JP4802490B2 - 電子部品、誘電体磁器組成物およびその製造方法 - Google Patents

電子部品、誘電体磁器組成物およびその製造方法 Download PDF

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本発明は、たとえば積層セラミックコンデンサなどの電子部品の誘電体層などとして用いられる誘電体磁器組成物およびその製造方法と、この誘電体磁器組成物を誘電体層として有する電子部品に関する。
電子部品の一例である積層セラミックコンデンサは、たとえば、所定の誘電体磁器組成物からなるセラミックグリーンシートに、所定パターンの内部電極を印刷し、それらを複数枚交互に重ね、その後一体化して得られるグリーンチップを、同時焼成して製造される。積層セラミックコンデンサの内部電極層は、焼成によりセラミック誘電体と一体化されるために、セラミック誘電体と反応しないような材料を選択する必要がある。このため、内部電極層を構成する材料として、従来では白金やパラジウムなどの高価な貴金属を用いることを余儀なくされていた。
しかしながら、近年ではニッケルや銅などの安価な卑金属を用いることができる誘電体磁器組成物が開発され、大幅なコストダウンが実現した。
また、近年、電子回路の高密度化に伴う電子部品の小型化に対する要求は高く、積層セラミックコンデンサの小型化、大容量化が急速に進んでいる。積層セラミックコンデンサを小型、大容量化するためには、一般に誘電体層を薄層化する方法や、誘電体層に含有される誘電体磁器組成物の比誘電率を増加させる方法などがとられている。しかしながら、誘電体層を薄層化した場合においては、コンデンサとしての種々の電気特性、たとえば、静電容量の温度特性や、直流電界下での静電容量の経時変化、絶縁抵抗の加速寿命、直流バイアス下の容量低下等の各特性を満足することは、困難であった。
この問題を解決するために、たとえば特許文献1には、酸化シリコンを主成分として含む焼結助剤である第2副成分と、その他の副成分とを有する誘電体磁器組成物の製造方法において、次のような方法が開示されている。すなわち、この文献では、まず、第2副成分を除いて、主成分とその他の副成分のうち少なくとも一部とを混合・仮焼きして仮焼き済み原料を得る。そして、この仮焼き済み原料に第2副成分を添加して、焼成し、誘電体磁器組成物を得ている。
しかしながら、この特許文献1に記載の方法では、主成分と、第2副成分以外のその他の副成分とを仮焼きする際に、主成分とその他の副成分とを均一に分散させることが困難であり、そのため、不具合が生じてしまうという問題があった。すなわち、この文献記載の方法では、仮焼き前の原料において、主成分とその他の副成分との分散が不均一となってしまうため、仮焼き後の仮焼き済み原料において、副成分の偏析が発生したり、仮焼き効果が不均一となり、特性のバラツキが大きくなってしまうという問題が生じていた。特に、小型化、大容量化に対応するために、主成分の原料として微細な原料(たとえば、0.35μm以下程度)を使用した場合には、仮焼き前に、主成分とその他の副成分とを均一に混合することが著しく困難であった。
一方、特許文献2には、チタン酸バリウムと、希土類酸化物を含む種々の副成分とからなる誘電体磁器組成物において、チタン酸バリウムと希土類酸化物を前もって仮焼する製造方法が開示されている。この文献に記載の方法においても、主成分であるチタン酸バリウムとして、微細な原料(たとえば、0.35μm以下程度)を使用した場合には、チタン酸バリウムと希土類酸化物とを均一に混合することは困難であった。特に、希土類酸化物は、通常、分散媒である溶媒中で溶媒和反応をしてしまうため、凝集しやすく、分散が困難であるという問題がある。そして、この問題は、溶媒として水を使用した場合には、特に顕著であった。
さらに、この文献記載の方法では、所定の性能を得るためには、1000℃以上の温度で仮焼きする必要がある。そのため、主成分の原料として微細な原料を使用したとしても、仮焼きにより粒成長してしまうため、薄層化され、かつ、所定の性能を有するコンデンサを得ることは困難であった。
特開2000−311828号公報 特開2000−348961号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、誘電体層厚みを、薄くした場合においても、所望の温度特性および電気特性を満足するとともに、信頼性に優れた誘電体磁器組成物およびその製造方法を提供することを目的とする。また、本発明は、このような誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層を有する積層セラミックコンデンサなどの電子部品を提供することも目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る誘電体磁器組成物の製造方法は、
チタン酸バリウムを含む主成分と、
MgO、CaO、BaOおよびSrOから選択される少なくとも1種を含む第1副成分と、
Rの酸化物(ただし、RはY,Dy,Tb,GdおよびHoから選択される少なくとも1種)を含む第4副成分と、
を有する誘電体磁器組成物を製造する方法であって、
前記主成分の原料と、前記第4副成分の原料の少なくとも一部と、界面活性剤とを混合して、仮焼き前原料を得る工程と、
前記仮焼き前原料を仮焼きし、仮焼き済み原料を得る工程とを有することを特徴とする。
本発明においては、前記主成分の原料と前記第4副成分の原料の少なくとも一部とを、予め仮焼きするため、前記主成分に前記第4副成分を良好に反応させることができる。
しかも、本発明においては、仮焼き前原料を調製する際には、前記主成分の原料と前記第4副成分の原料とともに、界面活性剤を含有させて、混合する。そのため、仮焼き前原料中において、前記主成分に前記第4副成分を均一に分散することができ、前記主成分と前記第4副成分とを、均一に反応(固溶)させることができる。そして、前記主成分と前記第4副成分とを、均一に反応させることにより、誘電体層厚みを、薄くした場合においても、温度特性や電気特性のバラツキを抑制することができ、所望の温度特性および電気特性(たとえば、誘電率、誘電損失、静電容量の温度特性、DC−Bias特性、TC−Bias特性およびIR加速寿命など)を満足することができる。
本発明の製造方法において、好ましくは、
チタン酸バリウムを含む主成分と、
MgO、CaO、BaOおよびSrOから選択される少なくとも1種を含む第1副成分と、
Rの酸化物(ただし、RはY,Dy,Tb,GdおよびHoから選択される少なくとも1種)を含む第4副成分と、
を有する誘電体磁器組成物を製造する方法であって、
前記主成分の原料と、前記第1副成分の原料の少なくとも一部と、前記第4副成分の原料の少なくとも一部と、界面活性剤と、を混合して、仮焼き前原料を得る工程と、
前記仮焼き前原料を仮焼きし、仮焼き済み原料を得る工程とを有することを特徴とする。
本発明においては、前記仮焼き済み原料を得る際には、前記主成分の原料と予め仮焼きする副成分として、前記第4副成分の原料とともに、前記第1副成分を使用し、前記主成分と前記第4副成分と前記第1副成分とが予め反応した仮焼き済み原料としても良い。このようにすることにより、前記第4副成分だけでなく、前記第1副成分も、前記主成分と均一に反応させることができる。
