JP2016176979A - 液体現像剤 - Google Patents

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裕哉 岩越
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Abstract

【課題】低温定着性と耐凝集性との両特性に優れた液体現像剤を提供する。【解決手段】液体現像剤は、トナー粒子が絶縁性液体中に分散されてなる。トナー粒子は、シェル樹脂が、コア樹脂を含むコア粒子の表面に付着または被覆されてなるコア/シェル構造を有し、シェル樹脂は、親オイル部と親コア部とを有するビニル樹脂であり、親コア部はマクロモノマーに由来する構成単位である。【選択図】なし

Description

本発明は、液体現像剤に関する。
特開2009−096994号公報(特許文献1)および特開2014−066889号公報(特許文献2)には、コア/シェル構造のトナー粒子が絶縁性液体に分散された液体現像剤が開示されている。このようなコア/シェル構造を採用することにより、小粒径であり、かつ低温定着性に優れたトナー粒子を得ることができる。
特開2009−096994号公報 特開2014−066889号公報
上記のようなコア/シェル構造のトナー粒子(以下、単に「トナー粒子」ともいう)の低温定着性をさらに向上させる手法として、トナー粒子を構成する樹脂に結晶性を持たせる手法がある。しかし、トナー粒子を構成する樹脂を結晶性にすることにより、トナー粒子の耐凝集性(凝集し難さ)が低下する傾向がある。すなわち、コア/シェル構造のトナー粒子に関し、高い低温定着性と高い耐凝集性とを両立することは難しいのが現状である。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は低温定着性および耐凝集性の両特性に優れた液体現像剤を提供することにある。
本発明の液体現像剤は、トナー粒子が絶縁性液体中に分散されてなる液体現像剤であって、トナー粒子は、シェル樹脂がコア樹脂を含むコア粒子の表面に付着または被覆されてなるコア/シェル構造を有し、シェル樹脂は、親オイル部と親コア部とを有するビニル樹脂であり、親コア部は、マクロモノマーに由来する構成単位である。
上記液体現像剤において、シェル樹脂のガラス転移点は50℃以上100℃以下であることが好ましい。
上記液体現像剤において、シェル樹脂のうち親コア部が占める割合は15質量%以上55質量%以下であることが好ましい。
上記によれば、低温定着性および耐凝集性の両特性に優れる液体現像剤を提供することができる。
電子写真方式の画像形成装置の構成の一例を示す概略概念図である。 液体現像剤の耐凝集性を評価するために用いた装置の概略概念図である。
以下、本発明に係る実施の形態についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本明細書において「A〜B」という形式の表記は、範囲の上限下限を意味しており、Aにおいて単位の記載がなく、Bにおいてのみ単位が記載されている場合、Aの単位とBの単位とは同じである。
[液体現像剤の構成]
本実施の形態の液体現像剤は、電子写真方式の画像形成装置(たとえば複写機、プリンタ、デジタル印刷機あるいは簡易印刷機等)に用いられる現像剤として有用である。こうした液体現像剤は、用途に応じて、電子写真用液体現像剤、塗料、静電記録用液体現像剤、インクジェットプリンタ用油性インク、電子ペーパー用インク等と呼称されることもある。
液体現像剤は、トナー粒子が絶縁性液体中に分散されてなる。液体現像剤は、絶縁性液体とトナー粒子とを含む限り、他の任意の成分を含むことができる。他の成分としては、荷電制御剤、増粘剤、トナー粒子分散剤等を挙げることができる。液体現像剤においてトナー粒子と絶縁性液体との配合割合は、たとえばトナー粒子を10〜50質量%程度、絶縁性液体を50〜90質量%程度とすることができる。
<トナー粒子>
トナー粒子は、樹脂と着色剤(顔料)とを含む。より具体的には、本実施の形態のトナー粒子は、シェル樹脂が、コア樹脂を含むコア粒子の表面に付着または被覆されてなるコア/シェル構造を有し、かつシェル粒子およびコア粒子の少なくとも一方に着色剤が含まれているものである。なお、シェル樹脂は、粒子形状を有するシェル粒子としてトナー粒子を被覆してもよく、層状のシェル層としてトナー粒子を被覆してもよい。本実施形態では、シェル樹脂がシェル粒子としてトナー粒子を被覆する場合について記す。
トナー粒子は、樹脂と着色剤以外にも、たとえば着色剤分散剤、ワックス、荷電制御剤等の添加剤を含むこともあり得る。樹脂(シェル樹脂およびコア樹脂の合計量)と着色剤との配合割合は、トナー粒子を所定の付着量で記録材に定着させたとき、発現する濃度が所望の濃度となるように決定するとよい。なお、着色剤、および着色剤分散剤、ワックス、荷電制御剤等の添加剤は、シェル樹脂中に含まれてもよく、コア粒子中に含まれてもよい。
トナー粒子において、シェル樹脂(X)とコア樹脂(Y)との質量比[X:Y]は、好ましくは1:99〜70:30である。トナー粒子の粒径の均一性および液体現像剤の耐熱安定性等の観点から、上記比率[X:Y]は、より好ましくは2:98〜50:50であり、さらに好ましくは3:97〜35:65である。
トナー粒子のメジアン径は、0.5〜5.0μmが好ましい。トナー粒子のメジアン径が0.5μm未満となると、粒子径が過度に小さいために電界での移動性が悪化して現像性が低下する場合があり、5.0μmを超えると、粒子の均一性が低下して画質が劣化する場合がある。
ここで「メジアン径」は、体積基準の粒度分布における積算値50%での粒径(いわゆるD50)を示している。上記メジアン径の範囲は、従来の乾式現像剤におけるトナー粒子の粒径と比較して小さいものであり、液体現像剤の特徴のひとつを示すものである。トナー粒子のメジアン径は、より好ましくは1.0〜2.0μmである。
トナー粒子の円形度の算術平均値(平均円形度)は0.85〜0.95が好ましく、円形度の標準偏差は0.01〜0.1が好ましい。円形度の平均値および標準偏差が上記範囲を占めることにより、転写性およびクリーニング性が向上するからである。
ここで「円形度」とは、2次元に投影した粒子面積と等しい面積の円の周囲長を粒子周囲長で除した値を示している。
各粒子のメジアン径、平均円形度および円形度の標準偏差は、いずれもフロー式粒子画像解析装置(たとえば商品名「FPIA−3000S」、シスメックス社製)等を用いて測定することができる。「FPIA−3000S」では、液体現像剤に含まれる絶縁性液体をそのまま測定時の分散媒体として使用できる。よってこの装置を使用すれば、トナー粒子を水系溶媒に再分散させて測定する場合等に比べて、より実際の分散状態を反映した結果を得ることができる。
<シェル粒子>
シェル粒子は、コア粒子の表面に付着し、その分散性を高める作用を有する、いわば高分子分散剤のような作用を示す。シェル粒子は主にシェル樹脂から構成される。また、シェル粒子は、着色剤、添加剤などを含んでも良い。
シェル粒子の体積平均粒径(メジアン径)は、トナー粒子の粒径が所望の範囲となるように適宜調整すればよい。トナー粒子中におけるシェル粒子のメジアン径は、シェル粒子分散液に含まれるシェル粒子のメジアン径を調整することにより、最終的に得られるトナー粒子におけるシェル粒子のメジアン径を所望の大きさに設計することができる。
