JP6178543B2 - P型拡散層用塗布液 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体シリコン基板にP型拡散層を形成するための拡散用塗布液、さらに詳しくは半導体シリコン基板にホウ素及びアルミニウムを拡散するための新規な拡散用塗布液に関する。
トランジスタ、ダイオード、IC等の製造には、例えば、ホウ素、アルミニウム、ガリウム等の不純物が拡散したP型領域を有する半導体シリコンデバイスが使用されている。前記半導体シリコンデバイスに使用される半導体シリコン基板に不純物を拡散する方法としては熱分解法、対向NB法、ドーパントホスト法、塗布法等が検討されたが、中でも高価な装置を必要としないで、かつ、均一な拡散ができ、量産性に優れているところから、塗布法が好適に使用されている。前記塗布法では、特に不純物を含有する塗布液を、スピンコーター等を用いて塗布する場合が多い。
従来の塗布液は、溶媒としてホウ素の溶解性に優れたエチレングリコール誘導体、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル等を使用している場合が多いが、このエチレングリコール誘導体は環境毒性が高く、PRTR法第一種指定化学物質にも指定されており昨今その使用が敬遠されるようになって来ている。そこで、エチレングリコール誘導体の代替溶剤としてプロピレングリコール誘導体を用いるとともに非イオン界面活性剤をさらに添加した塗布液(特許文献1の請求項1又は2参照)が提案された。
しかしながら、溶媒としてプロピレングリコール誘導体を使用した塗布液は、エチレングリコール誘導体を使用した塗布液と比較して、ホウ素化合物及びポリビニルアルコール系樹脂の溶解性に劣り、特にホウ素化合物の量が少ない領域では被膜形成助剤であるポリビニルアルコール系樹脂が析出する等の問題を呈し、逆にホウ素化合物の量が多い場合には、ホウ素化合物を十分に溶かすことができず、ホウ素化合物の結晶が残存する等して均一な塗布液を製造することができず、エチレングリコール誘導体を使用した塗布液に代わるホウ素を含有する塗布液を提供できていなかった。
また、塗布剤に含まれる不純物(例えば、ホウ素化合物、アルミニウム化合物等)の種類により半導体シリコン基板中へ該不純物が拡散する量及び深さが変化すること、並びに、複数の不純物を半導体シリコン基板中へ拡散することにより、半導体シリコン基板の抵抗値の深さ方向の分布を2層にすることが可能になることは、公知である。半導体シリコン基板に深さ方向に2層の分布を形成させる方法として、ホウ素及びアルミニウムを使用する塗布剤(特許文献2の請求項1又は5参照)が提案されている。
しかしながら、前記塗布剤では、不純物であるアルミニウムがアルミナに覆われたパウダー状の固体粒子であるため、溶媒中に分散した形となり、半導体シリコン基板に塗布した際に、均一に表面に分布させることが困難である。そのため、種類の異なる不純物を複数含有し、その不純物を半導体シリコン基板上へ均一に塗布することができ、一度の熱処理で効率良く半導体シリコン基板内へ複数の不純物を拡散させる為の塗布液は無いのが現状である。
そこで、溶媒としてエチレングリコール誘導体を使用せず、かつ種類の異なる不純物を複数含有し、その不純物を半導体シリコン基板上へ均一に塗布することができるホウ素を含有する塗布液の開発が求められていた。
特開平09−181009号公報 特開平11−186182号公報
上記現状に鑑み、本発明は、不純物拡散用塗布液の溶剤にプロピレングリコール系溶剤を用いながら、ホウ素化合物を所望の濃度に調整することが可能であり、さらに第二の不純物であるアルミニウム化合物を含有し、ホウ素及びアルミニウムの半導体シリコン基板中への均一な拡散を可能にし、なおかつ拡散後の半導体シリコン基板の表面抵抗値にバラツキを発生させず、不純物の結晶の析出がなく、所望の濃度にホウ素及びアルミニウムを拡散させることができるホウ素・アルミニウム拡散用塗布液を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、シリコン基板にP型拡散層を形成する物質として(a)ホウ素化合物及び(b)アルミニウム化合物を使用し、溶媒として(c)プロピレングリコール誘導体及び(d)水を含有し、かつ皮膜形成剤として(e)ケン化度が96モル%以下のポリビニルアルコール系樹脂を含有させ、(e)ポリビニルアルコール系樹脂中のナトリウムの含有量がポリビニルアルコール系樹脂の質量に対して0.2質量%以下とすることによって、上記課題を一挙に解決できることを見出し、この知見に基づいてさらに研究を進め、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の発明に関する。
[1]半導体シリコン基板にP型拡散層を形成するための拡散用塗布液であって、シリコン基板にP型拡散層を形成する物質が(a)ホウ素化合物及び(b)アルミニウム化合物であり、溶媒として(c)プロピレングリコール誘導体及び(d)水を含有し、かつ皮膜形成剤として(e)ケン化度が96モル%以下のポリビニルアルコール系樹脂を含有し、(e)ポリビニルアルコール系樹脂中のナトリウムの含有量がポリビニルアルコール系樹脂の質量に対して0.2質量%以下であることを特徴とする半導体シリコン基板内におけるホウ素及びアルミニウムの拡散用塗布液。
