以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための形態を説明する。
本発明における実施の形態である給紙装置について説明する前に、その給紙装置を接続するコレーターの一般的な構成と機能について、図11,12を参照しながら説明する。図11は、主として新聞折込チラシを丁合する際に使用される周知のコレーターを縦断面図で示しており、用紙を積載する給紙トレーを有した給紙装置が縦方向に複数段連なった棚に各々に配設されているとともに、折段を除く各給紙装置が中央の縦送り搬送路を挟んだ状態で対向した構造となっている。
各給紙装置においては、図12の給紙機構部分の拡大図に示すように、タイミングベルトで連結された補助ローラ、給紙ローラにより給紙が開始され、この動作はワンウェイクラッチを介したタイミングベルトにより給紙ローラ下流側の横送りローラに伝達される。その後、横送りローラに進入した用紙がその付近に配置したミス検知センサのレバーを押すことにより、図示しない制御手段が用紙の到来を検知して横送りローラにブレーキをかけ、その用紙をミス検知センサのレバーを押した位置にて待機させる。
その後、制御手段は所定のタイミングで横送りローラを駆動させて待機している用紙を送り出させるが、送り出された用紙はRガイド、縦送りローラを経て縦送り搬送路に進み、縦方向に連設した縦送りローラで下向きに送られる。そして、この縦送り搬送路を下降してくる上方からの用紙やこれらを重ねた束に対し、各給紙装置がタイミングを合わせて次々と給紙して合流させることにより、折紙に挟まれる中紙束、指定された総ての用紙を含む用紙束が形成される。
尚、コレーターに配設した給紙装置の一部に、横折りと呼ばれる用紙に対応するための機構を搭載する場合もある。即ち、新聞折込チラシ用のコレーターでは、給紙装置において用紙は給紙方向に対し横長に搭載されるため、折り畳んだ用紙の場合には折り目を長辺として給紙されるのが通常であるが、横折りは短辺が折り目になるという特徴を有している。
そのため、その折り目となる側が極端に短くなった場合には、中央付近に捌き部材を有した通常の給紙機構では給紙することができない。そこで、横折りの用紙折り目が通過する位置の近傍に捌き部材を追加するとともに、それら捌き部材のいずれか一方に対応させた配置となる給紙機構を備えた給紙ボックスをそれぞれの捌き部材ごとに着脱可能、又は一つの給紙ボックスを給紙方向に対し直角方向にスライド可能なものとして、横折りの場合であっても対応可能とすることができる。
周知のように、コレーターの制御手段に配布先又は配布地域毎に用紙束を構成する用紙の組み合わせが設定されている場合は、最上段の給紙装置から給紙を開始しながら、その用紙束が完成する前に次の給紙を順次開始することにより、縦送り搬送路の中で縦方向に複数の束を同時に形成しながら、効率的に丁合作業を進めることができる。しかし、図13に示すように折紙や中紙最上面の用紙に丁合内容を指定した識別情報を表示した場合は、折段の給紙装置や最下段の給紙装置にその用紙を積載することになるため、識別情報を表示した用紙を給紙するまで次の用紙の識別情報が読み取れずに、効率的な丁合作業が行えなかった。
そして、図14に示す従来例のように給紙装置のコレーター本体に至る給紙経路において先行する用紙80を待機させながら次の用紙80の識別情報85を読み取る方式とすれば、縦送り給紙経路中に2つの束を形成させることが可能となるものの、これによっても作業効率の改善は不充分である。また、これによると作成した用紙束5Dの外面に識別情報85が露出しないことから、外側からの画用紙束5Dの特定が行えないという問題があった。
本発明は、このような問題を解決することを目的としたものである。図1は、本発明における実施の形態である給紙装置10A、及びこれをコレーター本体2Aに接続してなるコレーター1Aの部分縦断面図を示している。このコレーター1Aは、主として新聞折込チラシ用として用いる周知の丁合装置であって、その折段の給紙装置に替えて本発明に係る給紙装置10Aを接続してなるものである。
