JP6176593B2 - シリコンウェーハの製造方法 - Google Patents

シリコンウェーハの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6176593B2
JP6176593B2 JP2014081573A JP2014081573A JP6176593B2 JP 6176593 B2 JP6176593 B2 JP 6176593B2 JP 2014081573 A JP2014081573 A JP 2014081573A JP 2014081573 A JP2014081573 A JP 2014081573A JP 6176593 B2 JP6176593 B2 JP 6176593B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silicon wafer
wafer
layer
oxygen
ion implantation
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014081573A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015204316A (ja
Inventor
戸部 敏視
敏視 戸部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Handotai Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Handotai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Handotai Co Ltd filed Critical Shin Etsu Handotai Co Ltd
Priority to JP2014081573A priority Critical patent/JP6176593B2/ja
Publication of JP2015204316A publication Critical patent/JP2015204316A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6176593B2 publication Critical patent/JP6176593B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、半導体デバイスの作製用基板であるシリコンウェーハ及びその製造方法に関し、特に有害不純物を除去する方法であるゲッタリング技術に関する。
半導体集積回路等のデバイスの高密度化、高集積化に伴い、デバイス動作の安定化が頓に望まれてきている。特にリーク電流や酸化膜耐圧等の特性値改善は重要な課題である。
しかるに半導体集積回路の製造工程において、望まれざる重金属、例えばCu、Fe、Niといった不純物に汚染される可能性が現在においても否定できていない。これらの重金属不純物はシリコン単結晶中に固溶、あるいは析出した状態で存在し、前述のリーク電流や酸化膜耐圧特性を著しく劣化させることが広く知られている。
これらの重金属不純物を除去する方法であるゲッタリング技術は多岐に渡って世に知られている。そのいずれの方法も、それぞれ異なる特徴を有し、除去可能な元素やその適用可能範囲といったものが存在する。そのため、作製するデバイスの種類やその作製方法によって、最適なゲッタリング技術を持ったウェーハを使用する必要がある。
その中で、イオン注入層をゲッタリング層として用いる手法は、古くから認識されているゲッタリング手法の一つである(例えば、特許文献1参照)。このイオン注入層によるゲッタリング手法では、デバイスを作製するウェーハ表層近傍の任意の深さに、異なるゲッタリング能力の層を配置することができ、デバイスの特徴を踏まえて、自由自在にゲッタリング層を設計、設置できる利点を生かしてよく用いられている。
その中でも、最近のデバイス、特に、CCD、CIS等のデバイスでは、イオン注入層がゲッタリングの目的で広く用いられている。というのは、これらのデバイスでは、除去対象となる元素の拡散速度が比較的遅く、ゲッタリング層をバルクや裏面に配置すると、表層から遠いそのゲッタリング層まで除去対象元素を移動させることは難しいという問題があり、ゲッタリング層をデバイス層の直下、すなわちウェーハ表層近傍に任意に設計できるイオン注入層は便利であった。
また、特許文献1には、シリコンウェーハに炭素をイオン注入し、その炭素により酸素析出層を形成して、この酸素析出層でゲッタリングを行う手法が開示されている。また、特許文献1の手法では、炭素をイオン注入した後に、非酸化性雰囲気下でウェーハに熱処理を行うことで、ウェーハ表層部に無欠陥層を形成している。これによって、ゲッタリング能力を有したアニールウェーハを、エピタキシャル成長を行うことなく製造することができるとしている。
特開2007−149799号公報
しかるに、イオン注入層によるゲッタリングには、以下に示す問題がある。それは、ゲッタリング層がイオン注入層であるため、広くても数μm程度の厚さであることであり、ゲッタリング可能な不純物量という観点では、従来のIG(Internal Gettering)法や、p/pエピタキシャルウェーハを用いる手法と比べて著しく劣るものであった。また、表層近傍のみにゲッタリング層が配置されているということは、裏面近傍に存在する比較的拡散の速い元素を表層近傍に引き寄せることになるため、理想的なゲッタリング層であるとは必ずしも言えない。
このことは、表層近傍にゲッタリング層を任意に設定できるイオン注入層の持つ弱点であり、それを補うため、狭い領域のみに局在して分布するゲッタリング層に対し、他のゲッタリング手法よりも単位体積当たりのゲッタリング能力が高い必要があった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、イオン注入層の持つ弱点を補うべく、イオン注入層の持つゲッタリング能力を落とす原因を低減した半導体デバイス作製用のシリコンウェーハ及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明のシリコンウェーハ(以下、シリコンウェーハを単にウェーハということもある)は、半導体デバイス作製用基板であるシリコンウェーハであって、
前記シリコンウェーハに混入した汚染不純物を捕獲するゲッタリング層として使用することを目的としたイオン注入層が形成され、かつ、前記イオン注入層における酸素濃度が前記イオン注入層以外の層における酸素濃度と同一であることを特徴とする。
上記特許文献1等の従来技術では、イオン注入により酸素析出を促進させることでゲッタリング能力の向上を図っている。しかし、本発明者が考えるに、イオン注入によるゲッタリング効果は、あくまでイオン注入によって発生した欠陥部周辺の歪みの効果であって、酸素析出はその欠陥部周辺の歪みに付随した副次的な効果である。そこで、本発明者は、副次的効果である酸素析出の影響を除き、炭素イオン注入の純粋な効果について鋭意調査、検討を行った。その結果、除去対象不純物(汚染不純物)以外の元素(この場合、酸素)を極力イオン注入層(ゲッタリング層)に集めないで、ゲッタリング処理を実施する方が、酸素をイオン注入層に集めた場合よりも、ゲッタリング能力を向上できることを突き止めた。
