JP6177213B2 - トランスレスベラトロール多糖体、その製造方法、及びそれを含む組成物 - Google Patents

トランスレスベラトロール多糖体、その製造方法、及びそれを含む組成物 Download PDF

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Description

本発明は、トランスレスベラトロール多糖体、その製造方法、それを含むリポソーム、およびそれらを含む組成物に関する。
レスベラトロールは生体内において、過酸化水素等によって誘発される細胞死からの保護等といった、抗酸化作用等を発揮することが広く知られている。しかしながら、レスベラトロールは水に溶けにくく、これを改善したものとしてレスベラトロールの単糖配糖体が知られている。
また、ポリフェノール類の多糖体を製造する技術として、特許文献1に示すように、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼを採用する技術が開発されている。
そして、トランスレスベラトロールはトランス体がNFκBの活性を上昇させる等の効果を発揮するものの、シス体ではこのような効果を発揮しないことが明らかになっている(非特許文献1)。
特許第5124712号公報
J Immunol.2010 Sep 15;185(6):3718−27.
本発明者らは、トランスレスベラトロールの単糖配糖体は、シスートランス異性化が生じ、結果として15%程度がシス体に異性化してしまうことを発見した。
また、非特許文献1に示すように、レスベラトロールのシス体は、生体内で抗酸化作用等を発揮しないとされることから、飲食品や化粧料に配合しても、また熱、pH環境、紫外線等の刺激によってもシス体に異性化せず、トランス体として安定なトランスレスベラトロール誘導体を製造することが求められる。
特許文献1には、クルクミンやフラバノールなどといったポリフェノール類の多糖体を製造する方法が開示されているものの、レスベラトロール多糖体を製造することについては何ら開示されておらず、それどころかシスートランス異性化の基となるスチルベン骨格を有するポリフェノール化合物の多糖体の製造に関する技術は何ら開示されていない。
また、トランスレスベラトロール又はその単糖配糖体は種々の組成物の有効成分として用いられるが、トランスレスベラトロール又はその単糖配糖体による細胞毒性は十分には検討されていないし、トランスレスベラトロール又はその単糖配糖体による抗酸化作用も十分なものとはいえない。
そして、トランスレスベラトロール又はその単糖配糖体が美白効果を発揮することも示唆されているものの、その効果は市場を満足させるのに十分ではない。
本発明は、以上のような背景技術に鑑み、シス体への異性化が生じにくいトランスレスベラトロール誘導体を提供することを目的とする。また、細胞に対する毒性が低く、また、抗酸化作用及び/又は美白効果に優れたトランスレスベラトロール誘導体を提供することを目的とする。
本発明者らは、このような課題を解決すべく、鋭意検討を行ったところ、特定のレスベラトロール配糖体を出発原料として、特定の酵素を使用することにより、上記の目的に適ったトランスレスベラトロール多糖体を製造することに成功した。
本発明は斯かる知見に基づいて完成されたものであり、以下に示す態様の発明を広く包含する。
項1 トランスレスベラトロール多糖体の製造方法であって、トランスレスベラトロールグルコシド及び糖質を、γーシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼの存在下で接触させる工程を含む、製造方法。
項2 トランスレスベラトロールグルコシドが、トランスレスベラトロール3−0−βーD−モノグルコシド、トランスレスベラトロール4’−0−βーD−モノグルコシド、及びトランスレスベラトロール3,4’−0−βーD−ビスージグルコシドからなる群より選択される、少なくとも1つである、項1に記載の製造方法。
項3 糖質が、グルコース、ガラクトース、マンノース、キシロース、フルクトース、ラムノース、アラビノース、アロース、アルトロース、イドース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、タロース、グルクロン酸、グルコサミン、ガラクトサミン、及びフコースからなる群より選択される、少なくとも1つの単糖、又はこれらの単糖が同一又は異なって2以上結合したものである、項1又は2に記載の製造方法。
項4 糖質が2以上の単糖が結合したものであって、該糖質の末端がグルコース残基である、項3に記載の製造方法。
項5 糖質が、αーシクロデキストリン、βーシクロデキストリン、及びγーシクロデキストリンからなる群より選択される少なくとも1種である、項1〜4の何れか1項に記載の、製造方法。
項6 γーシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼが、バチルス属に属する菌、ブレビバクテリウム属に属する菌、クレブシエラ属に属する菌、及びコリネバクテリウム属に属する菌からなる群より選択される少なくとも1種に菌に由来する、項1〜5の何れか1項に記載の、製造方法。
項7
トランスレスベラトロール3−O−βーD−ジグルコシド、及びその2G−4位の水酸基に更に糖質がグリコシド結合した化合物;
トランスレスベラトロール4’−O−βーD−ジグルコシド、及びその2G−4位の水酸基に更に糖質がグリコシド結合した化合物;
トランスレスベラトロール−O−βーD−3ジグルコシド4’モノグリコシド、及びその2G−4位の水酸基に更に糖質がグリコシド結合した化合物;
トランスレスベラトロール−O−βーD−3モノグルコシド4’ジグリコシド、及びその2G’−4位の水酸基に更に糖質がグリコシド結合した化合物;並びに
トランスレスベラトロール−O−βーD−3ジグルコシド4’ジグリコシド、及びその2G−4位及び/又は2G’−4位の水酸基に更に糖質がグリコシド結合した化合物
からなる群より選択される少なくとも1つであるトランスレスベラトロール多糖体。
項8 糖質が、グルコース、ガラクトース、マンノース、キシロース、フルクトース、ラムノース、アラビノース、アロース、アルトロース、イドース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、タロース、グルクロン酸、グルコサミン、ガラクトサミン、及びフコースからなる群より選択される、少なくとも1つの単糖、又はこれらの単糖が、同一又は異なって2以上結合したものである、項7に記載のトランスレスベラトロール多糖体。
項9 トランスレスベラトロール多糖体が、2〜10個の単糖が結合してなる糖鎖を有する、項7又は8に記載のトランスレスベラトロール多糖体。
項10 下記式(1)〜(3)の何れかで示される、項7〜9の何れか1項に記載のトランスレスベラトロール多糖体;
(式中、nは1〜9の整数である。)、
(式中、mは1〜9以上の整数である。)、
(式中、X及びYは0〜9の整数であり、Xが0の場合Yは1〜9の整数であり、Yが0の場合Xは1〜9の整数である。)。
項11 項7〜10の何れか1項に記載のトランスレスベラトロール多糖体を内包するリポソーム。
項12 項7〜10の何れか1項に記載のトランスレスベラトロール多糖体及び/又は項11に記載のリポソームを含む組成物。
項13 飲食品組成物又は化粧料組成物である、項12に記載の組成物。
本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体は、優れた水溶性を有する。
本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体は、生体に作用させた際に、細胞への取り込まれやすい性質を有する。
本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体は、容易にシス体に異性化することがなく、トランス体として安定に維持される性質を有する。
本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体には、生体に対して優れた安全性を有するものが含まれる。
本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体には、細胞死からのレスキュー効果に優れるものが含まれる。
本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体には、炎症を誘発する転写因子であるNFκBの発現抑制効果に優れるものが含まれる。
本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体には、優れた美白効果を発揮するものを含む。