本発明では、前記主成分に予め仮焼きする副成分として、前記第4副成分に加えて、前記第1副成分を使用する場合にも、同様に、仮焼き前原料を調製する際には、前記主成分の原料と前記第1副成分の原料と前記第4副成分の原料とともに、界面活性剤を含有させて、混合する。このようにすることにより、前記主成分と前記第1副成分と前記第4副成分とを、均一に反応(固溶)させることができるからである。
なお、前記仮焼き前原料を得る際には、たとえば、前記主成分の原料を溶媒中に分散させた主成分スラリーと、前記第4副成分の原料とともに、前記界面活性剤を含有させて、前記第4副成分を溶媒中に分散させた第4副成分スラリーとを、混合し、仮焼き前原料スラリーを得て、この仮焼き前原料スラリーを乾燥する方法などが採用できる。また、前記仮焼き前原料に前記第1副成分の原料を含有させる場合には、前記主成分スラリーと、前記第4副成分スラリーとに加えて、前記第1副成分の原料とともに、前記界面活性剤を含有させて、前記第1副成分を溶媒中に分散させた第1副成分スラリーとを、混合し、その後、このスラリーを乾燥すれば良い。本発明においては、仮焼き前原料を得る際には、界面活性剤を添加するため、第4副成分あるいは第1副成分が溶媒和してしまうことを有効に防止することができるため、上記のように溶媒を使用して、湿式で混合する場合に、特に本発明の効果が発揮される。
本発明の製造方法において、好ましくは、
前記仮焼き済み原料に、さらに、前記第1副成分の原料の少なくとも一部および/または前記第4副成分の原料の少なくとも一部と、前記界面活性剤とを添加・混合し、
前記仮焼き済み原料と、前記第1副成分の原料および/または前記第4副成分の原料とを、さらに仮焼きする工程を有する。
本発明においては、前記主成分と前記第4副成分と(さらに、第1副成分と)を仮焼きすることにより得られる仮焼き済み原料に、さらに、前記第1副成分の原料の少なくとも一部および/または前記第4副成分の原料の少なくとも一部を添加して、仮焼きしても良い。
すなわち、本発明においては、たとえば、主成分の原料と第4副成分の原料とを仮焼きして、仮焼き済み原料を得て、その後、この仮焼き済み原料に、さらに、第1副成分の原料を添加して、再度仮焼きするという工程を採用しても良い。あるいは、主成分の原料と第1副成分の原料の一部と第4副成分の原料とを仮焼きし、仮焼き済み原料を得て、その後、この仮焼き済み原料に、前記誘電体磁器組成物に含有されることとなる残りの第1副成分の原料を、さらに添加して、再度仮焼きするという工程を採用しても良い。
なお、前記仮焼き済み原料に、さらに、前記第1副成分の原料および/または前記第4副成分の原料を添加・混合する際には、前記界面活性剤を含有させることが好ましい。また、上記のような再度の仮焼きは、複数回行っても良い。
本発明の製造方法において、好ましくは、
前記界面活性剤が、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤から選択される少なくとも一種である。
本発明の製造方法において、
前記界面活性剤の添加量を、前記誘電体磁器組成物全体100重量%に対して、0.01〜10重量%とすることが好ましく、より好ましくは0.05〜5重量%とする。
前記界面活性剤の添加量が少なすぎると、界面活性剤を添加した効果が得られなくなる傾向にあり、一方多すぎると、溶液の粘度が高くなりすぎたり、界面活性剤が凝集してしまう傾向にある。なお、上記界面活性剤の添加量は、たとえば、2種以上の界面活性剤を使用した場合には、各界面活性剤の合計の量を意味する。また、仮焼きを複数回に渡って行う場合には、各仮焼き前に使用する界面活性剤の合計の量を意味する。
本発明の製造方法において、
前記仮焼きの温度は、300℃以上、700℃未満とすることが好ましく、より好ましくは300℃以上、500℃以下とする。
本発明においては、前記仮焼き前原料を調製する際には、界面活性剤を使用するため、前記主成分の原料と、前記第4副成分の原料と(さらに、第1副成分の原料と)を、均一に分散させることができる。そのため、仮焼きを、比較的低温で行った場合においても、前記主成分と、前記第4副成分と(さらに、第1副成分と)を、十分に反応させることができる。したがって、本発明によると、高い温度で仮焼きする必要がないため、仮焼きによる粒成長を有効に防止することができ、誘電体層の薄層化が可能となる。なお、仮焼き温度を低くし低すぎると、前記主成分の原料と、前記第4副成分の原料と(さらに、第1副成分の原料と)の反応が不十分となり、本発明の効果が得られなくなる傾向にある。
本発明の製造方法において、好ましくは、
最終的に得られる前記誘電体磁器組成物中における前記第1副成分の含有量を、前記主成分100モルに対して、酸化物換算で、0.1〜5モルとする。
第1副成分の含有量が少なすぎると、容量温度変化率が大きくなってしまう。一方、含有量が多すぎると、焼結性が悪化すると共に、高温負荷寿命が悪化する傾向にある。
本発明の製造方法において、好ましくは、
最終的に得られる前記誘電体磁器組成物中における前記第4副成分の含有量を、前記主成分100モルに対して、R換算で、0.1〜10モルとする。
本発明においては、誘電体磁器組成物に含有される第4副成分の含有量を上記範囲とすることにより、静電容量の温度特性を向上させることができる。第4副成分の含有量が少なすぎると、第4副成分の添加効果が得られなくなり、静電容量の温度特性が悪化してしまう傾向にある。一方、含有量が多すぎると、焼結性が悪化する傾向にある。
本発明の製造方法において、好ましくは、
前記誘電体磁器組成物は、
SiOを主として含有し、MO(ただし、MはMg、Ca、BaおよびSrから選択される少なくとも1種)、LiOおよびBから選択される少なくとも1種を含む第2副成分と、
、MoOおよびWOから選択される少なくとも1種を含む第3副成分と、をさらに含有し、
前記主成分100モルに対する各副成分の比率を、
第2副成分:0.1〜12モル、
第3副成分:0〜0.3モル(ただし、0は含まない)、
とする。
本発明の製造方法において、好ましくは、
前記誘電体磁器組成物は、MnOおよびCrから選択される少なくとも1種を含む第5副成分を、さらに含有し、
前記主成分100モルに対する第5副成分の比率を、0.05〜1.0モルとする。
本発明においては、前記第1副成分および前記第4副成分とともに、前記第2、第3副成分(より好ましくは、さらに第5副成分)を含有させることにより、静電容量の温度特性を向上させることができ、特に、EIAJ規格のB特性[−25〜85℃で容量変化率±10%以内(基準温度20℃)]を満足させることができる。なお、前記第2、第3、第5副成分は、前記主成分の原料と前記第4副成分の原料と(さらに、第1副成分の原料と)を予め仮焼きした後の仮焼き済み原料に添加することが好ましい。
本発明においては、前記主成分の原料として、平均粒径が好ましくは0.05〜0.5μm、より好ましくは0.1〜0.4μmである原料を使用する。平均粒径が上記範囲である主成分の原料を使用することにより、焼結後の誘電体粒子の平均結晶粒径を、好ましくは0.1〜0.3μmと微細化することができるため、電気特性を低下させることなく、誘電体層の薄層化が可能となる。
本発明に係る誘電体磁器組成物は、上記のいずれかに記載の方法で製造される誘電体磁器組成物である。
本発明に係る電子部品は、上記の誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層を有する。電子部品としては、特に限定されないが、積層セラミックコンデンサ、圧電素子、チップインダクタ、チップバリスタ、チップサーミスタ、チップ抵抗、その他の表面実装(SMD)チップ型電子部品が例示される。
