JP6179544B2 - 誘電体磁器組成物、電子部品および通信機器 - Google Patents

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Description

本発明は、Agを内部導体として使用可能な低温焼結性を有する誘電体磁器組成物、当該誘電体磁器組成物で構成されている誘電体層を有する電子部品、および当該電子部品を有する通信機器に関する。
近年、携帯電話などの通信分野に使用される電子部品の小型化、高性能化、高周波化に伴い、高周波特性を有するデバイスの需要が急速に高まっている。
特に、需要が増加している携帯電話等の移動体通信機器では、数百MHzから数GHz程度のいわゆる準マイクロ波と呼ばれる高周波帯域が使用されている。そのため、移動体通信機器に用いられるコンデンサ、フィルタ、共振器、回路基板等の電子部品においても高周波帯域での使用に適した諸特性が要求されている。
従来、マイクロ波領域において高い誘電率を持つ材料としては、Bi−Zn−Nb系酸化物が知られている。
特許文献1では、優れた誘電特性(大きい比誘電率(εr)と高いQf値)を有するBi−Zn−Nb系誘電体が開示されている。しかしながら、特許文献1に記載の誘電体は、焼結温度が900℃を超えており、焼成温度がAgの融点(962℃)を超える例も記載されている。そのため、Agを内部導体として使用する電子部品の用途としては、焼結温度のさらなる低下が求められていた。
これに対し、非特許文献1では、Bi−Zn−Nb系誘電体磁器組成物において、焼結温度を低下させる技術が提案されている。このような技術によれば、誘電特性を良好に維持しつつ、誘電体磁器組成物の焼結温度を850℃まで低下できる。
特許第4494881号
Ceramics International 30(2004)1187-1190.
しかし、Bi−Zn−Nb系誘電体磁器組成物を電子部品の誘電体層として使用する場合には、さらに、内部導体との関係も考慮する必要がある。すなわち、誘電体層と内部電極層とを同時に焼成する場合、内部導体のAgが誘電体層側に拡散することがあり、Agが誘電体層を構成する誘電体磁器組成物に拡散すると、内部導体の外部接続箇所における引き込み現象が発生することが本発明者等により見出された。このために、たとえば、内部導体と外部導体との導通が取れなくなるコンタクト不良が生じたり、内部導体パターンが途切れて内部導体としての本来の機能を果たさなくなることなどがあり、電子部品としての特性不良を生じる原因となることが本発明者等により見出された。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、Agを含む内部導体(以下、Ag内部導体ともいう)と同時焼成した場合においても、優れた誘電特性(大きい比誘電率(εr)と高いQ値)を有し、900℃以下での低温焼結が可能である誘電体磁器組成物、前記誘電体磁器組成物を有する電子部品、および前記電子部品を有する通信機器を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題について鋭意検討した結果、前記Bi−Zn−Nb系誘電体磁器組成物に0.4〜2.5質量%の銀を含有させることで、Ag内部導体に含まれるAgの誘電体磁器組成物への拡散を抑制し、低温焼結が可能でありながら優れた誘電特性を有する誘電体磁器組成物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明の要旨は以下の通りである。
[1] 主成分としてBi−Zn−Nb系酸化物を有する誘電体磁器組成物であって、
さらに、副成分として銀を含み、前記主成分100質量%に対する銀の含有比率αが、0.4〜2.5質量%である誘電体磁器組成物。
[2] 前記Bi−Zn−Nb系酸化物が一般式xBiO3/2―(yZnO−yCaO)―(zNbO5/2−zVO5/2)で表される化合物であって、
前記一般式中のx、y、y、zおよびzがそれぞれ、
35(モル%)≦x≦60(モル%)
10(モル%)≦(y+y)≦30(モル%)
0(モル%)≦y<10(モル%)
25(モル%)≦(z+z)≦40(モル%)
0(モル%)≦z<0.5(モル%)
x+y+y+z+z=100(モル%)
の関係を満足する上記[1]に記載の誘電体磁器組成物。
[3] 誘電体層を有する電子部品であって、
前記誘電体層が上記[1]または[2]に記載の誘電体磁器組成物で構成されている電子部品。
