JP6355790B1 - 耐火断熱シート - Google Patents

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Abstract

【課題】 薄型で軽量であり、可撓性を有し、優れた耐火性能を有する耐火断熱シートを提供できる耐火断熱シートを提供する。【解決手段】 耐火繊維製織布で形成された袋体内に、積層タイプ断熱体が収納されている耐火断熱シートであって、前記積層タイプ断熱体が、ヒドロキシル基を有するシリカ系無機繊維の不織布で構成される熱エネルギー消費層を少なくとも1層;基材表面に金属層を有する金属層付き基材又は金属箔で構成される反射材を少なく1層;及び面方向に黒鉛結晶が配向されているグラファイト層を少なくとも1層が積層された積層体である。【選択図】 図1

Description

本発明は、火災等の炎から通信ケーブル、発送電ケーブル等を保護するために、これらをコンパクトに被包して、ケーブル(特にケーブル被覆材)が損傷するような高温に達する時間を遅延させることができる耐火断熱シートに関する。
近年の高度情報化の進展に伴い、光ファイバーや通信ケーブル、発送電ケーブル等を、火災等の突発的災害から保護する対策が求められている。
特に、ケーブルの被覆材が燃焼すると、ケーブル間の短絡が起こり、通信制御や電力供給が不可能となるため、これらの通信網への延焼を防ぐ措置をとることが求められている。
さらに、原子力発電所等の発電所においては、突発的な火災等から通信ケーブルや発送電ケーブル等を保護することは非常に重要である。
近年、不燃性、難燃性の耐火断熱シートで、ケーブル束を被包するといった方法や、散水や消化ガス充満などによる延焼防止対策が採られるようになっている。耐火断熱シートを用いる防火対策は、複雑に配線されるケーブル等の防火対策として、スペースに制限がある場所や折れ曲がりなどのコーナー部がある場合にも対処できるという利点がある。
上記のような防火対策に用いられる耐火断熱シートしては、ケーブルラックの周辺が偏狭なため、断熱性に優れるだけでなく、ケーブルをコンパクトに被包できるように、軽量で且つ可撓性を有し、取扱い性に優れることも必要である。一般に用いられている耐火断熱シートは、セラミックファイバーをニードルパンチ等によりシート状とした耐火フェルトや、厚み10〜20mmのソフトタイプの耐火セラミックファイバーブランケット、さらに必要に応じて、これらを複数枚重ねて、耐熱性の織布で被包されたものが挙げられる。
例えば、特開2002−95119号公報(特許文献1)には、薄くて、ケーブル束への取付作業が容易な、ケーブル保護用耐火断熱シートとして、セラミックファイバー、アルミナファイバー等の繊維質耐火素材の圧縮成形物からなる耐火シートが提案されている。かかる耐火シートは、耐火性布製袋体内に、前記圧縮成形物を収容することで、繊維質耐火素材が粉塵化して外部に漏出することを防止している。
セラミックファイバーからなる耐火断熱シートとは別に、火災等の温度上昇に伴い、不燃性ガスを発生して膨張するとともに、それ自体が炭化することで気孔を有する炭化断熱層を形成する膨張タイプの耐火シートも提案されている(例えば、特開2000−192570号公報(特許文献2))。
一方、防火障壁のような構造体としては、例えば、特表2006−527152号公報(特許文献3)に、少なくとも1層のアルカリケイ酸塩樹脂組成物層と、膨張材料層(例えば膨張グラフィックシート)、反射材(例えばアルミニウム、ニッケル、クロムなどの高反射性金属の箔又は板)、断熱材(例えばアルミナ、ケイ酸化合物などの各種セラミック材)、閉込めガス領域を有する波形層などを種々組み合わせた耐火積層体(パネル)が提案されている。
特開2002−95119号公報 特開2000−192570号公報 特表2006−527152号公報
ところで、通信ケーブル等のように、損傷による影響が大きい重要な機器を備えた施設、例えば原子力発電所では火災によるケーブル損傷が重大な事故発生につながる可能性があるため、1000℃の炎に1時間さらされても、燃焼せず、ケーブル等をケーブルの被覆材の耐熱温度以下、例えば200℃以下に保持するといった厳しい耐火性能が求められる。
一般的な断熱材の断熱性能については、厚みがパラメータとなることから、セラミックファイバー製耐火シートやガラス繊維を主体とする耐火シート単独の場合で、上記耐火性能を満足するためには、厚みを50mm以上とする必要がある。シートの厚みに比例して可撓性が低下することから、コーナー部等の折り曲げ仕様の箇所では、厚み50mm以上の耐火断熱シートの適用は困難である。
また、ケーブルが多段階に配線され、スプリンクラーが設置されているような複雑な配線網に対しては、スプリンクラーの散水効率の観点から、耐火断熱シートの厚みは、50mm以下のスペースに適用できる程度にまで薄くする必要がある。
このように、ケーブル束を被包する耐火断熱シートについては、上記耐火性能を充足しつつ、可撓性を有し、軽量、薄型であることが求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、労働安全衛生法の規制対象でない安全な材料で、薄型で軽量であり、可撓性を有し、ケーブル配線、通信網などのスペース制限の厳しい部位でも、被包により、所望の耐火性能を付与できる耐火断熱シートを提供することにある。