シェル粒子のメジアン径は、好ましくは0.0005〜3μmである。シェル粒子のメジアン径の上限は、より好ましくは2μmであり、さらに好ましくは1μmである。シェル粒子のメジアン径の下限は、より好ましくは0.01μmであり、さらに好ましくは0.02μmであり、最も好ましくは0.04μmである。たとえばメジアン径が1μmのトナー粒子を得たい場合には、シェル粒子のメジアン径は、好ましくは0.0005〜0.3μmであり、より好ましくは0.001〜0.2μmである。たとえばメジアン径が10μmのトナー粒子を得たい場合には、シェル粒子のメジアン径は、好ましくは0.005〜3μmであり、より好ましくは0.05〜2μmである。
(シェル樹脂)
本実施形態のシェル樹脂は、コア粒子に対して親和性の高い親コア部と、絶縁性液体に対して親和性の高い親オイル部とを有するビニル樹脂である。
ビニル樹脂とは、重合性二重結合を有するモノマー(以下、「ビニルモノマー」ともいう)が重合することで構成される樹脂であり、このビニルモノマーとしては、たとえば下記(1)〜(10)が挙げられる。
(1)重合性二重結合を有する炭化水素
(2)カルボキシル基と重合性二重結合とを有するモノマーおよびそれらの塩
(3)スルホ基と重合性二重結合とを有するモノマーおよびそれらの塩
(4)ホスホノ基と重合性二重結合とを有するモノマーおよびその塩
(5)ヒドロキシル基と重合性二重結合とを有するモノマー
(6)重合性二重結合を有する含窒素モノマー
(7)エポキシ基と重合性二重結合とを有する炭素数が6〜18のモノマー
(8)ハロゲン元素と重合性二重結合とを有する炭素数が2〜16のモノマー
(9)重合性二重結合を有する炭素数が4〜16のエステル
(10)重合性二重結合を有する環状炭化水素。
シェル樹脂がビニル樹脂であることにより、親コア部を構成する構成単位となるべきビニルモノマーと、親オイル部を構成する構成単位となるべきビニルモノマーとを共重合させることによって、親オイル部と親コア部とを有するビニル共重合体(シェル樹脂)を容易に製造することができる。
ビニル樹脂の具体例としては、たとえばスチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン(無水)マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−ジビニルベンゼン共重合体、およびスチレン−スチレンスルホン酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
(シェル樹脂に含まれる親コア部)
親コア部は、上述のように、シェル樹脂のうち、コア粒子に対して親和性の高い部分である。コア粒子に対して親和性が高いとは、親コア部のSP値とコア樹脂のSP値との差が0〜2であることを意味する。なお、親コア部のSP値に関し、絶縁性液体のSP値との差は、コア樹脂のSP値との差よりも大きい。
ここで本明細書における「SP値」は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]により計算された値を示すものとする。
特に、本実施の形態のシェル樹脂は、親コア部がマクロモノマーに由来する構成単位であることを特徴とする。本明細書において「マクロモノマー」とは重合性二重結合を有する高分子であり、「マクロモノマーに由来する構成単位」とは「マクロモノマー」が他のビニルモノマーと共重合した後の構造体を意味する。すなわち、シェル樹脂において「マクロモノマー」のうちの重合性二重結合がシェル樹脂の主鎖の構成要素となり、「マクロモノマー」のうち重合性二重結合以外であって高分子量の官能基を含む部分がシェル樹脂の側鎖となり、この主鎖部分および側鎖部分を含むマクロモノマー由来の構成単位が、シェル樹脂中の親コア部となる。
シェル樹脂の親コア部がマクロモノマーに由来する構成単位(以下「構成単位A」とも記す)を有する場合、トナー粒子は、高い低温定着性を有することができるとともに、高い耐凝集性を有することができる。この理由は明確ではないが、構成単位Aのような嵩高い化合物が、シェル粒子(シェル層)内におけるコア粒子側に位置することが、上記効果に寄与していると推察される。
構成単位Aの数平均分子量(Mn)は通常2000〜30000である。トナー粒子の耐凝集性をより向上させる点からは、構成単位AのMnは2500以上が好ましく、4000以上がより好ましい。またトナー粒子の低温定着性をより向上させる点からは、構成単位AのMnは20000以下が好ましく、15000以下がより好ましい。なお構成単位AのMnはマクロモノマーのMnと一致する。
好ましいマクロモノマーとしては、ポリスチレンの片末端(一端)に(メタ)アクリル基またはスチリル基が結合したもの、ポリ(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数;1〜4)の片末端に(メタ)アクリル基が結合したものなどを挙げることができる。ポリ(メタ)アクリル酸アルキルの具体例としては、ポリ(メタ)アクリル酸n−ブチル、ポリ(メタ)アクリル酸i−ブチル等がある。
上記のような本実施の形態に好ましいマクロモノマーに相当する市販品としては、東亞合成工業(株)製の片末端メタクリル化ポリスチレン(Mn=6000、商品名「AS−6」)、片末端メタクリル酸メチル(Mn=6000、商品名「AA−6」)、片末端メタクリル化ポリアクリル酸n−ブチル(Mn=6000、商品名「AB−6」)を挙げることができる。
シェル樹脂のうち親コア部の占める割合は、15〜55質量%が好ましい。15質量%未満の場合、トナー粒子の耐凝集性が低下する傾向があり、55質量%を超えると、トナー粒子の低温定着性が低下する傾向がある。上記割合は、より好ましくは20〜50質量%であり、さらに好ましくは25〜50質量%であり、特に好ましくは35〜50質量%である。
上記に関し、トナー粒子中のシェル樹脂が、構成単位Aよりなる親コア部を有することは、たとえば次のようにして確認することができる。まず、トナー粒子をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)で分取することにより、シェル樹脂(シェル粒子)とコア樹脂(コア粒子)とを分離する。そして、シェル樹脂に対し、フーリエ変換核磁気共鳴装置(FT−NMR)(商品名:「Lambda400」、日本電子株式会社製)を用いて1H−NMR分析を行うことにより、シェル樹脂中に構成単位Aが存在することが確認される(なお、測定溶媒はクロロホルム−d(重クロロホルム)溶剤を用いることができる)。そして、構成単位AのSP値とコア樹脂のSP値とを測定し、その差が0〜2である場合には、シェル樹脂が構成単位Aよりなる親コア部を有すると特定できる。
なお上述のようなシェル樹脂が「構成単位Aよりなる親コア部を有する」ことは、液体現像剤(トナー粒子)の製造工程から特定することもできる。すなわち、トナー粒子の製造工程において、シェル樹脂の製造時にマクロモノマーを用いており、そのSP値とコア樹脂のSP値との関係を特定することにより、シェル樹脂が「構成単位Aよりなる親コア部を有する」ことが特定され、そのマクロモノマーのMnから「構成単位AのMn」が特定される。またマクロモノマーの他、親オイル部となり得るモノマー、オリゴマー等を用いていた場合、マクロモノマーと他のモノマー等との配合割合から「シェル樹脂における親コア部の割合」が特定される。「構成単位AのMn」、および「シェル樹脂における親コア部の占める割合」についても、同様の方法により特定される。
(シェル樹脂に含まれる親オイル部)
親オイル部は、上述のように、シェル樹脂のうち、絶縁性液体に対して親和性の高い部分である。絶縁性液体に対して親和性が高いとは、親オイル部のSP値と絶縁性液体のSP値との差が0〜2であることを意味する。なお、親オイル部のSP値に関し、コア樹脂のSP値との差は、絶縁性液体のSP値との差よりも大きい。