[4] 上記[3]に記載の電子部品を有する通信機器。
本発明によれば、Ag内部導体と同時焼成した場合においても、優れた誘電特性(大きい比誘電率(εr)と高いQ値)を有し、900℃以下での低温焼結が可能な誘電体磁器組成物、前記誘電体磁器組成物で構成されている誘電体層を有する電子部品、および前記電子部品を有する通信機器を得ることができる。
図1は、試料No.4に係る積層セラミックコンデンサ焼成体の端面部の画像である。 図2は、試料No.2に係る積層セラミックコンデンサ焼成体の端面部の画像である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
本実施形態に係る誘電体磁器組成物は、主成分としてBi−Zn−Nb系酸化物を有する。前記Bi−Zn−Nb系酸化物とは、少なくともビスマスの酸化物、亜鉛の酸化物およびニオブの酸化物を主成分として有する酸化物である。前記Bi−Zn−Nb系酸化物は、亜鉛の酸化物の一部がカルシウムの酸化物、マグネシウムの酸化物等で置換されていても良い。また、ニオブの酸化物の一部がバナジウムの酸化物、タンタルの酸化物等で置換されていてもよい。
また、前記Bi−Zn−Nb系酸化物は、Bi(Zn2/3Nb4/3)Oの単斜晶パイロクロア変態をベースとする結晶相を有することが、優れた誘電特性を有する誘電体磁器組成物とすることができるため好ましい。下述する好ましいBi−Zn−Nb系酸化物の組成は、Bi(Zn2/3Nb4/3)Oの単斜晶パイロクロア変態をベースとする結晶相を有しやすい組成でもある。
なお、前記「変態」とは、Bi、Zn、Nbからなる群のうち1種以上が、別の元素に一部置換されていても良く、また、理論的な組成比に対して多少ずれていても良いという意味である。
前記Bi−Zn−Nb系酸化物は、一般式xBiO3/2―(yZnO−yCaO)―(zNbO5/2−zVO5/2)で表される化合物であることが好ましい。この際、酸素(O)量は、上記式の化学量論組成から若干偏倚しても良く、y、zは0でもよい。
上記式中、xは、モル%換算で、35≦x≦60であることが好ましい。xはBiO3/2の成分比を表し、xを上記範囲とすることにより、優れた誘電特性を有する誘電体磁器組成物とすることができる。
上記式中、yは、モル%換算で、0<y≦30であることが好ましい。yはZnOの成分比を表し、yを上記範囲とすることにより、優れた誘電特性を有する誘電体磁器組成物とすることができる。
上記式中、yは、モル%換算で、0≦y<10であることが好ましい。yはCaOの成分比を表し、yを上記範囲とすることにより、優れた誘電特性を有する誘電体磁器組成物とすることができる。特に、yを大きくするとεrが大きくなる一方でQ値が低下傾向となることから、CaOの成分比yは、0≦y≦5とすることが、より好ましい。
ここで、上記式中、yとyは、10≦(y+y)≦30の関係を満足することが好ましい。ZnOとCaOの成分比の合計(y+y)を上記範囲とすることにより、優れた誘電特性を有する誘電体磁器組成物とすることができる。
上記式中、zは、モル%換算で、24.5<z≦40であることが好ましい。zはNbO5/2の成分比を表し、zを上記範囲とすることにより、優れた誘電特性を有する誘電体磁器組成物とすることができる。
上記式中、zは、モル%換算で、0≦z<0.5であることが好ましい。zはVO5/2の成分比を表し、zを上記範囲とすることにより、優れた誘電特性を有する誘電体磁器組成物とすることができる。特に、焼結温度を低下させながら、Q値の低下を抑制する観点から、VO5/2の成分比zは、0.01≦z≦0.3とすることが、より好ましい。さらに好ましくは、0.02≦z≦0.2である。
ここで、上記式中、zとzは、25≦(z+z)≦40の関係を満足することが好ましい。NbO5/2とVO5/2の成分比の合計(z+z)を上記範囲とすることにより、優れた誘電特性を有する誘電体磁器組成物とすることができる。
なお、上記式中、各成分比x、y、y、z、zは、x+y+y+z+z=100の関係を満足する。
また、本実施形態に係る誘電体磁器組成物は、副成分として、さらに銀(Ag)を含む。このような誘電体磁器組成物における副成分の含有比率αは、上記主成分100質量%に対して、0.4〜2.5質量%であり、好ましくは1.0〜2.0質量%である。Agの含有比率を上記範囲とすることにより、誘電体磁器組成物の焼結温度を低下できると共に、Agを内部導体とする電子部品の誘電体層として用いた場合におけるAg内部導体からの誘電体層へのAgの拡散を抑制できる。
