JP2014167541A - 液体現像剤 - Google Patents

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政裕 安野
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直樹 吉江
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みゆき 堀田
Satoshi Matsumoto
松本  聡
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Abstract

【課題】本発明の目的は、画像形成装置の像担持体のクリーニング性能の低下が防止された液体現像剤を提供することにある。
【解決手段】本発明の液体現像剤は、絶縁性液体と複数個のトナー粒子とを含み、該トナー粒子として、それぞれ個数にして、粒径1μm以下のトナー粒子が20%以上含まれ、かつ、最大径が1μm以上となる凹部を有するトナー粒子が5%以上含まれることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体現像剤に関する。
電子写真方式の画像形成装置に用いられる液体現像剤(湿式現像剤とも呼ばれる)としては、種々のものが知られている。たとえば、特開2012−113167号公報(特許文献1)は、平均粒径が1.1μmであり、変動係数が20であり、平均円形度が0.98である、コア・シェル型の樹脂を用いたトナー粒子を含む液体現像剤を開示している。
特開2012−113167号公報
上記のような液体現像剤は、トナー粒子が絶縁性液体中に分散状態で存在するため、従来の乾式現像剤に比べてトナー粒子の粒径を0.8〜3μm程度の小径にすることができ、画像の均一性が高くなり高画質を実現できる。また、トナー粒子に含まれる顔料の重量部数を16%以上、より好ましくは20%以上という高濃度にし、トナー粒子の付着量を0.6〜1.8g/m2、より好ましくは0.6〜1.4g/m2まで低減すると、トナー粒子の層厚が薄い印刷ライクの画像となり、より高画質が実現できる。
そして、このように低付着量で画像濃度を確保しようとする場合、1μm以下の比較的小さい粒径のトナー粒子が含まれていることが有利であることが分かってきた。この点、特許文献1で開示されたような液体現像剤を用いることが好適であると考えられる。
しかし、粒径1μm以下のトナー粒子が液体現像剤に含まれると、画像形成装置の像担持体のクリーニング性能が低下し、クリーニング不足による所謂かぶり現象(像担持体の白画像部が汚れる現象)が発生してしまうという問題があった。
本発明は、このような状況に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、上記のような画像形成装置の像担持体のクリーニング性能の低下が防止された液体現像剤を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行なったところ、粒径1μm以下のトナー粒子が含まれていても、クリーニング時においてこれらの小粒径のトナー粒子を大粒径のトナー粒子が何らかの作用で捕捉できるようにすればクリーニング性能の低下が抑制できるのではないかという知見を得、この知見に基づきさらに検討を重ねることにより本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明の液体現像剤は、絶縁性液体と複数個のトナー粒子とを含み、該トナー粒子として、それぞれ個数にして、粒径1μm以下のトナー粒子が20%以上含まれ、かつ、最大径が1μm以上となる凹部を有するトナー粒子が5%以上含まれることを特徴とする。
ここで、粒径1μm以下の上記トナー粒子は、平均円形度が0.95以上であることが好ましく、上記複数個のトナー粒子は、全体として0.8μm以上3μm以下のメジアン径を有することが好ましい。
本発明の液体現像剤は、上記のような構成を有することにより、画像形成装置の像担持体のクリーニング性能の低下が防止されるという優れた効果を有する。
液体現像剤薄層を乾燥させてトナー粒子層を形成し、それを撮影した5000倍のSEM写真像の一粒子を拡大した写真である。 電子写真方式の画像形成装置の概略概念図である。
以下、本発明に係わる実施の形態について、さらに詳細に説明する。
<液体現像剤>
本実施の形態の液体現像剤は、絶縁性液体と複数個のトナー粒子とを少なくとも含み、当該トナー粒子は絶縁性液体中に分散している。かかる液体現像剤は、これらの成分を含む限り、他の任意の成分を含むことができる。他の成分としては、たとえばトナー分散剤(トナー粒子に含まれる後述の顔料分散剤とは異なり、トナー粒子を分散させるために絶縁性液体中に含まれる分散剤であり、本実施の形態では便宜上「トナー分散剤」という)、荷電制御剤、増粘剤等を挙げることができる。
液体現像剤の配合割合は、たとえばトナー粒子を10〜50質量%とし、残部を絶縁性液体等とすることができる。トナー粒子の配合量が10質量%未満では、トナー粒子の沈降が生じやすく、長期保管時の経時的な安定性が低下する傾向を示し、また必要な画像濃度を得るためには多量の液体現像剤を供給する必要があり、紙等の記録材上に付着する絶縁性液体の量が増加し、定着時にそれを乾燥させる必要が生じるとともに発生したその蒸気により環境上の問題が生じる可能性がある。一方、トナー粒子の配合量が50質量%を超えると、液体現像剤の粘度が高くなりすぎ、製造上および取り扱い上、困難になる傾向を示す。
このような液体現像剤は、電子写真方式の画像形成装置用の現像剤として有用である。より具体的には、複写機、プリンタ、デジタル印刷機、簡易印刷機などの電子写真方式の画像形成装置において使用される電子写真用液体現像剤、塗料、静電記録用液体現像剤、インクジェットプリンタ用油性インクまたは電子ペーパー用インクなどとして用いることができる。
<トナー粒子>
本実施の形態の液体現像剤に含まれるトナー粒子は、樹脂と、該樹脂中に分散された着色剤とを含む。かかるトナー粒子は、これらの成分を含む限り、他の任意の成分を含むことができる。他の成分としては、たとえば顔料分散剤、ワックス、荷電制御剤等を挙げることができる。ここで、樹脂と着色剤との配合割合は、トナー粒子を所望の付着量で適用した場合に発現される濃度が所望の濃度となるように決定するとよい。たとえば樹脂を50〜95質量%、より好ましくは60〜80質量%とすることができる。樹脂の配合割合が50質量%未満の場合は、トナー粒子同士の結合力が弱まり、定着強度が悪くなる場合がある。樹脂の配合割合が95質量%を超える場合は、一層のトナー粒子薄層で実現できる着色剤濃度が低いため所望の色味を実現することが困難になる場合がある。また印刷ライクな画像となる低付着量を実現する為には、着色剤の割合を多く樹脂の割合を少なくする必要があり、樹脂比率を80質量%以下とすることが好ましい。
そして、液体現像剤に含まれるこのような複数個のトナー粒子は、当該トナー粒子として、それぞれ個数にして、粒径1μm以下の該トナー粒子が20%以上含まれ、かつ、最大径が1μm以上となる凹部を有する該トナー粒子が5%以上含まれることを特徴とする。これにより、この液体現像剤を用いた場合に画像形成装置の像担持体のクリーニング性能の低下が防止されるという優れた効果が示される。
なお、本実施の形態において画像形成装置の像担持体とは、トナー粒子による像が担持された媒体を広く意味し、たとえば、感光体、中間転写体、感光体に変わる潜像形成体等を意味する。
このような本実施の形態の液体現像剤は、トナー粒子として、個数にして、粒径1μm以下のトナー粒子が20%以上含まれることにより、低付着量であっても十分な画像濃度を得ることができるという優れた効果が示される。この点、この粒径1μm以下のトナー粒子の割合が20%未満になると、十分な画像濃度を得ることができなくなり、このような優れた効果が示されなくなる。
そして、本実施の形態の液体現像剤は、このように画像濃度が優れるという効果を示すばかりではなく、粒径1μm以下のトナー粒子が含まれているにもかかわらず、画像形成装置の像担持体のクリーニング性能の低下が抑制されるという極めて優れた効果を示す。これは、最大径が1μm以上となる凹部(以下、このような最大径が1μm以上となる凹部を「特定の凹部」とも記す)を有するトナー粒子が5%以上含まれるからに他ならない。すなわち、このような特定の凹部を有するトナー粒子は、画像形成装置の像担持体のクリーニング時等において、その凹部に粒径1μm以下のトナー粒子を取り込み、これらが一体となって像担持体から除去されるためであると考えられる。これにより、像担持体の汚染の原因となる(クリーニング性能の低下の原因となる)小粒径のトナー粒子が極めて有効に除去されることになる。
また、この作用とともに、あるいはこの作用とは独立した作用として、この特定の凹部を有するトナー粒子は、その凹部により、像担持体上に吸着した粒径1μm以下のトナー粒子をかきとり、それらを除去する作用を有しているとも推測される。これにより、クリーニング性能の低下の原因となる像担持体に吸着した小粒径トナー粒子を極めて効率的に除去することができるものと考えられる。
このように本実施の形態の液体現像剤は、このような特定の凹部を有するトナー粒子を5%以上含むことにより、画像形成装置の像担持体のクリーニング性能の低下が防止されるという極めて優れた効果が示される。このような特定の凹部を有するトナー粒子の含有割合が5%未満になると、クリーニング性能の低下に起因して縦筋状の画像ノイズが発生することになる。
ここで、粒径1μm以下のトナー粒子は、個数にして23%以上含まれることがより好ましい。低付着量下における画像濃度確保の観点からは、その個数が多くなればなるほど好ましいため、その上限は特に限定されないが、上記の特定の凹部を有するトナー粒子との関係で95%を超えないことが好ましい。なお、該粒径の下限も特に限定されないが、測定限界との関係ではその下限は0.25μm以上となる。
一方、特定の凹部を有する該トナー粒子は、個数にして10%以上含まれることがより好ましい。クリーニング性能の低下を防止するという観点からは、その個数が多くなればなるほど好ましいため、その上限は特に限定されないが、粒径1μm以下のトナー粒子との関係で80%を超えないことが好ましい。また、該凹部の最大径も1.2μm以上とすることがより好ましい。なお該凹部の最大径の上限も特に限定されないが、トナー粒子径との関係で、その上限は7.5μm以下とすることが好ましい。この点、このような特定の凹部を有するトナー粒子の粒径は、良好な画質が得られるように、1〜8μmとすることが好適である。
さらに、粒径1μm以下のトナー粒子は、平均円形度が0.95以上であることが好ましく、0.955以上であることがより好ましい。平均円形度が高くなればなる程、良好な転写効率を実現できるためである。したがって、かかる平均円形度は、理想的にはその上限は1である。
またさらに、本実施の形態の液体現像剤に含まれる複数個のトナー粒子は、全体として0.8μm以上3μm以下のメジアン径を有することが好ましい。ここでいうメジアン径とは、体積基準(体積分布)のメジアン径をいい、「全体として」とは液体現像剤に含まれる全トナー粒子を対象にしたメジアン径であることを意味している。
このように本実施の形態のトナー粒子のメジアン径は、従来の乾式現像剤のトナー粒子の粒径に比べて小さいものとなり、本実施の形態の特徴の一つとなるものであるが、このメジアン径が0.8μm未満では、粒子が小径過ぎて、電界での移動性が悪化し、現像性が低下する場合があり、3μmを超えると、均一性が低下し画質が低下する場合がある。より好ましいメジアン径は、1μm以上2.5μm以下である。
なお、最大径が1μm以上となる凹部を有するトナー粒子の個数(%)は、液体現像剤(任意の導電性基体上に液体現像剤を塗布しそれを乾燥させた後、測定しやすい大きさにカット(4mm×4mm)したものを測定用のサンプルとした)について5000倍のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を10枚撮影し(各撮影は上記サンプルの異なる箇所で行なった)、そのSEM写真において、100個のトナー粒子を任意に選択し、選択された個々のトナー粒子を直接観察することにより測定した数値を意味する。なお、この100個の選択は、統計的観点から無作為抽出とする必要がある。
また、上記凹部の最大径とは、図1に示したように、SEM写真におけるトナー粒子のコントラストから認識できる凹部であって、トナー粒子の裏側にまで延びるなどして凹部の全体が認識できないものは除き、該凹部の外郭線上の異なる2点間を結ぶ直線のうち最長となるものとした。すなわち、図1中のrmaxが凹部の最大径を示す。なお、各トナー粒子は、このような特定の凹部を2以上有していてもよい。
また、上記でいうメジアン径とは、D50を意味し、「平均円形度」とは、粒径1μm以下のトナー粒子からなるトナー粒子群を構成するトナー粒子の個々の「円形度の相加平均値」を示す。また、「円形度」とは、2次元に投影した粒子面積と等しい面積の円の周囲長を粒子周囲長で除した数値を示しており、光学的に粒子を検知して演算により求めた値である。また、粒径1μm以下のトナー粒子の個数も光学的に粒子を検知することにより求めた数値とする。このようなメジアン径、平均円形度、および粒径1μm以下のトナー粒子の個数(%)は、ともにフロー式粒子画像分析装置(商品名:「FPIA−3000S」、Sysmex社製)等を用いて求めることができる。この装置は、絶縁性液体をそのまま分散媒体として使用することが可能であるため、水系で測定する系に比し、実際の分散状態における粒子の状態を計測することができるため好ましい。
<トナー粒子の製造方法>
本実施の形態のトナー粒子は、たとえば造粒法、粉砕法等の従来公知の技法に基づいてその条件を制御することにより製造することができる。
ここで、粉砕法は、予め樹脂と顔料等の着色剤とを溶融混練し、粉砕する方法である。かかる粉砕は乾式状態や絶縁性液体中での湿式状態で行なうことができる。
また、造粒法には、トナー粒子の形成機構の違いから、懸濁重合法、乳化重合法、微粒子凝集法、樹脂溶液に貧溶媒を添加し析出する法、スプレードライ法等が含まれる。中でも、本実施の形態のトナー粒子の形状や粒度を実現するためには、2種類の異なる樹脂によりトナー粒子の樹脂の構成をコア・シェル構造とするような製造方法を用いることが好ましい。また、トナー粒子の作製後において、樹脂分子の配列を整えるために、必要に応じてアニール等の加熱工程を実施することもできる。