本明細書において親オイル部とは、重合性二重結合を有する化合物Bからなるモノマーが他のビニルモノマーと共重合した後の構成単位Bよりなる構造体を意味する。すなわち、シェル樹脂において化合物Bのうちの重合性二重結合がシェル樹脂の主鎖の構成要素となり、化合物Bのうちの重合性二重結合以外の部分がシェル樹脂の側鎖となり、この主鎖部分および側鎖部分を含む化合物B由来の構成単位Bが、シェル樹脂中の親オイル部となる。
親オイル部のMnは100〜1000であることが好ましく、100〜500であることがより好ましい。この場合、親オイル部の特性(結晶性等)にかかわらず、親コア部のガラス転移点をシェル樹脂のガラス転移点に反映させ易くなるため、後述するガラス転移点の制御が容易となる。特に親オイル部は非結晶性であることが好ましい。この場合、シェル樹脂のガラス転移点の制御がより容易となる。なお親オイル部(構成単位B)のMnは化合物BのMnと一致する。
好ましい化合物Bとしては、たとえば(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシルおよび(メタ)アクリル酸エイコシル、(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデシルなどを挙げることができる。
上記に関し、トナー粒子中のシェル樹脂が構成単位Bよりなる親オイル部を有することは、たとえば次のようにして確認することができる。まず、トナー粒子をGPCで分取することにより、シェル樹脂(シェル粒子)とコア樹脂(コア粒子)とを分離する。そして、シェル樹脂に対し、上述と同様の1H−NMR分析を行うことにより、シェル樹脂中に構成単位Bが存在することが確認される。そして、構成単位BのSP値と絶縁性液体のSP値とを測定し、その差が0〜2である場合には、シェル樹脂が構成単位Bよりなる親オイル部を有すると特定できる。
また本明細書において「結晶性の樹脂」とは、樹脂の軟化点(以下「Tm」と略記する)と樹脂のDSCの融解熱の最大ピーク温度(以下「Ta」と略記する)との比(Tm/Ta)が0.8以上1.55以下である樹脂を意味し、示差走査熱量測定(DSC(Differential Scanning Calorimetry))により得られた熱量変化の結果が階段状の吸熱量変化を示すのではなく明確な吸熱ピークを有することを意味する。一方「非結晶性の樹脂」とは、TmとTaとの比(Tm/Ta)が1.55より大きい樹脂を意味する。TmおよびTaは以下の方法で測定することができる。
高化式フローテスター(たとえば(株)島津製作所製の「CFT−500D」)を用いて、Tmを測定することができる。具体的には、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャーにより上記測定試料に1.96MPaの荷重を与え、直径1mmおよび長さ1mmのノズルから上記測定試料を押し出す。そして、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」との関係をグラフに描く。プランジャーの降下量が当該降下量の最大値の1/2であるときの温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分がノズルから押し出されたときの温度)をTmとする。
示差走査熱量計(たとえばセイコーインスツル(株)製の「DSC210」)を用いてTaを測定することができる。具体的には、まず、Taを測定するために用いる試料に対して前処理を行なう。試料を、130℃で溶融した後、130℃から70℃まで1.0℃/分の速度で降温させ、その後、70℃から10℃まで0.5℃/分の速度で降温させる。次に、DSC法により、試料を昇温速度20℃/分で昇温させて当該試料の吸発熱変化を測定し、「吸発熱量」と「温度」との関係をグラフに描く。このとき、20〜100℃に観測される吸熱ピークの温度をTa’とする。吸熱ピークが複数ある場合には最も吸熱量が大きいピークの温度をTa’とする。そして、試料を、(Ta’−10)℃で6時間保管した後、(Ta’−15)℃で6時間保管する。
次に、DSC法により、上記前処理が施された試料を降温速度10℃/分で0℃まで冷却してから昇温速度20℃/分で昇温させて吸発熱変化を測定し、「吸発熱量」と「温度」との関係をグラフに描く。そして、吸熱量が最大値をとったときの温度を融解熱の最大ピーク温度(Ta)とする。
(シェル樹脂に含まれる他の成分)
シェル樹脂は、上述の親コア部および親オイル部のみから構成されていてもよく、さらに、他のモノマー由来の構成単位を有していてもよい。他のモノマー由来の構成単位を有する場合、マクロモノマー構造体のような比較的嵩高い化合物をシェル樹脂中に安定的に配置させることができる。
他のモノマーとしては、カルボキシル基と重合性二重結合とを有するモノマー、アミノ基と重合性二重結合を有するモノマー等を有していてもよい。
シェル樹脂中における上記他のモノマー由来の構成単位は、1〜30質量%が好ましい。30質量%を超えるとトナー粒子の低温定着性に不利に働く傾向がある。また、5〜25質量%がより好ましく、10〜25質量%がさらに好ましく、20〜25質量%が特に好ましい。なお、シェル樹脂中における他のモノマー由来の構成単位の割合は、「シェル樹脂における親コア部の割合」の特定方法と同様の方法により確認することができる。
(シェル樹脂のガラス転移点)
シェル樹脂は、50〜100℃のガラス転移点を有することが好ましく、50〜60℃のガラス転移点を有することがより好ましく、52℃〜58℃のガラス転移点を有することがさらに好ましい。この理由は以下のとおりである。
画像形成装置中においては、現像ローラとブレード間の摩擦等によって装置内が高温になり易く、使用状況によっては液体現像剤の温度が40〜50℃にまで上昇する場合があるが、シェル樹脂が上記のようなガラス転移点を有する場合、画像形成装置内で生じ得る高温環境下においても、トナー粒子の軟化を効果的に抑制することができ、もってトナー粒子の耐凝集性をさらに高めることができる。
これに対し、たとえば、コア樹脂およびシェル樹脂の両樹脂のガラス転移点を従来と比して高くした場合、トナー粒子が軟化し難くなり過ぎて(硬くなり過ぎて)低温定着性に不利に働き、結果的に上記両特性に優れることができないおそれがある。また、コア樹脂のガラス転移点のみを従来と比して高くしても、コア樹脂はトナー粒子中において最表面に位置しないため、耐凝集性の向上に十分に寄与することができないおそれがある。
すなわち、シェル樹脂のガラス転移点を従来と比して高くすることにより、トナー粒子が軟化し難くなり過ぎる(硬くなり過ぎる)ことなく、また、耐凝集性の向上に十分に寄与することができるため、結果的に、トナー粒子の低温定着性および耐凝集性の両特性をさらに底上げすることができる。特に、本実施の形態においては、高いガラス転移点を有するマクロモノマーを用いてシェル樹脂が作製されることにより、シェル樹脂のガラス転移点を容易に高めることができる。
樹脂のガラス転移点は、示差走査熱量測定装置(セイコーインスツル製の「DSC20」または「SSC/580」等)を用いて「ASTM D3418−82」に準拠した方法で測定された値を示すものとする。
特に、液体現像剤中のトナー粒子に含まれるシェル樹脂のガラス転移点を測定する方法としては、次の方法が挙げられる。まず、液体現像剤に対して遠心分離を行い、上澄み液を除去し、残った固形成分を有機溶剤で洗浄し、その後乾燥処理する。これにより、液体現像剤からトナー粒子が分離される。次に、トナー粒子を溶剤に溶解させ、GPCにより、シェル粒子(A)と、コア粒子(B)とを分離する。その後、シェル粒子(A)を乾燥させて、上述の方法によりシェル樹脂のガラス転移点を測定する。GPCの条件は、後述するシェル樹脂のMnの測定時の条件と同様とすることができる。
