JP2023142764A - 耐火ラッピング構造 - Google Patents

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幸子 古橋
Sachiko Furuhashi
祐介 村山
Yusuke Murayama
大輔 佐々
Daisuke Sasa
秀夫 落合
Hideo Ochiai
敏昭 本間
Toshiaki Homma
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Tokyo Electric Power Co Holdings Inc
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Abstract

【課題】耐火性能を担保しつつ、軽量化することができる耐火ラッピング構造。【解決手段】一面側が発火側に配置され、第1熱伝導率である第1断熱素材により形成された第1層と、第1層の他面側に一面側が隣接して配置され、第1熱伝導率に比して高い第2熱伝導率である第2断熱素材により形成された第2層と、第2層の他面側に一面側が隣接して設けられ、吸熱素材により形成された第3層とを備え、発火して所定時間経過した状態において、第1層は、発火源から伝達された熱を第1所定温度範囲に第1降下させて第2層に伝達する第1層厚に形成され、第2層は、第1所定温度範囲において伝達された熱を吸熱素材が吸熱効果を奏する第2所定温度範囲に第2降下させて第3層に伝達する第2層厚に形成されて、第3層は、第2層から伝達された第2所定温度範囲の熱を吸熱素材の吸熱反応に基づいて第2所定温度範囲に維持する、耐火ラッピング構造。【選択図】図1

Description

本発明は、耐熱性能を向上させる耐火ラッピング構造に関する。
発電所等の設備において外部で火災が発生した場合に、ケーブル類を収容するケーブルトレイ内または電線管内のケーブル等のケーブル設備が損傷するのを防ぐため、耐火性能を有するラッピング材を用いてケーブルトレイやケーブルを覆う方法が知られている(例えば、特許文献1から3参照)。
特開2015-048405号公報 特開2015-171176号公報 特開2020-076504号公報
耐火ラッピング材は、ケーブル設備の外部で万が一に火災が発生した場合、消火作業が行われるまでの所定時間の間に保護対象を維持する耐火性能が求められる。そして、耐火ラッピング材は、長大な距離に亘ってケーブル設備を覆うものであり、耐震性能を確保するためになるべく軽量に形成されていることが望ましい。特許文献1から3に記載された従来技術によれば、耐火性能を担保するためにラッピング材に断熱層が用いられている。従来技術に基づいて、火災発生後の所定時間の間に保護対象を維持する耐火性能を担保しようとすると断熱層の厚さが増大し、設備の重量が増加する虞がある。
本発明は、耐火性能を担保しつつ、軽量化することができる耐火ラッピング構造を提供することを目的とする。
本発明の一態様は、一面側が発火側に配置され、第1熱伝導率である第1断熱素材により形成された第1層と、前記第1層の他面側に一面側が隣接して配置され、前記第1熱伝導率に比して高い第2熱伝導率である第2断熱素材により形成された第2層と、前記第2層の他面側に一面側が隣接して設けられ、吸熱素材により形成された第3層とを備え、発火して所定時間経過した状態において、前記第1層は、発火源から伝達された熱を第1所定温度範囲に第1降下させて前記第2層に伝達する第1層厚に形成され、前記第2層は、前記第1所定温度範囲において伝達された熱を前記吸熱素材が吸熱効果を奏する第2所定温度範囲に第2降下させて前記第3層に伝達する第2層厚に形成され、前記第3層は、前記第2層から伝達された前記第2所定温度範囲の熱を前記吸熱素材の吸熱反応に基づいて前記第2所定温度範囲に維持する、耐火ラッピング構造である。
本発明によれば、第2層の加熱側に第2層に比して低い熱伝導率の第1層が設けられているため、同程度の耐火性能を有するように加熱側を第2層のみで形成した場合に比して第2層の第2層厚を薄く形成することができ、軽量化することができる。また、本発明によれば、第3層が吸熱効果を奏するように第1層の第1層厚と第2層の第2層厚が形成されているため、耐火性能を担保することができる。