その給紙装置10Aにおいては、折紙用として積載した用紙50の下面側に、これとともに丁合すべき用紙の内容を指定した丁合データと、配布先住所等の配布先又は配布先に配布する用紙束を特定するための配布先データを含む識別情報55を、直接印刷又はこれを印刷したラベルを貼付すること等により表示してある。そして、コレーター本体2Aに至る給紙経路の途中に配置したコードセンサ等の読み取り手段110で、給紙途中の用紙50の下面側から識別情報55を読み取るとともに、この読み取った識別情報55を所定のデータ形式にて図示しないコレーター本体2A側の制御手段に送信する構成とされており、この点が本発明の特徴部分となっている。
また、本実施の形態の給紙装置10Aでは、その捌き機構101に続く横送りローラ140の下流側とコレーター本体2A側の折紙待機位置との間に、給紙途中の用紙50を1枚滞留させて保持する滞留部103を備えており、先端側をコレーター本体2A側の横送りローラ21に挟まれた状態の用紙50を、合流させるタイミングまで待機させるものとしている。
この滞留部103では、保持した用紙50の識別情報55をその下方で上向きに配置された読み取り手段110で下面側から読み取る構成となっているが、先行する用紙50がコレーター本体2A側に送られると同時に、次の用紙50を滞留部103に送るとともに、その識別情報50を読み取って制御手段に識別情報を送信するようになっており、先行する用紙50についての丁合作業が完了する前に次の用紙50について丁合作業を開始できることから、効率的な丁合作業の実現を可能としている。
また、本発明では識別情報85を用紙80の上面に表示する図14の従来例とは異なり、用紙50の下面に識別情報55を表示する方式であるため、折段や最下段にその用紙50を積載した場合であっても、丁合作業が完了した用紙束5Aにおいては、中央を折ナイフ130で折られて上面側を内側にした折紙の用紙50外面側に識別情報55が露出するため、識別情報55に表示した配布先または配布する用紙束5Aを特定するための配布先データを、外側から容易に確認することができる。
尚、図面では摩擦力を利用したフリクション方式の給紙機構を示しているが、吸引ベルト等を使用するサクション方式でも同様に実施できる。また、用紙毎又は配布区域等の所定のグループ毎に識別情報55の表示位置が異なる場合には、その読み取り手段110を複数の位置に配置したり、全方向レーザースキャナのように広範囲に読み取れるものとしたりすればよく、さらに識別情報55はバーコードのような記号化されたものに限定されず、文字や絵・模様のようなものであってもよく、特に用紙束5Aの取り扱い時に参照することの多い配布先データは、使用者が目視で確認してその内容が認識できる形式であることが好ましい。
ところで、識別情報55を表示した用紙50を滞留又は待機させる滞留部103の長さは、少なくとも読み取り手段110でこれを読み取った後、これに従って作成される中紙束を構成すべき各用紙のうち一番早く給紙開始されるものが縦送り搬送路を通ってその用紙50と合流するのに必要な時間を確保可能な枚数を滞留可能なサイズであることが、作業の効率化の観点から好ましい。
そこで、図2に示すように、識別情報55を読み取る部分の下流側に、識別情報55を表示した用紙50を複数枚滞留できる長さの滞留部104を備えた給紙装置10Bとすることで、前述した給紙装置10Aよりも作業効率に優れたものとなる。図のコレーター1Bは、新聞折込チラシ用のコレーターとして汎用されている23棚のものを想定しており、最上部の棚から給紙されて最下部に到達するまでに3〜4部の中紙束を作成できることから、その作成のタイミングに合わせて識別情報55を表示した用紙50を送り出せるように、3〜4枚の用紙50を滞留できるよう構成としている。
ちなみに、給紙装置の用紙積載位置から分離して送り出す方式としては、タイミングを合わせるために一旦停止させてから送り出す方式(ダブルモーション)を採用しているのが通常であるが、本実施の形態ではタイミングの一致が求められるのはコレーター本体2A側の横送りローラ(タイミングローラ)21であることから、識別情報55を表示した用紙50を横送りローラ140で最初に送り出した後、その下流側にある横送りローラ141,142,143,144を停止させずにそのまま送り出す方式(シングルモーション)も実施可能である。
図3は、図2の給紙装置10B及びこれを備えたコレーター1Bの変形例としての給紙装置10C及びこれを備えたコレーター1Cを示している。この給紙装置10Cでは、積載される用紙60は、識別情報65が前述の識別情報55よりも後端側に位置して中央部分を避けて表示されており、配設される棚が折段ではなくコレーター本体2Bにおいて1番棚と呼ばれる前側最下段の棚であり、丁合が完了した用紙束5Bの最上部に用紙60が来るとともに、識別情報65がその上面後端側に表示される点を特徴としている。