(シェル樹脂のMn)
シェル樹脂のMnは、好ましくは100〜5000000であり、より好ましくは200〜5000000であり、特に好ましくは500〜500000である。
ここで本明細書における樹脂(ポリウレタン樹脂を除く)のMnおよび重量平均分子量(以下「Mw」と記す)は、テトラヒドロフラン(以下「THF」と略記する)の可溶分について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)を用いて、次の条件で測定されたものである(ウレタン変性脂肪族ポリエステル樹脂のMnおよびMwも、この方法により測定されたものである)。
測定装置:東ソー社製の「HLC−8120」
カラム:東ソー社製の「TSKgelGMHXL」(2本)と東ソー社製の「TSKgelMultiporeHXL−M」(1本)
試料溶液:0.25質量%のTHF溶液
カラムへの試料溶液の注入量:100μl
流速:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:東ソー社製の標準ポリスチレン(TSK standard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000)。
また本明細書においてポリウレタン樹脂のMnおよびMwは、GPCを用いて次の条件で測定されたものである。
測定装置:東ソー社製の「HLC−8220GPC」
カラム:東ソー社製の「TSK guardcolumn α」(1本)と東ソー社製の「TSKgel α−M」(1本)
試料溶液:0.125質量%のジメチルホルムアミド溶液
カラムへのジメチルホルムアミド溶液の注入量:100μl
流速:1ml/分
測定温度:40℃
検出装置:屈折率検出器
基準物質:東ソー社製の標準ポリスチレン(TSK standard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000)。
(シェル樹脂のSP値)
シェル樹脂のSP値は、好ましくは7〜18(cal/cm31/2程度であり、より好ましくは8〜14(cal/cm31/2程度である。なお、シェル樹脂にはSP値の異なる親コア部と親オイル部とが含まれるが、シェル樹脂のSP値とは、シェル樹脂全体のSP値を意味する。
<コア粒子>
コア粒子は、主にコア樹脂から構成される。コア粒子は、着色剤、添加剤などを含んでもよい。
コア粒子のメジアン径は、トナー粒子の粒径が所望の範囲となるように適宜調整すればよい。コア粒子のメジアン径は、好ましくは0.8〜4.0μmである。たとえばメジアン径が1.0μmのトナー粒子を得たい場合には、コア粒子のメジアン径は、好ましくは0.8〜1.0μmであり、より好ましくは0.9〜1.0μmである。
(コア樹脂)
コア樹脂は、シェル樹脂とは異なる樹脂であればよく、たとえばポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、および、ポリカーボネート樹脂等を挙げることができる。
特に、本実施の形態において、コア樹脂は、脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とを含むことが好ましく、より好ましくは、コア樹脂を構成する樹脂のうち90質量%以上が脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とからなる。なお脂肪族ポリエステル樹脂とは、ポリマー(樹脂)を構成するモノマーの90質量%以上が脂肪族モノマーからなるポリエステル樹脂をいい、芳香族ポリエステル樹脂とは、ポリマーを構成するモノマーの90質量%以上が芳香族モノマーからなるポリエステル樹脂をいう。
コア樹脂が脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリエステル樹脂を含むことが好ましい理由は以下のとおりである。
脂肪族ポリエステル樹脂は結晶性を有するため、トナー粒子の低温定着性に対して優位である反面、樹脂の硬度が低い傾向にあるために、トナー粒子の硬度に対しては劣位である。したがって、たとえば、トナー粒子を構成するコア粒子が脂肪族ポリエステル樹脂を主成分(たとえば50質量%以上)とする場合、トナー粒子が凝集しやすくなる恐れがある。
一方、芳香族ポリエステル樹脂は非結晶性であるため、脂肪族ポリエステル樹脂と比して硬度が高いことから耐凝集性の点で優れ、低温定着性の点で劣る傾向にある。たとえば芳香族ポリエステル樹脂の分子量を小さく設計して軟化点を低下させることによって、低温定着性の優位性を高めることは可能であるものの、この場合、ガラス転移点の低下も引き起こされるために、耐凝集性に劣位になる恐れがある。
これに対し、芳香族ポリエステル樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂とを混合することにより、芳香族ポリエステル樹脂の分子量を小さく設計しなくとも、芳香族ポリエステル樹脂の軟化点を大きく低下させることができる。したがって、両者を適切に混合することにより、互いの劣位性を効果的に補うことができるために、結果的に、トナー粒子の低温定着性と耐凝集性とを共に高めることが可能となる。
またコア樹脂を構成する樹脂のうち90質量%以上がポリエステル樹脂(脂肪族ポリエステル樹脂および芳香族ポリエステル樹脂)からなることが好ましい理由は、ポリエステル樹脂以外の樹脂の含有率が10質量%を超えると、ポリエステル樹脂の規則的な配列が阻害されるおそれがあるからである。なおコア樹脂は全量のうち10質量%以下であれば、ポリエステル樹脂以外の樹脂を含むこともできる。そうした樹脂としての好ましい例は、スチレン−アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂等である。
コア樹脂中におけるポリエステル樹脂の割合に関し、脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリエステル樹脂との合計量のうち、脂肪族ポリエステル樹脂の占める割合が5〜40質量%以下であることが好ましい。この場合、コア粒子自身が低温定着性および耐凝集性の両特性に優れることができるため、結果的に、トナー粒子の低温定着性および耐凝集性を底上げすることができる。また、シェル樹脂のガラス転移点を比較的高く設計することによる不利益を、コア樹脂の底上げによって十分に相殺することもできる。上記割合は、より好ましくは10〜35質量%であり、特に好ましくは15〜30質量%である。
ここで、コア樹脂を構成するポリエステル樹脂は、多価カルボン酸(酸成分)と多価アルコール(アルコール成分)との重縮合反応により合成されるものである。このため、ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸に由来する酸成分としての構成単位(酸成分構成単位)と、多価アルコールに由来するアルコール成分(アルコール成分構成単位)としての構成単位とが交互に繰り返された構成を有する。
すなわち、脂肪族ポリエステル樹脂では、全構成単位のうち90%以上が、脂肪族系モノマーに由来する酸成分構成単位と脂肪族系モノマーに由来するアルコール成分構成単位とから構成される。また芳香族ポリエステル樹脂では、全構成単位のうち90%以上が、芳香族系モノマーに由来する酸成分構成単位と芳香族系モノマーに由来するアルコール成分構成単位とから構成される。
