JP6185270B2 - 真空断熱材 - Google Patents
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Description
本発明の真空断熱材は、図1に示す真空断熱材1のように、芯材層2と吸着剤層4とが積層された構造を有する積層体を包装袋6の内部に収納し、真空包装してなるものである。
芯材層2は、無機繊維マットからなる芯材により形成された層である。芯材は、真空断熱材の断熱性を担う部材である。無機繊維マットとは、その厚さや密度に拘わらず、無機繊維を積層させた集合物(ウエブ)を指す。無機繊維とは、無機物からなる繊維であり、例えばガラス繊維、セラミック繊維、金属繊維等を挙げることができる。スラグ繊維、玄武岩繊維(ロックウール、バサルト繊維)等を用いることもできる。これらの中では、断熱性、成形加工性に優れるガラス繊維が好ましい。
硬質芯材層は、80%圧縮強度が0.18MPa以上の硬質芯材により形成された層である。
まず、遠心法により無機繊維ウエブを形成する。ウエブ形成に用いる無機繊維としては、ガラス繊維、スラグ繊維、玄武岩繊維(ロックウール)が好ましい。無機繊維の繊維径は2〜7μmであることが好ましく、2〜4μmであることが更に好ましい。
まず、遠心法または紡糸法により無機繊維ウエブを形成する。用いる無機繊維の種類、繊維径、繊維長はケミカルボンド法と同様である。前記無機繊維ウエブは、一旦、過剰量の水に分散させた後、抄紙法によりシート状に成形して無機繊維シートとする。
まず、紡糸法により無機繊維を形成する。無機繊維の材料としては、Eガラス、ARガラス、Sガラス等のアルカリ金属酸化物含有量の低いガラス;玄武岩(バサルト);等を用いることができる。これらの材料を熔融させ、紡糸炉で繊維化して無機繊維とする。繊維径は4〜13μmであることが好ましく、4〜9μmであることが更に好ましい。4μm以上とすることにより、紡糸中に繊維が切れ難くなり、生産性が向上する。13μm以下とすることで、真空断熱材としての断熱性を向上させることができる。
まず、遠心法により無機繊維ウエブを形成する。無機繊維の材料としては、Aガラス(ソーダライムガラス)等を用いることができる。前記材料を熔融させ、遠心法により繊維径3〜7μm、密度16〜32kg/m3の無機繊維ウエブを形成する。この無機繊維ウエブに対し、更にニードルパンチを行うことにより無機繊維マットとする。ニードルパンチの方法、条件は、ニードルパンチ法−1に準じて行うことができる。
軟質芯材層は、80%圧縮強度が0.18MPa以下で、かつ、前記硬質芯材の80%圧縮強度より0.1MPa以上低い軟質芯材により形成された層である。
遠心法により無機繊維ウエブを形成し、これをそのまま無機繊維マットとして使用する。用いる無機繊維としては、ガラス繊維が好ましい。無機繊維の繊維径は2〜7μmであることが好ましく、2〜4μmであることが更に好ましい。
前記(a)で形成した無機繊維マットに対し、更にニードルパンチを行うことにより無機繊維マットとする。ニードルパンチは、針本数1000〜3000本/liner・mのニードル部を用い、無機繊維マットの流れ方向に対して、1回/cm程度、及び針深度10mm以上のニードルパンチを行うことが好ましい。無機繊維マットの密度は単位面積当たりのニードルパンチの回数により制御することが可能である。
例えば、通気性のある不織布製の袋体に、バインダーを付与していない無機繊維ウエブを詰めたものを軟質芯材として使用してもよい。
吸着剤層は、粒状の吸着剤により形成された層である。本発明の真空断熱材は、前記吸着剤がガス透過性シートからなる袋体に封入された吸着剤パックにより形成された吸着剤層を備えている。粒状の吸着剤を袋体に封入することで、吸着剤の装填等、取り扱いが容易となる。
