JP5748388B2 - ホウ素拡散用塗布液 - Google Patents
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Description
本発明は、上記知見に基づき完成されたものであり、以下のホウ素拡散用塗布液を提供する。
[1](a)ホウ素化合物、(b)ナトリウム含有量が10ppm以下のポリビニルアルコール系樹脂、および(c)水を含有することを特徴とするホウ素拡散用塗布液。
[2](a)ホウ素化合物が、ホウ酸メラミン、ホウ酸、無水ホウ酸、ホウ酸アンモニウム、多価アルコール−ホウ素化合物錯体化合物、および塩化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記[1]記載のホウ素拡散用塗布液。
[3](b)ナトリウム含有量が10ppm以下のポリビニルアルコール系樹脂が、脂肪族ビニルエステル系重合体を、ナトリウムを含有しないケン化触媒を使用してケン化することにより得られるものであることを特徴とする上記[1]または[2]記載のホウ素拡散用塗布液。
[4]ナトリウムを含有しないケン化触媒が、ホスファゼン化合物であることを特徴とする上記[3]記載のホウ素拡散用塗布液。
[5]ナトリウムを含有しないケン化触媒が、下記一般式(1)
R1R2R3R4N+OH− (1)
(上記式中、R1〜R4は、それぞれ独立して炭素数1〜16のアルキル基、ベンジル基またはフェニル基である。)で表される水酸化4級アンモニウムであることを特徴とする上記[3]記載のホウ素拡散用塗布液。
[6]ナトリウムを含有しないケン化触媒が、グアニジン化合物またはアミジン化合物であることを特徴とする上記[3]記載のホウ素拡散用塗布液。
[7]ナトリウムを含有しないケン化触媒が、酸ケン化触媒であることを特徴とする上記[3]記載のホウ素拡散用塗布液。
[8]酸ケン化触媒が、ギ酸、酢酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、塩酸および硝酸からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする上記[7]記載のホウ素拡散用塗布液。
[9](b)ナトリウム含有量が10ppm以下のポリビニルアルコール系樹脂の重合度が150〜5500、ケン化度が50〜99.5mol%であることを特徴とする上記[1]〜[8]のいずれかに記載のホウ素拡散用塗布液。
[10]さらに、(d)一価アルコール類、多価アルコール類およびその誘導体からなる群より選択される1種以上を含有することを特徴とする上記[1]〜[9]のいずれかに記載のホウ素拡散用塗布液。
[11]さらに、(e)界面活性剤を含有することを特徴とする上記[1]〜[10]のいずれかに記載のホウ素拡散用塗布液。
[12]さらに、(f)無機充填材を含有することを特徴とする上記[1]〜[11]のいずれかに記載のホウ素拡散用塗布液。
[13](d)多価アルコール類およびその誘導体が、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マンニトール、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする上記[10]記載のホウ素拡散用塗布液。
[14](f)無機充填材が、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、窒化ケイ素およびタルクからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする上記[12]記載のホウ素拡散用塗布液。
本発明のホウ素拡散用塗布液は、(a)ホウ素化合物、(b)ナトリウム含有量が10ppm以下のポリビニルアルコール系樹脂、および(c)水を含有するものである。
本発明で使用される(a)ホウ素化合物としては水に溶解または分散するものであれば特に制限はないが、ホウ酸メラミン、ホウ酸、無水ホウ酸、ホウ酸アンモニウム、多価アルコール−ホウ素化合物錯体化合物および塩化ホウ素が、人体に対する安全性の面で好ましい。中でも、多価アルコール−ホウ素化合物錯体化合物がより好ましい。これらのホウ素化合物は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。多価アルコール−ホウ素化合物錯体化合物としては、例えば、特開昭63−37130号公報の請求項1記載の化合物が挙げられる。(a)ホウ素化合物の配合割合はホウ素拡散用塗布液の塗布方法や半導体デバイスに求められる抵抗値により決められるが、通常はホウ素拡散用塗布液中約0.5〜50質量%、好ましくは約1〜40質量%である。(a)ホウ素化合物の配合割合が上記範囲であると、ホウ素拡散用塗布液を半導体デバイスに塗布した場合にホウ素供給量が十分となり、所望する半導体デバイスの抵抗値を得ることができる。また、(a)ホウ素化合物の配合割合が上記範囲であると、ホウ素拡散用塗布液の安定性が良好である。さらに、半導体デバイスへのホウ素供給量が多すぎないため、半導体デバイスに求められる性能が損なわれない。