また、本発明の前記第1層と前記第2層は、同一の素材により形成されてもよい。
本発明によれば、第2層を第1層と同一の素材により形成することにより、第2層の第2層厚を、第2断熱素材により形成した場合に比して薄くすることができ、軽量化することができる。
また、本発明の前記第3層の他面側に一面側が隣接して設けられ、前記第2層と同一の素材により形成され他面側に保護対象が配置される第4層とを備え、前記第4層は、前記第2所定温度範囲において伝達された熱を、前記保護対象が保持される第3所定温度範囲に第3降下させて前記保護対象に伝達する第4層厚に形成されていてもよい。
本発明によれば、吸熱後の第3層の温度が保護対象を保持可能な設計温度に比して高い場合、第4層の第4層厚を調整することにより、保護対象が保持される第3所定温度範囲に降下させることができる。
また、本発明の前記第1層厚及び前記第2層厚は、発火した後の予め定められた耐火性能時間の間に前記第2層が前記第2所定温度範囲の熱を前記第3層に伝達し、前記第3層が前記吸熱効果を使い切るように調整されていてもよい。
本発明によれば、耐火性能時間の間に第3層が吸熱効果を使い切るため、第3層の過剰な吸熱素材を削減し、軽量化することができる。
また、本発明の前記吸熱素材は、加熱時に化学反応に基づいて水を分離し、吸熱反応を示す粉末材料により形成されていてもよい。
本発明によれば、吸熱素材が通常時に水分を含まないため、乾燥による性能劣化を発生させず、経時的に性能を継続して保持することができる。
本発明によれば耐火性能を担保しつつ、軽量化することができる。
本発明の実施形態に係る、耐火ラッピング構造の構成を示す断面図である。 吸熱層の構成を示す断面図である。 各素材の熱伝導率を示す図である。 低温部における各素材の熱伝導率を示す拡大図である。 吸熱材の構成を示す図である。 性能試験の比較対象となる耐火ラッピング構造の構成を示す断面図である。 耐火ラッピング構造の熱伝達性能を比較する図である。 吸熱材の性能試験の結果を示す図である。 性能試験の比較対象となる耐火ラッピング構造の構成を示す断面図である。 性能試験の結果を示す図である。 比較例の耐火ラッピング構造の熱伝達性能を示す図である。 性能試験の比較対象となる耐火ラッピング構造の構成を示す断面図である。 比較例の耐火ラッピング構造の熱伝達性能を示す図である。 性能試験の結果を示す図である。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態に係る耐火ラッピング構造について説明する。
原子力発電所等の設備には、電力用、通信用のケーブル類や、ケーブル類を収容、支持するケーブルトレイ等のケーブル設備が設けられている。ケーブル設備には、万が一に外部で火災が発生した場合に、消火作業が行われるまでの所定時間(例えば、3時間程度)の間に内部の保護対象であるケーブル設備を火災から保護する耐火対策が求められる。また、耐火対策は、ケーブル設備の耐震性も確保するために軽量であることが望ましい。実施形態の耐火ラッピング構造は、保護対象を保護する耐火性能を担保しつつ、軽量化された構成を有する。
図1から図2に示されるように、耐火ラッピング構造1は、異なる種類のシート材により形成された4層構造を有する。耐火ラッピング構造1は、発火側の加熱面に生じた熱に基づく温度を非加熱面側の保護対象Kを保護可能な温度に降下させるように構成されている。保護対象Kは、例えば、ケーブル設備である。耐火ラッピング構造1は、例えば、加熱面側となる一面2A側が外部に露出して配置される第1層2を備える。
第1層2は、例えば、シート状の第1断熱素材により形成されている。第1断熱素材は、例えば、WDS(登録商標)である。第1断熱素材は、例えば、低い第1熱伝導率の素材である(図3及び図4参照)。WDSの熱伝導率は、例えば、800℃で0.04W/m・K程度である。WDSは、高温領域においても熱伝導率が低い高断熱素材である。第1断熱素材は、例えば、微細なヒュームドシリカ及び赤外線を透過しない物質により形成される。第1断熱素材は、例えば、空気分子の運動を規制する、直径100nm以下の無数の微細孔が形成されたマイクロポア構造を有する。第1断熱素材は、後述の第2層3の第2断熱素材(AES)に比して弾力性が低く、施工性が悪い。第1層2の一面2A側は、例えば、発火源に面するように配置される。
