JP6427946B2 - エピタキシャルシリコンウェーハの製造方法、エピタキシャルシリコンウェーハ、および固体撮像素子の製造方法 - Google Patents

エピタキシャルシリコンウェーハの製造方法、エピタキシャルシリコンウェーハ、および固体撮像素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、エピタキシャルシリコンウェーハの製造方法、エピタキシャルシリコンウェーハ、および固体撮像素子の製造方法に関する。
半導体デバイスの特性を劣化させる要因として、金属汚染が挙げられる。例えば、裏面照射型固体撮像素子において、この素子の基板となるエピタキシャルシリコンウェーハに混入した金属は、固体撮像素子の暗電流を増加させる要因となり、白傷欠陥と呼ばれる欠陥を生じさせる。裏面照射型固体撮像素子は、配線層などをセンサー部よりも下層に配置することで、外からの光をセンサーに直接取り込み、暗所などでもより鮮明な画像や動画を撮影することができるため、近年、デジタルビデオカメラやスマートフォンなどの携帯電話に広く用いられている。そのため、白傷欠陥を極力減らすことが望まれている。
ウェーハへの金属の混入は、主にエピタキシャルシリコンウェーハの製造工程および固体撮像素子の製造工程(デバイス製造工程)において生じる。前者のエピタキシャルシリコンウェーハの製造工程における金属汚染は、エピタキシャル成長炉の構成材からの重金属パーティクルによるもの、あるいは、エピタキシャル成長時の炉内ガスとして塩素系ガスを用いるために、その配管材料が金属腐食して発生する重金属パーティクルによるものなどが考えられる。近年、これら金属汚染は、エピタキシャル成長炉の構成材を耐腐食性に優れた材料に交換するなどにより、ある程度は改善されてきているが、十分ではない。一方、後者の固体撮像素子の製造工程では、イオン注入、拡散および酸化熱処理などの各処理中に、素子基板への重金属汚染の発生が懸念される。
このような重金属汚染を抑制するために、重金属を捕獲するためのゲッタリングサイトをシリコンウェーハ中に形成する技術がある。その方法の一つとして、シリコンウェーハの表面からイオンを注入し、その後、注入側の表面上にエピタキシャル層を形成する方法が知られている。この方法では、イオン注入領域がゲッタリングサイトとして機能する。
本願出願人は特許文献1にて、シリコンウェーハの表面にクラスターイオンを照射して、該シリコンウェーハの表層部に、前記クラスターイオンの構成元素が固溶した改質層を形成する第1工程と、前記シリコンウェーハの改質層上にエピタキシャル層を形成する第2工程と、を有するエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法を提案している。
また、シリコンウェーハの内部に結晶欠陥である酸素析出物(シリコン酸化物析出物の通称であり、以下、BMD:Bulk Micro Defectという。)を形成し、BMDをゲッタリングサイトとして機能させることも知られている(例えば特許文献2)。
国際公開第2012/157162号 特開2002−324802号公報
特許文献1に記載されたクラスターイオン技術を用いることによって、従来のモノマーイオン(シングルイオン)注入法に比べて、極めて優れたゲッタリング能力を有するエピタキシャルシリコンウェーハを得ることができる。ここで、特許文献1における改質層によるゲッタリング能力をより高めるには、例えばクラスターイオンのドーズ量を多くすることが有効である。しかしながら、ドーズ量を多くしすぎると、その後に形成するエピタキシャル層にエピタキシャル欠陥が多数発生してしまうため、ドーズ量増加には限界があった。そのため、より優れたゲッタリング能力を有し、かつ、エピタキシャル欠陥の発生を抑制したエピタキシャルウェーハの提供が求められている。
そこで本発明は、上記諸課題に鑑み、より優れたゲッタリング能力を有し、かつ、エピタキシャル欠陥の発生を抑制することのできるエピタキシャルシリコンウェーハおよびその製造方法、ならびに、このエピタキシャルシリコンウェーハから固体撮像素子を形成する固体撮像素子の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、更なる検討によって以下の知見を得た。まず、本発明者らはクラスターイオン照射に先立ち、シリコンウェーハに非酸化性雰囲気で熱処理を行って、シリコンウェーハの表層部に無欠陥層を形成すると共に、シリコンウェーハ内部におけるBMDの形成を促進させることにより、エピタキシャルシリコンウェーハのゲッタリング能力をより高めることに着目した。本発明者らの実験によると、BMDの形成により、エピタキシャルシリコンウェーハのゲッタリング能力が向上することが確認された。さらに、本発明者らの予期せぬことに、シリコンウェーハの表層部に無欠陥層を形成すれば、クラスターイオンのドーズ量をエピタキシャル欠陥の発生が不可避と考えられる範囲まで増大させても、エピタキシャル欠陥の発生を抑制することができることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
本発明のエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法は、シリコンウェーハに非酸化性雰囲気で熱処理を行って、前記シリコンウェーハの表層部に無欠陥層を形成する無欠陥層形成工程と、前記シリコンウェーハの前記無欠陥層側の表面にクラスターイオンを照射するクラスターイオン照射工程と、前記照射工程を経たシリコンウェーハの前記照射側の表面に、エピタキシャル層を形成するエピタキシャル層形成工程と、を有することを特徴とする。
ここで、本発明における「無欠陥層」とは、下記(1)〜(3)の条件を満たす層である。すなわち、(1)無欠陥層形成後のシリコンウェーハに対して、表面欠陥装置(KLA−Tencor社製:Surfscan SP−1)を用いて観察評価したときに、COP(Crystal Originated Particle)が観察されないこと、(2)as−grown状態(結晶成長後に熱処理を行っていない状態)では酸素析出物が観察されないこと、(3)無欠陥層における酸素濃度が1×1017atoms/cm未満(ASTM F121−1979)であること、である。
なお、上記「COPが観察されない」とは、以下に説明する観察評価により、COPが検出されないことを意味するものとする。すなわち、まず、CZ法により育成された単結晶シリコンインゴットから切り出し加工されたシリコンウェーハに対して、後述の無欠陥層形成を行い、その後SC−1洗浄(すなわち、アンモニア水と過酸化水素水と超純水とを1:1:15で混合した混合液による洗浄)を行い、洗浄後のシリコンウェーハ表面を、表面欠陥検査装置としてSP−1を用いて観察評価し、表面ピットと推定される輝点欠陥(LPD:Light Point Defect)を特定する。その際、観察モードはObliqueモード(斜め入射モード)とし、表面ピットの推定は、Wide Narrowチャンネルの検出サイズ比に基づいて行うものとする。こうして特定されたLPDに対して、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)を用いて、COPか否かを評価する。この観察評価により、COPが観察されなければ、「COPが観察されない」とする。なお、SP−1のメーカー保証の検出限界サイズは85nmであるため、この検出限界サイズよりも小さなCOPが存在することを否定するものではない。