本発明において用いられるポリビニルアルコール系樹脂は、ナトリウム含有量が10ppm以下であればよいが、ナトリウム含有量が10ppm未満であることが好ましく、約5ppm以下であることがより好ましい。なお、「ポリビニルアルコール系樹脂のナトリウム含有量が10ppm以下である」とはポリビニルアルコール系樹脂中の質量規準のナトリウム含有量が0.001質量%以下であることを意味する。
R1R2R3R4N+OH− (1)
(式中R1〜R4は、それぞれ独立して炭素数1〜16のアルキル基、ベンジル基またはフェニル基である。)で表される水酸化4級アンモニウム、グアニジン化合物、またはアミジン化合物が好ましい。これらのアルカリケン化触媒は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。なお、本明細書中、ケン化触媒が「ナトリウムを含有しない」とは、水酸化ナトリウム(NaOH)のように構成分子中にナトリウム(Na)原子を含まず、かつその組成物中にもナトリウム原子を含んでいないものである。ケン化触媒がその組成物中にナトリウム原子を含まないとは、該触媒に不純物等として含まれるナトリウムが約500ppm以下であることを意味する。このようなケン化触媒としては、不純物等として含まれるナトリウムが約100ppm以下のものが好ましく、約50ppm以下のものがより好ましく、実質的にナトリウムを含有しないものが最も好ましい。
本発明における(c)水としては、超純水、イオン交換水、蒸留水が用いられ、特に超純水が好ましい。中でも、水中のアルカリ金属や重金属元素などの不純物元素および異物は少ないほど好ましい。本発明のホウ素拡散用塗布液中の(c)水の含有量は、(a)ホウ素化合物および(b)ナトリウム含有量が10ppm以下のポリビニルアルコール系樹脂の配合割合により自動的に決められるが、該(a)および(b)を十分溶解または分散させるだけの量があれば良く、通常(c)水の量はホウ素拡散用塗布液中に約25〜95質量%、好ましくは約60〜95質量%の範囲になる。
本発明のホウ素拡散用塗布液は、(a)ホウ素化合物、(b)ナトリウム含有量が10ppm以下のポリビニルアルコール系樹脂、および(c)水に加えて、さらに(d)一価アルコール類、多価アルコール類およびその誘導体からなる群より選択される1種以上を含有することができる。(d)一価アルコール類、多価アルコール類およびその誘導体からなる群より選択される1種以上を含有させることにより、該塗布液の保存安定性、流動安定性を改善することができる。(d)一価アルコール類または多価アルコール類の種類としては、一価アルコール類ではメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等;多価アルコール類およびそれらの誘導体としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、3−メチルペンタノン1,3,5−トリオール、ジグリセリン、ソルビトール、マンニトール、ペンタエリスリトール、ポリグリセリンおよびそれらの誘導体、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−nブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル等が挙げられ、これらの中から1種または2種以上が用いられる。中でも、多価アルコールおよびその誘導体は(a)ホウ素化合物と錯体を形成し、その錯体の安定性がよいことから、ホウ素拡散用塗布液の保存安定性、流動安定性を損なうことなく塗布液中のホウ素化合物の濃度を高めることができ、これにより高濃度のホウ素を半導体デバイスに拡散できるようになることから好ましい。(d)多価アルコール類およびその誘導体としては、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マンニトール、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種以上がより好ましい。(d)一価アルコール類、多価アルコール類およびその誘導体からなる群より選択される1種以上の含有量は特に制限はないがホウ素化合物と錯体を形成させることが目的であるため(a)ホウ素化合物の量に対して5〜1000質量%程度で十分であり、好ましくは10〜900質量%程度である。
