JP2016177030A - 液体現像剤およびその製造方法 - Google Patents

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由紀子 宇野
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松本  聡
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Naoki Yoshie
直樹 吉江
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Masahiro Yasuno
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Abstract

【課題】温度変化に伴う画像の光沢変化が小さく、なおかつ定着強度に優れる液体現像剤を提供する。
【解決手段】絶縁性液体と、前記絶縁性液体に分散されたトナー粒子とを備える液体現像剤であって、前記トナー粒子は、コア/シェル構造を有し、前記コア/シェル構造は、コア粒子の表面の少なくとも一部に設けられ、シェル層またはシェル粒子となる第1樹脂と、第1樹脂とは異なる樹脂である第2樹脂を含むコア粒子とを有し、前記絶縁性液体は、20℃における比誘電率が1以上4以下であり、前記第2樹脂は、脂肪族ポリエステル樹脂と、ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂とを含有する液体現像剤、およびその製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、液体現像剤およびその製造方法に関する。
特開2013−3197号公報(特許文献1)には、脂肪族ポリエステル樹脂と芳香族ポリエステル樹脂とを混合した樹脂を含むトナー粒子が開示されている。
また特開2009−96994号公報(特許文献2)には、トナー粒子を構成する樹脂(以下「トナー樹脂」とも記す)のひとつとしてウレタン変性ポリエステル樹脂が開示されている。
特開2013−3197号公報 特開2009−96994号公報
特許文献1によれば、トナー樹脂が脂肪族ポリエステル樹脂を含むことにより、トナー樹脂に絶縁性液体(キャリア液)が侵入することによる、トナー樹脂の可塑化(膨潤)が抑制され、それによりドキュメントオフセットを防止できるとされている。この理由は、脂肪族ポリエステル樹脂では分子鎖が規則的に配列されやすく、結晶性が発現しやすいからであると考えられる。
結晶性の脂肪族ポリエステル樹脂は、その融点を超えると急激に軟化、液状化する性質(いわゆるシャープメルト性)を有している。シャープメルト性はトナー樹脂の低温定着化に不可欠な性質であるが、その反面こうした樹脂は高温において弾性を維持することができず、耐高温オフセット性が脆弱になったり、温度変化に伴って画像の光沢が変化したりするなどの課題を有していた。たとえば、脂肪族ポリエステル樹脂からなるトナー樹脂では、連続通紙によって定着ローラの温度が低下すると、トナー樹脂の弾性が大きく変化し、それにより画像の光沢に変化が生じるといった事象が確認されている。
ところで特許文献2では、トナー樹脂の1つとしてウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂が開示されている。ここでウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂とは、芳香族ポリエステルをイソシアネートで鎖長させた樹脂を意味している。ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂は、高温において弾性を維持することができ、耐高温オフセット性に強く、温度変化によって光沢が変化しにくいという特徴を有するが、その反面融点付近での軟化、液状化に乏しく、低温定着性に不利という課題がある。
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものである。それゆえ本発明の目的は、温度変化に伴う画像の光沢変化が小さく、なおかつ定着強度に優れる液体現像剤を提供することである。
本発明者は上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂および脂肪族ポリエステル樹脂を含有する液体現像剤についてその性質を調査したところ、シャープメルト性を有しつつ、高温でも弾性を維持することができ、温度変化に伴う光沢変化も小さいという知見が得られた。本発明者はこれに留まらず、さらに研究を重ねることにより、脂肪族ポリエステル樹脂を予めウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂に分散させておくことで、さらに低温定着性に優れるということを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は以下のとおりである。
本発明の液体現像剤は、絶縁性液体と、前記絶縁性液体に分散されたトナー粒子とを備える液体現像剤であって、前記トナー粒子は、コア/シェル構造を有し、前記コア/シェル構造は、コア粒子の表面の少なくとも一部に設けられ、シェル層またはシェル粒子となる第1樹脂と、第1樹脂とは異なる樹脂である第2樹脂を含むコア粒子とを有し、前記絶縁性液体は20℃における比誘電率が1以上4以下であり、前記第2樹脂は、脂肪族ポリエステル樹脂と、ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂とを含有することを特徴とする。
本発明の液体現像剤において、第2樹脂におけるウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂に対する脂肪族ポリエステル樹脂の質量比が0.05以上1以下であることが好ましい。
本発明はまた、上述した本発明の液体現像剤を製造する方法であって、脂肪族ポリエステル樹脂溶液とウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂溶液とを混合する工程を含む、液体現像剤の製造方法についても提供する。
本発明はさらに、上述した本発明の液体現像剤を製造する方法であって、ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂溶液中に、脂肪族ポリエステル樹脂の分散物を分散させる工程を含む、液体現像剤の製造方法についても提供する。
上記によれば、温度変化に伴う画像の光沢変化が小さく、なおかつ定着強度に優れる液体現像剤およびその製造方法が提供される。
電子写真方式の画像形成装置の概略概念図である。
以下、本発明の実施の形態(以下では「本実施形態」と記す)について図面を用いて説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分又は相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さ等の寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、実際の寸法関係を表すものではない。
≪液体現像剤≫
本実施の形態の液体現像剤は、絶縁性液体とトナー粒子とを含む。かかる液体現像剤は、絶縁性液体とトナー粒子とを含む限り、他の任意の成分を含むことができる。たとえば、他の成分として、荷電制御剤、増粘剤、トナー分散剤などを含んでいてもよい。
本実施形態の液体現像剤においては、20℃における比誘電率が1以上4以下の範囲内である液体現像剤を用いることを特徴の1つとする。絶縁性液体の比誘電率が1未満である場合には、トナー粒子の安定性が悪く製造しにくいという不具合があるためであり、また、絶縁性液体の比誘電率が4を超える場合には、電荷保持率が悪化傾向となるという不具合があるためである。製造安定性および電荷保持率向上の観点から、絶縁性液体の比誘電率は1.2以上3.8以下の範囲内であることがより好ましく、1.2以上3.5以下の範囲内であることが特に好ましい。絶縁性液体の比誘電率は、ブリッジ法(JIS C2101−1999)により求められた絶縁性液体の誘電率を用いて算出される。具体的には、絶縁性液体を充填する前の静電容量C(pF)と、絶縁性液体を充填した状態の等価並列静電容量C(pF)とを測定し、下記数式(1)に代入して絶縁性液体の誘電率εを算出する。
ε=C/C … 数式(1)
絶縁性液体の比誘電率は、算出されたεと空気の比誘電率1.000585との比で求められる。
<トナー粒子>