酸成分構成単位となるべき脂肪族系モノマーとしては、たとえば脂肪族多価カルボン酸およびその低級アルキルエステルや酸無水物が挙げられる。具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、およびこれらの低級アルキルエステルまたは酸無水物等が挙げられる。樹脂に結晶性を付与しやすいとの観点から、これらのうちアジピン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸が好ましい。酸成分構成単位となるべき脂肪族系モノマーは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
アルコール成分構成単位となるべき脂肪族系モノマーとしては、脂肪族多価アルコール等が挙げられる。具体的には、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオール等が挙げられる。脂肪族ポリエステル樹脂に結晶性を付与しやすいとの観点から、これらのうちエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。アルコール成分構成単位となるべき脂肪族系モノマーは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
一方、酸成分構成単位となるべき芳香族系モノマーとしては、芳香族多価カルボン酸およびその低級アルキルエステルや酸無水物等が挙げられる。具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、トリメリット酸等を例示することができる。入手の容易さを考慮すると、これらのうちテレフタル酸、イソフタル酸、t−ブチルイソフタル酸等が好ましい。
アルコール成分構成単位となるべき芳香族系モノマーとしては、芳香族多価アルコールとして、たとえば下記化学式(I)で表わされるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等を例示することができる。
Figure 2016176979
上記化学式(I)中、R1およびR2はそれぞれ独立してアルキレン基を示し、mおよびnはそれぞれ独立して0または正の整数を示すが、両者の和(m+n)は1〜16である。
上記のポリエステル樹脂からなるコア樹脂は、脂肪族系モノマーのみを共重合させて得られる脂肪族ポリエステルと、芳香族系モノマーのみを共重合させて得られる芳香族ポリエステルとを、トナー粒子形成時に混合して製造することが好ましい。この場合、トナー粒子形成時よりも前に両者を混合した場合と比して、トナー粒子の低温定着性と耐凝集性とをより向上させることができる。また、コア樹脂として、上記のポリエステル樹脂をイソシアネート基で鎖長させたウレタン変性ポリエステル樹脂を使用しても良い。
なお、コア樹脂中に脂肪族ポリエステル樹脂および芳香族ポリエステル樹脂が含まれることは、核磁気共鳴(NMR:Nuclear Magnetic Resonance)分析法および質量分析法(MS:Mass Spectrometry)によって確認することができる。また、コア樹脂中における脂肪族ポリエステル樹脂および芳香族ポリエステル樹脂の含有割合は、フーリエ変換核磁気共鳴分析装置(FT−NMR)、たとえば日本電子社製の「Lambda400」を用いて、1H−NMR分析を行なってその積分比により決定することができる。
(コア樹脂のMn)
コア樹脂のMnは、好ましくは1000〜25000であり、より好ましくは1500〜15000である。また、コア樹脂のMwは、好ましくは2000〜20000でり、より好ましくは3000〜30000である。
(コア樹脂の酸価)
コア樹脂の酸価は、20〜100mgKOH/gであることが好ましく、この場合、さらにコア粒子の低温定着性および耐凝集性の両特性を向上させることができ、結果的にトナー粒子の低温定着性および耐凝集性を底上げすることができる。これに対し、コア樹脂の酸価が20mgKOH/g未満になると十分な低温定着性を維持することができない傾向があり、酸価が100mgKOH/gを超えると十分な耐凝集性を維持することができない傾向がある。
ここで本明細書において、樹脂の酸価は、樹脂(10g)を、トルエン、アセトンおよびメタノールをトルエン:アセトン:メタノール=50:25:25(質量比)で混合した混合溶剤(100ml)に溶解させ、フェノールフタレインを指示薬として、0.1Nの水酸化カリウムエタノール溶液で滴定して求めることができる。
コア樹脂の酸価は、より好ましくは10〜100mgKOH/gであり、特に好ましくは20〜80mgKOH/gである。なお、コア樹脂の酸価とは、コア樹脂が脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とを含む場合には、両樹脂を混合した後の酸価を意味する。
(コア樹脂のSP値)
コア樹脂のSP値は、好ましくは8〜16(cal/cm31/2程度であり、より好ましくは9〜14(cal/cm31/2程度である。
<絶縁性液体>
液体現像剤に含まれる絶縁性液体は、静電潜像を乱さない程度の抵抗値(1011〜1016Ω・cm程度)のものであれば良い。さらに臭気、毒性が低い溶媒が好ましい。一般的に、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ポリシロキサン等が挙げられる。特に臭気、無害性、コストの点から、ノルマルパラフィン系溶媒、イソパラフィン系溶媒が好ましい。具体的には、モレスコホワイト(商品名、松村石油研究所社製)、アイソパー(商品名、エクソンモービル社製)、シェルゾール(商品名、シェル石油化学社製)、IPソルベント1620、IPソルベント2028、IPソルベント2835(いずれも商品名、出光興産社製)等を挙げることができる。
<着色剤>
着色剤は、シェル粒子およびコア粒子の少なくともいずれか一方の中に分散されている。着色剤の粒径は0.3μm以下であることが好ましい。着色剤の粒径が0.3μmを超えると分散性が悪くなり、光沢度が低下して所望の色目を実現できなくなる場合もある。
着色剤には従来公知の顔料等を特に制限なく使用することができるが、コスト、耐光性、着色性等の観点に基づいて顔料を選択することが好ましい。ここで色彩構成上、顔料は、通常ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料に分類され、基本的にブラック以外の色彩(カラー画像)はイエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料の減法混色により調色される。これらの顔料は、必要に応じて単独もしくは2つ以上を選択して使用することもできる。
<着色剤分散剤>
着色剤分散剤は、トナー粒子中に着色剤を均一に分散させる作用を有するものであり、塩基性分散剤を使用することが好ましい。ここで「塩基性分散剤」とは、以下に定義されるものをいう。
すなわち着色剤分散剤(0.5g)と蒸留水(20ml)とをガラス製スクリュー管に入れ、さらにペイントシェーカーを用いて30分間振り混ぜた後、ろ過することにより得られたろ液のpHを、pHメータ(商品名「D−51」、堀場製作所製)を用いて測定し、そのpHが7より大きい場合を塩基性分散剤とする(そのpHが7より小さい場合は、酸性分散剤と呼ぶものとする)。
塩基性分散剤の種類は特に限定されない。たとえば、分散剤の分子内にアミン基、アミノ基、アミド基、ピロリドン基、イミン基、イミノ基、ウレタン基、四級アンモニウム基、アンモニウム基、ピリジノ基、ピリジウム基、イミダゾリノ基、およびイミダゾリウム基等の官能基を有する化合物(分散剤)を挙げることができる。ここで分散剤とは、通常、分子中に親水性の部分と疎水性の部分とを有するいわゆる界面活性剤が該当するが、上記のとおり着色剤(顔料)を分散させる作用を有する限り、種々の化合物を用いることができる。
