JP2016080764A - 液体現像剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】温度変化に伴う画像の光沢変化が小さく、なおかつ定着強度および高温高湿保管性に優れる液体現像剤を提供する。
【解決手段】液体現像剤は、トナー粒子が絶縁性液体中に分散されてなる。トナー粒子は、トナー樹脂と着色剤とを含む。トナー樹脂は、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とを含む。ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリエステル樹脂との合計のうち、トナー樹脂において当該ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂の占める割合は、5質量%以上40質量%以下である。さらにトナー樹脂の酸価は、5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である。
【選択図】なし

Description

本発明は液体現像剤に関する。
特開2013−3197号公報(特許文献1)には、脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とを混合した樹脂を含むトナー粒子が開示されている。また特開2009−96994号公報(特許文献2)には、トナー粒子を構成する樹脂(以下「トナー樹脂」とも記す)のひとつとしてウレタン変性ポリエステル樹脂が開示されている。
特開2013−3197号公報 特開2009−96994号公報
特許文献1によれば、トナー樹脂が脂肪族ポリエステル樹脂を含むことにより、トナー樹脂に絶縁性液体(キャリア液)が侵入することによる、トナー樹脂の可塑化(膨潤)が抑制され、それによりドキュメントオフセットを防止できるとされている。この理由は、脂肪族ポリエステル樹脂では分子鎖が規則的に配列されやすく、結晶性が発現しやすいからであると考えられる。
結晶性の脂肪族ポリエステル樹脂は、その融点を超えると急激に軟化、液状化する性質(いわゆるシャープメルト性)を有している。シャープメルト性はトナー樹脂の低温定着化に不可欠な性質であるが、その反面こうした樹脂は高温において弾性を維持することができず、耐高温オフセット性が脆弱になったり、温度変化に伴って画像の光沢が変化したりする等の課題を有していた。たとえば、脂肪族ポリエステル樹脂からなるトナー樹脂では、連続通紙によって定着ローラの温度が低下すると、トナー樹脂の弾性が大きく変化し、それにより画像の光沢に変化が生じるといった事象が確認されている。
ところで特許文献2では、トナー樹脂のひとつとしてウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂が開示されている。ここでウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂とは、芳香族ポリエステルをイソシアネートで鎖長させた樹脂を意味している。本発明者は、当該技術を脂肪族ポリエステル樹脂に適用してウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂(すなわち脂肪族ポリエステル樹脂をイソシアネートで鎖長させた樹脂)を合成し、その性質を詳細調査したところ、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂は、シャープメルト性を有しつつ、高温でも弾性を維持することができ、温度変化に伴う光沢変化も小さいという知見が得られた。
しかし同時に、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂には高温高湿下での保管性能(以下「HH保管性」とも記す)に課題があることも見出された。すなわち、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂は高温高湿下で保管すると、分子量が減少することも明らかになった。
さらにHH保管性の悪化は、トナー樹脂の酸価が高まると顕著になる傾向も確認された。現在、液体現像剤においてトナー樹脂への酸価の付与は、絶縁性液体が残存する状態でメディア(たとえば紙)との接着力を確保するために必須となっている。よってトナー樹脂にウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂を用いる場合、定着強度(接着力)とHH保管性との両立にも課題があるといえる。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものである。それゆえ本発明の目的は、温度変化に伴う画像の光沢変化が小さく、なおかつ定着強度および高温高湿保管性に優れる液体現像剤を提供することである。
本発明者は上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂を高温高湿(HH)下で保管すると、ウレタン結合部分が加水分解されてしまい、その結果、分子量の減少を来しているとの知見を得た。本発明者はこれに留まらず、さらに研究を重ねることにより、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂の加水分解を抑制することができるトナー樹脂の構成を見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明の液体現像剤は、
〔1〕トナー粒子が絶縁性液体中に分散されてなる液体現像剤である。トナー粒子は、トナー樹脂と着色剤とを含む。トナー樹脂は、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とを含む。トナー樹脂においてウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリエステル樹脂との合計のうち、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂の占める割合は、5質量%以上40質量%以下である。さらにトナー樹脂の酸価は、5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である。
〔2〕上記トナー樹脂の酸価は、20mgKOH/g以上100mgKOH/g以下が好ましい。
〔3〕上記ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂の酸価は、2mgKOH/g以下が好ましい。
〔4〕上記トナー粒子は、上記トナー樹脂を含有するコア粒子と、シェル粒子とを含み、該コア粒子の表面に、該シェル粒子が付着または被覆されてなるコア/シェル構造を有するものであってもよい。
上記によれば、温度変化に伴う画像の光沢変化が小さく、なおかつ定着強度および高温高湿保管性に優れる液体現像剤が提供される。
電子写真方式の画像形成装置の構成の一例を示す概略概念図である。
以下、本発明の一実施形態(以下「本実施形態」と記す)について詳細に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
<液体現像剤>
本実施形態に係る液体現像剤は、電子写真方式の画像形成装置(たとえば複写機、プリンタ、デジタル印刷機あるいは簡易印刷機等)に用いられる現像剤として有用である。こうした液体現像剤は、たとえば電子写真用液体現像剤、塗料、静電記録用液体現像剤、インクジェットプリンタ用油性インク、電子ペーパー用インク等と呼称されることもある。
液体現像剤は、トナー粒子が絶縁性液体(キャリア液)中に分散されてなる。液体現像剤はこれらの成分を含む限り、これらの他に任意の成分を含むことができる。たとえば液体現像剤は、分散剤、荷電制御剤、増粘剤等をさらに含んでいてもよい。液体現像剤においてトナー粒子と絶縁性液体との配合割合は、たとえばトナー粒子を10〜50質量%程度、絶縁性液体を50〜90質量%程度とすることができる。
<トナー粒子>
トナー粒子は、トナー樹脂と着色剤(顔料)とを含む。トナー粒子は、これら以外にも、たとえば顔料分散剤、ワックス、荷電制御剤等を含むこともあり得る。着色剤は、トナー樹脂中に分散した状態で存在している。トナー樹脂と着色剤との配合割合は、トナー粒子を所定の付着量で使用したとき、発現する濃度が所望の濃度となるように決定するとよい。
トナー粒子のメジアン径は、0.5μm以上5.0μm以下が好ましい。トナー粒子のメジアン径が0.5μm未満となると、粒子径が過度に小さいために、電界での移動性が悪化して現像性が低下する場合があり、5.0μmを超えると、粒子の均一性が低下して画質が劣化する場合もあるからである。ここで「メジアン径」は、体積基準の粒度分布における積算値50%での粒径(いわゆるD50)を示している。上記メジアン径の範囲は、従来の乾式現像剤におけるトナー粒子の粒径と比較して小さいものであり、液体現像剤の特徴のひとつを示すものである。トナー粒子のメジアン径は、より好ましくは1.0μm以上2.0μm以下である。
トナー粒子の円形度の算術平均値(平均円形度)は0.85以上0.95以下が好ましく、円形度の標準偏差は0.01以上0.1以下が好ましい。円形度の平均値および標準偏差が上記範囲を占めることにより、転写性およびクリーニング性が向上するからである。ここで「円形度」とは、2次元に投影した粒子面積と等しい面積の円の周囲長を粒子周囲長で除した値を示している。
トナー粒子のメジアン径、平均円形度および円形度の標準偏差は、いずれもフロー式粒子画像解析装置(たとえば商品名「FPIA−3000S」、シスメックス社製)等を用いて測定することができる。「FPIA−3000S」では、液体現像剤に含まれる絶縁性液体をそのまま測定時の分散媒体として使用できる。よってこの装置を使用すれば、トナー粒子を水系溶媒に再分散させて測定する場合等に比べて、より実際の分散状態を反映した結果を得ることができる。
