JP6176588B2 - ボールジョイント用ダストカバー - Google Patents

Description

本発明は、ボールジョイント用ダストカバーに関する。
また、本発明は、自動車懸架装置、操舵装置等に使用されるボールジョイント用ダストカバーに関する。

従来、ボールジョイント継ぎ手部の防塵、防水を目的としてダストカバーが装着されているボールジョイントとしては図４に記載のボールジョイント用ダストカバーが知られている。（特許文献１）

この種ボールジョイント用ダストカバーのシール構造は、ボールスタッド１００の一端に形成された球頭部２００がソケット３００内に保持されている。
そして、ボールスタッド１００の他端の軸４００は、ナックル５００に締め付け固定されている。
一方、ゴム状弾性材製ダストカバー６００の一端大径開口部８００が、ソケット３００の外周面に形成された段部３１０に、保持リング７００により嵌合保持され、補強環が埋設された他端小径開口部１５０が軸４００に保持された構成となっている。

この種、従来のダストカバー６００の膜部は、たる形状を呈している為、成形上の制約から、一端大径開口部８００に補強環を一体的に埋設することは出来なかった。
この為、組み付け性に問題が有った。
そこで、一端大径開口部８００に補強環を一体的に埋設する場合、ダストカバー６００の膜部の形状をたる形状から、図５に示す様な円筒形状にせざるを得なかった。
すなわち、ゴム状弾性材製ダストカバー６００の膜部６１０の最大内径Ａは、一端大径開口部８００に埋設した補強環８０１の内径Ｂよりも小さく設計されている。
この様な形状とする事により、成形型の中型を取り出すことが出来る。

しかし、組み付け性は良いが、ダストカバー６００の形状が、円筒形状に近付くにつれ、ダストカバー６００の膜部６１０に加わる歪みが大きくなる傾向が有る。
この結果、ダストカバー６００の膜部６１０に亀裂や破損が発生し、耐久性が低下する問題を惹起した。
更に、ダストカバー６００のセット時にダストカバー６００の膜部６１０の円周上の一部が内径側に異常変形する問題を招来した。

特開昭６２−１３７４０８号公報 実公平１−４０６５６号公報

本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、ダストカバーの一端大径開口部及び他端小径開口部に補強環を埋設した態様であっても、膜部形状をたる形状とする事により、ダストカバーの膜部に加わる歪みを少なく抑え、ダストカバーの耐久性の低下を抑止することにより、機能的優位性と組み付け優位性を備えることを目的とする。

本発明のボールジョイント用ダストカバーは、ボールスタッドの一端に形成された球頭部がソケット内に保持され、前記ボールスタッドの他端の軸はナックルに締め付け固定され、補強環が埋設された一端大径開口部が前記ソケットの外周面に固定保持され、補強環が埋設された他端小径開口部が前記軸に保持され、前記大径開口部と前記小径開口部とを連結している膜部を備えた弾性材製ボールジョイント用ダストカバーにおいて、前記膜部の最大内径が前記一端大径開口部に埋設された前記補強環の内径よりも大きく、前記膜部がたる形状であって、前記最大内径部が最も薄肉となっていることを特徴とする。

本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
請求項１記載の発明のボールジョイント用ダストカバーによれば、ダストカバーの一端大径開口部及び他端小径開口部に補強環を埋設した態様であっても、ダストカバーの膜部に加わる歪みを少なく抑え、ダストカバーの耐久性の低下を抑止することにより、機能的優位性と組み付け優位性を備えることが出来ると共に、膜部形状をたる形状とすると共に、最大内径部を最も薄肉とした為、ダストカバーの膜部に加わる歪みを少なく抑え、ダストカバーの耐久性の低下を抑止することが出来る。

更に、請求項２記載の発明のボールジョイント用ダストカバーによれば、補強環の内径よりも僅かに小さい芯型と、鼓形状を形成する複数個に分割された断面半月状の半月型により構成し、これらの型を順次分解しながら取り出す成形金型により成形する事により、たる形状の膜部を備えたダストカバーを容易に成形する事が出来る。

本発明に係る、ボールジョイント用ダストカバーの縦断面図。 図１のボールジョイント用ダストカバーの装着前の縦断面図。 図１のボールジョイント用ダストカバーの装着前の寸法関係を表示した縦断面図。 従来技術に係る、ボールジョイント用ダストカバーの縦断面図。 従来技術に係る、他のボールジョイント用ダストカバーの装着前の縦断面図。