この例では、コレーター1Cにより作成された用紙束5Bには折紙がなく、その複数部をそのまま積み重ねるとその境目が分からなくなるところ、給紙装置10Cで作成された用紙束5Bは完成形ではなく、さらにその下流側で他のコンベア20に載せ替えてさらに用紙を重ねたり自動的に包装したりして、用紙束を完成させることを想定している。尚、上述した識別情報65を表示した用紙60は、予め印刷されたもののほかこれを印刷したラベルを貼付したものが想定されるところ、いずれの場合も予め用意された用紙をそのまま積載することには限定されず、その用紙60やラベルをその場で印刷して配布先グループ毎または配布先毎に個別の識別情報65を印刷するオンデマンド印刷用、バリアブル印刷用等の印刷装置(プリンター)を連結することで、これから給紙装置10Cに識別情報65を表示した用紙60を直接供給する方式も実施可能である。
ところで、上述した実施の形態において、読み取り手段110による読み取りのための期間が完了するまでに、その識別情報55,65を表示した用紙50,60について、給紙ミス、給紙経路での紙詰まり、搬送経路での紙詰まり、重送のいずれか又はこれらの複合による給紙エラーが検知される場合もある。また、その用紙50,60が予定した枚数より多く含まれていたり、表示もれ・不鮮明・異なる表示位置・読み取り手段の故障等により識別情報55,65が読み取れなかったりした場合、或いは予定していない識別情報が表示されている場合もあり得る。
このような事態に対しては、斯かる識別情報55,65を表示した用紙50,60に関連したエラーが制御手段により検知された際に、前記エラーを検知した用紙50,60とともに用紙束を構成する中紙束の作成を中止することに加え、図4に示すようにエラーを検知した用紙50,60を、バイパス路150を経由して不完全用紙束用の排紙受160に排出させる設定とすることが考えられる。
この場合、排出された用紙50,60とともに用紙束を作成する予定であった中紙束の作成を中止して用紙束作成作業を停止させるモードと、用紙束作成作業を停止させずに排紙受160に排出された用紙50,60とともに作る用紙束の作成を中止して、排出された用紙50,60の次に待機している用紙50,60を送り出して用紙束作成作業を継続するモード、との間で切り替え可能なものとすることが好ましく、そのエラーの詳細な内容や排出された用紙50,60がどの位置にあるか等のリカバリー作業に必要な情報を、所定の表示手段で表示又は所定の出力手段で出力可能として、使用者がその後の対応を的確かつ容易に行えるものとすることが好ましい。
尚、コレーターにおいて丁合が完了した用紙束は、給紙方向に対し左右に長い横長の状態で排出されるところ、前述のケースにおいてバイパス路150を通って排出される用紙50,60が折紙である場合は、給紙方向に対し縦長になることから、これがバイパス路150を通って来たものであることがすぐに分かるため、その判別は使用者にとって比較的容易である。
図5,6は、上述した給紙装置10B,10Cとは異なる構成による滞留部106,107を備えた給紙装置10D,10E及びそれを備えたコレーター1D,1Eを示している。上述の給紙装置10B,10Cでは、作業効率を確保するために識別情報55,65を表示した用紙50,60を3〜4枚滞留させるために前後に長い滞留部104,105を備えていることから、これがコレーター本体2A,2Bの前方に大きく張り出して比較的広いスペースを占めることになり、場合により作業の邪魔になっていた。
そこで、その応用例である給紙装置10D,10Eにおいては、滞留部106,107で用紙60,70の一部を重ねた状態にて滞留させることにより、前後に短い距離であっても用紙60,70を3〜4枚滞留可能としたものである。また、図のように用紙60,70に表示する識別情報65,75を、下面の中央部分を避けて後端側(上流側)と前端側(下流側)に配置したことにより、重ね合わせ部分の面積を大きくしてより短い距離でより多くの枚数を滞留可能としている。
