JP6186963B2 - 電磁流量計および電磁流量計における励磁コイルの絶縁劣化診断方法 - Google Patents

電磁流量計および電磁流量計における励磁コイルの絶縁劣化診断方法 Download PDF

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Description

本発明は、測定管内を流れる被測定流体に磁界をかけ、起電力を測定することで被測定流体の流量を測定する電磁流量計および電磁流量計における励磁コイルの絶縁劣化診断方法に関する。
電磁誘導を利用して導電性の流体の流量を測定する電磁流量計が知られている。電磁流量計は、直交方向に磁界がかけられた測定管内に被測定流体を流し、発生した起電力を測定管内に取り付けられた一対の検出電極を用いて測定する。この起電力は、被測定流体の流速に比例するため、測定値に基づいて被測定流体の体積流量を得ることができる。
図8は、従来の電磁流量計400の構成を示す図である。本図の例では、電磁流量計400は測定管500を流れる導電性の被測定流体の流量を測定するものとする。
測定管500には、検出電極として電極A410a、電極B410bが取り付けられており、測定管500外の近傍に励磁コイル411が配置されている。励磁コイル411は、励磁部440が出力する励磁電流により磁界を生成する。励磁コイル411が生成する磁界、電極A410aおよび電極B410bの起電力検出方向、測定管500の流路方向は互いに直交するように構成されている。
励磁部440が出力する励磁電流は、ゼロ点を安定させるとともに、耐ノイズ性、高速応答性を高めるために、図9(a)に示すような短周期のパルスと長周期のパルスとを重畳し、正励磁期間と負励磁期間とを有する2周波励磁波形としている。ただし、1周波励磁波形あるいはその他の励磁波形であってもよい。
励磁部440は、電流制御部441、スイッチング部442、電源443を備えており、制御部430の励磁制御部431の制御の下で、電源443が供給する電力を正負制御およびPWM制御することにより、上述の2周波励磁波形を出力する。PWM制御においては、電流制御部441が、電流検出抵抗Rdを利用して励磁電流を検出し、所定の電流値となるようにスイッチング部442の動作を制御する。このため、図9(b)の励磁波形の拡大図に示すように、励磁波形はスイッチング動作に応じたリプル成分を含有している。
励磁コイル411が生成する磁界によって測定管500内で発生した起電力は、電極A410a、電極B410bで検出され、図示しないバッファを介して差動増幅器420に入力され、差分が流量信号として取り出される。
差動増幅器420が出力する流量信号は、図示しないA/D変換器によりディジタル変換される。そして、制御部430の流量演算部432に入力され、流量信号に基づいて被測定流体の流量が演算される。
特開2008−20364号公報 特開2003−106879号公報
電磁流量計400では、測定管500のシール部材の経年劣化等により被測定流体が励磁コイル411に浸入する等が原因となって、励磁コイル411の線間絶縁が劣化することがある。
励磁コイル411の線間の絶縁が劣化すると、生成される磁界が変化して流量測定に影響を与えたり、測定不能となるおそれがある。このため、例えば、絶縁抵抗診断部450を設け、励磁コイル411の絶縁抵抗の劣化度を診断することが従来から提案されている。絶縁抵抗診断部450としては、励磁コイル411のインダクタンスを測定する回路や励磁コイル411の抵抗を測定する回路が用いられる。これは、励磁コイル411の線間の絶縁劣化が進むとインダクタンスが小さくなり、さらに絶縁劣化が進むと励磁コイル411の抵抗値が小さくなるという特性を利用したものである。
このように、励磁コイル411のインダクタンスや抵抗を測定する回路を用いて励磁コイル411の絶縁抵抗の劣化度を診断することが可能であるが、絶縁劣化診断のための測定回路を流量測定の回路とは別に設けなければならず、コストの上昇等を招くことになる。このため、本来的に備えている流量測定用の回路を利用してコイルの絶縁劣化を診断できるようになれば有益である。
そこで、本発明は、電磁流量計において、流量測定の回路を利用してコイルの絶縁劣化を診断できるようにすることを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様である電磁流量計は、所定波形の励磁電流を励磁コイルに印加し、測定管内を流れる被測定流体の起電力に基づく流量信号を取得して前記被測定流体の流量を測定する電磁流量計であって、前記励磁電流を検出する検出抵抗と、前記励磁電流の検出結果に基づいたフィードバック制御によるスイッチング動作により前記所定波形の励磁電流を生成する励磁部と、検出された前記励磁電流が含有するリプル量に基づいて前記励磁コイルの絶縁劣化を診断する診断部とを備えることを特徴とする。