製造例1において、トランスレスベラトロール3−O−βーD−モノグルコシドを原料として得られた反応物をHPLC供したカラムクロマトグラムを示す。 製造例1においてトランスレスベラトロール3−O−βーD−モノグルコシドを原料として製造した2糖体のNMR及びその帰属結果を示す図。 トランスレスベラトロール4’−O−βーD−モノグルコシドを原料として製造した2糖体のNMR及びその帰属結果を示す図。 植物細胞を用いて、レスベラトロールの誘導体を作成した実験結果を示す図。(A)は製造された各種誘導体の収率を示す図。(B)は製造された各種誘導体の化学構造を示す図。 製造例1に示すトランスレスベラトロール多糖体((a)及び(b)のフラクション)の質量分析結果。 製造例に示すトランスレスベラトロール多糖体((c)及び(d)のフラクション)の質量分析結果。 製造例に示すトランスレスベラトロール多糖体の溶解度を示す写真像。 製造例に示すトランスレスベラトロール多糖体のシスートランス異性化を確認する実験結果を示す図。 実施例2に示す安全を確認する実験結果を示すグラフ。 実施例3に示す細胞死からのレスキュー効果を確認する実験結果を示すグラフ 実施例4に示すNFκBの発現抑制効果を確認する実験結果を示すグラフ 実施例5に示す美白効果を確認する実験結果を示す。(A)はモデル上皮組織の写真像を示し、(B)はその解析結果を示すグラフである。図中のバーは125μmを示す。 実施例6に示す美白効果を確認する実験結果を示す。(A)はモデル上皮組織の写真像を示し、(B)はその解析結果を示すグラフである。図中のバーは125μmを示す。
<トランスレスベラトロール多糖体の製造方法>
本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体の製造方法は、トランスレスベラトロールグルコシド及び糖質を、γーシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼの存在下で接触させる工程を含む。
上述の本発明に係る製造方法において原料となるトランスレスベラトロールグルコシドは、特に限定されないが、例えばトランスレスベラトロール3−0−βーD−モノグルコシド、トランスレスベラトロール4’−0−βーD−モノグルコシド、トランスレスベラトロール3,4’−0−βーD−ビスージグルコシド等が挙げられる。
上述のトランスレスベラトロールグルコシドは、公知の方法によって製造することができる。また、例えば東京化成工業株式会社等から購入することができ、植物等から単離することもできる。
本発明に係る製造方法において原料となる上述の糖質は、単糖であってもよく、また2以上の単糖がグリコシド結合したものであってもよい。
斯かるグリコシド結合は、S−グリコシド結合、N−グリコシド結合、又はO−グリコシド結合の何れにも限定はされない。また、αーグリコシド結合であっても、βーグリコシド結合であってもよく、更に1−4グリコシド結合であっても、1−6グリコシド結合であってもよい。
具体的な単糖は、特に限定はされないが、例えばグルコース、ガラクトース、マンノース、キシロース、フルクトース、ラムノース、アラビノース、アロース、アルトロース、イドース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、タロース、グルクロン酸、グルコサミン、ガラクトサミン、フコース等が挙げられる。
中でも、本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体を効率的に製造できる観点から、グルコース、ガラクトース、マンノース、キシロース等が好ましく、グルコースが更に好ましい。
糖質として、単糖を用いる場合には、グルコースが好適に用いられる。
糖質が2以上の単糖が結合したものである場合、上記の単糖のうち、同一の単糖が結合したものであっても、異なる単糖が結合したものであってもよい。
また、上述の糖質が2以上の単糖が結合したものである場合、その末端にグルコース残基を有していることが好ましい。
このような糖質として、最も好ましい態様として、αーシクロデキストリン、βーシクロデキストリン、γーシクロデキストリン等が挙げられる。
本発明に係る製造方法において用いるγーシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼは、特に限定はされないが、例えば、バチルス属に属する菌、ブレビバクテリウム属に属する菌、クレブシエラ属に属する菌、コリネバクテリウム属に属する菌等に菌に由来するγーシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼが挙げられる。
中でも、バチルス属に属する菌に由来するγーシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼが好ましく、具体的には、バチルス・マセランス(Bacillus macerans)、バチルス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、バチルス・サーキュランス(Bacillus circulans)、バチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)、バチルス・ポリミキサ(Bacillus polymyxa)等に由来するγーシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼが挙げられ、バチルス・マセランスに由来するγーシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼが最も好ましい。
上述のγーシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼは、上述の菌体から製造することができるが、簡便には、例えば天野エンザイム株式会社等から購入することができる。更に、上述のγーシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼをコードする核酸を用いて、大腸菌等の宿主を形質転換し、斯かる宿主を培養した後に回収し、培養後の宿主内から単離、精製等の工程を経て入手することもできる。
本発明に係る製造方法における、上述のトランスレスベラトロールグルコシド及び糖質の使用量は、糖質に含まれるトランスレスベラトロールグルコシドに対するグルコース残基のモル比(グルコース残基/トランスレスベラトロールグルコシド)が、10〜10000程度となるようにすればよい。斯かるモル比を10以上とすることで、糖質が分解されやすくγーシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼによる触媒反応が進行しやすい傾向となる。この点に鑑みて100以上のモル比とすることが好ましい。
また、モル比を10000以下とすることで、糖質の分解が早く生じて糖質同士で結合反応が生じることなく、高分子の糖鎖の産生を抑制する傾向となる。この点に鑑みて、2000以下のモル比とすることが好ましい。
本発明に係る製造方法における上述のγーシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼの使用量は、特に限定はされないが、通常は、上述のトランスレスベラトロールグルコシド1μmol当たり、300〜1000単位程度とすればよく好ましくは400〜800単位とすればよい。
本発明に係る製造方法におけるγーシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼの存在下でトランスレスベラトロールグルコシド及び糖質を接触させる際の温度は特に限定はされないが、γーシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼの至適活性に鑑み、更にその失活を回避する等といった観点から、通常は20℃以上70℃未満程度とすればよい。より好ましくは25℃以上、さらに好ましくは35℃以上であり、60℃以下とすることも好ましい。
本発明に係る製造方法におけるγーシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼの存在下でトランスレスベラトロールグルコシド及び糖質を接触させる際のpH環境は特に限定はされないが、γーシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼの至適活性の観点から、通常はpH3〜11程度とすればよく、pH4〜8とすることが好ましい。