本実施の形態おいて、液体現像剤に含まれるトナー粒子は、コア/シェル構造を有する。コア/シェル構造は、コア粒子の表面の少なくとも一部に設けられ、シェル層またはシェル粒子となる第1樹脂(a)と、第1樹脂(a)とは異なる樹脂である第2樹脂(b)を含むコア粒子とを有する。トナー粒子に、このような構造を採用することにより、トナー粒子の体積平均粒径、トナー粒子の粒度分布の変動係数、または、トナー粒子の形状などを制御し易くなるためトナー粒子の小径化が可能であり、高画質化に資することができる。なお、以下の説明において、このようなコア/シェル構造を有するトナー粒子を「トナー粒子(C)」、トナー粒子(C)を含む液体現像剤を「液体現像剤(X)」と記すことがある。
ここで液体現像剤に含まれるトナー粒子の含有率は、トナー粒子の定着性と液体現像剤の耐熱安定性の観点から、好ましくは10質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは12質量%以上40質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以上35質量%以下である。
本実施の形態において、トナー粒子の体積平均粒径は、0.5μm以上5.0μm以下であることが好ましい。かかるトナー粒子の体積平均粒径は、従来の乾式現像剤のトナー粒子の粒径に比べて小さいものとなり、本実施の形態の特徴の一つとなるものであるが、この体積平均粒径が0.5μm未満では、粒子が小径過ぎて、電界での移動性が悪化し、現像性が低下する場合があり、5μmを超えると、粒子形状の均一性が低下し画質が低下する場合がある。なお、より好ましい体積平均粒径の範囲は、0.5μm以上2.0μm以下である。
トナー粒子の円形度の算術平均値(平均円形度)は0.85以上0.95以下が好ましく、円形度の標準偏差は0.01以上0.1以下が好ましい。円形度の平均値および標準偏差が上記範囲を占めることにより、転写性およびクリーニング性が向上するからである。ここで「円形度」とは、2次元に投影した粒子面積と等しい面積の円の周囲長を粒子周囲長で除した値を示している。
トナー粒子のメジアン径、平均円形度および円形度の標準偏差は、いずれもフロー式粒子画像解析装置(たとえば商品名「FPIA−3000S」、シスメックス社製)等を用いて測定することができる。「FPIA−3000S」では、液体現像剤に含まれる絶縁性液体をそのまま測定時の分散媒体として使用できる。よってこの装置を使用すれば、トナー粒子を水系溶媒に再分散させて測定する場合等に比べて、より実際の分散状態を反映した結果を得ることができる。
<コア/シェル構造>
本実施形態におけるトナー粒子は上述のようにコア/シェル構造を有するが、このコア/シェル構造には、第1樹脂(a)がコア粒子の表面の少なくとも一部を被覆してなる構造だけでなく、第1樹脂(a)がコア粒子の表面の少なくとも一部に付着してなる構造も含まれる。第1樹脂(a)は、層状(膜状)に形成されていても良いし、コア粒子の表面において粒子状に形成されていても良い。シェル層(シェル樹脂を含む層)またはシェル粒子(シェル樹脂を含む粒子)は、着色剤または任意の成分(たとえば、顔料分散剤、ワックスまたは荷電制御剤など)を更に含んでも良い。
コア/シェル構造を有するトナー粒子(C)において、シェル層またはシェル粒子(A)とコア粒子(B)との質量比[(A):(B)]は、好ましくは1:99〜70:30である。トナー粒子(C)の粒径の均一性および液体現像剤(X)の耐熱安定性などの観点から、上記比率[(A):(B)]は、より好ましくは2:98〜50:50であり、さらに好ましくは3:97〜35:65である。以下、シェル層またはシェル粒子(A)およびコア粒子(B)の構成について説明する。
<コア粒子(B)/第2樹脂(トナー樹脂)>
本実施形態の液体現像剤について特徴的である、コア粒子を構成する第2樹脂(b)(トナー樹脂)についてまずは説明する。本実施形態の液体現像剤における第2樹脂(b)(トナー樹脂)は、脂肪族ポリエステル樹脂と、ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂とを含む。ここで「脂肪族ポリエステル樹脂」は、全構成単位の60%以上を脂肪族系モノマーに由来する構成単位が占めているポリエステル樹脂を示し、「芳香族ポリエステル樹脂」は、全構成単位の60%以上を芳香族系モノマーに由来する構成単位が占めているポリエステル樹脂を示している。また「ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂」は、芳香族ポリエステルの主鎖もしくは末端をウレタン結合で鎖長した構造を有する樹脂を示している。
一般に、脂肪族ポリエステル樹脂では、分子鎖が規則的に配列しやすいことから結晶性が発現しやすい。他方、芳香族ポリエステル樹脂では、分子鎖に不規則なねじれなどが生じ、結晶化が妨げられる傾向にある。よって芳香族ポリエステル樹脂は非晶性となりやすい。
ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂は、その構成単位である芳香族ポリエステル樹脂が高温でも弾性を維持しやすく、かつイソシアネートで鎖長されていることにより、100℃以上の高温領域でも弾性を維持することができる。しかしその反面、低温領域では融点がでの融解がシャープではないため、低温定着性に悪い傾向にある。
本実施形態では、トナー樹脂をウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂との混合物から構成することにより、かかる課題を解決する。すなわち、高温流域でも弾性を維持するウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂に、脂肪族ポリエステル樹脂を含有させることにより、加熱時に脂肪族ポリエステル樹脂がシャープメルトし、それに伴いウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂もシャープメルトとなり、低温領域でのシャープメルト性を付与できる。
ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂と脂肪族ポリエステル樹脂とは分子構造が異なることから、これらは互いに相溶し難い。よってトナー樹脂において、脂肪族ポリエステル樹脂の質量よりもウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂の質量を多くすることにより、ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂からなる「海」の中に、脂肪族ポリエステル樹脂があたかも「島」の如く散在した「海島構造」となりやすく、低温領域では脂肪族ポリエステルのシャープメルト性に引きつられて、ウレタン変性芳香族ポリエステルもシャープメルトするが、高温領域では海成分であるウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂の高い弾性率によって、トナー樹脂全体の弾性率も高くすることができる。
具体的には、第2樹脂(b)(トナー樹脂)中におけるウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂(b2)に対する脂肪族ポリエステル樹脂(b1)の質量比(質量比(b1)/(b2))は0.05以上1以下であることが好ましい。質量比(b1)/(b2)が0.05未満になると、トナー樹脂が低温で融解できなくなることから、低温定着性が損なわれる場合がある。また質量比(b1)/(b2)が1を超えると、ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂の高温での高い弾性率が十分に発現しないもあり得る。質量比(b1)/(b2)は、より好ましくは0.05以上0.9以下であり、特に好ましくは0.1以上0.8以下である。
トナー樹脂は、全量のうち90質量%以上がポリエステル樹脂(脂肪族ポリエステル樹脂およびウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂)から構成されることが望ましい。ポリエステル樹脂以外の樹脂の含有率が10質量%以上になると、脂肪族ポリエステル樹脂の規則的な配列が阻害されるおそれがあるからである。なおトナー樹脂は全量のうち10質量%未満であれば、ポリエステル樹脂以外の樹脂を含むこともできる。そうした樹脂としては、たとえば、スチレン−アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂などを例示することができる。
(脂肪族ポリエステル樹脂)
