JP6182346B2 - 発振器、整流器および送受信装置 - Google Patents

発振器、整流器および送受信装置 Download PDF

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Description

本発明は、発振器、整流器および送受信装置に関する。
近年、磁気抵抗効果素子によるマイクロ波発振と受信が研究されている。例えば、特許文献1においては、CCP―CPP(Current Confined Path−Current Perpendicular to Plane)発振素子に外部磁場を印加することによって、発振周波数を変えることができることが開示されている。
特開2007−124340号公報
しかしながら従来技術においては、発振やマイクロ波受信に必要な磁場は、磁気抵抗効果素子に接続されていない外部の配線あるいは外部のコイルや磁石により発生させていた。例えば特許文献1では、外部磁石と外部配線によって、磁場を発振素子である磁気抵抗効果素子に印加している。従って従来技術においては、部品点数が多くなり、発振器や検出器の寸法が大きくなるため、小型化が困難であった。
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、小型化が可能な発振器または整流器を提供することを目的とする。また、そのような発振器と整流器を備えることによって、従来より小型化が可能な送受信装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様に係る発振器では、発振周波数が磁場により可変な発振部と、前記発振部に直列に接続された導体とを有する発振器であって、前記導体はループ部を備え、前記ループ部を流れる電流が第1の磁場を発生し、前記第1の磁場が前記発振部に印加されるように前記ループ部が配置されていることを特徴とする。これにより、発振器の小型化が可能となる。
さらに、本発明の第2の態様に係る発振器では、前記発振部に第2の磁場を印加する磁場印加手段を有し、前記磁場印加手段は、前記第1の磁場と前記第2の磁場との合成磁場が、前記発振部が発振するための閾値磁場よりも大きくなるように配置されていることを特徴とすることが好ましい。
さらに、本発明の第3の態様に係る発振器では、第1の態様または第2の態様に係る発振器において、前記ループ部は、前記第1の磁場が、前記発振部が発振するための閾値磁場よりも大きくなるように配置されていることを特徴とすることが好ましい。
本発明の第4の態様に係る発振器では、発振を開始するための閾値磁場がゼロよりも大きい発振部と、前記発振部に直列に接続された導体とを有する発振器であって、前記発振部と前記導体とは、前記閾値磁場よりも大きい磁場が前記導体を流れる電流によって前記発振部に印加されるように配置されていることを特徴とする。
さらに、本発明の第5の態様に係る発振器では、第4の態様に係る発振器において、前記閾値磁場が地磁気よりも大きいことを特徴とすることが好ましい。
さらに、本発明の第6の態様に係る発振器では、第1の態様に係る発振器において、前記発振部が磁気抵抗効果素子、ジョセフソン素子、または磁気共鳴フィルタを有するフィルタ付発振器であることを特徴とすることが好ましい。
本発明の第7の態様に係る整流器では、整流周波数が磁場により可変な整流部と、前記整流部に直列に接続された導体とを有する整流器であって、前記導体はループ部を備え、前記ループ部を流れる電流が第1の磁場を発生し、前記第1の磁場が前記整流部に印加されるように前記ループ部が配置されていることを特徴とする。
さらに、本発明の第8の態様に係る整流器では、前記整流部に第2の磁場を印加する磁場印加手段を有し、前記磁場印加手段は、前記第1の磁場と前記第2の磁場との合成磁場が、前記整流部が整流作用を発現するための閾値磁場よりも大きくなるように配置されていることを特徴とすることが好ましい。
さらに、本発明の第9の態様に係る整流器では、第7の態様または第8の態様に係る整流器において、前記ループ部は、前記第1の磁場が、前記整流部が整流作用を発現するための閾値磁場よりも大きくなるように配置されていることを特徴とすることが好ましい。
本発明の第10の態様に係る整流器では、整流作用を発現するための閾値磁場がゼロよりも大きい整流部と、前記整流部に直列に接続された導体とを有する整流器であって、前記整流部と前記導体とは、前記閾値磁場よりも大きい磁場が前記導体を流れる電流によって前記整流部に印加されるように配置されていることを特徴とする。
さらに、本発明の第11の態様に係る整流器では、第10の態様に係る整流器において、前記閾値磁場が地磁気よりも大きいことを特徴とすることが好ましい。
さらに、本発明の第12の態様に係る整流器では、第7の態様に係る整流器において、前記整流部が磁気抵抗効果素子またはジョセフソン素子であることを特徴とすることが好ましい。
本発明の第13の態様に係る送受信装置では、第1の態様から第6の態様のいずれか1つの態様に係る発振器と、第7の態様から第12の態様のいずれか1つの態様に係る整流器とを有し、前記発振器の前記導体と前記受信器の前記導体が電磁気的に結合することで、無線通信または無線電力伝送を行うことを特徴とする。
本発明によれば、小型化が可能な発振器または整流器を提供することができる。また、そのような発振器と整流器を備えることによって、従来よりも小型化が可能な送受信装置を提供することができる。
本発明の実施形態1に係る発振器の模式図である。 本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子の構成例を示す図である。 本発明の実施形態に係るフィルタ付き発振器の構成例を示す図である。 本発明の実施形態1に係る発振器の周辺回路を示す図である。 本発明の実施形態2に係る発振器の模式図である。 本発明の実施形態3に係る発振器の模式図である。 本発明の実施形態4に係る発振器の模式図である。 本発明の実施形態5に係る発振器の模式図である。 本発明の実施形態6に係る発振器の模式図である。 本発明の実施形態7に係る発振器の模式図である。 本発明の実施形態8に係る発振器の模式図である。 本発明の実施形態9に係る整流器の模式図である。 本発明の実施形態9に係る整流器の周辺回路を示す図である。 本発明の実施形態12に係る送信装置の回路図である。 本発明の実施形態15における送受信装置を示す模式図である。