[2](e)ポリビニルアルコール系樹脂の重合度が1000以下であり、ケン化度が96モル%以下であり、ナトリウムの含有量が(e)ポリビニルアルコール系樹脂の質量に対して0.0001質量%未満であり、かつ(a)ホウ素化合物に対する(e)ポリビニルアルコール系樹脂の添加量が(a)ホウ素化合物の質量に対して、0.3〜5質量倍の範囲であることを特徴とする前記[1]記載の拡散用塗布液。
[3](a)ホウ素化合物が、ホウ酸、酸化ホウ素、ホウ酸アンモニウム及び塩化ホウ素からなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする前記[1]又は[2]に記載の拡散用塗布液。
[4](b)アルミニウム化合物が、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム及び硝酸アルミニウムからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の拡散用塗布液。
[5](c)プロピレングリコール誘導体が、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールモノ−nブチルエーテルからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれかに記載の拡散用塗布液。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載した塗布剤を用いて半導体シリコン基板にホウ素及びアルミニウムを拡散する工程を含むことを特徴とするP型拡散層の形成方法。
[7]前記[1]〜[5]のいずれかに記載した塗布剤を用いて半導体シリコン基板にホウ素及びアルミニウムを拡散する工程を含むことを特徴とするP型拡散層を有する半導体シリコン基板の製造方法。
[8]前記[6]に記載された方法により得られた2層のP型拡散層を有する半導体シリコン基板。
本発明により、環境毒性の懸念の少ないプロピレングリコール誘導体を用いながら、従来の方法では製造できなかった、半導体シリコン基板にホウ素及びアルミニウムを均一に拡散することを可能にした塗布液を製造することができる。また、本発明の塗布液は、不純物拡散用塗布液の溶剤にプロピレングリコール系溶剤を用いながら、ホウ素化合物を所望の濃度に調整することが可能であり、さらに第二の不純物としてアルミニウム化合物を含有し、ホウ素及びアルミニウムの半導体シリコン基板中への均一な拡散を可能にし、不純物の結晶の析出がなく、なおかつ拡散後の半導体シリコン基板の表面抵抗値にバラツキを発生させず、所望の濃度にホウ素及びアルミニウムを拡散させることができる。
本発明のP型拡散層形成用塗布液は、半導体シリコン基板にP型拡散層を形成するための拡散用塗布液であって、シリコン基板にP型拡散層を形成する物質が(a)ホウ素化合物及び(b)アルミニウム化合物であり、溶媒として(c)プロピレングリコール誘導体及び(d)水を含有し、かつ皮膜形成剤として(e)ポリビニルアルコール系樹脂を含有し、(e)ポリビニルアルコール系樹脂中のナトリウムの含有量がポリビニルアルコール系樹脂の質量に対して0.2質量%以下であることを特徴とする。
本発明で使用される(a)ホウ素化合物としては、(c)プロピレングリコール誘導体及び(d)水の混合溶媒に可溶な物であれば特に制限はないが、ホウ酸、酸化ホウ素(無水ホウ酸)、ホウ酸アンモニウム、及び塩化ホウ素が好ましく、これらの中から少なくとも1種以上が使用される。ホウ素化合物の配合割合は、塗布方法、半導体シリコン基板に求められる抵抗値により任意に決められるが、通常0.01〜20質量%であり、好ましくは0.03〜10質量%である。ホウ素化合物の配合割合が0.01質量%未満の場合には半導体シリコン基板中へのホウ素の拡散量が少なくなり、期待する半導体シリコン基板の抵抗値が得られない場合がある。また、ホウ素化合物の配合割合が20質量%を超えると、ホウ素化合物が当該塗布液の溶媒に溶けずに(例えば結晶状態のまま)残ってしまったり、塗布液を半導体シリコン基板上へコートして乾燥させた場合に、ホウ素化合物が結晶状の析出物となり均一な被膜ができない等の問題が生じる場合があり、好ましくない。また、塗布液の安定性が損なわれたり、ホウ素供給過剰により半導体シリコン基板に求められる性能を損なったり場合があるので好ましくない。
本発明に使用される(b)アルミニウム化合物は、(c)プロピレングリコール誘導体及び(d)水の混合溶媒に可溶な物であれば特に制限はないが、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム、硝酸アルミニウムが好適に使用され、これらの中から選ばれる少なくとも1種以上が使用される。本発明に使用されるアルミニウム化合物は、パウダー状(粒子状)ではないため、半導体シリコン基板に塗布した際に、均一に表面に分布させることができる。アルミニウム化合物の配合割合は半導体シリコン基板に求められる抵抗値により任意に決められるが、通常0.05〜10質量%であり、好ましくは0.1〜8質量%である。アルミニウム化合物も(a)ホウ素化合物の場合と同様に、配合割合が0.05質量%未満の場合には半導体シリコン基板中へのアルミニウムの拡散量が少なくなり、期待する半導体シリコン基板の抵抗値が得られない場合がある。また、アルミニウム化合物の配合割合が10質量%を超えると、アルミニウム化合物が当該塗布液の溶媒に溶けずに(例えば結晶状態のまま)残ってしまったり、塗布液を半導体シリコン基板上へコートして乾燥させた場合に、アルミニウム化合物が結晶状の析出物となり均一な被膜ができない等の問題が生じる場合があり、好ましくない。また、塗布液の安定性が損なわれたり、アルミニウム供給過剰により半導体シリコン基板に求められる性能を損なったり場合があるので好ましくない。