以下に、この給紙装置10D,10Eの動作について、図7,8の手順図を参照しながら詳細に説明する。図7は、用紙60の後端側に表示した識別情報65を読み取る後端読み取り方式を採用した給紙装置10Dを示し、図8は用紙70の前端側に表示した識別情報75を読み取る前端読み取り方式を採用した給紙装置10Eを示している。
後端読み取り方式では、先に送り出されて滞留している用紙60の上に次の用紙60の識別情報65が表示されていない先端側を載り上げるようにして、所定の幅で重なり合った状態にて滞留・搬送する方式であり、先端読み取り方式は、先行する用紙70の下に次の用紙70の先端側を潜り込ませるようにして所定の幅で重なり合った状態にて滞留・搬送する方式である。尚、図7,8においては、各用紙60,70を送り出した順に用紙1、用紙2、用紙3、用紙4と表示し、ローラも上流側から順にローラ1〜6と表示してあり、また左端側の0〜5が動作の順番を示しており、これらは他の図面の符号と共通するものではない。
図7を参照して、最上段は用紙1が中紙束に合流するためにタイミングローラで送り出されようとしている段階である(0)。この段階では、先端側にある用紙1後端側の上に用紙2が載り、用紙2後端側の上には用紙3が載っており、後続する用紙が次々と重なった状態とされ、用紙4の先端側が横送りローラで保持されて次の給紙タイミングを待っている。
先ず、用紙1のみを送り出すために、ローラ2〜6による用紙の咥え込みを開放し、開放された用紙1はタイミングローラにより送り出される。その際に、用紙2以降が用紙1に連れて行かれないように、ローラ1が用紙3を咥え込んで制動をかけることで用紙2、用紙3をその場に留めている。その間に用紙4は横送りローラにより送り出しが開始される(2〜3)。
先に説明した用紙50を重ねずに滞留させる方式では、この横送りローラはシングルモーションでも良かったが、用紙60を重ねる方式にあってはダブルモーションとした方が、用紙4が捌き部の位置にある状態でこれを停止させることが可能となるため(4参照)、各用紙の動作を細かく制御できる点で好ましい。尚、用紙4を送り出す際に、これが用紙3の下に入ったり用紙3を押してしまったりする心配もあるところ、図のように給紙機構からの送り出しの高さを用紙滞留エリアよりも一段高くしておくことでこれを防止できる。さらに確実性を求める場合は、読み取り位置付近に吸引ホールを設けて用紙の停止時には吸引し、動作時には吸引を止めるか噴出させればよく、或いは、穴あきベルトを用いて用紙を吸引しながら搬送するサクション給紙方式のベルトを使用してもよい。
用紙4が更に送り出されると、これをローラ1に招き入れるためにその咥え込みが開放され、その時点で用紙1は既に送り出されているので、その通過とともにローラ3〜6は用紙を咥える状態に戻される(4)。このとき、用紙4が所定の位置に送り出されているので、滞留エリアに残っている用紙2〜4が一斉に前進し、用紙2がタイミングローラの位置まで進んで待機し、その間に次の給紙が開始され、用紙5を待機させる(5)。
滞留部106において、以上のような構成と動作手順を採用したことにより、滞留部106の長さを短く抑えながら、重ねた用紙60を適当なタイミングで送り出せるようになる。尚、各ローラの上流側には用紙60の導入を補助するためのガイドを設けてもよく、或いは隣接するローラと同軸にベルト用プーリを設けて、ローラとローラの間の空間に用紙60が入り込まないように制限してもよい。
一方、図6の先端読み取り方式は、この場合も基本的な動作は前述の後端読み取り方式と同様であるが、先に送り出された用紙70後端側の下に次の用紙70の先端側を入れる必要がある点で構成が異なっている。即ち、先に送り出された用紙70の後端側を、吸引パッド108や前述のサクション給紙方式を用いて持ち上げながら、その下方に次の用紙70を送り出して挿入する方式である。
給紙機構から用紙70を送り出す際には、先に送り出された用紙70の重量がかかったり静電気等により次の用紙70が抵抗を受けたりして、予定した位置まで送り出せないケースも想定される。そこで、図8に示すようにノズルA,Bからエアーを噴出して先行する用紙70を浮き上がらせ、次に送られる用紙70の搬送抵抗を低減させるようにしてもよい。
