mn=300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノ(メタ)アクリレート、メチルアルコールEO10モル付加物(メタ)アクリレートまたはラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレートなど];ポリ(メタ)アクリレート類{たとえば、多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート[たとえば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートまたはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなど]}などであることが好ましい。
(9−2) 重合性二重結合を有する炭素数が3〜16のエーテル
重合性二重結合を有する炭素数が3〜16のエーテルは、たとえば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、アセトキシスチレンまたはフェノキシスチレンなどであることが好ましい。
(9−3) 重合性二重結合を有する炭素数が4〜12のケトン
重合性二重結合を有する炭素数が4〜12のケトンは、たとえば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトンまたはビニルフェニルケトンなどであることが好ましい。
(9−4) 重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物
重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物は、たとえば、ジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルホン、ジビニルスルホンおよびジビニルスルホキサイドなどであることが好ましい。
ビニル樹脂の具体例は、たとえば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−(無水)マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−ジビニルベンゼン共重合体またはスチレン−スチレンスルホン酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などであることが好ましい。
ビニル樹脂は、上記(1)〜(9)の重合性二重結合を有する単量体の単独重合体または共重合体であっても良いし、上記(1)〜(9)の重合性二重結合を有する単量体と分子鎖(k)を有する重合性二重結合を有する単量体(m)とが重合されたものであっても良い。分子鎖(k)は、炭素数12〜27の直鎖状または分岐状炭化水素鎖、炭素数が4〜20のフルオロアルキル鎖またはポリジメチルシロキサン鎖などであることが好ましい。単量体(m)中の分子鎖(k)と絶縁性液体とのSP値の差は2以下であることが好ましい。本明細書では、「SP値」は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]により計算された数値である。
分子鎖(k)を有する重合性二重結合を有する単量体(m)は、特に限定されないが、たとえば、下記の単量体(m1)〜(m4)などであることが好ましい。単量体(m)は、単量体(m1)〜(m4)の2種以上を併用しても良い。
炭素数が12〜27(好ましくは16〜25)の直鎖状炭化水素鎖と重合性二重結合を有する単量体(m1)は、たとえば、不飽和モノカルボン酸のモノ直鎖状アルキル(アルキルの炭素数が12〜27)エステルおよび不飽和ジカルボン酸のモノ直鎖状アルキル(アルキルの炭素数が12〜27)エステルなどであることが好ましい。上記不飽和モノカルボン酸および不飽和ジカルボン酸は、たとえば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸およびシトラコン酸などの炭素数が3〜24のカルボキシル基含有ビニル単量体などであることが好ましい。単量体(m1)の具体例は、たとえば、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシルまたは(メタ)アクリル酸エイコシルなどであることが好ましい。
炭素数が12〜27(好ましくは16〜25)の分岐状炭化水素鎖と重合性二重結合を有する単量体(m2)は、たとえば、不飽和モノカルボン酸の分岐状アルキル(アルキルの炭素数が12〜27)エステルまたは不飽和ジカルボン酸のモノ分岐状アルキル(アルキルの炭素数が12〜27)エステルなどであることが好ましい。上記不飽和モノカルボン酸および不飽和ジカルボン酸は、たとえば、単量体(m1)において不飽和モノカルボン酸または不飽和ジカルボン酸の具体例として列挙したものと同様のものであることが好ましい。単量体(m2)の具体例は、たとえば、(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデシルなどであることが好ましい。
炭素数が4〜20のフルオロアルキル鎖と重合性二重結合を有する単量体(m3)は、たとえば、下記式(3)で表されるパーフルオロアルキル(アルキル)(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。下記式(3)中、Rは水素原子またはメチル基を表わし、pは0〜3の整数であり、qは2、4、6、8、10または12のいずれかであり、Zは水素原子またはフッ素原子を表わす。単量体(m3)の具体例は、たとえば、[(2−パーフルオロエチル)エチル](メタ)アクリル酸エステル、[(2−パーフルオロブチル)エチル](メタ)アクリル酸エステル、[(2−パーフルオロヘキシル)エチル](メタ)アクリル酸エステル、[(2−パーフルオロオクチル)エチル](メタ)アクリル酸エステル、[(2−パーフルオロデシル)エチル](メタ)アクリル酸エステル、または、[(2−パーフルオロドデシル)エチル](メタ)アクリル酸エステルなどであることが好ましい。
CH2=CR−COO−(CH2p−(CF3q−Z・・・式(3)。
ポリジメチルシロキサン鎖と重合性二重結合を有する単量体(m4)は、たとえば、下記式(4)で表される(メタ)アクリル変性シリコーンなどが挙げられる。下記式(4)中、Rは水素原子またはメチル基を表わし、mは平均値で15〜45である。単量体(m4)の具体例は、たとえば、変性シリコーンオイル(たとえば、信越化学工業(株)製の「X−22−174DX」、「X−22−2426」または「X−22−2475」など。)などであることが好ましい。