このように本実施の形態のトナー粒子の形状および粒度を達成できればその製造方法は特に限定されないが、粉砕法よりも造粒法を採用することが好ましく、中でも上記のように樹脂の構成をコア・シェル構造とすることが特に好ましい。これは、粉砕法によると、たとえば湿式粉砕法ではせん断により粒子形状が扁平な形状になりやすく円形度が高いものを製造することが困難であり、また乾式粉砕法では1μm以下の粒子を製造することが困難であり、乾式/湿式のいずれの方法を採用しても所望される形状および粒度のものを形成することが困難となるためである。
これに対し、造粒法は、種々の条件を制御することにより所望される形状および粒度を有したトナー粒子を安定して形成することができ、中でも、良溶媒に樹脂を溶解しコア樹脂溶液とし、後述するSP値がこの良溶媒と異なる良溶媒より沸点が高い貧溶媒に対して上記コア樹脂溶液を界面張力調整剤とともに混合してせん断を与えて、液滴を形成した後、良溶媒を揮発させてコア樹脂微粒子を形成する。
この方法によれば、せん断の与え方、界面張力差、または界面張力調整剤(シェル樹脂微粒子)を適宜調整することにより、トナー粒子の粒度および形状を高度に制御できるため好適である。たとえば、界面張力調整剤としてシェル樹脂微粒子を用いると、その制御がさらに高められ好ましい。これは、シェル樹脂微粒子が被膜化し、良溶媒を揮発させる際に本実施の形態の特定の粒度および形状となりやすいためであると推定される。
さらに、このような方法においては、良溶媒に溶解させる樹脂の種類によっても粒度および形状が変化する。たとえば、結晶性の高い樹脂を用いると、結晶性の低い樹脂に比べて、本実施の形態の特定の粒度および形状を容易に得ることができるため好ましい。
また、上記の良溶媒を揮発させる際の温度を変えると揮発速度が変わるため、極めて有効に粒度および形状を制御することができ、特に好適である。その温度は良溶媒の揮発が促進される温度が良く、特に40〜70℃であることが好ましく、より好ましくは45〜70℃である。70℃を超えると、貧溶媒の揮発が多くなり、トナー粒子の分散性に影響が出るので好ましくない場合がある。温度制御以外にも、減圧、送風、撹拌、開口面積の確保で揮発速度の制御は可能であり、それらの調整により良溶媒の濃度が0.5質量%以下になるまでの時間を60分以内にするのが良い。良溶媒の揮発速度が速くなると、シェル樹脂微粒子が被膜化しやすくなり、本発明のような特定の凹部形状となりやすいと推定される。
またさらに、トナー粒子に含有される顔料等の着色剤の含有比率によっても、極めて有効に粒度および形状を制御することができるため、上記の揮発温度および揮発速度の制御と同様に極めて好適である。その含有比率は上述の樹脂の配合比率に依存するものであるが、特に20質量%以上とすることが好ましく、より好ましくは21.5〜50質量%である。
また、コア樹脂溶液を界面張力調整剤とともに混合してせん断を与える際のせん断エネルギーを大きくすることで、粒径分布を広くすることができる。せん断エネルギーを大きくするには、せん断の撹拌力を上げる、せん断の時間を長くする等があり、特にせん断の時間を長くすることが有効である。せん断時間を長くして粒径分布を広くし、且つ後工程の良溶媒の揮発時に上記揮発温度および/または揮発速度を調整することで、このように特定の凹部形状のトナー粒子と粒径1μm以下のトナー粒子が混在する液体現像剤を得ることが可能となる。
なお、本実施の形態の液体現像剤は、上記のようにして製造されたトナー粒子を絶縁性液体中に分散させることにより製造することができる。トナー粒子が絶縁性液体中で製造される場合は、それをそのまま液体現像剤とすることもできる。
<樹脂>
本実施の形態のトナー粒子に含まれる樹脂は、この種の用途に用いられる従来公知の樹脂を特に限定することなく使用することができる。たとえば、シェル樹脂(a)を含むシェル粒子(A)がコア樹脂(b)を含むコア粒子(B)の表面に付着または被覆されてなるコア・シェル構造を有する樹脂を挙げることができる。すなわち、本実施の形態のトナー粒子は、このようなコア・シェル構造を有していることが好ましい。以下、このコア・シェル樹脂について説明する。
<シェル樹脂(a)>
本実施の形態におけるシェル樹脂(a)は、熱可塑性樹脂であっても良いし、熱硬化性樹脂であっても良い。シェル樹脂(a)としては、たとえば、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、および、ポリカーボネート樹脂などが挙げられる。なお、シェル樹脂(a)として、上記列挙された樹脂の2種以上を併用してもよい。
本実施の形態に係る形状のトナー粒子が得られやすいという観点では、シェル樹脂(a)として、好ましくは、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、および、エポキシ樹脂の少なくとも1つを用いることが好ましく、より好ましくは、ポリエステル樹脂、および、ポリウレタン樹脂の少なくとも1つを用いることが好適である。
<ビニル樹脂>
ビニル樹脂は、重合性二重結合を有する単量体が単独重合されて得られた単独重合体(ビニルモノマーに由来する結合ユニットを含む単独重合体)であっても良いし、重合性二重結合を有する二種以上の単量体が共重合されて得られた共重合体(ビニルモノマーに由来する結合ユニットを含む共重合体)であっても良い。重合性二重結合を有する単量体としては、たとえば、下記(1)〜(9)が挙げられる。
(1) 重合性二重結合を有する炭化水素
重合性二重結合を有する炭化水素は、たとえば、下記(1−1)で示す重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素、または、下記(1−2)で示す重合性二重結合を有する芳香族炭化水素などであることが好ましい。
(1−1) 重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素
重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素は、たとえば、下記(1−1−1)で示す重合性二重結合を有する鎖状炭化水素、または、下記(1−1−2)で示す重合性二重結合を有する環状炭化水素などであることが好ましい。
(1−1−1) 重合性二重結合を有する鎖状炭化水素
重合性二重結合を有する鎖状炭化水素としては、たとえば、炭素数が2〜30のアルケン(たとえば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセンまたはオクタデセンなど);炭素数が4〜30のアルカジエン(たとえば、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエンまたは1,7−オクタジエンなど)などが挙げられる。
(1−1−2) 重合性二重結合を有する環状炭化水素
重合性二重結合を有する環状炭化水素としては、たとえば、炭素数が6〜30のモノまたはジシクロアルケン(たとえば、シクロヘキセン、ビニルシクロヘキセンまたはエチリデンビシクロヘプテンなど);炭素数が5〜30のモノまたはジシクロアルカジエン(たとえば、モノシクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンなど)などが挙げられる。
(1−2) 重合性二重結合を有する芳香族炭化水素
重合性二重結合を有する芳香族炭化水素としては、たとえば、スチレン;スチレンのハイドロカルビル(たとえば、炭素数が1〜30のアルキル、シクロアルキル、アラルキルおよび/またはアルケニル)置換体(たとえば、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレンまたはトリビニルベンゼンなど);ビニルナフタレンなどが挙げられる。
(2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体およびそれらの塩
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体としては、たとえば、炭素数が3〜15の不飽和モノカルボン酸[たとえば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸または桂皮酸など];炭素数が3〜30の不飽和ジカルボン酸(無水物)[たとえば、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸またはメサコン酸など];炭素数が3〜10の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数が1〜10)エステル(たとえば、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステルまたはシトラコン酸モノデシルエステルなど)などが挙げられる。本明細書では、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
上記単量体の塩としては、たとえば、アルカリ金属塩(たとえば、ナトリウム塩またはカリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(たとえば、カルシウム塩またはマグネシウム塩など)、アンモニウム塩、アミン塩、および、4級アンモニウム塩などが挙げられる。
アミン塩としては、アミン化合物の塩であれば特に限定されず、たとえば、1級アミン塩(たとえば、エチルアミン塩、ブチルアミン塩またはオクチルアミン塩など);2級アミン塩(たとえば、ジエチルアミン塩またはジブチルアミン塩など);3級アミン塩(たとえば、トリエチルアミン塩またはトリブチルアミン塩など)などが挙げられる。
4級アンモニウム塩としては、たとえば、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルラウリルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩およびトリブチルラウリルアンモニウム塩などが挙げられる。
カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体の塩としては、たとえば、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、マレイン酸モノナトリウム、マレイン酸ジナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、マレイン酸モノカリウム、アクリル酸リチウム、アクリル酸セシウム、アクリル酸アンモニウム、アクリル酸カルシウムおよびアクリル酸アルミニウムなどが挙げられる。
(3) スルホ基と重合性二重結合を有する単量体およびそれらの塩
スルホ基と重合性二重結合を有する単量体としては、たとえば、炭素数が2〜14のアルケンスルホン酸[たとえば、ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸またはメチルビニルスルホン酸など];スチレンスルホン酸およびスチレンスルホン酸のアルキル(炭素数が2〜24)誘導体(たとえば、α−メチルスチレンスルホン酸など);炭素数が5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル−(メタ)アクリレート[たとえば、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロキシプロピルスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸または3−(メタ)アクリロ
イルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸など];炭素数が5〜18のスルホ(ヒドロキシ)アルキル(メタ)アクリルアミド[たとえば、2−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2−ジメチルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸または3−(メタ)アクリルアミド−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸など];アルキル(炭素数が3〜18)アリルスルホコハク酸(たとえば、プロピルアリルスルホコハク酸、ブチルアリルスルホコハク酸または2−エチルヘキシル−アリルスルホコハク酸など);ポリ[n(「n」は重合度を表わす。以下同様。)=2〜30]オキシアルキレン(たとえば、オキシエチレン、オキシプロピレンまたはオキシブチレンなど。ポリオキシアルキレンは、オキシアルキレンの単独重合体であっても良いし、オキシアルキレンの共重合体であっても良い。ポリオキシアルキレンがオキシアルキレンの共重合体である場合には、ランダム重合体であっても良いしブロック重合体であっても良い。);モノ(メタ)アクリレートの硫酸エステル[たとえば、ポリ(n=5〜15)オキシエチレンモノメタクリレート硫酸エステルまたはポリ(n=5〜15)オキシプロピレンモノメタクリレート硫酸エステルなど];下記化学式(1)〜(3)で表される化合物などが挙げられる。なお、本明細書では、「(メタ)アリル」は、アリルおよび/またはメタリルを意味し、「(メタ)アクリロ」は、アクリロおよび/またはメタクリロを意味し、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
上記化学式(1)〜(3)中、R1は炭素数が2〜4のアルキレン基を表わす。化学式
(1)が2以上のR1Oを含む場合、2以上のR1Oは、同一のアルキレン基を用いて構成されても良いし、二種以上のアルキレン基が併用されて構成されても良い。二種以上のアルキレン基が併用される場合、化学式(1)におけるR1Oの配列はランダム配列であっても良いしブロック配列であっても良い。R2およびR3は、それぞれ独立に炭素数が1〜15のアルキル基を表わす。mおよびnは、それぞれ独立に1〜50の整数である。Arはベンゼン環を表わす。R4は、フッ素原子で置換されていても良い炭素数が1〜15のアルキル基を表わす。
スルホ基と重合性二重結合を有する単量体の塩としては、たとえば、上記「(2)カル
ボキシル基と重合性二重結合を有する単量体およびそれらの塩」において「上記単量体の塩」として列挙した塩が挙げられる。
(4) ホスホノ基と重合性二重結合を有する単量体およびその塩
ホスホノ基と重合性二重結合を有する単量体としては、たとえば、(メタ)アクリロイルオキシアルキルリン酸モノエステル(アルキル基の炭素数が1〜24)[たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェートまたはフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェートなど];(メタ)アクリロイルオキシアルキルホスホン酸(アルキル基の炭素数が1〜24)(たとえば2−アクリロイルオキシエチルホスホン酸など)などが挙げられる。