ここで、前記無欠陥層形成工程において、前記非酸化性雰囲気はアルゴンおよび/または水素であり、熱処理温度1100℃以上1300℃以下にて、1分以上5時間以下の熱処理を行い、1μm以上10μm以下の前記無欠陥層を形成することが好ましい。
さらに、前記無欠陥層形成工程を行う前の前記シリコンウェーハの酸素濃度が8×1017atoms/cm以上18×1017atoms/cm以下であることが好ましい。
また、前記無欠陥層形成工程と、前記エピタキシャル層形成工程との間に、前記シリコンウェーハの表面に、ドーパント元素からなるモノマーイオンを注入するモノマーイオン注入工程をさらに有し、前記クラスターイオン照射工程において、前記シリコンウェーハの表面から該ウェーハの厚み方向の深さが150nmまでの範囲に、前記クラスターイオンの構成元素の濃度プロファイルのピークを定めて照射を行い、前記モノマーイオン注入工程において、前記シリコンウェーハの表面から該ウェーハの厚み方向に300nm以上離間した位置に、前記ドーパント元素の濃度プロファイルのピークを定めて注入を行うことが好ましい。
この場合、前記ドーパント元素がボロンであることが好ましい。
また、前記クラスターイオンが、構成元素として炭素を含むことが好ましく、構成元素として炭素を含む2種以上の元素を含むことがより好ましい。
また、前記クラスターイオン照射工程では、前記クラスターイオンの加速電圧100keV/Cluster以下、ドーズ量1×1016atoms/cm以下の条件で照射することが好ましく、前記モノマーイオン注入工程では、前記モノマーイオンの加速電圧500keV/atom以下、ドーズ量1×1016atoms/cm以下で注入することが好ましい。
また、本発明のエピタキシャルシリコンウェーハは、シリコンウェーハの表面上にエピタキシャル層が形成されたエピタキシャルシリコンウェーハであって、前記シリコンウェーハは、前記エピタキシャル層側の表層部における無欠陥層と、該無欠陥層内に所定元素が固溶した第1固溶領域とを有し、前記第1固溶領域における前記所定元素のウェーハ厚み方向の濃度プロファイルは、半値幅が100nm以下、かつ、前記シリコンウェーハの表面から該ウェーハの厚み方向の深さが150nmまでの範囲にピークを有することを特徴とする。
ここで、前記シリコンウェーハの前記無欠陥層以外の領域におけるBMDの密度が1×10個/cm以上であることが好ましい。
ここで、前記無欠陥層の厚みが1μm以上10μm以下であることが好ましい。
また、前記シリコンウェーハは、前記表層部にドーパント元素が固溶した第2固溶領域をさらに有し、前記第2固溶領域における前記ドーパント元素のウェーハの厚み方向の濃度プロファイルは、前記シリコンウェーハの表面から300nm以上離間した位置にピークを有することがより好ましい。
ここで、前記ドーパント元素がボロンであることがより好ましい。
また、前記所定元素が炭素を含むことが好ましく、前記所定元素が炭素を含む2種以上の元素を含むことがより好ましい。
また、本発明の固体撮像素子の製造方法は、上記いずれか1つの製造方法で製造されたエピタキシャルシリコンウェーハまたは上記いずれか1つのエピタキシャルシリコンウェーハの、前記エピタキシャル層に、固体撮像素子を形成することを特徴とする。
本発明によれば、無欠陥層を形成したシリコンウェーハにクラスターイオンを照射したので、より優れたゲッタリング能力を有し、かつ、エピタキシャル欠陥の発生を抑制することのできるエピタキシャルシリコンウェーハおよびその製造方法を提供することができる。また、このエピタキシャルシリコンウェーハから固体撮像素子を形成する固体撮像素子の製造方法を提供することもできる。
本発明の第1実施形態によるエピタキシャルシリコンウェーハ100の製造方法を説明する摸式断面図である。 (A)はクラスターイオンを照射する場合の照射メカニズムを説明する模式図、(B)はモノマーイオンを注入する場合の注入メカニズムを説明する模式図である。 本発明の第2実施形態によるエピタキシャルシリコンウェーハ100の製造方法を説明する摸式断面図である。 本発明の第3実施形態によるエピタキシャルシリコンウェーハ100の製造方法を説明する摸式断面図である。 実施例1−1〜1−4および比較例1−1〜1−4におけるエピタキシャルウェーハのエピタキシャル欠陥数を示すグラフである。 Niに対するゲッタリング能力を比較したグラフであり、(A)は実施例2−1における濃度プロファイルであり、(B)は実施例2−2における濃度プロファイルであり、(C)は実施例2−3における濃度プロファイルであり、(D)は実施例2−4における濃度プロファイルである。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、同一の構成要素には原則として同一の参照番号を付して、説明を省略する。また、図3,4では説明の便宜上、第1固溶領域18(18′)および第2固溶領域19(19′)のピークの存在位置を模式的に示しており、第1固溶領域と第2固溶領域との混在領域が存在することの排除を意図しない。また、無欠陥層11,第1固溶領域18(18′),第2固溶領域19(19′)およびエピタキシャル層20の厚さについても、実際の厚さの割合と異なり誇張して示す。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるエピタキシャルシリコンウェーハ100の製造方法は、図1に示すように、シリコンウェーハ10に非酸化性雰囲気で熱処理を行って、シリコンウェーハ10の表層部に無欠陥層11を形成する無欠陥層形成工程(図1(A),(B))と、該無欠陥層形成工程の後、シリコンウェーハ10の無欠陥層11側の表面10Aにクラスターイオン16を照射するクラスターイオン照射工程(図1(C)〜(D))と、上記照射工程を経たシリコンウェーハ10の照射側の表面10Aに、エピタキシャル層20を形成する工程(図1(E))と、を有する。図1(E)は、この製造方法によって得られたエピタキシャルシリコンウェーハ100の模式断面図である。なお、エピタキシャル層20は、裏面照射型固体撮像素子等の半導体素子を製造するためのデバイス層となる。以下、各工程の詳細を順に説明する。
まず、図1(A)に示すように、シリコンウェーハ10を用意する。シリコンウェーハ10としては、特に裏面照射型固体撮像素子を製造する場合、その表面10Aにエピタキシャル層を有しないバルクの単結晶ウェーハを用いることが一般的である。また、シリコンウェーハ10は、チョクラルスキ法(CZ法)や浮遊帯域溶融法(FZ法)により育成された単結晶シリコンインゴットをワイヤーソー等でスライスしたシリコンウェーハを使用することができる。また、より優れたゲッタリング能力を得るために、シリコンウェーハ10に炭素および/または窒素を添加してもよい。さらに、シリコンウェーハ10に任意のドーパントを所定濃度添加して、いわゆるn+型もしくはp+型、またはn−型もしくはp−型の基板としてもよい。