以下、図面を用いて本発明を実施するための形態の例を説明する。なお、以下の説明は本発明の実施形態の一部を例示するものであり、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、形態が本発明の技術的思想を有するものである限り、本発明の範囲に含まれる。各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせなどは一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
(実施形態1)
図1は実施形態1に係る発振器100を示す図である。発振器100は、発振周波数が磁場により可変な発振部101と、発振部101に直列に接続された導体103を備える。導体103は、発振部101に直流電流Iを流入させる導体103aと、発振部101から直流電流Iを流出させる導体103bとを有する。さらに導体103aはループ部113を有する。
発振器100に直流電流Iを流すと、ループ部113を流れる直流電流Iによって、第1の磁場Hが発生する。ループ部113は、第1の磁場Hが発振部101に印加されるように配置されている。また、ループ部113は、直流電流Iの流入側の導体103aに限らず、直流電流の流出側の導体103bに形成されていてもよい。
本実施形態における第1の磁場Hは、発振部101が発振するための閾値磁場よりも大きい。ここで閾値磁場とは、発振部101に直流電流が供給されている場合に、発振部101が発振するために最低限必要な磁場の大きさである。つまり発振部101は、直流電流Iと第1の磁場Hが印加されることにより発振する。
ここで、発振部101の閾値磁場がゼロより大きい場合は、発振部101を発振させるために、電流とともにゼロより大きい磁場を発振部101に印加する。電流のみで発振しない発振部101を用いた場合には、地磁気以上の磁場を印加する。ちなみに、ここでの地磁気とは、発振器に作用する地球磁気を示し、例えば、地表における地球磁気は、目安として37A/mである。
図1でのループ部113は、発振部101を中心に半径rの1巻き(ターン)の形状を有する。第1の磁場Hの方向は、おおよそ発振部101に流れる電流の方向と同じになる。第1の磁場H[A/m]の大きさは、ビオ・サバールの法則により数式(1)によって求めることができる。
H=nI/2r・・・(1)
ここでI[A]はループ部113を流れる電流、r[m]はループ部113の半径、nはループ部113の巻き数(ターン数)である。図1におけるループ部113は1ターンであるが、ループ部113のターン数は1ターンに限ったものではない。第1の磁場Hの大きさは、ループ部113の巻き数n、ループ部113を流れる電流I、または、ループ部113の半径rの大きさによって調整することができる。また、発振部101を貫通する第1の磁場Hの印加方向は、ループ部113の巻き方を逆巻きにすることで、逆の方向に調整することができる。
このようにループ部113は発振部101の極近傍に配置でき、数式(1)が示すように半径rが小さくなるほど発振部101に強い磁場Hを印加することができる。したがって、磁石などの外部の磁場印加機構を用いる必要がなくなる、或いは、磁場印加機構は小型化される。つまり、この構成により発振器としても小型化することができる。
さらに、ループ部113は、発振部101から発振した電力を電磁場として放出するアンテナとしても使用することができる。したがって、発振器100から電磁場を外部へ放出させる場合、あらたにアンテナを設ける必要がなくなり、発振器100としての小型化が可能になる。ここでアンテナとは、波長より十分大きい距離へ電磁波を伝送させるためのアンテナや、波長と同程度、または波長より小さい距離へ電磁場を伝送させるアンテナや共振器等を意味する。
発振部101は、例えば磁気抵抗効果素子や、発振回路と磁気共鳴を用いたフィルタで構成されるフィルタ付発振器や、ジョセフソン素子や、ゼーマンレーザーを用いることができる。
図2には磁気抵抗効果素子の構成例を示す。磁気抵抗効果素子205は磁性層であるピン層206aと、磁性層であるフリー層206bと、その間に配置されたスペーサ層207とを有する。ここでのピン層206aの磁化方向は固定されており、矢印209aはピン層206aの磁化の固定方向を示す。フリー層206bの磁化方向は、電流を印加する前の状態では、有効磁場の方向を向いており、矢印209bは有効磁場の方向を示す。有効磁場は、フリー層206b内で生じる異方性磁場、交換磁場、外部磁場、反磁場の和である。図2では、ピン層206aの磁化の方向と、フリー層206bの有効磁場の方向が、互いに反対方向を向いているが、互いの方向はこれに限らない。
磁気抵抗効果素子205は特に限定されないが、例えばGMR素子、またはTMR素子、またはスペーサ層207の絶縁層中に電流狭窄パスが存在する磁気抵抗効果素子などを用いることができる。
磁気抵抗効果素子205にGMR素子を用いる場合、スペーサ層207は、例えば、銅など非磁性金属を用いることができる。GMR素子のフリー層206bおよびピン層206aの材料は、例えば、コバルト、鉄、ニッケル、クロムなどの磁性金属とその合金、又は、磁性合金にボロンを混入した合金を用いることができる。ピン層206aの磁化を固定するには、イリジウム、鉄、白金、マンガンなどの合金による反強磁性層との交換結合や、磁性金属多層膜(例えばコバルト鉄−ルテニウム−コバルト鉄の多層膜)による反強磁性結合を用いることができる。そして各層の厚さは0.1〜50nm程度が好ましい。GMR素子は、スペーサ層207が金属からなるため、他の磁気抵抗効果素子に比較して抵抗値が低い。このため、磁気抵抗効果素子205を低インピーダンスの回路に接続する際に、インピーダンス整合の観点で好ましい。