ホスホノ基と重合性二重結合を有する単量体の塩としては、たとえば、上記「(2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体およびそれらの塩」において「上記単量体の塩」として列挙した塩が挙げられる。
(5) ヒドロキシル基と重合性二重結合を有する単量体
ヒドロキシル基と重合性二重結合を有する単量体としては、たとえば、ヒドロキシスチレン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1−ブテン−3−オール、2−ブテン−1−オール、2−ブテン−1,4−ジオール、プロパルギルアルコール、2−ヒドロキシエチルプロペニルエーテルおよび庶糖アリルエーテルなどが挙げられる。
(6) 重合性二重結合を有する含窒素単量体
重合性二重結合を有する含窒素単量体としては、たとえば、下記(6−1)〜(6−4)で示す単量体が挙げられる。
(6−1) アミノ基と重合性二重結合を有する単量体
アミノ基と重合性二重結合を有する単量体としては、たとえば、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾールおよびアミノメルカプトチアゾールなどが挙げられる。
アミノ基と重合性二重結合を有する単量体は、上記列挙した単量体の塩であっても良い。上記列挙した単量体の塩としては、たとえば、上記「(2)カルボキシル基と重合性二重結合を有する単量体およびそれらの塩」において「上記単量体の塩」として列挙した塩が挙げられる。
(6−2) アミド基と重合性二重結合を有する単量体
アミド基と重合性二重結合を有する単量体としては、たとえば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミドおよびN−ビニルピロリドンなどが挙げられる。
(6−3) ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数が3〜10の単量体
ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数が3〜10の単量体としては、たとえば、(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレンおよびシアノアクリレートなどが挙げられる。
(6−4) ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数が8〜12の単量体
ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数が8〜12の単量体としては、たとえば、ニトロスチレンなどが挙げられる。
(7) エポキシ基と重合性二重結合を有する炭素数が6〜18の単量体
エポキシ基と重合性二重結合を有する炭素数が6〜18の単量体としては、たとえば、グリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
(8) ハロゲン元素と重合性二重結合を有する炭素数が2〜16の単量体
ハロゲン元素と重合性二重結合を有する炭素数が2〜16の単量体としては、たとえば、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、アリルクロライド、クロロスチレン、ブロムスチレン、ジクロロスチレン、クロロメチルスチレン、テトラフルオロスチレンおよびクロロプレンなどが挙げられる。
(9) そのほか
重合性二重結合を有する単量体としては、上記単量体以外に、下記(9−1)〜(9−4)で示す単量体が挙げられる。
(9−1) 重合性二重結合を有する炭素数が4〜16のエステル
重合性二重結合を有する炭素数が4〜16のエステルとしては、たとえば、酢酸ビニル;プロピオン酸ビニル;酪酸ビニル;ジアリルフタレート;ジアリルアジペート;イソプロペニルアセテート;ビニルメタクリレート;メチル−4−ビニルベンゾエート;シクロヘキシルメタクリレート;ベンジルメタクリレート;フェニル(メタ)アクリレート;ビニルメトキシアセテート;ビニルベンゾエート;エチル−α−エトキシアクリレート;炭素数が1〜11のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートまたは2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなど];ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数が2〜8の直鎖アルキル基、分枝アルキル基または脂環式のアルキル基である);ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数が2〜8の直鎖アルキル基、分枝アルキル基または脂環式のアルキル基である);ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(たとえば、ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタンまたはテトラメタアリロキシエタンなど);ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合を有する単量体[たとえば、ポリエチレングリコール(数平均分子量(以下「Mn」とも記す)=300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド(以下「エチレンオキサイド」を「EO」と略記する)10モル付加物(メタ)アクリレートまたはラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレートなど];ポリ(メタ)アクリレート類{たとえば、多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート[たとえば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートまたはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなど]}などが挙げられる。なお、本明細書では、「(メタ)アリロ」とは、アリロおよび/またはメタリロを意味する。
(9−2) 重合性二重結合を有する炭素数が3〜16のエーテル
重合性二重結合を有する炭素数が3〜16のエーテルとしては、たとえば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル−2−エチルヘキシルエーテル、ビニルフェニルエーテル、ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、ビニル−2−ブトキシエチルエーテル、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、アセトキシスチレンおよびフェノキシスチレンなどが挙げられる。
(9−3) 重合性二重結合を有する炭素数が4〜12のケトン
重合性二重結合を有する炭素数が4〜12のケトンとしては、たとえば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトンおよびビニルフェニルケトンなどが挙げられる。
(9−4) 上記以外の重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物
重合性二重結合を有する炭素数2〜16の含硫黄化合物としては、たとえば、ジビニルサルファイド、p−ビニルジフェニルサルファイド、ビニルエチルサルファイド、ビニルエチルスルホン、ジビニルスルホンおよびジビニルスルホキサイドなどが挙げられる。
ビニル樹脂の具体例としては、たとえば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−(無水)マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−ジビニルベンゼン共重合体およびスチレン−スチレンスルホン酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
ビニル樹脂としては、上記(1)〜(9)の重合性二重結合を有する単量体の単独重合体または共重合体であっても良いし、上記(1)〜(9)の重合性二重結合を有する単量体と分子鎖(k)を有する重合性二重結合を有する単量体(m)とが重合されたものであっても良い。分子鎖(k)としては、炭素数12〜27の直鎖状または分岐状炭化水素鎖、炭素数が4〜20のフルオロアルキル鎖およびポリジメチルシロキサン鎖などが挙げられる。単量体(m)中の分子鎖(k)と絶縁性液体(L)とのSP値の差は2以下であることが好ましい。本明細書では、「SP値」は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]により計算された数値である。
分子鎖(k)を有する重合性二重結合を有する単量体(m)としては、特に限定されないが、たとえば、下記の単量体(m1)〜(m4)などが挙げられる。単量体(m)としては、単量体(m1)〜(m4)の2種以上を併用しても良い。
炭素数が12〜27(好ましくは16〜25)の直鎖状炭化水素鎖と重合性二重結合を有する単量体(m1)
このような単量体(m1)としては、たとえば、不飽和モノカルボン酸のモノ直鎖状アルキル(アルキルの炭素数が12〜27)エステルおよび不飽和ジカルボン酸のモノ直鎖状アルキル(アルキルの炭素数が12〜27)エステルなどが挙げられる。上記不飽和モノカルボン酸および不飽和ジカルボン酸としては、たとえば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸およびシトラコン酸などの炭素数が3〜24のカルボキシル基含有ビニル単量体などが挙げられる。
単量体(m1)の具体例としては、たとえば、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシルおよび(メタ)アクリル酸エイコシルなどが挙げられる。
炭素数が12〜27(好ましくは16〜25)の分岐状炭化水素鎖と重合性二重結合を有する単量体(m2)
このような単量体(m2)としては、たとえば、不飽和モノカルボン酸の分岐状アルキル(アルキルの炭素数が12〜27)エステルおよび不飽和ジカルボン酸のモノ分岐状アルキル(アルキルの炭素数が12〜27)エステルなどが挙げられる。上記不飽和モノカルボン酸および不飽和ジカルボン酸としては、たとえば、単量体(m1)において不飽和モノカルボン酸および不飽和ジカルボン酸の具体例として列挙したものと同様のものが挙げられる。
単量体(m2)の具体例としては、たとえば、(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデシルなどが挙げられる。
炭素数が4〜20のフルオロアルキル鎖と重合性二重結合を有する単量体(m3)
このような単量体(m3)としては、たとえば、下記化学式(4)で表されるパーフルオロアルキル(アルキル)(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
CH2=CR−COO−(CH2p−(CF2q−Z・・・化学式(4)
上記化学式(4)中、Rは水素原子またはメチル基を表わし、pは0〜3の整数であり、qは2、4、6、8、10または12のいずれかであり、Zは水素原子またはフッ素原子を表わす。
単量体(m3)の具体例としては、たとえば、[(2−パーフルオロエチル)エチル](メタ)アクリル酸エステル、[(2−パーフルオロブチル)エチル](メタ)アクリル酸エステル、[(2−パーフルオロヘキシル)エチル](メタ)アクリル酸エステル、[(2−パーフルオロオクチル)エチル](メタ)アクリル酸エステル、[(2−パーフルオロデシル)エチル](メタ)アクリル酸エステル、および、[(2−パーフルオロドデシル)エチル](メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
ポリジメチルシロキサン鎖と重合性二重結合を有する単量体(m4)
このような単量体(m4)としては、たとえば、下記化学式(5)で表される(メタ)アクリル変性シリコーンなどが挙げられる。
CH2=CR−COO−((CH32SiO)m−Si(CH33・・・化学式(5)
上記化学式(5)中、Rは水素原子またはメチル基を表わし、mは平均値で15〜45である。
単量体(m4)の具体例としては、たとえば、変性シリコーンオイル(たとえば、信越シリコーン(株)製の「X−22−174DX」、「X−22−2426」または「X−22−2475」など。)などが挙げられる。
単量体(m1)〜(m4)のうち好ましい単量体は単量体(m1)および単量体(m2)であり、より好ましい単量体は単量体(m2)である。
単量体(m)の含有率は、ビニル樹脂の質量に対して、好ましくは10〜90質量%であり、より好ましくは15〜80質量%であり、さらに好ましくは20〜60質量%である。単量体(m)の含有率が上記範囲内であれば、トナー粒子同士が合一し難くなる。
上記(1)〜(9)の重合性二重結合を有する単量体と単量体(m1)と単量体(m2)とが重合されてビニル樹脂を構成している場合、単量体(m1)と単量体(m2)との質量比[(m1):(m2)]は、トナー粒子の形状とトナー粒子の定着性との観点から、好ましくは90:10〜10:90であり、より好ましくは80:20〜20:80であり、さらに好ましくは70:30〜30:70である。
<ポリエステル樹脂>
ポリエステル樹脂としては、たとえば、ポリオールと、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸の酸無水物またはポリカルボン酸の低級アルキル(アルキル基の炭素数が1〜4)エステルとの重縮合物などが挙げられる。重縮合反応には、公知の重縮合触媒などが使用できる。
ポリオールとしては、たとえば、ジオール(10)、および、3〜8価またはそれ以上の価数を有するポリオール(11)(以下では「ポリオール(11)」と略記する)などが挙げられる。
ポリカルボン酸としては、たとえば、ジカルボン酸(12)、および、3〜6価またはそれ以上の価数を有するポリカルボン酸(13)(以下では「ポリカルボン酸(13)」と略記する)などが挙げられる。ポリカルボン酸の酸無水物としては、たとえば、ジカルボン酸(12)の酸無水物およびポリカルボン酸(13)の酸無水物などが挙げられる。ポリカルボン酸の低級アルキルエステルとしては、たとえば、ジカルボン酸(12)の低級アルキルエステルおよびポリカルボン酸(13)の低級アルキルエステルなどが挙げられる。