かかるシリコンウェーハ10に対して、非酸化性雰囲気で熱処理を行って、シリコンウェーハ10の表層部に無欠陥層11を形成する無欠陥層形成工程を施す(図1(B))。この熱処理は、シリコンウェーハ10の表層部に既述の無欠陥層11を形成する熱処理であれば、任意の手法を用いることができる。なお、無欠陥層11を形成するための非酸化性雰囲気下の熱処理を行うことにより、シリコンウェーハ10の表層部の酸素が外方(シリコンウェーハ10の外部)に拡散され、シリコンウェーハ10中心部の酸素濃度よりも酸素濃度が低下した無欠陥層11がシリコンウェーハ10の表層部に形成される。ここで、無欠陥層形成工程における熱処理としては、シリコンウェーハ10に対して、熱処理温度1100℃以上1300℃以下にて、1分以上5時間以下の熱処理を行い、1μm以上10μm以下の無欠陥層を形成することが好ましい。なお、無欠陥層の厚みはクラスターイオン16の構成元素が固溶する領域が無欠陥層であればよいため、必要以上に厚く形成する必要はないため、例えば1μm〜5μm、さらには1μm〜3μmとすれば、製造効率を向上することができ、好ましい。また、シリコンウェーハ10内部のBMDを確実に形成するために、800℃以上1000℃以下の温度範囲における昇降温レートを0.1℃/分以上20℃/分とすることも好ましい。
この無欠陥層形成工程における具体的な熱処理として、例えば、縦型熱処理炉や横型熱処理炉を用いて、シリコンウェーハ10に対して、1100〜1300℃の温度範囲で1〜5時間の熱処理を施すことにより行うことができる。この場合、熱処理中のガス雰囲気は、上述のとおり非酸化性雰囲気であり、例えば水素ガス雰囲気およびアルゴンガス雰囲気、またはこれらの混合ガス雰囲気で行うことが好ましい。この熱処理方法であれば、複数枚のシリコンウェーハを一度に処理できるため、生産性に優れる。
また、上述の高温長時間の熱処理に替えて、急速昇降温熱処理(RTA:Rapid Thermal Anneal)により、無欠陥層11を形成する熱処理を行うこともできる。ランプアニールとも呼ばれるこのRTA処理は、非常に短時間でシリコンウェーハ表層部の酸素を外方拡散(シリコンウェーハ外部に拡散)させて、無欠陥層11を形成することができる。RTA処理の条件としては、1100〜1300℃,10分以下であることが好ましい。1100℃よりも低い温度では、シリコンウェーハ表層部に十分な無欠陥層11を形成することが困難となる。1300℃超であると、熱処理時にシリコンウェーハにスリップ転位が発生してしまい、デバイス特性に支障をきたす恐れがある。熱処理中のガス雰囲気としては、上述の高温長時間の熱処理と同様に、非酸化性雰囲気ガスであり、水素ガス雰囲気およびアルゴンガス雰囲気またはこれらの混合ガス雰囲気で行うことが好ましい。
なお、上述の無欠陥層形成工程において形成される無欠陥層層11は、表面10Aの反対側の面の表層部にも形成される場合があるが、表面10Aの反対側の酸素外方拡散層の記載を説明の便宜上省略し、無欠陥層層11側の表面10Aに後述のクラスターイオン照射工程を施すものとする。また、無欠陥層形成熱処理によって、シリコンウェーハ10の両面の表層部に無欠陥層が形成される場合は、少なくとも片面にクラスターイオン16を照射すればよく、また両面にクラスターイオン16を照射してもよい。
ここで、上記無欠陥層形成工程を行う前のシリコンウェーハ10の酸素濃度は、8×1017〜18×1017atoms/cm(ASTM F121−1979)であることが好ましく、10×1017〜16×1017atoms/cm(ASTM F121−1979)であることがより好ましい。シリコンウェーハ10の酸素濃度が18×1017atoms/cm超であると、酸素濃度が高すぎるために、酸素析出過多によりシリコンウェーハそのものの強度低下を招く。その結果、デバイス熱処理工程においてシリコンウェーハの反りやスリップの発生などの問題を生じる恐れがある。一方、シリコンウェーハ10の酸素濃度が8×1017atoms/cm以上であれば、後述するクラスターイオン照射によるゲッタリング能力に加えて、BMDによるイントリンシックゲッタリング(IG)能力を備えることができる。
なお、酸素濃度が8×1017〜18×1017atoms/cm(ASTM F121−1979)であるシリコンウェーハ10は、一般的なCZ法を用いて得たシリコン単結晶インゴットをワイヤーソー等でスライスして作製することができる。一般的なCZ法により得られる低酸素単結晶シリコンインゴットの酸素濃度は3×1017atoms/cm以上であり、この濃度範囲のシリコンウェーハを常法に従い作製することができる。なお、酸素濃度の調整はシリコン単結晶インゴット育成時に設定するルツボ回転速度、チャンバー内の圧力やArガス流量などを調整することにより制御することができる。
次に、図1(C)に示すように、シリコンウェーハ10の無欠陥層11側の表面10Aにクラスターイオン照射を行う。クラスターイオン16を照射した結果、クラスターイオン16の構成元素が固溶した第1固溶領域18が形成される(図1(C))。この第1固溶領域18は、クラスターイオン16の構成元素がシリコンウェーハ10の表層部の結晶の格子間位置または置換位置に固溶して局所的に存在する領域であり、ゲッタリングサイトとして働く。その理由は、以下のように推測される。すなわち、クラスターイオンの形態で照射された炭素等の構成元素は、シリコン単結晶の置換位置・格子間位置に高密度で局在する。そして、シリコン単結晶の平衡濃度以上にまで炭素等を固溶すると、重金属の固溶度(遷移金属の飽和溶解度)が極めて増加することが実験的に確認された。つまり、平衡濃度以上にまで固溶した炭素等により重金属の固溶度が増加し、これにより重金属に対する捕獲率が顕著に増加したものと考えられる。
なお、本明細書において「クラスターイオン」とは、原子または分子が複数集合して塊となったクラスターに正電荷または負電荷を与え、イオン化したものを意味する。クラスターは、複数(通常2〜2000個程度)の原子または分子が互いに結合した塊状の集団である。
ここで、クラスターイオン16を照射する場合と、後述するモノマーイオン17を注入する場合との固溶の相違を予め説明する。
シリコンウェーハ10に、例えばボロン(B)のモノマーイオン17を注入する場合、図2(B)に示すように、モノマーイオン17は、シリコンウェーハ10を構成するシリコン原子を弾き飛ばし、シリコンウェーハ10中の所定深さ位置に注入されることによりボロンが固溶した第2固溶領域19が形成される。モノマーイオンの飛程距離、すなわち注入深さは、注入イオンの構成元素の種類およびイオンの加速電圧に依存するが、シリコンウェーハ10の厚み方向におけるボロンの濃度プロファイルは、クラスターイオン照射の場合に比べて比較的ブロードになり、注入されたボロンの存在領域は概ね0.5〜1μm程度の厚みとなる。
一方、シリコンウェーハ10に、例えば炭素を含むクラスターイオンを照射する場合、図2(A)に示すように、クラスターイオン16は、シリコンウェーハ10に照射されるとそのエネルギーで瞬間的に1350〜1400℃程度の高温状態となり、シリコンが融解する。その後、シリコンは急速に冷却され、シリコンウェーハ10中の表層近傍に炭素を含むクラスターイオン16の構成元素が固溶する。シリコンウェーハ10の厚み方向におけるクラスターイオンの構成元素の濃度プロファイルは、クラスターイオンの加速電圧およびクラスターサイズに依存するが、モノマーイオンの場合に比べてシャープになる。照射された炭素等の構成元素が局所的に存在する領域(すなわち、第1固溶領域18)の厚みは、概ね500nm以下(例えば50〜400nm程度)となり、シリコンウェーハの表面から厚み方向の深さが150nmまでの範囲に、炭素等の構成元素の濃度プロファイルのピーク(あるいは極大値)が位置する。