本実施形態に係る誘電体磁器組成物は、さらに、銀(Ag)以外の副成分を含有することができる。銀以外の副成分としては、たとえば、銅酸化物、モリブデン酸化物、ガラス粉末、などを挙げることができる。また、銀以外の副成分の含有量には特に限定はないが、主成分100質量%に対して、5.0質量%以下であることが好ましい。
誘電体磁器組成物の製造方法
次に、本実施形態の誘電体磁器組成物の製造方法の一例について説明する。
まず、本実施形態では、主成分として、たとえば一般式xBiO3/2―(yZnO−yCaO)―(zNbO5/2−zVO5/2)で表されるBi−Zn−Nb系酸化物の原料を準備し、さらに、副成分である銀(Ag)などの原料を準備し、前記Bi−Zn−Nb系酸化物などの主成分の原料と、前記銀などの副成分の原料とを混合して誘電体原料とする。
前記Bi−Zn−Nb系酸化物の原料には特に制限はない。たとえば、Biの酸化物、Znの酸化物、Caの酸化物、Nbの酸化物およびVの酸化物等や、その混合物を用いてもよく、Bi、Zn、Ca、Nb、Vからなる群から選択される1種以上の元素を含む複合酸化物を用いてもよい。さらに、焼成により上記の酸化物または複合酸化物となる各種化合物、例えば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物等から適宜選択し、混合して用いてもよい。
さらに、上記の酸化物等を所定の組成になるように秤量して、混合し、混合物を所定温度で仮焼した後に得られる仮焼物を上記のBi−Zn−Nb系酸化物の原料としてもよい。
本実施形態では、前記仮焼物を上記Bi−Zn−Nb系酸化物の原料として用いる場合を例に説明する。上記Bi−Zn−Nb系酸化物を構成する各成分の原材料を所定の組成比率になるよう秤量して混合する。混合を行う方法としては、特に限定されないが、例えば、原料粉末を粉体状態で乾式混合により行っても良いし、原料粉末に水や有機溶媒や分散剤などを添加し、ボールミル等を使用し、湿式混合により行っても良い。混合時間は例えば4〜24時間程度とすれば良い。
次に、混合した粉体について仮焼を行う。この仮焼によって、Bi−ZnO−CaO−Nb−Vからなる結晶を生成させる。仮焼は、保持温度を好ましくは700〜900℃、温度保持時間を好ましくは1〜15時間とする。この仮焼は、大気中で行っても良く、また大気中よりも酸素分圧が高い雰囲気または純酸素雰囲気で行っても良い。
次に、仮焼にて得られた粉体を粉砕し、焼成前粉体を調製する。粉砕を行う方法としては、特に限定されないが、例えば、仮焼により得られた粉体に、水や有機溶媒や分散剤などを添加し、ボールミル等を使用し、湿式混合により行うことができる。粉砕時間は例えば4〜24時間程度とすれば良い。
また、副成分である銀(Ag)の原料には特に制限はなく、金属Ag粉末、酸化銀、硝酸銀等を用いることができる。本実施形態では、金属Ag粉末を用いることが好ましい。
副成分である銀(Ag)の原料を添加する工程は特に限定されない。例えば、上記Bi−Zn−Nb系酸化物を構成する各成分の原材料の混合時でもよく、前記仮焼にて得られた粉体の粉砕時でもよく、さらには、以下に示す成形物を作製する前の有機バインダー混合時でもよい。
得られた焼成前粉体に対して、アクリル系、エチルセルロース系、ナイロン系等の有機バインダーを混合した後、所望の形状に成形を行い、成形物を焼成して焼結する。成形は、シート法や印刷法等の湿式成形や、プレス成形等の乾式成形でも良く、所望の形状に応じて成形方法を適宜選択することができる。また、焼成雰囲気に特に限定は無く例えば、空気中のような酸素雰囲気下で行うことが好ましい。焼成温度は、Ag内部導体と同時に前記成形物を焼成する場合には、内部導体として用いるAg又はAgを主成分とする合金等の導体の融点以下であることが必要である。焼成温度としては、具体的には、900℃以下が好ましく、830〜860℃がより好ましい。
焼成温度における保持時間としては、具体的には、0.1〜5時間で行うことが好ましい。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
例えば、上述した実施形態に係る誘電体磁器組成物には、上述した主成分および副成分以外に、原料中の不可避的不純物元素の酸化物が数ppm〜数百ppm程度含まれていても良い。
また、本発明に係る誘電体磁器組成物の用途は特に限定されるものではないが、例えば、コンデンサ、フィルタ、共振器、回路基板等の各種電子部品の誘電体層として好適に用いることができる。