本発明のホウ素拡散用塗布液は、(a)ホウ素化合物、(b)ナトリウム含有量が10ppm以下のポリビニルアルコール系樹脂、および(c)水、さらに、必要に応じて上述した(d)一価アルコール類、多価アルコール類およびその誘導体、(e)界面活性剤、並びに(f)無機充填材からなる群より選択される1種以上を混合することにより作製される。本発明のホウ素拡散用塗布液の製造方法としては、(b)ナトリウム含有量が10ppm以下のポリビニルアルコール系樹脂および(c)水を含有する水溶液を作製した後、これに(a)ホウ素化合物を混合し、さらに(d)一価アルコール類、多価アルコール類およびその誘導体、(e)界面活性剤並びに(f)無機充填材からなる群より選択される1種以上を混合する方法や、予め(a)ホウ素化合物と(d)一価アルコール類、多価アルコール類およびその誘導体からなる群より選択される1種以上とを反応させて錯体を形成させた後、これと(b)ナトリウム含有量が10ppm以下のポリビニルアルコール系樹脂水溶液、(e)界面活性剤および(f)無機充填材等とを混合する方法が挙げられるがこれに限らない。また、混合も市販の各種混合機を用いることができ、特殊な設備は必要ない。
本発明は、(a)ホウ素化合物、(b)ナトリウム含有量が10ppm以下のポリビニルアルコール系樹脂、および(c)水を含有する組成物をシリコンウェーハに塗布する工程を含むホウ素拡散方法も包含する。このような組成物やその好ましい態様としては、上述したホウ素拡散用塗布液と同様である。このような組成物を塗布する工程を含むことにより、該シリコンウェーハにホウ素を良好に拡散させることができる。
なお、例えば半導体デバイスの製造において、上記脱脂工程により所望する抵抗値が得られる場合、拡散工程は行わなくてもよい。
本発明の拡散方法により、シリコンウェーハに上記組成物を塗布して製造される半導体デバイスも、本発明の1つである。
用いるポリビニルアルコール系樹脂の重合度、ケン化度、および酢酸ナトリウム量はJISK6726に従って測定した。ポリビニルアルコール系樹脂の微量ナトリウム量はポリビニルアルコール系樹脂を700℃の電気炉にて灰化後、灰化物にギ酸を適当量添加した後に加熱還元させ、さらにこれに塩酸を適当量添加して水に溶解させた水溶液を原子吸光法にて測定した。また、ジアセトンアクリルアミド、エチレン、アルキルビニルエーテル等の変性度はポリビニルアルコール系樹脂をDMSOに溶解後1H−NMRにて公知の方法にて分析して求めた。
(a)ホウ素化合物、(b)ナトリウム含有量が10ppm以下のポリビニルアルコール系樹脂、および(c)水に加えて、(d)一価アルコール類、多価アルコール類またはその誘導体、(e)界面活性剤、および(f)無機充填材を一度にガラス製容器に入れて加熱攪拌し、ポリビニルアルコール系樹脂を溶解させてホウ素拡散用塗布液を作製する方法(1);(a)ホウ素化合物、(c)水、(d)一価アルコール類、多価アルコール類またはその誘導体、および(e)界面活性剤をガラス製容器に入れて加熱攪拌した溶液(A)と、(b)ポリビニルアルコール系樹脂、(c)水、および(f)無機充填材をガラス製容器に入れて加熱攪拌した溶液(B)とを用意し、溶液(A)と溶液(B)とを後で混合する方法(2)のいずれかを採用した。ポリビニルアルコール系樹脂の重合度やケン化度の違い、ホウ素化合物とポリビニルアルコール系樹脂との錯体形成度合いの違いにより方法(1)および(2)を使い分けた。(f)無機充填材を添加したときに、より均一な分散が要求される場合や、攪拌混合後に脱泡を要する場合には、市販の混練・脱泡機を使用して混練・脱泡を行った。
シリコンウェーハは直径4インチ、厚さ200μm、比抵抗値が10〜20Ω・cmのP型シリコンウェーハ(SUMCO社製)を用いた。ホウ素拡散用塗布液のシリコンウェーハへの塗布は、スピンコーター(ミカサ社製 MS−A100)を用いて回転速度3500rpm、塗布時間30秒で塗布した。
ホウ素拡散用塗布液が塗布されたシリコンウェーハはまず、工程(I)150℃の電気炉で5分間乾燥させた。次いで工程(II)塗膜中の有機化合物を脱脂することを目的として500℃の電気炉で20分間脱脂を行った。その後、工程(III)、前工程(II)で得られたウェーハを枚葉、または複数枚を重ね合わせた状態にて電気炉において1300℃で60分間熱処理することによりホウ素をウェーハに拡散させた。