本発明によると、誘電体層厚みを、薄くした場合においても、所望の温度特性および電気特性(たとえば、誘電率、誘電損失、静電容量の温度特性、DC−Bias特性、TC−Bias特性およびIR加速寿命など)を満足するとともに、信頼性に優れた誘電体磁器組成物およびその製造方法を提供することができる。特に、本発明の誘電体磁器組成物を誘電体層として使用することにより、薄層化、多層化しても、高い信頼性を有する積層型セラミックコンデンサなどの電子部品を提供することができる。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図、
図2は本発明の一実施形態に係る誘電体磁器組成物粉末の製造方法を示すフロー図である。
積層セラミックコンデンサ1
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1は、誘電体層2と内部電極層3とが交互に積層された構成のコンデンサ素子本体10を有する。このコンデンサ素子本体10の両端部には、素子本体10の内部で交互に配置された内部電極層3と各々導通する一対の外部電極4が形成してある。コンデンサ素子本体10の形状に特に制限はないが、通常、直方体状とされる。また、その寸法にも特に制限はなく、用途に応じて適当な寸法とすればよい。
内部電極層3は、各端面がコンデンサ素子本体10の対向する2端部の表面に交互に露出するように積層してある。一対の外部電極4は、コンデンサ素子本体10の両端部に形成され、交互に配置された内部電極層3の露出端面に接続されて、コンデンサ回路を構成する。
誘電体層2
誘電体層2は、本発明の製造方法により得られる誘電体磁器組成物から構成されている。
本実施形態においては、上記誘電体磁器組成物は、組成式BaTiO2+m で表され、前記組成式中のmが0.995≦m≦1.010であり、BaとTiとの比が0.995≦Ba/Ti≦1.010であるチタン酸バリウムを含む主成分と、後述する第1副成分と、第4副成分と、その他の副成分とを含有する。
上記第1副成分は、MgO、CaO、BaOおよびSrOから選択される少なくとも1種を含む副成分である。第1副成分の含有量は、主成分100モルに対して、酸化物換算で0.1〜5モルであることが好ましく、より好ましくは0.2〜4モルである。第1副成分の含有量が少なすぎると、容量温度変化率が大きくなってしまう。一方、含有量が多すぎると、焼結性が悪化すると共に、高温負荷寿命が悪化する傾向にある。なお、第1副成分中における各酸化物の構成比率は任意である。なお、後に詳述するように、本実施形態の製造方法では、第4副成分の原料のうち少なくとも一部とともに、上記第1副成分の原料のうち少なくとも一部を、主成分の原料と予め反応させる工程を採用する。
第4副成分は、Rの酸化物を含有する副成分である。Rの酸化物のR元素は、Y,Dy,Tb,GdおよびHoから選択される少なくとも1種の元素であり、これらのなかでも、Y,Tb,Gdが好ましい。
第4副成分は、IR加速寿命特性を向上させる効果がある。第4副成分の含有量は、主成分100モルに対して、R換算で0.1〜10モルであることが好ましく、より好ましくは0.2〜6モルである。含有量が少なすぎると、第4副成分の添加効果が得られなくなり、容量温度特性が悪くなってしまう。一方、含有量が多すぎると、焼結性が悪化する傾向にある。
本実施形態においては、上記第1、第4副成分以外の副成分として、以下の第2、第3、第5副成分を、さらに含有することが好ましい。
すなわち、SiOを主として含有し、MO(ただし、MはMg、Ca、BaおよびSrから選択される少なくとも1種)、LiOおよびBから選択される少なくとも1種を含む第2副成分と、
、MoOおよびWOから選択される少なくとも1種を含む第3副成分と、
MnOおよびCrから選択される少なくとも1種を含む第5副成分と、をさらに含有することが好ましい。
前記主成分に対する上記各副成分の比率は、各酸化物換算で、前記主成分100モルに対し、
第2副成分:0.1〜12モル、
第3副成分:0〜0.3モル(ただし、0は含まない)、
第5副成分:0.05〜1.0モル
であり、好ましくは、
第2副成分:1〜6モル、
第3副成分:0〜0.25モル(ただし、0は含まない)、
第5副成分:0.05〜0.4モル
である。
本実施形態においては、誘電体磁器組成物に、第1、第4副成分に加えて、上記第2、第3、第5副成分を含有させることにより、静電容量の温度特性を向上させることができ、好ましくはEIAJ規格のB特性[−25〜85℃で容量変化率±10%以内(基準温度20℃)]を満足させることができる。
なお、本明細書では、主成分および各副成分を構成する各酸化物を化学量論組成で表しているが、各酸化物の酸化状態は、化学量論組成から外れるものであってもよい。ただし、各副成分の上記比率は、各副成分を構成する酸化物に含有される金属量から上記化学量論組成の酸化物に換算して求める。
第2副成分は、主成分としてSiOを含み、かつ、MO(ただし、MはMg、Ca、BaおよびSrから選択される少なくとも1種)、LiOおよびBから選択される少なくとも1種を含む。この第2副成分は、主として焼結助剤として作用する。MO(ただし、MはMg、Ca、BaおよびSrから選択される少なくとも1種)は、第1副成分にも含まれるが、SiOとの複合酸化物とし、組成式MSiO2+x で表される化合物とすることにより、融点を低くすることができる。そして、融点を低くすることができるため、主成分に対する反応性を向上させることができる。なお、上記MOとして、たとえば、BaOおよびCaOを使用した場合には、上記複合酸化物は、組成式(Ba,Ca)SiO2+x で表される化合物とすることが好ましい。組成式(Ba,Ca)SiO2+x におけるxは、好ましくは0.8〜1.2であり、より好ましくは0.9〜1.1である。xが小さすぎると、すなわちSiOが多すぎると、主成分のBaTiO2+m と反応して誘電体特性を悪化させてしまう。一方、xが大きすぎると、融点が高くなって焼結性を悪化させるため、好ましくない。
第3副成分(V、MoOおよびWO)は、キュリー温度以上での容量温度特性を平坦化する効果と、高温負荷寿命を向上させる効果とを示す。第3副成分の含有量が少なすぎると、このような効果が不十分となる。一方、含有量が多すぎると、IRが著しく低下する。なお、第3副成分中における各酸化物の構成比率は任意である。
第5副成分(MnOおよびCr)は、キュリー温度を高温側にシフトさせるほか、容量温度特性の平坦化、絶縁抵抗(IR)の向上、破壊電圧の向上、焼成温度を低下させる、などの効果を有する。
誘電体磁器組成物に含まれる誘電体粒子の平均結晶粒径は、特に限定されないが、好ましくは0.1〜0.3μmである。平均結晶粒径が、小さすぎると、比誘電率が低くなってしまう傾向にあり、大きすぎると、比誘電率の経時変化が大きくなってしまう傾向にある。誘電体粒子の平均結晶粒径は、たとえば、誘電体粒子のSEM像より、誘電体粒子の形状を球と仮定して平均粒子径を測定するコード法により測定することができる。
本実施形態においては、誘電体層2は、本発明の製造方法により得られる誘電体磁器組成物から構成されているため、一層あたりの厚みを、好ましくは4.5μm以下、より好ましくは3.5μm以下、さらに好ましくは3.0μm以下と薄層化することができる。なお、厚みの下限は、特に限定されないが、たとえば0.5μm程度である。