なお、本発明に係る誘電体磁器組成物を用いた電子部品は、携帯電話等の移動体通信機器、PC等の各種通信機器等に好適に用いることができる。
以下、実施例により発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例)
まず、試料No.1〜15に係る誘電体磁器組成物の作製方法を説明する。主成分の原料粉体としてBi、ZnO、CaCO、NbおよびVを準備した。これらの原料を、一般式xBiO3/2―(yZnO−yCaO)―(zNbO5/2−zVO5/2)において、焼成後の組成比が、それぞれ表1〜3に示す値となるように秤量して、純水を加えてボールミルにて16時間湿式混合し、乾燥した。
乾燥後の粉体を、大気雰囲気で、保持温度:800℃、保持時間:5時間で仮焼した。
仮焼後の粉体に純水を加えて、50%粒子径(D50)が0.6μmとなるまでボールミルで湿式粉砕した後、乾燥させた。
次いで、副成分の原料粉体として金属Ag粉末を準備した。上記乾燥後の化合物粉末と、前記金属Ag粉末とを、焼成後の誘電体磁器組成物におけるAgの含有比率αが表1〜3に示す値となるように秤量し、これらの粉末に対してアクリル樹脂バインダー、分散剤、可塑剤、有機溶剤を加えてボールミルにて混合して、誘電体ペーストを得た。
得られた誘電体ペーストをPETフィルム上に塗布し、乾燥後の厚みが約60μmとなるようにグリーンシートを形成した。誘電特性を測定するためのサンプルは、所定枚数のグリーンシートを積層し、加圧接着することにより得たグリーン基板を焼成し、次いで所定の大きさ(長さ:70mm×幅:0.8mm×厚み:0.8mm)に切断することで得た(試料No.1〜15)。
焼成条件は、保持時間:1時間、焼成雰囲気:大気雰囲気とし、保持温度は、保持時間1時間で前記グリーン基板の焼結が十分に進行する温度とした。各試料の保持温度(焼成温度)を表1〜3に記載した。
なお、得られた焼結体については、蛍光X線分析装置を用いたガラスビード法によって、表1〜3に示す組成比と一致していることを確認した。
(評価1)
誘電特性測定
比誘電率εr及びQ値は、空洞共振器摂動法により測定した。測定周波数は1.9GHzとした。これらの測定結果を表1〜3に示す。Q値の評価基準は、500以上を良好とした。
(評価2)
コンタクト不良率
試料No.2〜15のグリーンシートを用いて下記の積層セラミックコンデンサ試料を作製して、その静電容量値を測定した。測定数は各50個ずつとした。内部導体と外部導体の接続不良であるコンタクト不良の判定基準は、静電容量値が良品の80%以下であるものを不良と判断し、その発生率を算出した。結果を表1〜3に示す。
なお、試料No.1のグリーンシートについては、焼結温度が1000℃であり、Agの融点(962℃)より高いため、積層セラミックコンデンサ試料の焼成時にAg内部導体が溶融する。したがって、試料No.1のグリーンシートについては、コンタクト不良率の測定を実施しなかった。
(積層セラミックコンデンサ試料の作製方法)
上記グリーンシート上に、内部電極層用Agペーストを所定パターンに印刷した後、これらを複数枚積層し、加圧接着することによりグリーン積層体を得た。次いで、所定サイズに切断することによりグリーンチップを得た。
得られたグリーンチップを、脱バインダー処理を行った後に、以下に示す焼成条件にて焼成し、積層セラミックコンデンサ焼成体を得た(試料No.2〜15)。
焼成条件は、保持時間:1時間、焼成雰囲気:大気雰囲気とし、各試料の保持温度(焼成温度)を表1〜3に記載した。
次いで、得られた積層セラミックコンデンサ焼成体の端面部に、外部導体用Agペーストを塗布し、焼付け処理を行って積層セラミックコンデンサ試料を得た。得られた積層セラミックコンデンサ試料のサイズは、4.5mm(長さ)×3.2mm(幅)×0.6mm(厚み)であり、誘電体磁器組成物よりなる誘電体層の厚み40μm、内部電極層に挟まれた誘電体層の層数は4とした。
Figure 0006179544
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表1に示すように、所定の化合物を主成分とし、副成分として所定量のAgを含む本発明に係る誘電体磁器組成物は、Agを内部導体として有する電子部品の誘電体層として好適に用いることができることが確認された(試料No.3〜6)。