積層体は、図1に示す真空断熱材1のように、芯材層2と、吸着剤層4とが積層された構造を有する。そして、軟質芯材層10が吸着剤層4の少なくとも一方の表面に対して当接するように配置され、吸着剤層4の少なくとも一方の表面が軟質芯材層10によって被覆された構造を有する。軟質芯材層10を吸着剤層4と当接させるように配置することで、圧縮力の分散・緩衝効果を得ることができる。前記要件を満たす限り、積層体の積層構造は特に限定されないが、例えば以下のような積層構造とすることができる。
前記積層体は、図3に示す真空断熱材1Bのように、硬質芯材層8、吸着剤層4および軟質芯材層10が順次積層された構造を有するものであることが好ましい。このような構造は、軟質芯材層が積層体の最外層に位置するため、真空断熱材を折り曲げ加工した際に、硬質芯材と包装袋が擦れることがなく、包装袋にピンホールが発生する不具合を防止することができる。
前記積層体は、図1に示す真空断熱材1、図2に示す真空断熱材1Aのように、軟質芯材層10として、第1の軟質芯材層10aと、第2の軟質芯材層10bとを備え、第1の軟質芯材層10aが吸着剤層4の第1の表面に対して当接するように配置され、第2の軟質芯材層10bが吸着剤層4の第2の表面に対して当接するように配置され、吸着剤層4の第1の表面および第2の表面がいずれも軟質芯材層10によって被覆された構造を有するものであることが好ましい。
前記積層体は、前記硬質芯材層の合計厚さと、前記軟質芯材層の合計厚さとの比が1:10〜5:1の範囲内のものであることが好ましく、2:15〜3:1の範囲内のものであることが更に好ましい。軟質芯材層の合計厚さに対し硬質芯材層の合計厚さを0.1倍以上とすることにより、嵩高い軟質芯材の比率を一定限度に留め、製造時における芯材のハンドリング性を向上させることができる。逆に、軟質芯材層の合計厚さに対し硬質芯材層の合計厚さを5倍以下とすることにより、軟質芯材が有する圧縮力の分散・緩衝効果を十分に発揮させ、本発明の主たる効果である表面平滑性の向上という効果を得ることができる。なお、「合計厚さ」とは、硬質芯材層(または軟質芯材層)が複数の層で構成されている場合に、全ての硬質芯材層(または軟質芯材層)の厚さを合計した値を意味する。
硬質芯材層の総目付は、1000〜7000g/m2であることが好ましく、1500〜5000g/m2であることが更に好ましく、2500〜4500g/m2であることが特に好ましい。1000g/m2以上とすることにより、芯材として必要な剛性が付与され、断熱箱への取り付け時のハンドリング性に優れる。一方、7000g/m2以下とすることにより、真空包装の際の芯材の密度上昇および断熱性能の経時的な低下を抑制することができる。なお、「総目付」とは、硬質芯材層(または軟質芯材層)が複数の層で構成されている場合に、全ての硬質芯材層(または軟質芯材層)の質量を合計した値を積層体の面積で除した値を意味する。
前記吸着剤層が矩形状に形成されている場合には、前記軟質芯材層が、前記吸着剤層の少なくとも一方の表面全体を被覆するとともに、前記吸着剤層の外縁から少なくとも前記吸着剤層の短辺の長さ分だけ延出されていることが好ましい。例えば、吸着剤層が長辺10cm、短辺7cmの矩形状に形成されている場合には、吸着剤層の外縁(四辺)から軟質芯材層が少なくとも7cm幅ずつ延出されていることが好ましい。このような構造とすることにより、軟質芯材層によって吸着剤層が確実に被覆され、軟質芯材が有する圧縮力の分散・緩衝効果が十分に発揮されるため、本発明の主たる効果である表面平滑性の向上という効果を発揮させることができる。