内部電極層3
内部電極層3に含有される導電材は特に限定されないが、誘電体層2の構成材料が耐還元性を有するため、比較的安価な卑金属を用いることができる。導電材として用いる卑金属としては、NiまたはNi合金が好ましい。Ni合金としては、Mn,Cr,CoおよびAlから選択される1種以上の元素とNiとの合金が好ましく、合金中のNi含有量は95重量%以上であることが好ましい。なお、NiまたはNi合金中には、P等の各種微量成分が0.1重量%程度以下含まれていてもよい。内部電極層3の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよいが、通常、0.1〜3μm、特に0.2〜2.0μm程度であることが好ましい。
外部電極4
外部電極4に含有される導電材は特に限定されないが、本実施形態では安価なNi,Cuや、これらの合金を用いることができる。外部電極4の厚さは用途等に応じて適宜決定すればよいが、通常、10〜50μm程度であることが好ましい。
積層セラミックコンデンサの製造方法
本実施形態の積層セラミックコンデンサは、従来の積層セラミックコンデンサと同様に、ペーストを用いた通常の印刷法やシート法によりグリーンチップを作製し、これを焼成した後、外部電極を印刷または転写して焼成することにより製造される。以下、製造方法について具体的に説明する。
まず、誘電体層用ペーストに含まれる誘電体磁器組成物粉末を調製する。
本実施形態においては、上記誘電体磁器組成物粉末の調製は、次のように行う。すなわち、図2に示すように、まず、上記主成分の原料を含有する主成分スラリーと、上記第1副成分の原料と界面活性剤とを含有する第1副成分スラリーと、上記第4副成分の原料と界面活性剤とを含有する第4副成分スラリーとを準備する。そして、これらのスラリーを混合し、次いで、乾燥することにより、仮焼き前原料とし、この仮焼き前原料を仮焼きして、仮焼き済み原料を得る。最後に、この仮焼き済み原料に、上記第2、第3、第5副成分の原料とを添加して、誘電体磁器組成物粉末は調製される。
以下、主成分スラリー、第1副成分スラリーおよび第4副成分スラリーの調製方法を説明する。
主成分スラリー
主成分スラリーは、主成分の原料と溶媒とを含有するスラリーである。主成分スラリーは、以下に説明する主成分の原料と溶媒とをボールミル等を使用して混合することにより調製される。
上記主成分の原料としては、上述のBaTiO2+m の粉末あるいは、焼成によりBaTiO2+m となる化合物の粉末が使用でき、主成分の原料の平均粒径は、好ましくは0.05〜0.5μm、より好ましくは0.1〜0.4μmである。本実施形態では、主成分の原料を含有する主成分スラリーと、上記第1副成分の原料と界面活性剤とを含有する第1副成分スラリーと、上記第4副成分の原料と界面活性剤とを含有する第4副成分スラリーとを混合するという工程を採用する。そのため、上記主成分の原料として、微細化された原料を使用した場合においても、主成分の原料と、第1、第4副成分の原料とを、均一に分散させることができ、主成分と第1、第4副成分とを均一に固溶させることができる。
主成分の原料の平均粒径が大きすぎると、焼結後の誘電体粒子の平均結晶粒径が大きくなりすぎてしまい、温度特性が悪化したり、絶縁抵抗(IR)が低下してしまう傾向にある。一方、平均粒径が小さすぎると、主成分の原料への第1、第4副成分の固溶が不均一となってしまうおそれがある。本実施形態において、上記平均粒径は、体積基準累積50%径(D50径)を意味し、レーザー回折法などの光散乱を利用した方法により測定することができる。
主成分スラリーに含有される溶媒としては、特に限定されず、水などの水系の溶媒や、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等の各種有機溶媒が使用できる。なお、本実施形態では、主成分スラリーに含有される溶媒としては、後述する第1、第4副成分スラリーと相溶性を有する溶媒を使用することが好ましく、特に、同じ溶媒を使用することが好ましい。
第1副成分スラリー
第1副成分スラリーは、第1副成分の原料と、界面活性剤と、溶媒とを含有するスラリーである。第1副成分スラリーは、以下に説明する第1副成分の原料と、界面活性剤と、溶媒とをボールミル等を使用して、混合することにより調製される。
上記第1副成分の原料は、上述した酸化物や、焼成によりこれらの酸化物となる種々の化合物を使用することができる。上記焼成により酸化物となる化合物としては、たとえば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などが挙げられる。第1副成分の原料としては、平均粒径が1〜150nm程度の原料を使用することが好ましい。
第1副成分スラリーに含有させて、主成分の原料と予め反応させる第1副成分の原料は、上記主成分100モルに対して、酸化物換算で、0.1〜5モルとすることが好ましく、より好ましくは0.2〜4モルとする。あるいは、第1副成分スラリーに含有させる第1副成分の原料の比率を、誘電体磁器組成物に最終的に含有されることとなる第1副成分の総量100重量%に対して、25〜100重量%とすることが好ましく、より好ましくは50〜100重量%とする。
上記界面活性剤としては、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤から選択される少なくとも一種であることが好ましく、たとえば、以下に示すような界面活性剤を使用することができる。
イオン性界面活性剤としては、たとえば、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、コハク酸塩、脂肪酸塩、ホルマリン縮合物、脂肪酸エステル塩などの陰イオン性界面活性剤、トリメチルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、脂肪族アミン塩、第四級アンモニウム塩などの陽イオン性界面活性剤が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシエチレン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキルアミン、脂肪酸アルカノールアミドなどが挙げられる。
両性界面活性剤としては、たとえば、カルボキシベタイン、アルキルベタイン、スルホベタイン、アミンオキサイド、アルキルトリメチルアンモニウム塩などが挙げられる。
界面活性剤の添加量は、焼成後の誘電体磁器組成物全体100重量%に対して、0.01〜10重量%となるように、上記仮焼き前原料中に添加することが好ましく、より好ましくは0.05〜5重量%とする。界面活性剤の添加量が少なすぎると、界面活性剤を添加した効果が得られなくなる傾向にあり、一方多すぎると、溶液の粘度が高くなりすぎたり、界面活性剤が凝集してしまう傾向にある。
また、上記溶媒は、主成分スラリーと同様の溶媒を使用することができる。
第4副成分スラリー
第4副成分スラリーは、第4副成分の原料と、界面活性剤と、溶媒とを含有するスラリーである。第4副成分スラリーは、以下に説明する第4副成分の原料と、界面活性剤と、溶媒とをボールミル等を使用して、混合することにより調製される。
