JP6195957B2 - 低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含む複合造粒物及び速放性製剤 - Google Patents
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Description
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、結合性及び崩壊性に優れた基剤を提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、ヒドロキシプロポキシ基置換度が5〜16質量%である低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール及び第1の糖又は糖アルコールにより、第2の糖又は糖アルコールの表面が被覆され表面改質されている圧縮成形可能な複合造粒物、及び当該複合造粒物と、薬物とを少なくとも含んでなる速放性錠剤を提供する。
上記水分散液中の固形分濃度は、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは10〜25質量%である。1質量%未満では所定の添加量まで噴霧するまで長時間を要し、生産性が低下する場合がある。また、30質量%を超えると分散液の粘度が高くなりすぎ、送液できなくなる場合がある。水分散液中の固形分濃度は、水分散液を乾燥したときに生じる、複合造粒物を構成することになる固形分の濃度である。
また、ポリビニルアルコールの重合度は、市販されている約500〜2000程度が好ましい。重合度及びケン化度の測定法は、JIS K6726に従って行うことができる。
水分散液の添加対象となる第2の糖又は糖アルコールの平均粒子径は、好ましくは5〜100μm、より好ましくは10〜50μmである。5μm未満では流動性が低下する場合や、崩壊性が低下する場合があり、100μm超過では成形性が低下したり、水分散液を添加した場合に未溶解物が増加する場合がある。なお、第1又は第2の糖又は糖アルコールの平均粒子径は、体積換算粒子径であり、レーザー回折法を用いた粉体粒子径測定方法による。例えば、HELOS&RODOS(日本レーザー社製)を用いて測定できる。
水分散液中に添加する第1の糖又は糖アルコールは、得られる複合造粒物中の糖又は糖アルコールの全量中、好ましくは1〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%である。1質量%未満では成形性、崩壊性が低下する場合があり、50質量%を超えると未溶解物が多く残る場合や送液中に沈降したり閉塞したりする場合がある。
得られた複合造粒物を用いて、乾式直打法により錠剤を製造する場合について説明すると、得られた複合造粒物と薬物を混合後、少量の滑沢剤を添加混合し、通常のロータリー式連続打錠機により所定の圧力で圧縮することにより、打錠できる。錠剤の大きさは自由に選択できるが、錠剤径としては6〜12mm程度、錠剤重量としては一錠あたり70〜700mgが好ましい。錠剤径が6mmより小さい場合、取り扱いづらく、12mmを超えると服用し難い場合がある。
打錠時の打錠圧は10〜300MPaが好ましい。10MPa未満では目的の錠剤硬度が得られない場合があり、300MPaを超えるとキャッピング等の打錠障害が発生する場合がある。
循環器系薬物としては、モルシドミン、ビンポセチン、プロプラノロール、メチルドパ、ジピリダモール、フロセミド、トリアムテレン、ニフェジビン、アテノロール、スピロノラクトン、メトプロロール、ビンドロール、カプトプリル、硝酸イゾソルビト等が挙げられる。
消化器系薬物としては、2−[〔3−メチル−4−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−2−ピリジル〕メチルスルフィニル]ベンゾイミダゾール及び5−メトキシ−2−〔(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジル)メチルスルフィニル〕ベンゾイミダゾール等の抗潰瘍作用を有するベンゾイミダゾール系薬物、シメチジン、ラニチジン、パンクレアチン、ビサコジル、5−アミノサリチル酸等が挙げられる。
代謝系薬物としては、セラペプターゼ、塩化リゾチーム、アデノシントリフォスフェート、グリベンクラミド、塩化カリウム等が挙げられる。
ビタミン系薬物としては、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC等が挙げられる。
矯味成分としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸等が挙げられる。
香料剤としては、メントール、ハッカ油、バニリン等が挙げられる。
滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
