以下に添付図面を参照して、この発明に係る画像形成装置、用紙ジャム検出方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。
図1は、本実施形態の画像形成装置の機械的な構成を説明する図である。本実施形態の画像形成装置は、図1に示すように、各色のAIO(All In One)カートリッジ10Bk,10M,10C,10Yが転写ベルト11に沿って並べられた、所謂、タンデムタイプといわれるものである。
転写ベルト11は、2次転写駆動ローラ12とテンションローラ13との間に巻回されたエンドレスのベルトである。2次転写駆動ローラ12は、不図示の駆動モータにより回転駆動させられる。2次転写駆動ローラ12の駆動によって、転写ベルト11が、図中の反時計回りに回転する。この転写ベルト11の回転方向の上流側から順に、AIOカートリッジ10Bk、AIOカートリッジ10M、AIOカートリッジ10C、およびAIOカートリッジ10Yがそれぞれ配置されている。
これら複数のAIOカートリッジ10Bk,10M,10C,10Yは、露光器12からの書込光に応じて、電子写真プロセスにより画像(トナー像)を形成する。各AIOカートリッジ10Bk,10M,10C,10Yは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。AIOカートリッジ10Bkは、ブラックのトナー画像を形成する。AIOカートリッジ10Mは、マゼンタのトナー画像を形成する。AIOカートリッジ10Cは、シアンのトナー画像を形成する。AIOカートリッジ10Yは、イエローのトナー画像を形成する。
以下の説明では、AIOカートリッジ10Bkの構成について具体的に説明する。他のAIOカートリッジ10M,10C,10YはAIOカートリッジ10Bkと同様の構成であるので、これらAIOカートリッジ10M,10C,10Yの各構成要素については、AIOカートリッジ10Bkの各構成要素に付したBkに替えてM,C,Yによって区別した符号を図中で示すにとどめ、具体的な説明を省略する。
AIOカートリッジ10Bkは、感光体14Bk、感光体14Bkの周囲に配置された帯電器15Bk、現像器16Bk、及びクリーナブレード17Bk等を備える。画像形成に際し、感光体14Bkの外周面は、暗中にて帯電器15Bkにより一様に帯電された後、露光器18からのブラック画像に対応した書き込み光により露光される。これにより、感光体14Bkの外周面に静電潜像が形成される。現像器16Bkは、この静電潜像をブラックトナーにより可視像化する。これにより、感光体14Bk上にブラックのトナー画像が形成される。
このトナー画像は、感光体14Bkと転写ベルト11とが接する位置(一次転写位置)で、一次転写ローラ19Bkの働きによって転写ベルト11上に転写される。トナー画像の転写が終了した感光体14Bkは、外周面に残留した不要なトナーがクリーナブレード17Bkにより払拭された後、次の画像形成のために待機する。
以上のようにして、転写ベルト11に転写されたブラックのトナー画像は、転写ベルト11の回転によって次のAIOカートリッジ10Mが配置されている位置へと搬送される。AIOカートリッジ10Mでは、AIOカートリッジ10Bkと同様の電子写真プロセスにより感光体14M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が転写ベルト11上に転写されたブラックのトナー画像に重ねて転写される。
転写ベルト11上に重ねて転写されたトナー画像は、さらに次のAIOカートリッジ10Cの位置、AIOカートリッジ10Yの位置へと順次搬送され、同様の動作により、感光体14C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体14Y上に形成されたイエローのトナー画像とが、転写ベルト11上のトナー画像に順次重ねて転写される。こうして、転写ベルト11上にフルカラーのトナー画像が形成される。この転写ベルト11上に形成されたフルカラーのトナー画像は、その後、転写ベルト11の回転によって二次転写ローラ20の位置(二次転写位置(画像形成位置))まで搬送される。
なお、ブラックのみの画像を形成する場合は、一次転写ローラ19M,19C,19Yがそれぞれ感光体14M,14C,14Yから離間された位置に退避し、AIOカートリッジ10Bkでの電子写真プロセスのみによって、転写ベルト11上にブラックのトナー画像が形成される。
一方、画像の転写媒体である用紙を供給するための給紙部1は、高さ方向に積層して配置される複数の給紙トレイを備える。本実施形態では、給紙部1が4つの給紙トレイを備えるものとする。以下、これら4つの給紙トレイを区別する場合は、二次転写位置(画像形成位置)に近い方から順に、第1段給紙トレイ1A、第2段給紙トレイ1B、第3段給紙トレイ1C、および第4段給紙トレイ1Dと呼ぶ。これら4つの給紙トレイ1A〜1Dは、それぞれ互いに積層される方向である高さ方向の大きさ(高さサイズ)が一定ではない。4つの給紙トレイ1A〜1Dのそれぞれは、収納する用紙の最大枚数に応じて高さサイズが異なる複数のタイプの給紙トレイの中から任意に選択される。つまり、本実施形態の画像形成装置における給紙部1は、高さサイズが一定ではない4つの給紙トレイ1A〜1Dを積み重ねた構成である。以下では、簡単のために、給紙トレイ1A〜1Dのそれぞれは、250枚用の給紙トレイと500枚用の給紙トレイの2種類のタイプの給紙トレイから選ばれるものとする。500枚用の給紙トレイは、250枚の給紙トレイに比べて、高さサイズ(他の給紙トレイと積層されたときの積層方向の大きさ)が大きい。
画像形成時には、用紙を取り出す給紙トレイとして、給紙部1が備える4つの給紙トレイ1A〜1Dのいずれかが選択される。第1段給紙トレイ1Aが選択されると、第1段給紙トレイ1Aに収納された用紙は、最も上のものから、後述の給紙モータ35(図2参照)により駆動される給紙ローラ2Aが回転することにより送り出され、レジストローラ3の位置にて待機する。同様に、第2段給紙トレイ1Bが選択されると、第2段給紙トレイ1Bに収納された用紙は、最も上のものから、給紙ローラ2Bが回転することにより送り出され、レジストローラ3の位置にて待機する。同様に、第3段給紙トレイ1Cが選択されると、第3段給紙トレイ1Cに収納された用紙は、最も上のものから、給紙ローラ2Cが回転することにより送り出され、レジストローラ3の位置にて待機する。同様に、第4段給紙トレイ1Dが選択されると、第4段給紙トレイ1Dに収納された用紙は、最も上のものから、給紙ローラ2Dが回転することにより送り出され、レジストローラ3の位置にて待機する。
