JP6179102B2 - コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、外装に樹脂モールドが用いられた固体電解コンデンサなどのコンデンサおよびその製造方法に関する。
ところで、コンデンサ素子に外装樹脂で被覆したコンデンサでは、コンデンサ素子の電極箔に接続されているリード線を外装樹脂を貫通させて外装樹脂外に引き出している。このリード線は、外装樹脂面に折り曲げ、フェイスボンディング用端子に成形される。このようなコンデンサでは、低背化が要請されている。
コンデンサの低背化に関し、陽極電極箔、陰極電極箔にリード線が接続された巻回型コンデンサ素子を作製し、このコンデンサ素子を絶縁性樹脂の外装体で被覆し、この外装体からリード線を引き出し、各リード線と端子板とを接続することが知られている(たとえば特許文献1)。
特開2003−272962号公報
ところで、外装樹脂で被覆された固体電解コンデンサなどのコンデンサでは、リード線が丸棒状である。このリード線は、外装樹脂の導出面近傍で平坦化処理が施されている。リード線は平坦化処理で形成された平坦部と、丸棒部との境目を起点に折曲げ加工が施される。平坦化処理時に応力が掛かり、リード線の平坦部と導出面の間に伸び部が生じる。この伸び部の長さが一様にはならない。このため、リード線は、外装樹脂面に沿って折り曲げても、伸び部の長さによって外装樹脂面と平行にならず、コンデンサの高さにばらつきが生じるという課題がある。
リード線に基板配置の安定性を持たせるために平坦化処理を施した場合、所望の箇所に平坦化を行える一方で、リード線には平坦面と樹脂面からの導出部の間に伸び部が生じる。この伸び部と平坦面の境が折り曲げ位置となる。伸び部の長さは一様にならないので、折り曲げ位置にもばらつきが生じる。伸び部が長く、樹脂面から離れた位置が折り曲げ位置となる場合には、リード線の折り曲げ角度はより鋭角になりやすく、リード線の基板配置の安定性が損なわれる。
このようにリード線に折曲げ加工が施されるコンデンサにあっては、折曲げの加工精度が低いと、配置する回路基板上の安定性が低く、位置ずれを生じるという課題がある。
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、リード線の折曲げの加工精度を高め、コンデンサの高さのばらつきを防止することにある。
また、本発明の他の目的は、回路基板に配置されるコンデンサの配置精度を高めることにある。
上記目的を達成するため、本発明のコンデンサは、電極箔に接続されたリード線を備えるコンデンサ素子を外装樹脂で被覆したコンデンサであって、前記リード線の平坦面部に形成された薄肉部と、前記リード線の終端部と前記薄肉部との間の前記平坦面部に形成された、高さの異なる複数の突起部を備え、これら突起部のうち、終端側の突起部の高さを他の突起部より高く設定し、前記リード線の前記終端側の突起部が前記リード線の折り曲げにより前記外装樹脂の樹脂面に当たり、前記リード線の折り曲げにより生じた伸び部の長さに関係なく、前記リード線の折り曲げ角度が前記リード線の前記終端側の突起部により制限されている。
上記目的を達成するためには、上記コンデンサにおいて、より好ましくは、前記外装樹脂から露出する前記リード線の根元部と、前記平坦面部との間に前記伸び部を備えてもよい。
上記目的を達成するためには、上記コンデンサにおいて、より好ましくは、前記伸び部が折り曲げた前記リード線の前記薄肉部の内方に配置されてもよい。
上記目的を達成するためには、上記コンデンサにおいて、より好ましくは、前記リード線の前記平坦面部の成形前の側面と薄肉部との厚みの差T3と前記薄肉部長さL1との大小関係がT3≦L1であってもよい。
上記目的を達成するため、本発明のコンデンサの製造方法は、電極箔に接続されたリード線を備えるコンデンサ素子を外装樹脂で被覆したコンデンサの製造方法であって、前記リード線の平坦面部に薄肉部を形成する工程と、前記リード線の終端部と前記薄肉部との間の前記平坦面部、終端側の突起部の高さを他の突起部より高く設定して複数の突起部を形成する工程と、前記リード線を前記外装樹脂の樹脂面に向かって折り曲げる工程と、前記リード線の折り曲げにより、前記リード線の前記終端側の突起部が前記外装樹脂の前記樹脂面に当たり、前記リード線の折り曲げにより生じた伸び部の長さに関係なく、前記リード線の折り曲げ角度が前記リード線の前記終端側の突起部により制限させる工程とを含んでいる。