本発明に使用される(c)プロピレングリコール誘導体としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−nブチルエーテル等が挙げられこれらの中から1種又は2種以上の混合溶媒が用いられるが、中でもプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。本発明のホウ素拡散用塗布液中のプロピレングリコール誘導体の含有量は、特に限定されない。
本発明に使用される(d)水としては、超純水、イオン交換水、蒸留水等が用いられ、特に超純水が好ましい。本発明のホウ素拡散用塗布液中の水の含有量は、25質量%未満が好ましい。水の量が25質量%を越える場合には塗布剤の乾燥速度が遅くなり、例えば塗布剤をスピンコーターで2度塗り、3度塗りするような場合において、乾燥速度が遅いために塗り重ねの効果が十分発揮できない場合があったり、乾燥の過程で塗布膜が不均一になったりする場合があるため、好ましくない。また、水の量が25質量%を越える場合は冬場の低温下(例えば0℃未満)で保存した場合に固化する場合があるため好ましくない。
本発明の(e)ポリビニルアルコール系樹脂を前記各成分と組み合わせることにより、本発明の優れた効果が得られる。以下、(e)ポリビニルアルコール系樹脂について詳細に説明する。本発明で使用される(e)ポリビニルアルコール系樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール誘導体等が挙げられ、これらの単独又は2種以上の混合物が使用される。これらの中でも特にポリビニルアルコールが好ましい。前記ポリビニルアルコール系樹脂は、JIS K 6726:1994に従って測定した平均重合度(以下、「重合度」という。)が150〜1000のものが好ましい。重合度が150未満の場合、塗布液の皮膜形成性が悪く、乾燥時に塗膜のひび割れ等が発生し、均一な塗膜を得ることができない。重合度が1000を超える場合には塗布液の粘度が高くなりすぎてスピンコートすることができない場合がある。前記ポリビニルアルコール系樹脂は、JIS K 6726:1994に従って測定したケン化度が96モル%以下のものが好適に使用され、93モル%以下のものがより好適であり、90モル%以下のものが特に好適である。前記ケン化度の下限値は特に限定されないが、通常30モル%以上であり、40モル%以上が好適である。ケン化度が96モル%を越える場合には、本発明の塗布剤における(d)水の量が25質量%を超える量でなければホウ素化合物及びアルミニウム化合物が均一に溶けず、(d)水の量が25質量%未満の場合には、繊維状の析出物が発生したり、塗布液が白濁したりして塗布液の均一性に欠けるので好ましくない。本発明のポリビニルアルコール系樹脂としては、重合度が150〜1000であり、かつケン化度が96モル%以下のものがより好ましい。また、ポリビニルアルコール系樹脂が含有する1,2−グリコール結合量には特に制限はなく、1.5〜3.0モル%程度含有するのが通常であるがこれに限らない。
(e)ポリビニルアルコール系樹脂の配合割合は、主には塗布液に求められる粘度により決定されるが、(a)ホウ素化合物の質量に対して、(e)ポリビニルアルコール系樹脂の質量が、通常0.3〜5質量倍であり、好ましくは0.4〜4質量倍の範囲であることが重要である。ポリビニルアルコール系樹脂の配合量がホウ素化合物の質量に対して0.3質量倍未満の場合には本塗布剤を半導体シリコン基板に塗布後乾燥した場合にホウ素化合物が結晶状に析出してきて均一な被膜を形成できないので好ましくなく、逆に、ポリビニルアルコール系樹脂の配合量がホウ素化合物の質量に対して5質量倍を越える場合には、塗布剤の粘度が高くなり、半導体シリコン基板上へ均一に塗布することができなくなったり、塗布液を塗布した半導体シリコン基板を熱処理炉に入れて加工する場合にポリビニルアルコール系樹脂が炭化してホウ素の半導体シリコン基板への拡散を妨げたりするため好ましくない。
本発明の(e)ポリビニルアルコール系樹脂の製造方法については、特に限定されないが工業的には、脂肪族ビニルエステル、主に酢酸ビニルをメタノール溶媒中で溶液重合し、得られた重合体をアルカリ又は酸によりケン化することにより得られる。重合体の製造方法についても特に制限はなく、大気圧下での溶液重合法、加圧重合法、減圧重合法等公知の方法が用いられる。