本発明の耐火断熱シートは、耐火繊維製織布で形成された袋体内に、積層タイプ断熱体が収納されている耐火断熱シートであって、前記積層タイプ断熱体が、ヒドロキシル基を有するシリカ系無機繊維の不織布で構成される熱エネルギー消費層を少なくとも1層;
基材表面に金属層を有する金属層付き基材又は金属箔で構成される反射材を少なく1層;及び面方向に黒鉛結晶が配向されているグラファイト層を少なくとも1層;が積層された積層体である。
前記積層タイプ断熱体において、前記熱エネルギー消費層の片面に前記グラファイト層が積層された積層ユニットを含むことが好ましい。
また、前記熱エネルギー消費層の両面に、前記反射材が積層された積層ユニットを含むことが好ましい。
また、反射材,グラファイト層,熱エネルギー消費層、反射材の順で積層された積層ユニットを含むことが好ましい。
前記積層タイプ断熱体は、空孔率70%以上のシリカエアロゲルがシート状繊維塊に担持されているエアロゲル担持シートを、さらに含んでもよい。
前記エアロゲル担持シートを含む場合、前記グラファイト層と前記エアロゲル担持シートとの間には、少なくとも1層の前記エネルギー消費層が配設されていることが好ましい。
前記積層タイプ断熱体は、少なくとも一方の最外面が前記反射材であることが好ましい。
また、前記グラファイト層は、膨張黒鉛シートであることが好ましい。
また、前記金属層付き基材は、ガラス繊維、シリカ繊維、セラミック繊維、又は鉱物繊維を編織してなる布帛の表面に金属が蒸着されている金属蒸着布帛であることが好ましい。
本発明の耐火断熱シートは、局所的に加熱された場合であっても、面方向全体に熱伝導され、効率的に熱エネルギーを減衰させることができる。したがって、本発明の耐火断熱シートは、ケーブル束の被包、コーナー部などの取り付けに便利な、軽量、薄型で可撓性を有し、且つ優れた断熱性を有する。
本発明一実施形態の耐火断熱シートの構成を示す模式断面図である。 分割タイプの耐火断熱シートの使用例を示す模式図である。 実施例で作成した耐火断熱シートについて、熱エネルギー消費層の生成水確認実験の結果を示す温度チャートである。 実施例で行った燃焼評価試験を説明するための図である。 耐火断熱シートNo.1及びNo.2の背面温度測定結果を示すグラフである。 耐火断熱シートNo.2の燃焼試験後の各層の状態を撮像した写真である。 耐火遮熱シートNo.4の燃焼試験後の各層の状態を撮像した写真である。
図1は、本発明の代表的実施形態の耐火断熱シート10の構成を示す模式断面図である。図1に示す耐火断熱シート10は、耐火繊維製織布で形成された袋体1内に、積層タイプ断熱体2を収納したものである。
以下、袋体及び積層タイプ断熱体について詳述する。
<積層タイプ断熱体>
〔積層体の構成要素〕
はじめに、本発明の耐火断熱シートの本体となる積層タイプ断熱体を構成する各層について説明する。
(1)熱エネルギー消費層(F)
熱エネルギー消費層とは、それ自体、熱エネルギーを消費することで、断熱効果を発揮することができるもので、具体的には、ヒドロキシル基を有するシリカ系無機繊維からなる不織布で構成される。
本発明で使用するヒドロキシル基を有するシリカ系無機繊維は、SiOを81重量%以上有し、SiO−のネットワークの一部にSi(OH)が存在しているもので、加熱により下記(1)式の脱水縮合反応がおこり、H2Oを生成する。
上記シリカ系無機繊維の組成は、特に限定しないが、好ましくは、以下の組成を有する。
SiO:81〜97重量%;
Al:3〜19重量%;並びに
ZrO、TiO、NaO、LiO、KO、CaO、MgO、SrO、BaO、Y、La、Fe、およびこれらの混合物から選択される成分(「その他の成分」と称する)を2重量%以下。
具体的には、下記組成を有する出発ガラス物質を溶融し、
55〜80重量%のSiO
5〜19重量%のAl
15〜26重量%のNaO、
0〜12重量%のZrO
0〜12重量%のTiO、および
LiO、KO、CaO、MgO、SrO、BaO、Y、La、Fe、およびこれらの混合物:1.5重量%以下;
当該溶融物からフィラメントまたはステープルファイバーを形成し;
得られたフィラメントまたはステープルファイバーを酸抽出し;
抽出したフィラメントまたはステープルファイバーから、残留する酸および/または塩残留物を除去後、乾燥することにより製造することができる。
酸処理において、アルカリ金属イオンは、酸処理によりプロトンに置換されるが、Si−Oネットワーク中にイオン(Al3+、TiO2+またはTi4+、およびZrO2+またはZr4+)が残存することになる。二酸化ケイ素骨格中のプロトンによって置換された金属イオンは、原子価に依存して、ある数のヒドロキシル基が残ると考えられる。これらのヒドロキシル基が、600〜800℃程度で、上記(1)式のように縮合反応して、新たなSi−O−Si結合を形成するとともに、HOを放出する。
脱水縮合によって生じた水は、高温雰囲気下で気化する。このとき、気化熱として、シリカ系無機繊維製不織布に与えられた熱エネルギーを消費することから、不織布の温度上昇を抑制できる。
尚、不織布を構成するシリカ系無機繊維は、組成内にSi(OH)が含まれるシリカ系無機繊維であれば特に限定しないが、例えば、AlO1.5・18〔(SiO0.6(SiO1.5OH)0.4〕で表される組成が挙げられる。