(トナー樹脂)
トナー樹脂は、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂と、芳香族ポリエステル樹脂とを含む。ここで「脂肪族ポリエステル樹脂」は、全構成単位の90%以上を脂肪族系モノマーに由来する構成単位が占めているポリエステル樹脂を示し、「芳香族ポリエステル樹脂」は、全構成単位の90%以上を芳香族系モノマーに由来する構成単位が占めているポリエステル樹脂を示している。また「ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂」は、脂肪族ポリエステルの主鎖もしくは末端をウレタン結合で鎖長した構造を有する樹脂を示している。
一般に脂肪族ポリエステル樹脂では、分子鎖が規則的に配列しやすいことから結晶性が発現しやすい。他方、芳香族ポリエステル樹脂では、分子鎖に不規則なねじれ等が生じ、結晶化が妨げられる傾向にある。よって芳香族ポリエステル樹脂は非晶性となりやすい。
ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂は、その構成単位である脂肪族ポリエステル樹脂が結晶性を示すことから70℃以下の低温領域で融解し、かつイソシアネートで鎖長されていることにより100℃以上の高温領域でも弾性を維持することができる。しかしその反面で、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂はHH環境下で保管されるとウレタン結合部分が加水分解されて分子量が減少する傾向にある。とりわけトナー樹脂に酸価を付与した場合に、酸が触媒となって加水分解が促進されやすい。
本実施形態では、トナー樹脂をウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリエステル樹脂との混合物から構成することにより、かかる課題を解決する。すなわち、HH環境でも安定である芳香族ポリエステル樹脂で、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂を覆うことにより、水とウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂との接触を抑制し、分子量の減少を抑制することができる。
ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とは分子構造が異なることから、これらは互いに相溶し難い。よってトナー樹脂において、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂の質量よりも芳香族ポリエステル樹脂の質量を多くすることにより、芳香族ポリエステル樹脂からなる「海」の中に、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂があたかも「島」の如く散在した「海島構造」となりやすく、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂と水との接触を効率的に抑制することができる。
具体的には、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリエステル樹脂との合計のうち、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂の占める割合を5質量%以上40質量%以下とする。同割合が5質量%未満になると、トナー樹脂が低温で融解できなくなることから、低温定着性が損なわれる場合がある。また同割合が40質量%を超えると、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂の加水分解を十分に抑制できない場合もあり得る。同割合は、より好ましくは10質量%以上35質量%以下であり、特に好ましくは15質量%以上30質量%以下である。
混合後のトナー樹脂の酸価は、5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下とする。酸価が5mgKOH/g未満になると十分な定着強度が得られず、酸価が100mgKOH/gを超えると生産性が低下するからである。トナー樹脂の酸価は、同範囲内であれば大きいほど望ましい。トナー樹脂の酸価は、好ましくは20mgKOH/g以上であり、より好ましくは30mgKOH/g以上であり、特に好ましく40mgKOH/g以上である。
このときウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂の酸価は、好ましくは5mgKOH/g以下とすることが望ましい。前述のようにウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂は、酸の存在下では加水分解されやすくなる。よってウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂の酸価を低く抑え、芳香族ポリエステル樹脂に選択的に酸価を負担させることにより、加水分解をより確実に抑制することができる。ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂の酸価は、より好ましくは2mgKOH/g以下であり、さらに好ましくは1mgKOH/g以下であり、最も好ましくは0mgKOH/gである。
ここで樹脂の酸価は、たとえば樹脂(10g)を、トルエン、アセトンおよびメタノールをトルエン:アセトン:メタノール=50:25:25(質量比)で混合した混合溶剤(100ml)に溶解させ、フェノールフタレインを指示薬として、0.1Nの水酸化カリウムエタノール溶液で滴定して求めることができる。
トナー樹脂は、全量のうち90質量%以上がポリエステル樹脂(ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂および芳香族ポリエステル樹脂)から構成されることが望ましい。ポリエステル樹脂以外の樹脂の含有率が10質量%を超えると、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂の規則的な配列が阻害されるおそれがあるからである。なおトナー樹脂は全量のうち10質量%以下であれば、ポリエステル樹脂以外の樹脂を含むこともできる。そうした樹脂としては、たとえば、スチレン−アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を例示することができる。
(脂肪族ポリエステル樹脂)
脂肪族ポリエステル樹脂は、原則的に多価カルボン酸(酸成分)と多価アルコール(アルコール成分)との重縮合反応により合成されるものである。そのため脂肪族ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸に由来する酸成分構成単位と、多価アルコールに由来するアルコール成分構成単位とが交互に繰り返されて構成される。脂肪族ポリエステル樹脂では、全構成単位のうち90%以上が、脂肪族系モノマーに由来する酸成分構成単位と脂肪族系モノマーに由来するアルコール成分構成単位とから構成される。
ここでポリエステル樹脂における各構成単位の含有率は、フーリエ変換核磁気共鳴装置(FT−NMR)(商品名「Lambda400」、日本電子社製)を用いて1H−NMR分析を行い、その積分比により決定することができる。測定溶媒には、たとえばクロロホルム−d(重クロロホルム)溶剤を用いればよい。
酸成分構成単位となるべき脂肪族系モノマーとしては、たとえば脂肪族多価カルボン酸およびその低級アルキルエステルまたはその酸無水物等が挙げられる。より具体的には、たとえばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、およびこれらの低級アルキルエステルまたは酸無水物等が挙げられる。樹脂に結晶性を付与しやすいとの観点から、これらのうちアジピン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸が好ましい。酸成分構成単位となるべき脂肪族系モノマーは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
アルコール成分構成単位となるべき脂肪族系モノマーとしては、脂肪族多価アルコール等が挙げられる。より具体的には、たとえばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等が挙げられる。脂肪族ポリエステル樹脂に結晶性を付与しやすいとの観点から、これらのうちエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。アルコール成分構成単位となるべき脂肪族系モノマーは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂)
ウレンタン変性脂肪族ポリエステル樹脂は、2以上の脂肪族ポリエステルがイソシアネート基を有する化合物に由来する構成単位により結合されてなる樹脂である。ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂は、その中に含まれる脂肪族ポリエステルの結晶性を反映して、結晶性を示すことができる。
ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂は、先ず骨格となる脂肪族ポリエステル樹脂を重縮合反応により合成し、さらに脂肪族ポリエステル樹脂の主鎖もしくは末端をジ(トリ)イソシアネートで鎖長させることによって合成できる。ここで「ジ(トリ)イソシアネート」とは、ジイソシアネートおよびトリイソシアネートの少なくともいずれか一方を意味している。