給紙部1の4つの給紙トレイ1A〜1Dのいずれかから取り出された用紙が搬送される経路を、ここでは搬送パスと呼ぶ。本実施形態では、搬送パスは、4つの給紙トレイ1A〜1Dの高さ方向(積層方向)に沿った経路となっている。この搬送パスには、レジストローラ3に近い位置から上流側に向かって順に、レジストセンサ4A、搬送センサ4B、搬送センサ4C、搬送センサ4Dの4つのセンサが設けられている。これらのセンサ4A〜4Dは、それぞれ搬送パスでの用紙の通過を検知する。また、搬送パスには、用紙を搬送するための複数の搬送ローラ5A,5B,5Cが設けられている。
レジストローラ3は、転写ベルト11の回転によって搬送されるトナー画像が二次転写位置に到達するタイミングで用紙が二次転写位置に到達するように、待機中の用紙を送り出す。レジストローラ3により送り出された用紙は、二次転写ローラ20により転写ベルト11上のトナー画像が転写された後、定着器21へと搬送される。そして、用紙が定着器21を通過する際に熱および圧力を受けることでトナー画像が用紙に定着し、トナー画像が定着した用紙が、排紙ローラ6によって画像形成装置の外部に排紙される。
また、両面印刷を行なう場合は、トナー画像が定着された用紙が画像形成装置の外部に排紙される手前で、排紙ローラ6が逆転駆動される。これにより、トナー画像が定着された用紙が両面搬送経路に搬送される。両面搬送経路に搬送された用紙は、両面ローラ7を経由し、表裏が反転した状態で再びレジストローラ3の位置にまで搬送される。レジストローラ3の位置に到達した用紙は、再びレジストローラ3により二次転写位置へと送り出され、二次転写ローラ20によって転写ベルト11上のトナー画像が転写された後、定着器21を通過することでトナー画像の定着が行われ、排紙ローラ6によって画像形成装置の外部に排紙される。
図2は、本実施形態の画像形成装置のハードウェア構成例を示す図である。本実施形態の画像形成装置は、図2に示すように、CPU25、ROM26、RAM27、NVRAM28、画像処理IC29、I/O30、外部I/F31、操作パネルI/F32、およびこれらを相互に接続するシステムバス33を備える。操作パネルI/F32は、操作パネル34に接続される。操作パネル34は、各種の情報を表示してユーザに提示するとともに、ユーザが行う各種の操作入力を受け付けるためのユーザインターフェースである。また、I/O30は、上述したレジストセンサ4A、搬送センサ4B、搬送センサ4C、および搬送センサ4Dや、上述した給紙ローラ2A〜2Dを回転駆動するための給紙モータ35等と接続される。
CPU25は、RAM27を主メモリ、ワークエリア等として利用し、例えばROM26等に格納されたプログラムを読み出して実行することで、画像形成装置における各種の動作を統括的に制御する。CPU25は、I/O30を介して、各センサ4A〜4Dから検知信号を取り込んだり、I/O30を介して、給紙モータ35に制御信号を送ったりすることが可能となっている。また、CPU25は、外部I/F31を介して、ホストコンピュータ等の外部装置(図示せず)との通信処理が可能となっている。
NVRAM28は、不揮発性の記憶部であり、プログラムが利用する画像形成装置に関する各種の情報を記憶する。特に本実施形態では、給紙部1の給紙トレイ1B〜1Dごとに算出される後述の第2の時間が、NVRAM28に記憶される。
画像処理IC29は、CPU25による制御のもとで、例えば外部I/F31を介して外部装置から取得された画像データに対して各種の画像処理を施して、露光器18に供給する。
本実施形態の画像形成装置では、後述の用紙ジャム検出方法を実施するためのプログラムが、例えばROM26等に格納されている。CPU25は、このプログラムを読み出して実行することで、図3に示すような用紙ジャムの検出に関わる機能的な構成を実現する。
図3は、用紙ジャムの検出に関わるCPU25の機能的な構成例を示すブロック図である。CPU25は、図3に示すように、用紙ジャムの検出に関わる機能的な構成要素として、設定部101と、タイマ102と、判定部103と、を備える。
設定部101は、ジャム検出時間を設定する。タイマ102は、例えば給紙開始(給紙ローラ2A〜2Dの動作開始)等の所定のタイミングからの経過時間を計測する。判定部103は、タイマ102が計測する経過時間が、設定部101が設定したジャム検出時間に達しても、搬送パスに設置された所定のセンサ(以下、所定のセンサはレジストセンサ4Aであるものとする。)が用紙の通過を検知しない場合に、用紙ジャムが発生したと判定する。
本実施形態の画像形成装置は、上述したように、高さサイズが一定ではない4つの給紙トレイ1A〜1Dを積み重ねた構成の給紙部1を備える。このため、用紙を取り出す給紙トレイとして選択された給紙トレイ(以下、選択トレイという。)が、第2段給紙トレイ1B、第3段給紙トレイ1C、および第4段給紙トレイ1Dのいずれかである場合、これらの給紙トレイ1B〜1Dからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さは、その前段まで給紙トレイの高さサイズの組み合わせに応じて変化する。
具体的には、第2段給紙トレイ1Bからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さは、第1段給紙トレイ1Aの高さサイズに応じて変化する。また、第3段給紙トレイ1Cからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さは、第1段給紙トレイ1Aの高さサイズと第2段給紙トレイ1Bの高さサイズとの組み合わせに応じて変化する。また、第4段給紙トレイ1Dからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さは、第1段給紙トレイ1Aの高さサイズと第2段給紙トレイ1Bの高さサイズと第3段給紙トレイ1Cの高さサイズとの組み合わせに応じて変化する。なお、第1段給紙トレイ1Aからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さは、他の給紙トレイの高さサイズに関わらず一定である。
仮に、給紙トレイ1A〜1Dごとにレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さが一定であるとすると、それぞれの搬送パスの長さに応じて給紙トレイ1A〜1Dごとに適切なジャム検出時間を予め求めておくことができる。しかし、本実施形態の画像形成装置では、給紙トレイ1B〜1Dについては、レジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さが一定でないため、これらの給紙トレイ1B〜1Dが選択トレイとなった場合、設定部101は、以下のようにジャム検出時間を設定する。