ポリオールとポリカルボン酸との比率は特に限定されない。水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]との当量比([OH]/[COOH])が好ましくは2/1〜1/5となるように、より好ましくは1.5/1〜1/4となるように、さらに好ましくは1.3/1〜1/3となるように、ポリオールとポリカルボン酸との比率を設定すれば良い。
ジオール(10)としては、たとえば、炭素数が2〜30のアルキレングリコール(たとえば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、テトラデカンジオール、ネオペンチルグリコールまたは2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオールなど);Mn=106〜10000のアルキレンエーテルグリコール(たとえばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);炭素数が6〜24の脂環式ジオール(たとえば1,4−シクロヘキサンジメタノールまたは水素添加ビスフェノールAなど);Mn=100〜10000の上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(以下「アルキレンオキサイド」を「AO」と略記する)付加物(付加モル数が2〜100)(たとえば1,4−シクロヘキサンジメタノールEO10モル付加物など);炭素数が15〜30のビスフェノール類(たとえば、ビスフェノールA、ビスフェノールFもしくはビスフェノールSなど)AO[たとえば、EO、プロピレンオキサイド(以下「PO」と略記する)もしくはブチレンオキサイドなど]付加物(付加モル数が2〜100)または炭素数が12〜24のポリフェノール(たとえばカテコール、ハイドロキノンもしくはレゾルシンなど)の上記AO付加物(たとえば、ビスフェノールAのEO2〜4モル付加物またはビスフェノールAのPO2〜4モル付加物など);重量平均分子量(以下「Mw」と略記する)=100〜5000のポリラクトンジオール(たとえばポリ−ε−カプロラクトンジオールなど);Mw=1000〜20000のポリブタジエンジオールなどが挙げられる。
これらのうちジオール(10)として好ましいのはアルキレングリコールおよびビスフェノール類のAO付加物であり、より好ましいのはビスフェノール類のAO付加物単体およびビスフェノール類のAO付加物とアルキレングリコールとの混合物である。
ポリオール(11)としては、たとえば、3〜8価またはそれ以上の価数を有し且つ炭
素数が3〜10の脂肪族多価アルコール(たとえばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタンまたはソルビトールなど);炭素数が25〜50のトリスフェノールのAO(炭素数が2〜4)付加物(付加モル数が2〜100)(たとえば、トリスフェノールEO2〜4モル付加物またはトリスフェノールポリアミドPO2〜4モル付加物など);n=3〜50のノボラック樹脂(たとえばフェノールノボラックまたはクレゾールノボラックなど)のAO(炭素数が2〜4)付加物(付加モル数が2〜100)(たとえば、フェノールノボラックPO2モル付加物またはフェノールノボラックEO4モル付加物など);炭素数が6〜30のポリフェノール(たとえばピロガロール、フロログルシノールまたは1,2,4−ベンゼントリオールなど)のAO(炭素数が2〜4)付加物(付加モル数が2〜100)(たとえば、ピロガロールEO4モル付加物など);n=20〜2000のアクリルポリオール{たとえば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと他の重合性二重結合を有する単量体[たとえば、スチレン、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルなど]との共重合物など}などが挙げられる。
これらのうちポリオール(11)として好ましいのは脂肪族多価アルコールおよびノボラック樹脂のAO付加物であり、より好ましいのはノボラック樹脂のAO付加物である。
ジカルボン酸(12)としては、たとえば、炭素数が4〜32のアルカンジカルボン酸(たとえば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸またはオクタデカンジカルボン酸など);炭素数が4〜32のアルケンジカルボン酸(たとえばマレイン酸、フマール酸、シトラコン酸またはメサコン酸など);炭素数が8〜40の分岐アルケンジカルボン酸[たとえば、ダイマー酸、または、アルケニルコハク酸(たとえば、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸もしくはオクタデセニルコハク酸など)など];炭素数が12〜40の分岐アルカンジカルボン酸[たとえば、アルキルコハク酸(たとえば、デシルコハク酸、ドデシルコハク酸またはオクタデシルコハク酸など)など];炭素数が8〜20の芳香族ジカルボン酸(たとえば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸またはナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。
これらのうちジカルボン酸(12)として好ましいのはアルケンジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸であり、より好ましいのは芳香族ジカルボン酸である。
ポリカルボン酸(13)としては、たとえば、炭素数が9〜20の芳香族ポリカルボン酸(たとえばトリメリット酸またはピロメリット酸など)などが挙げられる。
なお、ジカルボン酸(12)およびポリカルボン酸(13)の酸無水物としては、たとえば、トリメリット酸無水物およびピロメリット酸無水物などが挙げられる。また、ジカルボン酸(12)およびポリカルボン酸(13)の低級アルキルエステルとしては、たとえば、メチルエステル、エチルエステルおよびイソプロピルエステルなどが挙げられる。
<ポリウレタン樹脂>
ポリウレタン樹脂としては、たとえば、ポリイソシアネート(14)と活性水素含有化合物{たとえば、水;ポリオール[たとえば、ジオール(10)(ヒドロキシル基以外の官能基を有するジオールを含む)またはポリオール(11)など];ポリカルボン酸[たとえば、ジカルボン酸(12)またはポリカルボン酸(13)など];ポリオールとポリカルボン酸との重縮合により得られるポリエステルポリオール;炭素数が6〜12のラクトンの開環重合体;ポリアミン(15);ポリチオール(16);これらの併用など}との重付加物であっても良いし、ポリイソシアネート(14)と上記活性水素含有化合物とを反応させてなる末端イソシアネート基プレポリマーと、当該末端イソシアネート基プレポリマーのイソシアネート基に対して等量の1級および/または2級モノアミン(17)
とを反応させて得られるアミノ基含有ポリウレタン樹脂であっても良い。
ポリウレタン樹脂中のカルボキシル基の含有率は、好ましくは0.1〜10質量%である。
ポリイソシアネート(14)としては、たとえば、炭素数(NCO基中の炭素を除く。以下<ポリウレタン樹脂>においては同様。)が6〜20の芳香族ポリイソシアネート;炭素数が2〜18の脂肪族ポリイソシアネート;これらのポリイソシアネートの変性物(たとえば、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基またはオキサゾリドン基などを含む変性物);これら2種以上の併用などが挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、たとえば、1,3−または1,4−フェニレンジイソシアネート;2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート(以下「TDI」と略記する);粗製TDI;m−またはp−キシリレンジイソシアネート;α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネート;2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(以下「MDI」と略記する);粗製MDI{たとえば、粗製ジアミノフェニルメタン[たとえば、ホルムアルデヒドと芳香族アミン(1種であっても良いし2種以上を併用しても良い)との縮合生成物、もしくは、ジアミノジフェニルメタンと少量(たとえば5〜20質量%)の3以上のアミン基を有するポリアミンとの混合物など]のホスゲン化物、または、ポリアリルポリイソシアネートなど};1,5−ナフチレンジイソシアネート;4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート;m−またはp−イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート;これら2種以上の併用などが挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートとしては、たとえば、鎖状脂肪族ポリイソシアネートおよび環状脂肪族ポリイソシアネートなどが挙げられる。
鎖状脂肪族ポリイソシアネートとしては、たとえば、エチレンジイソシアネート;テトラメチレンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート(以下「HDI」と略記する);ドデカメチレンジイソシアネート;1,6,11−ウンデカントリイソシアネート;2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート;リジンジイソシアネート;2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート;ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート;ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート;2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート;これら2種以上の併用などが挙げられる。
環状脂肪族ポリイソシアネートとしては、たとえば、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」と略記する);ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート(水添MDI);シクロヘキシレンジイソシアネート;メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水添TDI);ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート;2,5−または2,6−ノルボルナンジイソシアネート;これら2種以上の併用などが挙げられる。
ポリイソシアネートの変性物には、ウレタン基、カルボジイミド基、アロファネート基、ウレア基、ビューレット基、ウレトジオン基、ウレトイミン基、イソシアヌレート基およびオキサゾリドン基の少なくとも1つを含むポリイソシアネート化合物などが挙げられる。ポリイソシアネートの変性物としては、たとえば、変性MDI(たとえば、ウレタン変性MDI、カルボジイミド変性MDIまたはトリヒドロカルビルホスフェート変性MDIなど);ウレタン変性TDI;これら2種以上の併用[たとえば、変性MDIとウレタン変性TDI(たとえばイソシアネート含有プレポリマーなど)との併用など]などが挙
げられる。
これらのうちポリイソシアネート(14)として好ましいのは、炭素数が6〜15の芳香族ポリイソシアネートおよび炭素数が4〜15の脂肪族ポリイソシアネートであり、更に好ましいのは、TDI、MDI、HDI、水添MDIおよびIPDIである。
ポリアミン(15)としては、たとえば、炭素数が2〜18の脂肪族ポリアミン、および、芳香族ポリアミン(たとえば炭素数が6〜20)などが挙げられる。
炭素数が2〜18の脂肪族ポリアミンとしては、たとえば、鎖状脂肪族ポリアミン;鎖状脂肪族ポリアミンのアルキル(炭素数が1〜4)置換体;鎖状脂肪族ポリアミンのヒドロキシアルキル(炭素数が2〜4)置換体;環状脂肪族ポリアミンなどが挙げられる。
鎖状脂肪族ポリアミンとしては、たとえば、炭素数が2〜12のアルキレンジアミン(たとえば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミンまたはヘキサメチレンジアミンなど);ポリアルキレン(炭素数が2〜6)ポリアミン[たとえば、ジエチレントリアミン、イミノビスプロピルアミン、ビス(ヘキサメチレン)トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンまたはペンタエチレンヘキサミンなど]などが挙げられる。
鎖状脂肪族ポリアミンのアルキル(炭素数が1〜4)置換体および鎖状脂肪族ポリアミンのヒドロキシアルキル(炭素数が2〜4)置換体としては、たとえば、ジアルキル(炭素数が1〜3)アミノプロピルアミン;トリメチルヘキサメチレンジアミン;アミノエチルエタノールアミン;2,5−ジメチル−2,5−ヘキサメチレンジアミン;メチルイミノビスプロピルアミンなどが挙げられる。
環状脂肪族ポリアミンとしては、たとえば、炭素数が4〜15の脂環式ポリアミン[たとえば、1,3−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、メンセンジアミン、4,4’−メチレンジシクロヘキサンジアミン(水添メチレンジアニリン)または3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなど];炭素数が4〜15の複素環式ポリアミン[たとえば、ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、1,4−ジアミノエチルピペラジンまたは1,4−ビス(2−アミノ−2−メチルプロピル)ピペラジンなど]などが挙げられる。
芳香族ポリアミン(炭素数が6〜20)としては、たとえば、非置換芳香族ポリアミン;アルキル基(たとえば、メチル基、エチル基、n−またはイソプロピル基およびブチル基などの炭素数が1〜4のアルキル基)を有する芳香族ポリアミン;電子吸引基(たとえば、Cl、Br、IおよびFなどのハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基などのアルコキシ基ならびにニトロ基など)を有する芳香族ポリアミン;2級アミノ基を有する芳香族ポリアミンなどが挙げられる。
