JP6118833B2 - 化合物、着色組成物、インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクジェットプリンタカートリッジ、及びインクジェット記録物 - Google Patents

化合物、着色組成物、インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクジェットプリンタカートリッジ、及びインクジェット記録物 Download PDF

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Description

本発明は、化合物、化合物を含む着色組成物、インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクジェットプリンタカートリッジ、及びインクジェット記録物に関する。
インクジェット記録方法は、周知のごとくインクの小滴を飛翔させ、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う方法である。この印刷方法は、安価な装置で高解像度、高品位な画像を高速かつ簡便に印刷をする事ができ、特にカラー印刷においては、近年写真に代わりうる画像形成方法として技術開発が行われている。
インクジェット記録方法を用いてカラー画像を形成する場合、少なくともイエローインク、マゼンタインク、シアンインク、及びブラックインクを用いるのが一般的である。これらのインクには粘度、表面張力等の物性値が適正範囲内にあること、ノズルの目詰まり、貯蔵安定性に優れ、かつ高い濃度の記録画像を与えること、また耐光性、耐オゾン性、耐水性、耐湿性に優れていること等の性質が要求される。
これらの性能は、水又は水と水溶性有機溶剤との混合液を主溶媒とする水性インクを用いることにより、要求される水準を満たすことが多いが、特に色調、鮮やかさ、耐光性、耐オゾン性、耐水性、耐湿性等は着色剤に左右されるところが大きく、従来さまざまな染料の研究がされてきている。
たとえば、特許文献1には、アニリノ基が置換したキサンテン誘導体であって、このアニリノ基にアシルアミノ基が置換した化合物が記載されており、この化合物を含む着色組成物を用いて形成したインクジェット記録物の彩度、耐光性及び耐オゾン性などについて検討されている。
また、特許文献2には、アニリノ基が置換したキサンテン誘導体に、トリアジン環を含む特定の置換基が結合した化合物が記載されており、この化合物を含む着色組成物を用いて形成した画像は印画濃度、耐オゾン性、耐光性及び耐湿性に優れることが記載されている。
特開2011−148973号公報 特開2013−49776号公報
しかしながら、染料の分野については更なる性能の向上が求められており、耐光性、耐オゾン性、及び耐湿性等の画像堅牢性、並びにインクの貯蔵安定性をより向上させることができる化合物が要求されている。
本発明は、耐光性、耐オゾン性、及び耐湿性が優れた画像を形成することができ、かつインクの貯蔵安定性にも優れる化合物、及び着色組成物を提供することを目的とする。また、上記化合物及び着色組成物を含有するインクジェット記録用インク、インクジェット記録用インクを用いたインクジェット記録方法、インクジェットプリンタカートリッジ、及びインクジェット記録物を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討の結果、下記一般式(1)で表される化合物により上記課題を解決できることを見出した。
一般式(1)で表される化合物は、アニリノ基が置換したキサンテン誘導体のアニリノ基の特定の位置(窒素原子と結合した炭素原子に対してオルト位)にアルキル基を有し、かつ特定の位置(窒素原子と結合した炭素原子に対してメタ位)にアシルアミノ基を有し、かつトリアジン環を含む基を有する化合物である。作用機構は不明であるが、アニリノ基の窒素原子と結合した炭素原子に対してメタ位にアシルアミノ基を有することで、優れた耐光性及び耐オゾン性を示すものと考えられる。また、トリアジン環を含む基を有することで水素結合による印画媒体との相互作用により耐湿性が向上したものと考えられる。さらに作用機構は不明であるが、上記アシルアミノ基とトリアジン環を含む基を有することにより、この化合物を含むインクジェット記録用インク中での化合物の分解物の生成が抑制され、貯蔵安定性が向上したものと考えられる。
即ち、本発明は以下の通りである。
<1>
下記一般式(2)で表される化合物。
一般式(2)
Figure 0006118833

一般式(2)中、L は各々独立に下記一般式(L3)で表される2価の連結基を表し、R は水素原子を表し、R 及びR は各々独立にアミノ基、モルホリノ基、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数6〜20のアリールアミノ基、又は炭素数1〜3のアルキルチオ基を表す。上記アルキルアミノ基、上記アリールアミノ基、又は上記アルキルチオ基は、カルボキシル基又はスルホ基で置換されていても良い。R 、R 、R 及びR 10 は各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す。R 及びR は、各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す。R 及びR は、各々独立に水素原子又はスルホ基を表す。R 111 、R 113 、R 114 、R 116 、R 117 、R 118 、R 119 及びR 120 は各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はスルホ基を表す。R 112 及びR 115 は各々独立に水素原子又はスルホ基を表す。R 103 及びR 104 は水素原子を表す。
一般式(L3)
Figure 0006118833


一般式(L3)中、R 31 は水素原子を表す。L 31 及びL 32 は各々独立にアルキレン基を表す。
<2>
下記一般式(3)で表される化合物。
一般式(3)
Figure 0006118833

一般式(3)中、L は下記一般式(L4)で表される2価の連結基を表し、R は水素原子を表し、R 及びR は各々独立にアミノ基、モルホリノ基、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数6〜20のアリールアミノ基、又は炭素数1〜3のアルキルチオ基を表す。上記アルキルアミノ基、上記アリールアミノ基、又は上記アルキルチオ基は、カルボキシル基又はスルホ基で置換されていても良い。R 、R 、R 及びR 10 は各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す。R 及びR は、各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す。R は、水素原子又はスルホ基を表す。R 111 、R 113 、R 114 、R 116 、R 117 、R 118 、R 119 及びR 120 は各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はスルホ基を表す。R 112 及びR 115 は各々独立に水素原子又はスルホ基を表す。R 101 及びR 102 は各々独立に炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表す。R 103 及びR 104 は水素原子を表す。
一般式(L4)
Figure 0006118833


一般式(L4)中、R 41 は水素原子を表す。L 41 はアルキレン基を表す。
<3>
下記一般式(4)で表される化合物。
一般式(4)
Figure 0006118833

一般式(4)中、L は各々独立に下記一般式(L4)で表される2価の連結基を表し、R は水素原子を表し、R 及びR は各々独立にアミノ基、モルホリノ基、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数6〜20のアリールアミノ基、又は炭素数1〜3のアルキルチオ基を表す。上記アルキルアミノ基、上記アリールアミノ基、又は上記アルキルチオ基は、カルボキシル基又はスルホ基で置換されていても良い。R 、R 、R 及びR 10 は各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す。R 及びR は、各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す。R 111 、R 113 、R 114 、R 116 、R 117 、R 118 、R 119 及びR 120 は各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はスルホ基を表す。R 112 及びR 115 は各々独立に水素原子又はスルホ基を表す。R 101 及びR 102 は各々独立に炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表す。R 103 及びR 104 は水素原子を表す。
一般式(L4)
Figure 0006118833

一般式(L4)中、R 41 は水素原子を表す。L 41 はアルキレン基を表す。
<4>
下記一般式(5)で表される化合物。
一般式(5)
Figure 0006118833