抵抗測定器(ナプソン社製、本体:RT−8A、測定器:RG−7A)を用い、拡散後のウェーハ1枚を任意に選択し該拡散膜の面内10点の表面抵抗率を求めウェーハ内の表面抵抗率のばらつきを評価した。また、拡散後のウェーハ10枚を任意に選択し、各ウェーハの中心部分の表面抵抗率を測定しおよびウェーハ間の表面抵抗率のばらつきを評価した。
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計、および圧力計を備えた反応器内を窒素で置換した後、脱酸素した酢酸ビニルモノマー2800質量部および脱酸素したメタノール800質量部を仕込み、攪拌下で昇温を開始し内温が60℃となったところで、別途脱酸素したメタノール50質量部に開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル))1重量部を溶解させた開始剤溶液を添加して重合を開始した。60℃で5時間重合した後、冷却して重合を停止した。このときの重合溶液中の固形分濃度は55.1%(重合収率で71.8%)、また、得られたポリ酢酸ビニル樹脂をケン化度100モル%のポリビニルアルコールとしJISK6726に従って測定した重合度は1710であった。得られた重合溶液を塔内に多孔板を多段数有する脱モノマー塔に供給して塔下部よりメタノール蒸気を吹き込んで重合溶液と接触させ未反応の酢酸ビニルモノマーを除去した。ポリ酢酸ビニル−メタノール溶液の固形分濃度は42%であった。このポリ酢酸ビニル−メタノール溶液1kg(1000質量部)の温度を40℃に保ち、tert−ブチルイミノ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホラン8質量部を添加して60分間ケン化反応を行った。ケン化反応終了時の形態は溶媒のメタノールおよび副生成物の酢酸メチルを含有したゲルになっており、ケン化度は88モル%、揮発分は58%、副生成物のナトリウムはポリビニルアルコールに対して10ppm(ここで言う10ppmとはポリビニルアルコール系樹脂中の質量規準のナトリウム含有量0.001質量%を示す。)未満であった。このゲル状ポリビニルアルコールを3mm角の大きさに粉砕後、乾燥して揮発分を4%にまで下げたものを試験に供した。
超純水300質量部にtert−ブチルイミノ−トリ(ピロリジノ)ホスホランを用いてケン化した重合度220、ケン化度88モル%、ナトリウムの含有量10ppm未満のポリビニルアルコール系樹脂22質量部、およびホウ酸メラミン(BUDENHEIM社製、商品名「BUDIT 313」)30質量部をガラス製容器に入れ、次いで攪拌しながら分散/溶解させ拡散用塗布液を作製した。本拡散用塗布液を所定の方法でシリコンウェーハに塗布し、乾燥、脱脂および拡散を行った後、抵抗値を測定した。表2に示すようにばらつきも少なく良好な結果であった。
超純水300質量部に2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルハロイド−1,3,2−ジアザホスホリンを用いてケン化した重合度560、ケン化度98モル%、ナトリウムの含有量10ppm未満のポリビニルアルコール系樹脂20質量部、ホウ酸8質量部およびイソプロピルアルコール10質量部をガラス製容器に入れ、次いで攪拌しながら溶解させ拡散用塗布液を作製した。本拡散用塗布液を所定の方法でシリコンウェーハに塗布し、乾燥、脱脂および拡散を行った後、抵抗値を測定した。表2に示すようにばらつきも少なく良好な結果であった。
超純水300質量部に水酸化テトラメチルアンモニウムを用いてケン化した重合度2530、ケン化度78モル%、ナトリウムの含有量10ppm未満のポリビニルアルコール系樹脂9質量部、ホウ酸アンモニウム10質量部、およびソルビトール30質量部をガラス製容器に入れ、次いで攪拌しながら分散/溶解させ拡散用塗布液を作製した。本拡散用塗布液を上記所定の方法でシリコンウェーハに塗布し、乾燥、脱脂および拡散を行った後、抵抗値を測定した。表2に示すようにばらつきも少なく良好な結果であった
超純水300質量部に水酸化ベンジルトリメチルアンモニウムを用いてケン化した重合度380、ケン化度60モル%、ナトリウムの含有量10ppm未満のポリビニルアルコール系樹脂30質量部をガラス製容器に入れ、次いで攪拌しながら加熱溶解させて水溶液を作製した。水溶液に多価アルコール−ホウ酸錯体化合物(ボロンインターナショナル社製、商品名「ハイボロンDBPG−3」)50質量部を添加して良く攪拌して均一にし、拡散用塗布液を作製した。本拡散用塗布液を上記所定の方法でシリコンウェーハに塗布し、乾燥、脱脂および拡散を行った後、抵抗値を測定した。表2に示すようにばらつきも少なく良好な結果であった。