(イソシアネート)
イソシアネートには、分子内に複数のイソシアネート基を有する化合物が好適である。そうした化合物としては、鎖状脂肪族多価イソシアネートおよび環状脂肪族多価イソシアネート等を挙げることができる。
鎖状脂肪族多価イソシアネートの具体例としては、たとえば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエート等を例示することができる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
環状脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、たとえばイソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」と略記する)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−ノルボルナンジイソシアネート、2,6−ノルボルナンジイソシアネート等を例示することができる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(ウレタン基濃度)
ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂のウレタン基濃度(質量%)は、好ましくは0.5%以上5%以下であり、より好ましくは1%以上3%以下である。ウレタン基濃度が0.5%未満になると高温での弾性が維持できなくなる場合があり、5%を超えるとドキュメントオフセット性に問題を生じる場合もあるからである。ここで「ウレタン基濃度」は、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂に含まれるウレタン基の質量を、該樹脂の全質量で除した値を百分率で表した値を意味している。ウレタン基濃度は、熱分解−GCMS(Gas Chromatograph Mass Spectrometer)により求めることができる。本明細書におけるウレタン基濃度の測定には、次の条件が採用されている。
(熱分解装置の条件)
熱分解装置:フロンティア・ラボ社製の「PY−2020iD」
測定の質量:0.1mg
加熱温度:550℃
加熱時間:0.5分。
(GCMSの条件)
測定装置:島津製作所製の「QP2010」
カラム:フロンティア・ラボ社製の「UltraALLOY−5」(内径0.25mm、長さ30m、厚さ0.25μm)
昇温範囲:100℃〜320℃(320℃で保持)
昇温速度:20℃/分。
(数平均分子量)
ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂の数平均分子量(以下「Mn」と記す)は、10000以上50000以下が好ましい。Mnが10000未満であると樹脂が過度に柔らかくなって、定着の際オフセットが発生しやすい傾向にあり、Mnが50000を超えると樹脂が溶融し難くなって、定着強度が低下しやすい傾向にある。ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂のMnは、より好ましくは10000以上30000以下である。
ここで本明細書における樹脂(ポリウレタン樹脂を除く)のMnおよび重量平均分子量(以下「Mw」と記す)は、テトラヒドロフラン(以下「THF」と略記する)の可溶分について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)を用いて、次の条件で測定されたものである(ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂のMnおよびMwも、この方法により測定されたものである)。
測定装置:東ソー社製の「HLC−8120」
カラム:東ソー社製の「TSKgelGMHXL」(2本)と東ソー社製の「TSKgelMultiporeHXL−M」(1本)
試料溶液:0.25質量%のTHF溶液
カラムへの試料溶液の注入量:100μl
流速:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:東ソー社製の標準ポリスチレン(TSK standard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000)。
また本明細書においてポリウレタン樹脂のMnおよびMwは、GPCを用いて次の条件で測定されたものである。
測定装置:東ソー社製の「HLC−8220GPC」
カラム:東ソー社製の「TSK guardcolumn α」(1本)と東ソー社製の「TSKgel α−M」(1本)
試料溶液:0.125質量%のジメチルホルムアミド溶液
カラムへのジメチルホルムアミド溶液の注入量:100μl
流速:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:東ソー社製の標準ポリスチレン(TSK standard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000)。
前述したウレタン基濃度およびMnは、たとえば脂肪族ポリエステル樹脂を合成する際の多価カルボン酸の酸基量と多価アルコールの水酸基量との当量比([酸基量]/[水酸基量])、ならびにウレタン変性する際のイソシアネート基を有する化合物のイソシアネート基量と脂肪族ポリエステル樹脂の水酸基量との当量比([イソシアネート基量]/[水酸基量])等を調整することにより、所望の範囲に制御することができる。
(芳香族ポリエステル樹脂)
芳香族ポリエステル樹脂では、全構成単位のうち90%以上が、芳香族系モノマーに由来する酸成分構成単位と芳香族系モノマーに由来するアルコール成分構成単位とから構成される。
酸成分構成単位となるべき芳香族系モノマーの具体例としては、たとえばテレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、トリメリット酸等を例示することができる。入手の容易さを考慮すると、これらのうちテレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸等が好ましい。
アルコール成分構成単位となるべき芳香族系モノマーとしては、たとえば下記化学式(I)で表わされるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等を例示することができる。
Figure 2016080764
上記化学式(I)中、R1およびR2はそれぞれ独立してアルキレン基を示し、mおよびnはそれぞれ独立して0または正の整数を示すが、両者の和(m+n)は1〜16である。
芳香族ポリエステル樹脂のMnは1000以上10000以下が好ましく、Mwは2000以上100000以下が好ましい。芳香族ポリエステル樹脂のMnおよびMwは、前述のとおりGPCを用いて測定することができる。
(結晶性と非晶性)
前述のようにウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂は結晶性樹脂であり、芳香族ポリエステル樹脂は非晶性樹脂であることが望ましい。本明細書では樹脂のDSCの融解熱(H)が次の数式(1)および(2)を満たす場合、結晶性樹脂と定義する
5≦H1≦100 ・・・数式(1)
0.2≦H2/H1≦1.0・・・数式(2)
上記数式(1)〜(2)において、H1は、DSCによる初回昇温時の融解熱(J/g)を表し、H2はDSCによる2回目昇温時の融解熱(J/g)を表す。
H1は、樹脂の溶融速度の指標である。一般に、融解熱を有する樹脂は、シャープメルト性を示すため、少ないエネルギーで溶融させることができる。樹脂のH1が100を超えると、定着時に要するエネルギーを低減させることが難しく、トナー粒子の定着性の低下を招く。一方、樹脂のH1が5未満であれば、定着時に要するエネルギーが過度に少なくなり、ドキュメントオフセットが発生し易くなる。しかし樹脂のH1が上記数式(1)を満たせば、ドキュメントオフセットの発生を防止でき、また定着性の低下を防止することができる。H1は、好ましくは15≦H1≦80であり、より好ましくは35≦H1≦70である。
上記数式(2)におけるH2/H1は、樹脂の結晶化速度の指標である。一般に、樹脂からなる粒子(樹脂粒子)を溶融させた後に冷却して使用する場合、当該樹脂粒子中の結晶成分に結晶化されていない部分が存在していれば、当該樹脂粒子の抵抗値が下がる、あるいは当該樹脂粒子が可塑化される等といった不具合が生じる。こうした不具合が発生すると、冷却により得られた樹脂粒子の性能が当初設計した性能と異なることがある。これらの事情から、樹脂粒子中の結晶成分を速やかに結晶化させ、樹脂粒子の性能に影響を与えないようにする必要がある。H2/H1は、より好ましくは0.3以上であり、さらに好ましくは0.4以上である。また樹脂の結晶化速度が速ければ、H2/H1は1.0に近づくため、H2/H1は1.0に近い値を取ることが好ましい。
なお上記数式(2)におけるH2/H1は、理論的には1.0を超えないが、DSCによる実測値では1.0を超えることがある。よってDSCによる実測値(H2/H1)が1.0を超えた場合も、上記式(2)を満たすものとする。
H1およびH2は、JIS−K7122(1987)「プラスチックの転移熱測定方法」に準拠して測定することができる。具体的には、先ず樹脂を5mg採取して、アルミパンに入れる。示差走査熱量測定装置(たとえば、エスアイアイナノテクノロジー(株)製の「RDC220」またはセイコーインスツル(株)の「DSC20」等)を用いて、昇温速度を毎分10℃として、溶融による樹脂の吸熱ピークにおける温度(融点)を測定し、吸熱ピークの面積S1を求める。そして求められた吸熱ピークの面積S1から、H1を算出することができる。H1を算出してから、冷却速度を90℃/分として0℃まで冷却した後、昇温速度を毎分10℃として、溶融による樹脂の吸熱ピークにおける温度(融点)を測定し、吸熱ピークの面積S2を求める。さらに求められた吸熱ピークの面積S2から、H2を算出することができる。
