JP6201356B2 - プルリング付き口栓と容器 - Google Patents

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Description

本発明は、液体用紙容器などの口栓取付部位に設けられるプルリング付き口栓、及び口栓取付部位にこのプルリング付き口栓が取り付けられている容器に関するものである。
従来、飲料などの液体を収容する容器には容器上部を切妻屋根型にした液体用紙容器が多く使用されており、収容した液体の注出が行ない易くするために容器上部の傾斜板に合成樹脂製の口栓が取り付けられていて、これをキャップで覆うようにしている。このような液体用容器に取り付けられる口栓は、液体用容器の流通時にこの口栓の密封性を確保し、使用時には開封できるようにした仕組みが備えられている。
上記口栓の形状として一例を挙げれば、容器上部の板面(例えば上記傾斜板)の口栓取付孔から突出する注出筒とこの注出筒の下端外周に亘って設けられている取付用のフランジとが一体に形成されている。そして、前記注出筒の内側下方を閉鎖板を設けて封止していて、注出に際して密封を切る開口が前記閉鎖板に形成できるようにするために、閉鎖板の開口予定位置に閉鎖板の下面側にして縦断面形状が溝状の環状薄肉脆弱線を設け、この環状薄肉脆弱線に囲まれてなる除去板を閉鎖板中に形成している。また除去板の上面には環状薄肉脆弱線の近傍位置にして上部にブルリングを有する支柱を立設している。
口栓を液体用紙容器などの液体用容器に取り付けるには、注出筒を容器の口栓取付孔に通して位置させ、その口栓取付孔周りの板材とフランジとを重ね合わせた状態でその板材とフランジとを超音波溶着している。
液体用容器に取り付けられている口栓を開封するときには、注出筒の内側にあるブルリングを指先に掛けて上方に引っ張るようにしており、環状薄肉脆弱線の上記支柱が近接している部分に裂けを生じさせ、その裂けを始端として裂け目が環状薄肉脆弱線に沿って進んで上記除去板が取り除かれ、閉鎖板に開口が得られる。
上述したフランジを有するタイプの口栓だけでなくボトル型の容器の口部に嵌め付けるタイプも含めたプルリング付き口栓では、除去板の形状をほぼ円板状としたものが多く流通しているが、例えば特許文献1や特許文献2に示されているように除去板の平面形を略十字形状として一つの突端に支柱を立設したものや、除去板の大半の部分を円板状として支柱立設部分自体を注出筒の筒壁に向けて凸となる略山形状の平面形を有するものもある。
除去板の支柱立設部を注出筒の筒壁側に突出した形状にしていることから、除去板を取り外すときにその支柱立設部に沿った環状薄肉脆弱線に裂けが生じ易くなると考えられ、除去板の取り外しがし易くなる効果も期待されていた。即ち、除去板の平面形状がほぼ円形とされた口栓ではプルリングを引っ張り上げて除去板を取り外す際に比較的大きな開栓力が必要となっており、この開栓力を低減させることが望まれているのが現状である。
この支柱立設部が凸となっている従来の口栓の一例を図9〜図13に示した。この口栓aではキャップbが被せられ、また注出筒cの下端外周にフランジdが一体に設けられている。断面で示すように注出筒cの内側下方を閉鎖板eを設けて封止し、閉鎖板eの開口予定位置に縦断面を溝形状とした環状薄肉脆弱線fを閉鎖板eの下面にして設けていて、閉鎖板e中に環状薄肉脆弱線fで囲まれた除去板gを形成し、この除去板gにおいて環状薄肉脆弱線fの近傍位置にプルリングhを有する支柱iが立設されている。
そして、支柱iが立つ支柱立設部jについては、その支柱立設部jの両側を注出筒中心側に向けてやや凹んだ形状とすることで、支柱立設部jの部分が筒壁側に向けて凸となるように設けられていた(底面図参照)。支柱立設部jの位置に沿う環状薄肉脆弱線fは底面図で示すようにその支柱立設部jとは反対側の弧形状より曲がりが強く小さな弧形状となっている。このように支柱立設部を筒壁側に向けて凸となる形状とすることで、プルリングを引っ張った際に支柱立設部に沿う位置から環状薄肉脆弱線が切断されると期待されていた。