超純水300質量部に7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デセン−5を用いてケン化した重合度5080、ケン化度88モル%、ナトリウムの含有量10ppm未満のポリビニルアルコール樹脂4質量部、無水ホウ酸7質量部、およびマンニトール60質量部をガラス製容器に入れ、次いで攪拌しながら分散/溶解させ拡散用塗布液を作製した。本拡散用塗布液を上記所定の方法でシリコンウェーハに塗布し、乾燥、脱脂および拡散を行った後、抵抗値を測定した。表2に示すようにばらつきも少なく良好な結果であった。
超純水300質量部に6−ジプロピルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7を用いてケン化した重合度180、ケン化度55モル%、ナトリウムの含有量10ppm未満のポリビニルアルコール樹脂35質量部、およびホウ酸メラミン36質量部をガラス製容器に入れ、次いで攪拌しながら分散/溶解させ拡散用塗布液を作製した。本拡散用塗布液を上記所定の方法でシリコンウェーハに塗布し、乾燥、脱脂および拡散を行った後、抵抗値を測定した。表2に示すようにばらつきも少なく良好な結果であった。
超純水300質量部に酢酸ビニル−ポリオキシエチレンブチルビニルエーテル(竹本油脂社製、商品名「HBVE−10」の変性度が2.0モル%)共重合体を乳酸を用いてケン化した重合度1860、ケン化度96モル%、ナトリウムの含有量10ppm未満のポリビニルアルコール樹脂16質量部、三塩化ホウ素22質量部、およびジグリセリン50質量部をガラス製容器に入れ、次いで攪拌しながら分散/溶解させ拡散用塗布液を作製した。本拡散用塗布液を上記所定の方法でシリコンウェーハに塗布し、乾燥、脱脂および拡散を行った後、抵抗値を測定した。表2に示すようにばらつきも少なく良好な結果であった。
超純水300gに酢酸ビニル−ジアセトンアクリルアミド共重合体(ジアセトンアクリルアミドの変性度は4.0モル%)を水酸化テトラメチルアンモニウムを用いてケン化した重合度520、ケン化度88モル%、ナトリウムの含有量10ppm未満のポリビニルアルコール系樹脂22質量部、無水ホウ酸30質量部、および消泡剤(日信化学工業社製、商品名「サーフィノールMD−20」)0.01質量部をガラス製容器に入れ、次いで攪拌しながら分散/溶解させ拡散用塗布液を作製した。本拡散用塗布液を上記所定の方法でシリコンウェーハに塗布し、乾燥、脱脂および拡散を行った後、抵抗値を測定した。表2に示すようにばらつきも少なく良好な結果であった
超純水300質量部に酢酸ビニル−エチレン共重合体(エチレンの変性度は1.8モル%)を水酸化テトラメチルアンモニウムを用いてケン化した重合度560、ケン化度98モル%、ナトリウムの含有量10ppm未満のポリビニルアルコール系樹脂20質量部、ホウ酸アンモニウム15質量部、ペンタエリスリトール33質量部、およびシリカ(東ソー・シリカ社製、商品名「Nipsil E−220A」)5質量部をガラス製容器に入れ、次いで攪拌しながら分散/溶解させ拡散用塗布液を作製した。本拡散用塗布液を上記所定の方法でシリコンウェーハに塗布し、乾燥、脱脂および拡散を行った後、抵抗値を測定した。表2に示すようにばらつきも少なく良好な結果であった。
超純水300質量部に酢酸ビニル−アルキルビニルエーテル(アルキルビニルエーテルは新日本理化社製、商品名「リカビニーテルC」、リカビニーテルCの変性度は0.3モル%)を水酸化テトラメチルアンモニウムを用いてケン化した重合度560、ケン化度88モル%、ナトリウムの含有量10ppm未満のポリビニルアルコール系樹脂10質量部、ホウ酸15質量部、およびアルミナ(日本アエロジル社製、商品名「Alu−C」)5質量部をガラス製容器に入れ、次いで攪拌しながら分散/溶解させ拡散用塗布液を作製した。本拡散用塗布液を上記所定の方法でシリコンウェーハに塗布し、乾燥、脱脂および拡散を行った後、抵抗値を測定した。表2に示すようにばらつきも少なく良好な結果であった。
超純水300質量部に水酸化テトラメチルアンモニウムを用いてケン化した重合度560、ケン化度88モル%、ナトリウムの含有量10ppm未満のポリビニルアルコール系樹脂20質量部、ホウ酸アンモニウム15質量部、ジエチレングリコール33質量部、シリカ(東ソー・シリカ社製、商品名「Nipsil E−220A」)5質量部および濡れ剤(日信化学工業社製、商品名「オルフィンExp−4200」)0.02質量部をガラス製容器に入れ、次いで攪拌しながら分散/溶解させ拡散用塗布液を作製した。本拡散用塗布液を上記所定の方法でシリコンウェーハに塗布し、乾燥、脱脂および拡散を行った後、抵抗値を測定した。表2に示すようにばらつきも少なく良好な結果であった。