H1およびH2は、示差走査熱量計(たとえばセイコーインスツル(株)製の「DSC210」)を用いて以下に示す方法に従って測定することもできる。先ず0℃から180℃まで10℃/分の速度で標準試料と樹脂とを加熱し、標準試料の熱量と樹脂の熱量との差を測定する。測定された熱量の差が樹脂のDSCによる溶融熱H1である。その後、冷却速度を90℃/分として0℃まで冷却した後、0℃から180℃まで10℃/分の速度で標準試料と樹脂とを加熱し、標準試料の熱量と樹脂の熱量との差を測定する。測定された熱量の差が樹脂のDSCによる溶融熱H2である。
ここでウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂を、結晶性樹脂として合成するためには、たとえば、炭素数が4以上である直鎖状のアルキル骨格を有する脂肪族系モノマーを使用することが考えられる。また低温定着性の観点から、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂の融点は40℃以上80℃以下に調整するとよい。
<トナー粒子の製造方法>
トナー粒子は、たとえば造粒法、粉砕法等の従来公知の技法に基づいて製造することができる。ここで粉砕法は、予め樹脂と顔料等の着色剤とを溶融混練し、粉砕する方法である。かかる粉砕は乾式状態、あるいは湿式状態(絶縁性液体中)で行うことができる。
造粒法は、トナー粒子の形成機構の違いから、懸濁重合法、乳化重合法、微粒子凝集法、樹脂溶液に貧溶媒を添加し析出させる方法、スプレードライ法、さらには2種類の異なる樹脂によりトナー粒子を後述するコア/シェル構造とする方法等に類別することができる。
本実施形態においてトナー粒子の製造方法は特に限定されない。しかし小径でシャープな粒度分布を有するトナー粒子を得るためには、粉砕法よりも造粒法が好ましい。溶融性の高い樹脂または結晶性の高い樹脂は、常温でも柔らかく粉砕し難いからである。造粒法によれば、こうした樹脂であっても所望の粒径に制御しやすい。
造粒法の中には、良溶媒に樹脂を溶解させてコア樹脂溶液とし、SP値がこの良溶媒と異なる貧溶媒に、コア樹脂溶液を界面張力調整剤とともに混合して、さらにせん断を与えることにより液滴を形成させ、最後に良溶媒を揮発させてコア樹脂微粒子を形成する方法もある。この方法では、せん断の与え方、界面張力差あるいは界面張力調整剤(後述するシェル粒子)を調整することにより、トナー粒子の粒度および形状を高度に制御することができる。
<コア/シェル構造>
トナー粒子は、前述したトナー樹脂を含有するコア粒子の表面に、シェル粒子が付着または被覆されてなるコア/シェル構造を有するものであってもよい。コア粒子の表面をシェル粒子で覆うことにより、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂の加水分解の抑制をいっそう確実なものとすることができる。
(シェル粒子およびシェル樹脂)
シェル粒子は、コア粒子の表面に付着し、その分散性を高める作用を有する、いわば高分子分散剤である。シェル粒子はシェル樹脂から構成される。シェル樹脂は熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂であってもよい。シェル樹脂となり得る樹脂として、たとえばビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、およびポリカーボネート樹脂等を例示することができる。
製造時にトナー粒子の形状を制御しやすい等の事情を考慮すると、これらのうちビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂およびエポキシ樹脂をシェル樹脂に用いることが好ましく、ビニル樹脂を用いることが最も好ましい。シェル樹脂は、これらの樹脂のうち1種の樹脂から構成されていてもよいし、2種以上の樹脂から構成されていてもよい。以下、シェル樹脂の好適例であるビニル樹脂について詳しく説明する。
(ビニル樹脂)
ビニル樹脂は、重合性二重結合を有するモノマーが単独重合されて得られた単独重合体(ビニルモノマーに由来する結合ユニットを含む単独重合体)であってもよいし、重合性二重結合を有する二種以上のモノマーが共重合されて得られた共重合体(ビニルモノマーに由来する結合ユニットを含む共重合体)であってもよい。重合性二重結合を有するモノマーとしては、たとえば下記(1)〜(9)が挙げられる。
(1)重合性二重結合を有する炭化水素
重合性二重結合を有する炭化水素は、たとえば下記(1−1)で示す重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素、または下記(1−2)で示す重合性二重結合を有する芳香族炭化水素等が好ましい。
(1−1)重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素
重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素は、たとえば下記(1−1−1)で示す重合性二重結合を有する鎖状炭化水素、または下記(1−1−2)で示す重合性二重結合を有する環状炭化水素等であることが好ましい。
(1−1−1)重合性二重結合を有する鎖状炭化水素
重合性二重結合を有する鎖状炭化水素としては、たとえば炭素数が2〜30のアルケン(たとえば、エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセンまたはオクタデセン等);炭素数が4〜30のアルカジエン(たとえば、ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエンまたは1,7−オクタジエン等)等が挙げられる。
(1−1−2)重合性二重結合を有する環状炭化水素
重合性二重結合を有する環状炭化水素としては、たとえば炭素数が6〜30のモノまたはジシクロアルケン(たとえば、シクロヘキセン、ビニルシクロヘキセンまたはエチリデンビシクロヘプテン等);炭素数が5〜30のモノまたはジシクロアルカジエン(たとえば、モノシクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエン等)等が挙げられる。
(1−2)重合性二重結合を有する芳香族炭化水素
重合性二重結合を有する芳香族炭化水素としては、たとえばスチレン;スチレンのハイドロカルビル(たとえば、炭素数が1〜30のアルキル、シクロアルキル、アラルキル、アルケニル)置換体(たとえば、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレンまたはトリビニルベンゼン等);ビニルナフタレン等が挙げられる。
(2)カルボキシル基と重合性二重結合を有するモノマーおよびそれらの塩
カルボキシル基と重合性二重結合を有するモノマーとしては、たとえば炭素数が3〜15の不飽和モノカルボン酸[たとえば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸または桂皮酸等];炭素数が3〜30の不飽和ジカルボン酸(無水物)[たとえば、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、(無水)シトラコン酸またはメサコン酸等];炭素数が3〜10の不飽和ジカルボン酸のモノアルキル(炭素数が1〜10)エステル(たとえば、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノデシルエステル、フマル酸モノエチルエステル、イタコン酸モノブチルエステルまたはシトラコン酸モノデシルエステル等)等が挙げられる。ここで本明細書において「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの少なくともいずれか一方を意味するものとする。
上記モノマーの塩としては、たとえば、アルカリ金属塩(たとえば、ナトリウム塩またはカリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(たとえば、カルシウム塩またはマグネシウム塩等)、アンモニウム塩、アミン塩、および4級アンモニウム塩等が挙げられる。
アミン塩としては、アミン化合物であれば特に限定されず、たとえば1級アミン塩(たとえば、エチルアミン塩、ブチルアミン塩またはオクチルアミン塩等);2級アミン塩(たとえば、ジエチルアミン塩またはジブチルアミン塩等);3級アミン塩(たとえば、トリエチルアミン塩またはトリブチルアミン塩等)等が挙げられる。
4級アンモニウム塩としては、たとえば、テトラエチルアンモニウム塩、トリエチルラウリルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩およびトリブチルラウリルアンモニウム塩等が挙げられる。
カルボキシル基と重合性二重結合を有するモノマーの塩としては、たとえば、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、マレイン酸モノナトリウム、マレイン酸ジナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム、マレイン酸モノカリウム、アクリル酸リチウム、アクリル酸セシウム、アクリル酸アンモニウム、アクリル酸カルシウムおよびアクリル酸アルミニウム等が挙げられる。
(3)スルホ基と重合性二重結合を有するモノマーおよびそれらの塩
(4)ホスホノ基と重合性二重結合を有するモノマーおよびその塩
(5)ヒドロキシル基と重合性二重結合を有するモノマー