ここで、前記診断部は、前記リプル量が基準値を超えた場合に前記励磁コイルの絶縁が劣化したと判定することができる。
このとき、前記励磁部は、前記スイッチング動作におけるオン時のパルス幅の最小値を設け、前記診断部は、前記診断に加え、検出された前記励磁電流の値に基づいて前記励磁コイルの絶縁劣化を診断することができる。
また、前記診断部は、検出された前記励磁電流の値が第2基準値を超えた場合に前記励磁コイルの絶縁がさらに劣化したと判定するようにしてもよい。
上記課題を解決するため、本発明の第2の態様である電磁流量計における励磁コイルの絶縁劣化診断方法は、フィードバック制御によるスイッチング動作により生成される所定波形の励磁電流を励磁コイルに印加し、測定管内を流れる被測定流体の起電力に基づく流量信号を取得して前記被測定流体の流量を測定する電磁流量計における前記励磁コイルの絶縁劣化診断方法であって、前記励磁電流を検出し、検出された前記励磁電流が含有するリプル量に基づいて前記励磁コイルの絶縁劣化を診断することを特徴とする。
本発明によれば、電磁流量計において、流量測定の回路を利用してコイルの絶縁劣化を診断できるようになる。
本実施形態に係る電磁流量計の構成を示すブロック図である。 励磁部の構成を示すブロック図である。 コイル絶縁劣化診断部の動作を説明するフローチャートである。 励磁コイルの絶縁劣化とリプル量との関係について説明する図である。 励磁コイルの抵抗値低下を検出して第2のアラームを発生させる場合の励磁部の構成を示すブロック図である。 最小パルス幅と励磁電流の増加について説明する図である。 コイル絶縁劣化診断部の複数段階アラームを出力制御例を示す図である。 従来の電磁流量計の構成を示すブロック図である。 励磁波形について説明する図である。
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る電磁流量計100の構成を示すブロック図である。本図に示すように、電磁流量計100は、電極A110a、電極B110b、励磁コイル111、電流検出抵抗Rd、差動増幅器120、制御部130、励磁部140を備えており、測定管500を流れる導電性の被測定流体の流量を測定する。制御部130は、CPU等の演算処理装置を用いて構成することができる。
電極A110a、電極B110bは、検出電極として測定管500に取り付けられており、励磁コイル111は、測定管500外の近傍に配置されている。励磁コイル111は、励磁部140が出力する励磁電流により磁界を生成する。励磁コイル111が生成する磁界、電極A110aおよび電極B110bの起電力検出方向、測定管500の流路方向は互いに直交するように構成されている。
励磁部140が出力する励磁電流は、従来と同様に正励磁期間負励磁期間を有する電流であり、短周期のパルスと長周期のパルスとを重畳した2周波励磁波形としている。
励磁部140は、電流制御部141、スイッチング部142、定電圧VEXを出力する電源143を備えており、制御部130の励磁制御部131の制御の下で、電源143が供給する電力を正負制御およびPWM制御することにより、2周波励磁波形を出力する。ただし、1周波励磁波形あるいはその他の励磁波形であってもよい。
図2は、励磁部140の構成を示すブロック図である。本図に示すように、電流制御部141は、電流検出抵抗Rdに生じた電圧降下に基づいて励磁電流を検出し、設定された電流値との差を出力する。この際に、励磁電流の正負を考慮する。そしてPWM制御部145が、この差に基づいて、出力する連続パルスのパルス幅を制御する。すなわち、フィードバック動作により励磁電流が設定された電流値になるように制御する。
スイッチング部142は正負の励磁電流を生成するために4つのスイッチを備えているが、本例では、4つのスイッチを2系列に分け、一方の系列のスイッチは励磁波形にしたがってオンオフ制御し、他方の系列のスイッチは、励磁波形とPWM制御されたパルスとのANDにしたがってオンオフ制御するようにしている。ただし、他のスイッチング制御であってもよい。例えば、励磁波形とPWM制御されたパルスとを別々のスイッチでそれぞれオンオフ制御するようにしてもよい。
図1の説明に戻って、励磁コイル111が生成する磁界によって測定管500内で発生した起電力は、電極A110a、電極B110bで検出され、図示しないバッファを介して差動増幅器120に入力され、差分が流量信号として取り出される。