超純水300質量部に水酸化テトラメチルアンモニウムを用いてケン化した重合度560、ケン化度88モル%、ナトリウムの含有量10ppm未満のポリビニルアルコール系樹脂42質量部、ホウ酸10質量部、ジエチレングリコールモノメチルエーテル20質量部、およびシリカ(東ソー・シリカ社製、商品名「Nipsil E−220A」)15質量部をガラス製容器に入れ、次いで攪拌しながら分散/溶解させ拡散用塗布液を作製した。本拡散用塗布液はその粘度がスピンコートするには高すぎたので、シリコンウェーハへはスクリーン印刷機およびポリエステル製#380メッシュを使用して塗膜厚さが1.5μmになるようにスクリーン印刷を行った。スクリーン印刷後、乾燥、脱脂および拡散を行った後、抵抗値を測定した。表2に示すようにばらつきも少なく良好な結果であった
超純水300質量部に水酸化テトラメチルアンモニウムを用いてケン化した重合度1860、ケン化度96モル%、ナトリウムの含有量10ppm未満のポリビニルアルコール系樹脂20質量部、多価アルコール−ホウ酸錯体化合物(ボロンインターナショナル社製、商品名「ハイボロンDBPG−3」)50質量部、シリカ(東ソー・シリカ社製、商品名「Nipsil E−220A」)15質量部、アルミナ(日本アエロジル社製、商品名「Alu−C」)15質量部および濡れ剤(日信化学工業社製、商品名「オルフィンExp−4200」)0.50質量部をガラス製容器に入れ、次いで攪拌しながら分散/溶解させ拡散用塗布液を作製した。本拡散用塗布液はその粘度がスピンコートするには高すぎたので、シリコンウェーハへはスクリーン印刷機およびポリエステル製#380メッシュを使用して塗膜厚さが1.5μmになるようにスクリーン印刷を行った。スクリーン印刷後、乾燥、脱脂および拡散を行った後、抵抗値を測定した。表2に示すようにばらつきも少なく良好な結果であった
超純水300質量部に実施例1のケン化触媒に代えて水酸化ナトリウムを用いてケン化した重合度220、ケン化度88モル%、ナトリウムの含有量2588ppmのポリビニルアルコール系樹脂22質量部、およびホウ酸メラミン(BUDENHEIM社製、商品名「BUDIT 313」)30質量部をガラス製容器に入れ、次いで攪拌しながら分散/溶解させ拡散用塗布液を作製した。
本拡散用塗布液を所定の方法でシリコンウェーハに塗布し、乾燥、脱脂および拡散を行った後、抵抗値を測定した。表2に示すように抵抗値にばらつきが多かった。
超純水300質量部に実施例2のケン化触媒に代えて水酸化ナトリウムを用いてケン化した重合度560、ケン化度98モル%、ナトリウムの含有量3245ppmのポリビニルアルコール系樹脂20質量部、およびホウ酸15質量部をガラス製容器に入れ、次いで攪拌しながら溶解させ拡散用塗布液を作製した。
本拡散用塗布液を所定の方法でシリコンウェーハに塗布し、乾燥、脱脂および拡散を行った後、抵抗値を測定した。表2に示すように抵抗値にばらつきが多かった。
超純水300質量部に実施例3のケン化触媒に代えて水酸化ナトリウムを用いてケン化した重合度560、ケン化度98モル%、ナトリウムの含有量2200ppmのポリビニルアルコール系樹脂をメタノールで洗浄してナトリウム含有量を122ppmまで減らした低ナトリウムポリビニルアルコール系樹脂9質量部、およびホウ酸アンモニウム15質量部をガラス製容器に入れ、次いで攪拌しながら溶解させ拡散用塗布液を作製した。
本拡散用塗布液を所定の方法でシリコンウェーハに塗布し、乾燥、脱脂および拡散を行った後、抵抗値を測定した。表2に示すように抵抗値にばらつきが多かった。
超純水300質量部に実施例2のケン化触媒に代えてパラトルエンスルホン酸を用いてケン化した重合度380、ケン化度60モル%、ナトリウムの含有量45ppmのポリビニルアルコール系樹脂30質量部をガラス製容器に入れ、次いで攪拌しながら加熱溶解させて水溶液を作製した。水溶液にグリセリン−ホウ酸錯体化合物(ボロンインターナショナル社製、商品名「ハイボロンDBPG−3」)50質量部を添加して良く攪拌して均一にし、拡散用塗布液を作製した。本拡散用塗布液を上記所定の方法でシリコンウェーハに塗布し、乾燥、脱脂および拡散を行った後、抵抗値を測定した。表2に示すように抵抗値にばらつきが多かった。
表1におけるケン化触媒を、以下に示す。