本発明に係る製造方法におけるγーシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼの存在下でトランスレスベラトロールグルコシド及び糖質を接触させる時間は、所望の糖鎖を有するトランスレスベラトロール多糖体が得られるように適宜調整すればよく、通常は1分〜100時間程度である。
上述の方法では、接触時間を長時間とすれば、得られるトランスレスベラトロール多糖体が有する糖鎖を構成する単糖の数が少なくなる傾向となる。例えば、糖質としてαーシクロデキストリンを採用した場合、1分〜6時間程度が最も多数の単糖が結合したトランスレスベラトロール多糖体が得られる。また、糖質としてβーシクロデキストリンを採用した場合、1時間〜12時間程度が最も多数の単糖が結合したトランスレスベラトロール多糖体が得られる。そして、糖質としてγーシクロデキストリンを採用した場合、3時間〜24時間程度が最も多数の単糖が結合したトランスレスベラトロール多糖体が得られる。なお、上述の多糖体における単糖の結合様式は、特に限定はされない。
接触を停止させる方法は特に限定はされないが、例えば加温等の公知の方法を採用して、酵素であるγーシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼを失活させればよい。
上述のように、本発明に係る製造方法に基づいて、トランスレスベラトロールグルコシド及び糖質を、γーシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼの存在下で接触させる工程を経ることで、下記の<トランスレスベラトロール多糖体>にて詳述する多種のレスベラトロール多糖体を含有する混合物が得られる。
本発明に係る製造方法では、斯かる混合物から所望のトランスレスベラトロール多糖体を単離、精製等の工程に供して得てもよい。斯かる方法として、例えばカラムクロマトグラフィー等といった公知の単離方法、精製方法等を採用すればよい。
<トランスレスベラトロール多糖体>
本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体は、
トランスレスベラトロール3−O−βーD−ジグルコシド、及びその2G−4位の水酸基に更に糖質がグリコシド結合した化合物;
トランスレスベラトロール4’−O−βーD−ジグルコシド、及びその2G−4位の水酸基に更に糖質がグリコシド結合した化合物;
トランスレスベラトロール−O−βーD−3ジグルコシド4’モノグリコシド、及びその2G−4位の水酸基に更に糖質がグリコシド結合した化合物;
トランスレスベラトロール−O−βーD−3モノグルコシド4’ジグリコシド、及びその2G’−4位の水酸基に更に糖質がグリコシド結合した化合物;並びに
トランスレスベラトロール−O−βーD−3ジグルコシド4’ジグリコシド、及びその2G−4位及び/又は2G’−4位の水酸基に更に糖質がグリコシド結合した化合物
からなる群より選択される少なくとも1つである。
トランスレスベラトロール3−O−βーD−ジグルコシドとは、下記式(4)にて示される化合物である。
上記トランスレスベラトロール3−O−βーD−ジグルコシドの2G−4位の水酸基とは、トランスレスベラトロールの3位の水酸基に、βーグリコシド結合したジグルコシドの末端グルコース残基における4位の水酸基を意味する。
トランスレスベラトロール4’−O−βーD−ジグルコシドとは、下記式(5)にて示される化合物である。
上記トランスレスベラトロール4’−O−βーD−ジグルコシドの2G−4位の水酸基とは、トランスレスベラトロールの4’位の水酸基にβーグリコシド結合したジグルコシドの末端グルコース残基における4位の水酸基を意味する。
トランスレスベラトロール−O−βーD−3ジグルコシド4’モノグリコシドとは、下記式(6)にて示される化合物である。
上記トランスレスベラトロール−O−βーD−3ジグルコシド4’モノグリコシドの2G−4位の水酸基とは、トランスレスベラトロールの3位の水酸基にβーグリコシド結合したジグルコシドの末端グルコース残基における4位の水酸基を意味する。
トランスレスベラトロール−O−βーD−3モノグルコシド4’ジグリコシドとは、下記式(7)にて示される化合物である。
上記トランスレスベラトロール−O−βーD−3モノグルコシド4’ジグリコシドの2G’−4位の水酸基とは、トランスレスベラトロールの4’位の水酸基にβーグリコシド結合したジグルコシドにおける末端グルコース残基の4位の水酸基を意味する。
トランスレスベラトロール−O−βーD−3ジグルコシド4’ジグリコシドとは、下記式(8)にて示される化合物である。
上記トランスレスベラトロール−O−βーD−3ジグルコシド4’ジグリコシドの2G−4位の水酸基とは、トランスレスベラトロールの3位の水酸基にβーグリコシド結合したジグルコシドの末端グルコース残基における4位の水酸基を意味する。
また、上記トランスレスベラトロール−O−βーD−3ジグルコシド4’ジグリコシドの2G’−4位の水酸基とは、トランスレスベラトロールの4’位の水酸基にβーグリコシド結合したジグルコシドの末端グルコース残基における4位の水酸基を意味する。
上記2G−4位及び/又は2G’−4位の水酸基にグリコシド結合する糖質と、単糖であってもよく、2以上の単糖がグリコシド結合した糖鎖であってもよい。
斯かるグリコシド結合は、S−グリコシド結合、N−グリコシド結合、又はO−グリコシド結合の何れにも限定はされない。また、αーグリコシド結合であっても、βーグリコシド結合であってもよく、更に1−4グリコシド結合であっても、1−6グリコシド結合であってもよい。
具体的な単糖は、特に限定はされないが、例えばグルコース、ガラクトース、マンノース、キシロース、フルクトース、ラムノース、アラビノース、アロース、アルトロース、イドース、N−アセチルグルコサミン、N−アセチルガラクトサミン、タロース、グルクロン酸、グルコサミン、ガラクトサミン、フコース等が挙げられる。
上記2G−4位及び/又は2G’−4位の水酸基と糖質との間のグリコシド結合は、S−グリコシド結合、N−グリコシド結合、又はO−グリコシド結合の何れにも限定はされない。また、αーグリコシド結合であっても、βーグリコシド結合であってもよく、更に1−4グリコシド結合であっても、1−6グリコシド結合であってもよい。
本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体は、単糖が結合してなる糖鎖を有する。糖鎖は、通常は2〜10個の単糖が結合したものとすればよく、好ましくは2〜9個、2〜8個、又は2〜7個の単糖の単糖が結合したもの、より好ましくは2〜6個、2〜5個、2〜4個の単糖が結合したもの、さらに好ましくは6個、5個、4個、又は3個の単糖が結合したものであり、最も好ましくは2個の単糖が結合した糖鎖である。
本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体の具体例として、以下の化学式(1)〜(3)に示す化合物が挙げられる。
(式中、nは1〜9の整数である。)、
(式中、mは1〜9以上の整数である。)、
(式中、X及びYは0〜9の整数であり、Xが0の場合Yは1〜9の整数であり、Yが0の場合Xは1〜9の整数である。)。
本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体の中でも、インビボでの活性の高さに鑑みて、トランスレスベラトロール−O−βーD−3モノグルコシド4’ジグリコシドが好ましい。具体的には上記化学式(5)にて表される化合物である。
本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体を製造する方法は、特に限定はされないが、例えば上述<トランスレスベラトロール多糖体の製造方法>にて詳述した方法を適宜採用すればよい。
本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体は、シスートランス異性化が生じにくい性質を有する。すなわち、本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体は、熱、pH、紫外線等の刺激を受けても、シス体に異性化しにくく、トランス体として安定である。
本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体は、水溶性が極めて高く、これを生体内に作用させた際に、細胞内に取り込まれやすい性質を有する。