本発明では、イオン注入層における酸素濃度がイオン注入層以外の層における酸素濃度と同一、つまりイオン注入層の分布(イオン注入された元素分布)とは無関係に酸素が一定の濃度で分布している。言い換えると、本発明では、酸素がイオン注入層に集積した分布となっていない。よって、イオン注入層に酸素を集積させた場合に比べて、イオン注入層の持つゲッタリング能力を向上できる(ゲッタリング能力を落とす原因を低減できる)。なお、本明細書における「同一」とは、イオン注入層における酸素濃度とイオン注入層以外の層における酸素濃度とが完全一致しているだけでなく、それら酸素濃度に若干の差があったとしても、酸素濃度がイオン注入層に集積した分布よりも一定の濃度分布に近い分布と判断できるのであれば、上記若干の差も「同一」の範囲に含む趣旨である。
また、本発明において、イオン注入層におけるイオン注入された元素が炭素である。このように、炭素のイオン注入層を備えさせることで、効果的に汚染不純物を捕獲できる。
また、本発明のシリコンウェーハはFZ(Floating−Zone)法で作製されたウェーハとするのが好ましい。FZ法では、CZ法と異なり石英るつぼを使わず、シリコン原料が石英るつぼと接触しないので、CZ法で作製されたウェーハに比べて、含有不純物(酸素)が極めて低いウェーハを得ることができる。よって、FZ法で作製されたシリコンウェーハにイオン注入層が形成されているので、そのイオン注入層に酸素が集積するのを抑制することができ、結果、イオン注入層における酸素濃度がイオン注入層以外の層における酸素濃度と同一にすることができる。
また、本発明において、イオン注入層よりウェーハ表面側に20μm以上の厚さのエピタキシャル層が形成されたとするのが好ましい。これによれば、ウェーハ表面側に20μm以上の厚さのエピタキシャル層が形成されているので、デバイス作製時などのウェーハ熱処理時にウェーハ表面から酸素がウェーハに混入したとしても、その酸素がイオン注入層まで拡散(内方拡散)するのを抑制できる。結果、イオン注入層における酸素濃度がイオン注入層以外の層における酸素濃度と同一にすることができる。
本発明は、半導体デバイス作製用基板であるシリコンウェーハの製造方法であって、
シリコンウェーハを準備する準備工程と、
その準備工程で準備したシリコンウェーハに特定の元素をイオン注入して、汚染不純物を捕獲するゲッタリング層として使用することを目的としたイオン注入層を形成するイオン注入工程と、
そのイオン注入工程の前又は後に実施され、前記イオン注入層への酸素の集積を抑制させる集積抑制工程と、
を含むことを特徴とする。
本発明によれば、イオン注入工程の前又は後に、イオン注入層への酸素の集積を抑制させる集積抑制工程を実施しているので、イオン注入層への酸素の集積を抑制したシリコンウェーハを得ることができる。これにより、イオン注入層の持つゲッタリング能力を向上できる(ゲッタリング能力を落とす原因を低減できる)。
また、本発明において、イオン注入層におけるイオン注入された元素が炭素である。このように、炭素をイオン注入してイオン注入層を形成することで、効果的に汚染不純物を捕獲できる。
また、本発明における準備工程では、FZ(Floating−Zone)法で作製されたシリコンウェーハを準備するのが好ましい。これによって、イオン注入層に酸素が集積するのを抑制することができる。
また、本発明における集積抑制工程は、イオン注入工程の実施後のウェーハ表面上に20μm以上の厚さのエピタキシャル層を形成するエピタキシャル工程を含むとすることができる。これによって、ウェーハ熱処理時にウェーハ表面から酸素がウェーハに混入したとしても、その酸素がイオン注入層まで拡散するのを抑制できる。
また、本発明における集積抑制工程は、イオン注入工程の実施後のウェーハ表面上にエピタキシャル層を形成するエピタキシャル工程と、そのエピタキシャル工程の実施後のウェーハに対して、イオン注入工程に伴い損傷したウェーハの結晶性を回復させるための熱処理を行う熱処理工程とを含むとすることができる。これによれば、イオン注入に伴い損傷したウェーハの結晶性を回復させるための熱処理を行う前に、ウェーハ表面上にエピタキシャル層を形成するので、イオン注入層をウェーハ表面から深い位置に配置できる。よって、結晶性回復熱処理時に、ウェーハ表面から酸素がウェーハに混入したとしても、その酸素がイオン注入層まで拡散するのを抑制できる。
また、本発明において、前記準備工程では、FZ(Floating−Zone)法で作製されたシリコンウェーハを準備し、
前記集積抑制工程は、前記イオン注入工程を実施した後のウェーハに対して酸素を含まない雰囲気中で熱処理を行う熱処理工程を含むとすることができる。
このように、FZ法で作製されたシリコンウェーハを用いることで、酸素濃度が極めて低いシリコンウェーハを得ることができる。そして、このシリコンウェーハにイオン注入した後に、酸素を含まない雰囲気中で熱処理するので、熱処理時に酸素がウェーハ表面からウェーハに混入するのを防ぐことができる。よって、イオン注入層への酸素の集積を抑制したシリコンウェーハを得ることができる。
また、本発明における熱処理工程での熱処理は、イオン注入工程に伴い損傷したウェーハの結晶性を回復させるための熱処理を含むとすることができる。これによって、イオン注入で損傷したウェーハの結晶性を回復させることができるとともに、この回復時に酸素がウェーハ表面から混入するのを防ぐことができる。
また、本発明における集積抑制工程は、イオン注入工程を実施する前のウェーハに対して、該ウェーハ中の固溶酸素をシリサイド析出物の形態に変化させるように熱処理を行う酸素形態変化工程を含むとすることができる。これによれば、ウェーハ中の固溶酸素をシリサイド析出物の形態に変化させるので、ウェーハ中の固溶酸素の濃度を低くすることができる。また、シリサイド析出物の形態は、固溶原子状態に溶解しないと容易には拡散しないので、イオン注入層に酸素が集積するのを抑制できる。
また、本発明における集積抑制工程は、イオン注入工程を実施する前又は後のウェーハに対して、該ウェーハ中の酸素をウェーハから雰囲気中に外方拡散させるように熱処理を行う外方拡散工程を含むとすることができる。これによれば、ウェーハ中の酸素を雰囲気中に外方拡散させるように熱処理を行うので、イオン注入層が形成されるウェーハ表層近傍の酸素濃度を低くすることができる。よって、イオン注入層に酸素が集積するのを抑制できる。
本発明のシリコンウェーハにおける炭素濃度及び酸素濃度の深さ方向分布を示した図である。 従来のシリコンウェーハにおける炭素濃度及び酸素濃度の深さ方向分布を示した図である。 シリコンウェーハの製造方法の第1例を示すフローチャートである。 図3の各工程でのウェーハの状態を模式的に示した図である。 シリコンウェーハの製造方法の第2例を示すフローチャートである。 図5の各工程でのウェーハの状態を模式的に示した図である。 シリコンウェーハの製造方法の第3例を示すフローチャートである。 図7の各工程でのウェーハの状態を模式的に示した図である。 シリコンウェーハの製造方法の第4例を示すフローチャートである。 図9の各工程でのウェーハの状態を模式的に示した図である。