磁気抵抗効果素子205にTMR素子を用いる場合、スペーサ層207は、例えば、アルミナや酸化マグネシウム(MgO)の絶縁層を用いることができる。TMR素子のフリー層206bおよびピン層206aの材料は、例えば、コバルト、鉄、ニッケル、クロムなどの磁性金属とその合金、又は、磁性合金としてボロンを混入した合金を用いることができる。ピン層206aの磁化を固定するには、イリジウム、鉄、白金、マンガンなどの合金による反強磁性層との交換結合や、磁性金属多層膜(例えばコバルト鉄−ルテニウム−コバルト鉄の多層膜)による反強磁性結合を用いることができる。そして各層の厚さは0.1〜50nm程度が好ましい。TMR素子はスペーサ層207が絶縁層からなるため、他の磁気抵抗効果素子に比較して抵抗値が高い。このため、磁気抵抗効果素子205を高インピーダンスの回路に接続する際に、インピーダンス整合の観点で好ましい。
さらに磁気抵抗効果素子205に、スペーサ層207の絶縁層中に電流狭窄パスを有する磁気抵抗効果素子を用いる場合、そのスペーサ層207の絶縁層はAl等からなる。スペーサ層207の電流狭窄パスは、例えば銅などの非磁性金属や、コバルト、鉄、ニッケル、クロムなどの磁性金属とその合金、又は、磁性合金にボロンを混入した磁性金属を用いることができる。この磁気抵抗効果素子205の磁化自由層および磁化固定層には、例えば、コバルト、鉄、ニッケル、クロムなどの磁性金属とその合金、又は、磁性合金にボロンを混入した合金を用いることができる。ピン層206aの磁化を固定するには、イリジウム、鉄、白金、マンガンなどの合金による反強磁性層との交換結合や、磁性金属多層膜(例えばコバルト鉄−ルテニウム−コバルト鉄の多層膜)による反強磁性結合を用いることができる。そして、各層の厚さは0.1〜50nm程度が好ましい。この磁気抵抗効果素子205は、電流狭窄パスを有し、その電流狭窄パスによって電流密度を上げられる。このため、素子への投入電流を他の磁気抵抗効果素子に比較して小さくすることができる。この磁気抵抗効果素子205を発振部101に使用することによって、消費電力を抑えた回路とすることができる。
本実施形態に係る磁気抵抗効果素子205の自励発振について説明する。ここで自励発振とは、振動的でない直流電流により電気的振動が誘起される現象である。磁気抵抗効果素子205に直流電流Iを流すと、伝導電子208が直流電流Iとその逆方向、すなわちピン層206aからスペーサ層207を介してフリー層206bに流れる。矢印209aの方向に磁化したピン層206aにおいて、伝導電子208のスピンは矢印209aの方向に偏極する。矢印209cは伝導電子208のスピンの方向を表す。スピン偏極した電子208はスペーサ層207を介してフリー層206bに流れこむことで、フリー層206bの磁化と角運動量の受け渡しを行う。これによって、フリー層206bの磁化の方向を、有効磁場の方向を示す矢印209bの方向から傾かせようとする作用が働く。一方で、フリー層206bの磁化の方向を、有効磁場の方向を示す矢印209bの方向に安定させようとするダンピングの作用がはたらく。したがって、これら2つの作用がつりあって、フリー層の磁化方向は有効磁場の方向の周りを歳差運動する。この歳差運動を、フリー層の磁化方向を示す矢印209dの、有効磁場の方向を示す矢印209bのまわりの運動として表わし、一点鎖線209eによって矢印209dの歳差運動の軌跡を示す。フリー層の磁化方向がピン層の磁化方向に対して高周波で変化するため、フリー層の磁化方向とピン層の磁化方向の相対角度に依存して抵抗が変化する磁気抵抗効果によって、抵抗値も高周波で変化する。直流電流Iに対して抵抗値が高周波で変化するので、およそ100MHzから1THzの高周波数で振動する電圧が発生する。有効磁場の方向は、ピン層206aの磁化方向に対して反対方向である180度の角度を有するだけでなく、同じ方向である0度や、45度、90度、または135度のような角度を有することができる。
印加磁場と発振周波数は、おおよそ比例関係にある。したがって、高周波の発振を生じさせるためには、外部磁場は大きい方が望ましい。
また発振部101に発振回路と磁気共鳴を用いたフィルタで構成されるフィルタ付発振器を用いる場合のフィルタ付発振器の構成例を図3に示す。フィルタ付発振器300は発振回路301と、磁気共鳴を用いたフィルタ302と、導体103とを備える。導体103は、フィルタ付発振器300に電流を供給する部分と、フィルタ付発振器300から電流が流出する部分と、発振回路301とフィルタ302を接続する部分とを含む。フィルタ付発振器300においては、磁気共鳴を用いたフィルタ302に、電流が発生する磁場を効率良く印加できるように、導体103と、磁気共鳴を用いたフィルタ302を配置することが望ましい。
磁気共鳴を用いたフィルタを利用したフィルタ付発振器300には、例えばYIG発振器を用いることができる。YIGとはYttrium Iron Garnet/YFe(FeOの略である。YIG発振器は発振回路とYIGにより構成される。YIGは球状が好ましい。YIGの単結晶フェライトで作った球は、磁場を印加すると鋭い磁気共鳴を示すため、その周波数の信号を通過させるフィルタとして機能する。発振回路に電流を流すと発振が生じ、フィルタとして機能するYIGに発振信号を通過させることで、発振は鋭いピークのスペクトルとなって出力される。
YIGが通過させる信号の周波数は、印加磁場の大きさにおおよそ比例する磁気共鳴周波数で決定される。従って、磁気共鳴を用いたフィルタを利用したフィルタ付発振器300においても、高周波で発振させるためには大きな外部磁場が必要となる。
発振部101に、交流ジョセフソン効果を用いた発振素子を用いることもできる。交流ジョセフソン効果は、2つの超伝導体を接続したジョセフソン接合部に閾値以上の直流電流を供給すると、接合部に交流電流が流れる効果である。さらに、外部磁場をジョセフソン接合部に印加することで、交流の周波数を変化できることが知られている。したがって、交流ジョセフソン効果を用いた発振素子は、外部磁場により周波数可変な発振部として用いることができる。