上記(3)〜(5)については具体例を列挙しないが、その他と同様にビニル樹脂のモノマーとして使用することができる。
(6)重合性二重結合を有する含窒素モノマー
重合性二重結合を有する含窒素モノマーとしては、たとえば下記(6−1)〜(6−4)で示すモノマーが挙げられる。
(6−1)アミノ基と重合性二重結合を有するモノマー
アミノ基と重合性二重結合を有するモノマーとしては、たとえば、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチルメタクリレート、N−アミノエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アリルアミン、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、4−ビニルピリジン、2−ビニルピリジン、クロチルアミン、N,N−ジメチルアミノスチレン、メチル−α−アセトアミノアクリレート、ビニルイミダゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルチオピロリドン、N−アリールフェニレンジアミン、アミノカルバゾール、アミノチアゾール、アミノインドール、アミノピロール、アミノイミダゾールおよびアミノメルカプトチアゾール等が挙げられる。
ここでアミノ基と重合性二重結合を有するモノマーは、上記列挙したモノマーの塩であってもよい。上記列挙したモノマーの塩としては、たとえば上記「(2)カルボキシル基と重合性二重結合を有するモノマーおよびそれらの塩」において「上記モノマーの塩」として列挙した塩が挙げられる。
(6−2)アミド基と重合性二重結合を有するモノマー
アミド基と重合性二重結合を有するモノマーとしては、たとえば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、桂皮酸アミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド、メタクリルホルムアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミドおよびN−ビニルピロリドン等が挙げられる。
(6−3)ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数が3〜10のモノマー
ニトリル基と重合性二重結合を有する炭素数が3〜10のモノマーとしては、たとえば、(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレンおよびシアノアクリレート等が挙げられる。
(6−4)ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数が8〜12のモノマー
ニトロ基と重合性二重結合を有する炭素数が8〜12のモノマーとしては、たとえば、ニトロスチレン等が挙げられる。
(7)エポキシ基と重合性二重結合を有する炭素数が6〜18のモノマー
(8)ハロゲン元素と重合性二重結合を有する炭素数が2〜16のモノマー
上記(7)および(8)については具体例を列挙しないが、その他と同様にビニル樹脂のモノマーとして使用することができる。
(9)重合性二重結合を有する炭素数が4〜16のエステル
重合性二重結合を有する炭素数が4〜16のエステルとしては、たとえば、酢酸ビニル;プロピオン酸ビニル;酪酸ビニル;ジアリルフタレート;ジアリルアジペート;イソプロペニルアセテート;ビニルメタクリレート;メチル−4−ビニルベンゾエート;シクロヘキシルメタクリレート;ベンジルメタクリレート;フェニル(メタ)アクリレート;ビニルメトキシアセテート;ビニルベンゾエート;エチル−α−エトキシアクリレート;炭素数が1〜11のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート[たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートまたは2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等];ジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数が2〜8の直鎖アルキル基、分枝アルキル基または脂環式のアルキル基である);ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数が2〜8の直鎖アルキル基、分枝アルキル基または脂環式のアルキル基である);ポリ(メタ)アリロキシアルカン類(たとえば、ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシエタン、テトラアリロキシプロパン、テトラアリロキシブタンまたはテトラメタアリロキシエタン等);ポリアルキレングリコール鎖と重合性二重結合を有するモノマー[たとえば、ポリエチレングリコール(Mn=300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn=500)モノアクリレート、メチルアルコールエチレンオキサイド(以下「エチレンオキサイド」を「EO」と略記する)10モル付加物(メタ)アクリレートまたはラウリルアルコールEO30モル付加物(メタ)アクリレート等];ポリ(メタ)アクリレート類{たとえば、多価アルコール類のポリ(メタ)アクリレート[たとえば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートまたはポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等]}等が挙げられる。ここで本明細書において「(メタ)アリロ」は、アリロおよびメタリロの少なくともいずれか一方を意味するものとする。
ビニル樹脂の具体例としては、たとえば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−(無水)マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−ジビニルベンゼン共重合体およびスチレン−スチレンスルホン酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
ビニル樹脂は、上記(1)〜(9)の重合性二重結合を有するモノマーの単独重合体または共重合体であっても良いし、上記(1)〜(9)の重合性二重結合を有するモノマーと、分子鎖(k)を有する重合性二重結合を有するモノマー(m)とが重合されたものであっても良い。分子鎖(k)としては、炭素数12〜27の直鎖状または分岐状炭化水素鎖、炭素数が4〜20のフルオロアルキル鎖およびポリジメチルシロキサン鎖等が挙げられる。モノマー(m)中の分子鎖(k)と絶縁性液体とのSP値の差は2以下であることが好ましい。ここで本明細書における「SP値」は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]により計算された値を示すものとする。
分子鎖(k)を有する重合性二重結合を有するモノマー(m)としては、たとえば、下記のモノマー(m1)〜(m3)等が挙げられる。モノマー(m)としては、モノマー(m1)〜(m3)のうち2種以上を併用してもよい。
モノマー(m1)は、炭素数が12〜27(好ましくは16〜25)の直鎖状炭化水素鎖と重合性二重結合を有するモノマーである。たとえば、不飽和モノカルボン酸のモノ直鎖状アルキル(アルキルの炭素数が12〜27)エステルおよび不飽和ジカルボン酸のモノ直鎖状アルキル(アルキルの炭素数が12〜27)エステル等がモノマー(m1)に相当する。不飽和モノカルボン酸および不飽和ジカルボン酸としては、たとえば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸およびシトラコン酸等の炭素数が3〜24のカルボキシル基含有ビニルモノマー等が挙げられる。モノマー(m1)の具体例としては、たとえば、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシルおよび(メタ)アクリル酸エイコシル等が挙げられる。
モノマー(m2)は、炭素数が12〜27(好ましくは16〜25)の分岐状炭化水素鎖と重合性二重結合を有するモノマーである。たとえば、不飽和モノカルボン酸の分岐状アルキル(アルキルの炭素数が12〜27)エステルおよび不飽和ジカルボン酸のモノ分岐状アルキル(アルキルの炭素数が12〜27)エステル等がモノマー(m2)に相当する。不飽和モノカルボン酸および不飽和ジカルボン酸としては、たとえば、モノマー(m1)において不飽和モノカルボン酸および不飽和ジカルボン酸の具体例として列挙したものと同様のものが挙げられる。モノマー(m2)の具体例としては、たとえば、(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデシル等が挙げられる。
モノマー(m3)は、炭素数が4〜20のフルオロアルキル鎖と重合性二重結合を有するモノマーである。モノマー(m3)の具体例としては、たとえば、モノマー(m1)および(m2)の具体例において炭化水素鎖をフルオロアルキル鎖に置換したもの等を挙げることができる。
(シェル樹脂の融点)
シェル樹脂の融点は、好ましくは0〜220℃であり、より好ましくは30〜200℃であり、さらに好ましくは40〜80℃である。トナー粒子の粒度分布および形状、ならびに液体現像剤の粉体流動性、耐熱保管安定性および耐ストレス性等を考慮すると、シェル樹脂の融点は、液体現像剤を製造するときの温度以上であることが好ましい。シェル樹脂の融点が液体現像剤を製造するときの温度よりも低いと、製造時にトナー粒子同士の合一あるいは分裂を制御し難くなり、そればかりかトナー粒子の粒度分布における分布幅が狭くなり難く、トナー粒子の粒径のバラツキが大きくなるおそれもあるからである。