第1層2の他面2B側には、隣接して第2層3が設けられている。第1層2は、例えば、発火して所定時間経過後の状態において、一面2A側の発火源から伝達された熱により生じた温度を第1所定温度範囲に第1降下させて他面2B側の第2層3に伝達する第1層厚に形成されている。第1層厚は、例えば10mmである。
第2層3は、一面3A側が第1層2の他面2B側に面している。第2層3は、シート状の第2断熱素材により形成されている。第2断熱素材は、例えば、AES(アルカリアースシリケート)ウールである。第2断熱素材は、例えば、高純度のシリカ、カルシア、マグネシアを主成分にした化学組成を有する鉱物繊維断熱材である。また、第2断熱素材は、生体内において分解又は吸収可能な生体吸収繊維により形成されていてもよい。第2断熱素材の第2熱伝導率は、第1層2の第1断熱素材の第1熱伝導率に比して高い。第2断熱素材は、第1断熱素材に比して熱の伝達が速い(図3及び図4参照)。特に低温領域(400℃)に比して高温領域(800℃)においてAESの熱伝伝導率は、WDSに比して高い。
第2層3の他面3B側には、第3層4が設けられている。第2層3は、第1層2により第1所定温度範囲において伝達された熱を吸熱素材が吸熱効果を奏する第2所定温度範囲に第2降下させて第3層4に伝達する第2層厚に形成されている。第2層厚は、例えば13mmである。
第3層4は、一面4A側が第2層3の他面3B側に面している。第3層4は、化学反応に基づいて第2層3から伝達された第2所定温度範囲において吸熱反応して吸熱効果を奏する。第3層4は、温度上昇を抑制し第2所定温度範囲を維持して伝達する。第3層4は、例えば2層の吸熱材4Tを備える(図2参照)。吸熱材4Tは、一対の断熱シート4Sにより袋状に形成された収容空間内に吸熱素材4Qを収容して形成されている。断熱シート4Sは、例えば、アルミガラスクロス等の耐火繊維製の織布により形成されている。一対の断熱シート4Sには、例えば、所定の矩形の単位毎にミシン目4Mが設けられており、吸熱材4Tは、複数の矩形の小袋4Rがマトリクス状に配置されている(図5参照)。
吸熱素材4Qは、経時的に乾燥して吸熱効果が低減することを防止するため、水分を含有しない粉末材料により形成されている。吸熱素材4Qは、例えば、加熱時に化学反応に基づいて水を分離し、吸熱反応を示す粉末材料である。吸熱素材4Qは、例えば、水酸化アルミニウム(Al(OH))の粉粒体により形成されている。吸熱素材4Qは、例えば、中心粒径約10μmから100μmの粉粒体の結晶である。
水酸化アルミニウムは、200℃未満では安定しており、200℃以上から350℃の温度範囲において激しく水分子HOが分離してAlとなる脱水分解が発生し、その際に吸熱反応を示す。吸熱材4Tは、例えば、10mmの層厚に形成されている。従って第3層4の第3層厚は、例えば、20mmである。第3層4の他面4B側には、第4層5が隣接して設けられている。第3層4は、第4層5に第2所定温度範囲の熱を伝達する。
第4層5は、一面5A側が第3層4の他面4B側に面している。第4層5は、他面5B側が非加熱面側となり保護対象Kに面している。第4層5は、第2層3と同一の素材により形成されている。第4層5は、例えば、第2層3と同一の素材を2層重ねて形成されている。従って、第4層厚は、例えば、第2層厚13mmの2倍の26mmである。第4層5は、第3層4から第2所定温度範囲において伝達された熱を第3所定温度範囲に第3降下させて保護対象Kに伝達する第4層厚に形成されている。第3所定温度範囲は、例えば、保護対象Kの性能が保持されるように所定の基準に基づいて設定されている。
次に、耐火ラッピング構造1の性能試験について説明する。以下の性能試験においては、吸熱層である第3層4の位置が性能に及ぼす影響を比較する。
図6には、耐火ラッピング構造1と比較対象の耐火ラッピング構造が示されている。No.1は、耐火ラッピング構造1である。No.2は、加熱面側から第1層2、第4層5、第3層4、第2層3の順に積層した比較対象である。No.2は、NO.1に比して吸熱層である第3層4が加熱面側から遠い位置に配置されている。No.3は、加熱面側から第1層2、第3層4、第4層5、第2層3の順に積層した比較対象である。No.3は、No.1に比して吸熱層である第3層4が加熱面側から近い位置に配置されている。性能試験においては、各耐火ラッピング構造内(すなわち非加熱面)の温度上昇量の平均値が139K以下且つ最高値が181K以下である場合に合格基準に適合するものと設定する。