なお、クラスターイオン照射およびモノマーイオン注入の形態で固溶した元素は、いずれも詳細を後述するエピタキシャル層20の形成過程で多少の熱拡散は起こる。このため、エピタキシャル層20形成後のイオン構成元素の濃度プロファイルは、これらの元素がエピタキシャル層20形成前から存在するピークの両側に、ブロードな拡散領域として形成される。しかし、熱拡散した後でも、第1固溶領域18′および後述する第2固溶領域19′の濃度ピーク(あるいは極大値)の位置は、シリコンウェーハ表面からは変化しない。また、エピタキシャル層20形成後の第1固溶領域18′においてクラスターイオン16の構成元素が局所的に存在する領域の厚みは大きく変化せず、濃度プロファイルの半値幅は100nm以下となる(実施例において詳細を後述する図6を参照)。このように、クラスターイオン照射の場合、クラスターイオン構成元素の析出領域を局所的にかつ高濃度にすることができる。
なお、第1固溶領域18はシリコンウェーハ10の表面10A側の最表層近傍、すなわち後に形成されるエピタキシャル層20の直下に位置するため、近接ゲッタリングが可能となる。また、クラスターイオンの形態であれば、複数種のイオンを同時に照射することもできる。
以上の無欠陥層形成工程およびクラスター照射工程を経たシリコンウェーハ10の表面10Aに、図1(E)に示すようにエピタキシャル層20を形成することで、エピタキシャルシリコンウェーハ100が作製される。なお、エピタキシャル層20形成前のシリコンウェーハ10中の第1固溶領域18は、エピタキシャル層20の形成時の熱拡散により第1固溶領域18′となる。
ここで、エピタキシャル層20は、一般的な条件により形成することができる。例えば、水素をキャリアガスとして、ジクロロシラン、トリクロロシランなどのソースガスをチャンバー内に導入し、使用するソースガスによっても成長温度は異なるが、概ね1000〜1200℃の範囲の温度でCVD法によりシリコンウェーハ10上にエピタキシャル成長させることができる。エピタキシャル層20は、厚さを1〜15μmの範囲内とすることが好ましい。1μm未満の場合、シリコンウェーハ10からのドーパントの外方拡散によりエピタキシャル層18の抵抗率が変化してしまう可能性があり、また、15μm超えの場合、固体撮像素子の分光感度特性に影響が生じるおそれがあるからである。
かようにして、より優れたゲッタリング能力を有し、かつ、エピタキシャル欠陥の発生を抑制したエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法を提供することができる。また、このエピタキシャルシリコンウェーハは、シリコンウェーハ10からエピタキシャル層20への酸素拡散を低減することもできる。
なお、エピタキシャルシリコンウェーハ100のエピタキシャル欠陥発生の有無は種々の方法により観察することができる。例えば、Surfscan SP1(KLA−Tencor社製)にてNormalモードにてサンプルウェーハを測定し、LPD−Nとして一定数以上カウントされた場合に、エピタキシャル欠陥が発生したとすることができる。
ここで、無欠陥層11を形成した後にクラスターイオン16を照射する場合と、無欠陥層11を形成せずにクラスターイオン16を照射する場合とを比べた場合に、実施例において後述するように、エピタキシャル欠陥が発生するドーズ量の上限に顕著な改善が見られることが実験的に明らかとなった。本発明は理論に縛られるものではなく、また、その理由が明らかとなったわけではないが、本発明者らは現在のところ、以下のように考えている。
すなわち、無欠陥層11を形成せずにクラスターイオン16を照射した場合には、クラスターイオン16の照射のドーズ量を高めるほど、ウェーハ表層部に存在するCOPの内壁酸化膜へのイオン衝突が増加し、内壁酸化膜を起点としたダメージの発生が増加してしまうため、エピタキシャル欠陥が増加するものと考えられる。無欠陥層11を形成した後にクラスターイオン16を照射した場合には、クラスターイオン16を照射する領域にはCOPが存在しないため、ドーズ量を高めてもウェーハ表層部におけるダメージ量を小さくできるのでエピタキシャル欠陥の発生を抑制できるものと推測される。
以下、本発明におけるクラスターイオン16の照射条件について説明する。まず、照射するクラスターイオン16の構成元素は特に限定されず、炭素、ボロン、リン、ヒ素などを挙げることができる。しかし、より高いゲッタリング能力を得る観点から、クラスターイオン16が、構成元素として炭素を含むことが好ましい。格子位置の炭素原子は共有結合半径がシリコン単結晶と比較して小さいために、シリコン結晶格子の収縮場が形成されるため、格子間の不純物を引き付けるゲッタリング能力が高いからでる。
また、照射元素は炭素を含む2種以上の元素であることがより好ましい。特に、炭素に加えて、ボロン、リン、ヒ素およびアンチモンからなる群より選択された1または2以上のドーパント元素を照射することが好ましい。固溶する元素の種類により効率的にゲッタリング可能な金属の種類が異なるため、2種以上の元素を固溶させることにより、より幅広い金属汚染に対応できるからである。例えば、炭素の場合、ニッケル(Ni)を効率的にゲッタリングすることができ、ボロンの場合、銅(Cu)、鉄(Fe)を効率的にゲッタリングすることができる。
なお、イオン化させる化合物も特に限定されないが、イオン化が可能な炭素源化合物としては、エタン、メタン、二酸化炭素(CO)などを用いることができ、イオン化が可能なボロン源化合物としては、ジボラン、デカボラン(B1014)などを用いることができる。例えば、ジベンジルとデカボランを混合したガスを材料ガスとした場合、炭素、ボロンおよび水素が集合した水素化合物クラスターを生成することができる。また、シクロヘキサン(C12)を材料ガスとすれば、炭素および水素からなるクラスターイオンを生成することができる。炭素源化合物としては特に、ピレン(C1610)、ジベンジル(C1414)などより生成したクラスターC(3≦n≦16,3≦m≦10)を用いることが好ましい。小サイズのクラスターイオンビームを制御し易いためである。
イオン化させる化合物としては、炭素および上記ドーパント元素の両方を含む化合物とすることも好ましい。このような化合物をクラスターイオンとして照射すれば、1回の照射で炭素およびドーパント元素の両方を固溶させることができるからである。
クラスターサイズは2〜100個、好ましくは60個以下、より好ましくは50個以下で適宜設定することができる。クラスターサイズの調整は、ノズルから噴出されるガスのガス圧力および真空容器の圧力、イオン化する際のフィラメントへ印加する電圧などを調整することにより行うことができる。なお、クラスターサイズは、四重極高周波電界による質量分析またはタイムオブフライト質量分析によりクラスター個数分布を求め、クラスター個数の平均値をとることにより求めることができる。
なお、クラスターイオンは結合様式によって多種のクラスターが存在し、例えば以下の文献に記載されるような公知の方法で生成することができる。ガスクラスタービームの生成法として、(1)特開平9−41138号公報、(2)特開平4−354865号公報、イオンビームの生成法として、(1)荷電粒子ビーム工学:石川順三:ISBN978−4−339−00734−3:コロナ社、(2)電子・イオンビーム工学:電気学会:ISBN4−88686−217−9:オーム社、(3)クラスターイオンビーム基礎と応用:ISBN4−526−05765−7:日刊工業新聞社。また、一般的に、正電荷のクラスターイオンの発生にはニールセン型イオン源あるいはカウフマン型イオン源が用いられ、負電荷のクラスターイオンの発生には体積生成法を用いた大電流負イオン源が用いられる。