ここで本明細書において樹脂の融点は、示差走査熱量測定装置(セイコーインスツル製の「DSC20」または「SSC/580」等)を用いて「ASTM D3418−82」に準拠した方法で測定された値を示すものとする。
(シェル樹脂のMn)
シェル樹脂のMn(前述したGPCで測定された値)は、好ましくは100〜5000000であり、より好ましくは200〜5000000であり、特に好ましくは500〜500000である。
(シェル樹脂のSP値)
シェル樹脂のSP値は、好ましくは7〜18(cal/cm31/2程度であり、より好ましくは8〜14(cal/cm31/2程度である。
(シェル粒子の製造方法)
シェル粒子の製造方法は特に制限されず、従来公知のいかなる方法で製造してもよい。たとえば、次の[1]〜[7]のような方法でシェル粒子を製造することができる
[1]ジェットミル等の公知の乾式粉砕機を用いてシェル樹脂を乾式で粉砕させる
[2]シェル樹脂の粉末を有機溶剤中に分散させ、ビーズミルまたはロールミル等の公知の湿式分散機を用いて湿式で粉砕させる
[3]スプレードライヤー等を用いてシェル樹脂の溶液を噴霧し、乾燥させる
[4]シェル樹脂の溶液に対して貧溶媒の添加または冷却を行なって、シェル樹脂を過飽和させて析出させる
[5]シェル樹脂の溶液を水または有機溶剤中に分散させる
[6]シェル樹脂の前駆体を水中で乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、シード重合法、または懸濁重合法等により重合させる
[7]シェル樹脂の前駆体を有機溶剤中で分散重合等により重合させる
シェル粒子の製造のしやすさを考慮すると、上記のうち[4]、[6]および[7]の方法が好ましく、[6]および[7]の方法がより好ましい。
(シェル粒子のメジアン径)
シェル粒子の体積平均粒径(メジアン径)は、トナー粒子の粒径が所望の範囲となるように適宜調整すればよい。シェル粒子のメジアン径は、好ましくは0.0005〜3μmである。シェル粒子のメジアン径の上限は、より好ましくは2μmであり、さらに好ましくは1μmである。シェル粒子のメジアン径の下限は、より好ましくは0.01μmであり、さらに好ましくは0.02μmであり、最も好ましくは0.04μmである。たとえばメジアン径が1μmのトナー粒子を得たい場合には、シェル粒子のメジアン径は、好ましくは0.0005〜0.3μmであり、より好ましくは0.001〜0.2μmである。たとえばメジアン径が10μmのトナー粒子を得たい場合には、シェル粒子のメジアン径は、好ましくは0.005〜3μmであり、より好ましくは0.05〜2μmである。
<着色剤>
着色剤は、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂および芳香族ポリエステル樹脂の少なくともいずれか一方の中に分散されている。またトナー粒子がコア/シェル構造を有する場合には、着色剤はコア粒子およびシェル粒子の少なくともいずれか一方の中に分散されている。着色剤の粒径は0.3μm以下であることが好ましい。着色剤の粒径が0.3μmを超えると分散性が悪くなり、光沢度が低下して所望の色目を実現できなくなる場合もある。
着色剤には従来公知の顔料等を特に制限なく使用することができるが、コスト、耐光性、着色性等の観点から、たとえば以下の顔料を使用することが好ましい。ここで色彩構成上、これらの顔料は、通常ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料に分類され、基本的にブラック以外の色彩(カラー画像)はイエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料の減法混色により調色される。以下、顔料ごとに具体例を列挙して説明する。これらの顔料は、必要に応じて単独もしくは2つ以上を選択して使用することもできる。
ブラック顔料としては、たとえば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、バイオマス由来のカーボンブラック等を挙げることができ、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。また紫黒色染料であるアジン系化合物であるニグロシンを単独で使用するか、あるいはファーネスブラック等と併用することもできる。ニグロシンは、たとえばC.I.ソルベントブラック7またはC.I.ソルベントブラック5等から選ばれる。
マゼンタ顔料としては、たとえばC.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
イエロー顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等が挙げられる。
シアン顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
(顔料分散剤)
顔料分散剤は、トナー粒子中に着色剤を均一に分散させる作用を有するものであり、塩基性分散剤を使用することが好ましい。ここで「塩基性分散剤」とは、以下に定義されるものをいう。すなわち顔料分散剤(0.5g)と蒸留水(20ml)とをガラス製スクリュー管に入れ、さらにペイントシェーカーを用いて30分間振り混ぜた後、ろ過することにより得られたろ液のpHを、pHメータ(商品名「D−51」、堀場製作所製)を用いて測定し、そのpHが7より大きい場合を塩基性分散剤とする(そのpHが7より小さい場合は、酸性分散剤と呼ぶものとする)。
塩基性分散剤の種類は特に限定されない。たとえば、分散剤の分子内にアミン基、アミノ基、アミド基、ピロリドン基、イミン基、イミノ基、ウレタン基、四級アンモニウム基、アンモニウム基、ピリジノ基、ピリジウム基、イミダゾリノ基、およびイミダゾリウム基等の官能基を有する化合物(分散剤)を挙げることができる。ここで分散剤とは、通常、分子中に親水性の部分と疎水性の部分とを有するいわゆる界面活性剤が該当するが、上記のとおり着色剤(顔料)を分散させる作用を有する限り、種々の化合物を用いることができる。
塩基性分散剤の市販品としては、たとえば味の素ファインテクノ社製の「アジスパーPB−821」(商品名)、「アジスパーPB−822」(商品名)、「アジスパーPB−881」(商品名)、日本ルーブリゾール社製の「ソルスパーズ28000」(商品名)、「ソルスパーズ32000」(商品名)、「ソルスパーズ32500」(商品名)、「ソルスパーズ35100」(商品名)、「ソルスパーズ37500」(商品名)等を挙げることができる。
また顔料分散剤には、絶縁性液体(キャリア液)に溶解しないものを選択することがより好ましい。その理由から味の素ファインテクノ社製の「アジスパーPB−821」(商品名)、「アジスパーPB−822」(商品名)、「アジスパーPB−881」(商品名)がより好ましい。詳細なメカニズムは不明ながら、このような顔料分散剤を使用すると、トナー粒子の形状を制御しやすい傾向にある。顔料分散剤は、1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を併用してもよい。
顔料分散剤は、着色剤(顔料)に対して1〜100質量%添加することが好ましく、1〜40質量%添加することがより好ましい。添加量が1質量%未満では、着色剤の分散性が不十分となる場合があり、必要なID(画像濃度)が達成できないだけでなく、定着強度も低下する場合がある。また添加量が100質量%を超えると、顔料に対して必要量以上の分散剤が添加されることになり、余剰の分散剤が絶縁性液体中に溶解して、トナー粒子の荷電性、定着強度等に悪影響を及ぼす場合もある。
<絶縁性液体>
液体現像剤に含まれる絶縁性液体は、静電潜像を乱さない程度の抵抗値(1011〜1016Ω・cm程度)のものであれば良い。さらに臭気、毒性が低い溶媒が好ましい。一般的に、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ポリシロキサン等が挙げられる。特に臭気、無害性、コストの点から、ノルマルパラフィン系溶媒、イソパラフィン系溶媒が好ましい。具体的には、モレスコホワイト(商品名、松村石油研究所社製)、アイソパー(商品名、エクソンモービル社製)、シェルゾール(商品名、シェル石油化学社製)、IPソルベント1620、IPソルベント2028、IPソルベント2835(いずれも商品名、出光興産社製)等を挙げることができる。
以下、実施例を用いて本実施形態をさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
<液体現像剤の製造>
以下のようにして各種液体現像剤を製造して、HH保管性、定着強度および温度変化に伴う光沢の変化を評価した。以下において樹脂の「Mn」、「Mw」および「酸価」は前述の方法に従って測定した。
(製造例1)ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の合成
攪拌および温度調整機能を備えたオートクレープに、ビスフェノールA(228質量部)と、水酸化カリウム(2質量部)とを入れ、135℃まで昇温した後、0.1〜0.4MPaの圧力条件下でプロピレンオキサイド(139質量部)を導入し、その後3時間に亘って反応させた。こうして得られた反応生成物に吸着剤(製品名「キョーワード600」、協和化学工業社製)(16質量部)を投入し、90℃に保持しながら30分に亘って攪拌し熟成させた。その後ろ過を行い、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を得た。このプロピレンオキサイド付加物は、上記化学式(I)中のmとnとの和(m+n)が2であるものと3であるものとの混合物であった。
(製造例2)脂肪族ポリエステル樹脂(樹脂D)の製造
