JP4828707B2 - 固形圧縮製剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬品または食品等の分野において用いられる、融点降下を生じる複数成分を配合した固形圧縮製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
固形圧縮製剤は、有効成分と他の賦形剤、添加剤などの製剤原料成分とを混合し、造粒、乾燥後、打錠などの圧縮成形をすることにより製造される。
しかし、配合する成分の性質によっては、打錠等、圧縮成形時に成形用組成物が杵付着等を起こし、製剤に識別コードを刻印できない、製剤の一部が欠けるなど、成形における障害を生じせしめることがある。特に、大量に製造する場合には、このような成形障害は機械が停止するなど重大な問題となる。また、成分自体にはこのような問題がない場合であっても、他の成分と配合することによって同じような問題が発生することがある。
通常、このような成形障害はステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤を多めに配合する等の方法によって解決される。しかし、滑沢剤自体が他の配合成分と相互反応を生じせしめることもあり、また、成形物の強度を損なうことがあるため、このような手法はなるべく避けて問題を解決するのが望ましい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような成形工程中の成形装置への付着が改善された、融点降下が生じる複数成分を配合した固形圧縮製剤、その製造方法および付着改善方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特に、複数の成分を配合することにより生じる成形障害が成分間の融点降下に起因することに初めて着目して、鋭意検討した結果、融点降下を生じる複数成分を各々群分け配合するか、あるいは、融点降下を生じる複数成分を、該複数成分が融解しない品温にて造粒した粒で配合することにより、打錠工程において成形装置への付着が改善され、良好な打錠性・生産性を有することを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明は、
(1)融点降下を生じる複数成分が、各々、群分け配合されている固形圧縮製剤、
(2)融点降下を生じる複数成分が、それらが融解しない品温にて造粒した粒で配合されている固形圧縮製剤、
(3)融点降下を生じる複数成分が接触した後、融点降下を生じた1または2以上の成分の融点降下後の融点が約50℃〜約90℃である上記(1)または(2)記載の固形圧縮製剤、
(4)融点降下を生じる複数成分が融点降下を生じる結果、打錠工程において杵付着を生じる複数成分である上記(1)または(2)記載の固形圧縮製剤、
(5)融点降下を生じる複数成分が、マレイン酸クロルフェニラミンと臭化水素酸デキストロメトルファンである上記(1)または(2)記載の固形圧縮製剤、
(6)マレイン酸クロルフェニラミンがd−マレイン酸クロルフェニラミンである上記(5)記載の固形圧縮製剤、
(7)約60℃以下の品温で造粒した粒が配合されている上記(2)記載の固形圧縮製剤、
(8)融点降下を生じる複数成分を各々群分け配合し、両者を混合し成形する上記(1)記載の固形圧縮製剤の製造方法、
(9)融点降下を生じる複数成分を、それらが融解しない品温にて造粒した粒を成形する上記(2)記載の固形圧縮製剤の製造方法、
(10)融点降下を生じる複数成分を、それらが融解しない品温にて造粒することを特徴とする該複数成分を配合した粒の製造方法、
(11)融点降下を生じる複数成分を、各々、群分け配合することを特徴とする、該複数成分を配合した固形圧縮製剤の打錠工程中の成形装置への付着の改善方法、および