このような組成を有する無機繊維は、溶融紡糸により、径6〜13μm、好ましくは7〜10μm程度で、長さ3〜30mmのステープルファイバー、または径6〜13μm、好ましくは7〜10μm程度で、長さ30〜150mm程度のフィラメントとして製造することができる。フィラメント、ステープルファイバーのいずれにおいても、溶融後、連続紡糸により製造されるので、ショットを実質的に含んでいない。このため、労働安全衛生法施行令の安全基準をクリアし、特定化学物質障害予防規則による規制の対象とはならない。
このようなシリカ系無機繊維としては、市販のものを用いることができ、例えば、belChem Fiber Materials GmbH社のBELCOTEX(登録商標)などを用いることができる。
BELCOTEX(登録商標)繊維は、一般にアルミナによって変性されたケイ酸から作成され、標準タイプのステープル繊維プレヤーンでは、約550テックスの平均繊度を有する。BELCOTEX(登録商標)繊維は、アモルファスであり、一般的には、約94.5質量パーセントのシリカ、約4.5質量パーセントのアルミナ、0.5質量パーセント未満の酸化物、および0.5質量パーセント未満の他の成分を含有する。平均径約9μmで径のばらつきは少なく、融点1500℃〜1550℃で、1100℃までの耐熱性がある。
このようなシリカ系無機繊維を用いた不織布は、湿式法又は乾式法により形成したウエブを、水流交絡法、ニードルパンチ法等の従来公知の方法により、繊維を交絡させて製造することができる。
以上のようなシリカ系無機繊維製不織布で構成される熱エネルギー消費層の厚みは、特に限定しないが、好ましくは3〜10mm、より好ましくは5〜7mmである。薄すぎると、繊維量との関係で、十分な熱エネルギー減衰量が得られず、ひいては十分な断熱性能が得られにくい。一方、分厚くなりすぎると、多層構造とした場合に、全体の厚みとの関係で、積層体に組み込むことができる数が限定されてしまい、ひいては、本発明の効果が得られにくくなるからである。
尚、シリカ系無機繊維製不織布は、単独で熱エネルギー消費層(F)として用いられてもよいし、両面に反射材(R)が貼付された「R/F/R」の積層ユニットとして、用いられてもよい。
かかる積層ユニットとすることで、脱水縮合により生成した水が、他の層に拡散することなく、気化することになるので、シリカ系無機繊維製不織布内で熱エネルギーが有効に消費されることができる。
(2)反射材(R)
反射材とは、熱エネルギーを反射する役割を有する層であり、金属箔、又は基材表面に金属を蒸着若しくは金属箔をラミネートした金属層付き基材が用いられる。
金属箔または金属蒸着に用いられる金属としては、アルミニウム、ステンレス、チタン、クロム、ニッケル、金などの高反射性金属が挙げられ、好ましくはアルミニウムである。
このような高反射性金属の金属箔、好ましくはアルミニウム箔であり、通常5〜25μm、好ましくは10〜18μmである。分厚くなりすぎると、剛性が大きくなりすぎるため、最終的に形成される耐火断熱シートの可撓性の低下につながり、ひいては、耐火断熱シートの取扱い性低下の原因となる。
上記金属層付き基材に用いられる基材としては、プラスチックフィルム又は布帛を用いる。
前記プラスチックフィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルムなどを用いることができ、好ましくは、耐熱温度が高いポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムである。使用するプラスチックフィルムの厚みは特に限定しないが、通常8μm〜500μm、好ましくは8〜300μm、より好ましくは10〜100μmである。薄すぎると基材としての役目が不十分となり、分厚すぎると積層タイプ断熱材の厚み増大の原因となって、耐火断熱シートの薄型化と所望の断熱性能の確保が困難となる。
前記布帛としては、薄型の要請の観点から、織布又は編布が好ましく用いられる。布帛を構成する糸状体(繊維)としては、レーヨン繊維等の天然繊維若しくは半合成繊維;アラミド繊維若しくはポリエステル繊維等の合成繊維;金属繊維;セラミック繊維;鉱物繊維;ガラス繊維;炭素繊維などを用いることができるが、これらのうち、耐熱性の観点からガラス繊維、シリカ繊維、セラミック繊維、鉱物繊維が好ましく、より好ましくは耐熱性、コストの点から、ガラス繊維が用いられる。ガラス繊維の耐熱性は、組成にもよるが、汎用タイプのEガラス(SiO2で:50〜60%、Al23:10〜15%)で、通常600〜800℃であり、金属層として好ましく用いられるアルミニウムの融点(約660℃)よりも高い。
したがって、反射材として金属層付き基材を用いる場合、厚み50μm〜2.5mmが好ましく、より好ましくは0.1mm〜1mmのガラス繊維製織布を基材として、この一面又は両面に金属を蒸着又は金属箔を貼付した金属層付き基材が挙げられる。
また、布帛又はプラスチックフィルム表面に直接金属を蒸着又は金属箔を貼付した金属層付き基材だけでなく、ガラス繊維製織布等の布帛の一面に、プラスチックフィルムの両面に金属が蒸着されている金属層付き基材を貼着した、混合タイプ金属層付き基材であってもよい。混合タイプ金属層付き基材としては、市販のものを用いてもよい。例えば、GENTEX Corp.のDualMirror(登録商標)などが挙げられる。