脂肪族ビニルエステルを重合する際に、本発明の効果を損なわない範囲で前記脂肪族ビニルエステルと共重合可能な不飽和単量体1種以上と脂肪族ビニルエステルとの共重合を行っても良い。脂肪族ビニルエステルと共重合可能な不飽和単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のオレフィン類、ビニレンカーボネート類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその塩あるいはモノ又はジアルキルエステル等、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類、ラウリルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、イソプロペニルアリルアルコール等のアリルアルコール類、アリルアセテート、ジメチルアリルアセテート、イソプロペニルアリルアセテート等のアセチル基含有単量体、スチレン等の芳香族系単量体、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ソーダ等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジメチルアリルビニルケトン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル等のポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル、ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンブチルビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル、ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン、アセト酢酸等が挙げられるがこれに限らない。また、脂肪族ビニルエステルと脂肪族ビニルエステルと共重合可能な不飽和単量体との共重合の割合は任意で良く、通常共重合樹脂中で変性モノマーの割合が0.1〜10モル%の範囲で共重合されるのが一般的である。
さらに、上記ポリビニルアルコール系樹脂とアクリル酸、メタクリル酸等をグラフト重合させて側鎖に官能基を付加した後変性ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂とジケテンを反応させる方法又はポリビニルアルコールとアセト酢酸エステルを反応させエステル交換する方法等により得られるアセトアセチル化ポリビニルアルコール等の後変性ポリビニルアルコール系樹脂も(e)ポリビニルアルコール系樹脂として用いられる。
従来公知の方法で工業的に得られる通常のポリビニルアルコール系樹脂中には、ケン化反応時の副生成物である酢酸ナトリウムが不純物として含まれている。本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂中のナトリウムの含有量がポリビニルアルコール系樹脂の質量に対して0.2質量%以下のものが好適に使用され、0.1質量%以下のものがより好適に使用される。ナトリウムの含有量が上記範囲のポリビニルアルコール系樹脂を前記各成分と組み合わせることによって、本発明の優れた効果が得られる。また、ナトリウムは、半導体シリコン基板中に侵入して基板を汚染すると、当該半導体シリコン基板を使用した電子デバイスの信頼性が低下したり、製品歩留まりが低下したりすることを考慮して、本発明に用いられるポリビニルアルコール系樹脂中のナトリウムの含有量はポリビニルアルコール系樹脂の質量に対して0.0001質量%未満が特に好適である。
これらポリビニルアルコール系樹脂中のナトリウム含有量を減少させるには、(1)脂肪族ビニルエステル系重合体を酸又はアルカリケン化触媒でケン化してポリビニルアルコール系樹脂にした後、メタノール、エタノール等のアルコール類又はそれらアルコール類と水、酢酸メチル等の混合溶媒で洗浄する方法、(2)ポリビニルアルコール系樹脂を水等の溶媒に溶かしてポリビニルアルコール系樹脂溶液とした後、酸型イオン交換樹脂層を通過させてナトリウムイオンを除去する方法、(3)脂肪族ビニルエステル系重合体をケン化する際に使用するケン化触媒にナトリウムを含まない物を使用する方法のいずれかの方法でナトリウムを減少させたものを使用する事が好ましい。これらの方の中でも(3)脂肪族ビニルエステル系重合体をケン化する際に使用するケン化触媒にナトリウムを含まない物を使用する方法が最も好ましく、ポリビニルアルコール系樹脂中のナトリウムの含有量をポリビニルアルコール系樹脂の質量に対して0.0001質量%未満にすることができる。
ナトリウムを含まないケン化触媒としては、ナトリウムを含まないアルカリケン化触媒又は酸ケン化触媒が挙げられる。前記ナトリウムを含まないアルカリケン化触媒としては、特に限定されないが、例えば、ホスファゼン化合物、下記一般式(II)
OH (II)
(式中R〜Rは、それぞれ独立して炭素数1〜16のアルキル基、ベンジル基又はフェニル基である。)