一般式(5)中、L は下記一般式(L4)で表される2価の連結基を表し、R は水素原子を表し、R 及びR は各々独立にアミノ基、モルホリノ基、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数6〜20のアリールアミノ基、又は炭素数1〜3のアルキルチオ基を表す。上記アルキルアミノ基、上記アリールアミノ基、又は上記アルキルチオ基は、カルボキシル基又はスルホ基で置換されていても良い。R 、R 、R 及びR 10 は各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す。R 及びR は、各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す。R 及びR は、各々独立に水素原子又はスルホ基を表す。R 111 、R 113 、R 114 、R 116 、R 117 、R 118 、R 119 及びR 120 は各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はスルホ基を表す。R 112 は水素原子又はスルホ基を表す。R 101 及びR 102 は各々独立に炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表す。R 103 及びR 104 は水素原子を表す。
一般式(L4)
Figure 0006118833

一般式(L4)中、R 41 は水素原子を表す。L 41 はアルキレン基を表す。
<5>
下記一般式(6)で表される化合物。
一般式(6)
Figure 0006118833

一般式(6)中、L は各々独立に下記一般式(L4)で表される2価の連結基を表し、R は水素原子を表し、R 及びR は各々独立にアミノ基、モルホリノ基、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数6〜20のアリールアミノ基、又は炭素数1〜3のアルキルチオ基を表す。上記アルキルアミノ基、上記アリールアミノ基、又は上記アルキルチオ基は、カルボキシル基又はスルホ基で置換されていても良い。R 、R 、R 及びR 10 は各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す。R 及びR は、各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す。R 及びR は、各々独立に水素原子又はスルホ基を表す。
111 、R 113 、R 114 、R 116 、R 117 、R 118 、R 119 及びR 120 は各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はスルホ基を表す。R 101 及びR 102 は各々独立に炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表す。R 103 及びR 104 は水素原子を表す。
一般式(L4)
Figure 0006118833