反射材として金属箔を用いる場合、耐火断熱シートの厚みにほとんど影響を与えることなく、反射材としての役目を果たすことができる。
一方、金属層付き基材の場合、基材の種類にもよるが、金属箔に比べて分厚くなる傾向にあり、また重量も増大することになる。しかしながら、基材としてガラス繊維製布帛を用いる場合のように、金属層の融点よりも高い融点を有する基材を用いることで、金属箔が焼失してしまうような条件であっても、基材により、金属層が保持され、積層タイプ断熱体の形状も保持できるという利点がある。また、ガラス繊維製布帛に基づく断熱効果も得られる。したがって、厚み及び重量の許容範囲内で、金属箔と金属層付き基材(又は混合タイプ金属層付き基材)を貼付したユニットとして使用したり、積層体中に、金属箔と金属層付き基材(又は混合タイプ金属層付き基材)の双方を、反射材として含むように使用することが好ましい。
金属箔、金属層付き基材は、それぞれ単独で、本発明の積層タイプ断熱体中に含まれていてもよいし、適宜組み合わせて含まれていてもよい。例えば、2枚以上の金属箔を重ねた状態で、反射材を構成してもよいし、金属箔と金属層付き基材とを重ね合わせて、反射材を構成してもよい。
反射材が、複数の金属箔、金属層付き基材、又はこれらの組合せの場合、使用する金属箔及び/又は金属層付き基材を構成する金属の種類は、同じであってもよいし、異なる種類の組み合わせであってもよい。また、複数の金属層付き基材を用いる場合、金属層付き基材の基材としては、すべての基材がプラスチックフィルムの金属層付き基材、すべての基材が布帛の金属層付き基材、プラスチックフィルムを基材とする金属層付き基材とガラス繊維製織布等の布帛を基材とする金属層付き基材との組み合わせであってもよい。
以上のような反射材は、輻射熱の反射材としての役割を有する。したがって、反射材で、熱エネルギー消費層(F)を挟持することで、熱エネルギー消費層、すなわちシリカ系無機繊維に基づいて、有効に熱エネルギーを減衰させることができる。すなわち、シリカ系無機繊維製不織布の両面に反射材を積層した積層ユニットでは、熱エネルギー消費層が閉鎖空間となるため、熱エネルギー消費層を構成するシリカ系無機繊維製不織布内で温度上昇し、そこで上記(1)式の脱水縮合反応を開始しやすくする。そして、脱水縮合により生成した水分は、反射材により拡散が抑制されるために、さらなる温度上昇により気化することになる。こうして、熱源から伝達された熱エネルギーが消費され、結果として、シリカ繊維製不織布の厚みに応じて得られる断熱効果だけでなく、気化熱による熱エネルギー減衰効果も得られることになり、効率的な温度低減が達成できる。
(3)グラファイト層(G)
積層タイプ断熱体の構成要素となるグラファイト層としては、面方向に黒鉛結晶が配向されたもので、黒鉛含有率が80〜100重量%、好ましくは90〜100重量%のグラファイトシートが用いられる。
このようなグラファイトシートとしては、膨張黒鉛を、圧延して成形することで、シート状とすることができる膨張黒鉛シート、あるいは芳香族ポリイミドシートのような高分子フィルムを、還元雰囲気・加圧下で、2500℃超にまで加熱処理してグラファイト化することによっても得ることができる高分子型グラファイトシートを用いることができる。耐熱性の観点から、膨張黒鉛シートが好ましく用いられる。
膨張黒鉛は、例えば、天然鱗状グラファイト、熱分解グラファイト、キッシュグラファイトなどのグラファイト粉末を、硫酸、硝酸等の無機酸と、濃硝酸、過塩素酸、重クロム酸塩、過酸化水素などの強酸化剤とで処理してグラファイト層間化合物を生成させ、水洗、乾燥し、急激に1000℃以上に加熱することで、層間化合物をガス化し、グラファイト層が押し上げられて体積が数百倍程度まで膨張することにより製造することができる。
膨張黒鉛シートは、製造方法にもよるが、通常、厚み10μm〜3mm程度、好ましくは50μm〜1mmである。また、耐熱温度は、短時間では1000℃超であり、長時間では酸化消耗するため500℃程度である。この膨張黒鉛シートは、グラファイト層間が押し広げられていて、可撓性に優れ、耐熱性に優れる。
また、高分子型グラファイトシートでは、厚みが20〜100μm、好ましくは25〜75μmであり、耐熱温度は出発原料、製造方法等にもよるが、通常、400〜800℃程度である。
このようなグラファイトシートは、熱伝導の異方性に優れていることから、例えば、耐火断熱シートの一部に炎があたった場合、シート面全体に熱伝導することで、局所的温度上昇を抑制することができ、さらに積層タイプ断熱体を構成する層の損傷を緩和できる。
さらに、グラファイトシートとして膨張黒鉛シートを用いる場合、層間の空間に基づく断熱効果も得られる。
グラファイトシートの熱伝導の異方性効果による温度上昇抑制効果、層損傷緩和効果を効果的に得るためには、その両面に熱輻射機能を有する反射材を積層した「反射材/グラファイト層/反射材」の積層ユニットで用いることが好ましい。
また、膨張黒鉛シートを用いる場合、シート枚数に比例して断熱効果を得ることができるので、断熱シートの仕様態様に応じて、複数枚積層することが好ましい。複数枚積層する場合、グラファイトシート同士を積層してもよいし、金属層やシリカ系無機繊維製不織布などを介在させて、離間した状態で積層配置してもよい。