脂肪族ポリエステル樹脂は、原則的に多価カルボン酸(酸成分)と多価アルコール(アルコール成分)との重縮合反応により合成されるものである。そのため脂肪族ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸に由来する酸成分構成単位と、多価アルコールに由来するアルコール成分構成単位とが交互に繰り返されて構成される。脂肪族ポリエステル樹脂では、全構成単位のうち60%以上が、脂肪族系モノマーに由来する酸成分構成単位と脂肪族系モノマーに由来するアルコール成分構成単位とから構成される。
ここでポリエステル樹脂(脂肪族ポリエステル樹脂およびウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂)における各構成単位の含有率は、フーリエ変換核磁気共鳴装置(FT−NMR:Fourier Transform−Nuclear Magnetic Resonance)(商品名「Lambda400」、日本電子社製)を用いて1H−NMR分析を行い、その積分比により決定することができる。測定溶媒には、たとえばクロロホルム−d(重クロロホルム)溶剤を用いればよい。
酸成分構成単位となるべき脂肪族系モノマーとしては、たとえば脂肪族多価カルボン酸およびその低級アルキルエステルまたはその酸無水物などが挙げられる。より具体的には、たとえばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、およびこれらの低級アルキルエステルまたは酸無水物などが挙げられる。樹脂に結晶性を付与しやすく、ウレタン変性芳香族ポリエステルとの分散性の観点から、これらのうちアジピン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸が好ましい。酸成分構成単位となるべき脂肪族系モノマーは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
アルコール成分構成単位となるべき脂肪族系モノマーとしては、脂肪族多価アルコール等が挙げられる。より具体的には、たとえばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどが挙げられる。脂肪族ポリエステル樹脂に結晶性を付与しやす、ウレタン変性芳香族ポリエステルとの分散性の観点から、これらのうち1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオールが好ましい。アルコール成分構成単位となるべき脂肪族系モノマーは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂)
ウレンタン変性芳香族ポリエステル樹脂は、2以上の芳香族ポリエステルがイソシアネート基を有する化合物に由来する構成単位により結合されてなる樹脂である。ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂は、その中に含まれる芳香族ポリエステルの非晶性を反映して、非晶性を示すことができる。
ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂は、先ず骨格となる芳香族ポリエステル樹脂を重縮合反応により合成し、さらに芳香族ポリエステル樹脂の主鎖もしくは末端をジ(トリ)イソシアネートで鎖長させることによって合成できる。ここで「ジ(トリ)イソシアネート」とは、ジイソシアネートおよびトリイソシアネートの少なくともいずれか一方を意味している。
芳香族ポリエステル樹脂は、原則的に多価カルボン酸(酸成分)と多価アルコール(アルコール成分)との重縮合反応により合成されるものである。そのため芳香族ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸に由来する酸成分構成単位と、多価アルコールに由来するアルコール成分構成単位とが交互に繰り返されて構成される。芳香族ポリエステル樹脂では、全構成単位のうち60%以上が、芳香族系モノマーに由来する酸成分構成単位と芳香族系モノマーに由来するアルコール成分構成単位とから構成される。
酸成分に由来する構成単位となる芳香族系モノマーとしては、芳香族多価カルボン酸、芳香族多価カルボン酸の低級アルキルエステル、芳香族多価カルボン酸の酸無水物などを挙げることができる。具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、トリメリット酸(官能基数が3個)などを挙げることができる。入手容易性の観点では、テレフタル酸、イソフタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸を用いることが好ましい。
アルコール成分に由来する構成単位となる芳香族系モノマーとしては、芳香族多価アルコールなどを挙げることができる。具体的には、下記式(I)で表わされるビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物が挙げられる。
Figure 2016177030
上記式(I)中、R及びRは、それぞれ独立して、炭素数2または3のアルキレン基を示す。また上記式(I)中、mおよびnは、それぞれ独立して、0または正の整数を示し、mとnとの和は、1以上16以下である。
(イソシアネート)
イソシアネートには、分子内に複数のイソシアネート基を有する化合物が好適である。そうした化合物としては、鎖状脂肪族多価イソシアネートおよび環状脂肪族多価イソシアネートなどを挙げることができる。
鎖状脂肪族多価イソシアネートの具体例としては、たとえば、エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2−イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2−イソシアナトエチル)カーボネート、2−イソシアナトエチル−2,6−ジイソシアナトヘキサノエートなどを例示することができる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
環状脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、たとえば、イソホロンジイソシアネート(以下「IPDI」と略記する)、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ビス(2−イソシアナトエチル)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシレート、2,5−ノルボルナンジイソシアネート、2,6−ノルボルナンジイソシアネートなどを例示することができる。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(ウレタン基濃度)
ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂のウレタン基濃度(質量%)は、好ましくは0.5%以上5%以下であり、より好ましくは1%以上3%以下である。ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂のウレタン基濃度が0.5%未満になると高温での弾性が維持できなくなる場合があり、ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂のウレタン基濃度が5%を超えるとドキュメントオフセット性に問題を生じる場合もあるからである。ここで「ウレタン基濃度」は、ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂に含まれるウレタン基の質量を、該樹脂の全質量で除した値を百分率で表した値を意味している。ウレタン基濃度は、熱分解−GCMS(Gas Chromatograph Mass Spectrometer)により求めることができる。本明細書におけるウレタン基濃度の測定には、次の条件が採用されている。
(熱分解装置の条件)
熱分解装置:フロンティア・ラボ社製の「PY−2020iD」、
測定の質量:0.1mg、
加熱温度:550℃、
加熱時間:0.5分。
(GCMSの条件)
測定装置:島津製作所製の「QP2010」、
カラム:フロンティア・ラボ社製の「UltraALLOY−5」(内径0.25mm、長さ30m、厚さ0.25μm)、
昇温範囲:100℃〜320℃(320℃で保持)、
昇温速度:20℃/分。
(数平均分子量)
ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂の数平均分子量(以下「Mn」と記す)は、10000以上50000以下が好ましい。Mnが10000未満であると樹脂が過度に柔らかくなって、定着の際オフセットが発生しやすい傾向にあり、Mnが50000を超えると樹脂が溶融し難くなって、定着強度が低下しやすい傾向にある。ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂のMnは、より好ましくは10000以上30000以下である。