この場合、ノズルAは先に送り出された用紙70がその前方を通過するため、これがノズル位置よりも高い位置まで持ち上げられてからエアー噴出が開始され(1)、用紙4が予定した位置まで送り込まれると判断したところでエアー噴出を停止する(4)。以上のような先端読み取り方式を採用した場合でも、前述と同様の作用・効果が期待できるものである。尚、噴出するエアーは、除電装置を用いてプラス・マイナスのイオン量を調整したものが好ましい。また、吸着パッド108は、用紙4が用紙3の下に送り込まれ始めた後、所定のタイミングで吸着を停止し、必要に応じてエアーを噴出させるようにしてもよい。
次に、上述した実施の形態の給紙装置10A,10B,10C,10Dを新聞折込チラシ用のコレーター本体に接続してなるコレーターに関し、折段又は最下段のチラシである前記用紙50,60,70に表示した識別情報55,65,75の各種内容に応じた動作例・機能例について、その表示手段としての図9,10に示すディスプレイの表示画面を参照しながら説明する。
図9の表示画面31Bを参照して、丁合作業について指定した設定内容は、コレーターの所定位置に配置した操作パネル等のディスプレイに表示されるが、用紙(チラシ)に表示した識別情報の丁合データにおいて指示された各内容についても反映して表示される。図の表示画面31Bは操作パネルのメイン画面であるが、左半分の枠内がコレーターにおける総ての棚(給紙装置)の状況を模式的に示している棚表示部310aであり、右側の枠内は主として各種カウント値と配達区域等を示すカウント表示部310bであり、さらにその右側には画像による各種操作ボタンが配置されている。
棚表示部310aを見ると、折段と1〜24番の棚を合わせて計25段の棚に給紙装置が各々配設されていることが分かる。また、丁合データにより指示された丁合内容を反映して設定された棚のうち、給紙するように指令を出した棚には三角マークが点灯している。その三角の背景に正方形が表示されているものは、その棚から給紙された用紙が重送検知されることを示している。
さらに、各棚の給紙装置にどの用紙を積載するかについて、三角マークに隣接して用紙名(チラシの名称・内容)が表示されている。その用紙名を表示する位置に下向矢印↓↓が表示されているもの(17〜19番棚)は、連段であることを示している。尚、用紙名を表示する部分を、その棚(給紙装置)が置かれている状況によって背景色を変更できるようにすれば、作業者が各棚の状況を把握しやすいものとなる。
その棚の状況と背景色の関連について一例を説明すると、本来は識別情報の丁合データや他の入力手段により指定された内容により給紙の有無が決定されるのが通常であるが、完全に自動化すると例外への対応ができなくなるため、これら指定内容の反映のさせ方については、以下の4種類から選択させる方式が想定される。
即ち、1:丁合データや他の入力手段により指定された内容に従って、給紙の有無を自動的に選択させるモード(フルオートモード)、2:前記指定内容に従って給紙の有無を自動的に選択させるモードでありながらも、手動によりその状態を一時的に変更できるモードであって、その一時変更の解除は配布区域や用紙の構成等に変更があった場合や次に手動で指定した場合など、必要に応じた設定が可能なモード(セミオートモード)、3:前記指定内容に従って給紙の有無を報知するものの、現在の給紙の有無の状態を自動的には変更せず、手動操作により給紙の有無を設定するモード(報知モード)、4:前記指定内容に従った給紙の有無の状態を報知せず、自動的な給紙の有無の変更もしないものであって、主としてメンテナンス時に用いられるモード(マニュアルモード)、の4つである。
用紙名を表示する部分の背景色を変化させる態様としては、例えば以下のような4種類が想定できる。1:丁合データや他の入力手段により指定された内容に従って自動的に給紙の有無を選択すべきとされた棚は背景色を青色に(前記フルオートとセミオートのモードがこれに該当)、2:但し、1の条件で用紙が積載されていない場合は背景色を水色に、3:前記指定内容に従って自動的に給紙の有無を選択しないモードであって、棚に用紙が積載されている場合は背景色を桃色に、4:前記指定もなく用紙も積載されていない場合には背景色を表示しない地色のまま、の4つである。
このように、背景色により棚の状態を示す方式としたことで、各棚に用紙が積載されているか否かを一目で確認できることから、高さがあり前後に給紙用棚を有した新聞折込チラシ用のコレーターにおいて操作パネルの位置から全棚を見渡すことが困難であった状況に対し、操作パネルの位置にいながら総ての棚の状況を確認可能となって用紙束の作成作業をスムースに行えるという利点がある。