CH2=CR−COO−((CH32SiO)m−Si(CH33・・・式(4)。
単量体(m1)〜(m4)のうち好ましい単量体は単量体(m1)および単量体(m2)であり、より好ましい単量体は単量体(m2)である。
単量体(m)の含有率は、ビニル樹脂の質量に対して、好ましくは10〜90質量%であり、より好ましくは15〜80質量%であり、さらに好ましくは20〜60質量%である。単量体(m)の含有率が上記範囲内であれば、トナー粒子同士が合一し難くなる。
上記(1)〜(9)の重合性二重結合を有する単量体と単量体(m1)と単量体(m2)とが重合されてビニル樹脂を構成している場合、単量体(m1)と単量体(m2)との質量比[(m1):(m2)]は、トナー粒子の粒度分布とトナー粒子の定着性との観点から、好ましくは90:10〜10:90であり、より好ましくは80:20〜20:80であり、さらに好ましくは70:30〜30:70である。
第2樹脂は以下に示す物性を有することが好ましい。第2樹脂のMnは、好ましくは100〜5000000であり、より好ましくは200〜5000000であり、さらに好ましくは500〜500000である。第2樹脂のMnは、第1樹脂のMnと同様の方法にしたがって測定可能である。
<添加剤>
本実施形態におけるトナー粒子は、添加剤として着色剤を含むことが好ましく、顔料分散剤、充填剤、帯電防止剤、離型剤、荷電制御剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤または難燃剤などもさらに含んでいることがより好ましい。
<着色剤>
着色剤としては、公知の顔料などを特に限定されることなく使用可能であるが、コスト、耐光性および着色性などの観点から以下に示す顔料を使用することが好ましい。なお、色彩構成上、以下に示す顔料は、通常、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料およびシアン顔料に分類され、ブラック以外の色彩(カラー画像)は基本的にイエロー顔料、マゼンタ顔料およびシアン顔料の減法混色により調色される。また、顔料としては、以下に示す顔料に対して酸性または塩基性などの溶剤を用いて表面処理を行ったものを用いても良く、たとえば以下に示す顔料に酸性または塩基性のシナジストを併用しても良い。
ブラック顔料は、たとえば、ファーネスブラック、チャネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラックもしくはランプブラックなどのカーボンブラック、バイオマス由来のカーボンブラック、または、マグネタイトもしくはフェライトなどの磁性粉などであることが好ましい。
イエロー顔料は、たとえば、C.I.(カラーインデックス)Pigment Yellow12、同13、同14、同17、同55、同81、同83、同180および同185などのジスアゾ系イエロー顔料などであることが好ましい。
マゼンタ顔料は、たとえば、C.I.Pigment Red48、同57(カーミン6B)、同5、同23、同60、同114、同146および同186などのアゾレーキ系マゼンタ顔料;不溶性アゾ系マゼンタ顔料;C.I.Pigment Red88、C.I.Pigment Violet36および同38などのチオインジゴ系マゼンタ顔料;C.I.Pigment Red122および同209などのキナクリドン系マゼンタ顔料;C.I.Pigment Red269などのナフトール系マゼンタ顔料などであることが好ましい。なお、マゼンタ顔料としては、これらのうちキナクリドン系顔料、カーミン系顔料およびナフトール系顔料のうち少なくとも1つが含まれていることが好ましく、より好ましくはこれら3種の顔料のうち2種類または3種類が含まれていることである。
シアン顔料は、たとえば、C.I.Pigment Blue15:1、同15:3などの銅フタロシアニンブルー系シアン顔料;フタロシアニングリーン系顔料などであることが好ましい。
このような顔料は、トナー粒子に含まれる樹脂に分散されていることが好ましく、その粒径が0.3μm以下であることが好ましい。顔料の粒径が0.3μmを超えると、顔料の分散の悪化を招き、光沢度の低下を引き起こす。その結果、所望の色合いの実現が困難となることがある。
顔料の添加量は、液体現像剤の全固形分に対して、10質量%以上50質量%未満であることが好ましく、13質量%以上35質量%未満であることがより好ましい。液体現像剤の全固形分に対する顔料の添加量が10質量%未満であれば、十分な着色力が得られないことがある。それだけでなく、顔料の添加による樹脂の液状化防止を図ることができない場合がある。詳細には、トナー粒子に含まれる樹脂の結晶化度が高くなると、その樹脂は低い温度で溶融するので液状化されやすくなる。しかし、適量の顔料を添加すると、フィラー効果によって液状化が防止される。一方、液体現像剤の全固形分に対する顔料の添加量が50質量%を超えると、上記フィラー効果が大きくなり過ぎて、樹脂の溶融が困難となることがある。なお、本実施形態に係る液体現像剤は、上記顔料のうちの1種のみを含んでいても良いし、上記顔料のうちの2種以上を含んでいても良い。
<顔料分散剤>
顔料分散剤は、トナー粒子中に顔料を均一に分散させる作用を有するものであり、たとえば塩基性分散剤であることが好ましい。ここで、塩基性分散剤とは、以下に定義されるものをいう。すなわち、顔料分散剤0.5gと蒸留水20mlとをガラス製スクリュー管に入れ、それをペイントシェーカーを用いて30分間振り混ぜた後、ろ過することにより得られたろ液のpHをpHメータ(株式会社堀場製作所のD−51)を用いて測定し、そのpHが7より大きい場合を塩基性分散剤とする。なお、そのpHが7より小さい場合は、酸性分散剤と呼ぶものとする。
このような塩基性分散剤は、その種類は特に限定されない。たとえば、分散剤の分子内にアミノ基、アミド基、ピロリドン基、イミン基またはウレタン基等の官能基を有する化合物(分散剤)を挙げることができる。なお、分散剤とは、通常、分子中に親水性の部分と疎水性の部分とを有するいわゆる界面活性剤が該当するが、上記の通り顔料を分散させる作用を有する限り種々の化合物を用いることができる。
