JP6173368B2 - カニ脚肉様製品の製造方法 - Google Patents
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Description
図6(a)及び図6(b)に示すように、カニ脚肉様製品の製造方法50において、例えば、複数の切れ込み51aがその長さ方向Xに沿って並列して設けられる魚肉すり身シートの棒状体51を、長さ方向Xに対し傾斜角度をもって所望の長さ毎に切断し、魚肉すり身片52を形成する。
次いで、この魚肉すり身片52を赤色塗布されたフィルム54で包装することで魚肉すり身片に赤色色素が転写され、加熱処理等を経てカニ脚肉様製品53が完成する。完成したカニ脚肉様製品53は、切れ込み51aが形成されているため、天然のカニ脚肉に類似した歯応えのある食感を得ることができる。
しかし、カニ脚肉様製品53は、切断面53aと、上下面53bがなす角部53cがほぼ直角である。さらに、その両端部は、曲面をなす端面53dがそれぞれ形成される。すなわち、カニ脚肉様製品53は、略角柱形状の外観を呈している。
これに対し、天然のカニ脚肉は、略楕円形状の切断面を備えた細長い略紡錘形状の外観を呈している。そのため、カニ脚肉様製品53の外観は、天然のカニ脚肉と類似しているとは言い難く、商品としての見栄えが良好でないという課題があった。また、このようなカニ脚肉様製品53は、消費者にとって、いかにも通常のカマボコを機械で単純に切断したように感じられることから、カニ脚肉様製品53の購入意欲がそれほどかき立てらない。したがって、製造・販売者にとっては、販売が十分に促進されないという課題もあった。
そこで、近年、形状が天然のカニ脚肉により類似したカニ脚肉様製品を製造するための製造方法に関する技術が開発されており、それに関して既にいくつかの発明が開示されている。
以下、特許文献1に開示された発明について説明する。特許文献1に開示された切れ目入り練製品の製造方法に関する発明は、加熱すり身シ−トにその進行方向に多数の完全又は不完全な切離線を入れる切離工程、加熱すり身シ−トを切離線から折畳んで折畳シ−トを生成する折畳み工程、折畳シ−トを間欠的又は連続的に給送するシ−ト給送工程、給送される折畳シ−トに多数の切れ目を入れてカニ足肉状繊維状物を生成する切れ目入れ工程、及び、切れ目を入れた折畳シ−トを所定長宛カットするカッティング工程を含むことを特徴とする。
このような特徴を備えた切れ目入り練製品の製造方法においては、多数の切れ目があるために練製品本体がカニ足肉に似た繊維状となり、実際のカニ足肉に非常に近い外観と食感の練製品が完成する。また、折畳シ−ト形成手段、切れ目刻設手段、切離手段、成形手段等が一連のものとされるため、上記練製品を効率よく量産し得る効果がある。
以下、特許文献2に開示された発明について説明する。特許文献2に開示された発明は、帯状の第1魚肉シートの少なくとも片面に、加熱によって縮む性質を有する食用の収縮性材料を含有する第2魚肉シートを積層して積層シートを形成する工程、2つの積層シートを長手方向に沿って送りながら細断し、これを束状に集束する工程、束状に集束された長尺の束状体を斜めに切断して菱形片を形成する工程、一対の菱形片の切断面を相互に突合せて矢筈状の組合せ体を形成する工程、組合せ体を、先行の組合せ体の後部に、後方の先部が嵌め込まれるように順次接続して棒状体を形成する工程等を包含することを特徴とする。
このような特徴を有するカニ脚様魚肉製品の製造方法においては、カニ脚様魚肉製品の外観は、矢筈状となる。また、その繊維肉が縮れ状の棒状を呈し、本物のカニに近い繊維肉となり、しかも食感も味もカニに近くなる。
より具体的には、切断工程において、棒状体は、例えば、回転刃を有するカッターによって切断される。
次に、包装工程において使用される包装用シートは、例えば、食用の赤色色素が片面に塗布され、魚肉すり身片の表面にこの赤色色素を転写可能とするものである。
続いて、起こし工程において、対辺の角部を起こすには、例えば、魚肉すり身片に対し、一方の側方からヘラを当接させることが考えられる。
さらに、押さえ工程において、魚肉すり身片が載置された載置面から遠ざけられた角部は、例えば、平坦面を有する押さえ用ベルトによって上方から圧接される。
