JP6200926B2 - インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクジェットプリンタカートリッジ、及びインクジェット記録物 - Google Patents
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Description
インクジェット記録方法を用いてカラー画像を形成する場合、少なくともイエローインク、マゼンタインク、シアンインク、及びブラックインクを用いるのが一般的である。これらのインクには粘度、表面張力等の物性値が適正範囲内にあること、ノズルの目詰まり、保存安定性に優れ、かつ高い濃度の記録画像を与えること、また耐光性、耐オゾン性、耐水性、耐湿性に優れていること等の性質が要求される。
本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、印画濃度、消泡性、及び耐湿性に優れたインクジェット記録用インクを提供することを目的とする。また、上記インクジェット記録用インクを用いたインクジェット記録方法、インクジェットプリンタカートリッジ、及びインクジェット記録物を提供することを目的とする。
<1>
LogKOWの推算値が9以上であり、かつスルホ基を少なくとも2つ有する水溶性染料と水とを含有するインクジェット記録用インクであって、上記水溶性染料の母核が、キサンテン誘導体である、インクジェット記録用インク。
<2>
上記キサンテン誘導体が、下記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物である<1>に記載のインクジェット記録用インク。
一般式(1)及び一般式(2)中、R 101 、R 103 、R 104 、R 105 、R 106 、R 108 、R 109 、R 110 、R 111 、R 112 、R 113 、R 114 、R 115 、R 116 、R 117 、R 118 、R 119 、R 120 、R 201 、R 202 、R 204 、R 205 、R 206 、R 207 、R 209 、R 210 、R 211 、R 212 、R 213 、R 214 、R 215 、R 216 、R 217 、R 218 、R 219 及びR 220 は各々独立に水素原子又は置換基を表し、X 1 、X 2 、X 3 及びX 4 は各々独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のヘテロ環オキシ基、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールアミノ基、置換若しくは無置換のヘテリルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基、置換若しくは無置換のアミノカルボニルオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のウレイド基、置換若しくは無置換のアシル基、カルボキシル基、置換若しくは無置換のカルバモイル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のスルファモイル基、メルカプト基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、又はスルホ基を表す。
ただし、一般式(1)におけるR 101 、R 103 、R 104 、R 105 、R 106 、R 108 、R 109 、R 110 、R 112 、R 115 、X 1 及びX 2 のうちいずれか少なくとも1つは−SO 3 Mを表し、一般式(2)におけるR 201 、R 202 、R 204 、R 205 、R 206 、R 207 、R 209 、R 210 、R 212 、R 215 、X 3 及びX 4 のうちいずれか少なくとも1つは−SO 3 Mを表す。
Mは、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、又はアルキルアンモニウムイオンを表す。
<3>
上記キサンテン誘導体が上記一般式(1)で表される化合物であり、
上記一般式(1)におけるR 101 、R 105 、R 106 及びR 110 は各々独立に置換若しくは無置換のアルキル基を表し、R 103 、R 104 、R 108 、R 109 、R 111 、R 112 、R 113 、R 114 、R 115 、R 116 、R 117 、R 118 、R 119 及びR 120 は各々独立に水素原子又は置換基を表し、X 1 及びX 2 は各々独立に、−NHCOR 21 、−NHSO 2 R 22 、又は−SO 2 NR 23 R 24 を表す。R 21 、R 22 、R 23 及びR 24 は、各々独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す、<2>に記載のインクジェット記録用インク。
<4>
上記X 1 及びX 2 が各々独立に、−NHCOR 21 を表す、<3>に記載のインクジェット記録用インク。
R 21 は、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。
<5>
上記水溶性染料が、下記(1)〜(5)のいずれかの構造を有する<1>〜<4>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク。
(1)炭素数4以上のアルキル基又は炭素数4以上のアルキレン基を2つ以上有する。
(2)分子内に下記疎水基群Aから選ばれる少なくとも1種の構造を2つ以上有する。
疎水基群A:
(3)下記疎水基群Bから選ばれる少なくとも1種の構造を3つ以上有する。
疎水基群B:
(4)少なくとも2つのトリメチルベンゼン環、及び少なくとも2つのナフタレン環を有する。
(5)少なくとも2つのトリメチルベンゼン環、及び少なくとも4つのベンゼン環を有する。
<6>
<1>〜<5>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクを用いるインクジェット記録方法。
<7>
<1>〜<5>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクを充填したインクジェットプリンタカートリッジ。