差動増幅器120が出力する流量信号は、図示しないA/D変換器によりディジタル変換される。そして、制御部130の流量演算部132に入力され、流量信号に基づいて被測定流体の流量が演算される。
本実施形態の電磁流量計100は、制御部130にコイル絶縁劣化診断部133を備えている。コイル絶縁劣化診断部133は、電流検出抵抗Rdで検出される電流に基づいて励磁コイル111の絶縁劣化を診断する。電流検出抵抗Rdは、従来から励磁電流を検出するために備えられているため、励磁コイル111の絶縁劣化診断用のための測定回路を別途設ける必要はない。
図3は、コイル絶縁劣化診断部133の動作を説明するフローチャートである。この動作は、電磁流量計100の稼働中に常時行なうようにしてもよいし、所定間隔で行なったり、ユーザからの指示や起動等を契機に行なうようにしてもよい。
まず、電流検出抵抗Rdに生じる電圧降下に基づいてパルスが発生している期間の励磁電流を検出する(S101)。上述のように、この励磁電流はスイッチング動作により所定値になるように制御されるため、リプル成分を含有している。
コイル絶縁劣化診断部133は、このリプル成分の量を測定する(S102)。リプル成分の量は、例えば、パルス発生期間における励磁電流の最大値と最小値との差の絶対値、パルス高に対する比率等で表わすことができる。この際に、ノイズ等の影響を除去する処理を行なうことが望ましい。
ここで、励磁コイル111の絶縁劣化とリプル量との関係について説明する。一般に、励磁コイル111の絶縁が劣化すると励磁コイル111のインダクタンスLが小さくなる。励磁電流をiとすると、電源143の出力電圧はVEXで一定であるため、[数1]より、インダクタンスLが小さくなると励磁電流の変動量であるdiが大きくなる。このため、図4に示すように、励磁コイル111の絶縁が劣化するとリプル量が大きくなる。
そこで、コイル絶縁劣化診断部133は、測定したリプル量があらかじめ設定された基準値を超えているかどうかを判定し(S103)、超えている場合は、アラームを出力して、励磁コイル111の絶縁が劣化していることをユーザに報知する(S104)。この際に、誤診断を避けるため、リプル量が基準値を超えている状態が継続している場合に、アラームを出力するようにしてもよい。また、検出される励磁電流が小さい場合には、増幅器を用いて増幅した信号により判定を行なうようにしてもよい。
なお、励磁電流のリプル量が増加すると電極110で検出される電圧が含むリプル成分も増加する。このリプル成分、あるいは流量演算部132に入力される流量信号に含まれるリプル成分の量を評価することで励磁コイル111の絶縁劣化を判定するようにしてもよい。
ところで、励磁コイル111は、絶縁劣化がさらに進むと抵抗値が減少するという特性を有している。電源143の出力電圧がVEXで一定であるため、励磁コイル111の抵抗値が減少すると、励磁コイル111で消費される電力が小さくなる。
この特性を利用して、複数段階のアラームを出力させるようにしてもよい。この場合、励磁電流のリプル量に基づいて第1のアラームを発生させることで励磁コイル111の絶縁が劣化していることを報知し、抵抗値の減少に基づく消費電力低下を利用して第2のアラームを発生させることで励磁コイル111の絶縁がさらに劣化していることを報知することができる。
図5は、励磁コイル111の抵抗値低下を検出して第2のアラームを発生させる場合の励磁部140の構成を示すブロック図である。本図示すように、PWM制御部145が最小パルス幅制限部146を備えている。その他のブロックについては、図2に示した励磁部140と同様である。
上述のように、PWM制御部145は、電流検出部144により検出される電流値が所定の電流値となるようにスイッチング部142のスイッチング動作を制御する。具体的には、検出される電流が所定の電流値よりも小さければ、パルス幅が長くなるようにし、検出される電流が所定の電流値よりも大きければ、パルス幅が短くなるようにする。例えば、図6(a)に示すようなパルス幅でスイッチング動作を行なっている場合に、検出される電流値が上昇すると、図6(b)に示すようにパルス幅を短くして、電流値の上昇を抑える。
最小パルス幅制限部146は、検出される電流が所定の電流値よりも大きい場合であっても、あらかじめ設定された最小パルス幅よりもパルス幅が短くならないように制限する。
ここで、最小パルス幅は、励磁コイル111が絶縁劣化していない通常時には必要な電力を励磁コイル111に供給できる程度の幅で、絶縁劣化が進んで消費電力が小さくなった場合にそれよりも大きな電力を供給する程度の幅とする。