次に、包装工程によって、魚肉すり身片が包装用シートで包装されるため、着色されるとともに、後の押さえ工程において、例えば、押さえ用部材が魚肉すり身片の角部を圧接することによって、押さえ用部材に魚肉すり身片が粘着することが防止される。
そして、押さえ工程によって、例えば、頂点を形成した対辺の角部が押さえ用部材によって上方から圧接されると、対辺の角部は平坦化するように変形し、カニ脚肉様製品の形状が完成する。
このような構成の発明において、載置面が水平に設置される場合は、水平面は載置面と一致する。
上記構成の発明においては、第1の発明の作用に加え、魚肉すり身片の端面は、平行四辺形状に形成される。また、この平行四辺形状の端面を構成する対辺の角部は、例えば、それぞれ鈍角又は鋭角をなし、ある一定範囲内で変化可能である。
なお、後の起こし工程において、対辺の角部が鈍角又は鋭角のいずれの場合であっても、載置面から遠ざけることが可能であるが、例えば、鈍角をなす対辺の角部を載置面から遠ざける場合、押さえ工程でこの対辺の角部を上方から押さえると、その長軸方向と直交する切断面は扁平率の小さい略楕円形状に変化する。すなわち、鈍角や鋭角の大きさの設定、及び載置面から遠ざける対辺の角部を鈍角又は鋭角のうちいずれを選択するか、といった設定によって、切断面が様々な形状の略楕円形状に変化する。
このような構成の発明においては、第1乃至第3のいずれかの発明の作用に加え、魚肉すり身片同士の間隔が拡大されるので、包装工程や、押さえ工程が実施されることにより、魚肉すり身片同士が結着することが防止される。
このような構成の発明においては、第1乃至第4のいずれかの発明の作用に加え、包装工程が、起こし工程と押さえ工程の間、又は、押さえ工程の後に実施される。
なお、魚肉すり身片の組成によっては、包装工程の前に起こし工程や押さえ工程が実施される場合であっても、例えば、搬送用ベルトコンベアや押さえ用ベルトに魚肉すり身片が粘着しないので、この場合、粘着に関する不都合は発生しない。
また、例えば、同等の重量及び長さを有し、それぞれ幅に広狭のある魚肉すり身片同士を比較すると、幅の広い魚肉すり身片の方が商品としての見栄えが明らかに良好である。したがって、本発明によれば、魚肉すり身片を上方から視た場合に、その幅がより拡大して観察されることから、従来技術に係るカニ脚肉様製品と比較して、消費者の購買意欲をより向上させることが可能であり、販売を促進することができる。
図1に示すように、本実施例のカニ脚肉様製品の製造方法1は、ステップS1の切断工程、ステップS2の整列工程、ステップS3の離隔工程、ステップS4の包装工程、ステップS5の起こし工程、ステップS6の押さえ工程、から構成される。
このうち、ステップS3の離隔工程は、ステップS1の切断工程と、ステップS4の包装工程の間に、魚肉すり身片3同士の間隔を拡大する工程として設けられる。すなわち、ステップS3の離隔工程は、ステップS2の整列工程とステップS4の包装工程の間で行われるほか、ステップS1の切断工程とステップS2の整列工程の間に行われても良い。
また、破線で囲んだ範囲Dに示すように、ステップS4の包装工程は、ステップS1の切断工程とステップS5の起こし工程の間に行われる代わりに、ステップS5の起こし工程の後、例えば、ステップS6の押さえ工程の後に行われても良い。すなわち、ステップS4´として起こし工程、ステップS5´として押さえ工程、ステップS6´として包装工程が行われる。あるいは、図示は省略するが、ステップS4の包装工程は、ステップS5の起こし工程とステップS6の押さえ工程の間に行われても良い。
図2に示すように、実施例に係るカニ脚肉様製品の製造方法1は、複数の切れ込み2aがその長さ方向Xに沿って並列して設けられる魚肉すり身シート5(図3(b)参照)が、四角柱状に成形された棒状体2を原材料とするカニ脚肉様製品の製造方法である。
また、本工程では、第1の傾斜角度θ1に加え、水平面に対し第2の傾斜角度θ2(図3(b)参照)をもって棒状体2を切断する。すなわち、棒状体2は第1の傾斜角度θ1と第2の傾斜角度θ2という二重角度をもって切断されることから、魚肉すり身片3の端面4は平行四辺形状に形成される。なお、第2の傾斜角度θ2は、基準とする水平面(θ2=0)に対し、例えば、絶対値で45度から60度の範囲に設定されることが考えられる。これらの端面4及び第2の傾斜角度θ2については、図3を用いながら、詳細に後述する。