クラスターイオンの加速電圧は、クラスターサイズとともに、第1固溶領域18における構成元素の厚み方向の濃度プロファイルのピーク位置に影響を与える。シリコンウェーハ10の表面10Aからシリコンウェーハ10の厚み方向の深さが150nmまでの範囲に、例えば炭素元素の濃度プロファイルのピークを定めるクラスターイオン照射を行うには、炭素1原子あたりの加速電圧を、0keV/atom超え50keV/atom以下とし、好ましくは、40keV/atom以下とする。なお、加速電圧の調整には、(1)静電加速、(2)高周波加速の2方法が一般的に用いられる。前者の方法としては、複数の電極を等間隔に並べ、それらの間に等しい電圧を印加して、軸方向に等加速電界を作る方法がある。後者の方法としては、イオンを直線状に走らせながら高周波を用いて加速する線形ライナック法がある。
クラスターイオンのドーズ量は、イオン照射時間を制御することにより調整することができる。十分なゲッタリング能力を得つつ、エピタキシャル欠陥の発生を抑制するためには、ドーズ量は1×1013atoms/cm以上1×1016atoms/cm以下とすることが好ましく、5×1013atoms/cm以上5×1015atoms/cm以下とすることがより好ましい。
これまで、上述の無欠陥層形成工程と、クラスターイオン照射工程と、エピタキシャル層形成工程とを有する実施形態について説明してきた。ここで、本発明において、よりゲッタリング能力を向上するために、上述の無欠陥層形成工程と、エピタキシャル層形成工程との間に、シリコンウェーハ10の表面10Aに、ドーパント元素からなるモノマーイオン17を注入するモノマーイオン注入工程をさらに有することが好ましい。以下、この実施形態のうち、クラスター照射工程を行った後、モノマーイオン注入工程を行う本発明の第2実施形態と、モノマーイオン注入工程を行った後、クラスターイオン照射工程を行う第3実施形態とを順に説明する。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態によるエピタキシャルシリコンウェーハ100の製造方法は、図3に示すように、シリコンウェーハ10に非酸化性雰囲気で熱処理を行って、前記シリコンウェーハの表層部に無欠陥層11を形成する無欠陥層形成工程(図3(A),(B))と、シリコンウェーハ10の無欠陥層11側の表面10Aにクラスターイオン16を照射するクラスターイオン照射工程(図3(C)〜(D))と、シリコンウェーハ10の無欠陥層11側の表面10Aに、ドーパント元素からなるモノマーイオン17を注入するモノマーイオン注入工程(図3(E),(F))と、上記照射工程および上記注入工程を経たシリコンウェーハ10の照射および注入側の表面10Aに、エピタキシャル層20を形成する工程(図3(G))と、を有する。図3(G)は、この製造方法によって得られたエピタキシャルシリコンウェーハ100の模式断面図である。なお、エピタキシャル層20は、裏面照射型固体撮像素子等の半導体素子を製造するためのデバイス層となる。
無欠陥層11を形成する無欠陥層形成工程と、クラスターイオン16を照射するクラスターイオン照射工程と、エピタキシャル層形成工程とは、既述の第1実施形態と同様であり、重複する内容についてはその説明を省略する。
無欠陥層形成工程およびクラスターイオン注入工程の後、図3(E)に示すように、シリコンウェーハ10の表面10Aにモノマーイオン注入を行う。ドーパント元素からなるモノマーイオン17を注入した結果、ドーパント元素が固溶した第2固溶領域19が形成される(図3(F))。この第2固溶領域19は、図2(B)を用いて既述したとおり、モノマーイオン17の構成元素がシリコンウェーハ10の表層部の結晶の格子間位置または置換位置に固溶した領域であり、第1固溶領域18と同様にゲッタリングサイトとして働き、エピタキシャルウェーハ100のゲッタリング能力をより向上することができる。なお、エピタキシャル層20形成前のシリコンウェーハ10中の第1固溶領域18および第2固溶領域19は、エピタキシャル層20の形成時の熱拡散により、それぞれ第1固溶領域18′、第2固溶領域19′となる。第2固溶領域19′がエピタキシャルウェーハ100の更なるゲッタリングサイトとして機能するため、エピタキシャルウェーハ100は、より優れたゲッタリング能力を有することができる。
ここで、本実施形態においては、クラスターイオン照射工程において、シリコンウェーハ10の表面10Aから該ウェーハの厚み方向の深さが150nmまでの範囲に、クラスターイオン16の構成元素の濃度プロファイルのピークを定めて照射を行い、シリコンウェーハ10の表面10Aからシリコンウェーハ10の厚み方向に300nm以上離間した位置に、ドーパント元素の濃度プロファイルのピークを定める注入を行うことがより好ましい。このような構成を採用することの技術的意義を、作用効果を含めて以下に説明する。
本発明者らは、より優れたゲッタリング能力を有するエピタキシャルシリコンウェーハ100を得るために、クラスターイオン照射に加えてドーパント元素からなるモノマーイオンをさらに注入することを検討した。本発明者らの実験によると、エピタキシャル層20を形成したエピタキシャルシリコンウェーハ100において、モノマーイオンの飛程距離をクラスターイオンの飛程距離と同程度として局所的に固溶させることに比べて、モノマーイオンの飛程距離(すなわちイオン注入深さ)を、クラスターイオンの飛程距離(すなわちイオン照射深さ)よりもウェーハ厚み方向に離間し、特にモノマーイオンの飛程距離をシリコンウェーハの表面10Aからシリコンウェーハ10の厚み方向に300nm以上離間させると、ゲッタリング能力をより向上できることが実験的に明らかとなった。その理由は明らかではないが、本発明者らは以下のように考えている。
モノマーイオンの飛程距離を、シリコンウェーハ10の表面10Aから厚み方向に300nm以上離間させることで、第2固溶領域19′の厚み幅を広げることができることが実験的に確認された(後述する図6を参照)。ここで、第1固溶領域18′を除く第2固溶領域19′は、第1固溶領域18′で捕獲しきれなかった重金属を捕獲するゲッタリングサイトとして働くため、第2固溶領域19′の厚み幅が広がると、エピタキシャルシリコンウェーハ全体としてのゲッタリング能力が向上することとなる。ただし、モノマーイオンの飛程距離をシリコンウェーハ10Aの表面10Aから離間させすぎると(換言すれば、クラスターイオンの飛程距離から離間させすぎると)、モノマーイオン注入により形成されるゲッタリングサイトがエピタキシャルシリコンウェーハの表面から遠ざかることになる。したがって、エピタキシャル層20直下での近接ゲッタリング効果を確実に得るためには、シリコンウェーハ10の表面10Aからウェーハ厚み方向の深さが1500nmまでの範囲に、モノマーイオン17の構成元素の濃度プロファイルのピークを定めて照射を行うことが好ましく、1000nmまでの範囲であることがより好ましい。なお、モノマーイオンの飛程距離が浅く、濃度プロファイルのピークがウェーハの表面から300nm未満であると、ウェーハ表面におけるモノマーイオンによる注入ダメージの影響を大きく受けることとなり、照射および注入ドーズ量次第では、エピタキシャル欠陥が発生する原因ともなりうる。