以下、本発明の実施の形態について述べる。研究当初、炭素イオン注入層のゲッタリング能力を調査する際、イオン注入し、結晶性回復熱処理を施した後、イオン注入層に存在する炭素濃度分布をSIMS(Secondary Ion Mass Spectroscopy、2次イオン質量分析法)で評価したが、それと同時に、酸素やドーパントの濃度分布も合わせて調査した。その結果を図2に示す。図2は、横軸をウェーハ表面からの深さ、縦軸を濃度としたグラフであって、炭素濃度と酸素濃度のそれぞれの深さ方向分布を示している。
図2に示すように、炭素の分布は、従来の知見で示されるように、加速電圧とドーズ量からほぼ決定できるガウス分布の形状をしていることが判明した。これに対し、ドーパントの濃度分布は、炭素のガウス分布形状とは関わりがなく、炭素イオン注入前後で変化が見られず、ほぼ均一分布していたが、酸素は炭素のガウス分布と相似形をなす形で濃度分布していることがわかった。従って、イオン注入層付近でピークを持つ元素は、故意注入した炭素に加え、酸素も存在していることが明らかになった。このウェーハを用いて、ゲッタリング能力を調査したところ、イオン注入層を持たないウェーハに比べて、著しく高いゲッタリング能力を示すことがわかった。しかるに、この結果は従来の報告にある通りの、既知の知見である。
続いて、炭素イオン注入層の強いゲッタリングが何故生じるのかを検討し始めたが、純粋に炭素イオンの効果を知るためには、相似形で分布している酸素の存在が極めて問題であると考えた。何故なら、イオン注入層として定義した極めて狭い領域内に存在するのは炭素と酸素の2種があり、酸素の影響を排除しなければ、純粋な炭素イオン注入の効果は確認できないからである。そこで、酸素を含有せず、純粋に炭素イオンのガウス分布のみを持つウェーハを用いて、ゲッタリング能力を調査したところ、酸素の相似形ガウス分布を持つ試料よりも、さらに強いゲッタリング能力を持つことを突き止め、本発明に想到した。
つまり、本発明のシリコンウェーハでは、炭素濃度及び酸素濃度が図1に示すような分布となっていることを特徴としている。この図1は、図2と同様に、炭素濃度と酸素濃度のそれぞれの深さ方向分布を示している。図1に示すように、本発明では、炭素濃度はガウス分布の形状をしているのに対し、酸素濃度はイオン注入層(炭素濃度の分布領域)に集積した分布となっていない。具体的には、酸素は炭素濃度の分布(イオン注入層の分布)とは無関係に深さ方向に一定の濃度で分布している。言い換えると、イオン注入層における酸素濃度がイオン注入層以外の層における酸素濃度と同一となっている。
次に、本発明の原理を説明する。従来用いられていたイオン注入層は、炭素をはじめとする軽元素やドーパントなど、あらゆる種類の元素(B、O、Si、P、Ar,N2、H2など)が用いられてきた。しかるに、高いゲッタリング能力を持つイオン注入層は、上述の酸素にその例を引くことができるように、その能力が高いほど、除去対象不純物(例えばCu、Fe、Niなどの重金属不純物)以外の不純物種をもゲッタリングしてしまう。これは、イオン注入層形成に伴う系全体で増加した自由エネルギーを下げるために、不純物原子がイオン注入層に集まるという物理現象を、ゲッタリングという実用的な手法に応用していることに起因しており、元素の種類に応じて、ゲッタリング効果の有無を選択的に実施することは不可能である。
一方、ゲッタリング手法の必要性は、望まれざる不純物の汚染工程を回避することができず、ウェーハ中に混入した不純物を除去することにある。そのため、除去対象元素以外の元素を汚染しない工程を検討することは、これは本来の目的と反対である。言い換えれば、各種ゲッタリング手法とは、濃度の多少は異なるものの、除去対象元素以外の元素も少なからずウェーハ中に混入していることを前提として検討すべき案件である。
これに対し、シリコン中の不純物で唯一制御可能な元素が酸素である。酸素はCZ−Si中(CZ法で作製されたシリコン中)に不可避的に存在するが、その濃度は目的に応じて制御可能である。またFZ−Si結晶(FZ法で作製されたシリコン結晶)ならば、含有酸素濃度は極めて低い。シリコン中の酸素の存在意義は複数あるが、その一つであるIG(Internal Gettering)の目的に酸素を使用するのであれば、イオン注入層ゲッタリングの能力を酸素が低下させていることは、その目的に反する。酸素原子がイオン注入層に集積し、何らかの副次的効果を伴ってイオン注入層のゲッタリング能力が高まるのであれば、もちろんそれは有効に利用するべきであるが、イオン注入層に集積する上述の機構を考えれば、酸素を除外することが、イオン注入層の高いゲッタリング能力を保持する上で重要と考えられる。
そこで、本発明者らは、酸素を含有しないシリコンウェーハと酸素を混入させないウェーハ構造や工程について検討し、本発明を完成させた。それは、各請求項に掲げた内容であり、FZ−Siを用い、酸素を含まない熱処理にてデバイスを作製できれば、これが理想的である。また、酸素を含有するCZ−Siでも、拡散可能な酸素原子を含まない状態が作れれば、FZ−Siと同様な効果を奏するため、固溶酸素のほとんどをシリサイド析出物の形態に変化させる手法も有効である。
また、酸素含有雰囲気による熱処理を施すと、表面から酸素が内方拡散することは避け難いが、昨今のデバイス作製工程では、低温短時間熱処理によるものも多く、表面から酸素の拡散距離の和も以前と比べて小さくなっている。そこで、表面から酸素が拡散で到達できる距離より深い位置にイオン注入層を形成すれば、酸素がそのイオン注入層に到達することもなく、同様な効果を奏する。この効果を具現化したウェーハ構造がエピタキシャルウェーハである。同様な効果を生むために、予めCZ−Siウェーハ表層の酸素を高温熱処理で外方拡散させ、表層近傍の固溶酸素濃度を下げるようにしても良い。つまり、イオン注入層近傍でデバイス作製工程において酸素が拡散可能な距離以上の領域における固溶酸素濃度を下げておけば、同様な作用が期待できる。
以下、上記各手法によるシリコンウェーハの製造方法をさらに詳しく説明する。図3、図4は、本発明のシリコンウェーハの製造方法の第1例を説明する図である。詳細には、図3は、シリコンウェーハの製造方法の第1例を示すフローチャートである。図4は、図3の各工程でのウェーハの状態を模式的に示した図である。
先ず、半導体デバイス作製用基板の基となるウェーハとして、FZ法で作製された単結晶シリコンウェーハを準備する(S11)。図4の最上段には、S11で準備した基板ウェーハの断面を示している。この基板ウェーハをFZ法で作製する際には、可能な限り酸素がウェーハ中に含まないようする。なお、ウェーハの特性(導電型、抵抗率、結晶方位など)は、作製する半導体デバイスの特徴(種類)に応じて適宜に設定すれば良い。なお、S11の工程が本発明の「準備工程」に相当する。