図7には、No.1及びNo.2の耐火ラッピング構造を加熱した場合の層厚方向の温度変化の比較結果が示されている。図示するように、加熱後0時間から3時間後まで30分単位における温度変化の計算結果が示されている。試験は、ISO834の標準加熱温度曲線に沿うように予め定められた耐火性能時間(例えば、3時間)の間に加熱を行った場合の各層の温度変化を計算する。
No.1の耐火ラッピング構造1においては、30分経過後から3時間経過後までの間において、第1層2は、発火により生じた熱を約420℃から640℃の第1所定温度範囲において第1降下させて第2層3に伝達している。第2層3は、第1層2から伝達した熱を約80℃から280℃の第2所定温度範囲において第2降下させて第3層4に伝達している。第3層4は、第2層3から伝達した熱を吸熱反応により第2所定温度範囲において第4層5に伝達している。
第4層5は、第3層4から伝達した熱を約20℃から130℃の第2所定温度範囲において第3降下させて非加熱面側に伝達している。この結果、No.1は、3時間経過後の非加熱面の温度上昇量の平均値が112Kであり合格基準を満たしていることが確認された。No.1の耐火ラッピング構造1は、吸熱層である第3層4において第2所定温度範囲に保持されることにより、後述する通り吸熱素材4Qの化学反応を使い切り吸熱効果を十分に発揮していることが確認された。
これに比して比較対象のNo.2の耐火ラッピング構造においては、30分経過後から3時間経過後までの間において、1層目の第1層2は、発火により生じた熱を約480℃から750℃の所定温度範囲において降下させて2層目の第4層5に伝達している。2層目の第4層5は、1層目の第1層2から伝達した熱を約50℃から270℃の所定温度範囲において降下させて3層目の第3層4に伝達している。3層目の第3層4は、2層目の第4層5から伝達した熱を吸熱反応により所定温度範囲において4層目の第2層3に伝達している。
4層目の第2層3は、3層目の第3層4から伝達した熱を約25℃から175℃の第2所定温度範囲において降下させて非加熱面側に伝達している。No.2の耐火ラッピング構造は、No.1に比して吸熱層である第3層4までの熱の伝達が低下し、第3層4において吸熱素材4Qに化学反応が発生しない部分が生じて吸熱効果を十分に発揮できず、No.1に比して耐火性能が低下することが確認された。この結果、No.2は、3時間経過後の非加熱面の温度上昇量の平均値が155℃であり合格基準を満たさないことが確認された。
No.3の耐火ラッピング構造は、No.1の試験結果を参照すると、第1層2に吸熱層の第3層4を隣接させるとNo.1における吸熱層の第3層4の温度上昇に比して高い温度上昇となることが予測され、吸熱層の第3層4の吸熱反応が不足する(吸熱素材が早期に消費され、吸熱反応が所定時間継続されない)ことが予測される。従って、耐火ラッピング構造においては、No.3の構成は採用しない。
上記試験結果によれば、耐火ラッピング構造は、同じ素材を用いた場合でも、非加熱面側における温度範囲を目標温度範囲に保持するために、所定時間経過後において吸熱層である第3層4が有する吸熱素材が吸熱効果を奏する温度範囲に保持する配置を選択する必要がある。試験結果によれば、No.2の構成の耐火性能に比してNo.1の構成の耐火性能が高いことが確認された。
また、耐火ラッピング構造1において吸熱層の第3層4は、耐火性能時間(3時間)の間に加熱した場合に吸熱効果を生じる性能を使い切っていることが望ましい。以下、第3層4を構成する2層の吸熱材4Tに対して行った性能試験について説明する。性能試験は、例えば、示差熱・熱重量同時測定(TG-DTA)である。示差熱・熱重量同時測定(TG-DTA)は、試料及び基準物質の温度をプログラムに従って変化させながら、試料の重量変化測定(Thermo Gravimetry:TG)及び試料と基準物質の温度差を測定する示差熱測定(Thermo Gravimetry Analyzer :DTA)を同時に行う手法である。