包装袋は、ガスバリヤー性の包装袋である。例えば、金属箔とプラスチックフィルムとが積層された構造の多層フィルム;金属蒸着フィルムとプラスチックフィルムとが積層された構造の多層フィルム;等を用いることができる。包装袋の厚さは、40〜200μmであることが好ましく、80〜150μmであることが更に好ましい。
本発明の真空断熱材は、積層体を、ガスバリヤー性の包装袋の内部に収納し、真空包装してなるものである。真空包装の方法としては、例えば積層体を包装袋の内部に収納した後、真空引きし、包装袋内部の真空度を0.1〜10Paとし、包装袋の開口部をヒートシールする方法;等を挙げることができる。
図4に示す真空断熱材1と同様の構造を有する真空断熱材を製造した。硬質芯材層8は、ケミカルボンド法により作製した無機繊維マット(硬質芯材)により形成した。前記硬質芯材は、密度75kg/m3、厚さ30mmのグラスウールマットに、レゾール型フェノール樹脂バインダーを、総重量の4質量%になるように塗布し、熱硬化させることにより作製した。前記硬質芯材の目付は2250g/m2、80%圧縮強度は0.25MPaであった。
図2に示す真空断熱材1Aと同様の構造を有する真空断熱材を製造した。下記の条件を除いては、実施例1と同様にして真空断熱材を製造した。
図1に示す真空断熱材1と同様の構造を有する真空断熱材を製造した。下記の条件を除いては、実施例1と同様にして真空断熱材を製造した。
図4に示す真空断熱材1Cと同様の構造を有する真空断熱材を製造した。下記の条件を除いては、実施例1と同様にして真空断熱材を製造した。
図4に示す真空断熱材1Cと同様の構造を有する真空断熱材を製造した。下記の条件を除いては、実施例1と同様にして真空断熱材を製造した。
図5に示す真空断熱材100Aと同様の構造を有する真空断熱材を製造した。軟質芯材を使用せず、吸着剤パックを2枚の硬質芯材で挟み込む構造としたことを除いては、実施例1と同様にして真空断熱材を製造した。得られた真空断熱材は550mm角、平均厚さ22mm、密度225kg/m3のものであった。
図5に示す真空断熱材100Aと同様の構造を有する真空断熱材を製造した。軟質芯材を使用せず、吸着剤パックを2枚の硬質芯材の間に挟み込む構造としたことを除いては、実施例3と同様にして真空断熱材を製造した。得られた真空断熱材は、550mm角、平均厚さ14mm、密度200kg/m3のものであった。
図6に示す真空断熱材100Bと同様の構造を有する真空断熱材を製造した。吸着剤パックを使用しないことを除いては、比較例2と同様にして真空断熱材を製造した。得られた真空断熱材は、550mm角、平均厚さ12mm、密度200kg/m3のものであった。
実施例および比較例の真空断熱材については、表面平滑性および熱伝導率により、その性能を評価した。以下、表面平滑性および熱伝導率の評価方法を示す。
粒状吸着剤の形状が真空断熱材の表面形状に反映されているか否かを評価した。真空断熱材の最大厚さと最小厚さとの差をダイヤルゲージにより計測した。最大厚さと最小厚さとの厚み差が3.0mmを超える場合を「不良(×)」、3.0mm以下の場合を「良好(○)」、2.0mm以下の場合「特に良好(◎)」と評価した。
熱伝導率により、真空断熱材の断熱性能を評価した。また、断熱性能が経時的に劣化しないか評価した。まず、製造直後の真空断熱材を、平均温度20℃、上面30℃、下面10℃の熱伝導率を測定した(表中、「熱伝導率A」と記す)。更に、40℃で2週間経時させた後、熱伝導率を再度測定した(表中、「熱伝導率B」と記す)。なお、熱伝導率は、JIS−A1412−2に準拠し、熱流計法により測定した。測定機器としては、熱伝導率測定装置(商品名「HC−074−600」、英弘精機社製)を用いた。熱伝導率Bと熱伝導率Aの差が0.0015W/mKを超える場合を「不良(×)」、0.0015W/mK以下の場合を「良好(○)」、0.0010W/mK以下の場合「特に良好(◎)」と評価した。