図13に示されているように閉鎖板eの下面側に開く上記環状薄肉脆弱線fは、除去板gの外周面である溝内側面kと注出筒cの筒壁側の溝外側面lとの間に薄肉の脆弱板mが位置してなるものである。さらに環状薄肉脆弱線の脆弱板は、求められる切断し易さに応じた厚さ寸法にすることができるものではなく、成形上の都合から現在の形態のものより薄肉に成形できない。そのため、上述した工夫はプルリングを引っ張るときに裂けが生じさせ易くすることも目的としているものであった。
実開昭49−002753号公報 実開昭57−026320号公報
しかしながら、上述した工夫は上記目的を達成できるものとなっていないのが現状である。理由を説明すれば、閉鎖板eの中央(除去板gの中央)が射出成形のノズル対応位置にして厚肉にされ、その樹脂注入部分の厚さとほぼ同等の厚肉で除去板自体の肉厚が均一に成形されており、筒壁側に向けて凸の支柱立設部の部分の肉厚も、除去板中の他の部分の肉厚と同じとなっている。
そして、このような口栓において、プルリングを引っ張った際、引っ張り力が支柱立設部や支柱立設周辺部に伝わるものの、除去板は肉厚が均一な板状となっているために、引っ張り力に対して除去板全体で抗するようになり、支柱立設部や支柱立設周辺部での局部的な変形はその度合いが小さい。さらに、支柱立設部や支柱立設周辺部の局部的な変形の度合いが小さいことから、支柱立設部に沿った或る程度の長さ部分に亘る脆弱板に引っ張り力の作用が分散して、その長さ部分全体に延びを生じさせることとなり、結果として開栓力が大きくなってしまう。この点は、支柱立設部を筒壁側に突出させていない円板状の除去板を備える口栓でも同じである。
対策として、除去板を薄肉の板とすることが挙げられるが、除去板全体を薄肉板にしてしまうと、この口栓の射出成形における中央の射出ノズル対応部から溶融樹脂が広がり難くなる欠点があり、そのために除去板を厚肉で均一な板状としているのが現状である。
このことから環状薄肉脆弱線、特に脆弱板の局所に裂けを簡単に生じさせる応力集中がなかなか生じず、除去板をほぼ円形とした従来からの口栓と比べても開栓力が良好に低減されたものではなかった。また、環状薄肉静寂線で囲まれてなる除去板の形状を円板形状に対して大きく異形となる形状にすると、その除去板を取り除いた後に形成される開口の形状がいびつになり易く、収容物の注出に不具合を招く可能性もある。
そこで本発明は上記事情に鑑み、プルリング付き口栓において、プルリングを引っ張った際に支柱立設部に沿った環状薄肉脆弱線に裂けが容易に生じるようにすることを課題とし、開栓力を低下させて開封し易い口栓を提供することを目的とするものである。
(請求項1の発明)
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、注出筒の内側下方を閉鎖板を設けて封止し、閉鎖板の開口予定位置であって注出筒の筒壁の近傍を通る位置に環状薄肉脆弱線を設けて、この閉鎖板中に前記環状薄肉脆弱線で囲まれて平面形状が円板である除去板を形成し、この除去板での前記環状薄肉脆弱線の近傍位置にプルリングを有する支柱が立設されているプルリング付き口栓において、
前記除去板における支柱立設側となる領域の肉厚を、除去板での前記支柱立設側とは反対側の領域の肉厚に比して薄肉にして、支柱立設部を含む前記支柱立設側の領域が撓み容易な板状の薄肉板部として形成され、除去板における前記薄肉板部以外の領域が薄肉板部よりは撓み変形を困難な板状の厚肉板部として形成されていて、支柱立設部から除去板の中央を通る除去板径方向に、互いに肉厚が相違する前記二つの板部が段差部を介して並び設けられており、
前記段差部は、支柱立設部から除去板の中央を通る前記除去板径方向に対して直交する方向に直線状とされて、この段差部の端部の部分それぞれの位置は、筒壁の近傍に位置する前記環状薄肉脆弱線の位置と一致していることを特徴とするプルリング付き口栓を提供して、上記課題を解消するものである。