糖鎖修飾を受けていないトランスレスベラトロール(以後、これをトランスレスベラトロール無配糖体と呼ぶことがある)はSODの産生を促し、生体内における一重項酸素を消去する作用;チロシナーゼ活性を阻害し、これに伴ってドーパクロムの産生を抑制する作用;ヒアルロニダーゼ活性、コラゲナーゼ活性、エラスターゼ活性等を阻害するといった作用;メイラード反応を阻害する作用;サーチュイン遺伝子群の発現を亢進させる作用;炎症を誘発する転写因子であるNFκBの発現を抑制する作用;アクネ菌の増殖を抑制する作用;肝臓における脂肪産生量を低下させ、且つ肝臓での脂肪の分解を促進する作用等といった優れた効果も発揮する(Cell Physiol Biochem.2013;31(2−3):230−41、Biochem Biophys Res Commun. 2003 Aug 8;307(4):861−3、Biochim Biophys Acta.2000;1478(1):51−60、Wound Repair Regen.2013;21(4):616−23、J Antimicrob Chemother.2007;59(6):1182−4、J Biol Chem. 2012;287(45):38050−63、Mol Cell Biol.2007;27(13):4698−707.)。
ビタミンC、ビタミンP、ケルセチン、クルクミン、カプサイシン、ピセアタンノール等といった化合物は、その配糖体であっても無配糖体であっても、ほぼ同一の生理作用を発揮することが知られている。これは、細胞に対して、配糖体として作用させても、細胞内には無配糖体となって取り込まれるか、又は細胞内で糖が脱離して無配糖体となることが考えられているためである。
特に、レスベラトロールと同様に、スチルベン骨格を有するピセアタンノールも、その配糖体が細胞に作用する際に、細胞内では無配糖体となって働くと考えられている。従って、本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体は、上述のようなトランスレスベラトロール無配糖体と同様の生理活性を発揮することが期待される。
そして、下記実施例に示すように、本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体は、その無配糖体であるトランスレスベラトロールと比べて生体への毒性が低い。
また、本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体は、その無配糖体であるトランスレスベラトロールに比べて過酸化水素等によって誘導される細胞死をレスキューする効果に優れる。
更に、本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体そのものが、その無配糖体であるトランスレスベラトロールと比べても優れた美白効果を発揮する。
このようなトランスレスベラトロール無配糖体と同様の作用を発揮することが期待される本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体が、溶解性、トランス体として安定である面等を有する事を併せて鑑みれば、これを有効成分として組成物として調製することで、老化抑制、皮膚の美白効果、皮膚の保湿効果、皮膚の弾力性維持効果、抗炎症効果、ニキビの発症・悪化の抑制効果、メタボリックシンドロームの抑制等といった効果を発揮する組成物の提供が期待できる。この様な組成物は特に、化粧料の分野又は飲食品の分野に適用することができる。
<リポソーム>
本発明に係るリポソームは、上述の本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体を内包する。
用語「内包」とは、リポソーム内部に上述の本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体が完全に包含された状態、又はリポソームを構成する脂質二重膜に、本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体の分子の一部が貫通した状態であることを意味する。また、本明細書においては、「内包」と同義で「内封」との文言を用いる事がある。
本発明に係るリポソームにおける、上述のトランスレスベラトロール多糖体の内包量は、特に限定はされないが、本発明に係るリポソーム100重量%に対して、通常は0.001〜99.9重量%程度とすればよい。
本発明に係るリポソームは、中性であってもカチオン性であってもアニオン性であってもよく特に限定はされない。
本発明に係るリポソームは、中空であってもよいし、内部が水又はPBS、MES、ADA、PIPES、ACES、コラミン塩酸、TBS、BES、TES、HEPES、クエン酸、ホウ酸、酒石酸等の緩衝液で満たされていてもよい。また、後述するリポソームの構成成分及び上述のトランスレスベラトロール多糖体を主成分とした最密構造を形成していてもよい。
本発明に係るリポソームの粒子径は、特に限定はされないが、例えば本発明に係るリポソームを組成物に配合した際に、本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体が発揮する効果を妨げない範囲において適宜設定すればよい。具体的には、1nm〜1mm程度とすればよい。なお、粒子径の測定方法は、特に限定はされないが、例えば動的光散乱法に基づいたZ平均粒子径として測定する方法が挙げられる。
本発明に係るリポソームの構造は、多重層リポソーム(MLV)、大きな一枚膜リポソーム(LUV)、小さな一枚膜リポソーム(SUV)、又は巨大な一枚膜リポソーム(GUV)の何れの構造であってもよい。
本発明に係るリポソームの粒子径及び構造は、エクストルーダー等といった公知の方法によって、適宜調整することが可能である。
本発明に係るリポソームの脂質構成成分は、特に限定はされないがリン脂質、コレステロール類、脂肪酸等が挙げられる。
具体的にリン脂質としては、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸、カルジオリピン、スフィンゴミエリン、卵黄レシチン、大豆レシチン、リゾレシチン、これらを常法によって水素添加したもの等の天然リン脂質;ジステアロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、ジチオピリジン−ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DTP−DPPE)、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、ジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)、エレオステアロイルホスファチジルコリン、エレオステアロイルホスファチジルエタノールアミン、エレオステアロイルホスファチジルセリン等の合成リン脂質等が挙げられる。
上述したリン脂質、コレステロール類、及び脂肪酸は、それぞれ適宜修飾されていてもよい。具体的な特に修飾は限定されないが、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等といったポリアルキレングリコール等による修飾;糖鎖による修飾等が挙げられる。これらのリン脂質は適宜組み合わせて使用してもよい。
コレステロール類としては、例えばコレステロール、フィトステロール等が挙げられ、これらは適宜組み合わせて用いることができる。
また、脂肪酸としては、例えばオレイン酸、パルミトオレイン酸、リノール酸、又はこれら不飽和脂肪酸を含む脂肪酸混合物等が挙げられる。これらの脂肪酸は適宜組み合わせて用いることができる。中でも、側鎖の小さい不飽和脂肪酸を含むリポソームは曲率の関係から粒子径の小さいリポソームの作製に有効である。
本発明に係るリポソームに上述の本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体を内包させる方法は特に限定はされないが、リポソームの構成成分と共に本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体を混合し、その後リポソームを形成させるパッシブローディング法であっても、本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体と、あらかじめ形成させたリポソームとを混合して接触させることにより内包させるリモートローディング法であってもよい。
上述のリポソームの形成手段は特に限定はされないが、例えば薄膜静置水和法、凍結乾燥法、ドロップレット法、AC法、超音波法、逆相蒸発法、脂質溶解法、噴霧乾燥法、CO/HOエマルションによる製法、超臨界水法、マイクロ流路を用いる等の公知の方法が挙げられる。
本発明に係るリポソームは、上述のトランスレスベラ
トロール多糖体を内包しているため、該多糖体が発揮する優れた作用をそのまま発揮することが期待される。