本発明によれば、次のいずれかの効果が得られる。
(1) リード線の折り曲げ位置を一定に保つことができ、曲げ高さのばらつきが軽減できる。
(2) 高さの位置が一定になるのでコンデンサを固定する回路基板上の配置精度を向上させることができる。
そして、本発明の他の目的、特徴および利点は、添付図面および各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
第1の実施の形態に係る固体電解コンデンサおよびそのリード線の一例を示す断面図である。 リード線を折曲げ加工した固体電解コンデンサおよびリード線を示す図である。 第2の実施の形態に係る固体電解コンデンサ、リード線およびその折曲げ加工状態を示す図である。
〔第1の実施の形態〕
図1のAは、第1の実施の形態に係る固体電解コンデンサの断面を示している。図1のAに示す構成は一例であり、斯かる構成に本発明が限定されるものではない。
固体電解コンデンサ2(以下単に「コンデンサ2」と称する)は、本発明のコンデンサの一例である。このコンデンサ2には、円筒形に巻回されたコンデンサ素子4が用いられる。このコンデンサ素子4では一例として、陽極側の電極箔、第1のセパレータ、陰極側の電極箔および第2のセパレータを積層し、これらを円筒状に巻回した後、電解質を含浸させている。このコンデンサ素子4の陽極側の電極箔には陽極側のリード線6−1、陰極側の電極箔には陰極側のリード線6−2が接続されている。これらリード線6−1、6−2はコンデンサ素子4の素子端面8から引き出されている。リード線6−1が陽極側の端子部、リード線6−2が陰極側の端子部の一例である。
コンデンサ素子4には、絶縁性樹脂からなる外装樹脂10により樹脂モールドが施されている。つまり、コンデンサ素子4の外面は、外装樹脂10により被覆され、外装樹脂10の層内に密封されている。したがって、コンデンサ素子4の素子端面8の各リード線6−1、6−2は、外装樹脂10を貫通させて引き出されている。外装樹脂10は各リード線6−1、6−2の壁面に密着している。図1のAに示す状態は、各リード線6−1、6−2が折曲げ加工前の状態であり、外装樹脂10の樹脂面12に対して垂直状態となっている。
図1のBは、図1のAのIB部を拡大して示している。リード線6−1はたとえば、円柱状のワイヤで形成されている。このリード線6−1には、端子本体14、伸び逃げ部16、ノッチ部18および突起部20が形成されている。端子本体14は外装樹脂10の層内に貫通し、外装樹脂10から露出する根元側と先端部との間に伸び逃げ部16、ノッチ部18および突起部20が備えられている。ノッチ部18および突起部20はリード線6−1、6−2の平坦面部21に形成されている。この平坦面部21は平坦部の一例であって、丸棒状のリード線材を加圧して平坦面化した部分である。
端子本体14は、外装樹脂10で保持されている。伸び逃げ部16は、リード線6−1の根元側から先端部に向かって放物線状に偏平化した伸び部分である。これは、リード線6−1に加圧成形によりノッチ部18を形成した際に形成されたものである。
ノッチ部18は、リード線6−1に対する加圧成形により形成された偏平部分であり、薄肉部の一例である。この実施の形態では、ノッチ部18には第1のノッチ部18−1および第2のノッチ部18−2が形成されている。ノッチ部18−1およびノッチ部18−2は、段差を設けて厚みが異なり、先端部側のノッチ部18−2がノッチ部18−1より厚く形成されている。つまり、ノッチ部18−2および突起部20は複数の突起部の一例である。したがって、リード線6−1の終端部にある突起部20は他の突起部であるノッチ部18−2に対して高さの異なる突起部であり、また他の突起部より高さの高い突起部を構成している。
突起部20は、ノッチ部18−2の終端側に形成され、リード線6−1の終端部を形成している。この突起部20は、ノッチ部18−2より厚く形成されている。
ここで、伸び逃げ部16の幅(伸び逃げ部幅)をW、ノッチ部18−1の長さ(ノッチ部長)をL1、ノッチ部18−2の長さ(ノッチ部長)をL2、ノッチ部18−1の深さ(ノッチ部深さ)をT1、ノッチ部18−2の深さ(ノッチ部深さ)をT2、陽極側リード線6−1のリード線の側面とノッチ部18−1の深さの差をT3とする。これらの大小関係は次の通りである。