一般式(L4)中、R 41 は水素原子を表す。L 41 はアルキレン基を表す。
<6>
<1>〜<5>のいずれか1項に記載の化合物を含有する着色組成物。
<7>
<1>〜<5>のいずれか1項に記載の化合物を含有するインクジェット記録用インク。
<8>
<7>に記載のインクジェット記録用インクを用いるインクジェット記録方法。
<9>
<7>に記載のインクジェット記録用インクを充填したインクジェットプリンタカートリッジ。
<10>
<7>に記載のインクジェット記録用インクを用いて、被記録材に着色画像を形成したインクジェット記録物。
本発明は、前記<1>〜<10>に係る発明であるが、以下、それ以外の事項(例えば、下記〔1〕〜〔14〕)についても記載している。
[1]
下記一般式(1)で表される化合物。
一般式(1)
Figure 0006118833
一般式(1)中、Dは下記一般式(D)で表される化合物からn個の水素原子を取り除いた残基を表し、Lは単結合又は2価の連結基を表し、Rは水素原子又は置換基を表し、R及びRは各々独立に置換基を表す。nは1〜4の整数を表す。
一般式(D)
Figure 0006118833
一般式(D)中、R、R、R及びR10は各々独立に置換又は無置換のアルキル基を表す。R、R、R、R、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119及びR120は各々独立に水素原子又は置換基を表す。R101及びR102は各々独立に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。R103及びR104は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
[2]
上記Dが上記一般式(D)中のR101及びR102の少なくとも一方から水素原子を取り除いた残基である[1]に記載の化合物。
[3]
上記Dが上記一般式(D)中のR及びRの少なくとも一方から水素原子を取り除いた残基である[1]に記載の化合物。
[4]
上記Lが下記一般式(L1)又は(L2)で表される[1]〜[3]のいずれか1項に記載の化合物。
一般式(L1)
Figure 0006118833
一般式(L1)中、R11は水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基を表す。L11は置換又は無置換のアルキレン基を表す。
一般式(L2)
Figure 0006118833
一般式(L2)中、R21は水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基を表す。L21は置換又は無置換のアルキレン基を表す。
[5]
上記nが1又は2を表す[1]〜[4]のいずれか1項に記載の化合物。
[6]
上記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(2)で表される[1]、[2]又は[4]に記載の化合物。
一般式(2)
Figure 0006118833
一般式(2)中、Lは各々独立に単結合又は2価の連結基を表し、Rは水素原子又は置換基を表し、R及びRは各々独立に置換基を表す。R、R、R及びR10は各々独立に置換又は無置換のアルキル基を表す。R、R、R、R、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119及びR120は各々独立に水素原子又は置換基を表す。R103及びR104は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
[7]
上記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(3)で表される[1]、[3]又は[5]に記載の化合物。
一般式(3)
Figure 0006118833
一般式(3)中、Lは単結合又は2価の連結基を表し、Rは水素原子又は置換基を表し、R及びRは各々独立に置換基を表す。R、R、R及びR10は各々独立に置換又は無置換のアルキル基を表す。R、R、R、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119及びR120は各々独立に水素原子又は置換基を表す。R101及びR102は各々独立に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。R103及びR104は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
[8]
上記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(4)で表される[1]、[3]又は[5]に記載の化合物。
一般式(4)
Figure 0006118833
一般式(4)中、Lは各々独立に単結合又は2価の連結基を表し、Rは水素原子又は置換基を表し、R及びRは各々独立に置換基を表す。R、R、R及びR10は各々独立に置換又は無置換のアルキル基を表す。R、R、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119及びR120は各々独立に水素原子又は置換基を表す。R101及びR102は各々独立に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。R103及びR104は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
[9]
上記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(5)で表される[1]、[3]又は[5]に記載の化合物。
一般式(5)
Figure 0006118833
一般式(5)中、Lは各々独立に単結合又は2価の連結基を表し、Rは水素原子又は置換基を表し、R及びRは各々独立に置換基を表す。R、R、R及びR10は各々独立に置換又は無置換のアルキル基を表す。R、R、R、R、R111、R112、R113、R114、R116、R117、R118、R119及びR120は各々独立に水素原子又は置換基を表す。R101及びR102は各々独立に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。R103及びR104は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
[10]
上記一般式(1)で表される化合物が下記一般式(6)で表される[1]、[3]又は[5]に記載の化合物。
一般式(6)
Figure 0006118833
一般式(6)中、Lは各々独立に単結合又は2価の連結基を表し、Rは水素原子又は置換基を表し、R及びRは各々独立に置換基を表す。R、R、R及びR10は各々独立に置換又は無置換のアルキル基を表す。R、R、R、R、R111、R113、R114、R116、R117、R118、R119及びR120は各々独立に水素原子又は置換基を表す。R101及びR102は各々独立に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。R103及びR104は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
[11]
上記Lが下記一般式(L3)で表される[6]に記載の化合物。
一般式(L3)
Figure 0006118833
一般式(L3)中、R31は水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基を表す。L31及びL32は各々独立に置換又は無置換のアルキレン基を表す。
[12]
上記L、L、L又はLが各々独立に下記一般式(L4)で表される[7]、[8]、[9]又は[10]に記載の化合物。
一般式(L4)
Figure 0006118833
一般式(L4)中、R41は水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基を表す。L41は置換又は無置換のアルキレン基を表す。
[13]
[1]〜[12]のいずれか1項に記載の化合物を含有する着色組成物。
[14]
[1]〜[12]のいずれか1項に記載の化合物を含有するインクジェット記録用インク。
[15]
[14]に記載のインクジェット記録用インクを用いるインクジェット記録方法。
[16]
[14]に記載のインクジェット記録用インクを充填したインクジェットプリンタカートリッジ。
[17]
[14]に記載のインクジェット記録用インクを用いて、被記録材に着色画像を形成したインクジェット記録物。
本発明の化合物は着色組成物及びインクジェット記録用インクに好適に用いることができ、インクの貯蔵安定性にも優れる。本発明の着色組成物及びインクジェット記録用インクは、耐光性、耐オゾン性、及び耐湿性が優れた画像を形成することができる。また、本発明によれば、上記インクジェット記録用インクを用いたインクジェット記録方法、インクジェットプリンタカートリッジ、及びインクジェット記録物が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明における置換基の具体例を、置換基群Aとして定義する。
(置換基群A)
ハロゲン原子、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル又はアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキル又はアリールスルフィニル基、アルキル又はアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール又はヘテロ環アゾ基、イミド基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、イオン性親水性基が例として挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよく、更なる置換基としては、以上に説明した置換基群Aから選択される基を挙げることができる。
ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子が挙げられる。
アルキル基としては、直鎖、分岐、環状の置換若しくは無置換のアルキル基が挙げられ、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えば、アルコキシ基、アルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。
アルキル基としては、好ましくは、炭素数1から30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、2―エチルヘキシル基等が挙げられ、シクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換又は無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基等が挙げられ、ビシクロアルキル基としては、好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基等が挙げられる。
アラルキル基としては、置換若しくは無置換のアラルキル基が挙げられ、置換若しくは無置換のアラルキル基としては、炭素原子数が7〜30のアラルキル基が好ましい。例えばベンジル基及び2−フェネチル基を挙げられる。
アルケニル基としては、直鎖、分岐、環状の置換若しくは無置換のアルケニル基が挙げられ、シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を包含する。
アルケニル基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基等が挙げられ、シクロアルケニル基としては、好ましくは、炭素数3から30の置換若しくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基等が挙げられ、ビシクロアルケニル基としては、置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換若しくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基、例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基等が挙げられる。
アルキニル基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
アリール基としては、好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリール基、例えば、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基等が挙げられる。
ヘテロ環基としては、好ましくは、5又は6員の置換若しくは無置換の芳香族若しくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5又は6員の芳香族のヘテロ環基、例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基等が挙げられる。非芳香族のヘテロ環基の例としては、モルホリニル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基等が挙げられる。
アリールオキシ基としては、好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−t−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基等が挙げられる。
シリルオキシ基としては、好ましくは、炭素数0から20の置換若しくは無置換のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基等が挙げられる。