(請求項2の発明)
そして、上記発明は、除去板の中央は射出ノズル対応部とされ、この射出ノズル対応部が上記厚肉板部の領域に含まれているものとすることが良好である。
(請求項3の発明)
また、上記発明は、閉鎖板の外周部であって上記支柱立設部に対応する部分のみに、閉鎖板厚さを厚肉にしてこの厚肉により撓み変形が抑止された補強部が設けられていることが良好である。
(請求項4の発明)
また、もう一つの発明は、上記プルリング付き口栓が口栓取付部位に取り付けられていることを特徴とする容器であり、この容器を提供して上記課題を解消するものである。
(請求項1の発明の効果)
請求項1の発明によれば、プルリングを有する支柱が立設されている支柱立設部が除去板の撓み変形容易な薄肉板部にあるので、開栓に際してプルリングを持って引っ張るようにすれば、除去板の支柱立設部が局所的に変形するようになり、環状薄肉脆弱線の前記支柱立設部の直近で位置している部分に応力が集中してその箇所に裂けが生じ易くなる。そして、支柱立設部に直近の環状薄肉脆弱線で生じた裂けを始端として裂け目が薄肉板部の周りの環状薄肉脆弱線に沿って進むようになる。
前記裂け目が薄肉板部と厚肉板部との間の境界に対応する位置に至れば、薄肉板部全体が大きく上方に曲がって引き上げられた状態となり、引っ張り力が厚肉板部側に作用するようになる。厚肉板部は薄肉板部に比して撓み変形が困難とされて固い板状の部分として形成されているので、薄肉板部を介して伝わる引っ張り力がこの厚肉板部全体を引き上げるように作用し、厚肉板部の周りにある環状薄肉脆弱線に裂け目がスムーズに進んで除去板が簡単に外れるようになり、開栓力が高まらずに小さい開栓力で開封できるという優れた効果を奏する。
(請求項2の発明の効果)
請求項2の発明によれば、射出ノズル対応部が厚肉板部の部分に位置しているので、口栓成形に際し、射出ノズル対応部の位置からの樹脂の広がりが阻害されることがないという効果を奏する。
(請求項3の発明の効果)
請求項3の発明によれば、閉鎖板の外周部であって上記支柱立設部に対応する部分のみに補強部が設けられているので、プルリングを引っ張った際、前記補強部は変形し難く、引っ張りによる応力が補強部と支柱立設部の間の環状薄肉脆弱線に集中し易く、その部分で裂けの発生がより一層容易になる。
(請求項4の発明の効果)
請求項4の発明によれば、開栓力を小さくした上記発明の口栓が取り付けられているので開封が容易な容器となる。また、閉鎖板中にある除去板を円形としても開栓力が高まることがないため、この除去板を円形にして開封後に円形の開口が形成されるようにすることで、口栓から収容液を注出し易い容器を提供できる。
本発明に係る口栓の第一の実施例を断面で示す説明図である。 第一の実施例における薄肉板部と環状薄肉脆弱線を拡大断面で示す説明図である。 第一の実施例の底面を示す説明図である。 第一の実施例における厚肉板部と環状薄肉脆弱線を拡大断面で示す説明図である。 第二の実施例を断面で示す説明図である。 第三の実施例を断面で示す説明図である。 第三の実施例における補強部を断面で示す説明図である。 本発明の容器の一例を示す説明図である。 キャップで閉じられた口栓の従来例を示すものでその上面を示す説明図である。 同じく従来例の側面を示す説明図である。 同じく従来例の底面を示す説明図である。 同じく従来例の断面を示す説明図である。 従来例における環状薄肉脆弱線を断面で示す説明図である。
つぎに本発明を図1から図8に示す実施例に基づいて詳細に説明する。
(口栓の第一の実施例)
図中1はプルリング付き口栓で、図1の断面で示すように該口栓1はキャップ2が被せられる注出筒3の下端外周にフランジ4が一体に設けられている。前記注出筒3の内側下方は閉鎖板5を設けて封止し、この閉鎖板5の開口予定位置に縦断面を略V字の溝形状とした環状薄肉脆弱線6を設けていて、閉鎖板5中に環状薄肉脆弱線6で囲まれてなる除去板7を形成し、この除去板7において環状薄肉脆弱線6の近傍位置に、プルリング8を有する支柱9が立設されている。