発振部101に、ゼーマンレーザーを用いることもできる。ゼーマンレーザーは、磁場により原子のエネルギー準位が分裂するゼーマン効果を用いたレーザーであり、磁場と電流をレーザー発振部に印加すると、周波数の異なる2つの偏光成分を発振する。さらに磁場により、発振周波数を変化できることが知られている。したがって、ゼーマンレーザーは、外部磁場により周波数可変な発振部として用いることができる。
実施形態1に係る発振器100を使用するための周辺回路の一例を図4に示す。周辺回路400は、直流電流源401と、負荷402と、インダクタLaと、キャパシタCaとからなる。インダクタLaは発振器100が発振した高周波出力の直流電流源401への流入を防ぎ、キャパシタCaは直流電流の負荷402への流入を防ぐことができる。
直流電流源401から直流電流を発振器100に供給すると、発振器100は高周波を出力する。高周波の信号はインダクタLaに比較してインピーダンスが小さいキャパシタCaを主に通過し、負荷402で検出される。
(実施形態2)
図5は実施形態2に係る発振器を示す図である。実施形態2の発振器500は、直流電流Iを発振部101に流入させる導体103aに構成したループ部113と、発振部101から直流電流Iを流出させる導体103bに構成したループ部501とを有する。発振器500に直流電流Iを供給すると、ループ部113を流れる直流電流Iによって磁場Hが発生し、さらにループ部501を流れる直流電流Iによって磁場Hが発生する。ループ部113とループ部501とは、磁場Hと磁場Hとが発振部101に印加されるように配置されている。
実施形態2は、磁場Hと磁場Hによる約2倍の合成磁場が、第1の磁場として発振部101に印加される。このため、発振器500から、より高周波の発振を得ることができる。ループ部は同一平面上に形成したスパイラル状や、3次元に形成したソレノイド状を用いることもできる。
(実施形態3)
図1において、発振部101が図2の磁気抵抗効果素子205である場合の第1の磁場Hの方向は、磁気抵抗効果素子205を構成する膜面に対して略面直方向である。実施形態3は、磁気抵抗効果素子205の膜面に対して略面内方向に磁場が印加されることで発振が生じる発振器である。
図6は実施形態3に係る発振器の構成例を示す図である。実施形態3の発振器では、磁気抵抗効果素子205の面内方向に第1の磁場Hが印加されるように、ループ部113の軸心を磁気抵抗効果素子205の膜面に対して平行になるように配置する。ここで面内方向とは、磁気抵抗効果素子205を構成する層面に対して平行な方向である。
実施形態3は、磁場Hが磁気抵抗効果素子205の膜面に対して略面内方向に印加されるので、膜面に対して略面内方向に磁場が印加されることで発振強度を向上できる素子に対して、より好ましい形態である。
磁気抵抗効果素子205に印加する第1の磁場Hの方向は、膜面に対して面直方向や面内方向に限られず、ループ部と磁気抵抗効果素子205のなす角度を調整することにより、磁気抵抗効果素子205に印加する磁場の角度を任意に設定できる。
実施形態3の説明では、発振部101が磁気抵抗効果素子205である場合を説明したが、発振部101にフィルタ付発振器や、ジョセフソン素子や、ゼーマンレーザーを用いることができる。
(実施形態4)
発振強度を向上させる手段として、外部磁場の強度を強くする方法が挙げられる。外部磁場の強度を上げるには数式(1)より、コイルの巻き数や電流を増加させれば良い。しかし、巻き数の増加には限度があり、電流の増加は消費電力の増加をともなう等の影響から、外部磁場の強度を上げるには限度がある。そこで、発振強度を向上させる他の手段として、外部磁場の角度を変える手段が挙げられる。
実施形態4に係る発振器は、磁気抵抗効果素子205に所定の膜面内の任意の角度で磁場を印加できるように配置された2つのループ部を有する。実施形態4に係る発振器は、2つのループ部から生じる磁場を合成することで、所定の面内の任意の角度で発振部に第1の磁場を印加できる。
図7は実施形態4に係る発振器の模式図である。発振器700は発振部である磁気抵抗効果素子205と、磁気抵抗効果素子205に直列に接続された導体103と、可変抵抗702x、702yとを有する。導体103は第1のループ部701xと、第2のループ部701yとを有する。第1のループ部701xと第2のループ部701yは磁気抵抗効果素子205に直列に接続されている。第1のループ部701xは、磁気抵抗効果素子205の略膜面内方向に磁場Hxが印加されるように配置する。第2のループ部701yは、磁気抵抗効果素子205の略膜面内方向に磁場Hyを印加するように、かつ磁場Hyが磁場Hxと非平行、好ましくは直交するように配置する。可変抵抗702xと702yとは、それぞれ第1のループ部701xと第2のループ部701yとに各々電気的並列に接続される。
直流電流Iを流す際に可変抵抗702x、702yの抵抗値を調節することで、第1のループ部701xが発生させる磁場Hxと、第2のループ701yが発生させる磁場Hyとを調節することができる。従って磁場Hxと磁場Hyの合成磁場は強度が可変となり、さらに、磁気抵抗効果素子205に任意の角度で磁場を印加することが可能である。ここでは例として、磁場Hxと磁場Hyが磁気抵抗効果素子205の略膜面内方向に存在する場合で説明したが、磁場印加方向は特に限定されず、略膜面内方向でなくても良い。
実施形態4は外部磁場の角度を平面内で変えることができるので、外部磁場の角度を変えることで発振強度を向上できる素子に対して、より好ましい形態である。
実施形態4の説明では、発振部101が磁気抵抗効果素子205である場合を説明したが、発振部101にフィルタ付発振器や、ジョセフソン素子や、ゼーマンレーザーを用いることができる。
(実施形態5)
実施形態4は2つのループ部を有する構造であったが、ループ部を増やすことで、特定の平面内に限らず、あらゆる角度から第1の磁場を印加させる実施形態を以下に示す。