ここで、モノマーイオン17の構成元素は、ボロン(B)、リン(P)、ヒ素(As)およびアンチモン(Sb)からなる群より選択された1または2以上のドーパント元素からなり、このドーパント元素はボロンであることがより好ましい。例えばボロンをモノマーイオン注入することにより、クラスターイオン照射により形成されたゲッタリングサイトである第1固溶領域において、鉄(Fe)などの拡散速度の遅い金属元素に対するゲッタリング効果をより向上することができ、その結果近接ゲッタリング効果を向上することもできる。
なお、本発明においては、上記モノマーイオン注入工程の後、シリコンウェーハ10に対して結晶性回復のための回復熱処理を行うことが好ましい。その理由をシリコンウェーハに照射および注入する場合を例として以下に説明する。
まず、クラスターイオン16は一般的に10〜100keV/Cluster程度の加速電圧で照射するが、クラスターは複数の原子または分子の集合体であるため、1原子または1分子あたりのエネルギーを小さくして打ち込むことができ、シリコンウェーハの結晶へ与えるダメージは小さい。そのため、後述するエピタキシャル層20を形成するためのエピタキシャル装置内で、エピタキシャル成長に先立ち行われる水素ベーク処理によって、シリコンウェーハの結晶性を十分回復させることができる。なお、水素ベーク処理の一般的な条件は、エピタキシャル成長装置内を水素雰囲気とし、600℃以上900℃以下の炉内温度でシリコンウェーハを炉内に投入し、1℃/秒以上15℃/秒以下の昇温レートで1100℃以上1200℃以下の温度範囲にまで昇温させ、その温度で30秒以上1分以下の間保持するものである。この水素ベーク処理は、本来はエピタキシャル層成長前の洗浄処理によりウェーハ表面に形成された自然酸化膜を除去するためのものであるが、上記条件の水素ベークによりシリコンウェーハの結晶性を十分回復させることができる。もちろん、エピタキシャル装置とは別個の熱処理装置を用いて回復熱処理を行ってもよい。
一方、モノマーイオン17はクラスターイオン16と異なり、各イオンが加速電圧で加速されたエネルギーをもってシリコン原子と衝突するため、モノマーイオンが注入されたシリコンウェーハ表層部の結晶性は一般的に乱れやすく、その後にウェーハの表面上に成長させるエピタキシャル層の結晶性を乱す要因となりかねない。そのため、本発明においては、上記モノマーイオン注入工程において、モノマーイオン注入後、シリコンウェーハ10に対して結晶性回復のための回復熱処理を行うことがより好ましい。この場合の回復熱処理としては、例えば窒素ガスまたはアルゴンガスなどの雰囲気下、900℃以上1100℃以下の温度で、10分以上60分以下の間、シリコンウェーハ10を保持すればよい。また、RTA(Rapid Thermal Annealing)やRTO(Rapid Thermal Oxidation)などの、エピタキシャル装置とは別個の急速昇降温熱処理装置などを用いて回復熱処理を行うことも好ましい。
以上のクラスター照射工程およびモノマー注入工程を経たシリコンウェーハ10の表面10Aに、図3(G)に示すようにエピタキシャル層20を形成するのは第1実施形態において既述のとおりである。また、エピタキシャル層20形成前のシリコンウェーハ10中の第1固溶領域18および第2固溶領域19は、エピタキシャル層20の形成時の熱拡散により、それぞれ第1固溶領域18′、第2固溶領域19′となるのも既述のとおりである。
なお、シリコンウェーハ10の表面10Aからシリコンウェーハ10の厚み方向に300nm以上離間した位置に、モノマーイオン17の構成元素であるドーパント元素の濃度プロファイルのピークが位置する注入を行うためには、例えばボロンを注入する場合、モノマーイオンの加速電圧を、100keV/atom以上500keV/atom以下とすることが好ましく、より好ましくは、200keV/atom以上400keV/atom以下とする。また、十分なゲッタリング能力を得つつ、エピタキシャル欠陥の発生を抑制するためには、ドーズ量は1×1013atoms/cm以上1×1016atoms/cm以下とすることが好ましく、5×1013atoms/cm以上5×1015atoms/cm以下とすることがより好ましい。
(第3実施形態)
これまで説明してきた第2実施形態においては、クラスターイオン照射工程の後、モノマーイオン注入工程を行ったが、モノマーイオン注入工程の後、クラスターイオン照射工程を行ってもよい。すなわち、本発明の第3実施形態によるエピタキシャルシリコンウェーハ100の製造方法は、図4に示すように、シリコンウェーハ10に非酸化性雰囲気で熱処理を行って、前記シリコンウェーハの表層部に無欠陥層11を形成する無欠陥層形成工程(図4(A),(B))と、シリコンウェーハ10の無欠陥層11側の表面10Aに、ドーパント元素からなるモノマーイオン17を注入するモノマーイオン注入工程(図4(C),(D))と、シリコンウェーハ10の無欠陥層11側の表面10Aにクラスターイオン16を照射するクラスターイオン照射工程(図4(E),(F))と、上記照射工程および上記注入工程を経たシリコンウェーハ10の表面10Aに、エピタキシャル層20を形成する工程(図4(G))と、を有する。上記モノマーイオン注入工程において、シリコンウェーハ10の表面10Aから該ウェーハの厚み方向に300nm以上離間した位置に、モノマーイオン17の構成元素であるドーパント元素の濃度プロファイルのピークを定めて注入を行い、かつ、上記クラスターイオン照射工程において、シリコンウェーハ10の表面10Aから該ウェーハの厚み方向の深さが150nmまでの範囲に、クラスターイオン16の構成元素の濃度プロファイルのピークを定めて照射を行うことが好ましいのは、第2実施形態と同様である。なお、第2実施形態において既述のとおり、モノマーイオン注入工程の後、結晶性回復のための回復熱処理をクラスターイオン照射工程に先立ち行うことが好ましい。
(エピタキシャルシリコンウェーハ)
次に、上記製造方法により得られるエピタキシャルシリコンウェーハ100について説明する。エピタキシャルシリコンウェーハ100は、図1(E),図3(G)または図4(G)に示すように、シリコンウェーハ10の表面10A上にエピタキシャル層20が形成されたエピタキシャルシリコンウェーハ100であって、シリコンウェーハ10は、エピタキシャル層20側の表層部における無欠陥層11と、該無欠陥層11内に所定元素が固溶した第1固溶領域18′と、を有する。第1固溶領域18′における所定元素のウェーハ厚み方向の濃度プロファイルは、半値幅が100nm以下、かつ、シリコンウェーハ10の表面10Aから該ウェーハの厚み方向の深さが150nmまでの範囲にピークを有し、シリコンウェーハ10の無欠陥層11以外の領域におけるBMDの密度が1×10個/cm以上であることを特徴とする。
BMDによるイントリンシックゲッタリング(IG)能力を十分に機能させるために、BMDの密度が1×10個/cm以上であることがより好ましい。なお、ゲッタリング能力向上の観点では、BMDの密度は高ければ高いほど好ましいが、酸素析出過多によりシリコンウェーハそのものの強度低下を抑止する観点では、BMDの密度が1×10個/cm以下であることが好ましい。
また、無欠陥層11の厚みが1μm以上10μm以下であることが好ましい。さらに、より優れたゲッタリング能力を備えるために、無欠陥層11内にドーパント元素が固溶した第2固溶領域19′を有することも好ましく、第2固溶領域19′におけるドーパント元素のウェーハの厚み方向の濃度プロファイルは、シリコンウェーハ10の表面10Aから300nm以上離間した位置にピークを有することがより好ましい。