非置換芳香族ポリアミンとしては、たとえば、1,2−、1,3−または1,4−フェニレンジアミン;2,4’−または4,4’−ジフェニルメタンジアミン;クルードジフェニルメタンジアミン(たとえば、ポリフェニルポリメチレンポリアミン);ジアミノジフェニルスルホン;ベンジジン;チオジアニリン;ビス(3,4−ジアミノフェニル)スルホン;2,6−ジアミノピリジン;m−アミノベンジルアミン;トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリアミン;ナフチレンジアミン;これら2種以上の併用などが挙げられる。
アルキル基(たとえば、メチル基、エチル基、n−またはイソプロピル基およびブチル
基などの炭素数が1〜4のアルキル基)を有する芳香族ポリアミンとしては、たとえば、2,4−または2,6−トリレンジアミン、クルードトリレンジアミン、ジエチルトリレンジアミン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ビス(o−トルイジン)、ジアニシジン、ジアミノジトリルスルホン、1,3−ジメチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3−ジメチル−2,6−ジアミノベンゼン、1,4−ジエチル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジイソプロピル−2,5−ジアミノベンゼン、1,4−ジブチル−2,5−ジアミノベンゼン、2,4−ジアミノメシチレン、1,3,5−トリエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1,3,5−トリイソプロピル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,4−ジアミノベンゼン、1−メチル−3,5−ジエチル−2,6−ジアミノベンゼン、2,3−ジメチル−1,4−ジアミノナフタレン、2,6−ジメチル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジイソプロピル−1,5−ジアミノナフタレン、2,6−ジブチル−1,5−ジアミノナフタレン、3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン、3,3’,5,5’−テトライソプロピルベンジジン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジエチル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,5−ジイソプロピル−3’−メチル−2’,4−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−2,2’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルスルホンおよびこれら2種以上の併用などが挙げられる。
電子吸引基(たとえば、Cl、Br、IおよびFなどのハロゲン原子、メトキシ基およびエトキシ基などのアルコキシ基ならびにニトロ基など)を有する芳香族ポリアミンとしては、たとえば、メチレンビス−o−クロロアニリン、4−クロロ−o−フェニレンジアミン、2−クロロ−1,4−フェニレンジアミン、3−アミノ−4−クロロアニリン、4−ブロモ−1,3−フェニレンジアミン、2,5−ジクロロ−1,4−フェニレンジアミン、5−ニトロ−1,3−フェニレンジアミン、3−ジメトキシ−4−アミノアニリン;4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチル−5,5’−ジブロモ−ジフェニルメタン、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)オキシド、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−2−クロロフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)デカン、ビス(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(4−アミノフェニル)テルリド、ビス(4−アミノフェニル)セレニド、ビス(4−アミノ−3−メトキシフェニル)ジスルフィド、4,4’−メチレンビス(2−ヨードアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−ブロモアニリン)、4,4’−メチレンビス(2−フルオロアニリン)および4−アミノフェニル−2−クロロアニリンなどが挙げられる。
2級アミノ基を有する芳香族ポリアミンとしては、たとえば、上記非置換芳香族ポリアミン、アルキル基を有する芳香族ポリアミンおよび電子吸引基を有する芳香族ポリアミンにおける−NH2の一部または全部が−NH−R’(R’はアルキル基であり、たとえば
、メチル基およびエチル基などの炭素数が1〜4の低級アルキル基)で置換されたもの[たとえば、4,4’−ジ(メチルアミノ)ジフェニルメタンまたは1−メチル−2−メチルアミノ−4−アミノベンゼンなど];ポリアミドポリアミン;ジカルボン酸(たとえばダイマー酸など)と過剰(酸1モル当り2モル以上)のポリアミン類(たとえば上記アルキレンジアミンまたはポリアルキレンポリアミンなど)との縮合により得られる低分子量
ポリアミドポリアミン;ポリエーテルポリアミン;ポリエーテルポリオール(たとえばポリアルキレングリコールなど)のシアノエチル化物の水素化物などが挙げられる。
ポリチオール(16)としては、たとえば、炭素数が2〜36のアルカンジチオール(たとえば、エタンジチオール、1,4−ブタンジチオールおよび1,6−ヘキサンジチオールなど)などが挙げられる。
1級および/または2級モノアミン(17)としては、たとえば、炭素数が2〜24のアルキルアミン(たとえば、エチルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、ジエチルアミンまたはn−ブチル−n−ドデシルアミンなど)などが挙げられる。
<エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂としては、たとえば、ポリエポキシド(18)の開環重合物;ポリエポキシド(18)と活性水素含有化合物[たとえば、水、ジオール(10)、ジカルボン酸(12)、ポリアミン(15)またはポリチオール(16)など]との重付加物;ポリエポキシド(18)とジカルボン酸(12)の酸無水物との硬化物などが挙げられる。
ポリエポキシド(18)は、分子中に2個以上のエポキシ基を有していれば、特に限定されない。硬化物の機械的性質の観点から、ポリエポキシド(18)として好ましいものは分子中にエポキシ基を2個有するものである。ポリエポキシド(18)のエポキシ当量(エポキシ基1個当たりの分子量)は、好ましくは65〜1000であり、より好ましくは90〜500である。エポキシ当量が1000以下であると、架橋構造が密になり、硬化物の耐水性、耐薬品性および機械的強度などの物性が向上する。一方、エポキシ当量が65未満であれば、ポリエポキシド(18)の合成が困難となることがある。
ポリエポキシド(18)としては、たとえば、芳香族ポリエポキシ化合物および脂肪族ポリエポキシ化合物などが挙げられる。
芳香族ポリエポキシ化合物としては、たとえば、多価フェノールのグリシジルエーテル体、芳香族多価カルボン酸のグリシジルエステル体、グリシジル芳香族ポリアミンおよびアミノフェノールのグリシジル化物などが挙げられる。
多価フェノールのグリシジルエーテル体としては、たとえば、ビスフェノールFジグリシジルエーテル;ビスフェノールAジグリシジルエーテル;ビスフェノールBジグリシジルエーテル;ビスフェノールADジグリシジルエーテル;ビスフェノールSジグリシジルエーテル;ハロゲン化ビスフェノールAジグリシジル;テトラクロロビスフェノールAジグリシジルエーテル;カテキンジグリシジルエーテル;レゾルシノールジグリシジルエーテル;ハイドロキノンジグリシジルエーテル;ピロガロールトリグリシジルエーテル;1,5−ジヒドロキシナフタリンジグリシジルエーテル;ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル;オクタクロロ−4,4’−ジヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテル;テトラメチルビフェニルジグリシジルエーテル;ジヒドロキシナフチルクレゾールトリグリシジルエーテル;トリス(ヒドロキシフェニル)メタントリグリシジルエーテル;ジナフチルトリオールトリグリシジルエーテル;テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンテトラグリシジルエーテル;p−グリシジルフェニルジメチルトリールビスフェノールAグリシジルエーテル;トリスメチル−t−ブチル−ブチルヒドロキシメタントリグリシジルエーテル;9,9’−ビス(4−ヒドキシフェニル)フロオレンジグリシジルエーテル;4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)テトラクレゾールグリシジルエーテル;4,4’−オキシビス(1,4−フェニルエチル)フェニルグリシジルエーテル、ビス(ジヒドロキシナフタレン)テトラグリシジルエーテル;フェノールまたはクレゾールノボラック樹脂のグリシジルエーテル体;リモネンフェノールノボラック樹脂のグリ
シジルエーテル体;ビスフェノールA2モルとエピクロロヒドリン3モルとの反応から得られるジグリシジルエーテル体;フェノールとグリオキザール、グルタールアルデヒド、またはホルムアルデヒドの縮合反応によって得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体;レゾルシンとアセトンとの縮合反応により得られるポリフェノールのポリグリシジルエーテル体などが挙げられる。
芳香族多価カルボン酸のグリシジルエステル体としては、たとえば、フタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステルおよびテレフタル酸ジグリシジルエステルなどが挙げられる。
グリシジル芳香族ポリアミンとしては、たとえば、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジルキシリレンジアミンおよびN,N,N’,N’−テトラグリシジルジフェニルメタンジアミンなどが挙げられる。
芳香族ポリエポキシ化合物としては、上記列挙した化合物以外に、p−アミノフェノールのトリグリシジルエーテル(アミノフェノールのグリシジル化物の一例);トリレンジイソシアネートまたはジフェニルメタンジイソシアネートとグリシドールとを反応させて得られるジグリシジルウレタン化合物;トリレンジイソシアネートまたはジフェニルメタンジイソシアネートとグリシドールとポリオールとを反応させて得られるグリシジル基含有ポリウレタン(プレ)ポリマー;ビスフェノールAのAO付加物のジグリシジルエーテル体などが挙げられる。
脂肪族ポリエポキシ化合物としては、たとえば、鎖状脂肪族ポリエポキシ化合物および環状脂肪族ポリエポキシ化合物などが挙げられる。脂肪族ポリエポキシ化合物は、ジグリシジルエーテルとグリシジル(メタ)アクリレートとの共重合体であっても良い。
鎖状脂肪族ポリエポキシ化合物としては、たとえば、多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体、多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体およびグリシジル脂肪族アミンなどが挙げられる。
多価脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテル体としては、たとえば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリテトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルおよびポリグリセロールポリグリシジルエーテルなどが挙げられる。
多価脂肪酸のポリグリシジルエステル体としては、たとえば、ジグリシジルオキサレート、ジグリシジルマレート、ジグリシジルスクシネート、ジグリシジルグルタレート、ジグリシジルアジペートおよびジグリシジルピメレートなどが挙げられる。
グリシジル脂肪族アミンとしては、たとえば、N,N,N’,N’−テトラグリシジルヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。
環状脂肪族ポリエポキシ化合物としては、たとえば、トリスグリシジルメラミン、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、リモネンジオキサイド、ジシクロペンタジエンジオキサイド、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エチレングリコールビスエポ
キシジシクロペンチルエーテル、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)ブチルアミンおよびダイマー酸ジグリシジルエステルなどが挙げられる。また、環状脂肪族ポリエポキシ化合物としては、前記芳香族ポリエポキシ化合物の水添化物も挙げられる。
<ポリアミド樹脂>
ポリアミド樹脂としては、たとえば、ラクタムの開環重合体、アミノカルボン酸の重縮合体およびポリカルボン酸とポリアミンとの重縮合体などが挙げられる。
<ポリイミド樹脂>
ポリイミド樹脂としては、たとえば、脂肪族ポリイミド樹脂(たとえば、脂肪族カルボン酸二無水物と脂肪族ジアミンとから得られる縮合重合体など)、および、芳香族ポリイミド樹脂(たとえば、芳香族カルボン酸二無水物と脂肪族ジアミンまたは芳香族ジアミンとから得られる縮合重合体など)などが挙げられる。
<ケイ素樹脂>
ケイ素樹脂としては、たとえば、分子鎖中に、ケイ素−ケイ素結合、ケイ素−炭素結合、シロキサン結合およびケイ素−窒素結合などの少なくとも1つを有する化合物(たとえば、ポリシロキサン、ポリカルボシランまたはポリシラザンなど)などが挙げられる。
<フェノール樹脂>