また、魚肉すり身片3同士の間隔はl1であって、魚肉すり身片3の端部3d同士が長さ方向Xにおいてやや重複している。
具体的には、ステップS3の離隔工程で使用する搬送用ベルトコンベアの進行速度を、ステップS2の整列工程において使用された搬送用ベルトコンベアの進行速度よりも、高速にすることによって、魚肉すり身片3同士の間隔が拡大される。
なお、ステップS1の切断工程における棒状体2を切断するタイミングと、搬送用ベルトコンベアの進行速度の組み合わせによっては、魚肉すり身片3の端部3d同士が長さ方向Xにおいて重複せず、切断された際に魚肉すり身片3同士がすでに離隔していることもあるが、この場合には本工程が省略されても良い。
図3(a)に示すように、魚肉すり身片3は、上方から視た場合、棒状体2の切断によって生じる切断面3aと、端部3dが鋭角をなす細長い平行四辺形状の上面3bと、を備える。魚肉すり身片3の下面3cも上面3bと同一形状である。
四つの辺4a〜4dのうち、棒状体2の底面に相当する辺を底辺4bといい、底辺4bの両端に位置する角部をそれぞれ角部R及び角度Sとする。また、底辺4bの対辺を上辺4aといい、上辺4aの両端に位置する対辺の角部をそれぞれ角部P及び角度Qとする。
なお、角部Sと角部Pは、互いに同等の大きさを有する鈍角であって、角部Rと角部Qは、互いに同等の大きさを有する鋭角である。ただし、角部Sと角部Pが鋭角であり、角部Rと角部Qが鈍角であっても良い。
また、載置面Tから上辺4aまでの長さが高さH、長軸L(図2参照)に対して垂直な面上に投影された角部Rから角度Sまでの長さが幅Wである。なお、高さHは、棒状体2を構成する魚肉すり身シート5の一枚当たりの厚さ等によって決定される。
ステップS4の包装工程が行われた後、魚肉すり身片3は、その下面3c(図3(c)参照)が搬送用ベルト7の載置部7aに載置され、搬送されてくる。
図4(a)に示すように、ステップS5の起こし工程においては、載置部7aに、載置部7aに対し角度φをもって傾斜するとともに、載置部7aと同期して進行する載置部7bが、載置部7aに並走して配置される。
そして、魚肉すり身片3の端面4の底辺4bを、鈍角をなす角部Sを中心として、起こし角度αをもって回動させることで、角部Pを、載置面Tから上方へ最も遠ざかる方向に、回動移動させて起こすとともに、端面4を構成する辺4dを載置部7bに当接させる。したがって、魚肉すり身片3の切断面3aは、載置部7bによって支持されることとなる。なお、底辺4bを起こすには、例えば、魚肉すり身片3の切断面3aに対し、一方の側方(図中黒塗矢印)からヘラを当接させることで行われる。
また、載置面Tから角部Pまでの高さはHTPであり、角部Rから角部Qまでの長軸L(図2参照)に対して垂直な面上に投影された長さは幅WTである。
これに対し、破線で示すように、端面4の高さHと幅Wを、それぞれ高さH2(<H)と幅W2(=W)とした場合、角部Pを、載置面Tから上方へ最も遠ざかる方向に起こすために必要な起こし角度α2は、起こし角度αよりも大となる。
このように、起こし角度αは、端面4の幅Wに比例し、かつ端面4の高さHに反比例して変化する傾向にある。正確には、起こし角度αは、以下の式(1)を満足する。
図5(a)及び図5(b)に示すように、カニ脚肉様製品9は、その長軸Lにおける端部9aにおいても、従来技術のように平坦な端面53d(図6(b)参照)がそれぞれ形成される代わりに、自然にすぼまった形状となっている。したがって、カニ脚肉様製品9は全体的に細長い略紡錘形状の外観を呈し、その長軸Lの方向と直交する切断面9bは略楕円形状となる。そのため、カニ脚肉様製品9を上方から視た場合に、その最大幅M(長軸Lの方向と直交する方向の長さ)が角部Rから角部Qまでの長軸Lに対して垂直な面上に投影された幅WT(図4(a)参照)よりも拡大して観察される。
また、角部Pを起こした場合と、角部Qを起こした場合の相違点について検討すると、カニ脚肉様製品9の切断面9bの扁平率は、角部Pを起こした場合の方が、角部Qを起こした場合よりも小さくなる。