(環状薄肉脆弱線)
上記環状薄肉脆弱線6は閉鎖板5の下面側に形成されていて、図2に示すように除去板7の外周面である溝内側面10と注出筒3の筒壁11側の溝外側面12との間に薄肉の脆弱板13が位置してなるものである。この環状薄肉脆弱線6は口栓1を下方から見た状態で示すように注出筒3と同心の円形状であり、筒壁11の近くを通る配置である。また環状薄肉脆弱線6が円形状であるため、除去板7の平面形状は円板となっている(図3)。
本発明の口栓1にあっては、開栓に際してプルリング8を引っ張り上げたときに支柱9に近い位置にある環状薄肉脆弱線6の脆弱板13に裂けが生じ易くなるようにした工夫が施されている。この第一の実施例の口栓1において、上述したように支柱9は除去板7での環状薄肉脆弱線6の近傍位置に立設されていて、除去板7での支柱立設部14の外側面は溝内側面10の一部である(図2参照)。
(除去板)
第一の実施例において、上記除去板7は図示されているように互いに肉厚を相違させて上面を面一に揃えている二つの板部を有してなるものである。前述したようにこの除去板7を構成する二つの板部は支柱立設部14を含む薄肉板部15とこの薄肉板部15以外の部分である厚肉板部16とであり、支柱立設部14から除去板7の中央の射出ノズル対応部17を通る除去板径方向に、段差部18を介して並び設けられている。
上記薄肉板部15は、除去板7における支柱立設側となる領域の肉厚を、除去板7での支柱立設側とは反対側の領域の肉厚に比して薄肉にし、支柱立設部14を含むこの支柱立設側の領域を撓み容易な板状にして形成している。また、厚肉板部16は上述したように除去板7における薄肉板部15以外の領域をその薄肉板部15よりは撓み変形を困難な板状にして形成されているものである。
口栓1は例えばポリエチレン樹脂(低密度ポリエチレンLDPE、直鎖状低密度ポリエチレンLLDPE)を成形材料として成形されており、除去板7を肉厚の異なる二つの板部とすることで、除去板7の引き起こしに際し、その撓み変形のし易さが互いに相違するように設定されている。即ち、支柱立設部14を含む支柱立設側の領域である薄肉板部15は、プルリング引っ張りに際して撓み容易な板状の部分とされ、他方の除去板7における薄肉板部15以外の領域である厚肉板部16は、プルリング引っ張りに際して薄肉板部15よりは撓み変形を困難な板状の部分として形成されている。
図3の底面から見た状態で示されているように、段差部18は、支柱立設部14から除去板7の中央の射出ノズル対応部17を通る上記除去板径方向に対して直交する方向に直線状とされていて、この段差部18の端部の部分それぞれが、環状薄肉脆弱線6での溝内側面10に達し、段差部18の端部の部分それぞれの位置は、筒壁の近傍に位置する前記環状薄肉脆弱線6の位置と一致している。そして、段差部18は射出ノズル対応部17に重ならないように支柱立設部14側に偏倚した位置にあるため、薄肉板部15は厚肉板部16より狭い面積であり、環状薄肉脆弱線6の円弧状部と前記段差部18とで囲まれた領域である。しかし、支柱立設部14およびその周りである支柱立設周辺部19を含んでおり、プルリング引っ張りに際して支柱立設部14の部分の撓み変形が、除去板全体から見て局所的な変形となる。
そのため、プルリング8を引っ張ったときには支柱立設部14に対応した環状薄肉脆弱線6の脆弱板13に応力が集中し、その部分の脆弱板13に裂けが容易に生じ、プルリング8の引きに伴なって裂け目が進み、また薄肉板部15も大きく上方に向けて曲がるように撓み変形する。そして、支柱立設部14側の裂けを始端として薄肉板部15に沿う環状薄肉脆弱線6の脆弱板13で裂け目が進むこととなる。