また、グラファイト層は、熱エネルギー消費層(シリカ系無機繊維製不織布)と組み合わせた積層ユニット、すなわち「グラファイト層/熱エネルギー消費層」として、好ましくは「反射材/グラファイト層/熱エネルギー消費層/反射材」として用いる。「反射材/グラファイト層/熱エネルギー消費層/反射材」の積層ユニットを、グラファイト層が熱源に近い側となるように用いることで、局所的に加熱される場合であっても、グラファイト層により面全体にわたって熱伝導され、熱エネルギー消費層を構成するシリカ系無機繊維製不織布の全体に万遍なく熱エネルギーを伝導することができる。これによりシリカ系無機繊維製不織布に万遍なく、熱エネルギーが加えられることになり、不織布全体にわたって、脱水縮合反応が起こるようにできる。ひいては、熱エネルギーを効率的に消費でき、ひいては優れた温度低減効果を得ることができる。
(4)エアロゲル担持シート
エアロゲル担持シートとは、シート状繊維塊を担持体として、空孔率70%以上、好ましくは80%以上のシリカエアロゲルを含浸担持させたものである。
シリカエアロゲルの担持体となるシート状繊維塊としては、ガラス繊維;シリカ繊維、アルミナ繊維、チタニア繊維、炭化ケイ素繊維等のセラミックファイバー;金属繊維;ロックウール、バサルト繊維等の人造鉱物繊維;炭素繊維、ウイスカーなどを、抄造法にて紙状又はボード状にするか、適宜バインダーを添加してシート状に成形した不織布、マット、フェルトなどのシート状成形物を用いることができる。これらのうち、シリカエアロゲルの断熱効果を有効に得るためには、シリカエアロゲルの耐熱温度(750℃程度)でも担持体としての形状を保持できることが望まれる。かかる点、コストの点から、好ましくは人造鉱物繊維、特にロックウールのシート状物が好ましく用いられる。
担持されるシリカエアロゲルは、ナノサイズの空孔が、気孔率70体積%以上、好ましくは80体積%以上、より好ましくは90体積%以上で有する、粒径50nm〜5mm、気孔率90%以上が粒径1μm〜5mmの範囲内、より好ましくは1μm〜500μm、さらに好ましくは5μm〜400μmの範囲内にあるゲル粒子ある。このようなエアロゲルは、かさ密度0.1〜0.4g/cm3程度と非常に軽い。
シリカエアロゲルは、単にシート状繊維塊中に含浸され分散しているだけでもよいし、バインダー等を用いてシート状繊維塊の構成繊維上に担持されるようにしてもよい。
担持体であるシート状繊維塊とシリカエアロゲルとの含有比率(重量比)は、9:1〜5:5であることが好ましく、より好ましくは、8:2〜6:4である。
このようなエアロゲル担持シートとしては、例えば、ロックウールのシート状物を担持体として用いる場合、脱ショットを行ったロックウールとエアロゲル(シリカエアロゲル)の混合物を主原料として、各種バインダーを添加して、シート状に成形することにより、製造することができる。
かかるエアロゲル担持シートは、通常、熱伝導率が0.028W/mK以下で、好ましくは0.013W/mK〜0.025W/mK程度である。
エアロゲル担持シートの厚みは、通常2〜20mm、好ましくは3〜15mm、より好ましくは3〜5mmである。軽量、薄型、可撓性の観点からは薄い程好ましいが、担持体が薄くなりすぎると、担持されるエアロゲル量も少なくなり、ひいては十分な断熱性が得られにくくなる。
エアロゲル担持シートは、担持体に基づく空孔に加えて、エアロゲルに基づく空孔の断熱効果が得られることから、エアロゲルが担持されていない同厚みの不織布やマットよりも断熱性に優れている。しかしながら、エアロゲル担持シートは、上記のように、他の層と比べて分厚いため、断熱体の薄型化の観点からは、積層体に含まれる層数は、断熱体の仕様、使用態様に応じて、適宜選択される。
また、エアロゲル担持シートは、空孔内の対流とその低い熱伝導率により、優れた断熱性を示す。しかしながら、シリカエアロゲル自体の耐熱性は、750℃程度であり、熱エネルギー消費機能が小さいことから、積層タイプ断熱体を構成する層の加熱による損傷を防止する効果は小さいので、熱エネルギー消費層、グラファイト層よりも熱源から離れた位置に積層配置することが好ましい。
(5)その他の層
耐火断熱シートを構成する層としては、上記の他、所望により、また厚みの許容範囲内で、耐熱温度が高いガラス繊維製、シリカ繊維やアルミナ系繊維等のセラミックファイバー製の織布、不織布等の布帛を設けてもよい。
〔積層タイプ断熱体の層構成〕
次に、積層タイプ断熱体の層構成について説明する。
本発明の耐火断熱シートの本体を構成する積層タイプ断熱体は、上記熱エネルギー消費層(シリカ系繊維製不織布)、反射材(金属箔及び/又は金属層付き基材)、グラファイト層、所望によりエアロゲル担持シートを積層した積層体である。これらの層数、積層順番は、特に限定しないが、各層の役割の点から、以下に基づいて積層配置されることが好ましい。
・熱エネルギー消費層と反射材とは、積層ユニットとして用いられることが好ましい。
・グラファイト層は「グラファイト層/熱エネルギー消費層」として、好ましくは「反射材/グラファイト層/熱エネルギー消費層/反射材」として用いることが好ましい。
・グラファイト層は、積層タイプ断熱体の厚み方向中間位置より熱源側に積層配置されることが好ましい。