次に、図4の2段目に示すように、S11で準備した基板ウェーハに対して、ウェーハ表面から炭素をイオン注入(Ion Implantation)して、ウェーハの表層近傍にイオン注入層を形成する(S12)。図4の3段目には、イオン注入後のウェーハの状態として、ウェーハの表層近傍にイオン注入層が形成され、そのイオン注入層より上層がイオン注入により損傷(ダメージ)を受けた状態を示している。このイオン注入層は、デバイス作製工程の際にウェーハに混入した汚染不純物を捕獲するゲッタリング層として使用することを目的とした層である。イオン注入する際の炭素イオンの加速電圧やドーズ量は、作製する半導体デバイスの特徴に応じて適宜に設定すれば良い。S12で形成されるイオン注入層の分布(炭素濃度の分布)は、図1に示すように、加速電圧とドーズ量とから定まるガウス分布となる。図1において炭素濃度が所定値以上となっている深さ領域が、図4のイオン注入層に相当する。なお、S12の工程が本発明の「イオン注入工程」に相当する。
次に、S12でイオン注入した後のウェーハに対して、イオン注入に伴い損傷したウェーハの結晶性を回復したり、イオン注入された炭素を活性化したりするための熱処理(結晶性回復熱処理)を行う(S13)。この際、酸素を含まない雰囲気(Ar、N2、H2などの非酸化性雰囲気)中でこの熱処理を行う。熱処理の条件(温度、時間)は、ウェーハの結晶性が回復できるのであればどのような条件であっても良い。図4の最下段には、この結晶性回復熱処理により、イオン注入層より上層の結晶性が回復した状態を示している。
このS13の工程によって、ウェーハの結晶性を回復できるとともに、熱処理時に雰囲気中からウェーハに酸素が混入して、ウェーハ内を拡散(内方拡散)するのを防ぐことができる。加えて、CZ法で作製されたウェーハに比べて酸素含有量が極めて少ない、FZ法で作製されたウェーハを用いているので、S13の熱処理時に、ウェーハ中にもともと存在していた酸素が拡散して、イオン注入層2に集積するのを抑制できる。なお、S13の工程が本発明の「集積抑制工程」、「熱処理工程」に相当する。
以上の各工程を経て、第1例に係るシリコンウェーハが得られる。このように、第1例では、FZ−Siウェーハに非酸化性雰囲気中で結晶性回復熱処理を行うので、イオン注入層に酸素の集積を抑制した半導体デバイス作製用のシリコンウェーハ(図1の濃度分布のウェーハ)を得ることができる。これによって、イオン注入層のゲッタリング能力を向上でき、半導体デバイス(CCD、CIS等)の作製時にウェーハに混入した汚染不純物(重金属不純物)を効果的にイオン注入層で捕獲することができる。よって、高品質な半導体デバイスを得ることができる。また、結晶性回復熱処理以外の熱処理(半導体デバイスの作製に伴う熱処理)においても、非酸化性雰囲気中で行うのが好ましい。これにより、デバイス作製の段階でイオン注入層に酸素が集積するのを抑制できるので、より一層、高品質な半導体デバイスを得ることができる。
次に、図5、図6を参照して、本発明のシリコンウェーハの製造方法の第2例を説明する。図5は、シリコンウェーハの製造方法の第2例を示すフローチャートである。図6は、図5の各工程でのウェーハの状態を模式的に示した図である。
先ず、図3のS11と同様に、半導体デバイス作製用基板の基となるウェーハとして、FZ法で作製された単結晶シリコンウェーハを準備する(S21)。図6の最上段には、S21で準備した基板ウェーハの断面を示している。なお、S21の工程が本発明の「準備工程」に相当する。次に、図3のS12と同様に、S21で準備した基板ウェーハに対して、ウェーハ表面から炭素をイオン注入して、ウェーハの表層近傍にイオン注入層(図6の上から2段目、3段目参照)を形成する(S22)。なお、S22の工程が本発明の「イオン注入工程」に相当する。
次に、図6の最下段に示すように、イオン注入実施後のウェーハの表面上にエピタキシャル層を形成する(S23)。このエピタキシャル層は、S23の工程以降の熱処理時に、ウェーハ表面から混入した酸素がイオン注入層まで拡散(内方拡散)してしまうのを抑制するための層であるとともに、半導体デバイス作製層でもある。エピタキシャル層が厚いほど、その後の熱処理時にウェーハ表面から混入した酸素が内方拡散したとしても、イオン注入層に到達する酸素量を抑制できる。よって、エピタキシャル層の厚さは、次のS24の熱処理時に酸素が内方拡散しても、イオン注入層に到達しえない厚さ、つまり熱処理時における酸素の拡散距離よりも大きい厚さとするのが好ましい。具体的に、エピタキシャル層をどの厚さにするかは、S24の熱処理条件に応じて設定すれば良く、例えばその熱処理条件が高温、長時間になるほど、酸素の拡散距離が伸びていくので、エピタキシャル層の厚さを大きい値に設定する。または、どのような熱処理条件でも対応できるように、例えば、エピタキシャル層の厚さは20μm以上とするのが好ましい。
なお、エピタキシャル層の厚さが20μm未満であったとしても、S24の熱処理時に酸素がイオン注入層に到達するのをある程度は抑制できるので、エピタキシャル層の厚さは20μm未満であったとしても良い。
S23では、エピタキシャル層を形成するために、イオン注入した後のウェーハを気相成長装置の反応室に投入する。そして、反応室内を所定の気相成長温度に加熱しつつ、反応室内のウェーハ上に気相成長ガス(例えばトリクロロシラン)を導入することで、ウェーハ上にシリコン単結晶薄膜(エピタキシャル層5)を気相成長させる。この際、ウェーハに酸素が混入するのを防ぐために、非酸化性雰囲気中で気相成長を行う。なお、エピタキシャル層の厚さ以外の特性(抵抗率、導電型など)は、作製する半導体デバイスの特徴に応じて適宜に設定すれば良い。また、気相成長の条件(ガス流量、温度、成長時間など)は、エピタキシャル層の目標厚さに応じて設定する。なお、S23の工程が本発明の「エピタキシャル工程」に相当する。
次に、S23の工程を実施した後のウェーハに対して、結晶性回復熱処理を行う(S24)。この際、第1例と同様に非酸化性雰囲気中で熱処理を行うのが好ましいが、酸素を含む雰囲気中で熱処理を行ったとしても良い。酸素を含む雰囲気中で熱処理を行ったとしても、エピタキシャル層の存在でイオン注入層がウェーハ表面から深い位置に配置されることになるので、イオン注入層まで酸素が内方拡散するのを抑制できる。図6の最下段には、この結晶性回復熱処理により、イオン注入層とエピタキシャル層の間の層の結晶性が回復した状態を示している。なお、S24の工程が本発明の「熱処理工程」に相当する。また、S23及びS24の工程が本発明の「集積抑制工程」に相当する。このとき、エピタキシャル工程でも結晶性を回復させることができるので、エピタキシャル工程で結晶性回復熱処理を兼用させることもできる。
以上の各工程を経て、第2例に係るシリコンウェーハが得られる。このように、第2例では、FZ−Siウェーハを用いるとともに、結晶性回復熱処理の前にエピタキシャル層を形成しているので、イオン注入層を表面から深い位置に配置することができる。これによって、結晶性回復熱処理が酸素を含む雰囲気中で行われたとしても、イオン注入層まで酸素が内方拡散するのを抑制できる。結果、イオン注入層への酸素の集積を抑制したシリコンウェーハ(図1の濃度分布のウェーハ)を得ることができ、イオン注入層のゲッタリング能力を向上できる。