フェノール樹脂としては、たとえば、フェノール類(たとえば、フェノール、クレゾール、ノニルフェノール、リグニン、レゾルシンまたはカテコールなど)とアルデヒド類(たとえば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドまたはフルフラールなど)とから得られる縮合重合体などが挙げられる。
<メラミン樹脂>
メラミン樹脂としては、たとえば、メラミンとホルムアルデヒドとから得られる重縮合体などが挙げられる。
<ユリア樹脂>
ユリア樹脂としては、たとえば、尿素とホルムアルデヒドとから得られる重縮合体などが挙げられる。
<アニリン樹脂>
アニリン樹脂としては、たとえば、アニリンとアルデヒド類とを酸性下で反応して得られたものなどが挙げられる。
<アイオノマー樹脂>
アイオノマー樹脂としては、たとえば、重合性二重結合を有する単量体(たとえば、α−オレフィン系単量体またはスチレン系単量体など)とα,β−不飽和カルボン酸(たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、マレイン酸モノメチルエステル、無水マレイン酸またはマレイン酸モノエチルエステルなど)との共重合体で当該共重合体中のカルボン酸の一部または全部がカルボン酸塩(たとえば、カリウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩またはカルシウム塩など)であるものなどが挙げられる。
<ポリカーボネート樹脂>
ポリカーボネート樹脂としては、たとえば、ビスフェノール類(たとえば、ビスフェノ
ールA、ビスフェノールFまたはビスフェノールSなど)と、ホスゲンまたは炭酸ジエステルなどとの縮合重合体などが挙げられる。
<結晶性・非結晶性>
本明細書において、「結晶性」とは、樹脂の軟化点(以下「Tm」と略記する)と樹脂の融解熱の最大ピーク温度(以下「Ta」と略記する)との比(Tm/Ta)が0.8以上1.55以下であることを意味し、示差走査熱量測定(DSC(Differential Scanning Calorimetry))により得られた結果は階段状の吸熱量変化を示すのではなく明確な
吸熱ピークを有することを意味する。また、本明細書において、「非結晶性」とは、TmとTaとの比(Tm/Ta)が1.55より大きいことを意味する。TmおよびTaは以下の方法で測定することができる。
高化式フローテスター(たとえば(株)島津製作所製の「CFT−500D」)を用いて、Tmを測定することができる。具体的には、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャーにより上記測定試料に1.96MPaの荷重を与え、直径1mmおよび長さ1mmのノズルから上記測定試料を押し出す。そして、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」との関係をグラフに描く。プランジャーの降下量が当該降下量の最大値の1/2であるときの温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分がノズルから押し出されたときの温度)をTmとする。
示差走査熱量計(たとえばセイコーインスツル(株)製の「DSC210」)を用いてTaを測定することができる。具体的には、まず、Taを測定するために用いる試料に対して前処理を行なう。試料を、130℃で溶融した後、130℃から70℃まで1.0℃/分の速度で降温させ、その後、70℃から10℃まで0.5℃/分の速度で降温させる。次に、DSC法により、試料を昇温速度20℃/分で昇温させて当該試料の吸発熱変化を測定し、「吸発熱量」と「温度」との関係をグラフに描く。このとき、20〜100℃に観測される吸熱ピークの温度をTa’とする。吸熱ピークが複数ある場合には最も吸熱量が大きいピークの温度をTa’とする。そして、試料を、(Ta’−10)℃で6時間保管した後、(Ta’−15)℃で6時間保管する。
次に、DSC法により、上記前処理が施された試料を降温速度10℃/分で0℃まで冷却してから昇温速度20℃/分で昇温させて吸発熱変化を測定し、「吸発熱量」と「温度」との関係をグラフに描く。そして、吸熱量が最大値をとったときの温度を融解熱の最大ピーク温度(Ta)とする。
<融点>
シェル樹脂(a)の融点は、好ましくは0〜220℃であり、より好ましくは30〜200℃であり、さらに好ましくは40〜80℃である。トナー粒子の形状、ならびに、液体現像剤(X)の粉体流動性、耐熱保管安定性および耐ストレス性などの観点から、シェル樹脂(a)の融点は液体現像剤(X)を製造するときの温度以上であることが好ましい。シェル樹脂の融点が液体現像剤を製造するときの温度よりも低いと、トナー粒子同士が合一することを防止し難くなることがあり、トナー粒子が分裂することを防止し難くなることがある。それだけでなく、トナー粒子の粒度分布における分布幅が狭くなり難い、別の言い方をすると、トナー粒子の粒径のバラツキが大きくなるおそれがある。
本明細書において、融点は、示差走査熱量測定装置(セイコーインスツル(株)製の「DSC20」または「SSC/580」など)を用いてASTM D3418−82に規定の方法に準拠して測定されたものである。
<Mn(数平均分子量)およびMw(重量平均分子量)>
シェル樹脂(a)のMn[ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下「GPC」と略記する)で測定して得られたもの]は、好ましくは100〜5000000であり、好ましくは200〜5000000であり、より好ましくは500〜500000である
本明細書において、樹脂(ポリウレタン樹脂を除く)のMnおよびMwは、テトラヒドロフラン(以下「THF」と略記する)の可溶分について、GPCを用いて、以下の条件で測定されたものである。
測定装置:東ソー(株)製の「HLC−8120」
カラム:東洋ソー(株)製の「TSKgelGMHXL」(2本)と東洋ソー(株)製の「TSKgelMultiporeHXL−M」(1本)
試料溶液:0.25質量%のTHF溶液
カラムへの試料溶液の注入量:100μl
流速:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:東ソー(株)製の標準ポリスチレン(TSK standard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000)。
シェル樹脂(a)がポリウレタン樹脂である場合、MnおよびMwは、GPCを用いて、以下の条件で測定されたものである。
測定装置:東ソー(株)製の「HLC−8220GPC」
カラム:「Guardcolumn α」(1本)と「TSKgel α−M」(1本)
試料溶液:0.125質量%のジメチルホルムアミド溶液
カラムへの試料溶液の注入量:100μl
流速:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:東ソー(株)製の標準ポリスチレン(TSK standard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000)。
<SP値>
シェル樹脂(a)のSP値は、好ましくは7〜18(cal/cm31/2であり、より好ましくは8〜14(cal/cm31/2である。
<シェル粒子(A)>
本実施の形態におけるシェル粒子(A)は、シェル樹脂(a)を含む。シェル粒子(A)の製造方法は、公知のいかなる方法も採用することができ、特に限定されない。たとえば、以下の[1]〜[7]のような方法を挙げることができる。
[1]:ジェットミルなどの公知の乾式粉砕機を用いて、シェル樹脂(a)を乾式で粉砕させる。
[2]:シェル樹脂(a)の粉末を有機溶剤中に分散させ、ビーズミルまたはロールミルなどの公知の湿式分散機を用いて湿式で粉砕させる。
[3]:スプレードライヤーなどを用いてシェル樹脂(a)の溶液を噴霧し、乾燥させる。
[4]:シェル樹脂(a)の溶液に対して貧溶媒の添加または冷却を行なって、シェル樹脂(a)を過飽和させて析出させる。
[5]:シェル樹脂(a)の溶液を水または有機溶剤中に分散させる。
[6]:シェル樹脂(a)の前駆体を水中で乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、シード重合法、または、懸濁重合法などにより重合させる。
[7]:シェル樹脂(a)の前駆体を有機溶剤中で分散重合などにより重合させる。
これらの方法のうち、シェル粒子(A)の製造のしやすさの観点から、[4]、[6]および[7]の方法が好ましく、より好ましくは、[6]および[7]の方法が好適である。
<コア樹脂(b)およびコア粒子(B)>
本実施の形態におけるコア粒子(B)は、コア樹脂(b)を含む。
ここで、コア樹脂(b)としては、公知の樹脂であればいかなる樹脂であっても使用できる。コア樹脂(b)の具体例としては、シェル樹脂(a)の具体例として列挙したものと同様のものが挙げられる。シェル樹脂(a)の具体例として例示したもののうちコア樹脂(b)として好ましいものは、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂およびこれらの併用である。
また、コア樹脂(b)の構造を結晶性にする方が上記で説明したトナー粒子の形状が得やすいことがわかった。コア樹脂(b)の構成成分を適宜選択することにより、結晶性が発現する。結晶性向上の観点では、コア樹脂(b)の構成成分としては、たとえば、炭素数が4以上の直鎖状のアルキル骨格をもつ単量体を採用することが好ましい。コア樹脂(b)を構成する単量体の好ましい例としては、たとえば、脂肪族ジカルボン酸および脂肪族ジオールなどが挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸として好ましいものは、炭素数が4〜20のアルカンジカルボン酸;炭素数が4〜36のアルケンジカルボン酸;これらのエステル形成性誘導体などである。脂肪族ジカルボン酸としてより好ましいものは、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸もしくはフマル酸などであり、または、これらのエステル形成性誘導体である。
脂肪族ジオールとして好ましいものは、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、または1,10−デカンジオールである。
<Mn、融点、ガラス転移温度(以下「Tg」と略記する)およびSP値>
コア樹脂(b)のMn、融点、TgおよびSP値は、それぞれ好ましい範囲に適宜調整すればよい。
たとえば、コア樹脂(b)のMn、融点、TgおよびSP値は以下に示す値をとることが好ましい。コア樹脂(b)のMnは、好ましくは1000〜5000000であり、より好ましくは2000〜5000000である。コア樹脂(b)の融点は、好ましくは20〜300℃であり、より好ましくは80〜250℃である。コア樹脂(b)のTgは、好ましくは20〜200℃であり、より好ましくは40〜150℃である。コア樹脂(b)のSP値は、好ましくは8〜16(cal/cm31/2であり、より好ましくは9〜14(cal/cm31/2である。
本明細書において、Tgは、示差走査熱量測定(DSC(Differential Scanning Calorimetry))法により測定しても良いし、フローテスターを用いて測定しても良い。DSC法によりTgを測定する場合には、たとえば、示差走査熱量測定装置(セイコーインスツル(株)製の「DSC20」または「SSC/580」など)を用いてASTM D3418−82に規定の方法に準拠してTgを測定することが好ましい。
フローテスターを用いてTgを測定する場合には、高化式フローテスター(たとえば、(株)島津製作所製の「CFT−500D型」など)を用いることが好ましい。この場合のTgの測定条件の一例を以下に示す
荷重:30kg/cm2
昇温速度:3.0℃/min
ダイ口径:0.50mm
ダイ長さ:10.0mm。
<コア・シェル構造>
本実施の形態のトナー粒子に含まれる樹脂は、前述の通り、シェル樹脂(a)を含むシェル粒子(A)がコア樹脂(b)を含むコア粒子(B)の表面に付着または被覆されてなるコア・シェル構造を有することが好ましい。
この場合、シェル粒子(A)の体積基準(体積分布)のメジアン径は、所望の粒径のトナー粒子(C)を得るのに適した粒径になるように適宜調整することができる。シェル粒子(A)のメジアン径は、好ましくは0.0005〜3μmである。シェル粒子(A)のメジアン径の上限は、より好ましくは2μmであり、さらに好ましくは1μmである。シェル粒子(A)のメジアン径の下限は、より好ましくは0.01μmであり、さらに好ましくは0.02μmであり、最も好ましくは0.04μmである。たとえばメジアン径が1μmのトナー粒子(C)を得たい場合には、シェル粒子(A)のメジアン径は、好ましくは0.0005〜0.3μmであり、より好ましくは0.001〜0.2μmである。たとえばメジアン径が10μmのトナー粒子(C)を得たい場合には、シェル粒子(A)のメジアン径は、好ましくは0.005〜3μmであり、より好ましくは0.05〜2μmである。
シェル粒子(A)とコア粒子(B)との質量比[(A):(B)]は、好ましくは1:99〜70:30である。トナー粒子(C)の粒径の均一性および液体現像剤(X)の耐熱安定性などの観点から、上記比率[(A):(B)]は、より好ましくは2:98〜50:50であり、さらに好ましくは3:97〜35:65である。シェル粒子(A)の含有率(質量比)が低すぎると、トナー粒子の耐ブロッキング性が低下することがある。コア粒子の含有率(質量比)が高すぎると、トナー粒子の粒径均一性が低下することがある。
トナー粒子(C)の粒度分布および液体現像剤(X)の耐熱安定性の観点から、トナー粒子(C)のコア・シェル構造は、トナー粒子(C)の質量に対して、1〜70質量%(より好ましくは5〜50質量%、さらに好ましくは10〜35質量%)の膜状のシェル粒子(A)と、30〜99質量%(より好ましくは50〜95質量%、さらに好ましくは65〜90質量%)のコア粒子(B)とで構成されることが好ましい。
トナー粒子(C)の定着性と液体現像剤(X)の耐熱安定性との観点から、液体現像剤(X)におけるトナー粒子(C)の含有率は、好ましくは10〜50質量%であり、より好ましくは15〜45質量%であり、さらに好ましくは20〜40質量%である。
<添加剤など>
本実施の形態におけるトナー粒子(C)は、シェル粒子(A)およびコア粒子(B)の少なくとも一方に、着色剤を含んでいることが好ましく、着色剤以外の添加剤(たとえば顔料分散剤、ワックス、荷電制御剤、充填剤、帯電防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、耐熱安定剤、難燃剤など)をさらに含んでいても良い。