図8は実施形態5に係る発振器の模式図である。実施形態5に係る発振器800は、磁気抵抗効果素子205と、磁気抵抗効果素子205に直列に接続された導体103と、可変抵抗803x、803y、803zとを有する。導体103は第1のループ部801xと、第2のループ部801yと、第3のループ部801zとを有する。第1のループ部801xと第2のループ部801yと第3のループ部801zは磁気抵抗効果素子205に直列に接続されている。磁気抵抗効果素子205に対して磁場の印加される方向を直交座標系802で説明する。直交座標系802のZ軸方向は、磁気抵抗素子205の電流Iの印加方向と同じ方向を示している。ここで、第1のループ部801xの軸心は直交座標系802のx軸に平行となるように配置し、第2のループ部801yの軸心はy軸に平行となるように配置し、第3のループ部801zの軸心はz軸に平行となるように配置する。さらに、第1のループ部801xの軸心と第2のループ部801yの軸心と第3のループ部801zの軸心は1点で交差し、その交差点に磁気抵抗効果素子205を配置する。また、可変抵抗803x、803y、803zは、それぞれ第1のループ部801x、第2のループ部801y、第3のループ部801zに電気的並列に接続される。
磁気抵抗効果素子205に印加する合成磁場をH=(H,H,H)とする。磁気抵抗効果素子205の位置にループ部801xの発生する磁場がHになるように可変抵抗803xの抵抗値を調整する。同様に磁気抵抗効果素子205の位置にループ部801yの発生する磁場がHになるように可変抵抗803yの抵抗値を調整し、磁気抵抗効果素子205の位置にループ部801zの発生する磁場がHになるように可変抵抗803zの抵抗値を調整する。これによって、直流電流Iを流した際に磁気抵抗効果素子205に所望の合成磁場Hが印加されるので、磁気抵抗効果素子205に任意の角度から第1の磁場を印加することができ、発振の周波数や強度を柔軟に変化させることが可能となる。
以上に代表的な構成を示したが、本発明の実施形態はこれに限られるものではない。たとえば、発振部101をループ部の途中に配置する、または発振部101を別々のループ部の中間に配置する、または発振部101をループ部近傍の任意の位置に配置する構成を用いることができる。
実施形態5は外部磁場の角度を任意の方向に変えることができるので、外部磁場の角度により発振強度を向上できる素子に対して、より好ましい形態である。
実施形態5の説明では、発振部101が磁気抵抗効果素子205である場合を説明したが、発振部101にフィルタ付発振器や、ジョセフソン素子や、ゼーマンレーザーを用いることができる。
(実施形態6)
以上では、発振部に供給する電流が発生する磁場を、発振部に印加する形態を説明した。磁場を増加させる他の手段として、数式(1)よりループ部に流れる電流を増加させる手段が挙げられる。しかし、発振部の耐電流を越えるような大きな電流は発振部に印加できない。そこで、実施形態6では、発振部とループ部とを、ループ部を流れる電流の大きさが発振部を流れる電流よりも大きくなるように配置する。
以下、電気回路による実施形態の説明において、ループ部はインダクタと抵抗が直列接続したものと等価とする。また、図中において、実施形態の効果を説明する上で不要な場合、抵抗の図示は省略されることがある。
図9は実施形態6に係る模式図である。発振器900は、発振部101と、発振部101に直列に接続された導体103aと導体103bと、電流増幅手段である電流増幅部902とを有する。導体103bはループ部を有し、ループ部はインダクタ901で表現される。電流増幅部902は入力端と出力端とを有し、入力端から入力された電流を増幅して出力端に出力する。発振部101は電流増幅部902の入力端に直列に接続され、インダクタ901は電流増幅部902の出力端に直列に接続されている。
発振部101に直流電流Iを流すと、電流増幅部902は増幅電流Iを発生させる。インダクタ901で表現されるループ部は増幅電流Iが流れることによって発振部101の位置に磁場Hを発生させる。発振部101は直流電流Iと磁場Hが印加されることで、所望の周波数で発振する。発振器900は、インダクタ901で表現されるループ部を流れる電流の大きさが発振部101を流れる電流よりも大きくなるように構成されている。したがって、発振部101には大電流が流れないため、発振部101を過電流から保護することが可能である。
電流増幅部902は、トランジスタ、市販のチップ形状のアンプ、または増幅回路などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。
電流増幅手段の配置は、実施形態6で示したような、発振部101と電流増幅手段が直列である配置に限らない。ループ部を流れる電流の大きさが、発振部101を流れる電流よりも大きくなる構成ならばよい。たとえば、発振部101と電流増幅手段が並列となる配置を用いることもできる。
実施形態6は、発振部101に流れる電流を増加せずに、ループ部を流れる電流を大きくすることで、ループ部が発生する磁場を強くできる。したがって実施形態6は、素子を電流から保護しつつ高周波の発振を得たい場合に、より好ましい形態である。
(実施形態7)
より高周波で発振部を発振させるためには、より強い磁場が必要となる。その場合は、ループ部を流れる電流が発生する第1の磁場と、磁場印加手段が発生する第2の磁場との合成磁場とを発振部に印加することで、発振部の高周波発振が可能となる。
図10は実施形態7に係る発振器1000を示す図である。実施形態7の発振器1000は、発振部101と、発振部101に直列に接続された導体103と、磁場印加手段である磁石1001とを有する。導体103はルーブ部113を有する。磁石1001は発振部101の近傍に配置する。磁石1001は、1つより2つ配置する方が、発振部101に印加される磁場の偏りが少なくなるので好ましい。また磁石は、コバルト、鉄、ニッケル、クロム、白金などや、それらの合金などで構成されるハードバイアス膜を用いてもよい。
ループ部113は、ループ部113を流れる電流Iにより第1の磁場Hを発生し、磁石1001は第2の磁場として磁場Hを発生する。発振部101に印加される磁場Hと第1の磁場Hとの合成磁場が、発振部101が発振するために必要な閾値磁場より大きくなるように、磁石1001とループ部113とを配置する。比較的強い磁場が発振部101に印加されるので、高周波数での発振に好ましい実施形態である。