で表される水酸化4級アンモニウム、グアニジン化合物、又はアミジン化合物等が挙げられ、ホスファゼン化合物、前記式(II)で表される水酸化4級アンモニウムがより好ましく、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラベンジルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムが特に好ましい。前記ナトリウムを含有しない酸ケン化触媒としては、特に限定されないが、例えば、パラトルエンスルホン酸、ギ酸、酢酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、塩酸及び硝酸等が挙げられるが、触媒中に硫黄又はリン酸が含まれる場合、硫黄又はリン酸がシリコン結晶中に再結合中心となる準位を作り、半導体デバイスに悪影響を及ぼす点から、ギ酸、酢酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、塩酸及び硝酸が好ましい。これらの酸ケン化触媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ナトリウムを含まないケン化触媒の使用量としては、用いる化合物の種類、ケン化する際の溶媒組成及び含水率によって、任意に決定できる。本明細書中、ケン化触媒が「ナトリウムを含有しない」とは、水酸化ナトリウム(NaOH)のように構成分子中にナトリウム(Na)原子を含まず、かつその組成物中にもナトリウム原子を含んでいないものである。ケン化触媒がその組成物中にナトリウム原子を含まないとは、該触媒に不純物等として含まれるナトリウムが約500ppm以下であることを意味する。このようなケン化触媒としては、不純物等として含まれるナトリウムが約100ppm以下のものが好ましく、約50ppm以下のものがより好ましく、実質的にナトリウムを含有しないものが最も好ましい。
さらに本発明のP型拡散層用塗布液は、(a)ホウ素化合物、(b)アルミニウム化合物、(c)プロピレングリコール誘導体、(d)水、(e)ポリビニルアルコール系樹脂に加えて、必須ではないが、必要に応じて(f)界面活性剤を添加することで塗布液の消泡性、塗布性を改善することができる。(f)界面活性剤の種類としては、プルロニック型界面活性剤、多価アルコール型界面活性剤、ポリエチレングリコール型界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤等のいわゆる非イオン界面活性剤が好ましい。ナトリウム塩型、スルホン酸塩型のイオン系界面活性剤はナトリウム、イオウ分が含まれるため好ましくない。これらの中でもアセチレングリコール系界面活性剤が良く、市販製品としては、日信化学工業(株)製のサーフィノールシリーズ、オルフィンシリーズがある。これら界面活性剤は単独で又は2種以上を混合して用いても良い。消泡性及び塗布性に問題がない場合は添加する必要は無いが、改善を要する場合には界面活性剤の添加量は、ホウ素拡散用塗布液に対して0.01〜5質量%程度で十分である。0.01質量%未満の場合には、その効果が発揮されず、逆に5質量%を超える場合には界面活性剤の水に対する溶解度等の関係から塗布液が分離したりする場合があるので好ましくない。
本発明のP型拡散層用塗布液は、(a)ホウ素化合物、(b)アルミニウム化合物、(c)プロピレングリコール誘導体、(d)水、(e)ポリビニルアルコール系樹脂、さらに、必須ではないが、好適に(f)界面活性剤を混合することにより作製される。その場合、(e)ポリビニルアルコール系樹脂を(d)水に溶解させてポリビニルアルコール系樹脂の水溶液を作製した後、これに(a)ホウ素化合物、(b)アルミニウム化合物、(c)プロピレングリコール誘導体を混合し、さらに(f)界面活性剤を混合する方法や、(a)から(f)までの全ての原料を一度に容器に投入し混合溶解する方法等、最終製品に未溶解物及び析出物が発生しない方法であれば製造方法に関しては特に制限はない。混合に際しては温度を40℃以上、好ましくは50℃以上に上げることで溶解時間を短縮することができる。また、混合・攪拌に関しても市販の各種混合・攪拌機を用いることができ、特殊な設備は必要ない。
本発明の塗布液は半導体シリコン基板上に塗布して使用される。半導体シリコン基板上への塗布方法としては、スピンコーター法、スクリーン印刷法が一般的であるが、ディップ法、グラビア印刷法、凸版印刷法、平版印刷法、インクジェット印刷法、コンマコーター法、ダイへッドコーター法、ダイリップコーター法も用いることができる。これらの塗布法の中でもスピンコーター法が本発明の塗布剤に対して好適に使用されるが、その場合にはJIS K 6726:1994に従って20℃でのB型回転粘度計で測定した粘度が1〜200mPa・s、好ましくは2〜180mPa・sの範囲である。粘度が1mPa・s未満の場合にはスピンコーターで塗布する際に、スピンコーターの回転数を調節しても、塗布液の膜厚を必要十分な厚さにすることが困難となり、求められる半導体シリコン基板の抵抗値を達成できなくなる。逆に粘度が200mPa・sを越える場合には、スピンコーターで塗布する際に塗布液が半導体シリコン基板上に均一に広がらずに塗布ムラが生じてしまい、目的の製品を得ることが出来なくなるので好ましくない。
本塗布剤を塗布した後の、半導体シリコン基板の乾燥方法及び不純物を半導体シリコン基板中に拡散させる方法に関しては、特に制限はなく公知の技術が使用されるが、本塗布剤中の不純物であるホウ素とアルミニウムを目的の量、目的の深さまで半導体シリコン基板中に拡散させる方法としては、半導体シリコン基板の表面に破砕層を形成し、開管法での酸化雰囲気処理を行う(特開2000−068221号公報の請求項1参照)方法又は、1200℃を越える高温下で還元性ガス雰囲気処理する(特開2000−091256号公報の請求項1参照)方法が有効である。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではなく、多くの変形が本発明の技術的思想内で当分野において通常の知識を有する者により可能である。