W<L1
W≦T1+T2
T1=T2またはT1≠T2
T3≦L1
この場合、つまり、ノッチ部18−2を基準とした突起部20の高さはT2であり、ノッチ部18−1を基準とした突起部20の高さはT1+T2である。つまり、伸び逃げ部16が薄肉部であるノッチ部18−1に収納された状態となる。
リード線6−1について述べたが、リード線6−2もリード線6−1と同様であるので、その説明を割愛する。
図2のAは、折曲げ加工したリード線6−1、6−2を含むコンデンサ2を示している。各リード線6−1、6−2は反対方向に折り曲げられ、コンデンサ2の外装樹脂10の樹脂面12に配設されている。
図2のBは、図2のAに示すリード部6−1側を拡大して示している。リード線6−1は、リード線6−2と反対方向に折り曲げられている。この折曲げ加工はノッチ部18−1の内側で行われている。このため、ノッチ部18−1側には伸び逃げ部16が変形して入り込み、ノッチ部18−1と樹脂面12との間、ノッチ部18−2と樹脂面12との間には、空間22が形成されている。この場合、突起部20は樹脂面12に密着し、リード線6−1の長手方向の中心線Yは、樹脂面12と平行に維持されている。これにより、コンデンサ2の高さHは一様になっている。
<第1の実施の形態の効果>
(1) リード線6−1、6−2の先端側に突起部20を設けて、外装樹脂10の樹脂面12に配置したことで伸び逃げ部16の幅Wの長短に関係なく、リード線6−1、6−2の折曲げによる跳ね上がりが防止でき、その折り曲げ角度を一定に保つことができ、コンデンサ2の高さのばらつきが軽減できる。つまり、幅Wが大きい場合には、突起部20によって、折り曲げられる角度は制限される。そのため、伸び部の幅Wが大きくなり、折り曲げの起点が樹脂面12から離れてもリード線6−1、6−2の折り曲げ角度が大きくなることを防ぎ、回路基板に対する配置制度が安定する。
(2) コンデンサ2の高さが一定になるのでコンデンサ2を固定する回路基板に対する配置精度が向上する。
(3) 伸び逃げ部16からリード線6−1、6−2の終端側に向かって高さが異なるノッチ部18または突起部20が備えられ、ノッチ部18と突起部20でたとえば、2段階の段差を形成すれば、ノッチ部18側で外装樹脂10の樹脂面12にリード線6−1、6−2が接触するのを防止できる。この結果、折り曲げられたリード線6−1、6−2の折曲げ角度を一様にでき、コンデンサ2の高さばらつきを低減できる。さらに、2段階の段差の場合、伸び逃げ部16と突起部20との間のノッチ部18の厚さが厚い部分を設けることで、リード線の強度を保つことができる。つまり、高さが異なる段差を設ける構造は、リード線を折り曲げ加工する際に、リード線6−1、6−2が樹脂面12に接触することを防ぐ構造であるとともに、リード線6−1、6−2の強度を保つために必要なリード線6−1、6−2の厚さを確保できる構造である。
(4) 段階的に深くするノッチ部18−1、18−2を形成することで、リード線6−1、6−2の加工時の加工ストレスが低減される。つまり、薄肉部とするノッチ部18−1を深く形成して、複数段とすることで、潰し歪みの発生を防ぎ、リード線6−1、6−2の強度を維持できる。
(5) さらに、ノッチ部18−1として形成した薄肉部は、リード線6−1、6−2の厚さが最も薄い部分となるので、折り曲げ加工の際に起点となる。これにより折り曲げ位置を薄肉部とすることができる。このようにすることで、コンデンサ2の高さのばらつきをより軽減できる。
(6) 上記実施の形態の伸び逃げ部16の幅Wについて、リード線6−1、6−2の強度や加工数を考慮すれば、W=0.02ないし0.1〔mm〕とすることが好ましい。
〔第2の実施の形態〕
図3のAは、第2の実施の形態に係る固体電解コンデンサを示している。図3のAにおいて、図1と同一部分には同一符号を付してある。
第1の実施の形態では、リード線6−1、6−2側に突起部20を形成したが、この実施の形態では、外装樹脂10の樹脂面12の縁部側に突起部24が形成されている。この突起部24の高さは薄肉部の一例である既述のノッチ部18−2の深さ、つまり、ノッチ部18−2の底面からの突起部20の高さと同等である。