ここで本明細書における樹脂(ポリウレタン樹脂を除く)のMnおよび重量平均分子量(以下「Mw」と記す)は、テトラヒドロフラン(以下「THF」と略記する)の可溶分について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)を用いて、次の条件で測定されたものである(ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂のMnおよびMwも、この方法により測定されたものである)。
測定装置:東ソー社製の「HLC−8120」、
カラム:東ソー社製の「TSKgelGMHXL」(2本)と東ソー社製の「TSKgelMultiporeHXL−M」(1本)、
試料溶液:0.25質量%のTHF溶液、
カラムへの試料溶液の注入量:100μl、
流速:1ml/分、
測定温度:40℃、
検出装置:屈折率検出器、
基準物質:東ソー社製の標準ポリスチレン(TSK standard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000)。
また本明細書においてポリウレタン樹脂のMnおよびMwは、GPCを用いて次の条件で測定されたものである。
測定装置:東ソー社製の「HLC−8220GPC」、
カラム:東ソー社製の「TSK guardcolumn α」(1本)と東ソー社製の「TSKgel α−M」(1本)、
試料溶液:0.125質量%のジメチルホルムアミド溶液、
カラムへのジメチルホルムアミド溶液の注入量:100μl、
流速:1ml/分、
測定温度:40℃、
検出装置:屈折率検出器、
基準物質:東ソー社製の標準ポリスチレン(TSK standard POLYSTYRENE)12点(分子量:500、1050、2800、5970、9100、18100、37900、96400、190000、355000、1090000、2890000)。
上述したウレタン基濃度およびMnは、たとえば芳香族ポリエステル樹脂を合成する際の多価カルボン酸の酸基量と多価アルコールの水酸基量との当量比([酸基量]/[水酸基量])、ならびにウレタン変性する際のイソシアネート基を有する化合物のイソシアネート基量と芳香族ポリエステル樹脂の水酸基量との当量比([イソシアネート基量]/[水酸基量])などを調整することにより、所望の範囲に制御することができる。
(結晶性と非晶性)
上述のように脂肪族ポリエステル樹脂は結晶性樹脂であり、ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂は非晶性樹脂であることが望ましい。本明細書では樹脂のDSC(Differential Scanning Calorimetry:示差走査熱量測定)の融解熱(H)が次の数式(1)および(2)
5≦H1≦100 … 数式(1)
0.2≦H2/H1≦1.0 … 数式(2)
を満たす場合、結晶性樹脂と定義する。
上記数式(1)、(2)において、H1は、DSCによる初回昇温時の融解熱(J/g)を表し、H2はDSCによる2回目昇温時の融解熱(J/g)を表す。
H1は、樹脂の溶融速度の指標である。一般に、融解熱を有する樹脂は、シャープメルト性を示すため、少ないエネルギーで溶融させることができる。樹脂のH1が70を超えると、定着時に要するエネルギーを低減させることが難しく、トナー粒子の定着性の低下を招く。一方、樹脂のH1が5未満であれば、定着時に要するエネルギーが過度に少なくなり、ドキュメントオフセットが発生し易くなる。しかし樹脂のH1が上記数式(1)を満たせば、ドキュメントオフセットの発生を防止でき、また定着性の低下を防止することができる。H1は、好ましくは15≦H1≦80であり、より好ましくは35≦H1≦70である。
上記数式(2)におけるH2/H1は、樹脂の結晶化速度の指標である。一般に、樹脂からなる粒子(樹脂粒子)を溶融させた後に冷却して使用する場合、当該樹脂粒子中の結晶成分に結晶化されていない部分が存在していれば、当該樹脂粒子の抵抗値が下がる、あるいは当該樹脂粒子が可塑化されるなどといった不具合が生じる。こうした不具合が発生すると、冷却により得られた樹脂粒子の性能が当初設計した性能と異なることがある。これらの事情から、樹脂粒子中の結晶成分を速やかに結晶化させ、樹脂粒子の性能に影響を与えないようにする必要がある。H2/H1は、より好ましくは0.3以上であり、さらに好ましくは0.4以上である。また樹脂の結晶化速度が速ければ、H2/H1は1.0に近づくため、H2/H1は1.0に近い値を取ることが好ましい。
なお上記数式(2)におけるH2/H1は、理論的には1.0を超えないが、DSCによる実測値では1.0を超えることがある。よってDSCによる実測値(H2/H1)が1.0を超えた場合も、上記式(2)を満たすものとする。
H1およびH2は、JIS−K7122(1987)「プラスチックの転移熱測定方法」に準拠して測定することができる。具体的には、先ず樹脂を5mg採取して、アルミパンに入れる。示差走査熱量測定装置(たとえば、エスアイアイナノテクノロジー(株)製の「RDC220」またはセイコーインスツル(株)の「DSC20」等)を用いて、昇温速度を毎分10℃として、溶融による樹脂の吸熱ピークにおける温度(融点)を測定し、吸熱ピークの面積S1を求める。そして求められた吸熱ピークの面積S1から、H1を算出することができる。H1を算出してから、冷却速度を90℃/分として0℃まで冷却した後、昇温速度を毎分10℃として、溶融による樹脂の吸熱ピークにおける温度(融点)を測定し、吸熱ピークの面積S2を求める。さらに求められた吸熱ピークの面積S2から、H2を算出することができる。
H1およびH2は、示差走査熱量計(たとえばセイコーインスツル(株)製の「DSC210」)を用いて以下に示す方法に従って測定することもできる。先ず0℃から180℃まで10℃/分の速度で標準試料と樹脂とを加熱し、標準試料の熱量と樹脂の熱量との差を測定する。測定された熱量の差が樹脂のDSCによる溶融熱H1である。その後、冷却速度を90℃/分として0℃まで冷却した後、0℃から180℃まで10℃/分の速度で標準試料と樹脂とを加熱し、標準試料の熱量と樹脂の熱量との差を測定する。測定された熱量の差が樹脂のDSCによる溶融熱H2である。
<シェル層またはシェル粒子(A)/第1樹脂>
シェル層またはシェル粒子は、コア粒子の表面に付着し、その分散性を高める作用を有する、いわば高分子分散剤である。シェル層またはシェル粒子は第1樹脂(a)から構成される。第1樹脂(a)は熱可塑性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂であってもよい。第1樹脂(a)となり得る樹脂として、たとえばビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、およびポリカーボネート樹脂などを例示することができる。
製造時にトナー粒子の形状を制御しやすいなどの事情を考慮すると、これらのうちビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂およびエポキシ樹脂を第1樹脂(a)に用いることが好ましく、ビニル樹脂を用いることが最も好ましい。第1樹脂(a)は、これらの樹脂のうち1種の樹脂から構成されていてもよいし、2種以上の樹脂から構成されていてもよい。以下、第1樹脂(a)の好適例であるビニル樹脂について詳しく説明する。
(ビニル樹脂)
ビニル樹脂は、重合性二重結合を有するモノマーが単独重合されて得られた単独重合体(ビニルモノマーに由来する結合ユニットを含む単独重合体)であってもよいし、重合性二重結合を有する二種以上のモノマーが共重合されて得られた共重合体(ビニルモノマーに由来する結合ユニットを含む共重合体)であってもよい。ビニル樹脂の具体例としては、たとえば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−(無水)マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−ジビニルベンゼン共重合体およびスチレン−スチレンスルホン酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
ビニル樹脂の形成に用いられる重合性二重結合を有するモノマーとしては、たとえば下記(1)〜(9)が挙げられる。
(1)重合性二重結合を有する炭化水素、
(2)カルボキシル基と重合性二重結合を有するモノマーおよびそれらの塩、
(3)スルホ基と重合性二重結合を有するモノマーおよびそれらの塩、