まず、設定部101は、選択トレイから1枚目の用紙を取り出して搬送する際に、選択トレイからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの最大長さに対応する第1の時間を、選択トレイに対応するジャム検出時間として設定する。選択トレイが第2段給紙トレイ1Bであれば、選択トレイからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの最大長さは、第1段給紙トレイ1Aの高さサイズが最大のときの搬送パスの長さである。また、選択トレイが第3段給紙トレイ1Cであれば、選択トレイからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの最大長さは、第1段給紙トレイ1Aの高さサイズと第2段給紙トレイ1Bの高さサイズとがそれぞれ最大のときの搬送パスの長さである。また、選択トレイが第4段給紙トレイ1Dであれば、選択トレイからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの最大長さは、第1段給紙トレイ1Aの高さサイズと第2段給紙トレイ1Bの高さサイズと第3段給紙トレイ1Cの高さサイズとがそれぞれ最大のときの搬送パスの長さである。第1の時間は、この搬送パスの最大長さと用紙の搬送速度(固定値)とから求まるレジストセンサ4Aまでの用紙到達時間の最大値に所定のマージンを加算することで求めることができる。
1枚目の用紙の給紙が開始されると、タイマ102が時間の計測を開始する。1枚目の用紙が正常に搬送されていれば、タイマ102が計測する給紙開始からの経過時間が、設定部101が設定したジャム検出時間に達する前に、レジストセンサ4Aが1枚目の用紙の通過を検知する。設定部101は、レジストセンサ4Aが1枚目の用紙の通過を検知するまでにタイマ102が計測した経過時間を読み取り、この経過時間に基づいて第2の時間を算出する。例えば、設定部101は、タイマ102から読み取った経過時間が、予め定めた時間区分のいずれかに該当するかを判断し、該当する時間区分に対応付けられた時間を、選択トレイに対応する第2の時間としてNVRAM28に格納する。そして、設定部101は、選択トレイから2枚目以降の用紙を取り出して搬送する際は、以上のように算出した第2の時間(NVRAM28が記憶する第2の時間)を、選択トレイに対応するジャム検出時間として設定する。NVRAM28が記憶する第2の時間は、同じ給紙トレイに対応する第2の時間を新たに算出する処理を開始する前に初期化される。
なお、選択トレイから取り出された1枚目の用紙の搬送時に、タイマ102が計測する給紙開始からの経過時間がジャム検出時間に達してもレジストセンサ4Aが1枚目の用紙の通過を検知しない場合、判定部103は、用紙ジャム(1枚目の用紙の紙詰まり)が発生したと判定する。この場合、画像形成装置の動作が停止し、設定部101は上記の第2の時間を算出する処理を終了する。また、用紙ジャム以外にも、選択トレイから取り出された1枚目の用紙の搬送時に例えばユーザによるドアオープン、トナー切れ、各種モータの故障などの何らかの異常が検出された場合は、画像形成装置の動作が停止し、設定部101は第2の時間を算出する処理を終了する。この場合、選択トレイに対応する第2の時間はNVRAM28に格納されず、選択トレイに対応する第2の時間がNVRAM28に記憶されていない状態となる。
なお、設定部101による第2の時間の算出は、画像形成装置が電源オフから電源オンになって画像形成を行う場合に行い、画像形成装置がスリープ状態から復帰して画像形成を行う場合は、第2の時間の算出を行わないようにしてもよい。つまり、画像形成装置がスリープ状態から復帰して画像形成を行う場合は、設定部101は、選択トレイから1枚目の用紙を取り出して搬送する場合であっても、NVRAM28が記憶する選択トレイに対応する第2の時間をジャム検出時間として設定するようにしてもよい。給紙部1の給紙トレイ1A〜1Dの入れ替えは、通常、画像形成装置の電源をオフにした状態で行われるため、スリープ状態からの復帰時には搬送パスの長さに変化はなく、NVRAM28が記憶する第2の時間がジャム検出時間として有効と考えられるからである。
また、操作パネル34を利用して、第2の時間を算出する機能の有効/無効をユーザが指定できるようにし、第2の時間を算出する機能を無効にするユーザ操作を操作パネル34が受け付けた場合は、設定部101による第2の時間を算出する処理を行わないようにしてもよい。つまり、操作パネル34が第2の時間を算出する機能を無効にするユーザ操作を受け付けた場合は、設定部101は、選択トレイから1枚目の用紙を取り出して搬送する場合であっても、NVRAM28が記憶する選択トレイに対応する第2の時間をジャム検出時間として設定するようにしてもよい。
ただし、画像形成装置がスリープ状態から復帰して画像形成を行う場合や、第2の時間を算出する機能を無効にするユーザ操作を操作パネル34が受け付けた場合であっても、NVRAM28に選択トレイに対応する第2の時間が記憶されていない場合は、設定部101は、選択トレイから1枚目の用紙を取り出して搬送する際に、上述した第1の時間をジャム検出時間として設定し、第2の時間を算出する処理を行う。NVRAM28に選択トレイに対応する第2の時間が記憶されていない場合とは、例えば、第2の時間を算出する処理の間に何らかの異常が検出されて、処理が終了した場合である。
本実施形態の画像形成装置では、以上説明した方法により用紙ジャムを検出することにより、選択トレイからレジストセンサ4Aまでの搬送パス長が変化する場合であっても、設定部101により適切なジャム検出時間を設定して、用紙ジャムの検出を適切に行うことができる。以下では、本実施形態の用紙ジャム検出方法について、具体例を示しながらさらに詳しく説明する。
図4は、給紙部1を構成する4つの給紙トレイ1A〜1Dのすべてが500枚用の給紙トレイである場合の搬送パスを説明する図である。