<8>
<1>〜<5>のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクを用いて、被記録材に着色画像を形成したインクジェット記録物。
本発明は上記<1>〜<8>に記載した事項に関するものであるが参考のためにその他の事項についても記載した。
LogKOWの推算値が9以上であり、かつスルホ基を少なくとも2つ有する水溶性染料と水とを含有するインクジェット記録用インクであって、上記水溶性染料の母核が、キサンテン誘導体、トリアリールメタン誘導体、アントラキノン誘導体、又はアントラピリドン誘導体である、インクジェット記録用インク。
[2]
上記水溶性染料の母核がキサンテン誘導体である[1]記載のインクジェット記録用インク。
[3]
上記キサンテン誘導体が、下記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物である[2]に記載のインクジェット記録用インク。
ただし、一般式(1)におけるR101、R103、R104、R105、R106、R108、R109、R110、R112、R115、X1及びX2のうちいずれか少なくとも1つは−SO3Mを表し、一般式(2)におけるR201、R202、R204、R205、R206、R207、R209、R210、R212、R215、X3及びX4のうちいずれか少なくとも1つは−SO3Mを表す。
Mは、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、又はアルキルアンモニウムイオンを表す。
[4]
上記キサンテン誘導体が上記一般式(1)で表される化合物であり、
上記一般式(1)におけるR101、R105、R106及びR110は各々独立に置換若しくは無置換のアルキル基を表し、R103、R104、R108、R109、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119及びR120は各々独立に水素原子又は置換基を表し、X1及びX2は各々独立に、−NHCOR21、−NHSO2R22、又は−SO2NR23R24を表す。R21、R22、R23及びR24は、各々独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す、[3]に記載のインクジェット記録用インク。
[5]
上記X1及びX2が各々独立に、−NHCOR21で表される化合物である、[4]に記載のインクジェット記録用インク。
R21は、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。
[6]
上記水溶性染料が、下記(1)〜(5)のいずれかの構造を有する[1]〜[5]のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インク。
(1)炭素数4以上のアルキル基又は炭素数4以上のアルキレン基を2つ以上有する。
(2)分子内に下記疎水基群Aから選ばれる少なくとも1種の構造を2つ以上有する。疎水基群A:
疎水基群B:
(5)少なくとも2つのトリメチルベンゼン環、及び少なくとも4つのベンゼン環を有する。
[7]
[1]〜[6]のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクを用いるインクジェット記録方法。
[8]
[1]〜[6]のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクを充填したインクジェットプリンタカートリッジ。
[9]
[1]〜[6]のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクを用いて、被記録材に着色画像を形成したインクジェット記録物。
まず、本発明における置換基の具体例を、置換基群Aとして定義する。
ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、イオン性親水性基が例として挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。
アルキル基としては、好ましくは、炭素数1から30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等が挙げられ、ビシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基等が挙げられる。
アルケニル基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基等が挙げられ、シクロアルケニル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換若しくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基等が挙げられ、ビシクロアルケニル基としては、置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等が挙げられる。
Mは、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、又はアルキルアンモニウムイオンを表す。
LogKOWとは、親疎水性を表すパラメータであり、オクタノール/水分配比率を示す。LogKOW値が大きいほど疎水的であることを示す。
LogKOWは「EPI Suite」の「Version4.11」のソフトを使用して、推算値として計算した。「EPI Suite」とは、化学物質の構造をもとに各物質の物性値を予測・算出する推算ツールである。
この際、スルホン酸やカルボン酸、アンモニウム塩などのイオン性基は、−SO3 −は−SO3Hとして、−SO3MはーSO3Hとして、−CO2 −は−CO2Hとして、−CO2Mは−CO2Hとして、=NH+−は=N−として計算した。
なお、「EPI Suite」のダウンロードの方法や使用方法は、インターネットで入手することができる。
本発明におけるインクジェット記録用インクに含まれる水溶性染料(以下、本発明の水溶性染料とも記載する)は、LogKOWの推算値が9以上であり、かつスルホ基を少なくとも2つ以上有する。本発明の水溶性染料の母核としては、キサンテン誘導体、トリアリールメタン誘導体、アントラキノン誘導体、又はアントラピリドン誘導体である。