また、本発明に係るリポソームは、上述のトランスレスベラトロール多糖体を内包しているため、本発明に係るリポソームを有効成分として配合した組成物は、該トランスレスベラトロール多糖体を安定に保持することができる。従って、このような組成物は、上述のトランスレスベラトロール多糖体の作用に基づいて優れた作用を発揮することが期待される。そして、斯かる組成物は、後述する本発明に係る<組成物>にて詳述するように、化粧料又は飲食品の分野で有用である。
<組成物>
本発明に係る組成物は、本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体及び/又は本発明に係るリポソームを含有する。
組成物100重量%におけるトランスレスベラトロール多糖体又はリポソームの含有量は、トランスレスベラトロール多糖体が上述の効果を発揮することを限度に特に限定はされず、0.0001〜100重量%の範囲で設定することができる。なお、本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体及び/又はリポソームそのものを本発明に係る組成物としてもよい。
本発明に係る組成物がリポソームを含む場合、リポソーム中に内包されるトランスレスベラトロール多糖体の量を上述の範囲とすればよい。また、組成物がトランスレスベラトロール多糖体及びリポソームを含有する場合は、トランスレスベラトロール多糖体の量と、上述のリポソーム中に内包されるトランスレスベラトロール多糖体の量を合算して、上述の範囲となるようにすればよい。
本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体は、上述のようにSODの産生を促し、生体内における一重項酸素を消去する作用;チロシナーゼ活性を阻害し、これに伴ってドーパクロムの産生を抑制する作用;ヒアルロニダーゼ活性、コラゲナーゼ活性、エラスターゼ活性等を阻害する作用を発揮する。
更に、本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体は、生体内でのメイラード反応を阻害する作用、サーチュイン遺伝子群の発現を亢進させる作用、炎症を誘発する転写因子であるNFκBの発現を抑制するといった優れた作用を発揮する。
そして、本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体は、アクネ菌の増殖を抑制する作用、肝臓における脂肪産生量を低下させ、且つ肝臓での脂肪の分解を促進する作用等を発揮する。
また、本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体はその無配糖体であるレスベラトロールと比べて、過酸化水素等によって誘発される細胞死からのレスキュー効果が高く、細胞毒性が低いといった点で優れた効果を発揮する。また、美白効果を発揮する面においても、本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体はその無配糖体よりも優れている。
このような作用を利用して、本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体及び/又はリポソームを含有する本発明に係る組成物は、上述のトランスレスベラトロール多糖体による優れた作用を発揮することが期待されることから、化粧料及び飲食品の分野で好適に用いることができる。つまり、本発明に係る組成物の一態様として、化粧料組成物又は飲食品組成物を挙げることができる。
<化粧料組成物>
本発明に係る化粧料組成物は、組成物について上述する通り、本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体及び/又はリポソームをそのまま化粧料組成物としてもよいが、通常は、これらに加えて化粧品の分野において許容される担体や添加剤と共に様々な化粧料の形態に調製することができる。
本発明に係る化粧料組成物中のトランスレスベラトロール多糖体の含有量は、通常は0.01〜20重量%程度であり、0.1〜10重量%程度とすることが好ましい。
なお、リポソームを含有する場合、又はレスベラトロール多糖体及びリポソームを含有する場合は、上述の本発明に係る組成物における含有量にて説明したように、リポソーム内に内包されるトランスレスベラトロール多糖体の量、又はトランスレスベラトロール多糖体の量とリポソーム内に内包されるトランスレスベラトロール多糖体の量とを合算した量を上述の範囲となるようにすればよい。
化粧料組成物の形状については、通常の化粧料の形態を広く挙げることができ特に制限されないが、例えばローション状(液状)、ムース状、ジェル状、ゼリー状、乳液状、懸濁液状、クリーム状、軟膏状、シート状、エアゾール状、スプレー状等が挙げられる。
また、当該化粧料組成物の種類についても、皮膚や頭髪に適用される外用組成物であれば制限されるものではないが、例えば、ファンデーション(乳化型ファンデーション)、頬紅、白粉等のメイクアップ化粧料;化粧水、乳液、クリーム(スキンクリーム)、ローション、オイル、パック剤等の基礎化粧料;石けん、洗顔料、クレンジング(クレンジングジェル)、ボディソープ等の皮膚洗浄料;シャンプー、ヘアートニック、リンス、コンディショナー、整髪剤、育毛剤等の毛髪化粧料;マッサージ剤、清拭剤;清浄剤;入浴剤、浴用剤等が挙げられる。
本発明に係る化粧料組成物は、発明に係るトランスレスベラトロール多糖体を含有することから、皮膚(頭皮を含む)や頭髪等に適用されることによって、当該トランスレスベラトロール多糖体が発揮する、生体内にて上述のようなメイラード反応を阻害する作用、サーチュイン遺伝子群の発現を亢進させる作用、炎症を誘発する転写因子であるNFκBの発現を抑制する作用、アクネ菌の増殖を抑制する作用、肝臓における脂肪産生量を低下させ、且つ肝臓での脂肪の分解を促進する作用等が発揮されることが期待できる。
また、本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体は、その無配糖体であるレスベラトロールよりも優れた美白効果を発揮する。
これによって、本発明に係る化粧料組成物は、皮膚の老化抑制、皮膚の美白効果、皮膚の保湿効果、皮膚の弾力性維持効果、抗炎症効果、ニキビの発症・悪化の抑制効果、メタボリックシンドロームの抑制効果等を発揮することが期待される。
このような化粧料組成物の適用量は、適用対象者の性別や年齢、該組成物の適用形態、期待される効果の程度等に基づいて適宜設定すればよく、例えばトランスレスベラトロール多糖体を皮膚1cmあたり、通常0.01〜2mg程度の量とすればよい。
また適用対象者としては、皮膚の老化抑制、ニキビの発症・悪化の抑制効果、メタボリックシンドロームの抑制等の効果を所望する者を挙げることができる。また、皮膚の美白効果、皮膚の保湿効果、皮膚の弾力性維持効果、抗炎症効果等を所望する者も挙げられる。
<飲食品組成物>
本発明に係る化粧料組成物は、組成物について上述する通り、本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体及び/又はリポソームをそのまま飲食品組成物としてもよいが、通常はこれらに加えて飲食品の分野において許容される担体や添加剤と共に様々な飲食品の形態に調製することができる。
本発明に係る飲食品組成物中のトランスレスベラトロール多糖体の含有量は、前述する本発明に係る組成物に準じて適宜設定することができ、通常は0.01〜20重量%程度であり、0.1〜10重量%程度とすることが好ましい。
なお、リポソームを含有する場合、又はレスベラトロール多糖体及びリポソームを含有する場合は、本発明に係る組成物における含有量にて説明したように、リポソーム内に内包されるトランスレスベラトロール多糖体の量、又はトランスレスベラトロール多糖体の量と、リポソーム内に内包されるトランスレスベラトロール多糖体の量とを合算した量を上述の範囲となるようにすればよい。
本発明に係る飲食品組成物の態様として、一般の飲食品の他、特定保健用食品(条件付き特定保健用食品を含む)、栄養補助食品、機能性食品、病者用食品等(サプリメントと称されるものを含む)を挙げることができる。
このような飲食品組成物として、より具体的には、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料;アイスクリーム、かき氷等の冷菓;ガム、チョコレート、飴(キャンディー)、錠菓、スナック菓子、ゼリー、ジャム、クリーム、グミ等の菓子類;そば、うどん、即席麺等の麺類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、マヨネーズ、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;スープ、サラダ、惣菜、漬物、パン、シリアル等を例示できる。