図4に示すように、第1段給紙トレイ1Aの底面部からレジストセンサ4Aまでのトレイ積層方向における直線距離をA1[mm]とし、第1段給紙トレイ1Aの底面部から第2段給紙トレイ1Bの底面部までの積層方向の直線距離、および第2段給紙トレイ1Bの底面部から第3段給紙トレイ1Cの底面部までの積層方向の直線距離をA2[mm]とする。また、第1段給紙トレイ1Aの給紙開始位置からレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さをL1[mm]とし、第2段給紙トレイ1Bの給紙開始位置から第1段給紙トレイ1Aの底面部に相当する高さ位置までの搬送パスの長さ、第3段給紙トレイ1Cの給紙開始位置から第2段給紙トレイ1Bの底面部に相当する高さ位置までの搬送パスの長さ、および第4段給紙トレイ1Dの給紙開始位置から第3段給紙トレイ1Cの底面部に相当する高さ位置までの搬送パスの長さをL2[mm]とする。
図5は、給紙部1を構成する4つの給紙トレイ1A〜1Cのすべてが250枚用の給紙トレイである場合の搬送パスを説明する図である。
図5に示すように、第1段給紙トレイ1Aの底面部からレジストセンサ4Aまでのトレイ積層方向における直線距離をB1[mm]とし、第1段給紙トレイ1Aの底面部から第2段給紙トレイ1Bの底面部までの積層方向の直線距離、および第2段給紙トレイ1Bの底面部から第3段給紙トレイ1Cの底面部までの積層方向の直線距離をB2[mm]とする。第1段給紙トレイ1Aの給紙開始位置からレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さは、図4の例と同様にL1[mm]である。また、第2段給紙トレイ1Bの給紙開始位置から第1段給紙トレイ1Aの底面部に相当する高さ位置までの搬送パスの長さ、第3段給紙トレイ1Cの給紙開始位置から第2段給紙トレイ1Bの底面部に相当する高さ位置までの搬送パスの長さ、および第4段給紙トレイ1Dの給紙開始位置から第3段給紙トレイ1Cの底面部に相当する高さ位置までの搬送パスの長さも、図4の例と同様にL2[mm]である。
図6は、給紙部1を構成する4つの給紙トレイ1A〜1Dのそれぞれからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さを説明する図である。図6では、図4に示した4つの給紙トレイ1A〜1Dのすべてが500枚用の給紙トレイである場合と、図5に示した4つの給紙トレイ1A〜1Cのすべてが250枚用の給紙トレイである場合との双方について、各給紙トレイ1A〜1Dからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さを、図4および図5に示したA1,A2,B1,B2,L1,L2を使って表している。
図6に示すように、第1段給紙トレイ1Aからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さは、給紙トレイ1A〜1Dのすべてが500枚用の給紙トレイである場合と、すべてが250枚用の給紙トレイである場合との双方で、ともにL1[mm]である。
また、第2段給紙トレイ1Bからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さは、給紙トレイ1A〜1Dのすべてが500枚用の給紙トレイである場合はL2+A1[mm]であり、すべてが250枚用の給紙トレイである場合はL2+B1[mm]である。
また、第3段給紙トレイ1Cからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さは、給紙トレイ1A〜1Dのすべてが500枚用の給紙トレイである場合はL2+A1+A2[mm]であり、すべてが250枚用の給紙トレイである場合はL2+B1+B2[mm]である。
また、第4段給紙トレイ1Dからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さは、給紙トレイ1A〜1Dのすべてが500枚用の給紙トレイである場合はL2+A1+(A2×2)[mm]であり、すべてが250枚用の給紙トレイである場合はL2+B1+(B2×2)[mm]である。
ここで、給紙トレイ1A〜1Dのそれぞれが250枚用の給紙トレイと500枚用の給紙トレイの2種類のタイプの給紙トレイから選ばれるものとすると、給紙トレイ1B〜1Dからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの最大長さは、すべてが500枚用の給紙トレイである場合の搬送パス長となる。つまり、第2段給紙トレイ1Bからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの最大長さはL2+A1[mm]である。また、第3段給紙トレイ1Cからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの最大長さはL2+A1+A2[mm]である。また、第4段給紙トレイ1Dからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの最大長さはL2+A1+(A2×2)[mm]である。
上記の設定部101は、これら給紙トレイ1B〜1Dごとの搬送パスの最大長さを用いて、上述した第1の時間を求める。例えば、選択トレイが第3段給紙トレイ1Cであった場合、レジストセンサ4Aまでの搬送パスの最大長さはL2+A1+A2[mm]である。ここで、用紙の搬送速度をM[mm/秒]、所定のマージンをN[秒]とすると、選択トレイが第3段給紙トレイ1Cである場合に1枚目の用紙の給紙時にジャム検出時間として設定される第1の時間は、(L2+A1+A2)/M+N[秒]となる。ただし、マージンNには、レジストセンサ4Aの遅延時間や、給紙ローラ2Cの駆動の応答遅延時間等も含まれるものとする。
以上は、給紙部1を構成する4つの給紙トレイ1A〜1Dのすべてが500枚用の給紙トレイである場合と、4つの給紙トレイ1A〜1Dのすべてが250枚用の給紙トレイである場合の例であるが、給紙トレイ1B〜1Dからレジストセンサ4Aまでの実際の搬送パスの長さは、500枚用の給紙トレイと250枚用の給紙トレイとの組み合わせによって異なったものとなる。
図7は、前段までの給紙トレイのタイプの組み合わせと搬送パスの長さとの関係を説明する図である。図7(a)は、第1段給紙トレイ1Aのタイプと、第2段給紙トレイ1Bからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さとの関係を示している。図7(b)は、第1段給紙トレイ1Aのタイプと第2段給紙トレイ1Bのタイプとの組み合わせと、第3段給紙トレイ1Cからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さとの関係を示している。図7(c)は、第1段給紙トレイ1Aのタイプと第2段給紙トレイ1Bのタイプと第3段給紙トレイ1Cのタイプとの組み合わせと、第4段給紙トレイ1Dからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さとの関係を示している。