次に、図7、図8を参照して、本発明のシリコンウェーハの製造方法の第3例を説明する。図7は、シリコンウェーハの製造方法の第3例を示すフローチャートである。図8は、図7の各工程でのウェーハの状態を模式的に示した図である。
先ず、半導体デバイス作製用基板の基となる単結晶シリコンウェーハを準備する(S31)。このS31で準備する基板ウェーハは、イオン注入層への酸素の集積を抑制するという観点では、酸素の含有量が少ないFZ−Siウェーハが好ましいが、CZ法で作製されたウェーハ(CZ−Siウェーハ)であっても良い。ここでは、CZ−Siウェーハを準備するものとする。図8の最上段には、S31で準備したCZ−Siウェーハの断面を示し、FZ−Siウェーハに比べて固溶酸素原子が多く含んだ状態を示している。なお、S31の工程が本発明の「準備工程」に相当する。
次に、S31で準備した基板ウェーハに対して、該ウェーハ中の固溶酸素原子をシリサイド析出物の形態、つまり、SiOx(x≒2)の形態に変化させるように、熱処理(シリサイド析出熱処理)を行う(S32)。図8の2段目には、シリサイド析出熱処理後のウェーハの状態として、固溶酸素原子のほとんどがシリサイド析出物(酸素析出物)に変化した状態を示している。このシリサイド析出熱処理の考え方を説明すると、シリコン中の酸素が固溶状態で存在できる最大量を固溶度としたとき、高温になるほど固溶度は大きくなり、反対に低温になるほど固溶度は小さくなる。そして、例えば、S31で準備したウェーハ中の初期酸素濃度が5〜20ppma(JEIDA換算)の範囲であり、1000℃における酸素の固溶度が2ppmaであると仮定する。この場合、ウェーハを1000℃以下に熱処理(冷却)すれば、ウェーハ中の酸素は固溶度以上に存在することになり(過飽和固溶の状態となり)、固溶度を超えた分の酸素は固溶状態を維持できなり、シリサイド析出物の形態で析出する。
よって、S32では、ウェーハ中の初期酸素濃度を把握した上で、その初期酸素濃度より小さい目標固溶度を設定して、その目標固溶度を示す温度以下にウェーハを冷却(熱処理)する。要するに、S32では、ウェーハを低温にすれば、シリサイド析出物の形態に変化させることができる。そして、S32では、S32の工程後に固溶状態で存在する酸素濃度(溶存酸素濃度)が例えば2ppma以下となるように、S32の熱処理条件を設定する。なお、S32の工程が本発明の「集積抑制工程」、「酸素形態変化工程」に相当する。
次に、図3のS12と同様に、S32の工程を実施した後のウェーハに対して、ウェーハ表面から炭素をイオン注入して、ウェーハの表層近傍にイオン注入層(図8の上から3段目、4段目参照)を形成する(S33)。なお、S33の工程が本発明の「イオン注入工程」に相当する。
次に、S33の工程を実施した後のウェーハに対して、結晶性回復熱処理を行う(S34)。図8の最下段には、この結晶性回復熱処理により、イオン注入層より上層の結晶性が回復した状態を示している。S32で固溶酸素のほとんどを、固溶状態に溶解しなければ容易には拡散しないシリサイド析出物の形態に変化させて固溶酸素濃度を低くしているので、結晶性回復熱処理で酸素がイオン注入層に集積するのを抑制できる。また、S34では、第1例と同様に非酸化性雰囲気中で熱処理を行うのが好ましい。非酸化性雰囲気中で熱処理を行った場合には、より一層、酸素がイオン注入層に集積するのを抑制できる。ただし、酸素を含む雰囲気中で熱処理を行う態様を排除する趣旨ではない。
以上の各工程を経て、第3例に係るシリコンウェーハが得られる。このように、第3例では、ウェーハ中の固溶酸素をシリサイド析出物の形態に変化させたうえで、イオン注入層の形成及び熱処理を行っているので、CZ−Siウェーハを用いたとしてもイオン注入層への酸素の集積を抑制できる。よって、図1の濃度分布のシリコンウェーハを得ることができ、イオン注入層のゲッタリング能力を向上できる。また、CZ−Siウェーハを用いることができるので、第1例、第2例に比べて大口径のウェーハを得やすくなる。
次に、図9、図10を参照して、本発明のシリコンウェーハの製造方法の第4例を説明する。図9は、シリコンウェーハの製造方法の第4例を示すフローチャートである。図10は、図9の各工程でのウェーハの状態を模式的に示した図である。
先ず、半導体デバイス作製用基板の基となる単結晶シリコンウェーハを準備する(S41)。このS41で準備する基板ウェーハは、イオン注入層への酸素の集積を抑制するという観点では、酸素の含有量が少ないFZ−Siウェーハが好ましいが、CZ−Siウェーハであっても良い。ここでは、CZ−Siウェーハを準備するものとする。図10の最上段には、S41で準備したCZ−Siウェーハの断面を示し、FZ−Siウェーハに比べて固溶酸素原子が多く含んだ状態を示している。なお、S41の工程が本発明の「準備工程」に相当する。
次に、S41で準備した基板ウェーハに対して、該ウェーハ中の酸素をウェーハ外(雰囲気中)に拡散(外方拡散)させるように熱処理(外方拡散熱処理)を行う(S42)。具体的には、非酸化性雰囲気中で熱処理を行うことで外方拡散を促進でき、ウェーハ表層近傍の固溶酸素は雰囲気中に昇華させることができる。なお、酸素を含む雰囲気中であっても、ウェーハ中の初期酸素濃度と一致する固溶度を示す温度以下の低温であれば、表面酸素濃度の平衡濃度である固溶度が初期酸素濃度より低くなるため、外方拡散させることができる。外方拡散熱処理の具体的な条件(温度、熱処理時間等)は、ウェーハ表層近傍の酸素濃度が所定値以下となるように適宜設定すれば良い。図10の2段目には、外方拡散熱処理後のウェーハの状態として、ウェーハ表面側及び裏面側の表層近傍の酸素原子のほとんどが外方拡散したことにより低酸素濃度領域が形成されている状態を示している。なお、S42の工程が本発明の「集積抑制工程」、「外方拡散工程」に相当する。
次に、図3のS12と同様に、S42の工程を実施した後のウェーハに対して、ウェーハ表面から炭素をイオン注入して、ウェーハ表層近傍にイオン注入層(図10の上から3段目、4段目参照)を形成する(S43)。なお、S43の工程が本発明の「イオン注入工程」に相当する。
次に、S43の工程を実施した後のウェーハに対して、結晶性回復熱処理を行う(S44)。図10の最下段には、この結晶性回復熱処理により、イオン注入層より上層の結晶性が回復した状態を示している。S42で外方拡散によりウェーハ表層近傍の酸素濃度を低くしているので、結晶性回復熱処理で酸素がイオン注入層に集積するのを抑制できる。また、S44では、第1例と同様に非酸化性雰囲気中で熱処理を行うのが好ましい。非酸化性雰囲気中で熱処理を行った場合には、より一層、酸素がイオン注入層に集積するのを抑制できる。ただし、酸素を含む雰囲気中で熱処理を行う態様を排除する趣旨ではない。
以上の各工程を経て、第4例に係るシリコンウェーハが得られる。このように、第4例では、イオン注入及び熱処理を行う前に、外方拡散によりウェーハ中(特にウェーハ表層近傍)の酸素濃度を低くしているので、CZ−Siウェーハを用いたとしてもイオン注入層への酸素の集積を抑制できる。よって、図1の濃度分布のシリコンウェーハを得ることができ、イオン注入層のゲッタリング能力を向上できる。また、CZ−Siウェーハを用いることができるので、第1例、第2例に比べて大口径のウェーハを得やすくなる。