ここで、本明細書におけるエピタキシャルシリコンウェーハ100の「固溶領域」とは、イオンの照射または注入により、イオンの構成元素がシリコンウェーハ10の表層部の結晶の格子間位置または置換位置に固溶した領域を意味し、エピタキシャル層20形成後の状態で、SIMS(二次イオン質量分析法)でウェーハ厚み方向におけるイオンの構成元素の濃度分布を測定した際に、シリコンウェーハの表面から固溶した元素のピーク濃度の1/300以上の濃度で検出される範囲として特定される。既述のとおり、エピタキシャル層20の形成により、エピタキシャル層20形成前の第1固溶領域18および第2固溶領域19は熱拡散するが、第1固溶領域18′および第2固溶領域19′の濃度ピークの位置は、シリコンウェーハ表面からは変化しない。また、クラスターイオン照射を経た第1固溶領域18′において、クラスターイオン16の構成元素が局所的に存在する領域の厚みはエピタキシャル層20形成前の第1固溶領域18から大きく変化せず、濃度プロファイルの半値幅は100nm以下となる。なお、エピタキシャルシリコンウェーハ100において、第1固溶領域18′の厚みは通常、30〜400nm程度であり、第2固溶領域19′の厚みは通常、1000〜3000nm程度である。
より優れたゲッタリング能力を備えるために、第1固溶領域18′における濃度プロファイルのピーク濃度は、1×1015〜1×1022atoms/cmが好ましく、1×1017〜1×1021atoms/cmの範囲内がより好ましい。また、第2固溶領域19′における濃度プロファイルのピーク濃度も、1×1015〜1×1022atoms/cmが好ましく、1×1017〜1×1021atoms/cmの範囲内がより好ましい。
また、第2固溶領域19′に固溶したドーパント元素はボロンであることがより好ましいのは既述のとおりである。また、所定元素としては、シリコンウェーハの主材料(すなわちシリコン)以外の元素であれば特に限定されないが、炭素または炭素を含む2種以上の元素とすることが好ましいのも既述のとおりである。
本実施形態のエピタキシャルシリコンウェーハ100は、より優れたゲッタリング能力を有し、かつ、エピタキシャル欠陥の発生が抑制されている。また、シリコンウェーハ10からエピタキシャル層20への酸素拡散を低減することもできる。
(固体撮像素子の製造方法)
本発明の実施形態による固体撮像素子の製造方法は、上記の製造方法で製造されたエピタキシャルシリコンウェーハまたは上記のエピタキシャルシリコンウェーハ、すなわちエピタキシャルシリコンウェーハ100の表面に位置するエピタキシャル層20に、固体撮像素子を形成することを特徴とする。この製造方法により得られる固体撮像素子は、従来に比べ白傷欠陥の発生を十分に抑制することができる。
以上、本発明の代表的な実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。
(実施例1−1)
CZ単結晶シリコンインゴットから得た、酸素濃度が15×1017atoms/cm(ASTM F121−1979)であるp−型シリコンウェーハ(直径:300mm、厚み:775μm、ドーパント種類:ボロン、抵抗率:20Ω・cm)を用意した。次に、縦型熱処理装置(日立国際電気製)を使用して、アルゴンガス雰囲気下で、1200℃,1時間の条件で熱処理をシリコンウェーハに施して無欠陥層(厚さ:10μm)を形成した。次いで、クラスターイオン発生装置(日新イオン機器社製、型番:CLARIS)を用いて、シクロヘキサン(C12)をクラスターイオン化したCのクラスターイオンを、加速電圧80keV/Cluster(炭素1原子あたりの加速電圧23.4keV/atomであり、飛程距離は80nmである)の照射条件でシリコンウェーハの表面に照射した。なお、クラスターイオンを照射した際のドーズ量は炭素原子数に換算して、1.7×1015atoms/cmとした。
その後、シリコンウェーハを枚葉式エピタキシャル成長装置(アプライドマテリアルズ社製)内に搬送し、装置内で1120℃の温度で30秒の水素ベーク処理を施した後、水素をキャリアガス、トリクロロシランをソースガス、1150℃でCVD法により、シリコンウェーハの表面上にシリコンのエピタキシャル層(厚さ:4.2μm、ドーパント種類:ボロン、抵抗率:10Ω・cm)をエピタキシャル成長させ、実施例1−1にかかるエピタキシャルウェーハを作製した。
(実施例1−2)
クラスターイオンのドーズ量を炭素原子数に換算して、2.1×1015atoms/cmとした以外は、実施例1−1と同じ条件で実施例1−2に係るエピタキシャルシリコンウェーハを作製した。
(実施例1−3)
クラスターイオンのドーズ量を炭素原子数に換算して、2.3×1015atoms/cmとした以外は、実施例1−1と同じ条件で実施例1−2に係るエピタキシャルシリコンウェーハを作製した。
(実施例1−4)
クラスターイオンのドーズ量を炭素原子数に換算して、2.5×1015atoms/cmとした以外は、実施例1−1と同じ条件で実施例1−2に係るエピタキシャルシリコンウェーハを作製した。
(比較例1−1)
無欠陥層を形成する熱処理を行わなかった以外は、実施例1−1と同じ条件で比較例1−1に係るエピタキシャルシリコンウェーハを作製した。
(比較例1−2)
無欠陥層を形成する熱処理を行わなかった以外は、実施例1−2と同じ条件で比較例1−2に係るエピタキシャルシリコンウェーハを作製した。
(比較例1−3)
無欠陥層を形成する熱処理を行わなかった以外は、実施例1−3と同じ条件で比較例1−3に係るエピタキシャルシリコンウェーハを作製した。
(比較例1−4)
無欠陥層を形成する熱処理を行わなかった以外は、実施例1−4と同じ条件で比較例1−4に係るエピタキシャルシリコンウェーハを作製した。
(エピタキシャル欠陥の評価)
各エピタキシャルウェーハに対して、Surfscan SP1(KLA−Tencor社製)にてNormalモードにて測定を行い、LPD−Nとしてカウントされた個数を確認した。各エピタキシャルウェーハのエピタキシャル欠陥の個数を表1と図5に示す。
Figure 0006427946
(評価結果)
表1および図5から、無欠陥層を形成することにより、クラスターイオンのドーズ量を増大させても、エピタキシャル欠陥の発生を顕著に抑制することができることがわかった。
(実施例2−1)
実施例1−2において、クラスターイオン照射後、かつ、エピタキシャル層の形成の前に、大電流型イオン注入装置を用いて、ドーズ量:1.0×1015atoms/cm、加速電圧:280keV/atom(飛程700nm)でボロンのモノマーイオンをシリコンウェーハの表面から注入し、窒素雰囲気下1000℃、10分間の条件で回復熱処理を施した。それ以外は、実施例1−2と同じ条件で、実施例2−1にかかるエピタキシャルウェーハを作製した。
(実施例2−2)
モノマーイオンの注入条件を、加速電圧:130keV/atom(飛程300nm)とした以外は、実施例2−1と同じ条件で、実施例2−2にかかるエピタキシャルウェーハを作製した。
(実施例2−3)
モノマーイオンの注入条件を、加速電圧:20keV/atom(飛程80nm)とした以外は、実施例2−1と同じ条件で、実施例2−3にかかるエピタキシャルウェーハを作製した。
(実施例2−4)
上記実施例2−1〜2−3とは異なり、モノマーイオンを注入せずに、実施例1−2と同じエピタキシャルウェーハを作製した。
(ゲッタリング能力評価)