斯かる構成とすれば、図3のBに示すように、リード線6−1、6−2を互いに反対方向にノッチ部18で屈曲させ、折曲げ加工を施せば、リード線6−1、6−2の側壁が突起部24に当たり、リード線6−1、6−2の折り曲げ角度を制限できるので、水平に維持される。つまり、リード線6−1、6−2の跳ね上がりが防止され、リード線6−1、6−2の長手方向の中心線Yが平坦側の樹脂面12と平行に維持される。これにより、コンデンサ2の高さHは、第1の実施の形態と同様に一様になる。
<第2の実施の形態の効果>
(1) リード線6−1、6−2の導出面にある樹脂面12側に突起部24を設け、リード線6−1、6−2を外装樹脂10の突起部24に配置したことで、伸び逃げ部16の幅Wの長短に関係なく、リード線6−1、6−2の折曲げ位置を一定に保つことができ、曲げ高さのばらつきを軽減できる。
(2) 第1の実施の形態と同様に、コンデンサ2の高さが均一化するので、基板に実装されるコンデンサの固定位置精度が向上する。
〔他の実施の形態〕
(1) 上記実施の形態では、一例として、固体電解コンデンサを例示したが、本発明のコンデンサは電解コンデンサなどの他のコンデンサであってもよい。
(2) 以上説明したように、本発明の最も好ましい実施の形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。
本発明の樹脂モールドにより外装が施されている固体電解コンデンサなどのコンデンサであって、リード線の根元に伸び逃げ部を備え、リード線の終端側または外装樹脂の樹脂面に突起部を設けている。このリード線側の突起部と樹脂面またはリード線と樹脂側の突起部との接触により、リード線の折曲げ角度を調整し、リード線の水平度を維持し、コンデンサの高さのばらつきを防止している。
2 固体電解コンデンサ
4 コンデンサ素子
6−1 陽極側のリード線
6−2 陰極側のリード線
8 素子端面
10 外装樹脂
12 樹脂面
14 端子本体
16 伸び逃げ部
18 ノッチ部
20 突起部
21 平坦面部
22 空間
24 突起部

Claims (5)

  1. 電極箔に接続されたリード線を備えるコンデンサ素子を外装樹脂で被覆したコンデンサであって、
    前記リード線の平坦面部に形成された薄肉部と、
    前記リード線の終端部と前記薄肉部との間の前記平坦面部に形成された、高さの異なる複数の突起部を備え、
    これら突起部のうち、終端側の突起部の高さを他の突起部より高く設定し、
    前記リード線の前記終端側の突起部が前記リード線の折り曲げにより前記外装樹脂の樹脂面に当たり、前記リード線の折り曲げにより生じた伸び部の長さに関係なく、前記リード線の折り曲げ角度が前記リード線の前記終端側の突起部により制限されている
    ことを特徴とするコンデンサ。
  2. 前記外装樹脂から露出する前記リード線の根元部と、前記平坦面部との間に前記伸び部を備えることを特徴とする請求項1に記載のコンデンサ。
  3. 記伸び部が折り曲げた前記リード線の前記薄肉部の内方に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンデンサ。
  4. 前記リード線の前記平坦面部の成形前の側面と薄肉部との厚みの差T3と前記薄肉部長さL1との大小関係がT3≦L1であることを特徴とする請求項3に記載のコンデンサ。
  5. 電極箔に接続されたリード線を備えるコンデンサ素子を外装樹脂で被覆したコンデンサの製造方法であって、
    前記リード線の平坦面部に薄肉部を形成する工程と、
    前記リード線の終端部と前記薄肉部との間の前記平坦面部、終端側の突起部の高さを他の突起部より高く設定して複数の突起部を形成する工程と、
    前記リード線を前記外装樹脂の樹脂面に向かって折り曲げる工程と、
    前記リード線の折り曲げにより、前記リード線の前記終端側の突起部が前記外装樹脂の前記樹脂面に当たり、前記リード線の折り曲げにより生じた伸び部の長さに関係なく、前記リード線の折り曲げ角度が前記リード線の前記終端側の突起部により制限させる工程と、
    を含むことを特徴とするコンデンサの製造方法。
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