JP6173771B2 - 建築物の解体工法およびそれに用いる建築物解体用支持装置 - Google Patents
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Description
あるいは他の、機器を屋上に吊り上げて解体を行なう工法では、解体作業で使用する機器を屋上まで吊り上げるために大型のクレーンを使用する。また、切断や破砕した鉄骨、鉄筋、コンクリート等を地上に下ろす際にもクレーンを使用する。そのため、解体する建築物の周辺にクレーン等の重機を設置する場所が必要となり、立地条件によっては解体工事に支障をきたす。
そこで建築物の下層部から解体する工法が検討されている。建築物を下層部から解体すれば、大型のクレーンを使用する必要はなく、立地条件の制約を受けずに解体工事を行なうことができる。しかも、建築物全体を保護シートで覆う必要もなく、下層部のみを覆うことによって飛石や粉塵の飛散を防止できる。
まず、図1、2を参照して建築物解体用支持装置について説明する。
図1に示すように、4本の補助柱1と4本の主柱20a、20bの上端に架台2が固定されており、その架台2上にジャッキ式昇降機3を設置して、ステップロッド4を昇降させる。
フック5の背面(すなわち柱体7の反対側)には、図2に示すように、上下方向2ケ所に揺動防止具を取り付ける。ここでは上方の揺動防止具を第1揺動防止具8とし、下方の揺動防止具を第2揺動防止具9とする。第1揺動防止具8は、水平に固定され、その正面側(すなわち柱体7の側)の両端部にコロ10aを取り付ける。第2揺動防止具9は、第2ピン11によって回動可能に配設され、その背面側の両端部にコロ10bを取り付ける。第2ピン11は、第2揺動防止具9を水平姿勢(図2(a))と垂直姿勢(図2(b))とに回動させる際の回動軸となる。
ただし、ここでは図2を参照して、回動式の第2揺動防止具9を使用する例について説明する。
図2(a)に示すように、水平に固定された第1揺動防止具8両端部のコロ10aにそれぞれ当接する主柱20aを2本と、水平姿勢に回動させた第2揺動防止具9両端部のコロ10bにそれぞれ当接する主柱20bを2本と、を垂直に設置する。
図1に示すように、まず柱体7に閂部材22を挿入するための貫通孔21を設け、その貫通孔21に閂部材22を挿入する。そして閂部材22をフック5で支持する。その場合は、柱体7の幅より広い間隔を設けて2個のフック5を1セットとして使用するので、図1に示すように閂部材22を支持することができる。このようにして、柱体7に貫通孔21を設け、その貫通孔21に挿入した閂部材22をフック5で支持することによって、柱体7を支持することが可能となる。なお、貫通孔21には建築物の重量や柱体7の強度に応じて開口部に適宜補強を施す。
図1には、建築物の柱体7と、その柱体7に設置した建築物解体用支持装置との1組を示すが、建築物は複数の柱体を有するので、建築物を解体するにあたって、複数の柱体に建築物解体用支持装置を設置して、建築物全体を支持する。ただし、複数の柱体に作用する荷重の分布に応じて、十分な強度を有する主柱20a、20b、補助柱1やステップロッド4を用いた建築物解体用支持装置を設置して、解体工事中に建築物の歪みが生じないように荷重をバランス良く支持すれば良く、必ずしも建築物の全ての柱体に建築物解体用支持装置を設置する必要はない。
建築物支持工程の後に、フック5より下方の建築物を解体する。その結果、図3に示すように、柱体7のフック5より下方の部分が解体除去されて、荷重がフック5に作用するが、フック5を保持するジャッキ式昇降機3は主柱20a、20bと補助柱1上端の架台2に設置されているので、荷重は主柱20a、20bと補助柱1によって支持され、フック5は建築物支持工程と同じ高さに保たれる。なお、図3〜6では、フック5、柱体7、閂部材22、ステップロッド4の配置を明示するために、コロ10aに当接する主柱20aは図示を省略する。