スルホ基は、−SO3H、−SO3M(Mは1価のカウンターカチオン)、−SO3 −のいずれの形態であってもよい。Mは、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)、アンモニウムイオン、又はアルキルアンモニウムイオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン)を表すことが好ましい。
各色素構造を形成しうる具体的な色素化合物については「新版染料便覧」(有機合成化学協会編;丸善、1970)、「カラーインデックス」(The Society of Dyers and colourists)、「色素ハンドブック」(大河原他編;講談社、1986)などに記載されている。
母核は、特に滲みの改良効果が認められたことから、キサンテン誘導体であることが好ましい。
アルキル基としては、直鎖、分岐、環状(シクロアルキル基)のいずれであってもよい。
アルキレン基としては、直鎖、分岐、環状(シクロアルキレン基)のいずれであってもよい。
分子内に、炭素数6以上の直鎖又は分岐のアルキル基を有するとインク中に泡が発生しやすく、インクジェット印画する際に打適性が悪化するという場合がある。インク中の泡の発生を抑えるという点も考慮すると、炭素数4〜6の直鎖又は分岐のアルキル基を2つ以上有するか、または炭素数6以上のシクロアルキル基、アルキレン基又はシクロアルキレン基を有することが好ましい。
炭素数4〜6の直鎖又は分岐のアルキル基としては、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基又はn−ヘキシル基が挙げられる。
炭素数6以上のシクロアルキル基としては、シクロヘキシル基、ノルボルニル基又はジシクロデカニル基が挙げられる。
炭素数6以上のアルキレン基としては、ヘキシレン基、オクチレン基、ノニレン基、デカニレン基、ウンデカニレン基又はドデカニレン基が挙げられる。
炭素数6以上のシクロアルキレン基としては、シクロヘキシレン基、ノルボルニレン基又はジシクロデカニレン基が挙げられる。
疎水基群A:
疎水基群B:
(5)少なくとも2つのトリメチルベンゼン環、及び少なくとも4つのベンゼン環を有する。
〔一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物〕
一般式(1):
ただし、一般式(1)におけるR101、R103、R104、R105、R106、R108、R109、R110、R112、R115、X1及びX2のうちいずれか少なくとも1つは−SO3Mを表し、一般式(2)におけるR201、R202、R204、R205、R206、R207、R209、R210、R212、R215、X3及びX4のうちいずれか少なくとも1つは−SO3Mを表す。
Mは、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、又はアルキルアンモニウムイオンを表す。
置換スルファモイル基としては、ジ置換スルファモイル基であってもモノ置換スルファモイル基でもよいが、合成の容易性、水への溶解性の観点から、モノ置換スルファモイル基であることが好ましい。
水溶性をさらに付与するために、分子内中に、さらに−SO3M又は−CO2Mを有することがより好ましい。ただし、−SO3M、−CO2Mなどの水溶性を付与する基が多ければ多いほどLogKOWの推算値は小さくなる。
また、アルキル基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。
次に本発明のインクジェット記録用インクについて説明する。
本発明のインクジェット記録用インクは、LogKOWの推算値が9以上であり、かつ−SO3Mを少なくとも2つ以上有する水溶性染料と水とを含有する。
インクジェット記録用インクは、水を含む媒体中に本発明の水溶性染料を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。インクジェット記録用インクは、好ましくは水性媒体を用いたインクである。
インクジェット記録用インクは必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有することができる。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合には、染料分散物の調製後分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
本発明は、本発明のインクジェット記録用インクを用いて、画像形成するインクジェット記録方法にも関する。
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット記録用インクにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。
本発明のインクジェット記録用インクカートリッジは、上記した本発明のインクジェット記録用インクを充填したものである。また、本発明のインクジェット記録物は、上記した本発明のインクジェット記録用インクを用いて、被記録材に着色画像を形成したものである。
例示化合物(1−9)は例えば下記スキームに従い、合成することができる。
3',6'-ジクロロスピロ[3H−2,1−ベンゾオキサチオール−3,9'−[9H]キサンテン]1,1−ジオキシド(中外化成製、DCSF(商品名))(化合物(A))20g、2,4−ジアミノメシチレン−6−スルホン酸46g(東京化成製)(化合物(B))、ジアザビシクロウンデセン(略称、DBU)30g、塩化亜鉛6.7gをエチレングリコール250gに添加し、150℃で6時間反応させた。得られた反応液を室温に冷却し、アセトニトリル1Lに注ぎ入れ、得られた結晶をカラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア製)、展開溶媒:水/メタノール)で精製し、中間体(X)を得た。収量7.7g、収率19%、MS(m/z)=836([M−1]−、100%)。