また、前記セミオートモード、報知モードにおいて、給紙すべきと指定があったにも関わらず、意図せずにうっかり非給紙に切り替えてしまった場合や、直前の状況から給紙の有無の切り替えを行う必要がある場合に、この背景色の表示があることで、使用者はこれを一目で認識できるようになる。尚、用紙名を表示する部分には、用紙名のほかに、エラー発生時に問題となった用紙の位置を示す表示(図中12,23)、部数に関する情報、所定の区域に配布する予定部数に満たない場合に、先入れ・分配・後入れのような用紙量に応じて配布数を調整する機能が設定されていることを示す表示も想定され、これらは用紙名と交互又は順番に表示すればよい。
さらに、図中右端側には「紙有棚選択」、「全棚選択解除」の操作ボタンが配置されているが、前述のセミオートモード、報知モード、マニュアルモードにおいて「紙有棚選択」を押した場合に、それまでの指示に関わらず用紙が積載されている棚総てが給紙状態に切り替えられ、「全棚選択解除」を押した場合には、それまでの指示や用紙の有無に関わらず総ての棚が非給紙状態に切り替えられるようになっている。
一方、給紙関係エラーと呼ばれる、給紙ミス、棚詰まり、縦詰まり、重送の発生時には、図10の表示画面31Cに示すように、前述した表示内容の上にアラーム表示部310cを表示して報知するようになっている。即ち、エラー発生時に、その内容により停止動作が行われた際、その停止の原因となったエラーから停止するまでに発生したエラーの内容を、その発生順に一覧にして表示するものであり、その表示内容は、その表示面積の関係から必要最小限の表現にて発生の古い順にその棚番・数量とともに表示される。
ところで、上述した識別情報には、これを表示した用紙とともに丁合すべき用紙を指定した丁合データのほか、配布先を特定するための情報やその配布先の詳細な個別情報等の配布先データを含む場合が想定される。この配布先データには配布先の氏名・名称、住所、部署、電話番号、配布先を特定するためのコード、用紙束作成順を特定するためのコード等が考えられるが、これらの配布先データのいずれか又はその組み合わせを、作成された用紙束毎にコレーター本体側の記憶手段に蓄積しておくことが好ましい。
そして、用紙束の作成が当初予定した配布分に欠ける場合、又は予定していない余分が作成された場合、識別情報に読み取れないものがあった場合など、これら用紙束作成結果に関するエラーについて、その原因、その状況、配布先個別データ、用紙束を構成する用紙の各棚番号、用紙名のいずれか又はその組み合わせを、所定の手段で報知または/及びリスト表示可能としておくことが好ましい。また、その報知・表示先としては、コレーター本体、コレーターの操作パネル、給紙装置の操作パネル、コレーターや給紙装置とは別体のコンピュータ又は携帯端末、プリンターのいずれか又はその組み合わせが考えられる。
そのリスト表示としては、識別情報を表示した用紙に関連するエラーが発生した用紙束のみ、又は識別情報を表示した用紙に関連するエラーが発生した用紙束を含む総ての用紙束が想定され、その表示内容としては、正常な用紙束との区別を可能にするため印やマークに加え、前記エラーとなった用紙束がどの位置に排出・積載されているか、配布分に欠けるものではどの位置に含まれるべきであったか、用紙束が排出された時にそれを積載させる排紙受、排紙受内の位置、積載状態において近隣となる用紙束の配布先個別データ等、これらのいずれか又はその組み合わせが想定される。
一方、中紙束に関するエラーについては、中紙束作成中に給紙ミス、給紙機構部における紙詰まり、搬送経路における紙詰まり、重送のうちいずれかの給紙関係エラーが生じた中紙束は、不完全用紙束用の排紙受に排出・積載されるのが通常である。その際に、所定の設定に基づいて作業を停止させる条件であった場合は用紙束作成作業を停止させ、所定の設定に基づいて作業を停止させない条件の場合には、次に停止させる条件が発生するか、又は排紙受が所定の満杯情報を得た際に停止させるようにすればよく、前記配布先データ、エラーの内訳、現時点で不完全用紙束用の排紙受に積載されている用紙束のどの位置に存在しているか、正常に作成された用紙束が排出・積載される排紙受のどの位置にその用紙束があるべきであったか、正常に作成されれば積載されている状態においてどの用紙束の近隣に位置していたはずであったか、等のいずれか又はその組み合わせを所定の表示手段で表示させることが想定される。