かきまぜ棒、パーシャルコンデンサ、窒素ガス導入管および温度計を備えた四つ口フラスコ中に、アルコール成分構成単位となるべき脂肪族系モノマー(1,6−ヘキサンジオール)と、酸成分構成単位となるべき脂肪族系モノマー(アジピン酸)とをモル比で1:1の割合として投入し、さらに所定量のアセトンを加えた。混合物を攪拌しながらフラスコ中に窒素ガスを導入し、約170℃に保持しながらで5時間に亘って重縮合を行った。
100℃程度まで降温させた後、重合禁止剤としてヒドロキノン(0.012質量部)を添加することにより、重縮合を停止させた。こうして脂肪族ポリエステル樹脂である樹脂Dが溶解した樹脂溶液Dを得た。
(製造例3)ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂(樹脂A)の製造
樹脂溶液D(1000質量部)にIPDI(63質量部)を投入し、80℃で6時間に亘って反応させた。そうしてNCO価が0(ゼロ)になった時点で、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂である樹脂Aが得られた。次いで樹脂A(800質量部)とアセトン(1200質量部)とをビーカーに入れて攪拌することにより、樹脂Aをアセトンに均一に溶解させた。こうして樹脂溶液Aを得た。樹脂AのMnは25000であり、Mwは45000、酸価は0mgKOH/gであった。
(製造例4)ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂(樹脂B)の製造
樹脂溶液Aに所定量の無水フタル酸を投入し、180℃で1時間に亘って反応させた。これによりウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂である樹脂Bが得られた。次いで樹脂B(800質量部)とアセトン(1200質量部)とをビーカーに入れて攪拌することにより、樹脂Bをアセトンに均一に溶解させた。こうして樹脂溶液Bを得た。樹脂BのMnは25000であり、Mwは45000、酸価は2mgKOH/gであった。
(製造例5)ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂(樹脂C)の製造
樹脂溶液Aに所定量の無水フタル酸を投入し、180℃で1時間に亘って反応させた。これによりウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂である樹脂Cが得られた。次いで樹脂C(800質量部)とアセトン(1200質量部)とをビーカーに入れて攪拌することにより、樹脂Cをアセトンに均一に溶解させた。こうして樹脂溶液Cを得た。樹脂CのMnは20000であり、Mwは40000、酸価は4mgKOH/gであった。
(製造例6)芳香族ポリエステル樹脂(樹脂a)の製造
かきまぜ棒、パーシャルコンデンサ、窒素ガス導入管および温度計を備えた四つ口フラスコ中に、アルコール成分構成単位となるべき芳香族系モノマー(製造例1で得たビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物)と、酸成分構成単位となるべき芳香族系モノマー(イソフタル酸)とをモル比で1:1の割合として投入し、さらに所定量のアセトンを加えた。混合物を攪拌しながらフラスコ中に窒素ガスを導入し、約170℃に保持しながらで5時間に亘って重縮合を行った。こうして芳香族ポリエステル樹脂である樹脂aの溶液(樹脂溶液a)を得た。樹脂aのMnは3500、酸価は4mgKOH/gであった。
(製造例7)芳香族ポリエステル樹脂(樹脂b)の製造
かきまぜ棒、パーシャルコンデンサ、窒素ガス導入管および温度計を備えた四つ口フラスコ中に、アルコール成分構成単位となるべき芳香族系モノマー(製造例1で得たビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物)と、酸成分構成単位となるべき芳香族系モノマー(イソフタル酸)とをモル比で1:1の割合として投入し、さらに所定量のアセトンを加えた。混合物を攪拌しながらフラスコ中に窒素ガスを導入し、約170℃に保持しながらで5時間に亘って重縮合を行った。こうして芳香族ポリエステル樹脂である樹脂bの溶液(樹脂溶液b)を得た。樹脂bのMnは3000、酸価は7mgKOH/gであった。
(製造例8)芳香族ポリエステル樹脂(樹脂c)の製造
かきまぜ棒、パーシャルコンデンサ、窒素ガス導入管および温度計を備えた四つ口フラスコ中に、アルコール成分構成単位となるべき芳香族系モノマー(製造例1で得たビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物)と、酸成分構成単位となるべき芳香族系モノマー(イソフタル酸およびトリメリット酸)とを、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物:イソフタル酸:トリメリット酸=1:0.95:0.05(モル比)として投入し、さらに所定量のアセトンを加えた。混合物を攪拌しながらフラスコ中に窒素ガスを導入し、約170℃に保持しながらで5時間に亘って重縮合を行った。こうして芳香族ポリエステル樹脂である樹脂cの溶液(樹脂溶液c)を得た。樹脂cのMnは2700、酸価は25mgKOH/gであった。
(製造例9)芳香族ポリエステル樹脂(樹脂d)の製造
かきまぜ棒、パーシャルコンデンサ、窒素ガス導入管および温度計を備えた四つ口フラスコ中に、アルコール成分構成単位となるべき芳香族系モノマー(製造例1で得たビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物)と、酸成分構成単位となるべき芳香族系モノマー(イソフタル酸およびトリメリット酸)とを、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物:イソフタル酸:トリメリット酸=1:0.95:0.05(モル比)として投入し、さらに所定量のアセトンを加えた。混合物を攪拌しながらフラスコ中に窒素ガスを導入し、約170℃に保持しながらで5時間に亘って重縮合を行った。こうして芳香族ポリエステル樹脂である樹脂dの溶液(樹脂溶液d)を得た。樹脂dのMnは2400、酸価は40mgKOH/gであった。以上で得られた各樹脂の構成を表1に示す。
Figure 2016080764
(製造例10)着色剤分散液の製造
ビーカーに、銅フタロシアニン(商品名「FASTOGEN Blue FDB−14」、DIC社製)(20質量部)と、着色剤分散剤(商品名「アジスパーPB−821」、味の素ファインテクノ社製)(5質量部)と、アセトン(75質量部)とを投入し、攪拌して均一に分散させた。さらにビーズミルを用いて銅フタロシアニンを微分散させることにより、着色剤分散液を得た。この着色剤分散液において着色剤(銅フタロシアニン)の体積平均粒径は0.2μmであった。
(製造例11)シェル樹脂の製造
攪拌装置、加熱冷却装置、温度計、冷却管および窒素導入管を備えた反応容器に、ドデカンジカルボン酸(286質量部)と、1,6−ヘキサンジオール(190質量部)と、縮合触媒であるチタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)(1質量部)とを入れ、生成する水を留去しながら、180℃の窒素気流下で8時間に亘って反応させた。続いて220℃まで徐々に昇温しながら、生成する水を留去しつつ窒素気流下で4時間に亘って反応させた。その後さらに0.007〜0.026MPaの減圧下で1時間に亘って反応させることにより、ポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂の融点を「ASTM D3418−82」の規定に準拠して測定したところ、その融点は68℃であった。またこのポリエステル樹脂のMnは4900であり、Mwは10000であった。
ガラス製のビーカーに、メタクリル酸2−デシルテトラデシル(80質量部)と、メタクリル酸メチル(10質量部)と、メタクリル酸(10質量部)と、ジエチルアクリルアミド(0.1質量部)と、イソシアネート基含有モノマー(商品名「カレンズMOI」、昭和電工社製)と上記で得られたポリエステル樹脂との等モル反応物(10質量部)と、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル(0.11質量部)とを入れ、20℃で攪拌して混合することによりモノマー溶液を得た。
攪拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、脱溶剤装置および窒素導入管を備えた反応容器にTHF(195質量部)を入れ、滴下ロートに上記で得られたモノマー溶液を入れた。反応容器の気相部を窒素で置換した後、密閉下70℃で1時間かけてモノマー溶液をTHF中に滴下した。モノマー溶液の滴下終了から3時間後、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル(0.05質量部)とTHF(5質量部)との混合物をTHFに添加して70℃で3時間に亘って反応させた。その後反応物を室温まで冷却した。こうして共重合体溶液を得た。
上記で得られた共重合体溶液(400質量部)を攪拌下の絶縁性液体(商品名「IPソルベント2028」、出光興産社製)(600質量部)に滴下し、40℃、0.039MPaの減圧下でTHFを留去させた。こうしてシェル樹脂の分散液を得た。この分散液に含まれるシェル樹脂のMwは100000であった。
(実施例1)
樹脂溶液A(5質量部)と、樹脂溶液d(95質量部)とを混合してコア樹脂溶液を得た。ビーカーに、コア樹脂溶液(40質量部)と着色剤分散液(20質量部)とを投入し、25℃でTKオートホモミクサー(プライミクス社製)を用いて8000rpmで攪拌し、均一に分散させた。