また、磁石1001の位置を変化させることで印加磁場強度を調整すれば、発振周波数を変化できる。
第2の磁場を印加する磁場印加手段は磁石に限られず、例えば、外部の配線、または外部のコイルや電磁石を用いることができる。その場合でも、外部の磁場印加手段だけを用いた従来の場合に比べて、発振器の小型化を実現できる。
実施形態7は、ループ部113を流れる電流Iが発生する第1の磁場Hと、磁場印加手段が発生する第2の磁場Hmとの合成磁場を発振部101に印加できるので、発振部101の高周波発振を得たい場合、より好ましい形態である。
実施形態7は、ループ部113を流れる電流Iが発生する第1の磁場Hが、発振部101が発振するために必要な閾値磁場より大きくなるように、ループ部113を配置することができる。
本発明の発振器は上記の実施形態に限られず、例えば、ループ部113を流れる電流Iによって発振部101に印加される磁場Hは、発振部101が発振するための閾値磁場に比較して小さく、別の磁場を印加することで発振する強度でもよい。また、閾値磁場が0[A/m]の発振部に対して、数式(1)に従ってより高周波の発振を生じさせるために、本実施形態を用いても良い。
(実施形態8)
さらに、本発明の発振器は上記の実施形態に限られず、発振部101に磁場を印加するループ部の代わりに、ループを形成していない導体を用いることもできる。実施形態8では、実施形態1のループ部の代わりに、ループを形成していない導体を用いる。
図11は実施形態8に係る発振器を示す模式図である。実施形態8の発振器100aは発振部101と、発振部101に直列に接続された導体103とを備える。導体103は、直流電流Iを発振部101に流入させる導体103aと、流出させる導体103bとを有する。
発振器100aに直流電流Iを供給すると、導体103を流れる直流電流Iによって、磁場Hが発生する。導体103は、磁場Hが発振部101に印加されるように配置されている。導体103は、直流電流Iの流入側の導体103aに限らず、直流電流の流出側の導体103bを流れる直流電流Iによっても、磁場Hが発振部101に印加されるように配置されていてもよい。さらに導体103は、磁場Hが発振部101が発振するための閾値磁場よりも大きくなるように配置されている。
発振部101に磁場を印加するために、ループ部を形成していない導体を用いる実施形態は本実施形態8に限られない。例えば、実施形態2から7におけるループ部の代わりに、ループを形成していない導体を用いることもできる。
(実施形態9)
実施形態9では、実施形態1の発振部101を整流部と置き換え、さらに電流Iを交流電流IACにし、発振器100を交流を直流に変換する整流器とする。さらに整流部に磁気抵抗効果素子205を用いる。
図12は、実施形態1の図1における直流電流Iを交流電流IACとし、発振部101に置き換えた整流部として磁気抵抗効果素子205を用いた整流器の模式図である。図12において、導体103を介して交流電流IACを磁気抵抗効果素子205に印加すると、ループ部113は交流電流IACによって磁場HACを発生する。ループ部113は、磁場HACが磁気抵抗効果素子205に印加されるように配置する。この磁場HACが、後述するスピントルクFMR(Ferromagnetic Resonance)効果が生じるのに必要な閾値磁場を越えている場合、磁気抵抗効果素子205は交流を直流に変換する。すなわち1100は、整流器となる。ここで閾値磁場とは、磁気抵抗効果素子205に交流電流が供給されている場合に、磁気抵抗効果素子205がスピントルクFMR効果を発現するために最低限必要な磁場の大きさである。
閾値磁場がゼロより大きい整流部においてスピントルクFMR効果を発現させるためには、交流電流とともにゼロより大きい磁場を整流部に印加する。交流電流のみでスピントルクFMR効果を発現しない整流部を用いる場合は、地磁気以上の磁場を印加する。ちなみに、ここでの地磁気とは、発振器に作用する地球磁気を示し、例えば、地表における地球磁気は、目安として37A/mである。
ここでスピントルクFMR効果について説明する。図2における磁気抵抗効果素子205に、各層の面直方向に交流電流を印加する場合を考える。交流の半周期で電子208がピン層206aからフリー層206bへ注入される場合は、フリー層206bとピン層206aの磁化が平行になるようにフリー層206bの磁化方向が回転し、磁気抵抗効果素子205の抵抗値が下がる。逆にフリー層206bからピン層206aへ電子208が注入される半周期では、フリー層206bとピン層206aの磁化方向は互いに反平行になるようにフリー層の磁化方向が回転し、抵抗値が上がる。交流電流により、この抵抗変化の現象が交互に起きて、振動電圧とともに直流電圧成分が発生する。すなわち交流を直流に変換する整流作用を示す。これをスピントルクFMR効果とよぶ。スピントルクFMR効果が発生する周波数、つまり整流周波数は印加磁場によるため、所望の周波数でスピントルクFMR効果を発生させるのに十分な磁場を印加する必要がある。
ループ部113は整流部である磁気抵抗効果素子205の極近傍に配置できるので、数式(1)が示すように小さい半径rによって強い磁場を整流部に印加できる。これにより整流器の小型化が可能になる。
さらに、ループ部113を、外部からの電磁場を受けて磁気抵抗効果素子205へ電力を供給するアンテナとしても使用することができる。したがって、整流器に外部から電磁場を供給する場合、あらたにアンテナを設ける必要がなくなり、整流器の小型化が可能になる。ここでアンテナとは、波長より十分大きい距離から到来する電磁波を受信するためのアンテナだけでなく、波長と同程度、または波長より小さい距離からの電磁場を受信するアンテナや共振器も含む。
整流部には、磁気抵抗効果素子だけでなく、例えば、ジョセフソン素子を用いることもできる。
図13は実施形態9に係る整流器1100を使用するための周辺回路の一例を示す図である。周辺回路1200は、交流電流源1201と、負荷1202と、インダクタLaと、キャパシタCaとからなる。インダクタLaは交流電流の負荷1202への流入を防ぎ、キャパシタCaはスピントルクFMR効果により発生した直流の交流電流源1201への流入を防ぐことができる。