また、例えば、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品等の場合であれば、粉末、顆粒、カプセル、トローチ、錠剤(タブレット)などの固形製剤;シロップやドリンク等の液体製剤などの製剤形態のものであってもよい。
本発明に係る飲食品組成物は、本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体を含むことから、飲食されることで生体内において上述のようなメイラード反応を阻害する作用、サーチュイン遺伝子群の発現を亢進させる作用、炎症を誘発する転写因子であるNFκB発生を抑制する作用、アクネ菌の増殖を抑制する作用、肝臓における脂肪産生量を低下させ、且つ肝臓での脂肪の分解を促進する作用等が発揮されることが期待できる。
また、本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体は、その無配糖体であるレスベラトロールよりも優れた美白効果を発揮する。
これによって、皮膚の老化抑制、皮膚の美白効果、皮膚の保湿効果、皮膚の弾力性維持効果、抗炎症効果、ニキビの発症・悪化の抑制効果、メタボリックシンドロームの抑制効果等を発揮することが期待される。
上述の飲食品組成物の摂取量は、1回の摂取に対してトランスレスベラトロー多糖体の量に換算して、通常は5〜20mg程度とすればよく、10〜20mg程度とすることが好ましい。また、摂取量は、1日1回又は2〜3回と複数回摂取してもよい。このような範囲の摂取量を満たすように飲食品組成物に配合するトランスレスベラトロール多糖体の量を調整設定することができる。
なお、本発明に係る飲食品組成物の適用者は、特に制限されないものの、皮膚の老化抑制、ニキビの発症・悪化の抑制効果、メタボリックシンドロームの抑制等の効果を所望する者を挙げることができる。また、皮膚の美白効果、皮膚の保湿効果、皮膚の弾力性維持効果、抗炎症効果等を所望する者も挙げられる。
以下に、本発明をより詳細に説明するための実施例を示す。なお、本発明が下記に示す実施例に限定されないのは言うまでもない。
<製造例1>
300mLのクエン酸ークエン酸ナトリウム緩衝液(pH5.4)に、400mgのトランスレスベラトロール3−O−βーD−モノグルコシド又は、トランスレスベラトロール4’−O−βーD−モノグルコシド、4gのαーシクロデキストリン、及び25mLのコンチザイム(600ユニット/mL;天野エンザイム)を加え、55℃で湯浴しながらマグネティックスターラーで24時間撹拌して酵素反応させた。
その後、反応液を湯浴により80℃に加温し、コンチザイムを失活させた後、反応液を常温にまで冷却させ、酢酸エチル/水による分配抽出を6回行った。そして、得られた油相画分を塩析、脱水、及び減圧濃縮工程に供して、JASCO社 CrestPak C18S 4.6×150カラムを用いたHPLCにてサンプリングを行った。
また、酢酸エチルによる分配抽出による水相画分は、更に水飽和nーブタノールによる分配抽出を3回行った後に、検圧濃縮工程に供し、その後JASCO社 CrestPak C18S 4.6×150カラムを用いたHPLCにて分画し、各フラクションのサンプリングを行った。なお、HPLCでのカラム温度は40℃、移動相はアセトニトリル:水=15:85の混液、フローレートは1.0m/minで、インジェクション量は5μL、40分行った。
図1に、上述のHPLCにて行ったトランスレスベラトロール3−O−βーD−モノグルコシドを原料として得られた反応物のカラムクロマトグラムの結果を示す。図1(A)は酢酸エチル/水による分相後の油相画分のカラムクロマトグラムであり、(B)は水相画分のカラムクロマトグラムである。、
図1の(A)に示すように油相画分からは単一のピークしか得られなかったのに対し、(B)では、HPCLによる保持時間の差に基づいて、トランスレスベラトロール3−モノグルコシドに糖ユニットが付加されて、2糖〜5糖の多糖を有する多糖体が製造されたことを示す顕著なピークが検出された(それぞれ、(a)〜(d)に示すフラクション)。また、6糖〜9糖の多糖体が生成されたことも検出している((e)のフラクション。)。
油相画分のHPLCによるカラムクロマトグラムの最も保持時間(グラフ横軸)の長い(a)のフラクションをNMR測定に供した。装置は、400MHzのものを用いた。結果を図2に示す。
図2の(A)に示す結果から、(B)に示すトランスレスベラトロール3−0−βーD−ジグルコシドであることが同定された。そして、図1の(A)に示される単一のフラクションは、原料のトランスレスベラトロール3−O−βーD−モノグルコシドであると示唆された。
さらに、上記(a)のフラクション及びそれに次いで長い保持時間の(b)フラクションを合わせてMS測定に供した。結果を図5に示す。すると、トランスレスベラトロール3−O−βーD−ジグルコシド及びトランスレスベラトロール3−O−βーD−モノグルコシドに2分子のグルコースが付加された多糖体の分子量に一致する結果が得られた。
なお、(c)及び(d)のフラクションを同様にMS測定に供した結果を図6に示す。この結果から、上記フラクションには、それぞれトランスレスベラトロール3−O−βーD−モノグルコシドに3分子のグルコースが付加された多糖体及びトランスレスベラトロール3−O−βーD−モノグルコシドに4分子のグルコースが付加された多糖体の分子量に一致する結果が得られた。
以上のことから、トランスレスベラトロールモノグルコシドは、常温では水に溶解しないが、これに更にグルコース分子が付与された多糖体(トランスレスベラトロール3−O−βーD−ジグルコシド)等といった多糖体は、常温で水溶性を獲得できることが明らかとなった。
なお、図7は、上記図1(A)において検出された単一のフラクションに含まれるトランスレスベラトロール3−O−βーD−モノグルコシド及び図1(B)の(a)に示すフラクションに含まれるトランスレスベラトロール3−O−βーD−ジグルコシドを蒸留水に溶かし、室温で放置した後の写真像を示す。
図から明らかなように、トランスレスベラトロール3−O−βーD−モノグルコシドは白く濁っており(写真像右側のチューブ)、室温の蒸留水には溶解しないのに対して、トランスレスベラトロール3−O−βーD−ジグルコシドは透明であり(写真像左側のチューブ)、室温に蒸留水に容易に溶解させることができた。
なお、シスレスベラトロールは、トランスレスベラトロールよりも、カラムクロマトグラムによる保持時間が長くなる傾向であることが知られるが、上記クロマトグラムの結果から、シス体のレスベラトロールは検出されなかった。
<製造例2>
また、上記<製造例1>における原料を、トランスレスベラトロール3−モノグルコシドに代えてトランスレスベラトロール4’−モノグルコシドを原料とし、同様の実験を行った。HPLCによって分画された2糖の多糖体を示すピークの画分のNMR測定を行った結果を図3に示す。
図3の(A)に示す結果から、(B)に示すトランスレスベラトロール4’−O−βーD−ジグルコシドが同定された。
なお、製造例によるカラムクロマトグラムによる実験からも、シス体のレスベラトロールは検出されなかった。
<比較例>
70gの大豆細胞(E.perriniana)及び1molのトランスレスベラトロール(和光純薬 日本)を300mLのフラスコに入れ、25℃にて5日間、浮遊培養を行った。
培養後12時間おきに培養液及び培養細胞を回収した。培養液は酢酸エチルを用いて抽出工程に供し、培養細胞はメタノールを用いて細胞を溶解させ、水と酢酸エチルを用いて分配抽出を行った。
両者の酢酸エチル画分を合わせて、ダイヤイオンHP20カラム(三菱化学)を用いたHPLCに供し、各フラクションから原料として用いたトランスレスベラトロール、及びその誘導体の量を、NMRによるデータと共に算出した。
結果を図4に示す。なお、図4に示す、上記のトランスレスベラトロール及びその誘導体のNMR帰属データは以下の通りである。
trans−Resveratrol3−O−β−D−glucopyranoside(2)
H NMR(400MHz,DMSO−d6):δ3.15−3.53(5H,m,H−2’’,3’’,4’’,5’’,6a’’),3.74(1H,dd,J=12.0,2.0Hz,H−6b’’),4.80(1H,d,J=7.6Hz,H−1’’),6.33(1H,m,H−4),6.56(1H,d,J=1.8Hz,H−6),6.73(1H,d,J=1.8Hz,H−2),6.76(2H,d,J=8.8Hz,H−3’,5’),6.86(1H,J=16.8Hz,H−7),7.03(1H,d,J=16.0Hz,H−8),7.39(2H,d,J=8.8Hz,H−2’,6’).