<着色剤>
本実施の形態のトナー粒子に含まれる着色剤は、上記の樹脂(好ましくはシェル粒子(A)および/またはコア粒子(B))中に分散されている。このような着色剤の粒径は、0.3μm以下であることが好ましい。着色剤の粒径が0.3μmを超えると分散が悪くなり、光沢度が低下し所望の色目を実現できなくなる場合がある。
このような着色剤としては、従来公知の顔料等を特に限定することなく使用することができるが、コスト、耐光性、着色性等の観点から、たとえば以下の顔料を使用することが好ましい。なお、色彩構成上、これらの顔料は、通常ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料に分類され、基本的にブラック以外の色彩(カラー画像)はイエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料の減法混色により調色される。
ブラック顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、バイオマス由来のカーボンブラック等を挙げることができ、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。また、紫黒色染料であるアジン系化合物であるニグロシンを単独または併用して用いることもできる。ニグロシンとしてはC.I.ソルベントブラック7またはC.I.ソルベントブラック5等から選ばれる。
マゼンタ顔料としては、たとえばC.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
イエロー顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等が挙げられる。
シアン顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
これらの着色剤は必要に応じて単独もしくは2つ以上を選択併用することが可能である。
<顔料分散剤>
顔料分散剤は、トナー粒子中に着色剤(顔料)を均一に分散させる作用を有するものであり、塩基性分散剤を使用することが好ましい。ここで、塩基性分散剤とは、以下に定義されるものをいう。すなわち、顔料分散剤0.5gと蒸留水20mlとをガラス製スクリュー管に入れ、それをペイントシェーカーを用いて30分間振り混ぜた後、ろ過することにより得られたろ液のpHをpHメータ(商品名:「D−51」、堀場製作所社製)を用いて測定し、そのpHが7より大きい場合を塩基性分散剤とする。なお、そのpHが7より小さい場合は、酸性分散剤と呼ぶものとする。
このような塩基性分散剤は、その種類は特に限定されない。たとえば、分散剤の分子内にアミン基、アミノ基、アミド基、ピロリドン基、イミン基、イミノ基、ウレタン基、四級アンモニウム基、アンモニウム基、ピリジノ基、ピリジウム基、イミダゾリノ基、およびイミダゾリウム基等の官能基を有する化合物(分散剤)を挙げることができる。なお分散剤とは、通常、分子中に親水性の部分と疎水性の部分とを有するいわゆる界面活性剤が該当するが、上記の通り着色剤(顔料)を分散させる作用を有する限り、種々の化合物を用いることができる。
このような塩基性分散剤の市販品としては、たとえば味の素ファインテクノ社製の「アジスパーPB−821」(商品名)、「アジスパーPB−822」(商品名)、「アジスパーPB−881」(商品名)や日本ルーブリゾール社製の「ソルスパーズ28000」(商品名)、「ソルスパーズ32000」(商品名)、「ソルスパーズ32500」(商品名)、「ソルスパーズ35100」(商品名)、「ソルスパーズ37500」(商品名)等を挙げることができる。
また、顔料分散剤としては、絶縁性液体(キャリア液)に溶解しないものを選択することがより好ましい。その理由から味の素ファインテクノ社製の「アジスパーPB−821」(商品名)、「アジスパーPB−822」(商品名)、「アジスパーPB−881」(商品名)がより好ましい。詳細なメカニズムは不明ながら、このような顔料分散剤を使用すると、所望の形状が得やすくなった。
このような顔料分散剤の添加量は、着色剤(顔料)に対して、1〜100質量%添加することが好ましい。より好ましくは、1〜40質量%である。1質量%未満では、着色剤(顔料)の分散性が不十分となる場合があり、必要なID(画像濃度)が達成できないとともに、定着強度が低下する場合がある。また100質量%を超えると、顔料分散に対する必要量以上の顔料分散剤が添加されることになり、余剰の顔料分散剤が絶縁性液体中へ溶解する場合があり、トナー粒子の荷電性や定着強度に悪影響を及ぼす場合がある。
このような顔料分散剤は、1種単独でまたは2種以上のものを組合わせて用いることができる。
<絶縁性液体>
本実施の形態の液体現像剤に含まれる絶縁性液体は、静電潜像を乱さない程度の抵抗値(1011〜1016Ω・cm程度)のものであれば良い。さらに、臭気、毒性が低い溶媒が好ましい。一般的に、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ポリシロキサン等が挙げられる。特に、臭気、無害性、コストの点から、ノルマルパラフィン系溶媒、イソパラフィン系溶媒が好ましい。具体的には、モレスコホワイト(商品名、松村石油研究所社製)、アイソパー(商品名、エクソン化学社製)、シェルゾール(商品名、シェル石油化学社製)、IPソルベント1620、IPソルベント2028、IPソルベント2835(いずれも商品名、出光石油化学社製)等を挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下において単に「部」と記す場合は、特に断らない限り「質量部」を示す。
<製造例1>[ポリエステル樹脂の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管および窒素導入管を備えた反応容器に、ドデカンジカルボン酸286質量部、1,6−ヘキサンジオール190質量部および縮合触媒としてのチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)1質量部を入れて、180℃で窒素気流下で、生成する水を留去しながら8時間反応させた。次いで220℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下で、生成する水を留去しながら4時間反応させた。更に0.007〜0.026MPaの減圧下で、1時間反応させた。これにより、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂については、融点は68℃であり、Mnは4900であり、Mwは10000であった。
なお、融点、Mn、Mwの測定は、前述の方法を採用した(以下において同じ)。
<製造例2>[シェル粒子の分散液(W1)の製造]
ガラス製ビーカーに、(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデシル80質量部、メタクリル酸メチル10質量部、メタクリル酸10質量部、イソシアネート基含有モノマー(商品名:「カレンズMOI」、昭和電工(株)製)と上記製造例1で得られたポリエステル樹脂との等モル反応物10質量部、および、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.5質量部を入れ、20℃で撹拌して混合した。これにより、単量体溶液を得た。
次に、撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、脱溶剤装置および窒素導入管を備えた反応容器を準備した。その反応容器にTHF195質量部を入れ、反応容器が備える滴下ロートに上記単量体溶液を入れた。反応容器の気相部を窒素で置換した後、密閉下70℃で1時間かけて単量体溶液を反応容器内のTHFに滴下した。単量体溶液の滴下終了から3時間後、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.05質量部とTHF5質量部との混合物を反応容器に入れ、70℃で3時間反応させた後、室温まで冷却した。これにより、共重合体溶液を得た。
得られた共重合体溶液400質量部を撹拌下の絶縁性液体(商品名:「IPソルベント2028」、出光石油化学社製)600質量部に滴下してから、0.039MPaの減圧下で40℃でTHFを留去した。これにより、シェル粒子(a1)の分散液(W1)を得た。この分散液(W1)中のシェル粒子(a1)の体積基準(体積分布)のメジアン径は0.13μmであった。このシェル粒子(a1)は、非晶性のビニル樹脂である。
なお、この体積基準(体積分布)のメジアン径は、レーザー式粒度分布測定装置(商品名:「LA−920」、(株)堀場製作所製)を用いて測定した(以下の製造例において同じ)。
<製造例3>[コア樹脂形成用溶液(Y1)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計を備えた反応容器に、セバシン酸、アジピン酸およびエチレングリコール(モル比0.8:0.2:1)から得られたポリエステル樹脂(Mn:5000)937質量部およびアセトン300質量部を投入し、撹拌して均一に溶解した。この溶液にイソホロンジイソシアネート(IPDI)63質量部を投入し、80℃で6時間反応させた。NCO価が0になったところで、無水トリメリット酸28質量部(0.1モル部)を投入し、180℃で1時間反応させて、ウレタン樹脂である樹脂(b1)を得た。樹脂(b1)のMnは12000であり、結晶性を示した。
このようにして得られた樹脂(b1)をコア樹脂(b1)とし、このコア樹脂(b1)1000質量部とアセトン1000質量部とをビーカーに入れて攪拌し、コア樹脂(b1)をアセトンに均一に溶解させた。これにより、コア樹脂(b1)形成用溶液(Y1)を得た。得られたコア樹脂(b1)形成用溶液(Y1)の固形分濃度を測定すると、40質量%であった。
<製造例4>[コア樹脂形成用溶液(Y2)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置および温度計を備えた反応容器に、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物、テレフタル酸、およびイソフタル酸(モル比1.2:0.6:0.4)から得られたポリエステル樹脂(Mn:3500)38質量部およびアセトン62質量部を投入し、攪拌して均一に溶解することによりコア樹脂形成用溶液(Y2)を得た。なお、このポリエステル樹脂は非晶性を示した。
<製造例5>[着色剤分散液(P1)の製造]
ビーカーに、着色剤(顔料)としての銅フタロシアニン(商品名:「Fastogen Blue GNPT」、DIC社製)25質量部、顔料分散剤(商品名:「アジスパーPB−821」、味の素ファインテクノ(株)製)4質量部およびアセトン75質量部を投入し、撹拌して均一分散させた後、ビーズミルによって銅フタロシアニンを微分散して、着色剤分散液(P1)を得た。着色剤分散液(P1)中の銅フタロシアニンの体積基準(体積分布)のメジアン径は0.2μmであった。
<製造例6>[着色剤分散液(P2)の製造]
上記製造例5において、顔料分散剤として用いた「アジスパーPB−821」(味の素ファインテクノ(株)製)を、「ソルスパーズ28000」(商品名、日本ルーブリゾール社製)に変更する以外は、全て製造例5と同様にして着色剤分散液(P2)を製造した。
<製造例7>[液体現像剤(Z−A)の製造]
ビーカーに、コア樹脂形成用溶液(Y1)40質量部および着色剤分散液(P1)20質量部を投入し、25℃でTKオートホモミキサー(プライミクス(株)製)を用いて8000rpmで撹拌し、均一に分散させて樹脂溶液(Y1P1)を得た。
別のビーカーに、絶縁性液体(商品名:「IPソルベント2028」、出光石油化学社製)62質量部およびシェル粒子の分散液(W1)6質量部を投入して均一に分散した。次いで、25℃でTKオートホモミキサーを用いて10000rpmで撹拌しながら、樹脂溶液(Y1P1)60質量部を投入し40秒撹拌した。次いでこの混合液を、撹拌装置、加熱冷却装置、温度計および脱溶剤装置を備えた反応容器に投入し、50℃に昇温後、同温度で0.039MPaの減圧下、アセトン濃度が0.5質量%以下になるまで樹脂溶液(Y1P1)からアセトンを留去した。この反応容器に投入してからアセトン濃度が0.5質量%以下になるまでに要した時間は22分であった。これにより、トナー粒子中の着色剤(顔料)含有量が21.9質量%、液体現像剤中のトナー粒子含有量が25質量%、およびトナー粒子のメジアン径が2.54μmである液体現像剤(Z−A)を得た。この現像剤において最大径が1μm以上となる凹部(特定の凹部)を有するトナー粒子の割合(%)は28%であった。
かかる液体現像剤(Z−A)中のトナー粒子の樹脂は、シェル樹脂(a1)とコア樹脂(b1)からなるコア・シェル構造を有するものであった。
<製造例8>[液体現像剤(Z−B)の製造]
ビーカーに、コア樹脂形成用溶液(Y2)40質量部および着色剤分散液(P2)20質量部を投入し、25℃でTKオートホモミキサー(プライミクス(株)製)を用いて8000rpmで撹拌し、均一に分散させて樹脂溶液(Y2P2)を得た。
別のビーカーに、絶縁性液体(商品名:「IPソルベント2028」、出光石油化学社製)62質量部およびシェル粒子の分散液(W1)11質量部を投入して均一に分散した。次いで、25℃でTKオートホモミキサーを用いて10000rpmで撹拌しながら、樹脂溶液(Y2P2)60質量部を投入し2分間撹拌した。次いでこの混合液を、撹拌装置、加熱冷却装置、温度計および脱溶剤装置を備えた反応容器に投入し、35℃に昇温後、同温度で0.039MPaの減圧下、アセトン濃度が0.5質量%以下になるまで樹脂溶液(Y2P2)からアセトンを留去した。これにより、トナー粒子中の着色剤(顔料)含有量が21.9質量%、液体現像剤中のトナー粒子含有量が25質量%、およびトナー粒子のメジアン径が0.62μmである液体現像剤(Z−B)を得た。この現像剤において特定の凹部を有するトナー粒子の割合(%)は0%であった。
かかる液体現像剤(Z−B)中のトナー粒子の樹脂は、シェル樹脂(a1)とポリエステルのコア樹脂からなるコア・シェル構造を有するものであった。
<製造例9>[液体現像剤(Z−C)の製造]
製造例8において、絶縁性液体(商品名:「IPソルベント2028」、出光石油化学社製)62質量部およびシェル粒子の分散液(W1)11質量部に代えて、絶縁性液体(商品名:「IPソルベント2028」、出光石油化学社製)62質量部およびシェル粒子の分散液(W1)5質量部を用いることを除き、他は全て製造例8と同様にして液体現像剤(Z−C)を得た。