別のビーカーに絶縁性液体(商品名「IPソルベント2028」、出光興産社製)(67質量部)と、上記で得たシェル樹脂の分散液(11質量部)とを投入して均一に分散させた。次いでこの分散液を、TKオートホモミクサーを用いて10000rpmで攪拌しながら、着色剤を分散させたコア樹脂溶液(60質量部)を投入して2分間攪拌して混合液を得た。さらにこの混合液を、攪拌装置、加熱冷却装置、温度計および脱溶剤装置を備えた反応容器に投入し、35℃に昇温し、同温度を保持しながら0.039MPaの減圧下、アセトンの濃度が0.5質量%以下となるまでアセトンを留去させた。こうして実施例1に係る液体現像剤を得た。この液体現像剤においてトナー粒子は、樹脂Aおよび樹脂dの混合物(トナー樹脂)から構成されるコア粒子の表面に、シェル樹脂から構成されるシェル粒子が付着または被覆されてなるコア/シェル構造を有するものであった。
(実施例2〜実施例7ならびに比較例1〜比較例4)
表2に示すように、各種樹脂の組み合わせを変更することを除いては実施例1と同様にして各種液体現像剤を得た。
Figure 2016080764
<液体現像剤の評価>
以下のようにして液体現像剤を評価した。
(トナー粒子の評価)
液体現像剤に含まれるトナー粒子のメジアン径をFPIA−3000S(シスメックス社製)を用いて測定した。結果を表2に示す。測定サンプルの前処理は次の手順で行った。測定にあたりフロー溶媒には、キャリア液と同じIPソルベント2028を用いた。先ずサンプル(50mg)を採取し、分散剤としてS13940(日本ルーブリゾール社製)(30mg)を加えたIPソルベント2028(20g)中に投入した。さらにその懸濁液を超音波分散器「ウルトラソニッククリーナモデルVS−150」(ウエルボクリア社製)で約5分間に亘って分散処理して測定サンプルとした。
(HH保管性の評価)
各液体現像剤(50ml)をスクリュー瓶に入れ、蓋を開けた状態で50℃、湿度85%のHH環境で1週間保管した。保管前後でMnを測定し、保管前のMn(Mnaとする)と保管後のMn(Mnbとする)とからMnb/Mnaの値を算出し、次の3水準で評価した。結果を表2に記す
A:0.95≦Mnb/Mna≦1.00
B:0.90≦Mnb/Mna<0.95
C:Mnb/Mna<0.9
ここでは「Mnb/Mna」の値が大きいほど、HH保管性に優れていることを示している。
(画像形成装置)
実際に液体現像剤から画像を形成し、定着強度ならびに温度変化に伴う光沢の変化を評価した。ここでは先ず評価に使用した画像形成装置の構成ならびにその動作について説明する。図1は、画像形成装置100の構成の一例を示す概略概念図である。図1を参照して、現像槽5に液体現像剤6が入れられる。液体現像剤6はアニロックスローラ22によって汲み上げられ、ならしローラ21へと送られる。アニロックスローラ22の表面において余分な液体現像剤6は、ならしローラ21に達する前にアニロックス規制ブレード23によってかき取られ、ならしローラ21の表面では液体現像剤が均等な層厚を持つように調整される。その後液体現像剤は、ならしローラ21から現像剤担持体24へと転移する。
感光体1は帯電部14で帯電させられ、露光部15において感光体1上に潜像が形成される。液体現像剤に含まれるトナー粒子は、現像チャージャー26で帯電させられる。帯電させられたトナー粒子は感光体1上の潜像に対応して、現像剤担持体24から感光体1へと転移し、現像が行われることとなる。このとき感光体1に転移しなかった液体現像剤は、現像部の下流に設置されているクリーニングブレード25によって回収される。
感光体1に現像された液体現像剤は、一次転写部13で中間転写体16に静電一次転写させられる。中間転写体16に転写されずに感光体1に残留した液体現像剤は、像担持体クリーニング部のクリーニングブレード12によって回収される。
中間転写体16に担持された液体現像剤6は、二次転写部11においてメディア40(たとえば紙)に静電二次転写させられる。図1中の方向Aは、メディア40の搬送方向を示している。メディア40に転写させられた液体現像剤は、図示しない熱ローラ定着装置で定着させられる。こうしてプリントアウトされた画像が完成する。メディア40に転写されずに中間転写体16に残留した液体現像剤は、中間転写体クリーニング部のクリーニングブレード19によって回収される。感光体1は再び帯電、露光、現像のサイクルを繰り返し、プリント動作が続行される。
今回の評価では、トナー粒子を現像チャージャー26でプラスの極性に帯電させた。また中間転写体16の電位は−400V、転写ローラ30の電位は−1200Vとした。搬送速度は400mm/sとし、メディア40(紙)には王子製紙社製の「OKトップコート(128g/m2)」を使用した。
(定着強度の測定)
上記の画像形成装置を用いて、各液体現像剤からトナー付着量が3mg/m2である未定着画像(10cm×10cmのソリッドパターン)を作成し、さらに熱ローラ定着装置(熱ローラ温度100℃、NIP時間30msec)によって定着画像を作成した。このときNIP時の紙温度は約80℃であった。
定着画像においてソリッド部の定着強度をテープ剥離試験により評価した。すなわち定着画像にテープ(3M社製の「スコッチメンディングテープ」)を貼り付けた後、そのテープを剥離し、テープに剥離されてきた画像の画像濃度(ID)を反射濃度計(商品名「X−Rite model 404」、X−Rite社製)により測定し、次の3水準で評価した。結果を表2に示す
A:画像濃度(ID)0.1未満
B:画像濃度(ID)0.1以上0.15未満
C:画像濃度(ID)0.15以上
ここでは剥離されてきた画像の画像濃度(数値)が小さいほど、定着強度が高いことを示している。
(温度変化に伴う光沢変化の測定)
上記と同様にして未定着画像を作成し、さらに熱ローラ温度を90℃として定着させた定着画像と、熱ローラ温度を110℃として定着させた定着画像とを作成した。次に各定着画像の光沢度を75度光沢度計(商品名「VG−2000」、日本電色工業社製)で測定し、熱ローラ温度が90℃のときの光沢度をG90、熱ローラ温度が110℃のときの光沢度をG110として|G110−G90|を算出し、次の3水準で評価した。結果を表2に示す
A:|G110−G90|≦10
B:10<|G110−G90|≦15
C:15<|G110−G90|
ここでは|G110−G90|の値が小さいほど、温度変化に伴う光沢変化が小さいことを示している。
<結果と考察>
表1および表2より、トナー樹脂がウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とを含み、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリエステル樹脂との合計のうち、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂の占める割合が5質量%以上40質量%以下であり、かつトナー樹脂の酸価(表2中「全酸価」)が5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である実施例に係る液体現像剤は、かかる条件を満たさない比較例に係る液体現像剤に比し、いずれの評価項目においても優れた特性を示すことが分かる。
また表2より、定着強度を考慮するとトナー樹脂の酸価(全酸価)は大きいほど好ましいといえる。さらにHH保管性を考慮すると、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂の酸価は小さいほど好ましいといえる。
以上、本発明の実施形態および実施例について説明したが、上記した実施形態および各実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 感光体、5 現像槽、6 液体現像剤、11 二次転写部、12,19,25 クリーニングブレード、13 一次転写部、14 帯電部、15 露光部、16 中間転写体、21 ならしローラ、22 アニロックスローラ、23 アニロックス規制ブレード、24 現像剤担持体、26 現像チャージャー、30 転写ローラ、40 メディア、100 画像形成装置、A 方向。

Claims (4)

  1. トナー粒子が絶縁性液体中に分散されてなる液体現像剤であって、
    前記トナー粒子は、トナー樹脂と着色剤とを含み、
    前記トナー樹脂は、ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とを含み、
    前記ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂と前記芳香族ポリエステル樹脂との合計のうち、前記ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂の占める割合は、5質量%以上40質量%以下であり、
    前記トナー樹脂の酸価は、5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である、液体現像剤。
  2. 前記トナー樹脂の酸価は、20mgKOH/g以上100mgKOH/g以下である、請求項1に記載の液体現像剤。
  3. 前記ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂の酸価は、2mgKOH/g以下である、請求項1または請求項2に記載の液体現像剤。
  4. 前記トナー粒子は、前記トナー樹脂を含有するコア粒子と、シェル粒子とを含み、
    前記コア粒子の表面に、前記シェル粒子が付着または被覆されてなるコア/シェル構造を有する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の液体現像剤。
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