図7(a)に示すように、第2段給紙トレイ1Bからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さは、第1段給紙トレイ1Aのタイプが500枚用であるか、250枚用であるかによって、2通りの長さのいずれかとなる。したがって、第2段給紙トレイ1Bから取り出された用紙がレジストセンサ4Aに検知されるまでの経過時間から、第2段給紙トレイ1Bからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さがこれら2通りの長さのいずれであるかが分かれば、それに応じた第2の時間を、第2段給紙トレイ1Bから2枚目以降の用紙を給紙する際のジャム検出時間として適切に設定することができる。
また、図7(b)に示すように、第3段給紙トレイ1Cからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さは、第1段給紙トレイ1Aのタイプと第2段給紙トレイ1Bのタイプとの組み合わせによって、3通りの長さのいずれかとなる。したがって、第3段給紙トレイ1Cから取り出された用紙がレジストセンサ4Aに検知されるまでの経過時間から、第3段給紙トレイ1Cからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さがこれら3通りの長さのいずれであるかが分かれば、それに応じた第2の時間を、第3段給紙トレイ1Cから2枚目以降の用紙を給紙する際のジャム検出時間として適切に設定することができる。
また、図7(c)に示すように、第4段給紙トレイ1Dからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さは、第1段給紙トレイ1Aのタイプと第2段給紙トレイ1Bのタイプと第3段給紙トレイ1Cのタイプとの組み合わせによって、4通りの長さのいずれかとなる。したがって、第4段給紙トレイ1Dから取り出された用紙がレジストセンサ4Aに検知されるまでの経過時間から、第4段給紙トレイ1Dからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さがこれら4通りの長さのいずれであるかが分かれば、それに応じた第2の時間を、第4段給紙トレイ1Dから2枚目以降の用紙を給紙する際のジャム検出時間として適切に設定することができる。
図8は、1枚目の用紙がレジストセンサ4Aに検知されるまでの経過時間と第2の時間との関係を示す図である。図8(a)は、第2段給紙トレイ1Bから取り出された用紙がレジストセンサ4Aに検知されるまでの経過時間Tと、経過時間Tが属する時間区分ごとに対応付けられた第2の時間とを示している。図8(b)は、第3段給紙トレイ1Cから取り出された用紙がレジストセンサ4Aに検知されるまでの経過時間Tと、経過時間Tが属する時間区分ごとに対応付けられた第2の時間とを示している。図8(c)は、第4段給紙トレイ1Dから取り出された用紙がレジストセンサ4Aに検知されるまでの経過時間Tと、経過時間Tが属する時間区分ごとに対応付けられた第2の時間とを示している。
選択トレイが第2段給紙トレイ1Bである場合、設定部101は、例えば図8(a)に示すように、2つの閾値α,βを用いて、1枚目の用紙がレジストセンサ4Aに検知されるまでの経過時間Tが2つの時間区分のいずれに該当するかを判定することで、第2の時間を求める。すなわち、T<αであれば、その時間区分に対応付けられたJ21を第2の時間とし、α≦T<βであれば、その時間区分に対応付けられたJ22を第2の時間とする。なお、β≦Tの場合は、判定部103によって1枚目の用紙の搬送時に用紙ジャムが発生したと判定される。J21は、例えば、第2段給紙トレイ1Bからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さがB1+L2[mm]の場合の理論的な用紙到達時間に所定のマージンを加算した値として予め求めておく。また、J22は、例えば、第2段給紙トレイ1Bからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さがA1+L2[mm]の場合の理論的な用紙到達時間に所定のマージンを加算した値として予め求めておく。
選択トレイが第3段給紙トレイ1Cである場合、設定部101は、例えば図8(b)に示すように、3つの閾値α’,β’,γ’を用いて、1枚目の用紙がレジストセンサ4Aに検知されるまでの経過時間Tが3つの時間区分のいずれに該当するかを判定することで、第2の時間を求める。すなわち、T<α’であれば、その時間区分に対応付けられたJ31を第2の時間とし、α’≦T<β’であれば、その時間区分に対応付けられたJ32を第2の時間とし、β’≦T<γ’であれば、その時間区分に対応付けられたJ33を第2の時間とする。なお、γ’≦Tの場合は、判定部103によって1枚目の用紙の搬送時に用紙ジャムが発生したと判定される。J31は、例えば、第3段給紙トレイ1Cからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さがB1+B2+L2[mm]の場合の理論的な用紙到達時間に所定のマージンを加算した値として予め求めておく。また、J32は、例えば、第3段給紙トレイ1Cからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さがA1+B2+L2[mm]の場合の理論的な用紙到達時間に所定のマージンを加算した値として予め求めておく。J33は、例えば、第3段給紙トレイ1Cからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さがA1+A2+L2[mm]の場合の理論的な用紙到達時間に所定のマージンを加算した値として予め求めておく。