中間体(X)8.3gをN,N−ジメチルアセトアミド50mLに溶解させ、内温を0℃まで冷却した。ここに4−tert−ブチルシクロヘキサンカルボン酸塩化物(化合物(C))(文献記載の方法、例えばJournal ofOrganic Chemistry, 1964年29巻1285〜1289頁記載の方法で合成)4.4gを内温5℃以下に保ちながらゆっくりと滴下した。その後、内温10℃で2時間反応させた後に、酢酸エチル750mLに注ぎ入れた。析出した結晶をろ取し、得られた結晶をカラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア製)、展開溶媒:メタノール)で精製し、希水酸化ナトリウム水溶液で中和し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮することで、例示化合物(1−9)を得た。収量4.2g(収率36%)、MS(m/z)=1123([M−2Na+H]−、100%)。希薄水溶液中における吸収スペクトルの吸収極大波長は531nmであった。
例示化合物(1−9)Na塩の合成における中間体(X)4gを、N,N−ジメチルアセトアミド56mLに溶解させ、内温を0℃まで冷却した。ここにクロロぎ酸フェニル(東京化成製)4.8mLを、内温を5℃以下に保ちながら滴下した後に、室温で90分反応させた。再度内温を0℃まで冷却し、2,4,6−トリメチルアニリン(東京化成製)6.4gをN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)に溶解した液を内温10℃以下で滴下した後に、室温で30分撹拌した。得られた反応液を大過剰の酢酸エチルに注ぎ入れ、析出した固体をろ別した。得られた固体を水に溶解させ、希水酸化ナトリウム水溶液でpHを7に調整し、得られた水溶液をカラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア製)、展開溶媒:水/メタノール)で精製した。ロータリーエバポレーターで濃縮したのちに、再度水に溶解させ、強酸性イオン交換樹脂(アンバーライトIR120−H(商品名)、オレガノ社製)を通液させた後に、希水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7に調整し、メンブレンフィルターを用いて除塵ろ過を行ったのちに、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮乾固して、例示化合物(1−18)を得た。収量4.9g、MS(m/z)=1158([M−1]−、100%)。例示化合物(1−18)の希薄水溶液中での吸収スペクトルの吸収極大波長は531nmであった。
例示化合物(1−31)は下記スキームに従って合成することができる。
3',6'-ジクロロスピロ[3H−2,1−ベンゾオキサチオール−3,9'−[9H]キサンテン]1,1−ジオキシド(中外化成製、DCSF(商品名))30g、2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジアミン(DAM)(東京化成製)63g、塩化亜鉛11gをエチレングリコール265gに添加して、150℃で6時間反応させた。反応液を室温まで冷却し、0.6M塩酸300mLを滴下して結晶を析出させ、析出した結晶をろ別し、水300mLで洗浄した。得られた結晶を60℃で12時間乾燥し、中間体(A)の結晶を得た。収量23g、収率50%、MS(m/z)=633([M+1]+、100%)。
中間体(A)23gを、10%発煙硫酸420gに添加して、室温にて72時間反応させた。反応液を5Lの10%食塩水に注ぎ入れ、析出した結晶をろ別した。ろ別した結晶を500mLのメタノールに溶解させ、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液を用いてpH7に調整し、析出した硫酸ナトリウムをろ過により取り除いた。ろ液をロータリーエバポレーターを用いて濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア製)、展開溶媒:メタノール)で精製し、中間体(B)の結晶を得た。収量21g、収率68%、MS(m/z)=793([M−2Na+H]−、100%)。
中間体(B)8.3gをN,N−ジメチルアセトアミド50mLに溶解させ、内温を0℃まで冷却した。ここにアビエチン酸塩化物(化合物(D)文献記載の方法、例えば, Tetrahedron Asymmetry,2014年25巻1292〜1297頁記載の方法で合成)7.0gを内温5℃以下に保ちながらゆっくりと滴下した。その後、内温10℃で2時間反応させた後に、酢酸エチル750mLに注ぎ入れた。析出した結晶をろ取し、得られた結晶をカラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア製)、展開溶媒:メタノール)で精製し、希水酸化ナトリウム水溶液で中和し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮することで、例示化合物(1−31)を得た。収量6.2g(収率46%)、MS(m/z)=1315([M−2Na+H]−、100%)。希薄水溶液中における吸収スペクトルの吸収極大波長は530nmであった。
下記の成分に脱イオン水を加え100gとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後10mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液にてpH=9に調製し、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過しマゼンタ用インク液1を調製した。
染料化合物(例示化合物(1−1)) 3.50g
ジエチレングリコール 10.65g
グリセリン 14.70g
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 12.70g
トリエタノールアミン 0.65g
オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) 0.9g