<ポリビニルアルコール系樹脂の製造例>
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、圧力計を備えた反応器内を窒素で置換した後、脱酸素した酢酸ビニルモノマー2500質量部、脱酸素したメタノール1100質量部を仕込み攪拌下で昇温を開始し内温が60℃となったところで、別途脱酸素したメタノール50質量部に開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))2重量部を溶解させた開始剤溶液を添加して重合を開始した。60℃で5時間重合した後、冷却して重合を停止した。このときの重合溶液中の固形分濃度は51.1%(重合収率で73.6%)、また、得られたポリ酢酸ビニル樹脂をケン化度100モル%のポリビニルアルコールとしJIS K 6726:1994に従って測定した重合度は980であった。得られた重合溶液を塔内に多孔板を多段数有する脱モノマー等に供給して塔下部よりメタノール蒸気を吹き込んで重合溶液と接触させ未反応の酢酸ビニルモノマーを除去した。ポリ酢酸ビニル−メタノール溶液の固形分濃度は42%であった。このポリ酢酸ビニル−メタノール溶液の温度を40℃に保ち、tert−ブチルイミノ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホランを添加してケン化反応を行った。ケン化反応終了時の形態は溶媒のメタノール及び副生成物の酢酸メチルを含有したゲルになっており、鹸化度は88モル%、揮発分は58%、得られたポリビニルアルコール中のナトリウムの量はポリビニルアルコールに対して0.0001質量%未満であった。このゲル状ポリビニルアルコールを3mm角の大きさに粉砕後、乾燥して揮発分を4%にまで下げたものを試験に供した。本実施例において、上記のポリビニルアルコール系樹脂と重合度の異なるポリビニルアルコール系樹脂は、酢酸ビニルを溶液重合する際の酢酸ビニルと溶媒であるメタノールとの比率及び重合収率を調整することで変化させて、製造した。また、ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度はケン化反応を行う際のケン化触媒の量及びケン化時間を調整して変化させた。
<ポリビニルアルコール系樹脂の物性測定方法>
本発明に用いるポリビニルアルコール系樹脂の重合度、ケン化度はJIS K 6726:1994に従って測定した。ポリビニルアルコール系樹脂のナトリウム量はポリビニルアルコール系樹脂を硝酸中で、マイクロ波試料前処理装置(商品名:START D、マイルストーンゼネラル社製)を使用して分解した後、分解液中のナトリウム量を誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS:Agilent Technology社製Agilent 7700x)を用いて測定して求めた。
<塗布液の調製例>
温度計、凝縮装置、加熱装置、攪拌装置を備えたガラス製のセパラブルフラスコに、水20質量部に、上記製造例と同様にして製造した、重合度500、ケン化度88モル%のポリビニルアルコール2.6質量部を加えて85℃まで加熱攪拌してポリビニルアルコール水溶液を作製した。この水溶液にホウ酸4.0質量部、塩化アルミニウム・六水和物3.5質量部を添加後、プロピレングリコールモノメチルエーテル69.9質量%を加えて攪拌を開始した。攪拌を継続しながら加熱を開始し、内部の温度が70℃になるように加熱を調節し、内部の温度を70℃に保ったまま3時間加熱攪拌を継続した。次いで内部の温度が、25℃になるまで冷却し、塗布液を作製した。塗布液の粘度はブルックフィールド型回転粘度計にて測定した。回転数及びローターの番号は、回転数とローターの組み合わせにより得られるトルク範囲が装置許容範囲の20%以上80%以下になるよう調節した。また、測定時の塗布液の温度は20℃になるよう調節した。
<塗布液の半導体シリコン基板への塗布例>
シリコンインゴットからスライス・ラップ・洗浄されたΦ150基板(n型<111>)を準備する。準備された基板にスピンコーターにて拡散を目的とする面に塗布剤を塗布する。塗布剤は、調整例に従って作製されたものを使用した。塗布は、基板静止時に基板中央に塗布剤を1.1g滴下しその後3000min−1程度の回転で基板上に塗り広げる。塗布された基板を直ちに150℃で乾燥させた。
<半導体シリコン基板への不純物拡散方法>
加熱手段を備えた開放SiC管の内部を600℃で安定させた後に、塗布・乾燥された基板をスタック(積層)状態でSi乃至はSiC治具に設置し、徐々にSiC管内部へ挿入する。その後、アルゴンガスと酸素ガスの混合ガスを流入させ、管内部温度を600℃から1270℃まで昇温する。1270℃になったところでその状態を保ったまま所定時間処理を続け、その後600℃まで温度を下げ、その温度を保ったまま徐々に基板を取り出す。取り出しまでの間の混合ガスはそのままに保持する。常温まで冷却した後、基板を設置治具から洗浄用キャリアに移し替え、フッ酸中に所要時間浸漬し表面の酸化膜除去処理を行い終了した。
[実施例1]