ヘテロ環オキシ基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換のヘテロ環オキシ基、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基等が挙げられる。
アシルオキシ基としては、好ましくは、ホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換若しくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
カルバモイルオキシ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基等が挙げられる。
アルコキシカルボニルオキシ基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えば、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
アリールオキシカルボニルオキシ基としては、好ましくは、炭素数7から30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基等が挙げられる。
アミノ基としては、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ヘテロ環アミノ基を含み、好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアニリノ基、例えば、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基、トリアジニルアミノ基等が挙げられる。
アシルアミノ基としては、好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基等が挙げられる。
アミノカルボニルアミノ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基等が挙げられる。
アルコキシカルボニルアミノ基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
アリールオキシカルボニルアミノ基としては、好ましくは、炭素数7から30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基等が挙げられる。
スルファモイルアミノ基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基等が挙げられる。
アルキル又はアリールスルホニルアミノ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基等が挙げられる。
アルキルチオ基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のアルキルチオ基、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基等が挙げられる。
アリールチオ基としては、好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基等が挙げられる。
ヘテロ環チオ基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基等が挙げられる。
スルファモイル基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基等が挙げられる。
アルキル又はアリールスルフィニル基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、炭素数6から30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基等が挙げられる。
アルキル又はアリールスルホニル基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6から30の置換又は無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基等が挙げられる。
アシル基としては、好ましくは、ホルミル基、炭素数2から30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換若しくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数2から30の置換若しくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−クロロアセチル基、ステアロイル基、ベンゾイル基、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル基、2−ピリジルカルボニル基、2−フリルカルボニル基等が挙げられる。
アリールオキシカルボニル基としては、好ましくは、炭素数7から30の置換若しくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−t−ブチルフェノキシカルボニル基等が挙げられる。
アルコキシカルボニル基としては、好ましくは、炭素数2から30の置換若しくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
カルバモイル基としては、好ましくは、炭素数1から30の置換若しくは無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基等が挙げられる。
アリール又はヘテロ環アゾ基としては、好ましくは炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリールアゾ基、炭素数3から30の置換若しくは無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基等が挙げられる。
イミド基としては、好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基等が挙げられる。
ホスフィノ基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基等が挙げられる。
ホスフィニル基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基等が挙げられる。
ホスフィニルオキシ基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基等が挙げられる。
ホスフィニルアミノ基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基が挙げられる。
シリル基としては、好ましくは、炭素数0から30の置換若しくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基等が挙げられる。
イオン性親水性基としては、スルホ基、カルボキシル基、チオカルボキシル基、スルフィノ基、ホスホノ基、ジヒドロキシホスフィノ基、4級アンモニウム基などが挙げられる。特に好ましくはスルホ基、カルボキシル基である。またカルボキシル基、ホスホノ基及びスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対カチオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)及び有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジウムイオン、テトラメチルホスホニウム)が含まれ、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩が好ましく、ナトリウム塩又はナトリウム塩を主成分とする混合塩が更に好ましく、ナトリウム塩が最も好ましい。
なお、本発明においては、化合物が塩である場合は、水溶性インク中では塩はイオンに解離して存在している。
〔一般式(1)で表される化合物〕
下記一般式(1)で表される化合物について説明する。
一般式(1)
Figure 0006118833
一般式(1)中、Dは下記一般式(D)で表される化合物からn個の水素原子を取り除いた残基を表し、Lは単結合又は2価の連結基を表し、Rは水素原子又は置換基を表し、R及びRは各々独立に置換基を表す。nは1〜4の整数を表す。
一般式(D)
Figure 0006118833
一般式(D)中、R、R、R及びR10は各々独立に置換又は無置換のアルキル基を表す。R、R、R、R、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119及びR120は各々独立に水素原子又は置換基を表す。R101及びR102は各々独立に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。R103及びR104は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
一般式(1)中、Rは水素原子又は置換基を表す。Rが置換基を表す場合の置換基としては置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基が挙げられ、アルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、炭素数6〜12のアリール基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。また、アルキル基、アリール基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、塩素原子が好ましい。
は水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表すことが好ましく、水素原子又は置換若しくは無置換のアルキル基を表すことがより好ましく、水素原子を表すことが更に好ましい。また、アルキル基、アリール基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、塩素原子が好ましい。
一般式(1)中、R及びRは各々独立に置換基を表す。R及びRが表す置換基としては、上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、置換若しくは無置換のアミノ基、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルチオ基、置換若しくは無置換のアリールチオ基、置換若しくは無置換のヘテロ環チオ基が好ましく、置換若しくは無置換のアミノ基がより好ましい。
及びRが表す置換基が更に置換基を有する場合の置換基としては、上記置換基群Aから選ばれる置換基を挙げることができ、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基が好ましい。これらは更に置換基群Aから選ばれる置換基により置換されていてもよく、イオン性親水性基により置換されていることがより好ましい。
及びRとしては、アミノ基、モルホリノ基、置換若しくは無置換のアルキルアミノ基、又は置換若しくは無置換のアリールアミノ基が特に好ましい。アルキルアミノ基としては炭素数1〜6のアルキルアミノ基が好ましく、炭素数1〜3のアルキルアミノ基がより好ましく、エチルアミノ基が更に好ましい。アリールアミノ基としては、炭素数6〜20のアリールアミノ基が好ましく、炭素数6〜12のアリールアミノ基がより好ましく、フェニルアミノ基が更に好ましい。また、アルキルアミノ基、アリールアミノ基が置換基を有する場合の置換基としてはイオン性親水性基が好ましく、カルボキシル基、スルホ基、又はホスホノ基がより好ましく、カルボキシル基又はスルホ基が更に好ましい。これらのイオン性親水性基の対カチオンとしては、水素原子(プロトン)、アルカリ金属カチオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、又はカリウムイオン)、アンモニウムイオンなどが挙げられ、アルカリ金属カチオンであることが好ましく、ナトリウムイオンであることがより好ましい。
一般式(1)中、nは1〜4の整数を表し、1又は2を表すことが好ましい。
一般式(1)中、Lは単結合又は2価の連結基を表し、2価の連結基としては、オキシ基(−O−)、チオ基(−S−)、カルボニル基(−CO−)、スルホニル基(−SO−)、イミノ基(−NH−)、アルキレン基(好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基、より好ましくは炭素数2〜6のアルキレン基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6〜20のアリーレン基、より好ましくは炭素数6〜10のアリーレン基)、及びこれらを組み合わせて形成される基が挙げられる。これら基は置換基を有していてもよく、置換基としては置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、好ましくはアルキル基である。
Lは、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、置換基を有していてもよい炭素数6〜10のアリーレン基であることが好ましく、より好ましくは置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基であり、更に好ましくは置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルキレン基である。
Lは下記一般式(L1)又は(L2)で表されることが好ましい。
一般式(L1)
Figure 0006118833
一般式(L1)中、R11は水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基を表す。L11は置換又は無置換のアルキレン基を表す。
一般式(L2)
Figure 0006118833