建築物解体工程にてフック5より下方の柱体7や壁部等を全て解体除去した後、ジャッキ式昇降機3を操作してフック5を下降させて、図4に示すように柱体7を地面まで降下させる。このとき、複数の柱体7に設置した各建築物解体用支持装置のジャッキ式昇降機3を一斉に操作して、各フック5を同じ速度で下降させることによって、建築物の歪みを防止しながら建築物を降下させることができる。
次に、上記の建築物支持工程で説明した通り、第2揺動防止具9を、図2(a)に示すように、水平姿勢に回動させて、コロ10bを補助柱20bに当接させる。その後、第2揺動防止具9をボルト等で固定して、回動を防止することが好ましい。このとき第1揺動防止具8のコロ10aは、正面側の主柱20aに当接する。こうして、図7に示すように、コロ10a、10bをそれぞれ主柱20a、20bに当接させることによって、フック5が第1ピン6を回動軸として揺動するのを防止し、ひいては閂部材22がフック5から脱落するのを防止する。
なお、柱体としてH型鋼を用いる例を示したが、本発明は、角柱や円筒状の鋼製柱体にも適用できるので、そのような柱体を有する建築物(たとえばガスタンク、ガスホルダー、サイロ、住居用あるいは商業用ビル等)の解体に好適である。
解体するガスホルダーは26本の柱体(H型鋼)を有しており、荷重を均等に支持するために必要な柱体を検討した結果、図9に示すように、1本おきに合計13本の柱体7に建築物解体用支持装置を設置した。なお、図9には、建築物解体用支持装置の外形とジャッキ式昇降機3、ステップロッド4を簡略化して示す。
こうして建築物支持工程から、順次、建築物解体工程、建築物降下工程、支持高さ変更工程を繰り返すことによって、大型の重機(たとえばクレーン等)を使用せず、ガスホルダーを下層部から高さ3mずつ解体した。解体工事中にガスホルダーを地上から高さ3.5mまで保護シートで覆うことによって、解体した破片や粉塵が飛散するのを防止できた。
2 架台
3 ジャッキ式昇降機
4 ステップロッド
5 フック
6 第1ピン
7 柱体
8 第1揺動防止具
9 第2揺動防止具
10a コロ
10b コロ
11 第2ピン
20a 主柱
20b 主柱
21 貫通孔
22 閂部材
23 基礎構造物
24 油圧ジャッキ
Claims (3)
- 主柱、補助柱、架台を用いて支持されるジャッキ式昇降機によって昇降するステップロッドの下端にフックを配設して建築物の複数の柱体にそれぞれ設置し、該建築物の各柱体の貫通孔に挿入した閂部材を前記フックで支持する建築物支持工程と、前記フックより下方の前記建築物を解体する建築物解体工程と、前記ジャッキ式昇降機の操作によって前記フックをそれぞれ下降させて前記建築物を地面まで降下させる建築物降下工程と、前記ジャッキ式昇降機によって前記フックを上昇させて、前記柱体の上方の貫通孔に挿入した閂部材を前記フックで支持する支持高さ変更工程と、を有し、前記建築物支持工程にて、前記フックの背面に水平に設けた揺動防止具の端部に取り付けたコロをそれぞれ主柱に当接させて前記フックの揺動を防止することを特徴とする建築物の解体工法。
- 前記支持高さ変更工程にて、前記揺動防止具を垂直姿勢に回動させて前記コロを前記主柱から離隔させた後、前記フックを背面側へ回動させて前記柱体の内部に配設される補強用リブ、および前記閂部材を回避しつつ前記フックを上昇させて、前記柱体の上方の貫通孔に挿入された閂部材を前記フックで支持することを特徴とする請求項1に記載の建築物の解体工法。
- ジャッキ式昇降機によって昇降するステップロッドと、該ステップロッドの下端に第1ピンによって回動可能に配設されたフックと、該フックの背面上部に水平に固定されかつ両端部にコロを取り付けた第1揺動防止具と、前記フックの背面下部に第2ピンによって回動可能に配設されかつ両端部にコロを取り付けた第2揺動防止具と、を有することを特徴とする建築物解体用支持装置。
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