以下、本発明を実施するための形態について説明する。
図１及び図２に示される様に、本発明に係るボールジョイント用ダストカバーは、ボールスタッド１の一端に形成された球頭部２がソケット３内に保持され、このボールスタッド１の他端の軸４はナックル５に締め付け固定され、補強環８１が埋設された一端大径開口部８がソケット３の外周面に固定保持され、補強環９が埋設された他端小径開口部７が軸４に保持され、大径開口部８と小径開口部７とを連結している膜部６１を備えた基本的構成を備えている。

そして、この膜部６１の最大内径Ｘが一端大径開口部８に埋設された補強環８１の内径Ｙよりも大きい形状となっている。
より具体的には、膜部６１がたる形状であって、最大内径Ｘの近傍が最も薄肉となっている。
この為、ダストカバーの膜部に加わる歪みを少なく抑え、ダストカバーの耐久性の低下を抑止することが出来る。

また、膜部６１の最大内径Ｘが一端大径開口部８に埋設された補強環８１の内径Ｙよりも大きい形状となっている為、成形には工夫が求められる。

具体的成形方法としては、中型及び外型を備えた成形金型により成形する方法と、膜部６１の形状が円筒状の未加硫ゴムをブロー成形によりたる形状とする方法である。

しかし、成形金型により成形する場合、膜部６１の最大内径Ｘが一端大径開口部８に埋設された補強環８１の内径Ｙよりも大きい形状となっている為、中型を分割型として、成形されたダストカバー内部から中型を取り出せる工夫が必要である。
より具体的には、補強環８１の内径Ｙよりも僅かに小さい芯型と、たる形状を形成する複数個に分割された断面半月状の半月型により構成し、これらの型を順次分解しながら取り出す事により成形可能となる。

特に、成形金型により成形する事により、寸法精度が良好で、ゴム物性も低下する事のないダストカバーを得る事が出来る。

図３に示す様に、本発明に係るボールジョイント用ダストカバーは、以下に述べる様な寸法関係になっている。
たる形状の膜部６１の最大外径Ｚは、膜部６１の他端小径開口部７側の外径Ｃ及び膜部６１の一端大径開口部８側の外径Ｄよりも大きい。
また、膜部６１の最大外径Ｚ部の肉厚ｔ１は、膜部６１の他端小径開口部７側の肉厚ｔ２及び膜部６１の一端大径開口部８側の肉厚ｔ３よりも薄く成形されている。
この様な形状とする事により、ダストカバー６の膜部６１に加わる歪みを少なく抑え、ダストカバー６の耐久性の低下を抑止することが出来る。

また、ダストカバー６内には、グリースが封入されている。

補強環９及び補強環８１は、金属材若しくは樹脂材が使用されるが、補強環８１は、ＳＰＣＣ等の鋼板から打ち抜き加工により製作されたものを使用している。

また、ダストカバー６の材質は、クロロプレン等のゴム状弾性材や、ポリエステル系エラストマー、熱可塑性ポリウレタン等の熱可塑性エラストマーから、適宜用途に合わせ選択して使用される。

また、本発明は上述の発明を実施するための最良の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。

自動車の懸架装置及び操舵装置等に使用されるボールジョイントに使用できる。

１ ボールスタッド
２ 球頭部
３ ソケット
４ 軸
５ ナックル
６ ダストカバー
７ 小径開口部
８ 大径開口部
９ 補強環
６１ 膜部
８１ 補強環

Claims (2)

1. ボールスタッド（１）の一端に形成された球頭部（２）がソケット（３）内に保持され、前記ボールスタッド（１）の他端の軸（４）はナックル（５）に締め付け固定され、補強環（８１）が埋設された一端大径開口部（８）が前記ソケット（３）の外周面に固定保持され、補強環（９）が埋設された他端小径開口部（７）が前記軸（４）に保持され、前記大径開口部（８）と前記小径開口部（７）とを連結している膜部（６１）を備えた弾性材製ボールジョイント用ダストカバー（６）において、
   前記膜部（６１）の最大内径（Ｘ）が前記一端大径開口部（８）に埋設された前記補強環（８１）の内径（Ｙ）よりも大きく、前記膜部（６１）がたる形状であって、前記最大内径（Ｘ）部が最も薄肉となっていることを特徴とするボールジョイント用ダストカバー。
2. 補強環（８１）の内径（Ｙ）よりも僅かに小さい芯型と、たる形状を形成する複数個に分割された断面半月状の半月型により構成し、これらの型を順次分解しながら取り出す成形金型により成形したことを特徴とする請求項１記載のボールジョイント用ダストカバー。

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