上記第4副成分の原料は、上述したRの酸化物や、焼成によりRの酸化物となる種々の化合物を使用することができる。上記焼成によりRの酸化物となる化合物としては、たとえば、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、水酸化物、有機金属化合物などが挙げられる。第4副成分の原料としては、平均粒径が10〜150nm程度の原料を使用することが好ましい。
第4副成分スラリーに含有させて、主成分の原料と予め反応させる第4副成分の原料は、上記主成分100モルに対して、酸化物換算で、0.1〜10モルとすることが好ましく、より好ましくは0.2〜6モルとする。あるいは、第4副成分スラリーに含有させる第4副成分の原料の比率を、誘電体磁器組成物に最終的に含有されることとなる第4副成分の総量100重量%に対して、25〜100重量%とすることが好ましく、より好ましくは50〜100重量%とする。
また、上記界面活性剤、および上記溶媒は、第1副成分スラリーと同様のものが使用できる。
次いで、上記にて調製した主成分スラリーと、第1副成分スラリーと、第4副成分スラリーとを、ボールミルなどを使用して混合・粉砕して、仮焼き前原料スラリーを得る。そして、この仮焼き前原料スラリーに含有されている溶媒を、乾燥することにより、仮焼き前原料を得る。
次いで、上記にて得られた仮焼き前原料を、好ましくは、保持温度300℃以上、700℃未満、より好ましくは300℃以上、500℃以下で仮焼きすることにより、仮焼き済み原料を得ることができる。
本実施形態では、上記仮焼き前原料を作製する際に、界面活性剤を添加しているため、主成分の原料と、第1、第4副成分の原料とを、均一に分散させることができる。そのため、仮焼きを比較的低温で行った場合においても、主成分と、第1、第4副成分とを、十分に反応させることができる。したがって、本実施形態では、高い温度で仮焼きする必要がないため、仮焼きによる粒成長を有効に防止することができ、誘電体層の薄層化が可能となる。
なお、その他の仮焼き条件としては、昇温速度を、好ましくは50〜400℃/時間、より好ましくは100〜300℃/時間、温度保持時間を、好ましくは0.5〜10時間、より好ましくは1〜4時間とする。また、仮焼き雰囲気は空気中または窒素中とすることが好ましい。
次いで、得られた仮焼き済み原料に、上記第2、第3、第5副成分の原料と、必要に応じて、残りの第1、第4副成分の原料(誘電体磁器組成物を構成することとなる第1、第4副成分のうち残りの原料)とを添加する。そして、これらの原料を混合して、必要に応じて仮焼きすることにより、誘電体磁器組成物粉末を得る。
仮焼き済み原料に添加する各副成分(第1〜第5副成分)の原料としては、上記した酸化物やその混合物、複合酸化物や、焼成により上記の酸化物や複合酸化物となる各種化合物が使用できる。
次いで、得られた誘電体磁器組成物粉末を用いて 誘電体層用ペーストを製造する。誘電体層用ペーストは、誘電体磁器組成物粉末と有機ビヒクルとを混練した有機系の塗料であってもよく、水系の塗料であってもよい。
有機ビヒクルとは、バインダを有機溶剤中に溶解したものである。有機ビヒクルに用いるバインダは特に限定されず、エチルセルロース、ポリビニルブチラール等の通常の各種バインダから適宜選択すればよい。また、用いる有機溶剤も特に限定されず、印刷法やシート法など、利用する方法に応じて、テルピネオール、ブチルカルビトール、アセトン、トルエン等の各種有機溶剤から適宜選択すればよい。
誘電体層用ペーストを水系の塗料とする場合には、水溶性のバインダや分散剤などを水に溶解させた水系ビヒクルと、誘電体原料とを混練すればよい。水系ビヒクルに用いる水溶性バインダは特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性アクリル樹脂などを用いればよい。
内部電極層用ペーストは、上記した各種導電性金属や合金からなる導電材、あるいは焼成後に上記した導電材となる各種酸化物、有機金属化合物、レジネート等と、上記した有機ビヒクルとを混練して調製する。
外部電極用ペーストは、上記した内部電極層用ペーストと同様にして調製すればよい。
上記した各ペースト中の有機ビヒクルの含有量に特に制限はなく、通常の含有量、たとえば、バインダは1〜5重量%程度、溶剤は10〜50重量%程度とすればよい。また、各ペースト中には、必要に応じて各種分散剤、可塑剤、誘電体、絶縁体等から選択される添加物が含有されていてもよい。これらの総含有量は、10重量%以下とすることが好ましい。
印刷法を用いる場合、誘電体層用ペーストおよび内部電極層用ペーストを、PET等の基板上に積層印刷し、所定形状に切断した後、基板から剥離してグリーンチップとする。
また、シート法を用いる場合、誘電体層用ペーストを用いてグリーンシートを形成し、この上に内部電極層用ペーストを印刷した後、これらを積層してグリーンチップとする。
焼成前に、グリーンチップに脱バインダ処理を施す。脱バインダ条件としては、昇温速度を好ましくは5〜300℃/時間、より好ましくは10〜100℃/時間、保持温度を好ましくは180〜400℃、より好ましくは200〜300℃、温度保持時間を好ましくは0.5〜24時間、より好ましくは5〜20時間とする。また、脱バインダ雰囲気は、空気中とすることが好ましい。
次いで、脱バインダ処理を施したグリーンチップを焼成する。グリーンチップ焼成時の雰囲気は、内部電極層用ペースト中の導電材の種類に応じて適宜決定されればよいが、導電材としてNiやNi合金等の卑金属を用いる場合、焼成雰囲気中の酸素分圧は、10−9〜10−4Paとすることが好ましい。酸素分圧が上記範囲未満であると、内部電極層の導電材が異常焼結を起こし、途切れてしまうことがある。また、酸素分圧が前記範囲を超えると、内部電極層が酸化する傾向にある。
また、焼成時の保持温度は、好ましくは1000〜1400℃、より好ましくは1100〜1350℃である。保持温度が上記範囲未満であると緻密化が不十分となり、前記範囲を超えると、内部電極層の異常焼結による電極の途切れや、内部電極層構成材料の拡散による容量温度特性の悪化、誘電体磁器組成物の還元が生じやすくなる。
これ以外の焼成条件としては、昇温速度を好ましくは100〜900℃/時間、より好ましくは200〜900℃/時間、温度保持時間を好ましくは0.5〜8時間、より好ましくは1〜3時間、冷却速度を好ましくは50〜500℃/時間、より好ましくは200〜300℃/時間とする。また、焼成雰囲気は還元性雰囲気とすることが好ましく、雰囲気ガスとしてはたとえば、NとHとの混合ガスを加湿して用いることが好ましい。
還元性雰囲気中で焼成した場合、コンデンサ素子本体にはアニールを施すことが好ましい。アニールは、誘電体層を再酸化するための処理であり、これによりIR寿命を著しく長くすることができるので、信頼性が向上する。
アニール雰囲気中の酸素分圧は、10−3Pa以上、特に10−2〜10Paとすることが好ましい。酸素分圧が前記範囲未満であると誘電体層の再酸化が困難であり、前記範囲を超えると内部電極層が酸化する傾向にある。
アニールの際の保持温度は、1200℃以下、特に500〜1200℃とすることが好ましい。保持温度が上記範囲未満であると誘電体層の酸化が不十分となるので、IRが低く、また、高温負荷寿命が短くなりやすい。一方、保持温度が前記範囲を超えると、内部電極層が酸化して容量が低下するだけでなく、内部電極層が誘電体素地と反応してしまい、容量温度特性の悪化、IRの低下、高温負荷寿命の低下が生じやすくなる。