一般式(L2)中、R21は水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基を表す。L21は置換又は無置換のアルキレン基を表す。
一般式(L1)中、R11は水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基を表す。
11がアルキル基を表す場合のアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。また、アルキル基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、塩素原子が好ましい。
11がアリール基を表す場合のアリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、炭素数6〜12のアリール基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。また、アリール基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、塩素原子が好ましい。
11は水素原子又は置換若しくは無置換のアルキル基を表すことが好ましく、水素原子を表すことがより好ましい。
一般式(L1)中、L11は置換又は無置換のアルキレン基を表し、置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基を表すことが好ましく、置換基を有していてもよい炭素数2〜6のアルキレン基を表すことがより好ましく、エチレン基を表すことが最も好ましい。アルキレン基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、塩素原子が好ましい。
一般式(L2)中、R21及びL21は、一般式(L1)中のR11及びL11と同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
一般式(L1)中のカルボニル基の炭素原子又は一般式(L2)中のスルホニル基の硫黄原子と一般式(1)のDが結合し、一般式(L1)中のL11又は一般式(L2)中のL21と一般式(1)のNが結合することが好ましい。
一般式(1)中、Dは一般式(D)で表される化合物からn個の水素原子を取り除いた残基を表す。
一般式(D)中、R、R、R及びR10は各々独立に置換又は無置換のアルキル基を表し、原材料の入手性と合成の容易性の観点から、アルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。また、アルキル基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、塩素原子が好ましい。
一般式(D)中、R、R、R、R、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119及びR120は各々独立に水素原子又は置換基を表し、置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられる。
一般式(D)中、R及びRは、原材料の入手性と合成の容易性、耐光性、耐オゾン性の観点から、各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアシルアミノ基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルウレイド基、置換若しくは無置換のアリールウレイド基、スルホ基、カルボキシル基、又はハロゲン原子を表すことが好ましく、より好ましくは水素原子、置換若しくは無置換のアシルアミノ基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルウレイド基、置換若しくは無置換のアリールウレイド基、又はスルホ基であり、特に好ましくは水素原子、又はスルホ基である。また、各基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、塩素原子が好ましい。
一般式(D)中、R及びRは、原材料の入手性と合成の容易性の観点から、各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアシルアミノ基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルウレイド基、置換若しくは無置換のアリールウレイド基、スルホ基、カルボキシル基、又はハロゲン原子を表すことが好ましく、より好ましくは水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又はスルホ基であり、特に好ましくは置換若しくは無置換のアルキル基である。アルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。また、各基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、塩素原子が好ましい。
一般式(D)中、R111、R113、R114、R116、R117、R118、R119及びR120は、原材料の入手性と合成の容易性の観点から、各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアシルアミノ基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルウレイド基、置換若しくは無置換のアリールウレイド基、スルホ基、カルボキシル基、又はハロゲン原子を表すことが好ましく、より好ましくは水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又はスルホ基であり、特に好ましくは水素原子又は置換若しくは無置換のアルキル基である。アルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。また、各基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、塩素原子が好ましい。
一般式(D)中、R112及びR115は、原材料の入手性と合成の容易性、耐光性、耐オゾン性の観点から、各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、置換若しくは無置換のアルコキシ基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、置換若しくは無置換のアシルアミノ基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルウレイド基、置換若しくは無置換のアリールウレイド基、スルホ基、カルボキシル基、又はハロゲン原子を表すことが好ましく、より好ましくは水素原子、置換若しくは無置換のアシルアミノ基、置換若しくは無置換のアルコキシカルボニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアリールスルホニルアミノ基、置換若しくは無置換のアルキルウレイド基、置換若しくは無置換のアリールウレイド基、又はスルホ基であり、特に好ましくは水素原子、又はスルホ基である。また、各基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、塩素原子が好ましい。
また、溶解性の観点からは、一般式(D)中のR、R、R、R、R、R、R、R10、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119及びR120の少なくとも1つ、又はR101、R102、R103及びR104の置換基として少なくとも1つはカルボキシル基、スルホ基、又はホスホノ基などのイオン性親水性基を有することが好ましい。これらのイオン性親水性基の対カチオンとしては、水素原子(プロトン)、アルカリ金属カチオン(リチウムイオン、ナトリウムイオン、又はカリウムイオン)、アンモニウムイオンなどが挙げられるが、合成の容易性(染料粉末としての取り扱いの容易さ)の観点からアルカリ金属カチオンであることが好ましい。
一般式(D)中、R101及びR102は各々独立に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。
101及びR102がアルキル基を表す場合のアルキル基としては、炭素数1〜25のアルキル基が好ましく、炭素数1〜18のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜8のアルキル基が更に好ましい。アルキル基としては直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基が好ましく、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロヘキシル基がより好ましい。アルキル基は置換基を有していてもよく、置換基としては、上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、塩素が好ましい。
101及びR102がアリール基を表す場合のアリール基としては、炭素数6〜14のアリール基が好ましく、炭素数6〜10のアリール基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。アリール基としては具体的にはフェニル基、ナフチル基、アントラセニル基が挙げられ、フェニル基が好ましい。アリール基は置換基を有していてもよく、置換基としては、上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、塩素原子が好ましい。
101及びR102がヘテロ環基を表す場合のヘテロ環基としては、芳香族ヘテロ環基が好ましく、窒素原子、硫黄原子又は酸素原子を有する5員又は6員の芳香族ヘテロ環基がより好ましい。ヘテロ環基としては、置換位置を限定しないで表すと、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、チオフェン環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、トリアジン環などが好ましく挙げられ、ピリジン環、チアゾール環がより好ましい。5員又は6員の芳香族ヘテロ環基は更に縮環構造を有していてもよく、たとえばベンゾチアゾール環が好ましい。ヘテロ環基は置換基を有していてもよく、置換基としては、上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、塩素原子が好ましい。
一般式(D)中、R103及びR104は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基を表す。
103及びR104がアルキル基を表す場合のアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。また、アルキル基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、塩素原子が好ましい。
103及びR104がアリール基を表す場合のアリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、炭素数6〜12のアリール基がより好ましく、フェニル基が更に好ましい。また、アリール基が置換基を有する場合の置換基としては上記置換基群Aから選ばれる置換基が挙げられ、塩素原子が好ましい。
103及びR104は水素原子又は置換若しくは無置換のアルキル基を表すことが好ましく、水素原子を表すことがより好ましい。
合成の容易性の観点から、一般式(1)のDは、一般式(D)中のR101及びR102の少なくとも一方から水素原子を取り除いた残基であるか、又は一般式(D)中のR及びRの少なくとも一方から水素原子を取り除いた残基であるか、又は一般式(D)中のR112及びR115の少なくとも一方から水素原子を取り除いた残基であることが好ましい。
一般式(1)で表される化合物は下記一般式(2)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(2)
Figure 0006118833
一般式(2)中、Lは各々独立に単結合又は2価の連結基を表し、Rは水素原子又は置換基を表し、R及びRは各々独立に置換基を表す。R、R、R及びR10は各々独立に置換又は無置換のアルキル基を表す。R、R、R、R、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119及びR120は各々独立に水素原子又は置換基を表す。R103及びR104は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
一般式(2)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R103、R104、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119及びR120は、各々一般式(1)中のR、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R103、R104111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119及びR120と同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
一般式(2)中、Lは各々独立に単結合又は2価の連結基を表し、下記一般式(L3)で表されることが好ましい。
一般式(L3)
Figure 0006118833
一般式(L3)中、R31は水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基を表す。L31及びL32は各々独立に置換又は無置換のアルキレン基を表す。
一般式(L3)中、R31は一般式(L1)中のR11と同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