このような塩基性分散剤の市販品は、たとえば味の素ファインテクノ株式会社製の「アジスパーPB−821」(商品名)、「アジスパーPB−822」(商品名)または「アジスパーPB−881」(商品名)であることが好ましく、日本ルーブリゾール株式会社製の「ソルスパーズ28000」(商品名)、「ソルスパーズ32000」(商品名)、「ソルスパーズ32500」(商品名)、「ソルスパーズ35100」(商品名)または「ソルスパーズ37500」(商品名)であることが好ましい。
また、顔料分散剤は、絶縁性液体に溶解しないものであることがより好ましく、たとえば味の素ファインテクノ株式会社製の「アジスパーPB−821」(商品名)、「アジスパーPB−822」(商品名)または「アジスパーPB−881」(商品名)であることがより好ましい。このような顔料分散剤を使用すると、理由はわからないが、所望の形状を有するトナー粒子が得られ易くなった。
このような顔料分散剤は、顔料に対して、1〜100質量%添加されることが好ましく、1〜40質量%添加されることがより好ましい。顔料分散剤の添加量が1質量%未満であれば、顔料の分散性が不十分となる場合がある。そのため、必要なID(画像濃度)が達成できないことがある。また、トナー粒子の定着性の低下を招くことがある。一方、顔料分散剤の添加量が100質量%を超えると、顔料を分散させるために必要な顔料分散剤の量よりも多い量の顔料分散剤が添加されることになる。そのため、余剰の顔料分散剤が絶縁性液体中へ溶解する場合があり、トナー粒子の荷電性または定着性などに悪影響を及ぼす場合がある。このような顔料分散剤は、1種単独で使用されても良いし、2種以上が混合されて使用されても良い。
以上トナー粒子について説明したが、トナー粒子は、コア・シェル構造(特開2009−96994号公報)を有することが好ましい。コア・シェル構造には、シェル粒子(第2樹脂を含む)がコア粒子(第1樹脂を含む)の表面の少なくとも一部を被覆してなる構造だけでなく、シェル粒子がコア粒子の表面の少なくとも一部に付着してなる構造も含まれる。着色剤または顔料分散剤などは、コア粒子またはシェル粒子に含まれていても良いし、コア粒子およびシェル粒子の両方に含まれていても良い。
トナー粒子がコア・シェル構造を有する場合、シェル粒子とコア粒子との質量比(シェル粒子:コア粒子)は、好ましくは1:99〜70:30である。トナー粒子の粒径の均一性および液体現像剤の耐熱安定性などの観点から、上記質量比(シェル粒子:コア粒子)は、より好ましくは2:98〜50:50であり、さらに好ましくは3:97〜35:65である。シェル粒子の含有率(質量比)が低すぎると、トナー粒子の耐ブロッキング性が低下することがある。コア粒子の含有率(質量比)が高すぎると、トナー粒子の粒径均一性が低下することがある。
トナー粒子の粒度分布および液体現像剤の耐熱安定性の観点から、トナー粒子は、トナー粒子の質量に対して、1〜70質量%(より好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは10〜35質量%)の膜状のシェル樹脂と、30〜99質量%(より好ましくは50〜95質量%、さらに好ましくは65〜90質量%)のコア粒子とで構成されることが好ましい。
コア・シェル構造におけるシェル粒子は、たとえば、下記[1]〜[7]のいずれかに示す方法で製造することができる。シェル粒子の製造のしやすさの観点から、下記[4]、[6]または[7]に示す方法で製造することが好ましく、より好ましくは下記[6]または[7]に示す方法で製造することである。
[1]:ジェットミルなどの公知の乾式粉砕機を用いて、第2樹脂を乾式で粉砕させる。
[2]:第2樹脂の粉末を有機溶剤中に分散させ、ビーズミルまたはロールミルなどの公知の湿式分散機を用いて湿式で粉砕させる。
[3]:スプレードライヤーなどを用いて第2樹脂の溶液を噴霧し、乾燥させる。
[4]:第2樹脂の溶液に対して貧溶媒の添加または冷却を行なって、第2樹脂を過飽和させて析出させる。
[5]:第2樹脂の溶液を水または有機溶剤中に分散させる。
[6]:第2樹脂の前駆体を水中で乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、シード重合法または懸濁重合法などにより重合させる。
[7]:第2樹脂の前駆体を有機溶剤中で分散重合などにより重合させる。
シェル粒子の体積平均粒径は、所望の粒径のトナー粒子を得るのに適した粒径になるように適宜調整することができる。シェル粒子の体積平均粒径は、好ましくは0.0005〜3μmである。シェル粒子の体積平均粒径の上限は、より好ましくは2μmであり、さらに好ましくは1μmである。シェル粒子の体積平均粒径の下限は、より好ましくは0.01μmであり、さらに好ましくは0.02μmであり、最も好ましくは0.04μmである。たとえば体積平均粒径が1μmのトナー粒子を得たい場合には、シェル粒子の体積平均粒径は、好ましくは0.0005〜0.3μmであり、より好ましくは0.001〜0.2μmである。たとえば体積平均粒径が10μmのトナー粒子を得たい場合には、シェル粒子の体積平均粒径は、好ましくは0.005〜3μmであり、より好ましくは0.05〜2μmである。
体積平均粒径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(たとえば株式会社堀場製作所製の「LA−920」もしくはベックマンコールター社製の「マルチサイザーIII」または光学系としてレーザードップラー法を用いる「ELS−800」(大塚電子(株)製)などを用いて測定可能である。異なる測定装置で体積平均粒径を測定したときにその測定値に差が生じた場合には、「ELS−800」での測定値を採用する。
トナー粒子がコア・シェル構造を有する場合、シェル粒子を構成する第2樹脂のSP値は、好ましくは7〜18(cal/cm31/2であり、より好ましくは8〜14(cal/cm31/2である。また、シェル粒子を構成する第2樹脂のMnは、100〜5000000であることが好ましく、200〜5000000であることがより好ましく、500〜500000であることがさらに好ましい。また、シェル粒子を構成する第2樹脂の融点は、好ましくは0〜220℃であり、より好ましくは30〜200℃であり、さらに好ましくは40〜80℃である。トナー粒子の粒度分布、ならびに、液体現像剤の粉体流動性、耐熱保管安定性および耐ストレス性などの観点から、第2樹脂の融点は液体現像剤を製造するときの温度以上であることが好ましい。第2樹脂の融点が液体現像剤を製造するときの温度よりも低いと、トナー粒子同士が合一することを防止し難くなることがあり、トナー粒子が分裂することを防止し難くなることがある。それだけでなく、トナー粒子の粒度分布における分布幅が狭くなり難い、別の言い方をすると、トナー粒子の粒径のバラツキが大きくなるおそれがある。なお、第2樹脂のMnおよび融点は、それぞれ、第1樹脂のMnおよび融点の測定方法と同一の方法にしたがって測定可能である。