(4)ホスホノ基と重合性二重結合を有するモノマーおよびその塩、
(5)ヒドロキシル基と重合性二重結合を有するモノマー、
(6)重合性二重結合を有する含窒素モノマー、
(7)エポキシ基と重合性二重結合を有する炭素数が6以上18以下のモノマー、
(8)ハロゲン元素と重合性二重結合を有する炭素数が2以上16以下のモノマー、
(9)重合性二重結合を有する炭素数が4以上16以下のエステル。
このうち、上記(1)重合性二重結合を有する炭化水素としては、たとえば重合性二重結合を有する脂肪族炭化水素、または重合性二重結合を有する芳香族炭化水素などが好ましい。ビニル樹脂は、上記(1)〜(9)の重合性二重結合を有するモノマーの単独重合体または共重合体であっても良いし、上記(1)〜(9)の重合性二重結合を有するモノマーと、分子鎖(k)を有する重合性二重結合を有するモノマー(m)とが重合されたものであっても良い。分子鎖(k)としては、炭素数12以上27以下の直鎖状または分岐状炭化水素鎖、炭素数が4以上20以下のフルオロアルキル鎖およびポリジメチルシロキサン鎖などが挙げられる。モノマー(m)中の分子鎖(k)と絶縁性液体とのSP値の差は2以下であることが好ましい。ここで本明細書における「SP値」は、Fedorsによる方法[Polym.Eng.Sci.14(2)152,(1974)]により計算された値を示すものとする。
分子鎖(k)を有する重合性二重結合を有するモノマー(m)としては、たとえば、下記のモノマー(m1)〜(m3)などが挙げられる。モノマー(m)としては、モノマー(m1)〜(m3)のうち2種以上を併用してもよい。
モノマー(m1)は、炭素数が12以上27以下(好ましくは16以上25以下)の直鎖状炭化水素鎖と重合性二重結合とを有するモノマーである。たとえば、不飽和モノカルボン酸のモノ直鎖状アルキル(アルキルの炭素数が12以上27以下)エステルおよび不飽和ジカルボン酸のモノ直鎖状アルキル(アルキルの炭素数が12以上27以下)エステルなどがモノマー(m1)に相当する。不飽和モノカルボン酸および不飽和ジカルボン酸としては、たとえば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸などの炭素数が3以上24以下のカルボキシル基含有ビニルモノマーなどが挙げられる。モノマー(m1)の具体例としては、たとえば、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどが挙げられる。
モノマー(m2)は、炭素数が12以上27以下(好ましくは16以上25以下)の分岐状炭化水素鎖と重合性二重結合とを有するモノマーである。たとえば、不飽和モノカルボン酸の分岐状アルキル(アルキルの炭素数が12以上27以下)エステルおよび不飽和ジカルボン酸のモノ分岐状アルキル(アルキルの炭素数が12以上27以下)エステルなどがモノマー(m2)に相当する。不飽和モノカルボン酸および不飽和ジカルボン酸としては、たとえば、モノマー(m1)において不飽和モノカルボン酸および不飽和ジカルボン酸の具体例として列挙したものと同様のものが挙げられる。モノマー(m2)の具体例としては、たとえば、(メタ)アクリル酸2−デシルテトラデシルなどが挙げられる。
モノマー(m3)は、炭素数が4〜20のフルオロアルキル鎖と重合性二重結合とを有するモノマーである。モノマー(m3)の具体例としては、たとえば、モノマー(m1)および(m2)の具体例において炭化水素鎖をフルオロアルキル鎖に置換したものなどを挙げることができる。
(第1樹脂(a)の融点)
第1樹脂(a)の融点は、好ましくは0℃以上220℃以下であり、より好ましくは30℃以上200℃以下であり、さらに好ましくは40℃以上80℃以下である。トナー粒子の粒度分布および形状、ならびに液体現像剤の粉体流動性、耐熱保管安定性および耐ストレス性などを考慮すると、第1樹脂(a)の融点は、液体現像剤を製造するときの温度以上であることが好ましい。シェル樹脂の融点が液体現像剤を製造するときの温度よりも低いと、製造時にトナー粒子同士の合一あるいは分裂を制御し難くなり、そればかりかトナー粒子の粒度分布における分布幅が狭くなり難く、トナー粒子の粒径のバラツキが大きくなるおそれもあるからである。
ここで本明細書において樹脂の融点は、示差走査熱量測定装置(セイコーインスツル製の「DSC20」または「SSC/580」など)を用いて「ASTM D3418−82」に準拠した方法で測定された値を示すものとする。
(第1樹脂(a)のMn)
第1樹脂(a)のMn(前述したGPCで測定された値)は、好ましくは100以上5000000以下であり、より好ましくは200以上5000000以下であり、特に好ましくは500以上500000以下である。
(第1樹脂(a)のSP値)
第1樹脂(a)のSP値は、好ましくは7(cal/cm31/2以上18(cal/cm31/2以下であり、より好ましくは8(cal/cm31/2以上14(cal/cm31/2以下である。
(シェル粒子のメジアン径)
シェル粒子である場合、その体積平均粒径(メジアン径)は、トナー粒子の粒径が所望の範囲となるように適宜調整すればよい。シェル粒子のメジアン径は、好ましくは0.0005μm以上3μm以下である。シェル粒子のメジアン径の上限は、より好ましくは2μmであり、さらに好ましくは1μmである。シェル粒子のメジアン径の下限は、より好ましくは0.01μmであり、さらに好ましくは0.02μmであり、最も好ましくは0.04μmである。たとえばメジアン径が1μmのトナー粒子を得たい場合には、シェル粒子のメジアン径は、好ましくは0.0005μm以上0.3μm以下であり、より好ましくは0.001μm以上0.2μm以下である。たとえばメジアン径が10μmのトナー粒子(C)を得たい場合には、シェル粒子のメジアン径は、好ましくは0.005μm以上3μm以下であり、より好ましくは0.05μm以上2μm以下である。
<着色剤>
着色剤は、脂肪族ポリエステル樹脂およびウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂の少なくともいずれか一方の中に分散されている。またトナー粒子がコア/シェル構造を有する場合には、着色剤はコア粒子およびシェル粒子の少なくともいずれか一方の中に分散されている。着色剤の粒径は0.3μm以下であることが好ましい。着色剤の粒径が0.3μmを超えると分散性が悪くなり、光沢度が低下して所望の色目を実現できなくなる場合もある。
着色剤には従来公知の顔料等を特に制限なく使用することができるが、コスト、耐光性、着色性などの観点から、たとえば以下の顔料を使用することが好ましい。ここで色彩構成上、これらの顔料は、通常ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料に分類され、基本的にブラック以外の色彩(カラー画像)はイエロー顔料、マゼンタ顔料、シアン顔料の減法混色により調色される。これらの顔料は、必要に応じて単独もしくは2つ以上を選択して使用することもできる。
(顔料分散剤)
顔料分散剤は、トナー粒子中に着色剤を均一に分散させる作用を有するものであり、塩基性分散剤を使用することが好ましい。ここで「塩基性分散剤」とは、以下に定義されるものをいう。すなわち顔料分散剤(0.5g)と蒸留水(20ml)とをガラス製スクリュー管に入れ、さらにペイントシェーカーを用いて30分間振り混ぜた後、ろ過することにより得られたろ液のpHを、pHメータ(商品名「D−51」、堀場製作所製)を用いて測定し、そのpHが7より大きい場合を塩基性分散剤とする(そのpHが7より小さい場合は、酸性分散剤と呼ぶものとする)。
塩基性分散剤の種類は特に限定されない。たとえば、分散剤の分子内にアミン基、アミノ基、アミド基、ピロリドン基、イミン基、イミノ基、ウレタン基、四級アンモニウム基、アンモニウム基、ピリジノ基、ピリジウム基、イミダゾリノ基、およびイミダゾリウム基などの官能基を有する化合物(分散剤)を挙げることができる。ここで分散剤とは、通常、分子中に親水性の部分と疎水性の部分とを有するいわゆる界面活性剤が該当するが、上記のとおり着色剤(顔料)を分散させる作用を有する限り、種々の化合物を用いることができる。
塩基性分散剤の市販品としては、たとえば味の素ファインテクノ社製の「アジスパーPB−821」(商品名)、「アジスパーPB−822」(商品名)、「アジスパーPB−881」(商品名)、日本ルーブリゾール社製の「ソルスパーズ28000」(商品名)、「ソルスパーズ32000」(商品名)、「ソルスパーズ32500」(商品名)、「ソルスパーズ35100」(商品名)、「ソルスパーズ37500」(商品名)等を挙げることができる。