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(比較例1)
FZ法により、直径6インチ、方位<100>の結晶棒を、引き上げ速度2mm/分で引き上げた。この結晶棒を加工して基板ウェーハとした。このウェーハ裏面に1×1012cm−2のFe(重金属不純物)を塗布した後、1000℃/1時間の拡散熱処理を施し、室温まで急速冷却した。このウェーハ裏面近傍のFe濃度を測定したところ、1.5×1013cm−3の値を得た。この値は、イオン注入層などのゲッタリング層を持たない比較ウェーハにおける測定値のため、初期汚染濃度を示す。
(比較例2)
FZ法により、直径6インチ、方位<100>の結晶棒を、引き上げ速度2mm/分で引き上げた。この結晶棒を加工して基板ウェーハとし、その基板ウェーハに炭素を加速電圧70keV、ドーズ量5×1015cm−2の条件でイオン注入した。その後、イオン注入層の結晶性回復熱処理を窒素/酸素混合雰囲気にて1000℃/1時間の条件で実施した。このウェーハ裏面に1×1012cm−2のFeを塗布した後、1000℃/1時間の拡散熱処理に続いて700℃/7時間のFe捕獲熱処理を施し、室温まで急速冷却した。このウェーハ裏面近傍のFe濃度を測定したところ、約1×1011cm−3の値を得た。この値は、比較例1に示すイオン注入層のないウェーハで測定して決定した初期汚染濃度である1.5×1013cm−3に対し約2桁小さく、イオン注入層にゲッタリング能力があることがわかった。その後、SIMSにて、炭素と酸素の深さ方向分布測定を実施したところ、イオン注入による炭素のガウス分布形状と相似形の酸素分布が見られた。これは結晶性回復熱処理中に雰囲気から酸素が導入され、その酸素が炭素イオン注入層近傍に集積したものであり、炭素と酸素の作用によるゲッタリング効果とわかった。
(比較例3)
CZ法により、直径8インチ、方位<100>、初期酸素濃度14ppma(JEIDA換算)の結晶棒を、引き上げ速度0.4mm/分で引き上げた。この結晶棒を加工して基板ウェーハとし、その基板ウェーハに炭素を加速電圧70keV、ドーズ量5×1015cm−2の条件でイオン注入した。その後、イオン注入層の結晶性回復熱処理を窒素/酸素混合雰囲気にて1000℃/1時間の条件で実施した。このウェーハ裏面に1×1012cm−2のFeを塗布した後、1000℃/1時間の拡散熱処理に続いて700℃/7時間のFe捕獲熱処理を施し、室温まで急速冷却した。このウェーハ裏面近傍のFe濃度を測定したところ、約1×1011cm−3の値を得た。この値は、比較例1に示すイオン注入層のないウェーハで測定した初期汚染濃度である1.5×1013cm−3に対し約2桁小さく、イオン注入層にゲッタリング能力があることがわかった。その後、SIMSにて、炭素と酸素の深さ方向分布測定を実施したところ、イオン注入による炭素のガウス分布形状と相似形の酸素分布が見られた。これは結晶性回復熱処理中、表面から内方拡散したか、あるいはCZ−Si結晶に予め含まれていた固溶酸素が炭素イオン注入層近傍に集積したものであり、炭素と酸素の作用によるゲッタリング効果とわかった。
(実施例)
FZ法により、直径6インチ、方位<100>の結晶棒を、引き上げ速度2mm/分で引き上げた。この結晶棒を加工して基板ウェーハとし、その基板ウェーハに炭素を加速電圧70keV、ドーズ量5×1015cm−2の条件でイオン注入した。その後、表面側にエピタキシャル層を30μm堆積し、イオン注入層の結晶性回復熱処理を窒素/酸素混合雰囲気にて1000℃/1時間の条件で実施した。このウェーハ裏面に1×1012cm−2のFeを塗布した後、1000℃/1時間の拡散熱処理に続いて700℃/7時間のFe捕獲熱処理を施し、室温まで急速冷却した。このウェーハ裏面近傍のFe濃度を測定したところ、4.0×1010cm−3の値を得た。この値は、比較例1に示すイオン注入層のないウェーハで測定した初期汚染濃度である1.5×1013cm−3に対し、約3桁小さく、大きなゲッタリング能力があることがわかった。また、比較例2、3に示す炭素イオン注入層に酸素が集積した場合と比べても残存Fe濃度が低かった。その後、SIMSにて、炭素と酸素の深さ方向分布測定を実施したところ、イオン注入による炭素のガウス分布形状が見られたが、イオン注入層近傍の酸素濃度はSIMSの検出下限値であり、炭素イオン注入層への酸素原子の集積は見られなかった。従って、上述のゲッタリング効果は酸素を含まない炭素単独の効果であり、しかも酸素を含む場合よりも強いゲッタリング効果を持つとわかった。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上記形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、かつ同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。例えば、実施例では、1000℃/1時間の酸素含有雰囲気による熱処理でも表面からの内方拡散によって酸素がイオン注入層まで到達しえない厚さ(30μm)をエピタキシャル層で形成しているが、デバイス作製工程が1000℃/1時間より短時間であれば、必要なエピタキシャル層厚も薄くできる。
また、上記実施形態では、炭素をイオン注入していたが、炭素以外の元素(例えばB、P、Ar,N2、H2など)をイオン注入してゲッタリング層(イオン注入層)を形成しても良い。この場合も、イオン注入層における酸素の集積を抑えることで、ゲッタリング能力を向上できる。また、図5のS21では、FZ−Siウェーハを準備していたが、CZ−Siウェーハを準備しても良い。これによっても、結晶性回復熱処理前にエピタキシャル層を形成するので、そのエピタキシャル層を形成しない従来の手法に比べて、イオン注入層への酸素の集積を抑制できる。
また、図9に示す第4例では、イオン注入の前に外方拡散熱処理を行っていたが、イオン注入の後に外方拡散熱処理を行っても良い。つまりS42の工程とS43の工程の実施順を入れ替えても良い。これによっても、S44の結晶性回復熱処理前に、拡散しやすい固溶酸素濃度を低くできるので、結晶性回復熱処理において酸素がイオン注入層に集積するのを抑制できる。また、S44の結晶性回復熱処理を実施した後に外方拡散熱処理を行っても良い。これによっても、半導体デバイスの作製(イオン注入層以外の作製)前に拡散しやすい固溶酸素濃度を低くできるので、半導体デバイスの作製時に酸素がイオン注入層に集積するのを抑制できる。
また、第1例の特徴(FZ−Siウェーハを用い、非酸化雰囲気で熱処理を行う)と、第2例の特徴(イオン注入後、熱処理前に、エピタキシャル層を形成する)と、第3例の特徴(シリサイド析出熱処理を行う)と、第4例の特徴(外方拡散熱処理を行う)とから選択される2つ以上の特徴を組み合わせて実施しても良い。これによって、より一層、イオン注入層への酸素の集積を抑制でき、イオン注入層におけるゲッタリング能力を向上できる。