<液体現像剤の製造方法>
本実施形態に係る液体現像剤は、トナー粒子を絶縁性液体に分散させることにより製造されることが好ましい。トナー粒子は、以下に示す方法にしたがって製造されることが好ましい。
<トナー粒子の製造方法>
トナー粒子は、粉砕法または造粒法などの公知の手法に基づいて製造されることが好ましい。粉砕法では、樹脂粒子と顔料とを混練してから粉砕する。粉砕は、乾式状態またはオイル内での湿式状態などで行われることが好ましい。
造粒法としては、たとえば、懸濁重合法、乳化重合法、微粒子凝集法、樹脂溶液に貧溶媒を添加して析出させる方法、スプレードライ法または互いに異なる2種類の樹脂でコア・シェル構造を形成する方法などが挙げられる。
小径でシャープな粒度分布を有するトナー粒子を得るためには、粉砕法よりも造粒法を用いることが好ましい。また、溶融性の高いトナー粒子または結晶性の高いトナー粒子は常温でも柔らかく、粉砕され難い。そのため、粉砕法よりも造粒法の方が所望のトナー粒径を得やすい。そして、造粒法の中でも、次に示す方法を用いてトナー粒子を製造することが好ましい。
まず、良溶媒に樹脂を溶解させてコア樹脂溶液を得る。次に、良溶媒とはSP値の異なる貧溶媒に上述のコア樹脂溶液を界面張力調整剤とともに混合してせん断を与え、液滴を形成する。その後、良溶媒を揮発させてコア樹脂粒子を得る。界面張力調整剤として、界面活性剤または分散剤などを用いることができる。小径でシャープな粒度分布を有するトナー粒子を得るための好適な手段としては、界面張力調整剤としてシェル樹脂からなる微粒子を用い、シェル樹脂をコア樹脂の表面に被膜化するという方法がある。この方法では、せん断の与え方、界面張力差もしくは界面張力調整剤(シェル樹脂の材料)などを変えることによるトナー粒子の粒径または形状の制御性が高い。よって、所望の粒度分布を有するトナー粒子が得られやすい。
本実施形態に係る液体現像剤からなる画像を形成するための装置(画像形成装置)の構成は特に限定されない。画像形成装置は、たとえば、単色の液体現像剤が感光体から中間転写体へ一次転写後に用紙に二次転写される単色画像形成装置(図1参照)、単色の液体現像剤が感光体から用紙に直接転写される画像形成装置、または、複数種の液体現像剤を重ね合わせてカラー画像を形成する多色画像形成装置などであることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<製造例1>[ポリエステル樹脂の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管および窒素導入管を備えた反応容器にドデカンジカルボン酸286質量部と1,6−ヘキサンジオール190質量部と縮合触媒としてのチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1質量部とを入れ、生成する水を留去しながら180℃で窒素気流下で8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、また、生成する水を留去しながら、窒素気流下で4時間反応させた。更に、0.007〜0.026MPaの減圧下で1時間反応させた。これにより、ポリエステル樹脂を得た。
示差走査熱量測定装置(セイコーインスツル(株)製の「DSC20」)を用いてASTM D3418−82に規定の方法に準拠してポリエステル樹脂の融点を測定すると、68℃であった。
以下に示す条件で、得られたポリエステル樹脂のMnおよびMwを測定した。Mnは4900であり、Mwは10000であった。
測定装置:東ソー(株)製の「HLC−8120」
カラム:東ソー(株)製の「TSKgelGMHXL」(2本)と東ソー(株)製の「TSKgelMultiporeHXL−M」(1本)
試料溶液:0.25質量%のTHF溶液
カラムへのTHF溶液の注入量:100μl
流速:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:東ソー(株)製の標準ポリスチレン(TSK standard PОLYSTYRENE)12点(分子量:500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000)。
<製造例2>[シェル粒子(A1)の分散液(W1)の製造]
ガラス製ビーカーに、(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデシル80質量部、メタクリル酸メチル5質量部、メタクリル酸5質量部、イソシアネート基含有モノマー(昭和電工株式会社製の「カレンズMOI」)と上記製造例1で得られたポリエステル樹脂との等モル反応物20質量部、および、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.5質量部を入れ、20℃で撹拌して混合した。これにより、単量体溶液を得た。
次に、撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、脱溶剤装置および窒素導入管を備えた反応容器を準備した。その反応容器にTHF195質量部を入れ、反応容器が備える滴下ロートに上記単量体溶液を入れた。反応容器の気相部を窒素で置換した後、密閉下70℃で1時間かけて単量体溶液を反応溶液内のTHFに滴下した。単量体溶液の滴下終了から3時間後、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.05質量部とTHF5質量部との混合物を反応容器に入れ、70℃で3時間反応させた後、室温まで冷却した。これにより、共重合体溶液を得た。
得られた共重合体溶液400質量部を撹拌下のIPソルベント2028(出光興産株式会社製)600質量部に滴下してから、0.039MPaの減圧下で40℃でTHFを留去した。これにより、シェル粒子(A1)の分散液(W1)を得た。レーザー式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製の「LA−920」)を用いて分散液(W1)中のシェル粒子(A1)の体積平均粒径を測定すると0.13μmであった。