また顔料分散剤には、絶縁性液体(キャリア液)に溶解しないものを選択することがより好ましい。その理由から味の素ファインテクノ社製の「アジスパーPB−821」(商品名)、「アジスパーPB−822」(商品名)、「アジスパーPB−881」(商品名)がより好ましい。詳細なメカニズムは不明ながら、このような顔料分散剤を使用すると、トナー粒子の形状を制御しやすい傾向にある。顔料分散剤は、1種単独で用いてもよいし、あるいは2種以上を併用してもよい。
顔料分散剤は、着色剤(顔料)に対して1質量%以上100質量%以下添加することが好ましく、1質量%以上40質量%以下添加することがより好ましい。添加量が1質量%未満では、着色剤の分散性が不十分となる場合があり、必要なID(画像濃度)が達成できないだけでなく、定着強度も低下する場合がある。また添加量が100質量%を超えると、顔料に対して必要量以上の分散剤が添加されることになり、余剰の分散剤が絶縁性液体中に溶解して、トナー粒子の荷電性、定着強度などに悪影響を及ぼす場合もある。
<絶縁性液体>
絶縁性液体としては、上述のように20℃における比誘電率が1以上4以下である非親水性有機溶剤(L)が用いられる。非親水性有機溶剤(L)は、最終的に、製造される液体現像剤(X)の絶縁性液体を構成するため、上述のように20℃における比誘電率が1以上4以下である非親水性有機溶剤(L)を用いることが好ましい。
上記非親水性有機溶剤(L)は、さらに、臭気、毒性が低いことが好ましい。一般的に、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、ポリシロキサンなどが挙げられる。特に、臭気、無害性、コストの点から、ノルマルパラフィン系溶媒、イソパラフィン系溶媒などの流動パラフィンが好ましい。具体的には、松村石油研究所社製の「モレスコホワイト」(商品名)、エクソンモービル社製の「アイソパー」(商品名)、シェルケミカルズジャパン(株)製の「シェルゾール」(商品名)、出光興産社製の「IPソルベント1620」、「IPソルベント2028」、「IPソルベント2835」(いずれも商品名)などを挙げることができる。
液体現像剤(X)を構成する絶縁性液体は、20℃における比誘電率が1以上4以下である非親水性有機溶剤(L)のみであることが好ましいが、本実施の形態の効果を奏する限りにおいて、他の有機溶剤を含んでいてもよい。ただし、他の有機溶剤の含有量は好ましくは1質量%以下である。
≪液体現像剤の製造方法≫
本発明は、上述した液体現像剤を好適に製造することができる、2通りの液体現像剤の製造方法も提供する。なお、上述した本発明の液体現像剤は、本発明の液体現像剤の製造方法によって好適に製造され得るが、本発明の液体現像剤の製造方法によって製造されたものに限定されるものではない。
上述のように、本発明の液体現像剤における大きな特徴の1つは、第2樹脂(b)(トナー樹脂)が脂肪族ポリエステル樹脂と、ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂とを含有することである。脂肪族ポリエステル樹脂(b1)とウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂(b2)は、どのような方法および過程で混合してもよいが、脂肪族ポリエステル樹脂(b1)とウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂(b2)との混合の際し、本発明の液体現像剤では、以下の(I)または(II)の工程を少なくとも含むことが好ましい。
(I)脂肪族ポリエステル樹脂溶液とウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂溶液とを混合する工程、
(II)ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂溶液中に、脂肪族ポリエステル樹脂の分散体を分散させる工程。
上記(I)の場合、具体的には、脂肪族ポリエステル樹脂(b1)を有機溶媒に溶解した有機溶媒溶液とウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂(b2)を有機溶媒に溶解した有機溶媒溶液とを溶液混合することで、第2樹脂(b)の溶液を製造する。このように溶液混合を行なう場合、製造が比較的容易であるという利点がある。
上記(II)の場合、ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂(b2)を有機溶媒に溶解した有機溶媒溶液中に粉末の脂肪族ポリエステル樹脂(b1)を入れ、ビーズミルまたはロールミルなどの公知の湿式分散機を用いて湿式で粉砕して脂肪族ポリエステル樹脂を分散体とし、分散させる。このように、脂肪族ポリエステル樹脂の分散体を予めウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂に分散させておく場合、さらに低温定着性に優れる液体現像剤が得られるという利点がある。
本実施形態の液体現像剤の製造方法は、上述した(I)または(II)の工程を含んでいるのであれば、それ以外の工程については特に制限されず、後述するような従来公知の適宜の液体現像剤の製造方法の各工程、製造条件などを適用することができる。
トナー粒子は、たとえば造粒法、粉砕法などの従来公知の技法が挙げられる。小径でシャープな粒度分布を有するトナー粒子を得るためには、粉砕法よりも造粒法を採用することが好ましい。溶融性の高い樹脂または結晶性の高い樹脂は、常温でも柔らかく、粉砕され難い。そのため、粉砕法では、トナー粒子の粒径を所望の粒径に制御できないことがある。しかし、造粒法では、所望の粒径を有するトナー粒子を得ることができる。
造粒法には、トナー粒子の形成機構の違いから、懸濁重合法、乳化重合法、微粒子凝集法、樹脂溶液に貧溶媒を添加してトナー粒子を析出させる方法、スプレードライ法などが含まれる。
より好ましくは、樹脂溶液に貧溶媒を添加してトナー粒子を析出させる方法を採用する。この方法では、まず、第2樹脂(b)を良溶媒に溶解させてコア樹脂形成用溶液(分散相)を得る。コア樹脂形成用溶液を界面張力調整剤(たとえばシェル樹脂(連続相))とともに貧溶媒(SP値が良溶媒とは異なる)に混合した後、せん断を与えて液滴を形成する。その後、良溶媒を揮発させると、トナー粒子を含む液体現像剤が得られる。この方法では、せん断の与え方、界面張力差、または、界面張力調整剤(たとえば第1樹脂(a))を適宜調整することにより、トナー粒子の粒度またはトナー粒子の形状を高度に制御できる。よって、この方法は、所望の粒度分布および所望の形状を有するトナー粒子を得る方法として好適である。
コア樹脂形成用溶液を第1樹脂(a)とともに貧溶媒に混合する場合、第1樹脂(a)を含むシェル粒子が貧溶媒に分散されてなる分散液(シェル用分散液)にコア樹脂形成用溶液を混合することが好ましい。例えば次の[1]〜[7]のうちのいずれかの方法でシェル粒子またはシェル層を製造することが好ましい。シェル粒子の製造し易さという観点では、[4]、[6]または[7]の方法でシェル粒子またはシェル層を製造することが好ましく、[6]または[7]の方法でシェル粒子を製造することがより好ましい。
[1]ジェットミルなどの公知の乾式粉砕機を用いて第1樹脂(a)を乾式で粉砕させる、
[2]第1樹脂(a)の粉末を有機溶剤中に分散させ、ビーズミルまたはロールミル等の公知の湿式分散機を用いて湿式で粉砕させる、
[3]スプレードライヤーなどを用いて第1樹脂(a)の溶液を噴霧し、乾燥させる、
[4]第1樹脂(a)の溶液に対して貧溶媒の添加または冷却を行なって、第1樹脂(a)を過飽和させて析出させる、
[5]第1樹脂(a)の溶液を水または有機溶剤中に分散させる、
[6]第1樹脂(a)の前駆体を水中で乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、シード重合法、懸濁重合法などにより重合させる、
[7]第1樹脂(a)の前駆体を有機溶剤中で分散重合などにより重合させる。
以下、実施例を用いて本実施形態をさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれらに限定されるものではない。
<液体現像剤の製造>
以下のようにして各種液体現像剤を製造して、HH保管性、定着強度および温度変化に伴う光沢の変化を評価した。以下において樹脂の「Mn」、「Mw」および「酸価」は前述の方法に従って測定した。
(製造例1)脂肪族ポリエステルの製造
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、アルコール成分構成単位となるべき脂肪族モノマーである1,6−ヘキサンジオール267質量部と、酸成分構成単位となるべき脂肪族モノマーであるセバシン酸400質量部および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3質量部を入れ、180℃で、窒素気流下、生成する水を留去しながら8時間反応させた。