すなわち、試料No.3〜6に係る誘電体磁器組成物は、副成分としてAgを含有し、Agの含有比率αが0.4≦α≦2.5であることにより、前記誘電体磁器組成物からなる誘電体層とAg導体を含む内部電極層とが同時焼成される際に、内部電極層から誘電体層へのAg導体の拡散を抑制でき、コンタクト不良等の不具合の発生を有効に防止でき、優れた誘電特性(比誘電率およびQ値)を発現する。
これに対し、0.4≦α≦2.5を満たさない試料No.1、2、7の誘電体磁器組成物は、焼結温度が高すぎる(試料No.1、α=0)、誘電特性(Q値)が十分に得られない(試料No.7、α=3.5)、Agを内部導体として有する電子部品の誘電体層として用いた場合にコンタクト不良が発生する(試料No.2、α=0.2)、といった問題があることが確認された。
なお、コンタクト不良が発生している積層セラミックコンデンサ焼成体(試料No.2)について、端面部における内部電極層の露出状態の観察を行い、コンタクト不良が発生していない積層セラミックコンデンサ焼成体(試料No.4)との比較を行った。結果を図1、図2に示す。
図1は、誘電体層11が試料No.4の誘電体磁器組成物からなる積層セラミックコンデンサ焼成体の端面部の様子である。図1に示されるように、当該積層セラミックコンデンサ焼成体では、誘電体層11と内部電極層12とが明確に識別でき、内部電極層12から誘電体層11へのAgの拡散が抑制されていることがわかる。
一方、図2に示される図は、誘電体層11が試料No.2の誘電体磁器組成物からなる積層セラミックコンデンサ焼成体の端面部の様子である。図2に示されるように、試料No.2では、内部電極層12が引き込んでしまい、図1のように誘電体層11と内部電極層12とが明確には識別できていない。
以上の試験結果から、内部電極層12がAgを含み、誘電体層11に含まれるAgの濃度が低すぎる積層セラミックコンデンサの場合には、内部電極層12から誘電体層11へのAgの拡散が生じていると考えられる。そして、前記Agの拡散による内部電極層12の引き込みにより、コンタクト不良が発生すると考えられる。
表2には、VO5/2の含有量zを0.00モル%(試料No.8)、0.02モル%(試料No.9)、0.05モル%(試料No.10)、0.20モル%(試料No.11)と変化させ、VO5/2の含有量zを増加させた分だけNbO5/2の含有量zを減少させ、z+zを一定に保った場合の試験結果を示した。試料No.8〜11(α=1.0)は、全て誘電特性が良好であり、コンタクト不良が発生しなかった。その中でもVO5/2の含有量zが0.02≦z≦0.20の範囲内である試料No.9〜11は、VO5/2の含有量zが0である試料No.8と比較して、同等程度に良好なQ値を有しつつ、焼結温度を860℃から840℃以下に低下させている。
表3には、CaOの含有量yを0.00モル%(試料No.12)、1.67モル%(試料No.13)、3.34モル%(試料No.14)、5.00モル%(試料No.15)と変化させ、CaOの含有量yを増加させた分だけZnOの含有量yを減少させ、y+yを一定に保った場合の試験結果を示した。試料No.12〜15(α=1.0)は、全て誘電特性が良好であり、コンタクト不良が発生しなかった。また、CaOの含有量yが増加するにつれてεrが上昇する一方でQ値が低下する傾向にあることが確認された。
11…誘電体層
12…内部電極層

Claims (4)

  1. 主成分としてBi−Zn−Nb系酸化物を有する誘電体磁器組成物であって、
    副成分として銀を含み、前記主成分100質量%に対する前記副成分の含有比率αが、0.4〜2.5質量%である誘電体磁器組成物。
  2. 前記Bi−Zn−Nb系酸化物が一般式xBiO3/2―(yZnO−yCaO)―(zNbO5/2−zVO5/2)で表される化合物であって、
    前記一般式中のx、y、y、zおよびzがそれぞれ、
    35(モル%)≦x≦60(モル%)
    10(モル%)≦(y+y)≦30(モル%)
    0(モル%)≦y<10(モル%)
    25(モル%)≦(z+z)≦40(モル%)
    0(モル%)≦z<0.5(モル%)
    x+y+y+z+z=100(モル%)
    の関係を満足する請求項1に記載の誘電体磁器組成物。
  3. 誘電体層を有する電子部品であって、
    前記誘電体層が請求項1または2に記載の誘電体磁器組成物で構成されている電子部品。
  4. 請求項3に記載の電子部品を有する通信機器。
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