<製造例3>[コア樹脂(b1)形成用溶液(Y1)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計を備えた反応容器にセバシン酸と1、6−ヘキサンジオール(モル比1:1)とから得られたポリエステル樹脂(Mn20000)937質量部と無水フタル酸28質量部とを入れ、180℃で1時間反応させた。このようにしてポリエステル樹脂であるコア樹脂(b1)を得た。上記製造例1に記載の条件でコア樹脂(b1)のMnを測定すると、コア樹脂(b1)のMnは20000であった。
得られたコア樹脂(b1)1060質量部とアセトン1300質量部とをビーカーに入れて攪拌し、コア樹脂(b1)をアセトンに均一に溶解させた。このようにしてコア樹脂(b1)形成用溶液(Y1)を得た。コア樹脂(b1)形成用溶液(Y1)の樹脂固形分は45質量%と測定された。
<製造例4>[コア樹脂(b2)形成用溶液(Y2)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計を備えた反応容器にセバシン酸と1、6−ヘキサンジオール(モル比1:1)とから得られたポリエステル樹脂(Mn5000)966質量部とアセトン300質量部とを入れて攪拌し、均一に溶解させた。この溶液にIPDI34質量部を入れ、80℃で6時間反応させた。NCO価が0になったところで無水フタル酸28質量部をさらに追加して180℃で1時間反応させた。これにより、ウレタン変性ポリエステル樹脂であるコア樹脂(b2)を得た。そして、以下の条件でコア樹脂(b2)のMnを測定すると、コア樹脂(b2)のMnは25000であった。
測定装置:東ソー(株)製の「HLC−8220GPC」
カラム:「Guardcоlumn α」(1本)と「TSKgel α―M」(1本)
試料溶液:0.125質量%のジメチルホルムアミド溶液
カラムへのジメチルホルムアミド溶液の注入量:100μl
流速:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:東ソー(株)製の標準ポリスチレン(TSK standard PОLYSTYRENE)12点(分子量:500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000)。
得られたコア樹脂(b2)820質量部とアセトン1000質量部とをビーカーに入れて攪拌し、コア樹脂(b2)をアセトンに均一に溶解させた。このようにしてコア樹脂(b2)形成用溶液(Y2)を得た。コア樹脂(b2)形成用溶液(Y2)の樹脂固形分は45質量%と測定された。
<製造例5>[コア樹脂(b3)形成用溶液(Y3)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計を備えた反応容器にセバシン酸とテレフタル酸と1、6−ヘキサンジオール(モル比0.8:0.2:1)とから得られたポリエステル樹脂(Mn40000)937質量部と無水フタル酸28質量部とを入れ、180℃で1時間反応させた。このようにしてポリエステル樹脂であるコア樹脂(b3)を得た。上記製造例1に記載の条件でコア樹脂(b3)のMnを測定すると、コア樹脂(b3)のMnは40000であった。
得られたコア樹脂(b3)940質量部とアセトン1300質量部とをビーカーに入れて攪拌し、コア樹脂(b3)をアセトンに均一に溶解させた。このようにしてコア樹脂(b3)形成用溶液(Y3)を得た。コア樹脂(b3)形成用溶液(Y3)の樹脂固形分は42質量%と測定された。
<製造例6>[コア樹脂(b4)形成用溶液(Y4)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計を備えた反応容器にセバシン酸とテレフタル酸と1、6−ヘキサンジオール(モル比0.8:0.2:1)とから得られたポリエステル樹脂(Mn7000)975質量部とアセトン1300質量部とを入れて攪拌し、均一に溶解させた。この溶液にIPDI25質量部を入れ、80℃で6時間反応させた。NCO価が0になったところで無水フタル酸28質量部をさらに追加して180℃で1時間反応させた。これにより、ウレタン変性ポリエステル樹脂であるコア樹脂(b4)を得た。上記製造例4に記載の条件でコア樹脂(b4)のMnを測定すると、コア樹脂(b4)のMnは35000であった。
得られたコア樹脂(b4)1000質量部とアセトン1000質量部とをビーカーに入れて攪拌し、コア樹脂(b4)をアセトンに均一に溶解させた。このようにしてコア樹脂(b4)形成用溶液(Y4)を得た。コア樹脂(b4)形成用溶液(Y4)の樹脂固形分は45質量%と測定された。
<製造例7>[コア樹脂(b5)形成用溶液(Y5)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計を備えた反応容器にテレフタル酸とイソフタル酸とエチレングリコール(モル比0.6:0.4:1)とから得られたポリエステル樹脂(Mn3000)937質量部と無水フタル酸28質量部とを入れ180℃で1時間反応させた。このようにしてポリエステル樹脂であるコア樹脂(b5)を得た。上記製造例1に記載の条件でコア樹脂(b5)のMnを測定すると、コア樹脂(b5)のMnは30000であった。
得られたコア樹脂(b5)1000質量部とアセトン1300質量部とをビーカーに入れて攪拌し、コア樹脂(b5)をアセトンに均一に溶解させた。このようにしてコア樹脂(b5)形成用溶液(Y5)を得た。コア樹脂(b5)形成用溶液(Y5)の樹脂固形分は43質量%と測定された。
<製造例8>[コア樹脂(b6)形成用溶液(Y6)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計を備えた反応容器にイソフタル酸とテレフタル酸とエチレングリコール(モル比0.4:0.6:1)とから得られたポリエステル樹脂(Mn7000)975質量部とアセトン1300質量部とを入れて攪拌し、均一に溶解させた。この溶液にIPDI25質量部を入れ、80℃で6時間反応させた。NCO価が0になったところで無水フタル酸28質量部をさらに追加して180℃で1時間反応させた。これにより、ウレタン変性ポリエステル樹脂であるコア樹脂(b6)を得た。上記製造例4に記載の条件でコア樹脂(b6)のMnを測定すると、コア樹脂(b6)のMnは35000であった。
得られたコア樹脂(b6)1000質量部とアセトン1000質量部とをビーカーに入れて攪拌し、コア樹脂(b6)をアセトンに均一に溶解させた。このようにしてコア樹脂(b6)形成用溶液(Y6)を得た。コア樹脂(b6)形成用溶液(Y6)の樹脂固形分は45質量%と測定された。