(12)融点降下を生じる複数成分を、それらが融解しない品温で造粒することを特徴とする、該複数成分を配合した固形圧縮製剤の打錠工程中の成形装置への付着の改善方法を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本明細書において、「融点降下」とは、複数成分が互いに接触することにより、各々の成分固有の融点が接触後降下する現象をいう。このとき、複数成分の接触によって、1成分の融点のみが降下する場合、2以上の成分の融点が各々降下する場合、2以上の成分の融点が重なって全体に降下する場合がある。
「融点降下を生じる複数成分」とは、接触によって各々融点降下を生じる2以上の成分(通常は2成分)や、融点降下を生じる1成分とその融点降下を引き起こす他の成分(自身の融点はほとんど降下しない)からなる種々の医薬品、医薬部外品、食品等の製造において用いられる成分であって、融点降下を生じた結果打錠工程において成形装置(例えば、杵、臼など)に付着するような成分をいう。打錠工程における成形装置への付着は、接触後融点降下を生じた1または2成分の融点降下後の融点が約50℃〜約90℃(とりわけ、約60℃〜約80℃)となる場合に生じることが多い。ここで、融点降下後の融点とは、成分が融解し始める温度をいう。
「融点降下を生じる複数成分」としては、具体的には、例えば、マレイン酸クロルフェニラミン(例、d−マレイン酸クロルフェニラミン、dl−マレイン酸クロルフェニラミン)と臭化水素酸デキストロメトルファンとの組み合わせ、アセトアミノフェンと臭化水素酸デキストロメトルファンとの組み合わせ、ニコチン酸アミドとコハク酸d−α−トコフェロールとの組み合わせ、ニコチン酸アミドとフルスルチアミン塩酸塩との組み合わせ、グアイフェネシンと臭化水素酸デキストロメトルファンとの組み合わせ、グアイフェネシンとd−マレイン酸クロルフェニラミンとの組み合わせからなる医薬成分などが挙げられる。このうち、マレイン酸クロルフェニラミンと臭化水素酸デキストロメトルファンとの組み合わせ、とりわけd−マレイン酸クロルフェニラミンと臭化水素酸デキストロメトルファンとの組み合わせの製品に対して、本発明が好ましく用いられる。
【0007】
「群分け配合」とは、融点降下を生じる複数成分が互いに接触することを抑制すべく、各々、別々の群に分けて配合することをいう。
「融点降下を生じる複数成分が融解しない品温で造粒」するのは、融点降下を生じる複数成分が一度融解すると、その後に融点降下後の融点よりも低い品温(製品温度)で打錠をしても成形装置への付着は改善されないので、融点降下を生じる複数成分が融解しない品温を保って造粒(ここでの「造粒」には造粒後の乾燥工程も含む)することにより、打錠工程における成形装置への付着の発生を防止するためである。かかる品温を保つためには、通常、造粒、乾燥工程において品温よりも約20〜30℃程度高い送風温度で送風すればよい。
「融点降下を生じる複数成分が融解しない品温」とは、具体的には例えば、融点降下を生じる複数成分が、マレイン酸クロルフェニラミン(例、d−マレイン酸クロルフェニラミン、dl−マレイン酸クロルフェニラミン)と臭化水素酸デキストロメルトファンとの組み合わせ、アセトアミノフェンと臭化水素酸デキストロメトルファンとの組み合わせ、ニコチン酸アミドとコハク酸d−α−トロフェロールとの組み合わせ、ニコチン酸アミドとフルスルチアミン塩酸塩との組み合わせ、グアイフェネシンと臭化水素酸デキストロメトルファンとの組み合わせ、グアイフェネシンとd−マレイン酸クロルフェニラミンとの組み合わせの場合は、約60℃以下、好ましくは約40〜60℃、より好ましくは約43〜55℃である。また、ニコチン酸アミドとコハク酸d−α−トコフェロールとの組み合わせの場合は、約65℃以下、好ましくは約40〜65℃、より好ましくは約43〜60℃である。
【0008】
融点降下を生じる複数成分の含有量は、製剤全体に対して、約0.01重量%〜約70重量%、好ましくは約0.05重量%〜約50重量%である。
本発明の固形圧縮製剤は経口投与される固形製剤が好ましい。とりわけ厚さ約3〜10mm程度、直径約4〜20mm程度の大きさの錠剤が好ましい。
【0009】