すなわち、通常時にはパルス幅は最小パルス幅よりも十分に長いため、最小パルス幅の影響は受けずに、励磁コイル111での消費電力と励磁部140から供給される電力とがほぼ等しくなる。一方、絶縁劣化が進んだ状態では、パルス幅は最小パルス幅となり、励磁コイル111での消費電力よりも励磁部140から供給される電力が大きくなる。
この結果、絶縁劣化が進んだ状態では、図6(c)に示すように、励磁電流は一定とならずに増加していき、所定の電流値よりも大きくなる。このため、コイル絶縁劣化診断部133は、励磁電流を測定し、所定の電流値よりも高くなったことを検知することで、絶縁劣化が進んだことを検出することができる。
そこで、コイル絶縁劣化診断部133は、例えば、図7に示すような複数段階のアラーム出力制御を行なうことができる。正常な状態から励磁コイル111の絶縁劣化が進むと、図7(a)に示すように、励磁コイル111のインダクタンスが減少し、リプル量が増加していく。そこで、リプル量がリプル量基準値を超えると第1アラームを発生させる。第1アラームを発生させるリプル量基準値は、測定結果に影響を与えない程度の絶縁劣化度に対応させておくようにする。
さらに、絶縁劣化が進むと、図7(b)に示すように、励磁コイル111の抵抗値が減少していき、パルス幅が減少していく。そして、最小パルス幅までパルス幅が短くなると、励磁電流が増加している。そこで、励磁電流が励磁電流基準値を超えると第2アラームを発生させる。第2アラームを発生させる励磁電流基準値は、これ以上絶縁劣化が進むと測定結果に影響を与えるおそれのある絶縁劣化度に対応させておくようにする。また、パルス幅が最小パルス幅に達したときに、中間のアラームを発生させるようにしてもよい。
以上説明したように、本実施形態の電磁流量計によれば、励磁電流に基づいて励磁コイル111の絶縁劣化を診断するため、流量測定の回路を利用してコイルの絶縁劣化を診断できるようになる。また、複数の診断方法を採用することで、複数段階のアラーム出力制御を行なうことができるようになる。
100…電磁流量計、110…電極、111…励磁コイル、120…差動増幅器、130…制御部、131…励磁制御部、132…流量演算部、133…コイル絶縁劣化診断部、140…励磁部、141…電流制御部、142…スイッチング部、143…電源、144…電流検出部、145…PWM制御部、146…最小パルス幅制限部、400…電磁流量計、411…励磁コイル、420…差動増幅器、430…制御部、431…励磁制御部、432…流量演算部、440…励磁部、441…電流制御部、442…スイッチング部、443…電源、450…絶縁抵抗診断部、500…測定管

Claims (4)

  1. 所定波形の励磁電流を励磁コイルに印加し、測定管内を流れる被測定流体の起電力に基づく流量信号を取得して前記被測定流体の流量を測定する電磁流量計であって、
    前記励磁電流を検出する検出抵抗と、
    前記励磁電流の検出結果に基づいたフィードバック制御によるスイッチング動作により前記所定波形の励磁電流を生成する励磁部と、
    検出された前記励磁電流が含有するリプル量に基づいて前記励磁コイルの絶縁劣化を診断する診断部と、を備え、
    前記励磁部は、前記スイッチング動作におけるオン時のパルス幅の最小値を設け、
    前記診断部は、前記診断に加え、検出された前記励磁電流の値に基づいて前記励磁コイルの絶縁劣化を診断することを特徴とすることを特徴とする電磁流量計。
  2. 前記診断部は、前記リプル量が基準値を超えた場合に前記励磁コイルの絶縁が劣化したと判定することを特徴とする請求項に記載の電磁流量計。
  3. 前記診断部は、検出された前記励磁電流の値が第2基準値を超えた場合に前記励磁コイルの絶縁がさらに劣化したと判定することを特徴とする請求項に記載の電磁流量計。
  4. フィードバック制御によるスイッチング動作により生成される所定波形の励磁電流を励磁コイルに印加し、測定管内を流れる被測定流体の起電力に基づく流量信号を取得して前記被測定流体の流量を測定する電磁流量計における前記励磁コイルの絶縁劣化診断方法であって、
    前記励磁電流を検出し、検出された前記励磁電流が含有するリプル量に基づいて前記励磁コイルの絶縁劣化を診断するとともに、
    前記スイッチング動作におけるオン時のパルス幅の最小値を設け、
    前記診断に加え、検出された前記励磁電流の値に基づいて前記励磁コイルの絶縁劣化を診断することを特徴とすることを特徴とする絶縁劣化診断方法。
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