<製造例9>[コア樹脂(b7)形成用溶液(Y7)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計を備えた反応容器にセバシン酸と1、6−ヘキサンジオール(モル比1:1)とから得られたポリエステル樹脂(Mn1500)875質量部とアセトン1300質量部とを入れて攪拌し、均一に溶解させた。この溶液にIPDI125質量部を入れ、80℃で6時間反応させた。NCO価が0になったところで無水フタル酸28質量部をさらに追加して180℃で1時間反応させた。これにより、ウレタン変性ポリエステル樹脂であるコア樹脂(b7)を得た。上記製造例4に記載の条件でコア樹脂(b7)のMnを測定すると、コア樹脂(b7)のMnは40000であった。
得られたコア樹脂(b7)1000質量部とアセトン1000質量部とをビーカーに入れて攪拌し、コア樹脂(b7)をアセトンに均一に溶解させた。このようにしてコア樹脂(b7)形成用溶液(Y7)を得た。コア樹脂(b7)形成用溶液(Y7)の樹脂固形分は45質量%と測定された。
<製造例10>[コア樹脂(b8)形成用溶液(Y8)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計を備えた反応容器にテレフタル酸とイソフタル酸とビスフェノールAプロピオンオキサイド付加物(モル比0.6:0.4:1)とから得られたポリエステル樹脂(Mn5000)966質量部とアセトン1300質量部とを入れて攪拌し、均一に溶解させた。この溶液にIPDI34質量部を入れ、80℃で6時間反応させた。NCO価が0になったところで無水フタル酸28質量部をさらに追加して180℃で1時間反応させた。これにより、ウレタン変性ポリエステル樹脂であるコア樹脂(b8)を得た。上記製造例4に記載の条件でコア樹脂(b8)のMnを測定すると、コア樹脂(b8)のMnは25000であった。
得られたコア樹脂(b8)1000質量部とアセトン1000質量部とをビーカーに入れて攪拌し、コア樹脂(b8)をアセトンに均一に溶解させた。このようにしてコア樹脂(b8)形成用溶液(Y8)を得た。コア樹脂(b8)形成用溶液(Y8)の樹脂固形分は45質量%と測定された。
<製造例11>[顔料の分散液(P1)の製造]
ビーカーに、酸性処理銅フタロシアニン(DIC株式会社製「FASTGEN Blue FDB−14」)20質量部と顔料分散剤「アジスパーPB−821」(味の素ファインテクノ株式会社製)5質量部とアセトン75質量部とを入れて撹拌し、酸性処理銅フタロシアニンを均一に分散させた。その後、ビーズミルによって銅フタロシアニンを微分散させた。このようにして顔料の分散液(P1)を得た。レーザー式粒度分布測定装置((株)堀場製作所製の「LA−920」)を用いて顔料の分散液(P1)中の顔料(銅フタロシアニン)の体積平均粒径を測定すると0.2μmであった。
<実施例1>
ビーカーにコア樹脂(b1)形成用溶液(Y1)40質量部と顔料の分散液(P1)20質量部とを入れ、25℃でTKオートホモミキサー[プライミクス株式会社製]を用いて8000rpmで撹拌させた。これにより、顔料が均一に分散された樹脂溶液(Y11)を得た。
別のビーカーに、モレスコホワイトP−40(株式会社MORESCO製、引火点142℃)67質量部とシェル粒子(A1)の分散液(W1)11質量部とを入れて、シェル粒子(A1)を均一に分散させた。次いで、25℃でTKオートホモミキサーを用いて10000rpmで撹拌させながら、樹脂溶液(Y11)60質量部を入れて2分間撹拌させた。
このようにして得られた混合液を撹拌装置、加熱冷却装置、温度計および脱溶剤装置を備えた反応容器に入れ、35℃に昇温した。35℃で0.039MPaの減圧下で、上述の混合液におけるアセトン濃度が0.5質量%以下になるまでアセトンを留去した。これにより、液体現像剤(X−1)が得られた。
液体現像剤(X−1)の仕込み量から計算したところ、コア樹脂(b1)は72.3質量%含まれ、シェル樹脂(A1)は7.7質量%含まれ、銅フタロシアニンは16質量%含まれ、顔料分散剤は4.0質量%含まれていた。また、液体現像剤(X−1)に含まれる樹脂は第1樹脂を90.4質量%含んでいた。
<実施例2>
ビーカーにコア樹脂(b2)形成用溶液(Y2)40質量部と顔料の分散液(P1)25質量部とを入れ、25℃でTKオートホモミキサー(プライミクス株式会社製)を用いて8000rpmで撹拌させた。これにより、顔料が均一に分散された樹脂溶液(Y12)を得た。
別のビーカーに、モレスコホワイトP−70(株式会社MORESCO製、引火点180℃)67質量部とシェル粒子(A1)の分散液(W1)9質量部とを入れて、シェル粒子(A1)を均一に分散させた。次いで、25℃でTKオートホモミキサーを用いて10000rpmで撹拌させながら、樹脂溶液(Y12)60質量部を入れて2分間撹拌させた。
このようにして得られた混合液を撹拌装置、加熱冷却装置、温度計および脱溶剤装置を備えた反応容器に入れ、35℃に昇温した。35℃で0.039MPaの減圧下で、上述の混合液におけるアセトン濃度が0.5質量%以下になるまでアセトンを留去した。これにより、液体現像剤(X−2)が得られた。
液体現像剤(X−2)の仕込み量から計算したところ、コア樹脂(b2)は69.3質量%含まれ、シェル樹脂(A1)は6.6質量%含まれ、銅フタロシアニンは19.3質量%含まれ、顔料分散剤は4.8質量%含まれていた。また、液体現像剤(X−2)に含まれる樹脂は第1樹脂を91.3質量%含んでいた。
<実施例3>
シェル粒子(A1)の分散液(W1)の添加量を17質量部としたことを除いては上記実施例2に記載の方法にしたがって液体現像剤(X−3)を得た。液体現像剤(X−3)の仕込み量から計算したところ、コア樹脂(b2)は65.5質量%含まれ、シェル樹脂(A1)は11.8質量%含まれ、銅フタロシアニンは18.2質量%含まれ、顔料分散剤は4.5質量%含まれていた。また、液体現像剤(X−3)に含まれる樹脂は第1樹脂を84.8質量%含んでいた。
<実施例4>
コア樹脂(b1)形成用溶液(Y1)の代わりにコア樹脂(b3)形成用溶液(Y3)を用いたことを除いては上記実施例1に記載の方法にしたがって液体現像剤(X−4)を得た。
<実施例5>
コア樹脂(b1)形成用溶液(Y1)の代わりにコア樹脂(b4)形成用溶液(Y4)を用いたことを除いては上記実施例1に記載の方法にしたがって液体現像剤(X−5)を得た。
<実施例6>