また、上記厚肉板部16は環状薄肉脆弱線6の薄肉板部対応部分以外の円弧状部と上記段差部18に囲まれた領域となる。さらに、この実施の例にあっては、厚肉板部12の外辺部は環状薄肉脆弱線6を介して前記薄肉板部15の肉厚とほぼ同等とされた肉厚の閉鎖板5の外周部20に相対している。上述したように厚肉板部12は薄肉板部16に比して撓み変形が困難な板部である。
そのため、プルリングからの引っ張りにより先に薄肉板部15が引き起こされ、裂け目が段差部18に対応する位置までに達している状態となれば、薄肉板部15における段差部18側から作用する引っ張り力が、厚肉板部16全体を段差部18側から上方へと回動するような引き起こしが生じることとなって、多少の撓み変形をするものの厚肉板部16全体が一斉に起き、併せて厚肉板部16に沿う環状薄肉脆弱線6の脆弱板13に裂け目がスムーズに進むことになり、大きな開栓力を要することなしにこの除去板7を取り外して開口することができる。また、上述したように厚肉板部16の外周は、この厚肉板部16に比して薄肉で撓み変形が容易となっている閉鎖板5の外周部20とも相対しているので、厚肉板部16の引き起こしが筒壁11の剛性に影響を受けずに行なえる効果もある。
(口栓の第二の実施例)
(補強部)
図5は第二の実施例を示していて、図中の符号21は上記第一の実施例における閉鎖板5の環状薄肉脆弱線6の筒壁11側となる外周部20の一部分に設けられた補強部を示している。即ち、この第二の実施例は、支柱立設部14に相対する位置のみを補強部21としている例である。前記補強部21は、支柱立設部14に相対する部分がプルリング8の引っ張り方向に撓むように変形することを抑えて、その支柱立設部14に相対する部分の剛性を高める補強を行なうもので、本口栓1においてプルリング8を引っ張って開封する際に支柱立設部14の近傍の環状薄肉脆弱線6中の脆弱板13に裂けがより生じ易くなるようにしているものである。
図示されているように補強部21は、環状薄肉脆弱線6の溝外側面12から筒壁11に亘る閉鎖板5の外周部20の下面であって、支柱立設部14に閉鎖板5の径方向に対応する部分のみに位置していて、閉鎖板5が厚さ方向下方に凸となる凸部分22を一体に形成して閉鎖板5の厚さを厚肉して設けているが、この補強部21としている閉鎖板5の厚さが厚肉となるように上面側に凸部分22を一体に形成してもよい。即ち、支柱立設部14に対向する部分の剛性が強化されればよいものである。
(口栓の第三の実施例)
上記実施例では環状薄肉脆弱線6が閉鎖板5の下面側に形成されて、縦断面形状が下方に開く略V字状としているが、本口栓1ではこの環状薄肉脆弱線6が閉鎖板5の上面側に形成して縦断面形状を下方が開く略V字状としてもよく、その例を図6にて第三の実施例として示している。第三の実施例の環状薄肉脆弱線6は閉鎖板5の上面側に形成されている点と上記二つの板部の段差形成が除去板7の上面側で形成されている点で上記実施例と相違していて、除去板7の外周面である溝内側面10と注出筒3の筒壁11側の溝外側面12との間に位置する脆弱板13の下面と除去板7の下面とは面一となり、薄肉板部15と厚肉板部16との段差は除去板7の上面側に形成され、薄肉板部15と厚肉板部16との両下面が面一となっているものである。
この第三の実施例で示すように本口栓1では上記薄肉板部15と上記厚肉板部16とが、支柱立設部14から除去板7の中央を通る除去板径方向に上記段差部18を介して並び設けられていればよいものであり、上記実施例と同じようにプルリング8を引っ張った際には、薄肉板部15における支柱立設部14が除去板7中で局部的に撓み変形することとなり、この支柱立設部14に沿う環状薄肉脆弱線6の脆弱板13に容易に裂けが生じ、上記実施例と同様に薄肉板部15周りの環状薄肉脆弱線6を裂け目が進み、そして、薄肉板部15が上方に曲がり起きている状態で引っ張り力が加わり続けることで、その引っ張り力が前記厚肉板部16を全体的に引き起こす作用を果たし、厚肉板部16がほぼ一斉に引き起こされるようになって、開栓力を高めることなく口栓1が開封できる。