(a)ホウ素化合物としてホウ酸4質量部、(b)アルミニウム化合物として塩化アルミニウム・六水和物3.5質量部、(c)プロピレングリコール誘導体としてプロピレングリコールモノメチルエーテル69.9質量部、(d)水として比抵抗18MΩ・cmの超純水20.0質量部、(e)ポリビニルアルコール系樹脂として重合度500、ケン化度88モル%、ナトリウムの含有量がポリビニルアルコール系樹脂に対して0.00005質量%のポリビニルアルコール2.6質量部を用いて、前記塗布液の調製例で示した方法に従って塗布剤を作製した。本塗布剤の20℃におけるブルックフィールド回転粘度計で測定した粘度は、38.0mPa・sで無色透明の均一な液体であった。
本塗布剤1.5gを、前記塗布液の半導体シリコン基板への塗布例で示した方法に従ってシリコン基板へ塗布し、乾燥させた。乾燥表面は均一でホウ酸及び塩化アルミニウムの結晶性析出物は見受けられなかった。乾燥に続いて半導体シリコン基板への不純物拡散方法に示した方法に従って不純物を拡散させた。
得られた半導体シリコン基板上に均一な拡散層が形成されているかどうかを確認するため、4探針法抵抗測定器(ナプソン社製 制御部RT−8A、測定器RG−7A)を用い、該拡散面の面内20ポイントで表面抵抗値を測定した。表面抵抗値の最大値は0.90Ω/□、最小値は0.85Ω/□でその差は0.05Ω/□であり、ばらつきは十分小さい範囲内であった。
また、不純物が半導体表面からどの程度の深さまで拡散しているかを確認するため、半導体を中心部で切断し、半導体表面から深さ方向の抵抗値を測定した。測定の結果、深さ方向に不純物が90μm拡散しており、ホウ素の拡散領域とアルミニウムの拡散領域が2層に分布していることが確認できた。結果を表1に示す。
[実施例2]
(a)ホウ素化合物としてホウ酸0.1質量部、(b)アルミニウム化合物として塩化アルミニウム・六水和物0.4質量部、(c)プロピレングリコール誘導体としてプロピレングリコールモノメチルエーテル87.4質量部、(d)水として比抵抗18MΩ・cmの超純水12.0質量部、(e)ポリビニルアルコール系樹脂として重合度500、ケン化度72モル%、ナトリウムの含有量がポリビニルアルコール系樹脂に対して0.00005質量%のポリビニルアルコールを0.1質量部用いた以外は実施例1と同様にして塗布液を作製した。本塗布剤の粘度は4.0mPa・sで無色透明の均一な液体であった。本塗布剤を実施例1と同様にして半導体シリコン基板に塗布して評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例2の(e)重合度500、ケン化度72モル%、ナトリウムの含有量がポリビニルアルコール系樹脂に対して0.00005質量%のポリビニルアルコール0.1質量部に代えて、重合度940、ケン化度68モル%、ナトリウムの含有量がポリビニルアルコールに対して0.00008質量%のポリビニルアルコールを0.05質量部使用し、(c)プロピレングリコールモノメチルエーテルの量を87.45質量部にした以外は実施例1と同様にして塗布液を作製した。本塗布剤の粘度は4.2mPa・sで無色透明の均一な液体であった。本塗布剤を実施例1と同様にして半導体シリコン基板に塗布して評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例2の(e)重合度500、ケン化度72モル%、ナトリウムの含有量がポリビニルアルコール系樹脂に対して0.00005質量%のポリビニルアルコールを0.1質量部に代えて重合度210、ケン化度88モル%、ナトリウムの含有量がポリビニルアルコールに対して0.00006質量%のポリビニルアルコールを0.45質量部使用し、(c)プロピレングリコールモノメチルエーテルの量を87.05質量部にした以外は実施例1と同様にして塗布液を作製した。本塗布剤の粘度は4.9mPa・sで無色透明の均一な液体であった。本塗布剤を実施例1と同様にして半導体シリコン基板に塗布して評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例5]
実施例1の(e)重合度500、ケン化度88モル%、ナトリウムの含有量がポリビニルアルコール系樹脂に対して0.00005質量%のポリビニルアルコールに代えて、重合度650、エチレン含有量が1.5モル%、ポリビニルアルコール部分ケン化度が90モル%、ナトリウムの含有量がポリビニルアルコール系樹脂に対して0.00008質量%であるエチレン変性ポリビニルアルコールを使用した以外は実施例1と同様にして塗布液を作製した。本塗布剤の粘度は42.1mPa・sで無色透明の均一な液体であった。本塗布剤を実施例1と同様にして半導体シリコン基板に塗布して評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1で使用した(e)ポリビニルアルコールに代えて、重合度500、ケン化度88モル%、ナトリウムの含有量がポリビニルアルコール系樹脂に対して0.9質量%のポリビニルアルコールを用いた以外は実施例1と同様にして塗布剤を作製した。本塗布剤の粘度は38.6mPa・sで無色透明の均一な液体であった。得られた塗布液を半導体シリコン基板に塗布して実施例1と同様にして評価を行った。評価の結果、各構成成分が一体となって本発明の効果を奏することはなく、目的の半導体シリコン基板を得ることができなかった。結果を下記表1に示す。
[比較例2]