コア樹脂(b1)形成用溶液(Y1)の代わりにコア樹脂(b5)形成用溶液(Y5)を用いたことを除いては上記実施例1に記載の方法にしたがって液体現像剤(X−6)を得た。
<比較例1>
コア樹脂(b1)形成用溶液(Y1)の代わりにコア樹脂(b6)形成用溶液(Y6)を用い且つシェル粒子(A1)の分散液(W1)の添加量を31質量部としたことを除いては上記実施例1に記載の方法にしたがって液体現像剤(X−11)を得た。液体現像剤(X−11)の仕込み量から計算したところ、コア樹脂(b6)は59.7質量%含まれ、シェル樹脂(A1)は19.6質量%含まれ、銅フタロシアニンは16.5質量%含まれ、顔料分散剤は4.1質量%含まれていた。また、液体現像剤(X−11)に含まれる樹脂は第1樹脂を75.3質量%含んでいた。
<比較例2>
コア樹脂(b1)形成用溶液(Y1)の代わりにコア樹脂(b7)形成用溶液(Y7)を用いたことを除いては上記実施例1に記載の方法にしたがって液体現像剤(X−12)を得た。
<比較例3>
コア樹脂(b1)形成用溶液(Y1)の代わりにコア樹脂(b8)形成用溶液(Y8)を用いたことを除いては上記実施例1に記載の方法にしたがって液体現像剤(X−13)を得た。
<比較例4>
モレスコホワイトP−40(株式会社MORESCO製、引火点142℃)の代わりにアイソパーL(引火点66℃)を用いたことを除いては上記実施例1に記載の方法にしたがって液体現像剤(X−14)を得た。
<H1とH2>
標準ポリエステル(東ソー(株)社製のTSKstandard POLYSTYRENE12点(分子量:500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000)を標準試料として用い、0℃から180℃まで10℃/分の速度で標準ポリエステルと実施例1〜6および比較例1〜3のそれぞれのトナー粒子に含まれる樹脂とを加熱し、標準試料の熱量と当該樹脂の熱量との熱量差を測定した。そして、初回昇温時の熱量差H1と2回目昇温時の熱量差H2とを求めた。その結果を表1に示す。
<メジアン径D50>
フロー式粒子像分析装置(シスメックス株式会社製FPIA−3000S)を用いて実施例1〜6および比較例1〜4の液体現像剤の平均粒径を測定した。具体的には、分散剤としてS13940(日本ルーブリゾール株式会社製)を30mg含むアイソパーL(20g)に50mgの液体現像剤を入れて懸濁液を得た。超音波分散機(ウエルボクリア社製ウルトラソニッククリーナーモデルVS−150)を用いて、得られた懸濁液に対して約5分間分散処理を行った。上記フロー式粒子像分析装置を用いて、得られたサンプルの粒度分布を体積基準で測定したときのメジアン径D50を測定した。
<G’(T0)/G’(T0+10)>
約5gの液体現像剤を採取してから遠心分離を行って上澄み液を除去した。その後、ヘキサンで洗浄してから、真空乾燥機を用いて常温下で2時間乾燥させた。粘弾性測定装置(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社のARES)を用いて、以下に示す条件で乾燥後の試料の粘弾性を測定した。
治具:厚さが8mmのパラレルプレート
周波数:1Hz
歪み率:1%
昇温速度:3℃/分
測定温度範囲:40〜160℃。
得られた粘弾性特性を用いてG’(T0)/G’(T0+10)を求めた。また、温度T0を横軸とし貯蔵弾性率G’(T0)を縦軸として液体現像剤の固形分の貯蔵弾性率の温度依存性をグラフ化し、50℃≦T0≦70℃を満たすグラフ上の任意の2点を直線で近似して傾きを求め、その傾きが最大となるときの温度をT0とした。
<定着プロセス>
図1に示す画像形成装置を用いて画像を形成した。図1に示す画像形成装置の構成を以下に示す。液体現像剤21は、アニロックスローラ23により現像槽22内から汲み上げられる。アニロックスローラ23上の余剰の液体現像剤21は、アニロックス規制ブレード24により掻き取られ、残余の液体現像剤21は、ならしローラ25に送られる。ならしローラ25上では、液体現像剤21は厚さが均一且つ薄くなるように調整される。
ならしローラ25上の液体現像剤21は、現像ローラ26へ送られる。現像ローラ26上の余剰の液体現像剤は現像クリーニングブレード27により掻き取られ、残余の液体現像剤21は現像チャージャー28により帯電されて感光体29上に現像される。詳細には、感光体29の表面は、帯電部30により一様に帯電されており、感光体29の周囲に配置された露光部31は、所定の画像情報に基づく光を感光体29の表面に照射する。これにより、感光体29の表面には、所定の画像情報に基づく静電潜像が形成される。形成された静電潜像が現像されることにより、トナー像が感光体29上に形成される。なお、感光体29上の余剰の液体現像剤はクリーニングブレッド32に掻き取られる。
感光体29上に形成されたトナー像は一次転写部37において中間転写体33に一次転写され、中間転写体33に転写された液体現像剤は二次転写部38において紙などのメディア40に二次転写される。メディア40に転写された液体現像剤は定着ローラ36a,36bにより定着される。なお、二次転写されずに中間転写体33に残った液体現像剤は、中間転写体クリーニング部34により掻き取られる。
本実施例では、感光体29の表面は帯電部30によりプラスに帯電しており、中間転写体33の電位は−400Vであり、二次転写ローラ35の電位は−1299Vであった。メディアとしてはOKトップコート(王子製紙株式会社製 128g/m2)を用い、メディアの搬送速度は400mm/sであった。
<高温オフセット>
図1に示した画像形成装置を用いて画像を形成した後、定着ローラの周面を観察した。結果を表2に示す。表2では、定着ローラの周面が汚れていなかった場合にA1と記し、定着ローラの周面が汚れていた場合にD1と記している。定着ローラの周面が汚れていなければ、高温オフセットが発生していないと言える。
<定着性>
図1に示した画像形成装置を用いて定着された画像に対してテープ剥離試験を行い、剥離された画像濃度(ID)を求めた。結果を表2に示す。表2では、画像濃度<0.05であった場合にA2と記し、0.05≦画像濃度<0.1であった場合にB2と記し、0.1≦画像濃度<0.2であった場合にC2と記し、0.2≦画像濃度であった場合にD2と記している。画像濃度が低いほど、定着された画像がテープによって剥離され難いので、その液体現像剤は定着性に優れると言える。
<光沢度>