一般式(L3)中、L31及びL32は一般式(L1)中のL11と同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
一般式(L3)のL32と一般式(2)中のカルボニル基の炭素原子が結合し、一般式(L3)のL31と一般式(2)のNが結合することが好ましい。
一般式(1)で表される化合物が下記一般式(3)で表される化合物であることも好ましい。
一般式(3)
Figure 0006118833
一般式(3)中、Lは単結合又は2価の連結基を表し、Rは水素原子又は置換基を表し、R及びRは各々独立に置換基を表す。R、R、R及びR10は各々独立に置換又は無置換のアルキル基を表す。R、R、R、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119及びR120は各々独立に水素原子又は置換基を表す。R101及びR102は各々独立に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。R103及びR104は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
一般式(3)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R101、R102、R103、R104、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119及びR120は、各々一般式(1)中のR、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R101、R102、R103、R104、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119及びR120と同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
一般式(3)中、Lは単結合又は2価の連結基を表し、下記一般式(L4)で表されることが好ましい。
一般式(L4)
Figure 0006118833
一般式(L4)中、R41は水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基を表す。L41は置換又は無置換のアルキレン基を表す。
一般式(L4)中、R41は一般式(L2)中のR21と同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
一般式(L4)中、L41は一般式(L2)中のL21と同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
一般式(1)で表される化合物が下記一般式(4)で表される化合物であることも好ましい。
一般式(4)
Figure 0006118833
一般式(4)中、Lは各々独立に単結合又は2価の連結基を表し、Rは水素原子又は置換基を表し、R及びRは各々独立に置換基を表す。R、R、R及びR10は各々独立に置換又は無置換のアルキル基を表す。R、R、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119及びR120は各々独立に水素原子又は置換基を表す。R101及びR102は各々独立に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。R103及びR104は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
一般式(4)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R101、R102、R103、R104、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119及びR120は、各々一般式(1)中のR、R、R、R、R、R、R、R、R10、R101、R102、R103、R104、R111、R112、R113、R114、R115、R116、R117、R118、R119及びR120と同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
一般式(4)中、Lは単結合又は2価の連結基を表し、上記一般式(L4)で表されることが好ましい。
一般式(L4)のスルホニル基の硫黄原子と一般式(3)又は(4)のベンゼン環の炭素原子が結合し、一般式(L4)のL41と一般式(3)又は(4)のNが結合することが好ましい。
一般式(1)で表される化合物が下記一般式(5)で表される化合物であることも好ましい。
一般式(5)
Figure 0006118833
一般式(5)中、Lは各々独立に単結合又は2価の連結基を表し、Rは水素原子又は置換基を表し、R及びRは各々独立に置換基を表す。R、R、R及びR10は各々独立に置換又は無置換のアルキル基を表す。R、R、R、R、R111、R112、R113、R114、R116、R117、R118、R119及びR120は各々独立に水素原子又は置換基を表す。R101及びR102は各々独立に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。R103及びR104は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
一般式(5)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R101、R102、R103、R104、R111、R112、R113、R114、R116、R117、R118、R119及びR120は、各々一般式(1)中のR、R、R、R、R、R、R、R、R10、R101、R102、R103、R104、R111、R112、R113、R114、R116、R117、R118、R119及びR120と同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
一般式(5)中、Lは単結合又は2価の連結基を表し、上記一般式(L4)で表されることが好ましい。
一般式(L4)のスルホニル基の硫黄原子と一般式(5)のベンゼン環の炭素原子が結合し、一般式(L4)のL41と一般式(5)のNが結合することが好ましい。
一般式(1)で表される化合物が下記一般式(6)で表される化合物であることも好ましい。
一般式(6)
Figure 0006118833
一般式(6)中、Lは各々独立に単結合又は2価の連結基を表し、Rは水素原子又は置換基を表し、R及びRは各々独立に置換基を表す。R、R、R及びR10は各々独立に置換又は無置換のアルキル基を表す。R、R、R、R、R111、R113、R114、R116、R117、R118、R119及びR120は各々独立に水素原子又は置換基を表す。R101及びR102は各々独立に置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基を表す。R103及びR104は各々独立に水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、又は置換若しくは無置換のアリール基を表す。
一般式(6)中、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R101、R102、R103、R104、R111、R113、R114、R116、R117、R118、R119及びR120は、各々一般式(1)中のR、R、R、R、R、R、R、R、R10、R101、R102、R103、R104、R111、R113、R114、R116、R117、R118、R119及びR120と同義であり、具体例及び好ましい範囲も同様である。
一般式(6)中、Lは単結合又は2価の連結基を表し、上記一般式(L4)で表されることが好ましい。
一般式(L4)のスルホニル基の硫黄原子と一般式(6)のベンゼン環の炭素原子が結合し、一般式(L4)のL41と一般式(6)のNが結合することが好ましい。
以下に一般式(1)で表される化合物の具体例を挙げるが、これらに限定されるわけではない。下記具体的化合物の構造式中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表し、i−Prはイソプロピル基を表す。
Figure 0006118833
Figure 0006118833
本発明の一般式(1)で表される化合物の合成方法については、特に限定されるものではないが、例えば特開2010−254964号の[0154]〜[0169]に記載の方法、または特開2013−49776号の[0130]〜[0131]に記載の方法に準じた方法を用いることができる。具体的には実施例にて合成例を例示する。
〔着色組成物〕
本発明の着色組成物は少なくとも一種の上記一般式(1)で表される化合物を含有する。本発明の着色組成物は、媒体を含有させることができるが、媒体として溶媒を用いた場合は特にインクジェット記録用インクとして好適である。本発明の着色組成物は、媒体として、親油性媒体や水性媒体を用いて、それらの中に、上記一般式(1)で表される化合物を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いる場合である。本発明の着色組成物には、媒体を除いたインク用組成物も含まれる。
本発明において、着色組成物中に含まれる本発明の化合物の含有量は、用いられる一般式(1)における置換基の種類、及び着色組成物を製造するために用いる溶媒成分の種類等により決められるが、着色組成物中の一般式(1)で表される化合物の含有量が、着色組成物の総質量に対して1〜20質量%含まれることが好ましく、1〜10質量%含まれることがより好ましく、2〜6質量%含まれることが更に好ましい。
着色組成物中に含まれる一般式(1)で表される化合物の含有量を1質量%以上にすることで、印刷したときの記録媒体上におけるインクの印画濃度を良好にでき、かつ必要とされる画像濃度を確保できる。また、着色組成物中に含まれる一般式(1)で表される化合物の合計量を20質量%以下にすることで、インクジェット記録方法に用いた場合に着色組成物の吐出性を良好にでき、しかもインクジェットノズルが目詰まりしにくい等の効果が得られる。
本発明の着色組成物は、必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有しうる。その他の添加剤としては、後述のインクジェット記録用インクに使用しうる添加剤が挙げられる。
[インクジェット記録用インク]
次に本発明のインクジェット記録用インクについて説明する。
本発明は、少なくとも1種の本発明の一般式(1)で表される化合物を含有するインクジェット記録用インクにも関する。
インクジェット記録用インクは、親油性媒体や水性媒体中に本発明の化合物(混合物)を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。好ましくは、水性媒体を用いたインクである。必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有することができる。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合には、染料分散物の調製後分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
本発明のインクジェット記録用インク100質量%中に、本発明の化合物を0.2質量%以上10質量%以下含有するのが好ましく、1質量%以上6質量%以下含有するのがより好ましい。また、本発明のインクジェット記録用インクには、本発明の化合物とともに、他の色素を併用してもよい。2種類以上の色素を併用する場合は、色素の含有量の合計が上記範囲となっているのが好ましい。
本発明のインクジェット記録用インクは、粘度が30mPa・s以下であるのが好ましい。また、その表面張力は25mN/m以上70mN/m以下であるのが好ましい。粘度及び表面張力は、種々の添加剤、例えば、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、褪色防止剤、防黴剤、防錆剤、分散剤及び界面活性剤を添加することによって、調整できる。
本発明のインクジェット記録用インクは、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。特にマゼンタ色調のインクジェット記録用インクとして好ましく利用される。
本発明のインク組成物は、印捺、複写、マーキング、筆記、製図、スタンピングなどの記録方法に使用でき、特にインクジェット記録方法における使用に適する。
[インクジェット記録方法]
本発明は、本発明の着色組成物又はインクジェット記録用インクを用いて、画像形成するインクジェット記録方法にも関する。
[インクジェットプリンタカートリッジ、及びインクジェット記録物]
本発明のインクジェット記録用インクカートリッジは、上記した本発明のインクジェット記録用インクを充填したものである。また、本発明のインクジェット記録物は、上記した本発明のインクジェット記録用インクを用いて、被記録材に着色画像を形成したものである。
以下に、本発明のインクを用いてインクジェットプリントをするのに用いられる記録紙及び記録フィルムについて説明する。
記録紙及び記録フィルムにおける支持体は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等からなり、必要に応じて従来公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g/mが望ましい。
インクジェット記録紙及び記録フィルムの構成層(バックコート層を含む)には、ポリマーラテックスを添加してもよい。ポリマーラテックスは、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマーラテックスについては、特開昭62−245258号、同62−136648号、同62−110066号の各公報に記載がある。ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマーラテックスを媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマーラテックスをバックコート層に添加しても、カールを防止することができる。