選択トレイが第4段給紙トレイ1Dである場合、設定部101は、例えば図8(c)に示すように、4つの閾値α'',β'',γ'',δ''を用いて、1枚目の用紙がレジストセンサ4Aに検知されるまでの経過時間Tが4つの時間区分のいずれに該当するかを判定することで、第2の時間を求める。すなわち、T<α''であれば、その時間区分に対応付けられたJ41を第2の時間とし、α''≦T<β''であれば、その時間区分に対応付けられたJ42を第2の時間とする。また、β''≦T<γ''であれば、その時間区分に対応付けられたJ43を第2の時間とし、γ''≦T<δ''であれば、その時間区分に対応付けられたJ44を第2の時間とする。なお、δ''≦Tの場合は、判定部103によって1枚目の用紙の搬送時に用紙ジャムが発生したと判定される。J41は、例えば、第4段給紙トレイ1Dからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さがB1+B2+B2+L2[mm]の場合の理論的な用紙到達時間に所定のマージンを加算した値として予め求めておく。また、J42は、例えば、第4段給紙トレイ1Dからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さがA1+B2+B2+L2[mm]の場合の理論的な用紙到達時間に所定のマージンを加算した値として予め求めておく。J43は、例えば、第4段給紙トレイ1Dからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さがB1+A2+B2+L2[mm]の場合の理論的な用紙到達時間に所定のマージンを加算した値として予め求めておく。J44は、例えば、第4段給紙トレイ1Dからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの長さがA1+A2+A2+L2[mm]の場合の理論的な用紙到達時間に所定のマージンを加算した値として予め求めておく。
設定部101は、以上のように算出した第2の時間を、選択トレイに対応する第2の時間としてNVRAM28に格納し、同じ給紙トレイから2枚目以降の給紙を行う場合は、その第2の時間をジャム検出時間として設定する。
図9は、第2の時間を算出する処理の一連の手順を示すフローチャートである。以下、この図9のフローチャートに沿って、第2の時間を算出する処理の具体例について説明する。図9のフローチャートで示す処理は、画像形成装置に対して印刷要求があった場合に開始される。
印刷要求があると、画像形成装置のCPU25は、まず、用紙を取り出す給紙トレイとして、給紙部1が備える4つの給紙トレイ1A〜1Dのいずれかを選択する(ステップS101)。
次に、CPU25は、ステップS101で選択した選択トレイが、4つの給紙トレイ1A〜1Dのうち、第1段給紙トレイ1A以外の給紙トレイか否かを判定する(ステップS102)。そして、選択トレイが第1段給紙トレイ1A以外の給紙トレイであれば(ステップS102:Yes)ステップS103に進み、選択トレイが第1段給紙トレイ1Aであれば(ステップS102:No)、第2の時間を算出する処理を終了する。
ステップS103では、CPU25は、第2の時間を算出する機能の有効/無効を指定する操作パネル34を通じたユーザ操作を確認し、機能が有効であるか否かを判定する。そして、機能が有効である場合は(ステップS103:Yes)ステップS104に進み、機能が無効とされている場合は(ステップS103:No)ステップS105に進む。
ステップS104では、CPU25は、画像形成装置が電源オフから電源オンに切り替わった後の印刷要求であるか否かを判定する。そして、画像形成装置が電源オフから電源オンに切り替わった後の印刷要求である場合は(ステップS104:Yes)ステップS106に進み、画像形成装置がスリープ状態から復帰した後の印刷要求である場合は(ステップS104:No)ステップS105に進む。
ステップS105では、CPU25は、ステップS101で選択した選択トレイに対応する第2の時間がNVRAM28に記憶されているか否かを判定する。そして、選択トレイに対応する第2の時間がNVRAM28に記憶されていなければ(ステップS105:No)ステップS107に進み、選択トレイに対応する第2の時間がNVRAM28に記憶されていれば(ステップS105:Yes)第2の時間を算出する処理を終了する。
ステップS106では、CPU25は、NVRAM28が記憶している選択トレイに対応する第2の時間を初期化し、ステップS107に進む。
ステップS107では、CPU25の設定部101が、選択トレイからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの最大長さに対応する第1の時間をジャム検出時間として設定し、ステップS108に進む。
ステップS108では、CPU25は、選択トレイから1枚目の用紙の給紙を開始させる。また、これに伴い、CPU25のタイマ102が、給紙開始からの経過時間の計測を開始し、ステップS109に進む。
ステップS109では、CPU25は、画像形成装置に何らかの異常が発生したか否かを判定する。この判定は、CPU25の判定部103による用紙ジャムが発生したか否かの判定も含まれる。そして、画像形成装置に何も異常が発生していなければ(ステップS109:No)ステップS110に進み、画像形成装置に何らかの異常が発生した場合は(ステップS109:Yes)、第2の時間を算出する処理を終了する。
ステップS110では、CPU25の設定部101が、ステップS108で給紙を開始した1枚目の用紙がレジストセンサ4Aによって検知されたか否かを判定する。そして、レジストセンサ4Aが1枚目の用紙を検知していなければ(ステップS110:No)ステップS109に戻って処理を繰り返し、レジストセンサ4Aが1枚目の用紙を検知したら(ステップS110:Yes)ステップS111に進む。
ステップS111では、CPU25の設定部101が、ステップS108の計測開始からステップS110でレジストセンサ4Aにより1枚目の用紙が検知されるまでの間にタイマ102によって計測された経過時間に基づいて、例えば上述した方法によって、第2の時間を算出し、ステップS112に進む。
ステップS112では、CPU25の設定部101が、ステップS111で算出した第2の時間をNVRAM28に格納し、第2の時間を算出する処理を終了する。以降、ステップS101で選択された選択トレイから2枚目以降の用紙を給紙する場合、CPU25の設定部101は、算出した第2の時間をジャム検出時間として設定する。そして、2枚目以降の用紙の給紙が開始されてからタイマ102が計測する経過時間が、設定されたジャム検出時間に達してもレジストセンサ4Aが2枚目以降の用紙を検知しない場合に、判定部103が、2枚目以降の用紙に用紙ジャムが発生したと判定する。
以上、具体的な例を挙げながら詳細に説明したように、本実施形態の画像形成装置は、選択トレイから1枚目の用紙を取り出して搬送する際は、その選択トレイからレジストセンサ4Aまでの搬送パスの最大長さに対応する第1の時間をジャム検出時間として設定して用紙ジャムの検出を行いながら、1枚目の用紙がレジストセンサ4Aにより検知されるまでの経過時間に基づいて第2の時間を算出する。そして、同じ給紙トレイ(選択トレイ)から2枚目以降の用紙を取り出して搬送する際は、1枚目の用紙の搬送時に算出した第2の時間をジャム検出時間として設定し、2枚目以降の用紙に対する用紙ジャムの検出を行う。したがって、本実施形態の画像形成装置によれば、高さサイズが一定ではない給紙トレイ1A〜1Dを積み重ねた構成の給紙部1を用いることで、選択トレイからレジストセンサ4Aまでの搬送パス長が変化する場合であっても、適切なジャム検出時間を設定して、用紙ジャムの検出を適切に行うことができる。