Claims (8)

  1. 半導体デバイス作製用基板であるシリコンウェーハの製造方法であって、
    シリコンウェーハを準備する準備工程と、
    その準備工程で準備したシリコンウェーハの表面から特定の元素をイオン注入して、汚染不純物を捕獲するゲッタリング層として使用することを目的としたイオン注入層を該シリコンウェーハの表層近傍に形成するイオン注入工程と、
    前記イオン注入工程の実施後のシリコンウェーハ表面上にエピタキシャル層を形成するエピタキシャル工程と、
    そのエピタキシャル工程の実施後のシリコンウェーハに対して、前記イオン注入工程に伴い損傷したシリコンウェーハの結晶性を回復させるための熱処理を行う熱処理工程と、
    を含むことを特徴とするシリコンウェーハの製造方法。
  2. 半導体デバイス作製用基板であるシリコンウェーハの製造方法であって、
    シリコンウェーハを準備する準備工程と、
    その準備工程で準備したシリコンウェーハに対して、該シリコンウェーハ中の固溶酸素をシリサイド析出物の形態に変化させるように熱処理を行う酸素形態変化工程と、
    その酸素形態変化工程の実施後のシリコンウェーハの表面から特定の元素をイオン注入して、汚染不純物を捕獲するゲッタリング層として使用することを目的としたイオン注入層を該シリコンウェーハの表層近傍に形成するイオン注入工程と、
    そのイオン注入工程の実施後のシリコンウェーハに対して、前記イオン注入工程に伴い損傷したシリコンウェーハの結晶性を回復させるための熱処理を行う熱処理工程と、
    を含むことを特徴とするシリコンウェーハの製造方法。
  3. 半導体デバイス作製用基板であるシリコンウェーハの製造方法であって、
    シリコンウェーハを準備する準備工程と、
    その準備工程で準備したシリコンウェーハに対して、該シリコンウェーハ中の表層近傍の酸素をシリコンウェーハから雰囲気中に外方拡散させるように熱処理を行う外方拡散工程と、
    その外方拡散工程の実施後のシリコンウェーハの表面から特定の元素をイオン注入して、汚染不純物を捕獲するゲッタリング層として使用することを目的としたイオン注入層を該シリコンウェーハの表層近傍に形成するイオン注入工程と、
    そのイオン注入工程の実施後のシリコンウェーハに対して、前記イオン注入工程に伴い損傷したシリコンウェーハの結晶性を回復させるための熱処理を行う熱処理工程と、
    を含むことを特徴とするシリコンウェーハの製造方法。
  4. 前記元素が炭素であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のシリコンウェーハの製造方法。
  5. 前記準備工程では、FZ(Floating−Zone)法で作製されたシリコンウェーハを準備することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のシリコンウェーハの製造方法。
  6. 前記熱処理工程では、酸素を含まない雰囲気中で熱処理を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のシリコンウェーハの製造方法。
  7. 前記イオン注入工程の実施後、前記熱処理工程の実施前におけるシリコンウェーハの表面上にエピタキシャル層を形成するエピタキシャル工程を含むことを特徴とする請求項2又は3に記載のシリコンウェーハの製造方法。
  8. 前記エピタキシャル工程では、20μm以上の厚さのエピタキシャル層を形成することを特徴とする請求項1又は7に記載のシリコンウェーハの製造方法。
JP2014081573A 2014-04-11 2014-04-11 シリコンウェーハの製造方法 Active JP6176593B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014081573A JP6176593B2 (ja) 2014-04-11 2014-04-11 シリコンウェーハの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014081573A JP6176593B2 (ja) 2014-04-11 2014-04-11 シリコンウェーハの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015204316A JP2015204316A (ja) 2015-11-16
JP6176593B2 true JP6176593B2 (ja) 2017-08-09