本発明の製剤には、融点降下を生じる複数成分以外に、他の医薬品、医薬部外品、食品等の製造において用いられる有効成分を含んでいてもよい。そのような有効成分としては、例えば、滋養強壮保健薬、解熱鎮痛消炎薬、向精神病薬、抗不安薬、抗うつ薬、催眠鎮静薬、鎮痙薬、胃腸薬、制酸剤、鎮咳去痰薬、気管支拡張剤、歯科口腔用薬、抗ヒスタミン剤、強心剤、不整脈用剤、利尿剤、血圧降下剤、血管収縮剤、冠血管拡張剤、末梢血管拡張剤、利胆剤、抗生物質、殺菌剤、化学療法剤、糖尿病用剤、骨粗しょう症用剤、骨格筋弛緩薬、鎮暈剤または乗物酔薬などから選ばれた1種または2種以上の成分が用いられる。
【0010】
滋養強壮保健薬には、例えば、ビタミンA類(ビタミンAとその誘導体を含む、以下同様に略称する)、ビタミンD類、ビタミンE類(酢酸d−α−トコフェロールなど)、ビタミンB1類(ジベンゾイルチアミン、フルスルチアミン塩酸塩など)、ビタミンB2類(酪酸リボフラビンなど)、ビタミンB6(塩酸ピリドキシンなど)、ビタミンC類(アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウムなど)、ビタミンB12類(酢酸ヒドロキソコバラミンなど)、ビタミンK、ビタミンL、ビタミンP(ヘスペリジンなど)などのビタミン、カルシウム、マグネシウム、鉄などのミネラル、タンパク、アミノ酸、オリゴ糖、生薬などが挙げられる。
解熱鎮痛消炎薬としては、例えば、アスピリン、アセトアミノフェン、エテンザミド、イブプロフェン、塩酸ジフェンヒドラミン、dl−マレイン酸クロルフェニラミン、リン酸ジヒドロコデイン、ノスカピン、塩酸メチルエフェドリン、塩酸フェニルプロパノールアミン、トラネキサム酸、カフェイン、無水カフェイン、セラペプターゼ、塩化リゾチーム、トルフェナム酸、メフェナム酸、ジクロフェナクナトリウム、フルフェナム酸、サリチルアミド、アミノピリン、ケトプロフェン、インドメタシン、ブコローム、ペンタゾシンなどが挙げられる。
向精神病薬としては、例えば、クロルプロマジン、レセルピンなどが挙げられる。
抗不安薬としては、例えば、クロルジアゼポキシド、ジアゼパムなどが挙げられる。
抗うつ薬としては、例えば、イミプラミン、マプロチリン、アンフェタミンなどが挙げられる。
【0011】
催眠鎮静薬としては、例えば、エスタゾラム、ニトラゼパム、ジアゼパム、フェノバルビタールナトリウムなどが例示される。
鎮痙薬には、例えば、臭化水素酸スコポラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、塩酸パパベリンなどが挙げられる。
胃腸薬としては、例えば、ジアスターゼ、含糖ペプシン、ロートエキス、リパーゼAP、ケイヒ油などの健胃消化剤、塩化ベルベリン、耐性乳酸菌、ビフィズス菌などの整腸剤などが挙げられる。
制酸剤としては、例えば、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイト、沈降炭酸カルシウム、酸化マグネシウムなどが挙げられる。
鎮咳去痰薬としては、例えば、塩酸クロペラスチン、臭化水素酸デキストロメトルファン、テオフィリン、グアヤコールスルホン酸カリウム、グアイフェネシン、フェノールフタリン酸デキストロメトルファン、塩酸アンブロキソールなどが挙げられる。
気管支拡張剤としては、例えば、dl−塩酸メチルエフェドリン等が挙げられる。
歯科口腔用薬としては、例えば、オキシテトラサイクリン、トリアムシノロンアセトニド、塩酸クロルヘキシジン、リドカインなどが挙げられる。
抗ヒスタミン剤としては、例えば、塩酸ジフェンヒドラミン、プロメタジン、塩酸イソチペンジル、d−マレイン酸クロルフェニラミン、dl−マレイン酸クロルフェニラミンなどが挙げられる。
強心剤としては、例えば、塩酸エチレフリンなどが挙げられる。
不整脈用剤としては、例えば、塩酸プロカインアミド、塩酸プロプラノロール、ピンドロールなどが挙げられる。
利尿剤としては、例えば、イソソルピド、フロセミドなどが挙げられる。
血圧降下剤としては、例えば、塩酸デラプリル、カプトプリル、臭化ヘキサメトニウム、塩酸ヒドララジン、塩酸ラベタロール、メチルドーパなどが挙げられる。
【0012】
血管収縮剤としては、例えば、塩酸フェニレフリンなどが挙げられる。
冠血管拡張剤としては、例えば、塩酸カルボクロメン、モルシドミン、塩酸ベラパミルなどが挙げられる。