交流電流源1201からの交流電流IACは、インピーダンスが小さいキャパシタCaを通過するが、インピーダンスが大きいインダクタLaはほとんど通過しない。そのため、交流電流IACは効率良く整流器1100に供給される。整流器1100は交流電流IACを直流に変換し、直流出力は負荷1202で検出される。
以後の実施形態の説明において、周辺回路1200は省略する。
(実施形態10)
実施形態10の整流器では、実施形態2から8の発振部101を置き換えた整流部として磁気抵抗効果素子205を用い、さらに直流電流Iを交流電流IACにすることで、交流電流IACにより発生する磁場HACを磁気抵抗効果素子205に効率良く印加できる。磁気抵抗効果素子205に交流電流IACと磁場HACが印加されることで、スピントルクFMR効果により磁気抵抗効果素子205は交流を直流に整流する。
本発明の整流器は上記の実施形態に限られず、例えば、磁気抵抗効果素子205に印加される磁場は、スピントルクFMR効果が生じるための閾値磁場に比較して小さく、別の磁場を印加することでスピントルクFMR効果を発現させる強度でもよい。また、閾値磁場が0[A/m]の磁気抵抗効果素子205に対して、所望の周波数でスピントルクFMR効果を生じさせるために、実施形態9と10を用いることができる。
(実施形態11)
実施形態11では、実施形態9または10の整流器で交流電流IACを信号電流にすることで、信号電流により発生する磁場を磁気抵抗効果素子205に効率良く印加できる。磁気抵抗効果素子205に信号電流と、信号電流により発生する磁場が印加されることで、スピントルクFMR効果が生じる。この実施形態11は信号電流を直流に整流して受信するので、受信器となる。
(実施形態12)
発振部の出力を無線伝送するために、発振器と直流的に絶縁した電気回路に、発振部の出力を電磁気的な結合で伝送する手段を設けることができる。電磁気的な結合には、電磁誘導による誘導結合、容量による結合、電磁気的な共鳴による結合、電磁波による結合などがあげられる。実施形態12では、誘導結合を用いた実施形態を説明する。
図14は、実施形態12に係る送信装置の回路図である。実施形態12の送信装置1300は、第1の電気回路1301と第2の電気回路1302とを有する。第1の電気回路1301は、発振器100と電気回路1305とを有する。1例として発振器100を実施形態1とし、ループ部113を第1のインダクタ1307で表現する。第2の電気回路1302は、導体1303と電気回路1306とを有する。電気回路1306は、送信装置1300の外部へ信号を送信するアンテナを、図示しないが備えている。導体1303はループ部を有し、それを第2のインダクタ1304で表現する。発振器100と第2の電気回路1302は直流的に絶縁されている。第1のインダクタ1307と第2のインダクタ1304とは直流的には絶縁されているが、誘導結合している。
発振器100が発振すると第1のインダクタ1307には時間変動する電流が流れ、誘導結合により第2のインダクタ1304を介して、電気回路1302に電気回路1301による信号が伝送される。
誘導結合の部分においてインピーダンス整合を考慮すれば、誘導結合部において反射が低減されるため、信号伝送がより効率的に行われる。第1の電気回路1301のインピーダンスをZ1、第2の電気回路1302のインピーダンスをZ2とする。この2つの電気回路のインピーダンスを整合させるために、第1のインダクタ1307と第2のインダクタ1304の巻き数を調節する。本手法はトランスによるインピーダンス整合の手法として知られている。下に示す数式(2)を満たすように第1のインダクタ1307の巻き数N1と、第2のインダクタ1304の巻き数N2を決定すれば、第1の電気回路1301と第2の電気回路1302のインピーダンスが整合する。
(N1/N2)=Z1/Z2・・・(2)
発振部101に印加する磁場は数式(1)で示したようにインダクタの巻き数による。インピーダンス整合のために第1のインダクタ1307の巻き数N1が調整されると、発振部101に印加する磁場が変更されるので、第2のインダクタ1304の巻き数N2が調整されるのが望ましい。
第1のインダクタ1307と第2のインダクタ1304は、たとえばループ部の軸部分に鉄芯やその他の磁石を配置した構成や、トロイダルコアに第1のインダクタ1307と第2のインダクタ1304を設けた構成であっても良い。これらの構成は、誘導結合を強めたい場合に好ましい形態である。
発振器として実施形態1の発振器100を例にあげて説明したが、発振器は特に限定されず、例えば、他の実施形態における発振器を用いることができる。
(実施形態13)
実施形態13では、実施形態12の発振器100において、発振部101を磁気抵抗効果素子205を用いた整流部に置き換える。この構成で、導体1303に交流電流IACを流すと、誘導結合した第1のインダクタ1307が発生する磁場と電流が、磁気抵抗効果素子205に印加されるので、実施形態13は、磁気抵抗効果素子205のスピントルクFMR効果により交流電流から直流電圧を発生させる整流装置となる。
ちなみに、例えば実施形態12において、発振器100を他の実施形態における発振器とし、さらに発振部101を整流部である磁気抵抗効果素子205におきかえても整流装置を構成することができる。その構成で、導体1303に交流電流IACを流すと、電磁的な結合により発生する磁場と電流が、磁気抵抗効果素子205に印加されるので、磁気抵抗効果素子205はスピントルクFMR効果により交流電流から直流電圧を発生させる。ここで電磁気的な結合とは、電磁誘導による誘導結合、容量による結合、電磁気的な共鳴による結合、電磁波による結合などを意味するが、これに限ったものではない。
(実施形態14)
実施形態14は、実施形態13で説明した整流装置において、導体1303に信号電流を流すと、電磁的な結合により発生する磁場と電流を、磁気抵抗効果素子205に印加する。この場合、磁気抵抗効果素子205はスピントルクFMR効果により信号電流を直流に整流して受信するので、受信装置を構成できる。ここで電磁気的な結合とは、電磁誘導による誘導結合、容量による結合、電磁気的な共鳴による結合、電磁波による結合などを意味するが、これに限ったものではない。