実施例1
精製水316gにケン化度98.5モル%、重合度1700のポリビニルアルコール10質量%水溶液8g及びD−マンニトール60gを添加し、撹拌羽根にて混合溶解した。次に、ヒドロキシプロポキシ基置換度8質量%の低置換度ヒドロキシプロピルセルロース16gを上記水溶液に添加混合し、水分散液を調製した。次に、D−マンニトール323.2gを流動層造粒装置に仕込み、吸気温度60℃、排気温度25〜28℃、流動エアー量50m3/hr、スプレー速度12g/min、スプレーエアー圧150kPaで上記の水分散液を噴霧し、造粒を実施した。水分散液の組成及び被造粒粉体を表1に示す。
得られた複合造粒物100質量部に、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム0.5質量部を添加混合後、ロータリー打錠機にて直径8mm、曲面半径12mm、錠剤質量200mgの錠剤を打錠圧7.5kNで打錠を行った。得られた錠剤の錠剤硬度、日本薬局方崩壊時間、口腔内崩壊時間を測定し、その結果を複合造粒物の組成とともに表2に示す。錠剤硬度は、錠剤の直径方向に1mm/秒の速度で荷重をかけ、錠剤が破断したときの最大破断強度を測定した。日本薬局方崩壊時間は、日本薬局方崩壊試験に基づき試験液として水を用いて測定した。ディスクなし口腔内崩壊時間は、健康な成人6人に対して錠剤を舌の上に乗せ、口腔内で錠剤が崩壊するまでの時間を測定し、その平均値を求めた。
精製水324gにケン化度98.5モル%、重合度1700のポリビニルアルコール10質量%水溶液8g及びD−マンニトール60gを添加し、撹拌羽根にて混合溶解した。次に、ヒドロキシプロポキシ基置換度8質量%の低置換度ヒドロキシプロピルセルロース8gを上記水溶液に添加混合し、水分散液を調製した。次に、D−マンニトール331.2gを流動層造粒装置に仕込み、吸気温度60℃、排気温度25〜28℃、流動エアー量50m3/hr、スプレー速度12g/min、スプレーエアー圧150kPaで上記の水分散液を噴霧し、造粒を実施した。水分散液の組成及び被造粒粉体を表1に示す。
得られた複合造粒物を実施例1と同様の方法にて打錠し、同様の方法にて評価を実施した結果を表2に示す。
精製水528gにケン化度98.5モル%、重合度1700のポリビニルアルコール10質量%水溶液8g及びD−マンニトール60gを添加し、撹拌羽根にて混合溶解した。次に、ヒドロキシプロポキシ基置換度8質量%の低置換度ヒドロキシプロピルセルロース40gを上記水溶液に添加混合し、水分散液を調製した。次に、D−マンニトール299.2gを流動層造粒装置に仕込み、吸気温度60℃、排気温度25〜28℃、流動エアー量50m3/hr、スプレー速度12g/min、スプレーエアー圧150kPaで上記の水分散液を噴霧し、造粒を実施した。水分散液の組成及び被造粒粉体を表1に示す。
得られた複合造粒物を実施例1と同様の方法にて打錠し、同様の方法にて評価を実施した結果を表2に示す。
精製水312gにケン化度88モル%、重合度500のポリビニルアルコール10質量%水溶液4g及びエリスリトール40gを添加し、撹拌羽根にて混合溶解した。次に、ヒドロキシプロポキシ基置換度11質量%の低置換度ヒドロキシプロピルセルロース24gを上記水溶液に添加混合し、水分散液を調製した。次に、エリスリトール315.6gを流動層造粒装置に仕込み、吸気温度60℃、排気温度25〜28℃、流動エアー量50m3/hr、スプレー速度12g/min、スプレーエアー圧150kPaで上記の水分散液を噴霧し、造粒を実施した。水分散液の組成及び被造粒粉体を表1に示す。
得られた複合造粒物を実施例1と同様の方法にて打錠し、同様の方法にて評価を実施した結果を表2に示す。
精製水304gにケン化度88モル%、重合度1700のポリビニルアルコール10質量%水溶液12g及びエリスリトール60gを添加し、撹拌羽根にて混合溶解した。次に、ヒドロキシプロポキシ基置換度11質量%の低置換度ヒドロキシプロピルセルロース24gを上記水溶液に添加混合し、水分散液を調製した。次に、乳糖314.8gを流動層造粒装置に仕込み、吸気温度60℃、排気温度25〜28℃、流動エアー量50m3/hr、スプレー速度12g/min、スプレーエアー圧150kPaで上記の水分散液を噴霧し、造粒を実施した。水分散液の組成及び被造粒粉体を表1に示す。
得られた複合造粒物を実施例1と同様の方法にて打錠し、同様の方法にて評価を実施した結果を表2に示す。
実施例2と同様の組成であるが、造粒を行わず、下記に示すそれぞれの粉体の物理混合物の打錠を実施した。
D−マンニトール391.2g、ヒドロキシプロポキシ基置換度8質量%の低置換度ヒドロキシプロピルセルロース8g、ケン化度98.5モル%、重合度1700のポリビニルアルコール0.8gを混合し、得られた混合粉体100質量部に滑沢剤としてステアリン酸マグネシウム0.5質量部を添加混合後、ロータリー打錠機にて実施例1と同様の条件で打錠を実施し、得られた錠剤の錠剤硬度、日本薬局方崩壊時間、口腔内崩壊時間を評価し、その結果を表2に示す。