・エアロゲル担持シートを含む場合、グラファイト層、熱エネルギー消費層よりも熱源と反対側(熱源よりも遠い側)に積層配置されることが好ましい。また、グラファイト層とエアロゲルシートとの間には、少なくとも1層の熱エネルギー消費層が配設されていることが好ましい。
・反射材を構成する金属箔、金属層付き基材は、単独で積層タイプ断熱体の構成層として組み込まれてもよいし、複数枚の金属箔を積層した積層ユニットとして組み込まれてもよいし、金属箔と金属層付き基材を積層したユニットとして組み込まれてもよい。
・積層タイプ断熱体の少なくとも一側の最外面は、反射材で構成されることが好ましい。反射材を構成する金属層は、熱エネルギーを反射できる一方、面方向の熱伝導も高いので、局所的に加熱された場合、グラファイト層と同様に、積層タイプ断熱体の積層面方向に熱を伝導することで、局所的損傷を緩和できる。この点、グラファイト層は反射機能を有しないため、熱源に近い側に配置すると、熱エネルギーの面方向拡散効果を十分に発揮する前に、損傷してしまうおそれがある。
・積層数が多くなるほど、断熱性能は一般に増大するが、層数の増大は、耐火断熱シートの厚みの増大、重量増大をもたらす原因となることから、各層の厚み、重量、求められる耐熱性に応じて、上記に基づき適宜選択することができる。
以上の観点から、不織布(F)、反射材(R)、グラファイトシート(G)、エアロゲル担持シート(A)として、積層体の層構成例としては、熱源側から「R/G/F/R」の積層ユニット、熱源側から「R/F/R/A」、「R/F/R/A/R」又は「R/G/F/R/A」の積層ユニットを少なくとも含むことが好ましい。
したがって、「R/G/F/R/A」が最も薄型で、効率的に温度低減効果を得ることが可能と考えられるが、更なる温度低減効果を得るために、例えば、「R/F/R」積層ユニットを適宜介在させる(例えば「R/G/F/R/F/R/A」)、熱源に近い側にグラファイト層を複数積層する(例えば「R/G/G/F/R/A」)、あるいは「R/G/F/R」の積層ユニットを繰り返し単位で介在させる(例えば「R/G/F/R/G/F/R/A」)、あるいは表面に近い側に、エアロゲル担持シートを複数含有させたり(例えば「R/G/F/R/A/R/A」)、「R/F/R/A」の積層ユニットを繰り返し単位として複数介在させる(例えば「R/G/F/R/F/R/A/R/F/R/A」)ことで、より大きな温度低減効果を、効率的に得ることができる。
また、反射材(R)は、金属箔(M)、金属層付き基材(MD)のいずれか一方だけで構成してもよいが、燃焼による反射材としての役割消失、断熱体の形状維持の観点から、「M/MD」のユニット、あるいは厚みとの関係で「M/M」として、用いてもよい。
以上のような構成を有する積層タイプ断熱体は、熱源に最も近い側が反射材となるように使用する。さらに、グラファイト層と熱エネルギー消費層との関係では、グラファイト層が熱源に近い側となるように用いる。また、エアロゲル担持シートを含む場合、熱エネルギー消費層、グラファイト層が熱源に近い側となるように用いられる。これにより、熱源、炎が、積層タイプ断熱体の一部に局所的に熱せられる状態であっても、耐火断熱シートの全面に熱伝導されて局所的に加熱、燃焼することを抑制する。さらに、グラファイト層を介して全面が熱せられた後は、隣接する熱エネルギー消費層であるシリカ系無機繊維製不織布が加熱される。加熱により温度上昇すると、ヒドロキシル基を有するシリカ系無機繊維が脱水縮合反応を起こし、水を生成する。生成した水は、不織布内を拡散するが、反射材を構成する金属層により、さらなる拡散が妨げられ、不織布内の熱エネルギーを使って、気化する。不織布に接している反射材は、不織布の加熱にしたがって温度上昇するが、その熱エネルギーは、エアロゲル担持シートに含まれているエアロゲルの断熱作用により、エアロゲル担持シートの加熱源との反対側の温度を低下させることになる。
<袋体>
以上のような構成を有する積層タイプ断熱体は、耐火繊維製織布で構成される袋体に収納されている。
ここで、耐火繊維とは、耐熱性900℃以上、好ましくは1000℃以上の繊維である。具体的には、アルミナ含有率が20%以上のガラスファイバー、シリカ繊維、又はセラミックファイバーの織布、好ましくはシリカ繊維の織布を縫製により袋状にした袋体が用いられる。
耐火繊維製織布の厚みは、織布の種類(織布を構成する繊維の種類)に応じて異なるが、当該織布は、直接、熱源にさらされることになるので、積層タイプ断熱体の収納用袋として、1時間以上、加熱にさらされても、崩壊しない耐熱性を有する必要があり、かかる観点から、シリカ繊維製織布(シリカクロス)の場合、厚み0.2〜1.3mm程度とすることが好ましい。厚み0.2〜1.3mm程度のシリカクロスは、耐熱温度900〜1100℃程度である。
<耐火断熱シート>
図1に示す耐火断熱シート10は、シリカクロスの袋体1に、積層タイプ断熱体2を収納密封したものである。かかる構成では、積層タイプ断熱体2の積層状態の固定に対する要求を緩和することができる。すなわち、耐熱温度の低い接着剤を用いた接着では、高温劣化により炭化し、積層状態の安定性を確保できないおそれがあるが、耐熱温度が高い織布で製袋した袋体1内に収納しておくことで、袋体1が破損するような熱劣化が起こらない限り、内部の積層体の積層状態を安定的に保持できる。すなわち、多層構造の耐火断熱シートを一体的に取り扱うことができるので、便利である。