(実施形態15)
実施形態15は、発振部101に磁場を印加する導体を、通信用のアンテナとして利用する送受信装置である。
図15は実施形態15に係る送受信装置を示す図である。実施形態15の送受信装置1400は発振器1401aと受信器1401bからなる。ここで、発振器1401aには実施形態1の発振器100を用いる。つまり発振器1401aは、発振部101と、発振部101に直列に接続され発信信号を入力する導体103aと導体103bとを有し、導体103aはループ部113を有する。受信器1401bはループ部113が発生した電磁場を受ける手段を有する導体1402bと、導体1402bが受けた電磁場を受信信号に変換する変換部1403とを有する。
送受信装置1400の動作を説明する。ここでの説明においては、通信符号化方式にNRZ(Non−Return−to−Zero)を用いる。NRZは信号が「1」の時に電圧はゼロでなく、信号が「0」の時に電圧をゼロとする符号化方式である。但し、本発明で用いることができる符号化方式はこれに限ったものではない。
信号値が「1」の時は、ループ部113と発振部101とに「1」の時間間隔だけ電流が流れ、ループ部113は磁場Hを発生させる。発振部101は発振に必要な電流と磁場Hが印加されることによって、所望の周波数で発振する。ループ部113は発振した電圧が印加されることで、磁場Hと重畳して電磁場EMを発生させる。電磁場EMは受信器1401bの導体1402bで受信される。受信された電磁場は変換部1403において受信信号に変換され、信号値「1」が伝達される。
信号値が「0」の時は、発振部101に電流が流れず、磁場も発生しないので、電磁場は受信器1401bに伝送されない。つまり、信号値「0」が伝達される。
本実施形態では、発振部101に磁場を印加するために設けたループ部113を、無線伝送用のアンテナとしても利用する。したがって、新たに無線伝送用のアンテナを設ける必要がなくなり、送受信装置の小型化が実現できる。
また、信号値が「0」の時はループ部113に電流が流れないため、通信に不要な電磁場が発生しない。つまり本実施形態は、省電力化、低ノイズ化の効果も期待できる。
ループ部113と導体1402b間の伝送は、例えば2つのループ部を対向させる電磁誘導法や、インダクタンスとキャパシタンスとで共振周波数が決まるLC共鳴による電磁共鳴法、パターン導体の線路長により共振周波数が決まる電磁共鳴法、導体間の容量による結合などを利用できる。
変換部1403は磁気抵抗効果素子205であっても良い。信号値「1」の時間間隔で発振部101が発振した高周波出力が、ループ部113と導体1402bを介して磁気抵抗効果素子205に入力されると、磁気抵抗効果素子205はスピントルクFMR効果により、高周波出力を直流出力に変換する。つまり、高周波出力となって伝送された信号値「1」を復調する。
磁気抵抗効果素子205を、ループ部113と導体1402bとで生じる磁場を印加できるように配置することで、磁気抵抗効果素子205に磁場を印加する機構を小型化または不要とすることができ、送受信装置の小型化を実現できる。
実施形態15では発振器1401aに実施形態1の発振器を使用する場合を示したが、実施形態1に限らず、他の実施形態の発振器を用いることもできる。受信器1401bは、実施形態11で説明した受信器を使用することができる。つまり、発振器と受信器を同じ構成として送受信装置を構成することが可能であるし、あるいはまた、発振器と受信器を異なる構成として送受信装置を構成することも可能である。それらの送受信装置では、磁場を印加する導体部を無線伝送に使用するアンテナとしても利用する。したがって、新たに無線伝送用のアンテナを設ける必要がなくなり、送受信装置の小型化が実現できる。ここでアンテナとは、波長より十分に大きい距離間での通信に用いるアンテナだけでなく、波長と同程度、または波長より小さい距離間の通信に用いるアンテナや共振器、その他の無線伝送部も含む。
また、本実施形態は無線給電に応用することが可能である。入力を常に信号値が「1」の状態とすれば、常に発振信号すなわちエネルギーが受信器1401bに供給されるので、無線電力供給が可能である。
本発明に係る発振器、整流器および送受信装置は、無線通信や無線電力給電などに利用可能である。
101・・・発振部、I・・・電流、103・・・導体、103a・・・発振部に電流を流入する導体、103b・・・発振部から電流を流出させる導体、H・・・磁場、113・・・ループ部、205・・・磁気抵抗効果素子、501・・・ループ部、701x、701y・・・ループ部、702x、702y・・・可変抵抗、Hx、Hy、Hz・・・磁場、801x、801y、801z・・・ループ部、803x、803y、803z・・・可変抵抗、1001・・・磁石、HAC・・・磁場、1301、1302・・・電気回路、1304・・・インダクタ、1307・・・インダクタ、1401a・・・発振器、1401b・・・受信器、1402b・・・導体、1403・・・変換部

Claims (2)

  1. 発振周波数が磁場により可変な発振部と、
    前記発振部に直列に接続された導体とを有する発振器であって、
    前記導体は第1のループ部および第2のループ部を備え、
    前記第1のループ部を流れる電流が第1の磁場を発生させ
    前記第1の磁場が前記発振部に印加されるように前記第1のループ部が配置され
    前記第2のループ部を流れる電流が第2の磁場を発生させ、
    前記第2の磁場が前記発振部に印加されるように前記第2のループ部が配置され、
    前記第2の磁場が前記第1の磁場と非平行となるように前記第1のループ部と前記第2のループ部が配置されていることを特徴とする発振器。
  2. 前記発振部が磁気抵抗効果素子、ジョセフソン素子、または磁気共鳴フィルタを有するフィルタ付発振器であることを特徴とする、請求項1に記載の発振器。
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