これ以外のアニール条件としては、昇温速度を好ましくは100〜900℃/時間、より好ましくは200〜900℃/時間、温度保持時間を好ましくは0.5〜12時間、より好ましくは1〜10時間、冷却速度を好ましくは50〜600℃/時間、より好ましくは100〜300℃/時間とする。また、アニールの雰囲気ガスとしては、たとえば、加湿したNガス等を用いることが好ましい。
上記した脱バインダ処理、焼成およびアニールにおいて、Nガスや混合ガス等を加湿するには、例えばウェッター等を使用すればよい。この場合、水温は5〜75℃程度が好ましい。
脱バインダ処理、焼成およびアニールは、連続して行なっても、独立に行なってもよい。
上記のようにして得られたコンデンサ素子本体に、例えばバレル研磨やサンドブラストなどにより端面研磨を施し、外部電極用ペーストを印刷または転写して焼成し、外部電極4を形成する。外部電極用ペーストの焼成条件は、例えば、加湿したNとHとの混合ガス中で600〜800℃にて10分間〜1時間程度とすることが好ましい。そして、必要に応じ、外部電極4表面に、めっき等により被覆層を形成する。
このようにして製造された本発明の積層セラミックコンデンサは、ハンダ付等によりプリント基板上などに実装され、各種電子機器等に使用される。
本実施形態では、主成分の原料と第1、第4副成分の原料の少なくとも一部とを、予め仮焼きするため、主成分と第1、第4副成分とを良好に反応させることができる。
しかも、本実施形態では、仮焼き前原料を調製する際には、主成分の原料と第1、第4副成分の原料とともに、界面活性剤を含有させて混合する。そのため、仮焼き前原料中において、主成分に、第1、第4副成分を均一に分散することができ、主成分と第1、第4副成分とを、均一に反応(固溶)させることができる。そして、主成分と第1、第4副成分とを、均一に反応させることにより、誘電体層厚みを、薄くした場合においても、温度特性や電気特性のバラツキを抑制することができ、所望の温度特性および電気特性(たとえば、誘電率、誘電損失、静電容量の温度特性、DC−Bias特性、TC−Bias特性およびIR加速寿命など)を満足することができる。
特に、本実施形態では、仮焼き前原料において、界面活性剤を使用することにより、主成分に、第1、第4副成分を均一に分散させることができるため、比較的低い温度で仮焼きしても、主成分と、第1、第4副成分とを十分に反応させることができる。そのため、高温で仮焼きした場合に問題となる原料粉末の粒成長を抑制することができ、所望の温度特性および電気特性を満足しつつ、誘電体層の薄層化を実現することができる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々に改変することができる。
たとえば、上述した実施形態では、本発明に係る電子部品として積層セラミックコンデンサを例示したが、本発明に係る電子部品としては、積層セラミックコンデンサに限定されず、上述の方法により製造される誘電体磁器組成物で構成してある誘電体層を有するものであれば何でも良い。
また、上述した実施形態では、第1副成分スラリーと第4副成分スラリーとを、それぞれ、別々に調製したが、各副成分スラリーに含有させる界面活性剤を以下に示す組み合わせとし、第1副成分の原料と第4副成分の原料とが分散したスラリーとすることができる。すなわち、第1副成分スラリーと第4副成分スラリーとを、別々に調製する必要がなくなり、工程を簡略化することができる。
このような組み合わせとしては、たとえば、陰イオン性界面活性剤同士の組み合わせ、陽イオン性界面活性剤同士の組み合わせ、両性界面活性剤同士の組み合わせ、あるいは、非イオン性界面活性剤とイオン性界面活性剤との組み合わせ、非イオン性界面活性剤と両性界面活性剤との組み合わせが挙げられる。
また、上述した実施形態では、主成分スラリーと第1副成分スラリーと第4副成分スラリーとを一度に混合して、仮焼き前原料を調製し、次いで仮焼きを行う工程としたが、たとえば、以下に示す工程を採用することもできる。
すなわち、まず、主成分スラリーと第4副成分スラリーとを混合して仮焼き前原料を得て、仮焼きし、仮焼き済み原料を得る。そして、この仮焼き済み原料をスラリー化して、第1副成分スラリーと混合して、その後、乾燥して、再度仮焼きするという工程を採用しても良い。
また、上述した実施形態では、仮焼き済み原料を、調製する際には、第1副成分の原料と第4副成分の原料とを使用したが、第4副成分の原料だけを主成分の原料とともに仮焼きして、仮焼き済み原料を調製しても良い。この場合には、第1副成分の原料は、第2、第3、第5副成分の原料とともに、仮焼き済み原料に添加すれば良い。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
まず、仮焼き前原料を作製するために、平均粒径0.2μmの主成分原料(BaTiO粉末)と、平均粒径100nmの第4副成分の原料(Y粉末)と、ノニオン系界面活性剤であるハイパーマー KD−6(ユニケマ製)を準備した。
次いで、準備したBaTiO粉末を水に分散させて、BaTiO粉末の含有量が、スラリー全体100重量%に対して、42重量%となるように、主成分スラリーを調製した。一方、上記にて準備したY粉末とノニオン系界面活性剤であるハイパーマー KD−6とを、水に分散させて第4副成分スラリーを調製した。なお、第4副成分スラリー中におけるY粉末およびノニオン系界面活性剤であるハイパーマー KD−6の含有量は、それぞれ、スラリー全体100重量%に対して、0.5重量%、0.03重量%となるようにした。
次いで、上記にて調製した主成分スラリーと、第4副成分スラリーとを、ボールミルにより湿式混合粉砕して、仮焼き前原料スラリーとし、この仮焼き前原料スラリーを乾燥し、得られた乾燥物をメッシュ番号#300を使用して、篩いに掛け、仮焼き前原料を得た。なお、本実施例では、Yの含有量が、主成分であるBaTiO100モルに対して、2モルとなるように、上記主成分スラリーと、第4副成分スラリーとを混合した。
そして、上記にて作製した仮焼き前原料を、昇温速度:200℃/時間、保持温度:500℃、温度保持時間:2時間、雰囲気:空気中の条件で仮焼きし、仮焼き済み原料を得た。
得られた仮焼き済み原料に対して、以下に示す第1〜第3、第5副成分を、添加して、ボールミルにより湿式混合粉砕してスラリー化し、このスラリーを乾燥後、粉砕し、メッシュ番号#300を使用して、篩いに掛け、誘電体磁器組成物粉末を得た。なお、各副成分の添加量は、主成分100モルに対する、各酸化物換算での添加量である。
MgO (第1副成分):0.5モル
(Ba,Ca)SiO
(第2副成分):3モル
(第3副成分):0.03モル
MnO (第5副成分):0.2モル
上記にて得られた誘電体磁器組成物粉末100重量部と、アクリル樹脂4.8重量部と、酢酸エチル100重量部と、ミネラルスピリット6重量部と、トルエン4重量部とをボールミルで混合してペースト化し、誘電体層用ペーストを得た。
次に、Ni粒子44.6重量部と、テルピネオール52重量部と、エチルセルロース3重量部と、ベンゾトリアゾール0.4重量部とを、3本ロールにより混練し、スラリー化して内部電極層用ペーストを得た。
これらのペーストを用い、以下のようにして、図1に示される積層セラミックチップコンデンサ1を製造した。