この液体現像剤(Z−C)は、トナー粒子中の着色剤(顔料)含有量が21.9質量%、液体現像剤中のトナー粒子含有量が25質量%、およびトナー粒子のメジアン径が2.06μmであった。この現像剤において特定の凹部を有するトナー粒子の割合(%)は0%であった。
<製造例10>[液体現像剤(Z−D)の製造]
上記の製造例3で用いたポリエステル樹脂を100部、銅フタロシアニン(商品名:「Fastogen Blue GNPT」、DIC社製)28部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、ロール内加熱温度100℃の同方向回転二軸押出し機を用い溶融混練を行ない、得られた混合物を冷却、粗粉砕して粗粉砕トナー(D50:5.2μm)を得た。
次いで、絶縁性液体(商品名:「IPソルベント2028」、出光石油化学社製)75部、上記で得られた粗粉砕トナー25部、分散剤としてN−ビニルピロリドン/アルキレン共重合体(商品名:「Antaron V−216」、GAF/ISP Chemicals社製)7部を、サンドミルにより24時間混合し、液体現像剤を得た。
この液体現像剤を2000m/(sec)2、3分の条件で遠心分離した後、上澄みを採取したところ、固形分は5%であった。引続き、これを20000m/(sec)2、15分の条件で遠心分離を行ない、固形分が25%になるまで液を除去し、超音波分散器(商品名:「ウルトラソニッククリーナ モデル VS−150」、ウエルボクリア社製)で約5分間分散処理を行なって再分散した。これにより、トナー粒子中の着色剤(顔料)含有量が21.9質量%、液体現像剤中のトナー粒子含有量が25質量%、およびトナー粒子のメジアン径が0.72μmである液体現像剤(Z−D)を得た。この現像剤において特定の凹部を有するトナー粒子の割合(%)は0%であった。
<実施例1>
液体現像剤(Z−A)20質量部と液体現像剤(Z−B)45質量部と液体現像剤(Z−C)35質量部とを混合し、液体現像剤(Z−1)を得た。
<実施例2>
液体現像剤(Z−A)40質量部と液体現像剤(Z−B)21質量部と液体現像剤(Z−C)39質量部とを混合し、液体現像剤(Z−2)を得た。
<実施例3>
液体現像剤(Z−A)20質量部と液体現像剤(Z−C)55質量部と液体現像剤(Z−D)45質量部とを混合し、液体現像剤(Z−3)を得た。
<実施例4>
ビーカーに、コア樹脂形成用溶液(Y1)40質量部および着色剤分散液(P1)20質量部を投入し、25℃でTKオートホモミキサー(プライミクス(株)製)を用いて8000rpmで撹拌し、均一に分散させて樹脂溶液(Y1P1)を得た。
別のビーカーに、絶縁性液体(商品名:「IPソルベント2028」、出光石油化学社製)62質量部およびシェル粒子の分散液(W1)6質量部を投入して均一に分散した。次いで、25℃でTKオートホモミキサーを用いて10000rpmで撹拌しながら、樹脂溶液(Y1P1)60質量部を投入し3分間撹拌した。次いでこの混合液を、撹拌装置、加熱冷却装置、温度計および脱溶剤装置を備えた反応容器に投入し、50℃に昇温後、同温度で0.039MPaの減圧下、アセトン濃度が0.5質量%以下になるまで樹脂溶液(Y1P1)からアセトンを留去した。この反応容器に投入してからアセトン濃度が0.5質量%以下になるまでに要した時間は30分であった。これにより、トナー粒子中の着色剤(顔料)含有量が21.9質量%、液体現像剤中のトナー粒子含有量が25質量%、およびトナー粒子のメジアン径が2.30μmである液体現像剤(Z−4)を得た。
かかる液体現像剤(Z−4)中のトナー粒子の樹脂は、シェル樹脂(a1)とコア樹脂(b1)からなるコア・シェル構造を有するものであった。
<比較例1>
液体現像剤(Z−A)15質量部と液体現像剤(Z−B)45質量部と液体現像剤(Z−C)40質量部とを混合し、液体現像剤(Z−5)を得た。
<比較例2>
上記の製造例3で用いたポリエステル樹脂を100部、銅フタロシアニン(商品名:「Fastogen Blue GNPT」、DIC社製)28部をヘンシェルミキサーで十分混合した後、ロール内加熱温度100℃の同方向回転二軸押出し機を用い溶融混練を行ない、得られた混合物を冷却、粗粉砕して粗粉砕トナー(D50:5.2μm)を得た。
次いで、絶縁性液体(商品名:「IPソルベント2028」、出光石油化学社製)75部、上記で得られた粗粉砕トナー25部、分散剤としてN−ビニルピロリドン/アルキレン共重合体(商品名:「Antaron V−216」、GAF/ISP Chemicals社製)1部を、サンドミルにより24時間混合した。これにより、トナー粒子中の着色剤(顔料)含有量が21.9質量%、液体現像剤中のトナー粒子含有量が25質量%、およびトナー粒子のメジアン径が2.16μmである液体現像剤(Z−6)を得た。
<比較例3>
液体現像剤(Z−B)18質量部と液体現像剤(Z−C)82質量部とを混合し、液体現像剤(Z−7)を得た。
<比較例4>
液体現像剤(Z−A)20質量部と液体現像剤(Z−B)18質量部と液体現像剤(Z−C)62質量部とを混合し、液体現像剤(Z−8)を得た。
<比較例5>
ビーカーに、コア樹脂形成用溶液(Y1)40質量部および着色剤分散液(P1)20質量部を投入し、25℃でTKオートホモミキサー(プライミクス(株)製)を用いて8000rpmで撹拌し、均一に分散させて樹脂溶液(Y1P1)を得た。
別のビーカーに、絶縁性液体(商品名:「IPソルベント2028」、出光石油化学社製)62質量部およびシェル粒子の分散液(W1)6質量部を投入して均一に分散した。次いで、25℃でTKオートホモミキサーを用いて10000rpmで撹拌しながら、樹脂溶液(Y1P1)60質量部を投入し3分間撹拌した。次いでこの混合液を、撹拌装置、加熱冷却装置、温度計および脱溶剤装置を備えた反応容器に投入し、35℃に昇温後、同温度で0.039MPaの減圧下、アセトン濃度が0.5質量%以下になるまで樹脂溶液(Y1P1)からアセトンを留去した。この反応容器に投入してからアセトン濃度が0.5質量%以下になるまでに要した時間は70分であった。これにより、トナー粒子中の着色剤(顔料)含有量が21.9質量%、液体現像剤中のトナー粒子含有量が25質量%、およびトナー粒子のメジアン径が2.27μmである液体現像剤(Z−4)’を得た。
<評価>
<画像濃度の評価>
図2に示した画像形成装置を用い、実施例および比較例の各液体現像剤の単色ソリッド(ベタ)パターン(10cm×10cm、トナー粒子の付着量:1.1g/m2)を記録材(コート紙)上に形成し、引き続き、ヒートローラで定着した(170℃×ニップ時間30msec.)。
その後、上記で得られた定着画像のシアンソリッド部の画像濃度を反射濃度計「X−Rite model 404」(商品名、X−Rite社製)により測定し、以下の3段階のランク評価を行なった。
A:画像濃度1.45以上
B:画像濃度1.35以上1.45未満
C:画像濃度1.35未満
画像濃度の数値が高いものほど、画像濃度が高いことを示す。その結果を表1に示す。
<クリーニング性の評価>
図2に示した画像形成装置を用い、上記と同様の単色ソリッド(ベタ)パターン(ベタ画像)形成時に装置駆動をストップし、クリーニング下流側(クリーニングブレード11よりも下流側)の中間転写体に対し、テープを貼り付けた後、そのテープを剥離し、それを観察することにより以下の4段階の評価を行なった。その結果を表1に示す。なお、テープとしては、「メンディングテープ」(商品名、3M社製)を用いた。
A:テープにトナー粒子が付着していない。
B:テープに僅かにトナー粒子が付着しているが、画像にクリーニング残のかぶりが発生していない。
C:テープにトナー粒子が付着しており、画像にクリーニング残のかぶりが少し発生している。
D:テープにトナー粒子が付着しており、画像にクリーニング残の画像がくっきりと発生している。
A、B、C、Dの順に画像形成装置の像担持体のクリーニング性能が低下していることを示す。
<転写性の評価>
図2に示した画像形成装置を用い、実施例および比較例の各液体現像剤の単色ソリッド(ベタ)パターン(10cm×10cm、トナー粒子の付着量:1.1g/m2)を記録材(コート紙)上に形成した。そして、中間転写体上の転写前のトナー粒子の量をXg/m2、中間転写体上の転写後のトナー粒子の量をYg/m2とした。なお、中間転写体上の転写前後のトナー粒子量は、現像剤を回収し絶縁性液体を乾燥させた後、質量を測定した。
そして、転写効率(%)=(1−Y/X)×100という式により転写効率を求めた。転写効率が90%以上のものを「A」、85%以上90%未満のものを「B」、85%未満のものを「C」とした。その結果を表1に示す。数値が大きいものほど、転写性に優れていること(転写効率が良好であること)を示す。
なお、上記の各評価項目において、「A」または「B」の評価であれば実用上問題はない。
<画像形成装置のプロセス条件/概略>
上記で用いた画像形成装置のプロセス条件およびプロセスの概略は以下の通りである。なお、今回の評価では感光体から中間転写体に1次転写した後、記録材に2次転写する単色の画像形成装置を用いたが、感光体から直接記録材に転写する方式や、複数の現像剤を重ね合わせてカラー画像を形成する多色画像形成装置でも同様の効果が得られる。
まず、画像形成装置100の現像槽5には、実施例および比較例の各液体現像剤6が入れられている。液体現像剤6はアニロックスローラ22でくみ上げられ、ならしローラ21に送られる。アニロックスローラ22表面の余分な液体現像剤6は、ならしローラ21に達する前にアニロックス規制ブレード23でかきとられ、ならしローラ21では液体現像剤6が均等の層厚を持つように調整される。次いで、液体現像剤6は、ならしローラ21から現像剤担持体24に転移する。
感光体1は、帯電部7で帯電され、露光部8で潜像が形成される。潜像が形成された像に対応して、液体現像剤6は現像チャージャー26でトナー粒子に荷電を与えられた後、感光体1に現像される。感光体1に転移しなかった液体現像剤6は、現像部下流にあるクリーニングブレード25でかきとられ回収される。
感光体1に現像された液体現像剤6は、1次転写部2で中間転写体10に静電1次転写される。中間転写体10に担持された液体現像剤(トナー粒子)は、2次転写部3にて記録材12に静電2次転写される。記録材12に転写された液体現像剤(トナー粒子)は、図示しない定着装置で定着されプリントアウトされた画像が完成する。
転写しきれず感光体1に残留する液体現像剤は、像担持体クリーニング部のクリーニングブレード9によりかきとられ、感光体1は再び帯電、露光、現像の工程を繰り返し、プリント動作を行なう。同様に転写しきれず中間転写体10に残留する液体現像剤は、クリーニングブレード11によりかきとられる。
トナー粒子は現像チャージャー26でプラス極性に帯電される。中間転写体10の電位は−400Vとし、転写ローラ4の電位は−1200Vとした。搬送速度は400mm/sとした。
なお、記録材としては、コート紙(商品名:「OKトップコート」(84g/m2)、王子製紙社製)を用い、2次転写部におけるトナー粒子の量は1.1g/m2とした。
<トナー粒子の各物性値の測定>
実施例および比較例の各液体現像剤に含まれるトナー粒子のメジアン径(体積分布)および平均円形度(粒径1μm以下のトナー粒子に関するもの)をフロー式粒子画像分析装置(商品名:「FPIA−3000S」、Sysmex社製)を用いて測定した。フロー溶媒として各液体現像剤の絶縁性液体と同じIPソルベント2028を用いた。
分散剤(商品名:「S13940」、日本ルーブリゾール社製)30mgを加えた20gのIPソルベント2028中に各液体現像剤50mgを投入することにより懸濁液を調製し、その懸濁液を超音波分散器(商品名:「ウルトラソニッククリーナ モデル VS−150」、ウエルボクリア社製)を用いて約5分間分散処理を行なった。
その後、この懸濁液を用いて、上記のフロー式粒子画像分析装置によりトナー粒子の体積分布のメジアン径(D50)、および粒径1μm以下のトナー粒子の平均円形度(粒子面積と等しい円の周囲長/粒子周囲長)を測定した。また、全トナー粒子中の粒径1μm以下のトナー粒子の個数割合%(粒径1μm以下の粒子の個数/測定されたトナー粒子の全個数)も同時に測定した。その結果を表1に示す。
なお表1中、「平均円形度」とは粒径1μm以下のトナー粒子の平均円形度を示し、「粒径1μm以下の割合(%)」とは全トナー粒子中の粒径1μm以下のトナー粒子の個数割合%を示す。
<特定の凹部を有するトナー粒子の割合の測定>
上記で定義した最大径が1μm以上となる凹部を有するトナー粒子の個数割合を、上記で定義した方法により測定した。その結果を表1中の「特定の凹部を有するトナー粒子の割合(%)」の欄に示す。
表1より明らかな通り、トナー粒子として、それぞれ個数にして、粒径1μm以下のトナー粒子が20%以上含まれ、かつ、最大径が1μm以上となる凹部を有するトナー粒子が5%以上含まれる実施例の液体現像剤は、かかる条件を満たさない比較例の液体現像剤に比し、画像形成装置の像担持体のクリーニング性能の低下が防止されていることが確認できた。しかも、実施例の液体現像剤は、良好な画像濃度と転写性も兼ね備えていた。
また、平均円形度の数値が高くなる程、優れた転写性が示されることも確認できた。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 感光体、2 1次転写部、3 2次転写部、4 転写ローラ、5 現像槽、6 液体現像剤、7 帯電部、8 露光部、9 クリーニングブレード、10 中間転写体、11 クリーニングブレード、12 記録材、21 ならしローラ、22 アニロックスローラ、23 アニロックス規制ブレード、24 現像剤担持体、25 クリーニングブレード、26 現像チャージャー、100 画像形成装置。

Claims (3)

  1. 絶縁性液体と複数個のトナー粒子とを含み、
    前記トナー粒子として、それぞれ個数にして、粒径1μm以下の前記トナー粒子が20%以上含まれ、かつ、最大径が1μm以上となる凹部を有する前記トナー粒子が5%以上含まれる、液体現像剤。
  2. 粒径1μm以下の前記トナー粒子は、平均円形度が0.95以上である、請求項1記載の液体現像剤。
  3. 前記複数個のトナー粒子は、全体として0.8μm以上3μm以下のメジアン径を有する、請求項1または2に記載の液体現像剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016080764A (ja) * 2014-10-10 2016-05-16 コニカミノルタ株式会社 液体現像剤

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