この点について、カニ脚肉様製品9では、一方の領域10aに、繊維の束6がその長さ方向に沿って並列する様子が観察され、他方の領域10bに、格子形状が観察されることから、あたかも領域10aが天然のカニ脚肉の表面に見られる繊維状肉に類似するように、かつ領域10bが独特の凹凸模様に類似するように観察される。したがって、カニ脚肉様製品の製造方法1によれば、従来技術に係るカニ脚肉様製品53と比較して、より天然のカニ脚肉に類似したカニ脚肉様製品を製造することができる。
また、カニ脚肉様製品9は、切れ込み2a以外の弾力を有する魚肉部分が大部分を占めているため、この弾力を有する部分を破断するためにある程度の力が必要である。したがって、カニ脚肉様製品9は、適度な噛み応えと解け易さとを合わせ持っていると言え、従来技術に係るカニ脚肉様製品53が発揮し得なかった天然のカニ脚肉様の外観と新規な食感との組み合わせを発揮することができる。勿論、棒状体2の切れ込み2aの幅、魚肉すり身シート5の厚さや組成を調整することで、多様な食感を味わうことも可能である。
また、ステップS2の整列工程によって、ステップS4の包装工程で使用される包装用シート11の長手方向と長軸Lとが平行となるので、包装用シート11に塗布された赤色色素を効率良く魚肉すり身片3に転写可能となる。
次に、ステップS4の包装工程によって、ステップS6の押さえ工程で魚肉すり身片3が押さえ用部材8に圧接される場合に、押さえ部材8と魚肉すり身片3とが粘着することを防止可能である。なお、ステップS4の包装工程は、ステップS1の切断工程とステップS5の起こし工程の間に行われる代わりに、ステップS5の起こし工程の後に行われても良いことから、魚肉すり身片3の組成や製造ラインの構成に応じて適宜その実施時期を選択することが可能であり、カニ脚肉様製品の製造方法1における実施の自由度を高めることができる。
最後に、ステップS6の押さえ工程において、角部P又は角部Qが平坦化されるので、略楕円形状をなす切断面9bを容易に形成することができる。
そのため、ステップS3の離隔工程により魚肉すり身片3を離隔させた後、ステップS5の起こし工程を行うが、仮に、載置部7aに対し角度φで傾斜する載置部7bが設けられていない場合、魚肉すり身片3の端面4を構成する辺4dを載置部7bに当接させることができない。したがって、魚肉すり身片3の切断面3aが載置部7bによって支持されない状態のまま、ステップS6の押さえ工程において角部Pを押さえると、カニ脚肉様製品9同士の分離は容易となるものの、起こし角度αが不均一となり、カニ脚肉様製品9の形状が不揃いとなる。
Claims (5)
- 複数の切れ込みがその長さ方向に沿って並列して設けられる魚肉すり身シートが、多角柱状に成形された棒状体を原材料とするカニ脚肉様製品の製造方法であって、
前記棒状体を、前記長さ方向に対し第1の傾斜角度をもって所望の長さ毎に切断し、前記長さ方向に平行する端面を有する魚肉すり身片を形成する切断工程と、
前記魚肉すり身片を、包装用シートで包装する包装工程と、
前記端面を構成する複数の辺のうち、前記棒状体の底面に相当する辺(以下、底辺という。)を、この底辺の両端に位置する角部のうち、いずれか一方の角部を中心として回動させることで、前記底辺の対辺の両端に位置する角部(以下、対辺の角部という。)のうち、いずれか一方の角部を、前記魚肉すり身片が載置された載置面から上方へ遠ざかる方向に、起こし角度をもって回動移動させて起こす起こし工程と、
前記起こし工程において起こされた前記対辺の角部を押さえる押さえ工程と、を備えることを特徴とするカニ脚肉様製品の製造方法。 - 前記切断工程は、前記第1の傾斜角度に加え、水平面に対し第2の傾斜角度をもって前記棒状体を切断することを特徴とする請求項1記載のカニ脚肉様製品の製造方法。
- 前記切断工程と、前記包装工程の間に、前記魚肉すり身片同士の間隔を拡大する離隔工程を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のカニ脚肉様製品の製造方法。
- 前記包装工程は、前記切断工程と前記起こし工程の間に行われる代わりに、前記起こし工程の後に行われることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のカニ脚肉様製品の製造方法。
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