次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.007〜0.026MPaの減圧下で1時間反応させた。こうして脂肪族ポリエステル樹脂(b1)を得た。脂肪族ポリエステル(b1)Mnは5000であった。
(製造例2)脂肪族ポリエステル樹脂の製造
製造例1の1,6−ヘキサンジオール267質量部を1,10−デカンジオール400質量部に変更した以外は製造例1と同様にして、脂肪族ポリエステル樹脂(b1’)を得た。脂肪族ポリエステル樹脂(b1’)のMnは5000であった。
(製造例3)ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物の製造
攪拌および温度調整機能を備えたオートクレープに、ビスフェノールA(228g)と、水酸化カリウム(2g)とを入れ、135℃まで昇温した後、0.1〜0.4MPaの圧力条件下でプロピレンオキサイド(139g)を導入し、その後3時間に亘って反応させた。こうして得られた反応生成物に吸着剤(製品名「キョーワード600」、協和化学工業社製)(16g)を投入し、90℃に保持しながら30分に亘って攪拌し熟成させた。その後ろ過を行い、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物を得た。このプロピレンオキサイド付加物は、上記化学式(I)中のmとnとの和(m+n)が2であるものと3であるものとの混合物であった。
(製造例4)芳香族ポリエステル樹脂の製造
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽中に、アルコール成分構成単位となるべき芳香族系モノマー(製造例3で得たビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物)756質量部と、酸成分構成単位となるべき芳香族系モノマー(イソフタル酸)272質量部および縮合触媒としてテトラブトキシチタネート3質量部を入れ、180℃で、窒素気流下、生成する水を留去しながら8時間反応させた。
次いで230℃まで徐々に昇温しながら、窒素気流下、生成する水を留去しながら4時間反応させ、さらに0.007〜0.026MPaの減圧下で1時間反応させた。こうして芳香族ポリエステル樹脂を得た。芳香族ポリエステル樹脂のMnは3500であった。
(製造例5)ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂(樹脂b2)の製造
製造例4で得た芳香族ポリエステル樹脂324質量部にIPD20質量部を投入し、80℃で6時間に亘って反応させた。そうしてNCO価が0(ゼロ)になった時点で、取り出し、ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂b2が得られた。ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂b2のMnは25000であり、Mwは45000であった。
(製造例6)第2樹脂溶液B1の製造
製造例1で得た脂肪族ポリエステル樹脂b1を38質量部、ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂b2を762質量部とアセトン1200質量部とをビーカーに入れて攪拌することにより、脂肪族ポリエステル樹脂b1とウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂b2をアセトンに均一に溶解させた。こうして脂肪族ポリエステル樹脂b1とウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂b2が溶解した第2樹脂溶液B1を得た。これは、b1/b2=0.05に相当する。
(製造例7)第2樹脂溶液B2の製造
製造例6の脂肪族ポリエステル樹脂b1を38質量部のところを400質量部、ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂b2を762質量部のところを400質量部へ変更した以外は製造例6と同様にして、第2樹脂溶液B2を得た。これは、b1/b2=1に相当する。
(製造例8)第2樹脂溶液B3の製造
製造例6の脂肪族ポリエステル樹脂b1を38質量部のところを133質量部、ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂b2を762質量部のところを667質量部へ変更した以外は製造例6と同様にして、第2樹脂溶液B3を得た。これは、b1/b2=0.2に相当する。
(製造例9)第2樹脂溶液B4の製造
ビーカーに、製造例2で得た脂肪族ポリエステル樹脂b1を133質量部、ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂b2を667質量部とアセトン1200質量部とをビーカーに入れて攪拌した。ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂b2は溶解するが、脂肪族ポリエステル樹脂b1’は固体として分散状態であった。さらにビーズミルを用いて脂肪族ポリエステル樹脂b1’を微分散させることにより、第2樹脂溶液B4を得た。この第2樹脂溶液B4において脂肪族ポリエステル樹脂b1’の体積平均粒径は0.2μmであった。これは、b1/b2=0.2に相当する。
(製造例10)第2樹脂溶液B5の製造
製造例6の脂肪族ポリエステル樹脂b1を38質量部のところを0質量部、ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂b2を762質量部のところを800質量部へ変更した以外は製造例6と同様にして、第2樹脂溶液B5を得た。これは、b1/b2=0に相当する。
(製造例11)第2樹脂溶液B6の製造
製造例6の脂肪族ポリエステル樹脂b1を38質量部のところを800質量部、ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂b2を762質量部のところを0質量部へ変更した以外は製造例6と同様にして、第2樹脂溶液B6を得た。これは、脂肪族ポリエステル樹脂を使用しないことに相当する。
(製造例12)着色剤分散液の製造
ビーカーに、銅フタロシアニン(商品名「FASTOGEN Blue FDB−14」、DIC社製)(20質量部)と、着色剤分散剤(商品名「アジスパーPB−821」、味の素ファインテクノ社製)(5質量部)と、アセトン(75質量部)とを投入し、攪拌して均一に分散させた。さらにビーズミルを用いて銅フタロシアニンを微分散させることにより、着色剤分散液を得た。この着色剤分散液において着色剤(銅フタロシアニン)の体積平均粒径は0.2μmであった。
(製造例13)第1樹脂(a1)の微粒子分散液(A1)の製造]
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計、滴下ロート、脱溶剤装置および窒素導入管を備えた反応容器に、THF100質量部を投入した。ガラス製ビーカーに、メタクリル酸2−デシルテトラデシル50質量部、アクリルアミド5質量部、マクロモノマー(商品名:「AA−6」、東亞合成工業(株))30質量部、メタクリル酸メチル15質量部およびアゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.1質量部の混合液を投入し、20℃で撹拌、混合してモノマー溶液を調整し、滴下ロートに投入した。
反応容器の気相部の窒素置換を行った後、密閉下70℃で1時間かけてモノマー溶液を滴下した。滴下終了から3時間後、アゾビスメトキシジメチルバレロニトリル0.05質量部とTHF5質量部とを混合したものを添加し、70℃で3時間反応した後室温まで冷却し、共重合体の溶液を得た。この共重合体の溶液200質量部を撹拌しながら、絶縁性液体(「IPソルベント2028」、出光興産社製)300質量部に滴下し、0.039MPaの減圧下、40℃でTHFを留去して、微粒子分散液(A1)を得た。この微粒子分散液(A1)に含まれる第1樹脂(a1)のMwを前述の方法に従って測定したところ、Mwは100000であった。以下、Mwはこれと同様の方法で測定したものである。
(実施例1)
第2樹脂溶液B1(40質量部)と着色剤分散液(20質量部)とを投入し、25℃でTKオートホモミクサー(プライミクス社製)を用いて8000rpmで攪拌し、均一に分散させた。