まず、得られた誘電体層用ペーストを用いてPETフィルム上にグリーンシートを形成した。この上に内部電極用ペーストを印刷した後、PETフィルムからシートを剥離した。次いで、これらのグリーンシートと保護用グリーンシート(内部電極層用ペーストを印刷しないもの)とを積層、圧着して、グリーンチップを得た。
次いで、グリーンチップを所定サイズに切断し、脱バインダ処理、焼成およびアニールを下記条件にて行って、積層セラミック焼成体を得た。
脱バインダ処理条件は、昇温速度:32.5℃/時間、保持温度:260℃、温度保持時間:8時間、雰囲気:空気中とした。
焼成条件は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:1250℃、温度保持時間:2時間、冷却速度:200℃/時間、雰囲気ガス:加湿したN+H混合ガス(酸素分圧:10−7Pa)とした。
アニール条件は、昇温速度:200℃/時間、保持温度:1050℃、温度保持時間:2時間、冷却速度:200℃/時間、雰囲気ガス:加湿したNガス(酸素分圧:1.01Pa)とした。
なお、焼成およびアニールの際の雰囲気ガスの加湿には、水温を20℃としたウエッターを用いた。
次いで、得られた積層セラミック焼成体の端面をサンドブラストにて研磨した後、外部電極としてIn−Gaを塗布し、図1に示す実施例1の積層セラミックコンデンサの試料を得た。
得られたコンデンサ試料のサイズは、3.2mm×1.6mm×0.6mmであり、内部電極層に挟まれた誘電体層の数は4とし、1層あたりの誘電体層の厚み(層間厚み)は4.5μm、内部電極層の厚みは1.2μmとした。次いで、得られたコンデンサ試料について、以下に示す方法により、誘電率ε、誘電損失tanδ、静電容量の温度特性、DC−Bias特性、TC−Bias特性およびIR加速寿命の評価を行った。
誘電率ε
コンデンサの試料に対し、基準温度20℃において、デジタルLCRメータ(横河電機(株)製 YHP4274A)にて、周波数120Hz,入力信号レベル(測定電圧)0.625Vrms/μmの条件下で、静電容量Cを測定した。そして、得られた静電容量、積層セラミックコンデンサの誘電体厚みおよび内部電極同士の重なり面積から、誘電率(単位なし)を算出した。誘電率は、高いほど好ましい。結果を表1に示す。
誘電損失tanδ
コンデンサの試料に対し、基準温度20℃において、デジタルLCRメータ(横河電機(株)製 YHP4274A)にて、周波数120Hz,入力信号レベル(測定電圧)0.625Vrms/μmの条件下で、誘電損失tanδを測定した。誘電損失は、小さいほど好ましい。結果を表1に示す。
静電容量の温度特性
コンデンサの試料に対し、温度−25℃および85℃で静電容量を測定し、20℃での静電容量に対する−25℃および85℃での静電容量の変化率△C−25/C20、△C85/C20(単位は%)を評価した。静電容量の温度特性がEIAJ規格のB特性[−25〜85℃で容量変化率±10%以内(基準温度20℃)]を満足する試料は「○」とし、満足しない試料は「×」として、結果を表1に示した。
DC−Bias(直流電圧印加時の静電容量の変化特性)
コンデンサの試料に対し、一定温度(20℃)において、徐々に直流電圧をかけていった際の誘電率を測定し、その変化率(単位は%)を算出した(測定条件は2V/μm)。DC−Bias特性の値は、0に近いほど好ましい。結果を表1に示す。
TC−Bias(静電容量のバイアス特性)
コンデンサの試料に対し、デジタルLCRメータ(YHP社製4272A)にて周波数120Hz、入力信号レベル(測定電圧)0.625Vrms/μm、基準温度20℃での条件下で静電容量を測定した。その静電容量を基準とし、周波数120Hz、入力信号レベル(測定電圧)0.625Vrms/μm、および直流電流2.5V/μm、測定温度−25、85℃の条件下で、静電容量を測定したときの静電容量の変化率を測定した。TC−Bias特性の値は、0に近いほど好ましい。結果を表1に示す。
IR加速寿命
コンデンサ試料に対し、180℃にて20V/μmの電界下で加速試験を行い、絶縁抵抗IRが2桁低下するまでの時間(単位は時間)を算出した。IR加速寿命は、長いほうが好ましい。結果を表1に示す。
比較例1
第1副成分スラリーを調製する際に、界面活性剤を添加しなかった以外は、実施例1と同様にして、誘電体磁器組成物粉末を得て、比較例1のコンデンサ試料を得た。得られたコンデンサ試料について、実施例1と同様にして、誘電率ε、誘電損失tanδ、静電容量の温度特性、DC−Bias特性、TC−Bias特性およびIR加速寿命の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2
第1副成分スラリーを調製する際に、界面活性剤を添加しなかったこと、および仮焼き前原料を仮焼きしなかったこと以外は、実施例1と同様にして、誘電体磁器組成物粉末を得て、比較例2のコンデンサ試料を得た。得られたコンデンサ試料について、実施例1と同様にして、誘電率ε、誘電損失tanδ、静電容量の温度特性、DC−Bias特性、TC−Bias特性およびIR加速寿命の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0004802490
評価1
表1に、実施例1および比較例1,2の誘電率ε、誘電損失tanδ、静電容量の温度特性、DC−Bias特性、TC−Bias特性およびIR加速寿命の測定結果を示す。
表1より、実施例1と比較例1とを比較することにより、仮焼き前原料を調製する際に、界面活性剤を添加することにより、主成分と第4副成分との分散性を高めることができ、結果として、誘電率を低下させることなく、他の電気特性(誘電損失、DC−Bias特性、TC−Bias特性、IR加速寿命)の向上が可能となることが確認できた。
また、実施例1と比較例2とを比較することにより、主成分と第4副成分とを仮焼きし、予め反応させることにより、特に誘電率の向上が可能となることが確認できた。
実施例2、比較例3,4
第4副成分の原料として、Y粉末(1種のみ)の代わりに、Y粉末とGd粉末と(合計2種)を使用した以外は、実施例1、比較例1,2と同様にして、誘電体磁器組成物粉末を得て、実施例2、比較例3,4のコンデンサ試料を得た。得られたコンデンサ試料について、実施例1と同様にして、誘電率ε、誘電損失tanδ、静電容量の温度特性、DC−Bias特性、TC−Bias特性およびIR加速寿命の評価を行った。結果を表2に示す。なお、実施例2は上述の実施例1に対応し、比較例3は上述の比較例1に対応し、比較例4は上述の比較例2に対応する。また、実施例2、比較例3,4においては、Y、Gdの含有量は、主成分100モルに対して、それぞれ、2モル、0.1モルとした。
Figure 0004802490
評価2
表2に、実施例2および比較例3,4の誘電率ε、誘電損失tanδ、静電容量の温度特性、DC−Bias特性、TC−Bias特性およびIR加速寿命の測定結果を示す。
表2より、主成分とともに仮焼きし、予め反応させる第4副成分を、Y1種だけでなく、YとGdとの2種とした場合においても、Y1種を使用した場合と同様の効果が得られることが確認できた。
実施例3
誘電体磁器組成物粉末を作製する際に、以下のようにした以外は、実施例1と同様にして、誘電体磁器組成物粉末を得て、実施例3のコンデンサ試料を得た。
すなわち、実施例3においては、仮焼き前原料を調製するために、実施例1と同様に、主成分スラリーと、第4副成分スラリーを準備すると共に、第1副成分スラリーを準備した。