また、積層タイプ断熱体として、薄型化を図ることにより、1枚の耐火断熱シートとして、折り曲げたり、折りたたんだりすることができるので、防火対策の施工箇所として汎用性が高い。分厚い布のように取扱いできることから、平板以外の曲面構造や直方体等のトレーにも、包むようにして囲繞施工が可能である。
また、取り付け施工は、リベット、ねじ、釘、クリップ、結束バンド、ワイヤなどの固定具を用いて行うことができる。
図2は、分割部3により分割された収納部11aを複数有する分割タイプ袋体11を用いた耐火遮熱シート12を、ケーブルを収納した箱体5の被包に適用した場合を示している。このような耐火断熱シート12は、角部を有する箱体5に収納された機器に対しても、分割部3が角部となるように被包することで、耐火断熱シートである積層体を折り曲げることなく、容易に被包することが可能となる。これにより、耐火断熱シートの積層タイプ断熱体への機械的負荷を減じることができる。
なお、図2中、耐火遮熱シート12の箱体5への取り付け固定は、リベット4により行っている。
〔耐火断熱シートの作製〕
耐火断熱シートの構成要素として、以下のものを使用した。
(1)熱エネルギー消費層(F)
belChem社のbelCotex(登録商標)110(組成はAlO1.5・18〔(SiO20.6(SiO1.5OH)0.4〕)、繊維径9μmのシリカ系繊維製不織布(厚み5.1mm、かさ密度0.15g/cm3)を用いた。
(2)反射材(R)
以下のようなアルミニウム箔(M)又はアルミ層付き基材(MD)を用いた。
(2−1)アルミニウム箔(M)
厚み0.02mm、密度1.95g/cm3のアルミニウム箔を用いた。
(2−2)Al層付き基材(MD)
異なる厚みを有するガラス繊維製織布の両面にアルミニウムが蒸着された下記2種類のAl蒸着織布(MD1、MD2)を用いた。
を用いた。
MD1:厚さ0.4mm、かさ密度1.29g/cm3
MD2:厚さ0.1mm、かさ密度1.40g/cm3
(3)グラファイト層(G)
膨張黒鉛シート(日立化成工業株式会社の「カ−ボフィット」(登録商標))を用いた。これは、厚み0.4mm、かさ密度1.02g/cm3である。
(4)エアロゲル担持シート(A)
繊維粒子を除去したロックウールとシリカエアロゲル(空孔率90%)を、ロックウール(担持体):シリカエアロゲル=7:3の割合で水中にて混合し、混合物の水性分散液を得た。これに、バインダー、ガラス繊維を加えて、抄紙することにより、エアロゲル担持シートを製造した。得られたエアロゲル担持シートの組成は、ロックウール57.6重量%、シリカエアロゲル24.6重量%、ガラス繊維10重量%、バインダー4.8重量%である。また、得られたエアロゲル担持シートは、厚み3.8mm、かさ密度0.19g/cm3である。
(5)袋体(SB)
厚さ0.8mm、かさ密度0.93g/cm3の、ユニチカ株式会社製の耐熱ガラスクロスで形成した袋体を用いた。この耐熱ガラスクロスは、SiO2含有率が96%以上の高ケイ酸ガラス繊維の織布で、945℃で1時間の加熱に対しても耐熱性を有する。
〔熱エネルギー消費層における生成水の確認〕
1/F1/M2/M3/F2/M4/M5/F3/M7/M8/F4/M9/MDの積層構造を有する積層タイプ断熱体を袋体に収納し、密封して耐火断熱シートを作製した。この耐火断熱シートの片側面(M1側)を加熱炉に接触させることにより、耐火断熱シートの片側を、ISO834標準加熱曲線に従って加熱した。加熱開始後43分の時点(炉内温度約900℃)で、耐火断熱シートを加熱炉から取り出した。加熱温度、耐火断熱シートの加熱されていない側の表面温度(熱電対による測定)の変化は、図3に示すとおりである。熱源とは反対側面の、加熱開始43分後の表面温度は約80℃であった
取り出した耐火断熱シートの袋体を開封し、積層体を取り出して観察した。熱源から最も離れた位置のシリカ系無機繊維製不織布(F4)および反射材(アルミニウム箔M9、アルミ蒸着織布MD)が湿っていて、水滴を確認することができた。
したがって、本発明の耐火断熱シートでは、シリカ系無機繊維製不織布は、不織布の厚みに比例した断熱効果に加えて、シリカ系無機繊維の脱水縮合反応により生じた水の気化熱による、熱エネルギーの減衰効果が得られ、温度上昇を抑制すると考えられる。
〔耐火断熱シートNo.1〜5の評価〕
表1に示すような積層構成を有する30cm×30cmの積層タイプ断熱体を、袋体に収納し、密封して、耐火断熱シートNo.1〜5を作製した。各耐火断熱シートの厚み、重量は表1に示すとおりである。
上記で作製した耐火断熱シートNo.1〜No.5について燃焼評価試験を行った。燃焼評価試験は、図4に示すように、耐火断熱シート20の中央部に炎21を当てた状態で、1時間加熱した。耐火断熱シート20の炎があたっている側と反対側の面(背面)に熱電対22を貼付し、加熱の間の背面の温度変化を測定記録した。加熱1時間後の背面の温度を、表1に示す。
また、燃焼試験後、袋体を開封し、積層タイプ断熱体の各層の状態を観察した。燃焼によりシート(層)に穴があいたり、変質したり、あるいはシートが形状保持できなくなったなどの損傷が観察された層数を数えた結果(損傷層数)を表1に併せて示す。