実施例2で使用した(e)ポリビニルアルコールに代えて、重合度500、ケン化度98モル%、ナトリウムの含有量がポリビニルアルコールに対して0.00009質量%のポリビニルアルコールを用いた以外は実施例1と同様にして塗布剤を作製した。作製の過程でポリビニルアルコールが繊維状に析出してきて不均一な塗布剤となった。この時点で試験を断念した。
[比較例3]
実施例1で使用した(b)塩化アルミニウム・六水和物を使用しなかった以外は実施例1と同様にして塗布剤を作製した。本塗布剤の粘度は28.4mPa・sで無色透明の液体であった。得られた塗布液を半導体シリコン基板に塗布して実施例1と同様にして評価を行った。結果を下記表1に示す。表面抵抗値のバラツキは発生しなかったが、目的の2層のP型拡散層が形成されておらず、拡散深さも実施例1の塗布液と比較すると浅かった。
[比較例4]
実施例1で使用した(a)ホウ酸を使用しなかった以外は実施例1と同様にして塗布剤を作製した。本塗布剤の粘度は22.6mPa・sで無色透明の液体であった。得られた塗布液を半導体シリコン基板に塗布して実施例1と同様にして評価を行った。表面抵抗値のバラツキが発生し、なおかつ目的の2層のP型拡散層が形成されていなかった。
結果を下記表1に示す。
Figure 0006178543
表1の各評価基準について、以下に示す。塗布液の外観、塗布性及び塗布液乾燥後の被膜の状態は目視で観察した。塗布液の塗布性については、塗布時の筋状ムラ、段状ムラ及び擦れの有無を目視で確認し、均一流延の可否判断を行った。
<外観の評価基準>
○:透明で均一
×:溶け残り、析出物があるか不透明又は不均一
<塗布液の塗布性の評価基準>
○:均一に流延できる
×:均一に流延できない
<塗布液乾燥後の被膜の状態の評価基準>
○:析出物等無く均一な被膜を形成
×:析出物がある、又は被膜が不均一
半導体シリコン基板の評価基準について以下に示す。P型拡散層が2層あるか否かについては、拡がり抵抗測定(Spreading Resistance Analysis)による深さ方向プロファイルより、ガウス関数(Gaussian function)及び誤差関数(Error function)の連続性に従わない2層の変局線の有無を確認して評価した。表面抵抗値は、4探針法抵抗測定器(ナプソン社製 制御部RT−8A、測定器RG−7A)を用いて評価した。
<表面抵抗値のバラツキの評価基準>
○:0.10Ω/□以内
×:0.10Ω/□を越える
<2層のP型拡散層形成の評価基準>
○:深さ方向の抵抗値測定でP型拡散層が2層あることが確認される。
×:深さ方向の抵抗値測定でP型拡散層が2層あることが確認できない。
総合評価の評価基準について以下に示す。
<総合評価の評価基準>
○:P型拡散層が2層形成された半導体シリコン基板を得られる目的の塗布剤である。
×:目的の塗布剤ではない。
上記結果から、本発明の塗布液は、環境毒性の懸念の少ないプロピレングリコール誘導体を用いながら、従来の方法では製造できなかったホウ素及びアルミニウムを半導体シリコン基板に均一に拡散できることが確認できた。
本発明により環境毒性の懸念の少ないプロピレングリコール誘導体を用いながら、従来の方法では製造できなかったホウ素及びアルミニウムを半導体シリコン基板に均一に拡散できる塗布液を提供することが可能となった。本発明の拡散用塗布液は、半導体シリコン基板にP型拡散層を形成するための拡散用塗布液として有用である。特に、所望の濃度にホウ素及びアルミニウムを拡散させることを目的とした拡散用塗布液として有用である。

Claims (4)

  1. 半導体シリコン基板にP型拡散層を形成するためのスピンコーター法用の拡散用塗布液であって、シリコン基板にP型拡散層を形成する物質が(a)ホウ素化合物及び(b)アルミニウム化合物であり、溶媒として(c)プロピレングリコール誘導体及び(d)水を含有し、かつ皮膜形成剤として(e)ケン化度が96モル%以下のポリビニルアルコール系樹脂を含有し、(a)ホウ素化合物が、ホウ酸及び酸化ホウ素からなる群から選ばれる1種以上であり、(b)アルミニウム化合物が、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化アルミニウム及び硝酸アルミニウムの中から選ばれる1種以上であり、(c)プロピレングリコール誘導体が、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールモノ−nブチルエーテルからなる群から選ばれる1種以上であり、(e)ポリビニルアルコール系樹脂中のナトリウムの含有量がポリビニルアルコール系樹脂の質量に対して0.0001質量%未満であることを特徴とする半導体シリコン基板内におけるホウ素及びアルミニウムの拡散用塗布液。
  2. (e)ポリビニルアルコール系樹脂の重合度が1000以下であり、かつ(a)ホウ素化合物に対する(e)ポリビニルアルコール系樹脂の添加量が(a)ホウ素化合物の質量に対して、0.3〜5質量倍の範囲であることを特徴とする請求項1記載の拡散用塗布液。
  3. 請求項1又は2に記載した塗布を用いて半導体シリコン基板にホウ素及びアルミニウムを拡散する工程を含むことを特徴とするP型拡散層の形成方法。
  4. 請求項1又は2に記載した塗布を用いて半導体シリコン基板にホウ素及びアルミニウムを拡散する工程を含むことを特徴とするP型拡散層を有する半導体シリコン基板の製造方法。
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