塩基性分散剤の市販品としては、たとえば味の素ファインテクノ社製の「アジスパーPB−821」(商品名)、「アジスパーPB−822」(商品名)、「アジスパーPB−881」(商品名)、日本ルーブリゾール社製の「ソルスパーズ28000」(商品名)、「ソルスパーズ32000」(商品名)、「ソルスパーズ32500」(商品名)、「ソルスパーズ35100」(商品名)、「ソルスパーズ37500」(商品名)等を挙げることができる。
また着色剤分散剤には、絶縁性液体(キャリア液)に溶解しないものを選択することがより好ましい。その理由から味の素ファインテクノ社製の「アジスパーPB−821」(商品名)、「アジスパーPB−822」(商品名)、「アジスパーPB−881」(商品名)がより好ましい。詳細なメカニズムは不明ながら、このような着色剤分散剤を使用すると、トナー粒子の形状を制御しやすい傾向にある。着色剤分散剤は、1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を併用してもよい。
着色剤分散剤は、着色剤(顔料)に対して1〜100質量%添加することが好ましく、1〜40質量%添加することがより好ましい。添加量が1質量%未満では、着色剤の分散性が不十分となる場合があり、必要なID(画像濃度)が達成できないだけでなく、定着強度も低下する場合がある。また添加量が100質量%を超えると、顔料に対して必要量以上の分散剤が添加されることになり、余剰の分散剤が絶縁性液体中に溶解して、トナー粒子の荷電性、定着強度等に悪影響を及ぼす場合もある。
[液体現像剤の製造方法]
本実施の形態の液体現像剤は、次のようにして製造することができる。まず、シェル樹脂およびコア樹脂を準備する。これらは、従来公知の方法、たとえば分散重合法、乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、シード重合法、または懸濁重合法等によって製造される。
そして、得られたシェル樹脂、コア樹脂、および絶縁性液体を用いて、造粒法、粉砕法等の従来公知の方法を適用することによって、コア/シェル構造を有するトナー粒子が製造され、最終的に、トナー粒子が絶縁性液体中に分散された液体現像剤が製造される。
上記粉砕法は、予め樹脂と着色剤とを溶融混練し、粉砕する方法である。かかる粉砕は乾式状態、あるいは湿式状態(絶縁性液体中)で行うことができる。上記造粒法としては、懸濁重合法、乳化重合法、微粒子凝集法、樹脂溶液に貧溶媒を添加し析出させる方法、スプレードライ法等を挙げることができる。小径でシャープな粒度分布を有するトナー粒子を得るためには、粉砕法よりも造粒法が好ましい。溶融性の高い樹脂または結晶性の高い樹脂は、常温でも柔らかく粉砕し難いからである。造粒法によれば、こうした樹脂であっても所望の粒径に制御しやすい。
以下に、造粒法を用いた液体現像剤の製造方法の一例として、樹脂溶液に貧溶媒を添加して析出させる方法を用いた製造方法を説明する。
まず、シェル樹脂およびコア樹脂を従来公知の方法によって製造する。次に、シェル粒子が分散された微粒子分散液を調整する。シェル粒子の製造方法は、特に制限されず、従来公知のいかある方法で製造してもよい。たとえば、以下(1)〜(7)の方法でシェル粒子を製造することができる。シェル粒子の製造のしやすさを考慮すると、下記のうち(4)、(6)および(7)の方法が好ましく、(6)および(7)の方法がより好ましい。
(1)ジェットミル等の公知の乾式粉砕機を用いてシェル樹脂を乾式で粉砕させる
(2)シェル樹脂の粉末を有機溶剤中に分散させ、ビーズミルまたはロールミル等の公知の湿式分散機を用いて湿式で粉砕させる
(3)スプレードライヤー等を用いてシェル樹脂の溶液を噴霧し、乾燥させる
(4)シェル樹脂の溶液に対して貧溶媒の添加または冷却を行なって、シェル樹脂を過飽和させて析出させる
(5)シェル樹脂の溶液を水または有機溶剤中に分散させる
(6)シェル樹脂の前駆体を水中で乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、シード重合法、または懸濁重合法等により重合させる
(7)シェル樹脂の前駆体を有機溶剤中で分散重合等により重合させる。
次に、良溶媒にコア樹脂を溶解させてコア樹脂溶液とし、SP値がこの良溶媒と異なる貧溶媒(絶縁性液体)に対して、コア樹脂溶液をシェル樹脂の微粒子分散液とともに混合し、せん断を与えて液滴を形成した後、良溶媒を揮発させる。これにより、コア/シェル構造のトナー粒子が絶縁性液体に分散された液体現像剤を得ることができる。
この方法によれば、せん断の与え方や界面張力差等を適宜調整することにより、トナー粒子の体積平均粒径および形状を所望の範囲に制御することができる。
[画像形成]
本実施の形態の液体現像剤は、画像形成装置に適用されることによって画像を形成することができる。画像形成装置の構成は、特に限定されず、たとえば、単色の液体現像剤が感光体から中間転写体へ一次転写後に記録媒体に二次転写される単色画像形成装置、単色の液体現像剤が感光体から記録媒体に直接転写される画像形成装置、または、複数種の液体現像剤を重ね合わせてカラー画像を形成する多色画像形成装置などであることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、各樹脂の各種特性は上述の方法により測定した。
<液体現像剤の製造>
(製造例1)シェル樹脂(1)の微粒子分散液の製造
ガラス製ビーカーに、マクロモノマー(商品名:「AA−6」、東亞合成工業(株))(15質量部)と、メタクリル酸2−デシルテトラデシル(50質量部)と、メタクリル酸メチル(35質量部)とからなる樹脂原料と、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル(0.1質量部)との混合液を投入し、20℃で撹拌により混合した。これにより、単量体溶液(モノマー溶液)を得た。
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、脱溶剤装置および窒素導入管の付いた反応容器を準備した。この反応容器内にTHF100質量部を入れ、さらに滴下ロートの部分に上記単量体溶液を入れた。反応容器の気相部を窒素で置換した後、密閉下70℃で1時間かけて単量体溶液をTHFに滴下した。単量体溶液の滴下終了から3時間後、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル(0.05質量部)とTHF(5質量部)との混合物を単量体溶液に添加し、70℃で3時間反応させた後、室温まで冷却した。これにより、共重合体溶液を得た。
得られた共重合体溶液(200質量部)を撹拌下の絶縁性液体(商品名:「IPソルベント2028」、出光興産社製)(300質量部)に滴下し、0.039MPaの減圧下、40℃でTHFを留去して、シェル樹脂(1)の微粒子分散液を得た。
この微粒子分散液に含まれるシェル樹脂(1)のMnは40000であり、ガラス転移点は52℃であった。なお、上記マクロモノマーは、メタクリル酸メチルからなるセグメントの片末端に重合性二重結合を有するものである。したがって、このシェル樹脂(1)は、構成単位Aからなる親コア部を有するビニル樹脂である。また、メタクリル酸2−デシルテトラデシル由来の構成単位が親オイル部となる。
(製造例2)シェル樹脂(2)の微粒子分散液の製造