末梢血管拡張剤としては、例えば、シンナリジンなどが挙げられる。
利胆剤としては、例えば、デヒドロコール酸、トレピプトンなどが挙げられる。
抗生物質としては、例えば、セファレキシン、アモキシシリン、塩酸ピブメシリナム、塩酸セフォチアムなどのセフェム系、ペネム系およびカルバペネム系抗生物質などが挙げられる。
殺菌剤としては、例えば、塩化セチルピリジニウム、塩酸クロルヘキシジンなどが挙げられる。
化学療法剤としては、例えば、スルファメチゾール、チアゾスルホンなどが挙げられる。
糖尿病用剤としては、例えば、トルブタミド、ボグリボースなどが挙げられる。
骨粗しょう症用剤としては、例えば、イプリフラボンなどが挙げられる。
骨格筋弛緩薬としては、例えば、メトカルバモールなどが挙げられる。
鎮暈剤または乗物酔い予防・治療薬としては、例えば、塩酸メクリジン、ジメンヒドリナートなどが挙げられる。
これらの有効成分の含有量は、有効成分の種類などに応じて広い範囲、例えば、製剤全体に対して約0.001重量%〜約90重量%、好ましくは約0.01重量%〜約50重量%の範囲内で適当に選択できる。
【0013】
本発明の製剤には、本発明の効果を損なわない程度の量で、製剤一般に使われている賦形剤、結合剤、崩壊剤、腸溶性ポリマー、水不溶性ポリマー、滑沢剤、界面活性剤、着色剤、矯味剤、吸着剤、防腐剤、湿潤剤、帯電防止剤、崩壊延長剤、発泡剤などを含んでいてもよい。
賦形剤としては、例えば、乳糖、デンプン、コーンスターチ、結晶セルロース(例、アビセルPH101、アビセルPH−F20(いずれも商品名、旭化成工業株式会社製)など)、グラニュウ糖、マンニトール、軽質無水ケイ酸(例、サイリシア320(商品名、ワイ・ケー・エフ社製)など)、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、精製白糖、ブドウ糖、含水ブドウ糖などが挙げられる。好ましくは、精製白糖、ブドウ糖、含水ブドウ糖などが用いられる。
【0014】
結合剤としては、例えば、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム末、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例、HPC−Lなど)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、ブルラン、デキストリン、α化デンプン、アラビアゴム末、ゼラチンなどが挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム(例、アクジゾル(商品名、旭化成工業株式会社製)など)、クロスリンクドインソルブルポリビニルピロリドン(例、コリドンCL(商品名、BASF社製)など)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファ化デンプン、クロスポビドン(ISP Inc., BASF)、カルメロースカルシウム(五徳薬品株式会社製)、カルボキシメチルスターチナトリウム(松谷化学株式会社製)、コーンスターチなどが挙げられる。
腸溶性ポリマーとしては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルエチルセルロースなどが挙げられる。
水不溶性ポリマーとしては、例えば、アミノアルキルメタアクリレートコポリマー(例、オイドラギッドE、オイドラギッドRSなど)、メタクリル酸コポリマー(例、オイドラギットL30−55など)などが挙げられる。
【0015】