13CNMR(100MHz,DMSO−d6):δ60.8(C−6’’),69.8(C−4’’),73.3(C−2’’),76.7(C−3’’),77.1(C−5’’),100.6(C−1’’),102.7(C−2),104.7(C−4),107.1(C−6),115.5(C−3’,C−5’),125.1(C−7),127.9(C−2’,C−6’),128.5(C−8),129.9(C−1’),139.3(C−1),157.2(C−4’),158.2,158.8(C−3,C−5).
HRFABMS:m/z413.1225[M+Na]
trans−Resveratrol4’−O−β−D−glucopyranoside(3)
H NMR(DMSO−d6):δ3.22−3.50(5H,m,H−2’’,3’’,4’’,5’’,6a’’),3.70(1H,dd,J=11.6,1.8Hz,H−6b’’),4.88(1H,d,J=7.6Hz,H−1’’),6.01(1H,m,H−4),6.41(2H,d,J=1.8Hz,H−2,6),6.95(2H,d,J=14.8Hz,H−7,8),7.01(2H,d,J=8.8Hz,H−3’,5’),7.50(2H,d,J=8.8Hz,H−2’,6’).
13C NMR(DMSO−d6):δ60.7(C−6’’),69.7(C−4’’),73.2(C−2’’),76.6(C−3’’),77.0(C−5’’),100.2(C−1’’),102.0(C−4),104.4(C−2,C−6),116.3(C−3’,C−5’),127.1,127.3(C−7,C−8),127.5(C−2’,C−6’),130.7(C−1’),138.9(C−1),156.8(C−4’),158.4(C−3,C−5).
HRFABMS:m/z413.1219[M+Na]
cis−Resveratrol4’−O−β−D−glucopyranoside(5)
H NMR(400 MHz,CD3OD):δ3.14−3.87(6H,m,H−2’’,3’’,4’’,5’’,6’’),4.90(1H,d,J=7.2Hz,H−1’’),6.22(1H,t,J=2.0Hz,H−4),6.30(2H,d,J=2.4Hz,H−2,6),6.38(1H,d,J=12Hz,H−7),6.49(1H,d,J=12Hz,H−8),6.99(2H,d,J=8.0Hz,H−3’,5’),7.20(2H,d,J=8.0Hz,H−2’,6’);
13C NMR(100MHz,CD3OD):δ62.5(C−6’’),70.9C−4’’),75.0(C−2’’),77.8(C−3’’),78.2(C−5’’),101.1(C−1’’),102.5(C−4),108.5(C−2,C−6),117.5(C−3’,C−5’),127.9(C−7),130.5(C−8),131.3(C−2’,C−6’),133.2(C−1’),141.0(C−1),158.0(C−4’),159.5(C−3,C−5).
HRFABMS:m/z413.1215[M+Na]
図4(A)に示す結果から、培養後24時間となると、原料のトランスレスベラトロール(1)の量が減少して、トランスレスベラトロール3−O−β−D−グルコシド(2)及びトランスレスベラトロール4’−O−β−D−グルコシド(3)が生成され、更にシスレスベラトロール4’−O−β−D−グルコシド(5)が生成され、シス体は最終的に17%の収率となることが明らかとなった。
また、図4(A)に示す結果から、シス体のトランスレスベラトロールも同定された。以上の結果から、レスベラトロール無配糖体及びレスベラトロールの単糖の配糖体では、トランス体とシス体が混在してしまうことが明らかとなった。
<実施例1>
製造例1にて得られた酢酸エチル/水による分相後の水相画分(図1の(B)参照)を、80℃で一晩熱処理に供した。処理前後のサンプルを上述の方法と同様にカラムクロマトグラムに供した。結果を図8に示す。
熱処理前後でカラムクロマトグラム結果を比較したところ、チャートパターンに変化は見られなかった。上述のように、レスベラトロールのシス体は保持時間が長くなる傾向であることを考慮して、上述のトランスレスベラトロール多糖体(2糖以上の配糖体)は、熱処理によるシス体への異性化が生じにくく、トランス体として安定であることが明らかとなった。
これは、トランスレスベラトロール多糖体が、熱処理以外の紫外線、酸、塩基等の作用によよってシス体への異性化が生じないことを示唆するものである。そして、このような作用に耐えうるトランスレスベラトロール多糖体は、化粧料、食品等に配合しても、抗酸化作用を発揮するトランス体として安定であるため有用である。
<実施例2>
トランスレスベラトロール多糖体の安全性を確認する実験を行った。3T3マウス線維芽細胞の培養液に、トランスレスベラトロール(以下、RSVとする。)、トランスレスベラトロール−O−βーD−3モノグルコシド4’ジグリコシド(以下、4M−RSVとする。)、及びトランスレスベラトロールの3位にグルコースが二糖以上結合してなる多糖体の混合物(以下、3P−RSVとする)を、それぞれ終濃度が200μMとなるように添加し、5%の二酸化炭素濃度で37℃の条件下にて12時間培養した。
その後、4%のパラホルムアルデヒドにて培養細胞を固定してHoechstを行い、細胞核の凝集が見られる細胞を細胞死と判断して、細胞の死亡率(Cell Death)を算出した。結果を図9に示す。
図9に示すグラフから、トランスレスベラトロール多糖体は、トランスレスベラトロール(無配糖体、アグリコン)よりも細胞毒性が顕著に低くなることが明らかとなった。
<実施例3>
トランスレスベラトロール多糖体の細胞死からのレスキュー効果を確認する実験を行った。3T3マウス線維芽細胞の培養液に、RSV、4M−RSV、3P−RSVとする)を、それぞれ終濃度が10μMとなるように添加し、5%の二酸化炭素濃度で37℃の条件下にて3時間培養した。次いで、終濃度が15μMとなるように過酸化水素を培養液に添加して細胞死を誘導した。
その後12時間培養を経て、実施例1と同様に細胞死の判断を行い、細胞の死亡率(Cell Death)を算出した。結果を図10に示す。
図10に示すグラフから、トランスレスベラトロール多糖体は、トランスレスベラトロール(無配糖体、アグリコン)よりも、過酸化水素によって誘導される細胞死からレスキューする効果が高いことが明らかとなった。なかでも、4M−RSVは過酸化水素を添加しなかった場合(Ctrl)とほぼ同等の細胞の死亡率しか示さなかったことから、特に優れたレスキュー効果を発揮することが明らかとなった。
<実施例4>