染料を、下記表1に示すように変更した以外は、インク液1の調製と同様にして、インク液2〜26、比較用のインク液として以下に示す比較化合物1〜比較化合物5を用いたインク液をそれぞれ調製した。
調製したインク液1〜26、比較用インク液1〜5をインクジェット記録用インクとして用いた。
各実施例及び比較例のインクジェット記録用インクについて、下記評価を行った。その結果を表1及び表2に示した。
なお、表1及び表2において、印画濃度、耐湿性は、各インクジェット記録用インクをインクカートリッジに装填し、インクジェットプリンター(キヤノン製ピクサスiP8600、商品名)でフォト光沢紙(キヤノン製写真用紙プロフェッショナルPT−201、商品名)に画像を記録した後で評価したものである。
印画したサンプルの100%濃度部分のX−Rite310TR(商品名、エックスライト社製)を用いて濃度測定し、2.3以上をA、2.2以上2.3未満をB、2.2未満をCの3段階で評価した。
インクジェット記録の際、チェック柄のパターン(濃度100%と0%の1.5mm角を有する正方形を交互に組み合わせたパターン)を作成し、コントラストの高いマゼンタ−ホワイトのチェック柄の印画物を得た。印画後、24時間乾燥を行ったチェック柄の印画物を80℃、相対湿度70%RHの環境下で14日間放置し、着色部分からホワイト部分へのにじみの程度を目視で評価し、にじまない場合をA、少しにじむ場合をB、大きくにじむ場合をCとして、三段階で評価した。
(インク作成時の作業性の評価)
作成したインク液を、15秒間振盪させてのちに静置し、泡が消えるまでの時間を測定し、作業性を評価した。3分未満でほぼ泡が消える場合をA、3分以上10分未満で泡がほぼ消える場合をB、10分以上かかっても泡が消えない場合をCの3段階で評価した。
Claims (8)
- LogKOWの推算値が9以上であり、かつスルホ基を少なくとも2つ有する水溶性染料と水とを含有するインクジェット記録用インクであって、前記水溶性染料の母核が、キサンテン誘導体である、インクジェット記録用インク。
- 前記キサンテン誘導体が、下記一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物である請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
一般式(1)及び一般式(2)中、R101、R103、R104、R105、R106、R108、R109、R110、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119、R120、R201、R202、R204、R205、R206、R207、R209、R210、R211、R212、R213、R214、R215、R216、R217、R218、R219及びR220は各々独立に水素原子又は置換基を表し、X1、X2、X3及びX4は各々独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のヘテロ環オキシ基、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールアミノ基、置換若しくは無置換のヘテリルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニル基、置換若しくは無置換のアリールスルホニル基、置換若しくは無置換のアミノカルボニルオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のウレイド基、置換若しくは無置換のアシル基、カルボキシル基、置換若しくは無置換のカルバモイル基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニル基、置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、置換若しくは無置換のスルファモイル基、メルカプト基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、又はスルホ基を表す。
ただし、一般式(1)におけるR101、R103、R104、R105、R106、R108、R109、R110、R112、R115、X1及びX2のうちいずれか少なくとも1つは−SO3Mを表し、一般式(2)におけるR201、R202、R204、R205、R206、R207、R209、R210、R212、R215、X3及びX4のうちいずれか少なくとも1つは−SO3Mを表す。
Mは、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、又はアルキルアンモニウムイオンを表す。 - 前記キサンテン誘導体が前記一般式(1)で表される化合物であり、
前記一般式(1)におけるR101、R105、R106及びR110は各々独立に置換若しくは無置換のアルキル基を表し、R103、R104、R108、R109、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119及びR120は各々独立に水素原子又は置換基を表し、X1及びX2は各々独立に、−NHCOR21、−NHSO2R22、又は−SO2NR23R24を表す。R21、R22、R23及びR24は、各々独立に、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す、請求項2に記載のインクジェット記録用インク。 - 前記X1及びX2が各々独立に、−NHCOR21 を表す、請求項3に記載のインクジェット記録用インク。
R21は、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルケニル基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクを用いるインクジェット記録方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクを充填したインクジェットプリンタカートリッジ。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット記録用インクを用いて、被記録材に着色画像を形成したインクジェット記録物。
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