滑沢剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、タルク、ステアリン酸、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。該ショ糖脂肪酸エステルとしては、例えは、分子量400〜1300程度のショ糖脂肪酸エステル(例、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等)が挙げられる。ショ糖ラウリン酸エステルとしてはショ糖モノラウレート、ショ糖ジラウレート、ショ糖トリラウレート等が、ショ糖ミリスチン酸エステルとしてはショ糖モノミリステート、ショ糖ジミリステート、ショ糖トリミリステート等が、ショ糖パルミチン酸エステルとしてはショ糖モノパルミテート、ショ糖ジパルミテート、ショ糖トリパルミテート等が、ショ糖ステアリン酸エステルとしてはショ糖モノステアレート、ショ糖ジステアレート、,ショ糖トリステアレート等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、アルキル硫酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンヒマシ油誘導体等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。
着色剤としては、例えば、タール色素、カラメル、ベンガラ、酸化チタン、リボフラビン類、緑茶抽出物、銅クロロフィンナトリウム、食用黄色5号,食用赤色2号,食用青色2号などの食用色素、食用レーキ色素などが挙げられる。
矯味剤としては、例えば、甘味剤(例、サッカリンナトリウム、グリチルリチン二カリウム、アスパルテーム、ステビア、ソーマチンなどの人口甘味料など)、香料(例、レモン、レモンライム、オレンジ、1−メントール、ハッカ油、ペパーミントミクロンX−8277−T、ドライコート抹茶#421など)、酸味料(例、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸など)、緑茶末などが挙げられる。
吸着剤としては、例えば、特殊ケイ酸カルシウム(フローライト)などが挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、軽質無水ケイ酸(エアロジル)などが挙げられる。
発泡剤としては、例えば、重曹などが挙げられる。
【0016】
本発明の製剤は、融点降下を生じる複数成分を、両成分の接触を抑制すべく別の群に分けて配合し、常法に従い両群を混合し成形することにより製造することができる。両成分の接触を抑制するには、通常、上記した賦形剤等を用いると好都合である。例えば、融点降下を生じる複数成分aおよびbがある場合に、成分aと必要に応じて他の有効成分に賦形剤等の製剤原料成分を添加、混合して造粒したA群と、成分bと必要に応じて他の医薬成分に賦形剤等の製剤原料成分を添加、混合して造粒したB群とを混合、乾燥し、圧縮成形(打錠)することにより製造することができる。
別法として、本発明の製剤は、融点降下を生じる複数成分を、融点降下を生じる複数成分が融解しない品温にて造粒した粒を、常法に従い成形することにより製造することができる。例えば、融点降下を生じる複数成分と、必要に応じて他の有効成分に賦形剤等の製剤原料成分を添加、混合して、融点降下を生じる成分が融解しない品温で造粒した粒を、融点降下を生じる成分が融解しない品温で乾燥し、圧縮成形(打錠)することにより製造することができる。
本発明の製剤において圧縮成形前の粒の粒径は、約10〜2000μm、好ましくは約20〜1000μm、より好ましくは約100〜500μm程度である。
【0017】
融点降下を生じる複数成分と必要に応じて他の有効成分に製剤原料成分を添加し、混合、造粒する方法は、一般に用いられる混合方法、造粒方法などにより行われる。具体的には、バーチカルグラニュレーターVG10(パウレック社製)、万能混合機(畑鉄工所製)、転動流動層造粒機(パウレック社製)、流動層造粒機(パウレック社製)、タンブラー混合機(昭和化学機械製)などを用いて混合、造粒することができる。
乾燥は、例えば、真空乾燥、凍結乾燥、自然乾燥、流動層乾燥など製剤一般の乾燥に用いられる何れの方法によってもよい。
打錠には、一般の錠剤の成形に用いられる装置が用いられる。例えば、単発錠剤機(菊水製作所製)、ロータリー式錠剤機(菊水製作所製)などを用いることができる。打錠の際の成形圧力は、例えば約1〜50kN、好ましくは約5〜30kNである。
【0018】
【実施例】