Family

ID=54597619

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014081573A Active JP6176593B2 (ja) 2014-04-11 2014-04-11 シリコンウェーハの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6176593B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6737066B2 (ja) * 2016-08-22 2020-08-05 株式会社Sumco エピタキシャルシリコンウェーハの製造方法、エピタキシャルシリコンウェーハ、及び固体撮像素子の製造方法
JP2018098266A (ja) * 2016-12-08 2018-06-21 キヤノン株式会社 光電変換装置、光電変換装置の製造方法およびカメラ
JP6852703B2 (ja) * 2018-03-16 2021-03-31 信越半導体株式会社 炭素濃度評価方法

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59188925A (ja) * 1983-04-12 1984-10-26 Toshiba Corp 半導体装置の製造方法
JPS6151930A (ja) * 1984-08-22 1986-03-14 Nec Corp 半導体装置の製造方法
JPH04130731A (ja) * 1990-09-21 1992-05-01 Hitachi Ltd 半導体集積回路装置の製造方法
JP2010034330A (ja) * 2008-07-29 2010-02-12 Sumco Corp エピタキシャルウェーハおよびその製造方法
DE112012002072B4 (de) * 2011-05-13 2023-11-16 Sumco Corp. Verfahren zur Herstellung eines epitaktischen Siliciumwafers, epitaktischer Siliciumwafer und Verfahren zur Herstellung einer Festkörperbildaufnahmevorrichtung
JP5621791B2 (ja) * 2012-01-11 2014-11-12 信越半導体株式会社 シリコン単結晶ウェーハの製造方法及び電子デバイス

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015204316A (ja) 2015-11-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20200203418A1 (en) Method of producing semiconductor epitaxial wafer, semiconductor epitaxial water, and method of producing solid-state image sensing device
TWI487007B (zh) 半導體磊晶晶圓的製造方法、半導體磊晶晶圓以及固態攝影元件的製造方法
CN107452603B (zh) 半导体外延晶片的制造方法、半导体外延晶片、以及固体摄像元件的制造方法
US20200127044A1 (en) Method for producing semiconductor epitaxial wafer, semiconductor epitaxial wafer, and method of producing solid-state image sensing device
US9576800B2 (en) Method of producing epitaxial silicon wafer, epitaxial silicon wafer, and method of producing solid-state image sensing device
USRE49657E1 (en) Epitaxial wafer manufacturing method and epitaxial wafer
US9397172B2 (en) Semiconductor epitaxial wafer
JP6107068B2 (ja) エピタキシャルシリコンウェーハの製造方法、エピタキシャルシリコンウェーハ、および固体撮像素子の製造方法
TWI611482B (zh) 半導體磊晶晶圓的製造方法及固體攝像元件的製造方法
JP6176593B2 (ja) シリコンウェーハの製造方法
JP6427946B2 (ja) エピタキシャルシリコンウェーハの製造方法、エピタキシャルシリコンウェーハ、および固体撮像素子の製造方法
JP2009164590A (ja) エピタキシャルウェーハ及びその製造方法
JP2009200231A (ja) エピタキシャルウェーハ及びその製造方法
JP6614066B2 (ja) シリコン接合ウェーハの製造方法
TWI683350B (zh) 半導體磊晶晶圓之製造方法以及半導體元件的製造方法
JP6280301B2 (ja) エピタキシャルシリコンウェーハの製造方法、エピタキシャルシリコンウェーハ、および固体撮像素子の製造方法
TW201908543A (zh) 半導體磊晶晶圓及其製造方法以及固體攝影元件的製造方法
JP6791293B2 (ja) エピタキシャルシリコンウェーハの製造方法
JP6361779B2 (ja) エピタキシャルシリコンウェーハの製造方法、エピタキシャルシリコンウェーハ、および固体撮像素子の製造方法
JP2009252759A (ja) 半導体デバイス用シリコン単結晶ウェーハ及びその作製法
JP6065279B2 (ja) 半導体デバイスの製造方法
JP6318728B2 (ja) 半導体エピタキシャルウェーハの製造方法、半導体エピタキシャルウェーハ、および固体撮像素子の製造方法
JPWO2019167901A1 (ja) エピタキシャルシリコンウェーハの製造方法およびエピタキシャルシリコンウェーハ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160418

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170126

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170126

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170303

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170404

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170619

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6176593

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170702

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250