図8には、耐火ラッピング構造1の第3層4を構成する2層の吸熱材4Tに対するTG-DTAの試験結果が示されている。図においてTG曲線は、温度に対する試料の重量変化(重量%)を示している。TG曲線の減少は、重量の減少を示す。図においてDTA曲線は、温度に対して検出された熱電対の検出信号(μV)に基づく試料の温度変化を示している。DTA曲線の減少は、吸熱反応を示し、増加は発熱反応を示す。試験においては、(1)新品の吸熱材4T、(2)3時間加熱後の加熱面側に配置された吸熱材4T、(3)3時間加熱後の非加熱面側に配置された吸熱材4Tを試料として用い、各測定が行われた。
TG曲線に示されるように、(1)については脱水反応に基づいて重量が減少した。(2)については、重量の減少がほとんど無く、性能を使い切っている状態であることが分かる。(3)については、重量の減少が若干有るものの、性能をほとんど使い切っている状態であることが確認された。また、DTA曲線に示されるように、(1)については所定の温度領域において吸熱反応が発生していることが確認された。(2)については、吸熱反応が見られず、性能を使い切っている状態であることが確認された。(3)については、所定の温度領域において若干の吸熱反応が見られるものの、性能をほとんど使い切っている状態であることが確認された。
試験結果から、耐火ラッピング構造1の第3層4は、要求される耐火性能時間(3時間)の間に耐火性能を十分に発揮していることが確認された。即ち第3層4は、発火して3時間後の状態において、第2層3から吸熱素材が吸熱効果を奏する所定温度範囲の熱が伝達された場合、吸熱素材の吸熱反応に基づいて所定温度範囲に維持して第4層5に伝達することができる。
次に、耐火ラッピング構造における1層目の素材の差異が耐火性能に与える影響を評価する性能試験について説明する。
図9に示されるように、比較対象は、No.1の耐火ラッピング構造1、No.4からNo.7の耐火ラッピング構造である。No.4からNo.7の耐火ラッピング構造は、耐火ラッピング構造1の第1層2を第2層3と同じAES素材により層厚をそれぞれ変更して形成した構成を備えている。
図10には、各耐火ラッピング構造の番号、1層目の素材と層厚、3時間加熱後の4層目の非加熱面側の温度上昇量の関係を示す算出結果が示されている。図示するように、No.4からNo.7の耐火ラッピング構造により、No.1の耐火ラッピング構造1と同程度の耐火性能を担保するためには、No.6、No.7の構成のように1層目のAES素材の層厚を35-40mmに形成することが必要である。No.6、No.7の構成に基づく耐火ラッピング構造によれば、AES素材の層厚の増加に伴い、重量が増加する。
図11には、No.7の耐火ラッピング構造を所定時間の間に加熱した場合の層厚方向の温度変化が示されている。図示するように、非加熱面側においてNo.1の耐火ラッピング構造1と同等の性能を担保するためには、1層目のAES素材の層厚を耐火ラッピング構造1の第1層2の層厚に比して4倍の層厚が必要である。従って、No.1の耐火ラッピング構造1によれば、第1層2にWDS素材を用いることで、第1層厚をAES素材で形成した場合のNo6、No.7の耐火ラッピング構造に比して軽量化することができ、保護対象に適用した場合の設備の耐震性能を向上することができる。
次に、耐火ラッピング構造における2層目の素材の差異が耐火性能に与える影響を評価する性能試験について説明する。比較対象は、No.1の耐火ラッピング構造1、No.8、No.9の耐火ラッピング構造である。
図12に示されるように、No.8の耐火ラッピング構造は、耐火ラッピング構造1の第2層3の層厚を20mmに変更して形成した構成を備えている。No.9の耐火ラッピング構造は、耐火ラッピング構造1の2層目を1層目の第1層2の第1断熱素材と同じに形成した構成を備えている。
図14には、各耐火ラッピング構造の番号、2層目の素材と層厚、3時間加熱後の4層目の非加熱面側の温度上昇量の関係を示す算出結果が示されている。図示するように、耐火ラッピング構造において、第2層3の層厚をNo1の耐火ラッピング構造1の第2層の層厚に比して厚くしたNo.8、2層目の断熱素材を第1層2と同様にWDSに変更した場合、性能の差は同程度であることが確認された。No.8の構成を有する耐火ラッピング構造は、2層目の層厚がNo.1の構成を有する耐火ラッピング構造1に比して厚く、重量が増加することが確認された。従って、性能が同程度であれば、比較的重量が低減されるNo.1の構成が採用される。