1)tert−ブチルイミノ−トリ(ピロリジノ)ホスホラン
2)2−tert−ブチルイミノ−2−ジエチルアミノ−1,3−ジメチル−ペルハロイド−1,3,2−ジアザホスホリン
3)水酸化テトラメチルアンモニウム
4)水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム
5)7−メチル−1,5,7−トリアザビシクロ[4.4.0]デセン−5
6)6−ジプロピルアミノ−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7
7)乳酸
8)水酸化ナトリウム
9)パラトルエンスルホン酸
○: ウェーハ内、ウェーハ間共に抵抗値のばらつきが小さい
△: ウェーハ内またはウェーハ間で抵抗値のばらつきがやや大きい
×: ばらつきが大きい
Claims (13)
- (a)ホウ素化合物、(b)ナトリウム含有量が10ppm以下のポリビニルアルコール系樹脂、および(c)水を含有し、
前記(b)ナトリウム含有量が10ppm以下のポリビニルアルコール系樹脂が、脂肪族ビニルエステル系重合体を、ナトリウムを含有しないケン化触媒を使用してケン化することにより得られるものであることを特徴とするホウ素拡散用塗布液。 - (a)ホウ素化合物が、ホウ酸メラミン、ホウ酸、無水ホウ酸、ホウ酸アンモニウム、多価アルコール−ホウ素化合物錯体化合物、および塩化ホウ素からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のホウ素拡散用塗布液。
- ナトリウムを含有しないケン化触媒が、ホスファゼン化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載のホウ素拡散用塗布液。
- ナトリウムを含有しないケン化触媒が、下記一般式(1)
R1R2R3R4N+OH− (1)
(上記式中、R1〜R4は、それぞれ独立して炭素数1〜16のアルキル基、ベンジル基またはフェニル基である。)で表される水酸化4級アンモニウムであることを特徴とする請求項1又は2記載のホウ素拡散用塗布液。 - ナトリウムを含有しないケン化触媒が、グアニジン化合物またはアミジン化合物であることを特徴とする請求項1又は2記載のホウ素拡散用塗布液。
- ナトリウムを含有しないケン化触媒が、酸ケン化触媒であることを特徴とする請求項1又は2記載のホウ素拡散用塗布液。
- 酸ケン化触媒が、ギ酸、酢酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、塩酸および硝酸からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項6記載のホウ素拡散用塗布液。
- (b)ナトリウム含有量が10ppm以下のポリビニルアルコール系樹脂の重合度が150〜5500、ケン化度が50〜99.5mol%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のホウ素拡散用塗布液。
- さらに、(d)一価アルコール類、多価アルコール類およびその誘導体からなる群より選択される1種以上を含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のホウ素拡散用塗布液。
- さらに、(e)界面活性剤を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のホウ素拡散用塗布液。
- さらに、(f)無機充填材を含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のホウ素拡散用塗布液。
- (d)多価アルコール類およびその誘導体が、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、マンニトール、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびそれらの誘導体からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項9記載のホウ素拡散用塗布液。
- (f)無機充填材が、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、窒化ケイ素およびタルクからなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項11記載のホウ素拡散用塗布液。
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