75度光沢度計(日本電色工業株式会社製VG−2000)を用いて、定着された画像の光沢度を測定した。結果を表2に示す。表2では、光沢度が80以上であった場合にA3と記し、光沢度が70以上80未満であった場合にB3と記し、光沢度が60以上70未満であった場合にC3と記し、光沢度が60未満であった場合にD3と記している。光沢度が高いほど、その液体現像剤は光沢性に優れると言える。
<ドキュメントオフセット>
定着された画像同士を互いに重ね合わせた状態で、10g/m2の加重をかけて50℃で1週間保管した。その後、2枚を剥がし、剥がすときに画像が損傷したか否かを調べた。結果を表2に示す。表2では、剥がす時に画像が損傷しなかった場合にA4と記し、剥がす時に画像が僅かに損傷した場合にB4と記している。剥がす時に画像が損傷しなければ、ドキュメントオフセットが発生していないと言える。
Figure 0006201443
なお、表1における「第1樹脂の含有量」および「脂肪族モノマーの含有量」は、各実施例および各比較例の液体現像剤の仕込み量から計算した値である。また、「脂肪族モノマーの含有量」は、酸成分に由来する構成単位およびアルコール成分に由来する構成単位に占める脂肪族モノマーに由来する構成単位の割合に相当する。
Figure 0006201443
表1に示すように、実施例1〜5および比較例4では、H1は5以上70以下であり、H2/H1は0.2以上1.0以下であった。よって、実施例1〜5および比較例4のトナー粒子に含まれる樹脂は結晶性を有していると言える。一方、実施例6および比較例1〜3では、H1およびH2の少なくとも一方が検出不能であった。よって、実施例6および比較例1〜3のトナー粒子に含まれる樹脂は結晶性を有していないと言える。実施例6、比較例1および比較例3では、酸成分に由来する構成単位およびアルコール成分に由来する構成単位に占める脂肪族モノマーに由来する構成単位の割合が低いので、トナー粒子に含まれる樹脂が結晶性を有さないと考えられる。比較例2では、第1樹脂の含有量が少ないのでトナー粒子に含まれる樹脂が結晶性を有さないと考えられる。
表2に示すように、実施例1〜6では、75℃で定着され、高温オフセットの発生を防止することができた。その理由としては、次に示すことが考えられる。実施例1〜6では、G’(T0)/G’(T0+10)≧10を満たすので、液体現像剤の固形分の貯蔵弾性率は図2に示すように50℃〜70℃の範囲において急峻な傾きを有する。よって、トナー粒子を75度で十分に溶融させて定着させることができる。また、実施例1〜6では、絶縁性液体は、その引火点が100℃以上であるので、定着時にトナー粒子の表面に残存し易くなる。よって、75℃という低温で定着しても高温オフセットが起こり難い。図2は、実施例の結果を示すグラフであり、その縦軸は温度を表わし、その横軸は液体現像剤の固形分の貯蔵弾性率を表わす。
一方、比較例1〜3では、定着性および光沢性が低下した。その理由としては、次に示すことが考えられる。G’(T0)/G’(T0+10)<10であるので、液体現像剤の固形分の貯蔵弾性率は図2に示すように50℃〜70℃の範囲において急峻な傾きを有さない。よって、トナー粒子は75度では軟化しないので、75℃という低温での定着が難しくなる。
また、比較例4では、高温オフセットが発生していた。その理由としては、絶縁性液体の引火点が100℃未満であるので、絶縁性液体が定着時にトナー粒子の表面に残存し難いからであると考えられる。
定着性は、実施例5〜6よりも実施例1〜4の方が優れていた。その理由としては、実施例1〜4では酸成分に由来する構成単位およびアルコール成分に由来する構成単位に占める脂肪族モノマーに由来する構成単位の割合が90質量%以上であるのに対し、実施例5〜6では酸成分に由来する構成単位およびアルコール成分に由来する構成単位に占める脂肪族モノマーに由来する構成単位の割合が80質量%以下であることが挙げられる。さらに、定着性は、実施例1よりも実施例2の方が優れていた。その理由としては、実施例1では第1樹脂がウレタン変性されていないポリエステル樹脂であるのに対し、実施例2では第1樹脂がウレタン変性ポリエステル樹脂であることが挙げられる。
実施例1、4および6よりも実施例2〜3および5の方がドキュメントオフセットの発生を防止することができた。その理由としては、実施例1、4および6では第1樹脂がウレタン変性されていないポリエステル樹脂であるのに対し、実施例2〜3および5では第1樹脂がウレタン変性ポリエステル樹脂であることが挙げられる。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
21 液体現像剤、22 現像槽、23 アニロックスローラ、24 アニロックス規制ブレード、25 ならしローラ、26 現像ローラ、27 現像クリーニングブレード、28 現像チャージャー、29 感光体、30 帯電部、31 露光部、32 クリーニングブレッド、33 中間転写体、34 中間転写体クリーニング部、35 二次転写ローラ、36a,36b 定着ローラ、37 一次転写部、38 二次転写部、40 メディア。

Claims (4)

  1. トナー粒子が絶縁性液体に分散されてなる液体現像剤であって、
    前記絶縁性液体は、その引火点が100℃以上であり、
    前記トナー粒子は、樹脂を含み、
    前記樹脂は、ポリエステル樹脂に由来する成分を含む第1樹脂を80質量%以上含み、
    前記ポリエステル樹脂に由来する成分は、酸成分に由来する構成単位と、アルコール成分に由来する構成単位とを含み、
    前記酸成分に由来する構成単位および前記アルコール成分に由来する構成単位に占める脂肪族モノマーに由来する構成単位の割合は、90質量%以上であり、
    前記液体現像剤から前記絶縁性液体を除いた部分に相当する前記液体現像剤の固形分は、温度T0(℃)における貯蔵弾性率をG’(T0)とし、温度(T0+10)(℃)における貯蔵弾性率をG’(T0+10)としたとき、G’(T0)/G’(T0+10)≧10を満たす(ただし50℃≦T0≦70℃である)液体現像剤。
  2. 前記液体現像剤の固形分は、G’(T0)/G’(T0+10)≧50を満たす請求項1に記載の液体現像剤。
  3. 前記第1樹脂は、ポリエステル樹脂、および、前記ポリエステル樹脂に由来する成分がイソシアネート基を含む化合物により鎖長されてなるウレタン変性ポリエステル樹脂の少なくとも一方である請求項1または2に記載の液体現像剤。
  4. 前記樹脂は、前記第1樹脂を90質量%以上含む請求項1〜3のいずれかに記載の液体現像剤。
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