特許文献4に記載の方法にて低置換度ヒドロキシプロピルセルロース水分散液を用いて造粒を実施した。
精製水316gにヒドロキシプロポキシ基置換度8質量%の低置換度ヒドロキシプロピルセルロース16gを添加混合し、水分散液を調製した。次に、D−マンニトール384gを流動層造粒装置に仕込み、吸気温度60℃、排気温度25〜28℃、流動エアー量50m3/hr、スプレー速度12g/min、スプレーエアー圧150kPaで上記の水分散液を噴霧し、造粒を実施した。水分散液の組成及び被造粒粉体を表1に示す。
得られた造粒物を実施例1と同様の方法にて打錠し、同様の方法にて評価を実施した結果を表2に示す。
実施例1における低置換度ヒドロキシプロピルセルロースにかえてクロスカルメロースナトリウムを使用した以外は実施例1と同一の条件で造粒を実施した。水分散液の組成及び被造粒粉体を表1に示す。
得られた造粒物を実施例1と同様の方法にて打錠し、同様の方法にて評価を実施した結果を表2に示す。
実施例1におけるポリビニルアルコールにかえてヒドロキシプロポキシ基置換度:64質量%のヒドロキシプロピルセルロースを使用した以外は実施例1と同一の条件で造粒を実施した。水分散液の組成及び被造粒粉体を表1に示す。
得られた造粒物を実施例1と同様の方法にて打錠し、同様の方法にて評価を実施した結果を表2に示す。
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース水分散液を用いて造粒を実施した比較例2では崩壊性は優れるが、成形性が不十分であった。また、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの代わりに崩壊剤であるクロスカルメロースナトリウムを添加した比較例3では、崩壊性が不十分であり、ポリビニルアルコールの代わりに水溶性のヒドロキシプロピルセルロースを用いた比較例4では、成形性、崩壊性ともに不十分であった。
アセトアミノフェン10質量部、実施例1で得られた複合造粒物90質量部を混合後、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを0.5質量部添加混合後、ロータリー打錠機にて直径8mm、曲面半径12mm、錠剤質量200mgの錠剤を打錠圧5kNで打錠を行った。
得られた錠剤の錠剤硬度、日本薬局方崩壊時間、口腔内崩壊時間を評価し、その結果を表3に示す。
アスコルビン酸10質量部、実施例1で得られた複合造粒物90質量部を混合後、滑沢剤としてステアリン酸マグネシウムを0.5質量部添加混合後、ロータリー打錠機にて直径8mm、曲面半径12mm、錠剤質量200mgの錠剤を打錠圧5kNで打錠を行った。
得られた錠剤の錠剤硬度、日本薬局方崩壊時間、口腔内崩壊時間を評価し、その結果を表3に示す。
[請求項1]ヒドロキシプロポキシ基置換度が5〜16質量%である低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、第1の糖又は糖アルコール及び水を少なくとも含んでなる水分散液を添加しながら、第2の糖又は糖アルコールの造粒を行う造粒工程を少なくとも含んでなる複合造粒物の製造方法。
[請求項2]前記第1及び第2の糖又は糖アルコールが、同じであっても異なってもよく、マンニトール、トレハロース、キシリトール、エリスリトール、乳糖及びショ糖からなる群から選ばれる1種以上である請求項1に記載の複合造粒物の製造方法。
[請求項3]前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースが、前記第1及び第2の糖又は糖アルコールの合計100質量部に対して1〜15質量部である請求項1又は2記載の複合造粒物の製造方法。
[請求項4]前記ポリビニルアルコールが、前記第1及び第2の糖又は糖アルコールの合計100質量部に対して0.05〜0.4質量部である請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合造粒物の製造方法。
[請求項5]請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法により得られた複合造粒物と、薬物とを少なくとも含んでなる速放性錠剤。
Claims (2)
- ヒドロキシプロポキシ基置換度が5〜16質量%である低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール及び第1の糖又は糖アルコールにより、第2の糖又は糖アルコールの表面が被覆され表面改質されている圧縮成形可能な複合造粒物。
- 請求項1に記載の複合造粒物と、薬物とを少なくとも含んでなる速放性錠剤。
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