尚、上述した作業中のエラー表示は、操作パネルとは別のエラー表示専用ディスプレイを設けて表示させることが好ましい。即ち、斯かるエラー表示は、操作パネルでも表示できるものの、そのエラー分の用紙束を完成するためには、例えば用紙束を構成する用紙のうち1種類が欠落していた場合はその1枚を追加する作業が行われるところ、従来はこの作業は全体の作業を止めて行う必要があった。その理由として、エラー内容を表示するディスプレイが操作パネルを兼ねる場合は運転が始まることでエラー表示が画面から消去されてしまう点が挙げられるが、少なくとも次にエラーが発生するまで他の専用の表示手段でエラー表示をし続けることができれば、エラー分を完成品とする作業を待たずに全体の用紙束の作成作業を再開できるからである。
また、コレーターの棚数よりも用紙の種類が多い場合の対処手段としては、前識別情報に、コレーター本体の各給紙装置について用紙交換・用紙積載・用紙除去のいずれか又はこれらの組み合わせによる用紙載せ替え作業を使用者に行わせるための用紙載せ替えデータが含まれるものとして、その識別情報中に用紙載せ替えデータがあることを検知した前記制御手段が、その用紙の直前の用紙に表示した識別情報による丁合作業を完了させてから丁合作業をいったん中止させるとともに、用紙載せ替えデータの内容を所定の表示手段に作業者が認識可能な状態で表示させるようにすればよい。これにより、コレーターの給紙装置の数よりも多種類の用紙が存在した場合であっても、迅速で正確な用紙の組み替え作業が行えるものとなる。
ちなみに、前述のように識別情報に用紙載せ替えデータを含ませる方法のほか、コレーターの制御手段が持っている棚毎の用紙の識別情報と読み取られた識別情報を比較して、現在のコレーターに積載されている用紙の種類では前記識別情報に従った用紙束を完成できないと判断した場合に、前述と同様に作業を中止するとともに前記識別情報や制御手段が有する用紙載せ替え用データ等を表示して、使用者に用紙載せ替え作業を行わせる、という制御方法によっても前述と同様の効果が期待できる。
さらに、上述した識別情報の異なる利用方法としては、図4の説明でも述べたように、識別情報に従って丁合作業を実行させることに加え、この識別情報を用いることなく予めコレーター本体に設定された指定内容に従って丁合作業を実行していく設定も可能なものとし、その設定の場合に、その制御手段が、コレーターに予め設定された作成すべき各用紙束の丁合内容とこれに含ませるべき識別情報を表示した用紙の識別情報による丁合内容とが一致するか否かを判定し、一致しない場合は、その識別情報を表示した用紙を含む用紙束分以降の丁合作業の開始を停止させるか又は前記用紙を含む丁合作業を行わずに前記用紙を所定の排紙受に排出させてその後前記一致がみられた識別情報の丁合内容についてのみ丁合作業を行わせる、という手順の制御を実行することが想定される。
このような方式を採用することにより、間違った順番で用紙をセットしたり異なる用紙が挟まれたりする等の作業ミスがあった場合に、これに対し警告・記録を行って丁合ミスの発生を未然に防ぐことが可能なものとなり、また、予めコレーターに設定された通りの丁合内容の用紙束の割合が多い場合に、共通した内容で一連に作業完了させてから残りの異なる内容の用紙束の作成を纏めて行って丁合作業を完了することができ、結果的に用紙束の作成を効率的に進めることも可能なものとなる。
また、図4に示したような不完全用紙束用の排紙受に識別情報を表示した用紙が排出された場合や、識別情報を表示した用紙が不足していた場合に、これらの分についても識別情報を表示した用紙を給紙する給紙装置に再度積載して用紙束の作成を行うようにしてもよい。この場合、その工程で良好な用紙束が作成された分については、前述したエラーの記録を良好に完了したと修正できることが好ましく、これに加え、このように再度積載して用紙束を作成せずに、コレーター又は/及び前記給紙装置の操作手段に対し手動にて、又は前記給紙装置の読み取り手段とは別の読み取り手段を用いて、前記用紙束作成結果についてのエラー記録を良好であると書き換えたり、作業予定から除外したりすることを可能なものとしてもよい。