炎症を誘発する転写因子であるNFκBの発現抑制効果を確認する実験を行った。正常ヒト三次元上皮組織モデル作製キットであるMelanoDerm(MEL−300;KURABO)を用いて上皮組織モデルを作製し、RSVを終濃度が0μM(Ctrl)、30μM、50μM、及び100μMとなるように培養液中に添加し、キットのマニュアルに沿って培養した。添加から3週間後にモデル皮膚組織中のRNAを回収し、定量PCR法に供してNFκBの発現量を測定した。結果を図11に示す。
図11に示す結果から、RSVは濃度依存的にモデル上皮組織内のNFκBの発現量を抑制することが明らかとなった。
<実施例5>
上述のキットを用いて上皮組織モデルを作製し、RSVを終濃度が0μM(Ctrl)、30μM、50μM、及び100μMとなるように培養液中に添加し、キットのマニュアルに沿って培養した。添加から3週間後にモデル上皮組織の写真像を撮り、RSVの添加によって黒色領域の減少の程度を画像解析ソフトであるImageJを用いて算出してグラフ化した。結果を図12に示す。
図12に示す結果から、RSVは濃度依存的にモデル上皮組織中の黒色領域を減少させることが明らかとなった。従って、RSVは美白効果を発揮することが明らかとなった。
<実施例6>
実施例5と同様に上皮組織モデルを作製し、それぞれ終濃度が50μMとなるようにRSV、4M−RSV、及び3P−RSVを添加してモデル皮膚組織を観察した。写真像及び算出した黒色領域の減少の程度を図13に示す。なお、図13のグラフでは、RSV、4M−RSV、及び3P−RSVを、RSV1分子単位当たりの減少程度に換算した結果を示す。
図13に示す結果から、トランスレスベラトロール多糖体は、そのアグリコンであるトランスレスベラトロールと比較して、優れた美白効果を発揮することが明らかとなった。中でも、4M−RSVは特に優れた美白効果を発揮することが明らかとなった。
[処方例]
以下、常法に従って、表1〜9に示す配合例にて、上述の実施例にて製造されたトランスレスベラトロール3−O−βーD−ジグルコシド、トランスレスベラトロール4’−O−βーD−ジグルコシド等を含む、本発明に係るトランスレスベラトロール多糖体(下記表中では”レスベラトロール多糖体”と表記している。)が配合された化粧水、クリーム、石けん、クレンジングジェル、パック剤、乳化型ファンデーション、ヘアートニック、及び浴用剤(以上、化粧料組成物)、並びに表10〜13に示す配合例にて、タブレット、グミ、ゼリー、キャンディー、及び清涼飲料(以上、飲食品組成物)を製造する。また、表14に示す配合例にて、トランスレスベラトロール多糖体を内包するリポソームを製造する。
処方例1
下記成分Aを混合溶解させA液とし、これとは別に下記成分Bを混合溶解させてB液とし、A液とB液を均等に混合し、合計100質量部の化粧水を調製する。
処方例2
下記成分A、別に成分Bを加温溶解させてそれぞれA液及びB液とし、A液にB液を加えて乳化し、攪拌しながら冷却し、合計100質量部のクリームを調製する。
処方例3
石けん製造の常法により下記成分を混合して、合計100質量部の石けんを調製する。
処方例4
下記成分A、別に成分Bを加温溶解させてそれぞれA液及びB液とし、A液にB液を加えて均一になるまで攪拌する。攪拌しながら冷却し、合計100質量部のクレンジングジェルを調製する。
処方例5
A相、B相、C相をそれぞれ均一に溶解し、A相にB相を加えて可溶化し、ついでC相を加えて均一に溶解し、合計100質量部のパック剤を調製する。
処方例6
下記成分Aを充分に混合粉砕した粉末部Aとし、成分BをB液、成分CをC液とする。C液を加温攪拌後、Aを添加しホモミキサー処理し、さらに加温混合したB液を加えてホモミキサー処理する。攪拌しながら室温まで冷却して、合計100質量部の乳化型ファンデーションを調製する。
処方例7
下記成分Aに成分Bを加え、攪拌溶解した後、成分Cを加えてさらに攪拌して、合計100質量部のヘアートニックを調製する。
処方例8
下記成分により常法でもって、合計100質量部の浴用剤を調製する。
処方例9
下記成分Aをそれぞれ篩過して混合し、次に成分Bを添加して混合した。その後、常法により打錠して、全量が600mgのタブレットを調製する。
処方例10
下記の処方からなる配合により、常法にしたがって合計750mLのゼリーを調製する。
処方例11
下記の処方からなる配合により、常法にしたがって全量が100重量部のグミを調製する。
処方例12
下記の処方からなる配合により、常法にしたがって、合計100質量部のキャンディーを調製する。
処方例13
下記の処方からなる配合により、常法にしたがって、合計50mLの清涼飲料を調製する。
処方例14
下記の処方からなる配合例により、常法に従って、合計100質量部のリポソームを製造する。

Claims (5)

  1. 下記式(7)
    (式中のグルコース間の結合はα(1−4)グリコシド結合である。)
    及び下記式(1)
    (式中、nは1〜9の整数である。
    式中のグルコース間の結合はα(1−4)グリコシド結合である。)
    からなる群より選択される少なくとも1種のトランスレスベラトロール多糖体を有効成分とする、化粧料組成物
  2. 下記式(7)
    (式中のグルコース間の結合はα(1−4)グリコシド結合である。)
    及び下記式(1)
    (式中、nは1〜9の整数である。
    式中のグルコース間の結合はα(1−4)グリコシド結合である。)
    よりなる群から選択される少なくとも1種のトランスレスベラトロール多糖体を内包するリポソームを有効成分とする、化粧料組成物
  3. 美白用である、請求項1または2に記載する化粧料組成物。
  4. 下記式(7)
    (式中のグルコース間の結合はα(1−4)グリコシド結合である。)
    及び下記式(1)
    (式中、nは1〜9の整数である。
    式中のグルコース間の結合はα(1−4)グリコシド結合である。)
    よりなる群から選択される少なくとも1種のトランスレスベラトロール多糖体と、化粧品の分野において許容される担体または添加剤とを混合する工程を含む、化粧料組成物の製造方法
  5. 下記式(7)
    (式中のグルコース間の結合はα(1−4)グリコシド結合である。)
    及び下記式(1)
    (式中、nは1〜9の整数である。
    式中のグルコース間の結合はα(1−4)グリコシド結合である。)
    よりなる群から選択される少なくとも1種のトランスレスベラトロール多糖体を内包するリポソームと、化粧品の分野において許容される担体または添加剤とを混合する工程を含む、化粧料組成物の製造方法
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