なお、以上の説明では、選択トレイから1枚目の用紙を給紙する際に第1の時間をジャム検出時間として設定し、1枚目の用紙がレジストセンサ4Aに検知されるまでの経過時間に基づいて第2の時間を算出し、1枚目の用紙を給紙する際には第2の時間をジャム検出時間として設定している。しかし、選択トレイから先行して取り出される複数枚の用紙の搬送時にそれぞれ第2の時間を算出し、複数回にわたって算出された第2の時間のうち、信頼性の高い第2の時間を、選択トレイから続けて取り出される後続の用紙に対してジャム検出を行うためのジャム検出時間として設定するようにしてもよい。
また、搬送パスに設置された複数のセンサ4A〜4Dのうち、選択トレイよりも搬送パスの下流側に設置された2つのセンサを用いることで、信頼性の高い第2の時間を算出することもできる。以下では、選択トレイよりも搬送パスの下流側に設置されたレジストセンサ4A(第1のセンサ)と搬送センサ4B(第2のセンサ)とを用いて、信頼性の高い第2の時間を算出する方法の具体例について説明する。
図10は、1枚目の用紙が搬送センサ4Bに検知されるまでの経過時間および1枚目の用紙がレジストセンサ4Aに検知されるまでの経過時間と第2の時間との関係を示す図である。図10(a)は、第2段給紙トレイ1Bから取り出された用紙が搬送センサ4Bに検知されるまでの経過時間T1と、レジストセンサ4Aに検知されるまでの経過時間T2と、これらの経過時間T1,T2が属する時間区分ごとに対応付けられた第2の時間とを示している。図10(b)は、第3段給紙トレイ1Cから取り出された用紙が搬送センサ4Bに検知されるまでの経過時間T1と、レジストセンサ4Aに検知されるまでの経過時間T2と、これらの経過時間T1,T2が属する時間区分ごとに対応付けられた第2の時間とを示している。図10(c)は、第4段給紙トレイ1Dから取り出された用紙が搬送センサ4Bに検知されるまでの経過時間T1と、レジストセンサ4Aに検知されるまでの経過時間T2と、これらの経過時間T1,T2が属する時間区分ごとに対応付けられた第2の時間とを示している。
選択トレイが第2段給紙トレイ1Bである場合、設定部101は、図10(a)に示すように、2つの閾値α1,β1を用いて、1枚目の用紙が搬送センサ4Bに検知されるまでの経過時間T1が、2つの時間区分のいずれに該当するかを判定する。また、設定部101は、2つの閾値α2,β2を用いて、1枚目の用紙がレジストセンサ4Aに検知されるまでの経過時間T2が、2つの時間区分のいずれに該当するかを判定する。そして、経過時間T1の時間区分と経過時間T2の時間区分とが同じであれば、経過時間T2に信頼性があると判断し、その時間区分に対応付けられた時間を第2の時間とする。
すなわち、設定部101は、T1<α1であり、且つ、T2<α2であれば、経過時間T2に信頼性があると判断して、その時間区分に対応付けられたJ21を第2の時間とする。また、設定部101は、α1≦T1<β1であり、且つ、α2≦T2<β2であれば、経過時間T2に信頼性があると判断して、その時間区分に対応付けられたJ22を第2の時間とする。一方、経過時間T1の時間区分と経過時間T2の時間区分とが異なる場合は、経過時間T2に信頼性がないと判断し、第2の時間を算出する処理を終了する。なお、β1≦T1の場合や、β2≦T2の場合は、判定部103によって1枚目の用紙の搬送時に用紙ジャムが発生したと判定され、第2の時間を算出する処理が終了する。
選択トレイが第3段給紙トレイ1Cである場合、設定部101は、図10(b)に示すように、3つの閾値α1’,β1’,γ1’を用いて、1枚目の用紙が搬送センサ4Bに検知されるまでの経過時間T1が、3つの時間区分のいずれに該当するかを判定する。また、設定部101は、3つの閾値α2’,β2’ γ2’を用いて、1枚目の用紙がレジストセンサ4Aに検知されるまでの経過時間Tが、3つの時間区分のいずれに該当するかを判定する。そして、経過時間T1の時間区分と経過時間T2の時間区分とが同じであれば、経過時間T2に信頼性があると判断し、その時間区分に対応付けられた時間を第2の時間とする。
すなわち、設定部101は、T1<α1’であり、且つ、T2<α2’であれば、経過時間T2に信頼性があると判断して、その時間区分に対応付けられたJ31を第2の時間とする。また、設定部101は、α1’≦T1<β1’ であり、且つ、α2’≦T2<β2’であれば、経過時間T2に信頼性があると判断して、その時間区分に対応付けられたJ32を第2の時間とする。また、設定部101は、β1’≦T1<γ1’であり、且つ、β2’≦T2<γ2’であれば、経過時間T2に信頼性があると判断して、その時間区分に対応付けられたJ33を第2の時間とする。一方、経過時間T1の時間区分と経過時間T2の時間区分とが異なる場合は、経過時間T2に信頼性がないと判断し、第2の時間を算出する処理を終了する。なお、γ1’≦T1の場合や、γ2’≦T2の場合は、判定部103によって1枚目の用紙の搬送時に用紙ジャムが発生したと判定され、第2の時間を算出する処理が終了する。
選択トレイが第4段給紙トレイ1Dである場合、設定部101は、図10(c)に示すように、4つの閾値α1'',β1'',γ1'',δ1''を用いて、1枚目の用紙が搬送センサ4Bに検知されるまでの経過時間T1が、4つの時間区分のいずれに該当するかを判定する。また、設定部101は、4つの閾値α2'',β2'',γ2'',δ2''を用いて、1枚目の用紙がレジストセンサ4Aに検知されるまでの経過時間Tが、4つの時間区分のいずれに該当するかを判定する。そして、経過時間T1の時間区分と経過時間T2の時間区分とが同じであれば、経過時間T2に信頼性があると判断し、その時間区分に対応付けられた時間を第2の時間とする。