さらに、上述した識別情報には、読み取り手段でのみ読み取り可能な表示形式のほか、文字や記号により使用者(作業者)が目視にて情報の内容を認識できる表示形式も想定され、これにより完成後の用紙束の特定が容易になる。例えば、識別情報の一部に通常の文字にて宛先を含んで印刷した場合は、これを表面に表示した用紙束をそのまま透明の袋に入れるだけで、改めて配布先ステッカー等を貼らずにそのまま送付することが可能となる。そして、このことが識別情報を表に出して外側から確認可能としたことによる最大の利点とも言える。
一方、使用者(丁合作業者)が直接認識できないものであっても、読み取り手段で読み取って操作パネル等の所定の表示手段により表示することで、使用者が認識可能な状態にする方式としても便利である。この場合、コレーターに予め設定された作成すべき各用紙束の丁合内容と、これに含ませるべき識別情報を表示した用紙の識別情報による丁合内容とが一致するか否かを判定する上述した方式において、作業者が識別情報による丁合内容を前記表示にて確認しながら予め設定された丁合内容と比較し、その両者が一致しなかった際に、いずれか又は両方の情報を修正可能なものにする構成とすればよい。
さらにまた、コレーターにおける所定の棚に配置する給紙装置を、プリンターを兼ねたものとするとともに、前記識別情報にプリンターに配布先に応じた所定の内容を印刷させるための印刷データが含まれたものとして、プリンターに前記内容を印刷させながら給紙させる方式も実施可能である。この場合、その印刷データとしては、印刷内容のデータそのもの又は制御手段側に記憶してある印刷内容のデータベースから指定するためのデータが想定され、これにより、完成した用紙束に配布先別にオンデマンド的に印刷した用紙を、手間を要することなく添付できるようになる。
加えて、識別情報を表示した用紙をコレーター本体側に送る給紙経路において、その用紙が給紙方向に対し直角または平行に待機・搬送されていなかった場合に、それを修正する機能をその給紙装置が備えていることが好ましい。例えば、給紙方向に対し直交軸上に配置した複数のローラ又は給紙方向と平行な複数本のベルトコンベア、又はこれらの組み合わせにより、用紙を挟み込むように給紙方向に前後させながら用紙の傾きを修正するものとして、光センサ等で用紙の向きを検出しながら傾きを的確に修正させることが可能なものとすることが想定される。
また加えて、上述した識別情報に、用紙束を配布する地域的単位としての配布区域又は/及び所定の区域を担当する配布担当者を特定するための配布区域データが含まれたものとし、識別情報を表示した用紙が同一区域毎に纏まった順番で積載されるものとして、その配布区域データを検知した制御手段が、同一地区に配布する用紙束又は複数の区域毎に配布を担当する同一の配布担当者について、連続して丁合データに従った丁合作業を行わせるようにしてもよい。この場合、異なる区域又は異なる配布担当者を特定した配布情報を検知した際に、その配布区域データを表示した用紙を含む用紙束分以降の丁合作業の開始を停止させるか又はその用紙を含む用紙束の丁合作業を行わずにその用紙を所定の排紙受に排出させるか、或いはその用紙を含む用紙束をそのまま作成して専用の排紙受に排出させるモードのうち、いずれかを選択可能なものとすれば、停止した際に配布区域が変わったのか異なる配布区域の用紙が混入しただけなのかを作業者が確認できることに加え、完成した用紙束が同一配布区域・同一配布担当者ごとに纏まることでその管理が極めて容易なものとなる。
尚、上述した識別情報に含まれる丁合データには、その用紙とともに丁合すべき各用紙又はそれを積載した棚を指定するものには限定されず、棚の給紙装置を制御するデータとしてではなく番号程度の単純なデータも想定できる。この場合、コレーター本体側の記憶手段に、予め複数パターンの丁合方法をデータベースとして記憶させておき、その単純な情報を読み取ることで前記複数パターンのうちいずれかを選択して丁合作業を実行する構成が考えられる。
例えば、識別情報には住所・氏名等の配達に必要な情報と読者番号のみ表示しておき、読者何番と読み取った結果と前記データベースの内容を比較して選択した結果を、丁合データとしてコレーターに実行させればよい。この方式では、識別情報を印刷する際に作成したデータをそのまま使用可能であることから、識別情報を印刷する者と用紙束作成者とが同一の情報を共有しやすい環境においては、実現しやすいものとなる。
以上、述べたように、所定の用紙に表示した識別情報の指示通りに丁合作業を行って用紙束を作成する場合に、本発明により、丁合後に外側から識別情報を確認可能となって各用紙束を容易に特定できるようになった。