表1に真空断熱材の構成を示し、表2に評価結果を示した。表2に示すように、実施例1〜5の真空断熱材は、厚み差が3mm以下に収まっており、表面平滑性に優れていた。また、熱伝導率Bと熱伝導率Aの差が0.0015W/mK以内であることから、真空断熱材の経時劣化は殆どなく、吸着剤が有効に機能しているものと認められた。中でも、実施例3の真空断熱材は吸着剤を使用していない比較例3の真空断熱材と同等のレベルの厚み差に収まっており、表面平滑性が特に優れていた。
Claims (10)
- 無機繊維マットからなる芯材により形成された芯材層と、粒状の吸着剤により形成された吸着剤層とが積層された構造を有する積層体を、ガスバリヤー性の包装袋の内部に収納し、真空包装してなる真空断熱材であって、
前記積層体が、80%圧縮強度が0.18MPa以上の硬質芯材により形成された、少なくとも1層の硬質芯材層と、80%圧縮強度が0.18MPa以下で、かつ、前記硬質芯材の80%圧縮強度より0.1MPa以上低い軟質芯材により形成された、少なくとも1層の軟質芯材層と、前記吸着剤がガス透過性シートからなる袋体に封入された吸着剤パックにより形成された吸着剤層とを備え、前記軟質芯材層が前記吸着剤層の少なくとも一方の表面に対して当接するように配置され、前記吸着剤層の少なくとも一方の表面が前記軟質芯材層によって被覆された構造を有することを特徴とする真空断熱材。 - 前記積層体は、前記硬質芯材層、前記吸着剤層および前記軟質芯材層が順次積層された構造を有するものである請求項1に記載の真空断熱材。
- 前記積層体は、前記硬質芯材層として、第1の硬質芯材層と、第2の硬質芯材層とを備え、前記第1の硬質芯材層、前記吸着剤層、前記軟質芯材層および前記第2の硬質芯材層が順次積層された構造を有するものである請求項2に記載の真空断熱材。
- 前記積層体は、前記軟質芯材層として、第1の軟質芯材層と、第2の軟質芯材層とを備え、前記第1の軟質芯材層が前記吸着剤層の第1の表面に対して当接するように配置され、前記第2の軟質芯材層が前記吸着剤層の第2の表面に対して当接するように配置され、前記吸着剤層の前記第1の表面および前記第2の表面がいずれも前記軟質芯材層によって被覆された構造を有するものである請求項1に記載の真空断熱材。
- 前記積層体は、前記硬質芯材層、前記第1の軟質芯材層、前記吸着剤層および前記第2の軟質芯材層が順次積層された構造を有するものである請求項4に記載の真空断熱材。
- 前記積層体は、前記硬質芯材層として、第1の硬質芯材層と、第2の硬質芯材層とを備え、前記第1の硬質芯材層、前記第1の軟質芯材層、前記吸着剤層、前記第2の軟質芯材層および前記第2の硬質芯材層が順次積層された構造を有するものである請求項5に記載の真空断熱材。
- 前記積層体は、前記硬質芯材層の合計厚さと、前記軟質芯材層の合計厚さとの比が1:10〜5:1の範囲内のものである請求項1〜6の何れか1項に記載の真空断熱材。
- 前記硬質芯材層の合計厚さが5〜80mmであり、前記軟質芯材層の合計厚さが100mm以下である請求項7に記載の真空断熱材。
- 前記硬質芯材層の総目付が1000〜7000g/m2であり、前記軟質芯材層の総目付が300〜2500g/m2である請求項7または8に記載の真空断熱材。
- 前記吸着剤層が矩形状に形成され、
前記軟質芯材層が、前記吸着剤層の少なくとも一方の表面全体を被覆するとともに、前記吸着剤層の外縁から少なくとも前記吸着剤層の短辺の長さ分だけ延出されている請求項1〜9の何れか1項に記載の真空断熱材。
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