すなわち、設定部101は、T1<α1''であり、且つ、T2<α2''であれば、経過時間T2に信頼性があると判断して、その時間区分に対応付けられたJ41を第2の時間とする。また、設定部101は、α1''≦T1<β1''であり、且つ、α2''≦T2<β2''であれば、経過時間T2に信頼性があると判断して、その時間区分に対応付けられたJ42を第2の時間とする。また、設定部101は、β1''≦T1<γ1''であり、且つ、β2''≦T2<γ2''であれば、経過時間T2に信頼性があると判断して、その時間区分に対応付けられたJ43を第2の時間とする。また、設定部101は、γ1''≦T1<δ1''であり、且つ、γ2''≦T2<δ2''であれば、経過時間T2に信頼性があると判断して、その時間区分に対応付けられたJ44を第2の時間とする。一方、経過時間T1の時間区分と経過時間T2の時間区分とが異なる場合は、経過時間T2に信頼性がないと判断し、第2の時間を算出する処理を終了する。なお、δ1''≦T1の場合や、δ2''≦T2の場合は、判定部103によって1枚目の用紙の搬送時に用紙ジャムが発生したと判定され、第2の時間を算出する処理が終了する。
設定部101は、以上のように算出した第2の時間を、選択トレイに対応する第2の時間としてNVRAM28に格納し、同じ給紙トレイから2枚目以降の給紙を行う場合は、その第2の時間をジャム検出時間として設定する。
図11は、上述した方法によって信頼性の高い第2の時間を算出する処理を示すフローチャートであり、図9に示したフローチャートのステップS108以降の処理に代わるものである。なお、図11のフローチャートで示す処理を行う場合も、図9に示したフローチャートのステップS101〜ステップS107までの処理は行われるが、ここでは説明を省略する。
ステップS201では、CPU25は、選択トレイから1枚目の用紙の給紙を開始させる。また、これに伴い、CPU25のタイマ102が、給紙開始からの経過時間の計測を開始し、ステップS202に進む。
ステップS202では、CPU25は、画像形成装置に何らかの異常が発生したか否かを判定する。この判定は、CPU25の判定部103による用紙ジャムが発生したか否かの判定も含まれる。そして、画像形成装置に何も異常が発生していなければ(ステップS202:No)ステップS203に進み、画像形成装置に何らかの異常が発生した場合は(ステップS202:Yes)、第2の時間を算出する処理を終了する。
ステップS203では、CPU25の設定部101が、1枚目の用紙が搬送センサ4Bによって検知されたか否かを判定する。そして、搬送センサ4Bが1枚目の用紙を検知していなければ(ステップS203:No)ステップS202に戻って処理を繰り返し、搬送センサ4Bが1枚目の用紙を検知したら(ステップS203:Yes)ステップS204に進む。
ステップS204では、CPU25の設定部101が、ステップS201の計測開始からステップS203で搬送センサ4Bにより1枚目の用紙が検知されるまでの間にタイマ102によって計測された経過時間を保存して、ステップS205に進む。
ステップS205では、CPU25は、画像形成装置に何らかの異常が発生したか否かを判定する。この判定は、CPU25の判定部103による用紙ジャムが発生したか否かの判定も含まれる。そして、画像形成装置に何も異常が発生していなければ(ステップS205:No)ステップS206に進み、画像形成装置に何らかの異常が発生した場合は(ステップS205:Yes)、第2の時間を算出する処理を終了する。
ステップS206では、CPU25の設定部101が、1枚目の用紙がレジストセンサ4Aによって検知されたか否かを判定する。そして、レジストセンサ4Aが1枚目の用紙を検知していなければ(ステップS206:No)ステップS205に戻って処理を繰り返し、レジストセンサ4Aが1枚目の用紙を検知したら(ステップS206:Yes)ステップS207に進む。
ステップS207では、CPU25の設定部101が、ステップS201の計測開始からステップS206でレジストセンサ4Aにより1枚目の用紙が検知されるまでの間タイマ102によって計測された経過時間を取得し、上述した方法によって、この経過時間(レジストセンサ4Aまでの経過時間)の時間区分と、ステップS204で保存した経過時間(搬送センサ4Bまでの経過時間)の時間区分とをそれぞれ確認し、ステップS208に進む。
ステップS208では、CPU25の設定部101が、搬送センサ4Bまでの時間区分と、レジストセンサ4Aまでの時間区分とが同じか否かを判定する。そして、これらの時間区分が同じであれば(ステップS208:Yes)ステップS209に進み、同じでなければ(ステップS208:No)、第2の時間を算出する処理を終了する。
ステップS209では、CPU25の設定部101が、ステップS208で同じと判定した時間区分に対応する第2の時間をNVRAM28に格納し、第2の時間を算出する処理を終了する。以降、選択トレイから2枚目以降の用紙を給紙する場合、CPU25の設定部101は、算出した第2の時間をジャム検出時間として設定する。そして、2枚目以降の用紙の給紙が開始されてからタイマ102が計測する経過時間が、設定されたジャム検出時間に達してもレジストセンサ4Aが2枚目以降の用紙を検知しない場合に、判定部103が、2枚目以降の用紙に用紙ジャムが発生したと判定する。
以上説明した方法によって第2の時間を算出する処理を行うことで、信頼性の高い第2の時間を算出し、用紙ジャムの検出をより高精度に行うことができる。
なお、本実施形態の画像形成装置において上述した用紙ジャム検出方法を実施するためのプログラムは、例えば図2に示したROM26等に予め組み込んで提供される。また、上記プログラムを、例えば、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するようにしてもよい。
また、上記プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。さらに、上記プログラムを、インターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
上述した用紙ジャム検出方法を実施するためのプログラムは、用紙ジャムの検出に関わる各部(設定部101、タイマ102、および判定部103)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU25(プロセッサ)がROM26等から上記プログラムを読み出して実行することにより上記各部がRAM27(主記憶)上にロードされ、上述した各部がRAM27(主記憶)上に生成されるようになっている。
なお、本発明は、上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で様々な変形や変更を加えて具体化することができる。例えば、上述した実施形態では、電子写真プロセスにより画像形成を行う画像形成装置に本発明を適用した例であるが、本発明は、これに限らず、例えばインクジェットプリンタなど、給紙部を備える様々なタイプの画像形成装置に対して有効に適用することができる。