別のビーカーに絶縁性液体(商品名「IPソルベント2028」、出光興産社製)(67質量部)と、上記で得た微粒子分散液A1(11質量部)とを投入して均一に分散させた。次いでこの分散液を、TKオートホモミクサーを用いて10000rpmで攪拌しながら、着色剤を分散させたコア樹脂溶液(60質量部)を投入して2分間攪拌して混合液を得た。さらにこの混合液を、攪拌装置、加熱冷却装置、温度計および脱溶剤装置を備えた反応容器に投入し、35℃に昇温し、同温度を保持しながら0.039MPaの減圧下、アセトンの濃度が0.5質量%以下となるまでアセトンを留去させた。こうして実施例1に係る液体現像剤(Z−1)を得た。この液体現像剤(Z−1)においてトナー粒子は、脂肪族ポリエステルとウレタン変性芳香族ポリエステルとの混合物から構成されるコア粒子の表面に、第1樹脂から構成されるシェル粒子が付着または被覆されてなるコア/シェル構造を有するものであった。
(実施例2〜実施例4ならびに比較例1〜比較例2)
表1に示すように、各種樹脂の組み合わせを変更することを除いては実施例1と同様にして各種液体現像剤を得た。
Figure 2016177030
<液体現像剤の評価>
以下のようにして液体現像剤を評価した。
(トナー粒子の評価)
液体現像剤に含まれるトナー粒子のメジアン径をFPIA−3000S(シスメックス社製)を用いて測定した。結果は表1に示した。測定サンプルの前処理は次の手順で行った。測定にあたりフロー溶媒には、キャリア液と同じIPソルベント2028を用いた。先ずサンプル(50mg)を採取し、分散剤としてS13940(日本ルーブリゾール社製)(30mg)を加えたIPソルベント2028(20g)中に投入した。さらにその懸濁液を超音波分散器「ウルトラソニッククリーナモデルVS−150」(ウエルボクリア社製)で約5分間に亘って分散処理して測定サンプルとした。
(画像形成装置)
実際に液体現像剤から画像を形成し、定着強度ならびに温度変化に伴う光沢の変化を評価した。ここでは先ず評価に使用した画像形成装置の構成ならびにその動作について説明する。図1は、画像形成装置100の構成の一例を示す概略概念図である。図1を参照して、現像槽22に液体現像剤21が入れられる。液体現像剤21はアニロックスローラ23によって汲み上げられ、ならしローラ25へと送られる。アニロックスローラ23の表面において余分な液体現像剤21は、ならしローラ25に達する前にアニロックス規制ブレード24によってかき取られ、ならしローラ25の表面では液体現像剤が均等な層厚を持つように調整される。その後液体現像剤は、ならしローラ25から現像剤担持体26へと転移する。
感光体29は帯電部30で帯電させられ、露光部31において感光体29上に潜像が形成される。液体現像剤に含まれるトナー粒子は、現像チャージャー28で帯電させられる。帯電させられたトナー粒子は感光体29上の潜像に対応して、現像剤担持体26から感光体29へと転移し、現像が行われることとなる。このとき感光体29に転移しなかった液体現像剤は、現像部の下流に設置されているクリーニングブレード27によって回収される。
感光体29に現像された液体現像剤は、一次転写部37で中間転写体33に静電一次転写させられる。中間転写体33に転写されずに感光体29に残留した液体現像剤は、像担持体クリーニング部のクリーニングブレード32によって回収される。
中間転写体33に担持された液体現像剤21は、二次転写部38においてメディア40(たとえば紙)に静電二次転写させられる。図1中の方向Aは、メディア40の搬送方向を示している。メディア40に転写させられた液体現像剤は、図示しない熱ローラ定着装置で定着させられる。こうしてプリントアウトされた画像が完成する。メディア40に転写されずに中間転写体33に残留した液体現像剤は、中間転写体クリーニング部のクリーニングブレード34によって回収される。感光体29は再び帯電、露光、現像のサイクルを繰り返し、プリント動作が続行される。
今回の評価では、トナー粒子を現像チャージャー28でプラスの極性に帯電させた。また中間転写体33の電位は−400V、転写ローラ35の電位は−1200Vとした。搬送速度は400mm/sとし、メディア40(紙)には王子製紙社製の「OKトップコート(128g/m)」を使用した。
(定着強度の測定)
上記の画像形成装置を用いて、各液体現像剤からトナー付着量が3mg/mである未定着画像(10cm×10cmのソリッドパターン)を作成し、さらに熱ローラ定着装置(熱ローラ温度100℃、NIP時間30msec)によって定着画像を作成した。このときNIP時の紙温度は約80℃であった。
定着画像においてソリッド部の定着強度をテープ剥離試験により評価した。すなわち定着画像にテープ(3M社製の「スコッチメンディングテープ」)を貼り付けた後、そのテープを剥離し、テープに剥離されてきた画像の画像濃度(ID)を反射濃度計(商品名「X−Rite model 404」、X−Rite社製)により測定し、次の3水準で評価した。結果は表1に示した。
A:画像濃度(ID)0.1未満
B:画像濃度(ID)0.1以上0.15未満
C:画像濃度(ID)0.15以上
ここでは剥離されてきた画像の画像濃度(数値)が小さいほど、定着強度が高いことを示している。
(温度変化に伴う光沢変化の測定)
上記と同様にして未定着画像を作成し、さらに熱ローラ温度を90℃として定着させた定着画像と、熱ローラ温度を110℃として定着させた定着画像とを作成した。次に各定着画像の光沢度を75度光沢度計(商品名「VG−2000」、日本電色工業社製)で測定し、熱ローラ温度が90℃のときの光沢度をG90、熱ローラ温度が110℃のときの光沢度をG110として|G110−G90|を算出し、次の3水準で評価した。結果は表1に示した。
A:|G110−G90|≦10
B:10<|G110−G90|≦15
C:15<|G110−G90|
ここでは|G110−G90|の値が小さいほど、温度変化に伴う光沢変化が小さいことを示している。
<結果と考察>
表1より、トナー樹脂が脂肪族ポリエステル樹脂とウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂を含み、脂肪族ポリエステル樹脂とウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂との質量比が0.05以上1以下である実施例に係る液体現像剤は、かかる条件を満たさない比較例に係る液体現像剤に比し、いずれの項目においても優れた特性を示すことが分かる。
以上、本発明の実施形態および実施例について説明したが、上記した実施形態および各実施例の構成を適宜組み合わせることも当初から予定している。今回開示された実施形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
21 液体現像剤、22 現像槽、23 アニロックスローラ、24 アニロックス規制ブレード、25 ならしローラ、26 現像剤担持体、27 クリーニングブレード、28 現像チャージャー、29 感光体、30 帯電部、31 露光部、32 クリーニングブレード、33 中間転写体、34 クリーニングブレード、35 転写ローラ、37 一次転写部、38 二次転写部、40 記録材、100 画像形成装置。

Claims (4)

  1. 絶縁性液体と、前記絶縁性液体に分散されたトナー粒子とを備える液体現像剤であって、
    前記トナー粒子は、コア/シェル構造を有し、
    前記コア/シェル構造は、コア粒子の表面の少なくとも一部に設けられ、シェル層またはシェル粒子となる第1樹脂と、第1樹脂とは異なる樹脂である第2樹脂を含むコア粒子とを有し、
    前記絶縁性液体は、20℃における比誘電率が1以上4以下であり、
    前記第2樹脂は、脂肪族ポリエステル樹脂と、ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂とを含有する、液体現像剤。
  2. 第2樹脂におけるウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂に対する脂肪族ポリエステル樹脂の質量比が0.05以上1以下である、請求項1に記載の液体現像剤。
  3. 請求項1または2に記載の液体現像剤を製造する方法であって、
    脂肪族ポリエステル樹脂溶液とウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂溶液とを混合する工程を含む、液体現像剤の製造方法。
  4. 請求項1または2に記載の液体現像剤を製造する方法であって、
    ウレタン変性芳香族ポリエステル樹脂溶液中に、脂肪族ポリエステル樹脂の分散体を分散させる工程を含む、液体現像剤の製造方法。
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