また、耐火断熱シートNo.1とNo.2の背面温度の測定結果(グラフ)を図5に示す。
また、耐火断熱シートNo.2、No.4の燃焼試験後の層状態を示す写真をそれぞれ図6、図7に示す。
No.2の耐火断熱シートは、No.1と比べて、熱源側にグラファイトシートを2枚介在させた積層タイプ断熱体を用いたものである。グラファイト層を介在させることで、燃焼試験後の表面温度は10℃も下げることができ、しかも燃焼による損傷層数11層と少なくなっていた。局所加熱に対して、グラファイト層が面方向に熱伝導することで、積層体全体の温度上昇、積層タイプ断熱体の構成層の損傷を緩和できたためと考えられる。
No.3の耐火断熱シートは、グラファイトシートの代わりにエアロゲル担持シートを、積層タイプ断熱体の中間よりも熱源から離れた位置(背面側)に介層したものである。No.1と比べて背面温度が20℃以上も低下し、優れた断熱効果を示したが、耐火断熱シートとして分厚くなり、また、損傷層数を低減する効果は得られなかった。エアロゲル担持シートが、熱源から12層目に配置されたため、損傷枚数低減効果が限定的又は発揮できなかったためと考えられる。
No.4はグラファイトシートを積層体タイプ断熱体の燃焼側の最外層に配置し、エアロゲル担持シートを中間部に積層配置したものである。断熱体としてNo.1、No.2よりも分厚くなっているにもかかわらず、温度低減効果はNo.1よりも3℃低くなっただけであり、損傷層数はNo.1よりも多くなっていた。断熱シートの最も熱源に近い面がグラファイトシートであったため、グラファイトシートが損傷し、グラファイトシートによる熱伝導効果を十分に発揮できなかったため、損傷枚数が増大したと考えられる。またグラファイトシートに隣接する層は金属箔であったため、グラファイトシートによる面方向の熱拡散効果が発揮できなかったためと考えられる。したがって、グラファイトシートによる面方向の熱拡散効果は、熱エネルギー消費層と接触した場合に得られやすいといえる。
No.5は、グラファイトシート2層、エアロゲル1層、熱エネルギー消費層を2層とし、合計厚みは、No.1の70%程度であったが、背面温度は同程度であり、損傷層数はNo.1よりも少なかった。熱源側の最外層に反射材を配置し、さらに「G/F」の積層ユニットをグラファイト層が熱源側となるように配置するとともに、エアロゲル担持シートとグラファイト層との間に熱エネルギー消費層を積層配置することで、損傷層数を効率的に減らし、厚みに対する温度低減効果を高めることができることがわかる。
本発明の耐火断熱シートは、薄型、軽量であるにもかかわらず、局所的に加熱された場合に、熱エネルギーを耐火断熱シートの全体に万遍なく伝導させるとともに気化熱を利用して熱エネルギーを減衰させることで、効率的に温度上昇を抑制し、さらに積層タイプ断熱体の燃焼による損傷が抑制されているので、ケーブル束の被包やコーナー部といった箇所の耐火断熱に用いる耐火断熱シートとして有用である。よって、施工するスペースに応じて、積層タイプ断熱体の層構成を適宜選択設計することで、スペース制限のある箇所であっても、効率的な防火対策に用いることができる。
1 袋体
2 積層タイプ断熱体
3 分割部
4 固定具
10,20 耐火断熱シート
11 分割タイプ袋体
12 分割タイプ耐火断熱シート

Claims (9)

  1. 耐火繊維製織布で形成された袋体内に、積層タイプ断熱体が収納されている耐火断熱シートであって、前記積層タイプ断熱体が、
    ヒドロキシル基を有するシリカ系無機繊維の不織布で構成される熱エネルギー消費層を少なくとも1層;
    基材表面に金属層を有する金属層付き基材又は金属箔で構成される反射材を少なく1層;及び
    面方向に黒鉛結晶が配向されているグラファイト層を少なくとも1層
    が積層された積層体である耐火断熱シート。
  2. 前記熱エネルギー消費層の片面に前記グラファイト層が積層された積層ユニットを含む請求項1に記載の耐火断熱シート。
  3. 前記熱エネルギー消費層の両面に、前記反射材が積層された積層ユニットを含む請求項1又は2に記載の耐火断熱シート。
  4. 前記積層タイプ断熱体は、反射材,グラファイト層,熱エネルギー消費層、反射材の順で積層された積層ユニットを含む請求項1に記載の耐火断熱シート。
  5. 前記積層タイプ断熱体は、空孔率70%以上のシリカエアロゲルがシート状繊維塊に担持されているエアロゲル担持シートを、さらに含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐火断熱シート。
  6. 前記グラファイト層と前記エアロゲル担持シートとの間には、少なくとも1層の前記エネルギー消費層が配設されている請求項5に記載の耐火断熱シート。
  7. 前記積層タイプ断熱体の少なくとも一方の最外面が前記反射材である請求項1〜6のいずれか1項に記載の耐火断熱シート。
  8. 前記グラファイト層は、膨張黒鉛シートである請求項1〜7のいずれかに記載の耐火断熱シート。
  9. 前記金属層付き基材は、ガラス繊維、シリカ繊維、セラミック繊維、又は鉱物繊維を編織してなる布帛の表面に金属が蒸着されている金属蒸着布帛である請求項1〜8のいずれか1項に記載の耐火断熱シート。
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