第1副成分スラリーは、さらに、平均粒径0.1μmの第1副成分の原料(MgO粉末)とアニオン系界面活性剤であるデモールEP(花王(株)製)とを、水に分散させることにより調製した。なお、第1副成分スラリー中におけるMgO粉末およびアニオン系界面活性剤であるデモールEPの含有量は、それぞれ、スラリー全体100重量%に対して、0.05重量%、0.003重量%となるようにした。
次いで、主成分スラリーと、第4副成分スラリーと、第1副成分スラリーとを、ボールミルにより湿式混合粉砕して、仮焼き前原料スラリーとし、この仮焼き前原料スラリーを乾燥し、得られた乾燥物をメッシュ番号#300を使用して、篩いに掛け、実施例3の仮焼き前原料を得た。なお、本実施例では、Yの含有量、MgOの含有量が、主成分であるBaTiO100モルに対して、それぞれ、2モル、0.5モルとなるように、上記主成分スラリーと、第4副成分スラリーと、第1副成分スラリーとを混合した。
次いで、得られた仮焼き前原料を、実施例1と同様に仮焼きして、仮焼き済み原料とし、この仮焼き済み原料に、第2、第3、第5副成分を添加して、スラリー化した。そして、このスラリーについて、実施例1と同様にして、乾燥、粉砕、篩い分けを行うことにより実施例3の誘電体磁器組成物粉末を得た。
上記により得られた誘電体磁器組成物粉末を使用して作製した実施例3のコンデンサ試料について、実施例1と同様にして、誘電率ε、誘電損失tanδ、静電容量の温度特性、DC−Bias特性、TC−Bias特性およびIR加速寿命の評価を行った。結果を表3に示す。
比較例5
第1、第4副成分スラリーを調製する際に、界面活性剤を添加しなかった以外は、実施例3と同様にして、誘電体磁器組成物粉末を得て、比較例5のコンデンサ試料を得た。得られたコンデンサ試料について、実施例1と同様にして、誘電率ε、誘電損失tanδ、静電容量の温度特性、DC−Bias特性、TC−Bias特性およびIR加速寿命の評価を行った。結果を表3に示す。
比較例6
第1、第4副成分スラリーを調製する際に、界面活性剤を添加しなかったこと、および仮焼き前原料を仮焼きしなかったこと以外は、実施例3と同様にして、誘電体磁器組成物粉末を得て、比較例6のコンデンサ試料を得た。得られたコンデンサ試料について、実施例1と同様にして、誘電率ε、誘電損失tanδ、静電容量の温度特性、DC−Bias特性、TC−Bias特性およびIR加速寿命の評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0004802490
評価3
表3に、実施例3および比較例5,6の誘電率ε、誘電損失tanδ、静電容量の温度特性、DC−Bias特性、TC−Bias特性およびIR加速寿命の測定結果を示す。
表3より、主成分とともに仮焼きし、予め反応させる副成分として、第4副成分だけでなく、第4副成分および第1副成分の2種類とした場合においても、第4副成分だけを予め反応させた場合と同様の効果が得られることが確認できた。
図1は本発明の一実施形態に係る積層セラミックコンデンサの断面図である。 図2は本発明の一実施形態に係る誘電体磁器組成物粉末の製造方法を示すフロー図である。
符号の説明
1… 積層セラミックコンデンサ
10… コンデンサ素子本体
2… 誘電体層
3… 内部電極層
4… 外部電極

Claims (7)

  1. チタン酸バリウムを含む主成分と、
    MgO、CaO、BaOおよびSrOから選択される少なくとも1種を含む第1副成分と、
    SiOを主として含有し、MO(ただし、MはMg、Ca、BaおよびSrから選択される少なくとも1種)、LiOおよびBから選択される少なくとも1種を含む第2副成分と、
    、MoOおよびWOから選択される少なくとも1種を含む第3副成分と、
    Rの酸化物(ただし、RはY,Dy,Tb,GdおよびHoから選択される少なくとも1種)を含む第4副成分と、
    MnOおよびCrから選択される少なくとも1種を含む第5副成分と、
    を有する誘電体磁器組成物を製造する方法であって、
    前記主成分の原料と、前記第4副成分の原料の少なくとも一部と、界面活性剤とを混合して、仮焼き前原料を得る工程と、
    前記仮焼き前原料を仮焼きし、仮焼き済み原料を得る工程と、
    得られた仮焼き済み原料と、第1〜第3、および第5副成分の原料とを混合し、誘電体磁器組成物粉末を得る工程とを有し、
    前記仮焼きの温度を、300℃以上、700℃未満とすることを特徴とする誘電体磁器組成物の製造方法。
  2. チタン酸バリウムを含む主成分と、
    MgO、CaO、BaOおよびSrOから選択される少なくとも1種を含む第1副成分と、
    SiOを主として含有し、MO(ただし、MはMg、Ca、BaおよびSrから選択される少なくとも1種)、LiOおよびBから選択される少なくとも1種を含む第2副成分と、
    、MoOおよびWOから選択される少なくとも1種を含む第3副成分と、
    Rの酸化物(ただし、RはY,Dy,Tb,GdおよびHoから選択される少なくとも1種)を含む第4副成分と、
    前記誘電体磁器組成物は、MnOおよびCrから選択される少なくとも1種を含む第5副成分と、
    を有する誘電体磁器組成物を製造する方法であって、
    前記主成分の原料と、前記第1副成分の原料の少なくとも一部と、前記第4副成分の原料の少なくとも一部と、界面活性剤と、を混合して、仮焼き前原料を得る工程と、
    前記仮焼き前原料を仮焼きし、仮焼き済み原料を得る工程と、
    得られた仮焼き済み原料と、第2、第3、および第5副成分の原料とを混合し、誘電体磁器組成物粉末を得る工程とを有し、
    前記仮焼きの温度を、300℃以上、700℃未満とすることを特徴とする誘電体磁器組成物の製造方法。
  3. 前記仮焼き済み原料に、さらに、前記第1副成分の原料の少なくとも一部および/または前記第4副成分の原料の少なくとも一部と、前記界面活性剤とを添加・混合し、
    前記仮焼き済み原料と、前記第1副成分の原料および/または前記第4副成分の原料とを、さらに仮焼きする工程を有する請求項1または2に記載の誘電体磁器組成物の製造方法。
  4. 前記界面活性剤が、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤および両性界面活性剤から選択される少なくとも一種である請求項1〜3のいずれかに記載の誘電体磁器組成物の製造方法。
  5. 前記界面活性剤の添加量を、前記誘電体磁器組成物全体100重量%に対して、0.01〜10重量%とする請求項1〜4のいずれかに記載の誘電体磁器組成物の製造方法。
  6. 最終的に得られる前記誘電体磁器組成物は、
    前記主成分100モルに対する各副成分の比率を、
    第1副成分:0.1〜5モル、
    第2副成分:0.1〜12モル、
    第3副成分:0〜0.3モル(ただし、0は含まない)、
    第4副成分:0.1〜10モル(R換算)
    第5副成分:0.05〜1.0モル
    とする請求項1〜5のいずれかに記載の誘電体磁器組成物の製造方法。
  7. 前記主成分の原料として、平均粒径が0.05〜0.5μmである原料を使用する請求項1〜6のいずれかに記載の誘電体磁器組成物の製造方法。
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