図13に示されるように、No.9の構成を有する耐火ラッピング構造は、No.1の構成を有する耐火ラッピング構造1と同程度の性能であることが確認された。No.9の構成を有する耐火ラッピング構造は、2層目がWDSにより形成されており、No.1の構成に比して柔軟性が低下し、施工性が悪化する。従って、性能が同程度であれば、施工性を優先してNo.1の構成が採用される。
上述したように、耐火ラッピング構造1によれば、第1層2を第2層3に比して高断熱に形成することにより、耐火性能を確保しつつ軽量化することができる。耐火ラッピング構造1によれば、異なる熱伝導率を有する第1層2の第1層厚及び第2層の第2層厚をそれぞれ所定の層厚に調整することにより、発火後に要求される経過時間の間に吸熱層である第3層4に十分な吸熱効果を発揮させることができる。
耐火ラッピング構造1によれば、発火後に要求される経過時間の間に加熱面側に生じた熱により伝達された温度を非加熱面側において保護対象を保護可能な温度領域に低下させることができる。耐火ラッピング構造1によれば、第1層2の第1層厚及び第2層3の第2層厚を調整することで、第2層3が第2所定温度範囲の熱を第3層4に伝達し、発火した後の予め定められた耐火性能時間(3時間)の間に第3層4が吸熱効果を使い切ることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。例えば、耐火ラッピング構造1において第3層4の吸熱素材4Qは、水酸化アルミニウムの他に、加熱時に化学反応に基づいて水を分離し、吸熱反応を示す粉末材料により形成されていればよく、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸カルシウム2水和物、及び硫酸マグネシウム7水和物のうち少なくとも1つを含んでいてもよい。また、耐火ラッピング構造1において第1層2の加熱面側には、耐火塗料が塗布されていてもよい。
1 耐火ラッピング構造、2 第1層、2A 一面、2B 他面、3 第2層、3A 一面、3B 他面、4 第3層、4A 一面、4B 他面、4Q 吸熱素材、5 第4層、5A 一面、5B 他面、K 保護対象

Claims (5)

  1. 一面側が発火側に配置され、第1熱伝導率である第1断熱素材により形成された第1層と、
    前記第1層の他面側に一面側が隣接して配置され、前記第1熱伝導率に比して高い第2熱伝導率である第2断熱素材により形成された第2層と、
    前記第2層の他面側に一面側が隣接して設けられ、吸熱素材により形成された第3層とを備え、
    発火して所定時間経過した状態において、
    前記第1層は、発火源から伝達された熱を第1所定温度範囲に第1降下させて前記第2層に伝達する第1層厚に形成され、
    前記第2層は、前記第1所定温度範囲において伝達された熱を前記吸熱素材が吸熱効果を奏する第2所定温度範囲に第2降下させて前記第3層に伝達する第2層厚に形成され、
    前記第3層は、前記第2層から伝達された前記第2所定温度範囲の熱を前記吸熱素材の吸熱反応に基づいて前記第2所定温度範囲に維持する、耐火ラッピング構造。
  2. 前記第1層と前記第2層は、同一の素材により形成される、
    請求項1に記載の耐火ラッピング構造。
  3. 前記第3層の他面側に一面側が隣接して設けられ、前記第2層と同一の素材により形成され他面側に保護対象が配置される第4層とを備え、
    前記第4層は、前記第2所定温度範囲において伝達された熱を、前記保護対象が保持される第3所定温度範囲に第3降下させて前記保護対象に伝達する第4層厚に形成されている、
    請求項1または2に記載の耐火ラッピング構造。
  4. 前記第1層厚及び前記第2層厚は、発火した後の予め定められた耐火性能時間の間に前記第2層が前記第2所定温度範囲の熱を前記第3層に伝達し、前記第3層が前記吸熱効果を使い切るように調整されている、
    請求項1から3のうちいずれか1項に記載の耐火ラッピング構造。
  5. 前記吸熱素材は、加熱時に化学反応に基づいて水を分離し、吸熱反応を示す粉末材料により形成されている、
    請求項1から4のうちいずれか1項に記載の耐火ラッピング構造。
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