本発明のインクは、インクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して、放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等に用いられる。インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
以下、実施例を示して本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
(合成例)
(例示化合物(1−1)の合成)
例示化合物(1−1)は例えば下記スキームに従い、合成することができる。
Figure 0006118833
〔中間体(A)の合成〕
DCSF(中外化成製、商品名)20g、2,4−ジアミノメシチレン−6−スルホン酸46g、ジアザビシクロウンデセン(DBU)30g、塩化亜鉛6.7gをエチレングリコール250gに添加し、150℃で6時間反応させた。得られた反応液を室温に冷却し、アセトニトリル1Lに注ぎ入れ、得られた結晶をろ別した後に、カラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア製)、展開溶媒:水/メタノール)で精製し、中間体(A)を得た。収量7.7g、収率19%、MS(m/z)=836([M−1]−、100%)。
〔中間体(B)の合成〕
中間体(A)8.3gをN,N−ジメチルアセトアミド100gに添加し、60℃に加温した後に、コハク酸無水物22gを15分間で分割添加した後に、60℃で2時間反応させた。得られた反応液を室温に冷却し、飽和食塩水1Lに注ぎ入れ、得られた結晶をろ別した後に、カラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア製)、展開溶媒:水/メタノール)で精製し、中間体(B)を得た。収量6.8g、収率63%、MS(m/z)=991([M−4Na+3H]、100%)
〔中間体(C)の合成〕
中間体(B)10.8gをN,N−ジメチルアセトアミド150gに添加し、ここへジイソプロピルエチルアミン5gを滴下した後に、内温を5℃に冷却した。ここへメタンスルホニル=クロリド2.5gを内温10℃以下に保ちながら滴下し、その後、室温で60分反応させた。得られた反応液をアセトニトリル800mLに注ぎ入れ、得られて結晶をろ別し、アセトニトリル500mLで掛け洗いし、中間体(C)の粗結晶を得た。粗収量10.9g、粗収率91%、MS(m/z)=1147([M−2Na+1H]、100%)。得られた粗結晶は精製することなく次工程に用いた。
〔例示化合物(1−1)の合成〕
中間体(D)10g(特開2013−49776号記載の方法に準じて合成)を水200gに分散させ、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0に調整し、内温を5℃まで冷却した。ここへ中間体(C)の粗結晶11.9gを内温10℃以下で分割添加し、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0に連続的に調整し、pH変動がなくなるまで加え続けた。得られた反応液を飽和食塩水1Lに注ぎ入れ、得られた結晶をろ別した後に、カラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア製)、展開溶媒:水/メタノール)で精製し、例示化合物(1−1)を得た。収量10.2g、収率54%、MS(m/z)=1737([M−6Na+5H]、100%)。例示化合物(1−1)の希薄水溶液における吸収スペクトルの吸収極大波長は529nmであった。
(例示化合物(1−2)の合成)
例示化合物(1−2)は例えば下記スキームに従い、合成することができる。
Figure 0006118833
〔中間体(E)の合成〕
例示化合物(1−1)の合成中間体である中間体(A)8.3gを、N,N−ジメチルアセトアミド100gに溶解させ、内温を5℃に冷却した。ここへ無水酢酸5gを内温15℃以下に保ちながらゆっくりと滴下し、滴下終了後、反応液を室温に戻し2時間反応させた。得られた反応液を飽和食塩水に注ぎ入れ、析出した結晶をろ別した。得られた結晶をカラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア製)、展開溶媒:水/メタノール)で精製し、中間体(E)を得た。収量8.2g、収率89%、MS(m/z)=875([M−2Na+1H]、100%)。
〔例示化合物(1−2)の合成〕
中間体(E)9.2gを塩化チオニル100gに分散させ、内温65℃で6時間反応させた。塩化チオニルを減圧留去した後に得られた残渣を、別途中間体(F)8.0g(特開2013−49776号記載の方法に準じて合成)を水200gに分散させ、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0に調整し、内温を5℃まで冷却した溶液へ内温10℃以下を保ちながら添加した。水酸化ナトリウムを用いてpHを7に調整し、pH変動が無くなるまで加え続けた。得られた反応液に塩化ナトリウム40gを加え、析出した結晶をろ別した。得られた結晶をカラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア製)、展開溶媒:水/メタノール)で精製し、例示化合物(1−2)を得た。収量10.2g、収率65%、MS(m/z)=1504([M−2Na+1H]、100%)。例示化合物(1−2)の希薄水溶液における吸収スペクトルの吸収極大波長は528nmであった。
(例示化合物(1−4)の合成)
例示化合物(1−4)は例えば下記スキームに従い、合成することができる。
Figure 0006118833
〔中間体(G)の合成〕
例示化合物(1−1)の合成中間体である中間体(A)8.4gを、N,N−ジメチルアセトアミド100gに溶解させ、内温を5℃に冷却した。ここへ無水イソ酪酸5gを内温15℃以下に保ちながらゆっくりと滴下し、滴下終了後、反応液を室温に戻し2時間反応させた。得られた反応液を飽和食塩水1Lに注ぎ入れ、析出した結晶をろ別した。得られた結晶をカラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア製)、展開溶媒:水/メタノール)で精製し、中間体(G)を得た。収量9.0g、収率92%、MS(m/z)=931([M−2Na+1H]、100%)。
〔例示化合物(1−4)の合成〕
中間体(G)9.8gを塩化チオニル100gに分散させ、内温65℃で6時間反応させた。塩化チオニルを減圧留去した後に得られた残渣を、別途中間体(H)4.5g(特開2013−49776号記載の方法に順じて合成)を水150gに分散させ、水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを7.0に調整し、内温を5℃まで冷却した溶液へ内温10℃以下を保ちながら添加した。水酸化ナトリウムを用いてpHを7に調整し、pH変動が無くなるまで加え続けた。得られた反応液に塩化ナトリウム50gを加え、析出した結晶をろ別した。得られた結晶をカラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア製)、展開溶媒:水/メタノール)で精製し、例示化合物(1−4)を得た。収量6.8g、収率48%、MS(m/z)=1346([M−3Na+2H]、100%)。例示化合物(1−4)の希薄水溶液における吸収スペクトルの吸収極大波長は528nmであった。
(例示化合物(1−7)の合成)
例示化合物(1−7)は例えば下記スキームに従い、合成することができる。
Figure 0006118833
中間体(I)(特開2011−148973号記載の方法にて合成)9.8gを塩化チオニル100g中に分散させて、45℃で2時間反応させた。得られた反応液を室温まで冷却し、氷水800gに注ぎ入れ析出した結晶をろ別した。得られた結晶を氷水200g中に分散させ、ここに中間体(J)(特開2013−49776号記載の方法にて合成)7.6gを加え5分間、内温0〜5℃で撹拌した後に、内温を0〜5℃に保ったまま、2M水酸化ナトリウム水溶液を用いてpH7.0になるように調整し、pH変動がなくなるまで加え続けた。得られた反応液を、透析膜(分画分子量3500、Spectra/Por3 Dialysis Membrane(商品名、スペクトラム=ラボラトリー社製))を用いて、無機塩を除去した後に、濃縮乾固し、残渣をカラムクロマトグラフィ(充填剤:セファデックスLH−20(ファルマシア製、商品名)、展開溶媒:水/メタノール=1/1(v/v)で精製して例示化合物(1−7)を単離した。収量8.6g。収率46%、MS(m/z)=1761([M−4Na+3H]、100%)。例示化合物(1−7)の希薄水溶液の可視吸収スペクトルの吸収極大波長は536nmであった。
(例示化合物(1−9)の合成)
例示化合物(1−7)の合成における、中間体(J)の量を3.8gに変更した以外は同様にして、例示化合物(1−9)を得た。収量4.2g、収率33%。MS(m/z)=1200([M−3Na+2H]、100%)。例示化合物(1−9)の希薄水溶液の可視吸収スペクトルの吸収極大波長は534nmであった。
その他の例示化合物に関しても、上記方法に準じて合成することができる。
〔実施例1〕
下記の成分に脱イオン水を加え100gとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後10mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液にてpH=9に調製し、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過しマゼンタ用インク液であるインクジェット記録用インク1を調製した。
インクジェット記録用インク1の組成:
染料(例示化合物(1−1)) 3.50g
ジエチレングリコール 10.65g
グリセリン 14.70g
ジエチレングリコールモノブチルエーテル 12.70g
トリエタノールアミン 0.65g
オルフィンE1010(日信化学工業(株)製) 0.9g
〔実施例2〜10、比較例1〜2〕
染料を、下記表1に示すように変更した以外は、インクジェット記録用インク1の調製と同様にして、インクジェット記録用インク2〜10をそれぞれ調製した。また、比較用のインクジェット記録用インクとして以下に示す比較化合物1〜比較化合物2を用いたインクジェット記録用インクをそれぞれ調製した。
(画像記録及び評価)
各実施例及び比較例のインクジェット記録用インクについて、下記評価を行った。その結果を表1に示した。
なお、表1において、耐オゾン性、耐光性、耐湿性は、各インクジェット記録用インクをインクカートリッジに装填し、インクジェットプリンター(キヤノン製ピクサスiP8600、商品名)でフォト光沢紙(キヤノン製写真用紙プロフェッショナルPT−201、商品名)に画像を記録した後で評価したものである。画像は、反射濃度計(X−Rite310TR)で測定した反射画像濃度が0.7〜1.8程度になるように階段状に濃度が変化した単色画像パターンと、チェック柄のパターン(濃度100%と0%の1.5mm角を有する正方形を交互に組み合わせたパターン)を印字した。
<耐光性>
記録した直後の画像濃度Ciを測定した後、ウェザーメーター(アトラスC.165)を用いて、画像にキセノン光(10万ルクス)を7日間照射した後、再び画像濃度Cfを測定し、キセノン光照射前後の画像濃度から色素残存率(Cf/Ci×100%)を算出し評価した。画像濃度は反射濃度計(X−Rite310TR)を用いて測定した。色素残存率は、初期の反射濃度が1.0付近の画像部分を用いて測定した。色素残存率が85%以上をA、75%以上85%未満をB、75%未満をCの3段階で評価した。
<耐オゾン性>
シーメンス型オゾナイザーの二重ガラス管内に乾燥空気を通しながら、5kV交流電圧を印加し、これを用いてオゾンガス濃度が5±0.1ppm、室温、暗所に設定されたボックス内に、画像を形成したフォト光沢紙を1日間放置し、オゾンガス下放置前後の画像濃度を反射濃度計(X−Rite 310TR、商品名)を用いて測定し、初期の画像濃度Ciとオゾンガス下放置後の画像濃度Cfから色素残存率(Cf/Ci×100%)として評価した。なお、色素残存率は、初期の反射濃度が1.0付近の画像部分を用いて測定した。ボックス内のオゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定した。
色素残存率が80%以上をA、70%以上80%未満をB、70%未満をCの3段階で評価した。
<耐湿性>
インクジェット記録の際、チェック柄のパターン(濃度100%と0%の1.5mm角を有する正方形を交互に組み合わせたパターン)を作成し、コントラストの高いマゼンタ−ホワイトのチェック柄の印画物を得た。印画後、24時間乾燥を行ったチェック柄の印画物を80℃70%RHの環境下で7日間放置し、着色部分からホワイト部分へのにじみの程度を目視で評価し、にじまない場合をA、少しにじむ場合をB、大きくにじむ場合をCとして、三段階で評価した。
<インク貯蔵安定性>
作成したインクカートリッジを60℃の恒温槽内で1ヶ月経時したのちに、再度インクジェット記録を行った。この試験の前後におけるインクジェット記録において、濃度、及び色相に関して同じ記録画像が得られたものをA、濃度もしくは色相のいずれか一方で変化が起こったものをB、濃度及び色相の両方で変化が起こったもの(又はうまく記録できなかったもの)をCの3段階で評価した。
Figure 0006118833
表1の結果から明らかなように、本発明の化合物を用いた実施例のインクは、耐光性、耐オゾン性、耐湿性、及び貯蔵安定性のすべてにおいて優れたものとなった。
下記構造式中、Meはメチル基を表し、Acはアセチル基を表す。
比較化合物1:
Figure 0006118833
比較化合物2:
Figure 0006118833