以下、実施例、比較例および試験例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【0019】
実施例1
表1に示す処方に従い、d−マレイン酸クロルフェニラミンを含むA群を流動層造粒機(パウレック社製・FD−3SN)を用いてHPC−L溶液を噴霧し、品温が65℃になるように造粒した。一方、臭化水素酸デキストロメトルファンを含むB群もHPC−L溶液を噴霧し、品温が65℃になるように流動層造粒機(パウレック社製・FD−3SN)を用いて造粒した。かくして得られた2種類の顆粒および崩壊剤、滑沢剤をタンブラー混合機(昭和化学機械製・TM−15型)で混合しロータリー式打錠機(菊水製作所製・コレクト19K)にて素錠を製した。
【0020】
実施例2
表1に示す処方に従い、d−マレイン酸クロルフェニラミンを含んだA群を流動層造粒機(パウレック社製・FD−3SN)を用いてHPC−L溶液を噴霧し、品温が50℃以下になるように造粒した。一方、臭化水素酸デキストロメトルファンを含むB群もHPC−Lを噴霧し、品温が50℃以下になるように流動層造粒機(パウレック社製・FD−3SN)を用いて造粒した。かくして得られた2種類の顆粒および崩壊剤、滑沢剤をタンブラー混合機(昭和化学機械製・TM−15型)で混合しロータリー式打錠機(菊水製作所製・コレクト19K)にて素錠を製した。
【0021】
【表1】
【0022】
実施例3
表2に示す処方に従い、A群を流動層造粒機(パウレック社製・FD−3SN)を用いてHPC−L溶液を噴霧し、品温が65℃になるように造粒した。一方、d−マレイン酸クロルフェニラミンと臭化水素酸デキストロメトルファンを含むB群もHPC−L溶液を噴霧し、品温が50℃以下になるように流動層造粒機(パウレック社製・FD−3SN)を用いて造粒した。そして得られた2種類の顆粒および崩壊剤、滑沢剤をタンブラー混合機(昭和化学機械製・TM−15型)で混合しロータリー式打錠機(菊水製作所製・コレクト19K)にて素錠を製した。
【0023】
比較例1
表2に示す処方に従い、A群を流動層造粒機(パウレック社製・FD−3SN)を用いてHPC−L溶液を噴霧し、品温が65℃になるように造粒した。一方、d−マレイン酸クロルフェニラミンと臭化水素酸デキストロメトルファンを含むB群もHPC−L溶液を噴霧し、品温が65℃になるように流動層造粒機(パウレック社製・FD−3SN)を用いて造粒した。そして得られた2種類の顆粒および崩壊剤、滑沢剤をタンブラー混合機(昭和化学機械製・TM−15型)で混合しロータリー式打錠機(菊水製作所製・コレクト19K)にて素錠を製した。
【0024】
【表2】
【0025】
試験例1
実施例1、実施例2、実施例3および比較例1について、ロータリー式打錠機(菊水製作所製・コレクト19K)にて打錠操作を行なった。結果を表3に示す。
【表3】
表3に示す通り、本発明の各実施例では良好な打錠が行えたが、比較例では打錠開始後すぐに杵付着が発生して、打錠が不可能となり、機械が停止した。
【0026】
【発明の効果】
本発明の固形圧縮製剤は、その製造の打錠工程において成形装置への成分の付着が発生しないので、識別コードを刻印できない、製剤の一部が欠ける、成形装置への付着による機械の停止などの成形障害の問題もなく、良好な打錠性・生産性を確保することができる。
Claims (4)
- マレイン酸クロルフェニラミンと臭化水素酸デキストロメトルファンが、各々、群分け配合されている固形圧縮製剤。
- マレイン酸クロルフェニラミンがd−マレイン酸クロルフェニラミンである請求項1記載の固形圧縮製剤。
- マレイン酸クロルフェニラミンと臭化水素酸デキストロメトルファンを各々群分け配合し、両者を混合し成形する請求項1記載の固形圧縮製剤の製造方法。
- マレイン酸クロルフェニラミンと臭化水素酸デキストロメトルファンを、各々、群分け配合することを特徴とする、マレイン酸クロルフェニラミンと臭化水素酸デキストロメトルファンを配合した固形圧縮製剤の打錠工程中の成形装置への付着の改善方法。
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