実施例2−1〜2−4の各エピタキシャルウェーハのエピタキシャル層の表面を、Ni汚染液(1.0×1013atoms/cm)を用いてスピンコート汚染法により強制的に汚染し、次いで、窒素雰囲気中において700℃で10分間の熱処理を施した。その後、各エピタキシャルウェーハについてSIMS測定を行い、ウェーハ厚み方向における炭素濃度、ボロン濃度およびNi濃度のプロファイルをそれぞれ測定した。実施例2−1〜2−4の濃度プロファイルを図6(A)〜(D)にそれぞれ示す。ここで、図6の横軸の深さはエピタキシャルウェーハのエピタキシャル層表面をゼロ(図示せず)としている。図6においては、深さ4.2μmまでがエピタキシャル層に相当し、深さ4.2μm以深がシリコンウェーハに相当する。図中に、エピタキシャル層とシリコン基板との境界を示す破線を参考のために付す。ただし、SIMS測定した際に、エピタキシャル層の厚みには±0.1μm程度の測定誤差が生じ得る。また、第1固溶領域および第2固溶領域も併せて図6に示す。各エピタキシャルウェーハの、Niの故意汚染濃度1.0×1013atoms/cmに対する捕獲量の割合を、表2に併せて示す。
(エピタキシャルウェーハのBMD評価)
実施例2−1〜2−4で作製したエピタキシャルシリコンウェーハついて、イントリンシックゲッタリング能力をそれぞれ評価した。具体的には、顕微鏡観察を行うためにBMDを顕在化させ、かつ、BMDの検出性を高めるために、まず、実施例2−1〜2−4のエピタキシャルシリコンウェーハを800℃,4時間の熱処理を行った後、引き続き1000℃,16時間の熱処理を行う。その後、各エピタキシャルシリコンウェーハを劈開し、劈開断面を2μmエッチングするようにWrightエッチング溶液により選択エッチングを行った。その後、光学顕微鏡を用いて、基板であるシリコンウェーハ断面の酸素析出物密度を測定した。得られたBMD密度はいずれも5×10個/cmであった。結果を表2に示す。
(エピタキシャル欠陥の評価)
前述の実施例1と同様に、実施例2−1〜2−4で作製したエピタキシャルシリコンウェーハついてエピタキシャル欠陥の評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0006427946
(評価結果)
以上の結果から、クラスターイオン照射およびモノマーイオン注入により、クラスター照射のみの場合に比べてゲッタリング能力が向上することが確認できる。なお、モノマーイオンの飛程距離を、シリコンウェーハの表面からシリコンウェーハの厚み方向に300nm以上離間させると、同じモノマーイオンのドーズ量であっても、ゲッタリング能力をより向上できることがわかった。なお、実施例2−3と実施例2−4とを比較すると、クラスターイオン照射領域およびモノマーイオン注入領域によりゲッタリング能力が向上することが確認できるものの、クラスターイオンの照射飛程およびモノマーイオンの注入飛程が同程度であると、エピタキシャル欠陥発生につながることもわかった。
本発明によれば、より優れたゲッタリング能力を有し、かつ、エピタキシャル欠陥の発生を抑制しつつ、シリコンウェーハからエピタキシャル層への酸素拡散を低減することのできるエピタキシャルシリコンウェーハおよびその製造方法を提供することができる。また、このエピタキシャルシリコンウェーハから固体撮像素子を形成する固体撮像素子の製造方法を提供することもできる。
10 シリコンウェーハ
10A シリコンウェーハの表面
11 無欠陥層
16 クラスターイオン
17 モノマーイオン
18 第1固溶領域
19 第2固溶領域
20 エピタキシャル層
100 エピタキシャルシリコンウェーハ

Claims (9)

  1. シリコンウェーハに非酸化性雰囲気で熱処理を行って、前記シリコンウェーハの表層部に無欠陥層を形成する無欠陥層形成工程と、
    前記シリコンウェーハの前記無欠陥層側の表面にクラスターイオンを照射するクラスターイオン照射工程と、
    前記照射工程を経たシリコンウェーハの前記照射側の表面に、エピタキシャル層を形成するエピタキシャル層形成工程と、
    を有し、
    前記クラスターイオンが、構成元素として炭素を含み、炭素原子のドーズ量が1.7×10 15 atoms/cm 2 以上1×10 16 atoms/cm 2 以下であることを特徴とするエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法。
  2. 前記無欠陥層形成工程において、前記非酸化性雰囲気はアルゴンおよび/または水素であり、熱処理温度1100℃以上1300℃以下にて、1分以上5時間以下の熱処理を行い、1μm以上10μm以下の前記無欠陥層を形成する請求項1に記載のエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法。
  3. 前記無欠陥層形成工程を行う前の前記シリコンウェーハの酸素濃度が8×1017atoms/cm3以上18×1017atoms/cm3以下(ASTM F121−1979)である請求項1または2に記載のエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法。
  4. 前記無欠陥層形成工程と、前記エピタキシャル層形成工程との間に、前記シリコンウェーハの表面に、ドーパント元素からなるモノマーイオンを注入するモノマーイオン注入工程をさらに有し、
    前記クラスターイオン照射工程において、前記シリコンウェーハの表面から該ウェーハの厚み方向の深さが150nmまでの範囲に、前記クラスターイオンの構成元素の濃度プロファイルのピークを定めて照射を行い、
    前記モノマーイオン注入工程において、前記シリコンウェーハの表面から該ウェーハの厚み方向に300nm以上離間した位置に、前記ドーパント元素の濃度プロファイルのピークを定めて注入を行う請求項1〜3のいずれか1項に記載のエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法。
  5. 前記ドーパント元素がボロンである請求項4に記載のエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法。
  6. 前記クラスターイオンが、構成元素として炭素を含む2種以上の元素を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載のエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法。
  7. 前記クラスターイオン照射工程では、前記クラスターイオンの加速電圧100keV/Cluster以下、ドーズ量1×1016atoms/cm2以下の条件で照射する請求項1〜いずれか1項に記載のエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法。
  8. 前記モノマーイオン注入工程では、前記モノマーイオンの加速電圧500keV/atom以下、ドーズ量1×1016atoms/cm2以下で注入する請求項4〜のいずれか1項に記載のエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載の製造方法で製造されたエピタキシャルシリコンウェーハの、表面に位置するエピタキシャル層に、固体撮像素子を形成することを特徴とする固体撮像素子の製造方法。
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