(補強部)
第三の実施例でも、上記実施例と同様に、下方に突出した凸部分22を設けることによってその凸部分22のある閉鎖板5の厚さを厚肉にされた補強部21を形成したり、上方に突出した凸部分22を設けることによってその凸部分22のある閉鎖板5の厚さを厚肉にされた補強部21を形成することも可能である(図7)。
(容器)
図8は上記実施例による口栓1が取り付けられている液体用紙容器23を示している。この液体用紙容器23は容器上部を切妻屋根状としたゲーベルトップタイプの容器で、一面の傾斜天板に開口された口栓取付孔(口栓取付部位)から注出筒3が外部に突出するようにして配されていて、口栓取付孔周りの板材内面と口栓1のフランジとを融着することでブルリング付き口栓1を取り付けた容器としているものであり、注出筒3にはキャップが被せ付けられている。上述したように口栓1の開封に際し、プルリングを引っ張ったときの応力が集中する裂け始端形成部によって、支柱立設部やその周辺で撓みや伸長などの大きな変形を招かずに容易に裂けが生じて開栓力が小さくなり、これによって開封操作がすこぶる簡単な容器となるものである。なお、口栓1を取り付けた容器はこの液体用紙容器に限定されるものではない。
(口栓の変例)
口栓1について上述した実施例ではそれぞれフランジを一体に有するものであって、別成形のキャップをネジ付けできるように注出筒の外周には外ネジを有するものとしている。しかしながら、本発明での口栓は上記実施例に示したものに限定されるものではなく、注出筒にセルフヒンジを介してキャップが連結されている口栓や、ボトル型の容器の口栓取付孔に嵌め付けることができるようにその嵌合部位を注出筒が備える形態の口栓であってもよく、容器も嵌合タイプの口栓が取り付けられたものとすることも可能である。
1…口栓
5…閉鎖板
6…環状薄肉脆弱線
7…除去板
8…プルリング
9…支柱
14…支柱立設部
15…薄肉板部
16…厚肉板部
17…射出ノズル対応部
18…段差部
19…支柱立設周辺部
20…閉鎖板の外周部
21…補強部
22…凸部分
23…液体用紙容器

Claims (4)

  1. 注出筒の内側下方を閉鎖板を設けて封止し、閉鎖板の開口予定位置であって注出筒の筒壁の近傍を通る位置に環状薄肉脆弱線を設けて、この閉鎖板中に前記環状薄肉脆弱線で囲まれて平面形状が円板である除去板を形成し、この除去板での前記環状薄肉脆弱線の近傍位置にプルリングを有する支柱が立設されているプルリング付き口栓において、
    前記除去板における支柱立設側となる領域の肉厚を、除去板での前記支柱立設側とは反対側の領域の肉厚に比して薄肉にして、支柱立設部を含む前記支柱立設側の領域が撓み容易な板状の薄肉板部として形成され、除去板における前記薄肉板部以外の領域が薄肉板部よりは撓み変形を困難な板状の厚肉板部として形成されていて、支柱立設部から除去板の中央を通る除去板径方向に、互いに肉厚が相違する前記二つの板部が段差部を介して並び設けられており、
    前記段差部は、支柱立設部から除去板の中央を通る前記除去板径方向に対して直交する方向に直線状とされて、この段差部の端部の部分それぞれの位置は、筒壁の近傍に位置する前記環状薄肉脆弱線の位置と一致していることを特徴とするプルリング付き口栓。
  2. 除去板の中央は射出ノズル対応部とされ、この射出ノズル対応部が上記厚肉板部の領域に含まれている請求項1に記載のプルリング付き口栓。
  3. 閉鎖板の外周部であって上記支柱立設部に対応する部分のみに、閉鎖板厚さを厚肉にしてこの厚肉により撓み変形が抑止された補強部が設けられている請求項1または2に記載のプルリング付き口栓。
  4. 請求項1から3の何れか一項に記載のプルリング付き口栓が口栓取付部位に取り付けられていることを特徴とする容器。
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