Claims (10)

  1. 記一般式(2)で表される化合物。
    一般式(2)
    Figure 0006118833

    一般式(2)中、Lは各々独立に下記一般式(L3)で表される2価の連結基を表し、Rは水素原子を表し、R及びRは各々独立にアミノ基、モルホリノ基、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数6〜20のアリールアミノ基、又は炭素数1〜3のアルキルチオ基を表す。上記アルキルアミノ基、上記アリールアミノ基、又は上記アルキルチオ基は、カルボキシル基又はスルホ基で置換されていても良い。、R、R及びR10は各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す。 及びR は、各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す。R 及びR は、各々独立に水素原子又はスルホ基を表す。R 111 、R 113 、R 114 、R 116 、R 117 、R 118 、R 119 及びR 120 は各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はスルホ基を表す。R 112 及びR 115 は各々独立に水素原子又はスルホ基を表す。103及びR104 は水素原子を表す。
    一般式(L3)
    Figure 0006118833


    一般式(L3)中、R 31 は水素原子を表す。L 31 及びL 32 は各々独立にアルキレン基を表す。
  2. 記一般式(3)で表される化合物。
    一般式(3)
    Figure 0006118833

    一般式(3)中、L下記一般式(L4)で表される2価の連結基を表し、Rは水素原子を表し、R及びRは各々独立にアミノ基、モルホリノ基、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、又は炭素数6〜20のアリールアミノ基、又は炭素数1〜3のアルキルチオ基を表す。上記アルキルアミノ基、上記アリールアミノ基、又は上記アルキルチオ基は、カルボキシル基又はスルホ基で置換されていても良い。、R、R及びR10は各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す。 及びR は、各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す。R は、水素原子又はスルホ基を表す。R 111 、R 113 、R 114 、R 116 、R 117 、R 118 、R 119 及びR 120 は各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はスルホ基を表す。R 112 及びR 115 は各々独立に水素原子又はスルホ基を表す。101及びR102は各々独立に炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表す。R103及びR104 は水素原子を表す。
    一般式(L4)
    Figure 0006118833


    一般式(L4)中、R 41 は水素原子を表す。L 41 はアルキレン基を表す。
  3. 記一般式(4)で表される化合物。
    一般式(4)
    Figure 0006118833

    一般式(4)中、Lは各々独立に下記一般式(L4)で表される2価の連結基を表し、Rは水素原子を表し、R及びRは各々独立にアミノ基、モルホリノ基、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数6〜20のアリールアミノ基、又は炭素数1〜3のアルキルチオ基を表す。上記アルキルアミノ基、上記アリールアミノ基、又は上記アルキルチオ基は、カルボキシル基又はスルホ基で置換されていても良い。、R、R及びR10は各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す。 及びR は、各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す。R 111 、R 113 、R 114 、R 116 、R 117 、R 118 、R 119 及びR 120 は各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はスルホ基を表す。R 112 及びR 115 は各々独立に水素原子又はスルホ基を表す。101及びR102は各々独立に炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表す。R103及びR104 は水素原子を表す。
    一般式(L4)
    Figure 0006118833

    一般式(L4)中、R 41 は水素原子を表す。L 41 はアルキレン基を表す。
  4. 記一般式(5)で表される合物。
    一般式(5)
    Figure 0006118833


    一般式(5)中、L は下記一般式(L4)で表される2価の連結基を表し、Rは水素原子を表し、R及びRは各々独立にアミノ基、モルホリノ基、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数6〜20のアリールアミノ基、又は炭素数1〜3のアルキルチオ基を表す。上記アルキルアミノ基、上記アリールアミノ基、又は上記アルキルチオ基は、カルボキシル基又はスルホ基で置換されていても良い。、R、R及びR10は各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す。 及びR は、各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す。R 及びR は、各々独立に水素原子又はスルホ基を表す。R 111 、R 113 、R 114 、R 116 、R 117 、R 118 、R 119 及びR 120 は各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はスルホ基を表す。R 112 は水素原子又はスルホ基を表す。101及びR102は各々独立に炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表す。R103及びR104 は水素原子を表す。
    一般式(L4)
    Figure 0006118833

    一般式(L4)中、R 41 は水素原子を表す。L 41 はアルキレン基を表す。
  5. 記一般式(6)で表される合物。
    一般式(6)
    Figure 0006118833


    一般式(6)中、Lは各々独立に下記一般式(L4)で表される2価の連結基を表し、Rは水素原子を表し、R及びRは各々独立にアミノ基、モルホリノ基、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキルアミノ基、炭素数6〜20のアリールアミノ基、又は炭素数1〜3のアルキルチオ基を表す。上記アルキルアミノ基、上記アリールアミノ基、又は上記アルキルチオ基は、カルボキシル基又はスルホ基で置換されていても良い。、R、R及びR10は各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す。 及びR は、各々独立に炭素数1〜6のアルキル基を表す。R 及びR は、各々独立に水素原子又はスルホ基を表す。R 111 、R 113 、R 114 、R 116 、R 117 、R 118 、R 119 及びR 120 は各々独立に水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又はスルホ基を表す。101及びR102は各々独立に炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数6〜10のアリール基を表す。R103及びR104 は水素原子を表す。
    一般式(L4)
    Figure 0006118833

    一般式(L4)中、R 41 は水素原子を表す。L 41 はアルキレン基を表す。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物を含有する着色組成物。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の化合物を含有するインクジェット記録用インク。
  8. 請求項に記載のインクジェット記録用インクを用いるインクジェット記録方法。
  9. 請求項に記載のインクジェット記録用インクを充填したインクジェットプリンタカートリッジ。
  10. 請求項に記載のインクジェット記録用インクを用いて、被記録材に着色画像を形成したインクジェット記録物。
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