樹脂原料として、マクロモノマー(商品名:「AA−6」、東亞合成工業(株))(20質量部)、メタクリル酸2−デシルテトラデシル(50質量部)、およびメタクリル酸メチル(30質量部)を用いた以外は、製造例1と同様の方法により、シェル樹脂(2)の微粒子分散液を得た。この微粒子分散液に含まれるシェル樹脂(2)のMnは40000であり、ガラス転移点は52℃であった。
(製造例3)シェル樹脂(3)の微粒子分散液の製造
樹脂原料として、マクロモノマー(商品名:「AA−6」、東亞合成工業(株))(40質量部)、メタクリル酸2−デシルテトラデシル(50質量部)、およびメタクリル酸メチル(10質量部)を用いた以外は、製造例1と同様の方法により、シェル樹脂(3)の微粒子分散液を得た。この微粒子分散液に含まれるシェル樹脂のMnは40000であり、ガラス転移点は52℃であった。
(製造例4)シェル樹脂(4)の微粒子分散液の製造
樹脂原料として、マクロモノマー(商品名:「AS−6」、東亞合成工業(株))(50質量部)、メタクリル酸2−デシルテトラデシル(40質量部)、およびメタクリル酸メチル(10質量部)を用いた以外は、製造例1と同様の方法により、シェル樹脂(4)の微粒子分散液を得た。この微粒子分散液に含まれるシェル樹脂のMnは40000であり、ガラス転移点は50℃であった。
(製造例5)シェル樹脂(5)の微粒子分散液の製造
樹脂原料として、マクロモノマー(商品名:「AS−6」、東亞合成工業(株))(55質量部)、メタクリル酸2−デシルテトラデシル(35質量部)、およびメタクリル酸メチル(10質量部)を用いた以外は、製造例1と同様の方法により、シェル樹脂(5)の微粒子分散液を得た。この微粒子分散液に含まれるシェル樹脂のMnは40000であり、ガラス転移点は58℃であった。
(製造例6)シェル樹脂(6)の微粒子分散液の製造
樹脂原料として、アクリル酸(30質量部)、メタクリル酸2−デシルテトラデシル(55質量部)、およびメタクリル酸メチル(15質量部)を用いた以外は、製造例1と同様の方法により、シェル樹脂(6)の微粒子分散液を得た。この微粒子分散液に含まれるシェル樹脂のMnは40000であり、ガラス転移点は45℃であった。
上記で得られたシェル樹脂(1)〜(6)の構成および特性を表1に示す。各特性の測定方法は上述のとおりである。表1において、「Tg」はガラス転移点を示す。
ここで、親コア部のガラス転移点および分子量は、市販のマクロモノマーを上述の測定方法に従って測定した結果である。また、「親コア部の割合」の欄には、シェル樹脂のうちの親コア部が占める割合(質量%)を示すが、これは、親コア部を構成する構成単位となるべきビニルモノマーと、親オイル部を構成する構成単位となるべきビニルモノマーと、他のビニルモノマーとの製造時の配合割合に基づく。本実施例において、各モノマーの製造時の配合割合と、製造後のビニル樹脂中に含まれる各モノマーの配合割合とは一致する。なお、比較例6は親コア部を有さないシェル樹脂を有する。
Figure 2016176979
(製造例7)脂肪族ポリエステル樹脂Aの製造
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、アルコール成分構成単位となるべき脂肪族系モノマー(1,6−ヘキサンジオール)と、酸成分構成単位となるべき脂肪族系モノマー(アジピン酸)とを約1:1のモル比で投入し、180℃で、窒素気流下、生成する水を留去しながら8時間反応させた。
次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.007〜0.026MPaの減圧下で1時間反応させ、生成した樹脂を取り出した。取り出した樹脂を温度計、撹拌機、および窒素導入管の付いたオートクレーブ反応槽中にアセトンを所定量投入して、脂肪族ポリエステル樹脂Aが溶解した樹脂溶液Aを得た。
(製造例8)ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の合成
まず、次のようにしてビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物(ビスA−PO付加物)の合成した。撹拌および温度調整機能を備えたオートクレープに、ビスフェノールA(228質量部)と、水酸化カリウム(2質量部)とを入れ、135℃まで昇温した後、0.1〜0.4MPaの圧力条件下でプロピレンオキサイド(139質量部)を導入し、その後3時間に亘って反応させた。こうして得られた反応生成物に吸着剤(製品名「キョーワード600」、協和化学工業社製)(16質量部)を投入し、90℃に保持しながら30分に亘って撹拌し熟成させた。その後ろ過を行い、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を得た。このプロピレンオキサイド付加物は、上記化学式(I)中のmとnとの和(m+n)が2であるものと3であるものとの混合物であった。
(製造例9)芳香族ポリエステル樹脂aの製造
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、アルコール成分構成単位となるべき芳香族系モノマー(製造例7で得たビスA−PO付加物)と、酸成分構成単位となるべき芳香族系モノマー(テレフタル酸)ととを約1:1のモル比で投入し、180℃で、窒素気流下、生成する水を留去しながら8時間反応させた。
次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.007〜0.026MPaの減圧下で1時間反応させ、生成した樹脂を取り出した。取り出した樹脂を温度計、撹拌機、および窒素導入管の付いたオートクレーブ反応槽中にアセトンを所定量投入して、芳香族ポリエステル樹脂である芳香族ポリエステル樹脂aが溶解した樹脂溶液aを得た。
(製造例10)着色剤分散液の製造
ビーカーに、銅フタロシアニン(商品名「FASTOGEN Blue FDB−14」、DIC社製)(20質量部)と、着色剤分散剤(商品名「アジスパーPB−821」、味の素ファインテクノ社製)(5質量部)と、アセトン(75質量部)とを投入し、撹拌して均一に分散させた。さらにビーズミルを用いて銅フタロシアニンを微分散させることにより、着色剤分散液を得た。この着色剤分散液において着色剤(銅フタロシアニン)の体積平均粒径は0.2μmであった。
(実施例1)
樹脂溶液A(18質量部)と、樹脂溶液a(27質量部)とを混合してコア樹脂溶液を得た。ビーカーに、コア樹脂溶液の全量と着色剤分散液(15質量部)とを投入し、25℃でTKオートホモミクサー(プライミクス社製)を用いて8000rpmで撹拌し、均一に分散させた。
別のビーカーに絶縁性液体(商品名「IPソルベント2028」、出光興産社製)(67質量部)と、上記で得たシェル樹脂(1)の微粒子分散液(6質量部)とを投入して均一に分散させた。次いでこの分散液を、TKオートホモミクサーを用いて10000rpmで撹拌しながら、上記の着色剤を分散させたコア樹脂溶液(60質量部)を投入して2分間撹拌して混合液を得た。
得られた混合液を、撹拌装置、加熱冷却装置、温度計および脱溶剤装置を備えた反応容器に投入し、35℃に昇温し、同温度を保持しながら0.039MPaの減圧下、アセトンの濃度が0.5質量%以下となるまでアセトンを留去させた。なおアセトンの濃度は、水素炎イオン検出器を備えるガスクロマトグラフィー(製品名:「GC2010」、(株)島津製作所製)で定量した。こうして実施例1に係る液体現像剤を得た。
この液体現像剤においてトナー粒子は、樹脂Aおよび樹脂aから構成されるコア粒子の表面に、シェル樹脂(1)から構成されるシェル粒子が付着または被覆されてなるコア/シェル構造を有するものであった。
(実施例2〜5および比較例1)
実施例2〜5および比較例1に関し、シェル樹脂(1)の微粒子分散液に代えて、それぞれシェル樹脂(2)〜(6)の微粒子分散液を用いた以外は、実施例1と同様にして各種液体現像剤を得た。
上記実施例1〜5に関し、親コア部のSP値とコア樹脂のSP値との差は0〜2であり、親オイル部のSP値と絶縁性液体のSP値との差は0〜2であった(コア樹脂のSP値は10.0であり、絶縁性液体のSP値は8.5であった)。なお、実施例1〜5において、親コア部、親オイル部は、重合させる前のモノマーを用いてFedorsによる上記方法により計算された値であり、コア樹脂は重合後のコア樹脂溶液を用いてFedorsによる上記方法により計算された値であり、絶縁性液体は市販のものを用いてFedorsによる上記方法により計算された値である。
<液体現像剤の評価>
以下のようにして液体現像剤を評価した。
(トナー粒子の形状評価)
液体現像剤に含まれるトナー粒子のメジアン径をFPIA−3000S(シスメックス社製)を用いて測定した。結果を表4に示す。測定サンプルの前処理は次の手順で行った。
まず、サンプル(50mg)を採取し、分散剤としてS13940(日本ルーブリゾール社製)(30mg)を加えたIPソルベント2028(20g)中に投入した。さらにその懸濁液を超音波分散器「ウルトラソニッククリーナモデルVS−150」(ウエルボクリア社製)で約5分間に亘って分散処理して測定サンプルとした。各測定サンプルに関し、メジアン径、平均円形度およびその標準偏差の結果を表4に示す。なお、測定にあたりフロー溶媒には、キャリア液と同じIPソルベント2028を用いた。
(画像形成方法)
実施例1〜5および比較例1の各液体現像剤から画像を形成し、定着強度を評価した。ここではまず評価に使用した画像形成装置の構成ならびにその動作について説明する。
図1は、画像形成装置100の構成の一例を示す概略概念図である。図1を参照して、現像槽5に液体現像剤6が入れられる。液体現像剤6はアニロックスローラ22によって汲み上げられ、ならしローラ21へと送られる。アニロックスローラ22の表面において余分な液体現像剤6は、ならしローラ21に達する前にアニロックス規制ブレード23によってかき取られ、ならしローラ21の表面では液体現像剤が均等な層厚を持つように調整される。その後液体現像剤は、ならしローラ21から現像剤担持体24へと転移する。
感光体1は帯電部14で帯電させられ、露光部15において感光体1上に潜像が形成される。液体現像剤に含まれるトナー粒子は、現像チャージャー26で帯電させられる。帯電させられたトナー粒子は感光体1上の潜像に対応して、現像剤担持体24から感光体1へと転移し、現像が行われることとなる。このとき感光体1に転移しなかった液体現像剤は、現像部の下流に設置されているクリーニングブレード25によって回収される。
感光体1に現像された液体現像剤は、一次転写部13で中間転写体16に静電一次転写させられる。中間転写体16に転写されずに感光体1に残留した液体現像剤は、像担持体クリーニング部のクリーニングブレード12によって回収される。
中間転写体16に担持された液体現像剤6は、二次転写部11においてメディア40(たとえば紙)に静電二次転写させられる。図1中の方向Aは、メディア40の搬送方向を示している。メディア40に転写させられた液体現像剤は、図示しない熱ローラ定着装置で定着させられる。こうしてプリントアウトされた画像が完成する。メディア40に転写されずに中間転写体16に残留した液体現像剤は、中間転写体クリーニング部のクリーニングブレード19によって回収される。感光体1は再び帯電、露光、現像のサイクルを繰り返し、プリント動作が続行される。
今回の評価では、トナー粒子を現像チャージャー26でプラスの極性に帯電させた。また中間転写体16の電位は−400V、転写ローラ30の電位は−1200Vとした。搬送速度は400mm/sとし、メディア40(紙)には王子製紙社製の「OKトップコート(128g/m2)」を使用した。
(低温定着性の評価)
上記の画像形成装置を用いて、各液体現像剤からトナー付着量が2g/m2である未定着画像(10cm×10cmのソリッドパターン)を作成し、さらに熱ローラ定着装置(熱ローラ温度120℃、NIP時間30msec)によって定着画像を作成した。このときNIP時の紙温度は約80℃であった。
定着画像においてソリッド部の定着強度をテープ剥離試験により評価した。すなわち定着画像にテープ(3M社製の「スコッチメンディングテープ」)を貼り付けた後、そのテープを剥離し、テープに剥離されてきた画像の画像濃度(ID)を反射濃度計(商品名「X−Rite model 404」、X−Rite社製)により測定し、以下の3水準で評価した。結果を表2に示す。
A:画像濃度(ID)0.1未満
B:画像濃度(ID)0.1以上0.15未満
C:画像濃度(ID)0.15以上
ここでは剥離されてきた画像の画像濃度(数値)が小さいほど、定着強度(低温定着性)が高いことを示している。
(耐凝集性の評価)
図2に示す装置を用いて各液体現像剤に含まれるトナー粒子の凝集性を調べた。なお、装置200の動作は次のとおりである。装置200において、現像槽50に液体現像剤6が入れられる。液体現像剤6は第1ローラ51で汲み上げられて第2ローラ52へと送られる。なお、第1ローラ51および第2ローラ52は図中の矢印方向に回転する。
今回の評価では、上記の装置の現像槽に各液体現像剤(200g)を入れ、各ローラを3時間回転させた後、液体現像剤中のトナー粒子のメジアン径を求めた。そして、「(変化率)=(回転後のメジアン径)÷(回転前のメジアン径)」の計算式を用いてトナー粒子のメジアン径の変化率を求め、以下の3水準で評価した。結果を表2に示す。
A:変化率1.2未満
B:変化率1.2以上1.5以下
C:変化率1.5以上
ここではトナー粒子のメジアン径の変化率が小さいほど、耐凝集性が高いことを示している。
Figure 2016176979
<結果と考察>
表1および表2より、シェル粒子を構成するシェル樹脂が親コア部にマクロモノマーを有する液体現像剤は、かかる条件を満たさない比較例の液体現像剤に比して、低温定着性と耐凝集性との両特性に優れることが分かった。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 感光体、5 現像槽、6 液体現像剤、11 二次転写部、12,19,25 クリーニングブレード、13 一次転写部、14 帯電部、15 露光部、16 中間転写体、21 ローラ、22 アニロックスローラ、23 アニロックス規制ブレード、24 現像剤担持体、26 現像チャージャー、30 転写ローラ、40 メディア、100 画像形成装置、A 方向、50 現像槽、51 第1ローラ、52 第2ローラ、200 装置。

Claims (3)

  1. トナー粒子が絶縁性液体中に分散されてなる液体現像剤であって、
    前記トナー粒子は、シェル樹脂がコア樹脂を含むコア粒子の表面に付着または被覆されてなるコア/シェル構造を有し、
    前記シェル樹脂は、親オイル部と親コア部とを有するビニル樹脂であり、
    前記親コア部は、マクロモノマーに由来する構成単位である、液体現像剤。
  2. 前記シェル樹脂のガラス転移点は、50℃以上100℃以下である、請求項1に記載の液体現像剤。
  3. 前記シェル樹脂のうち前記親コア部が占める割合は、15質量%以上55質量%以下である、請求項1または請求項2に記載の液体現像剤。
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