JP6173074B2 - 保護膜形成方法 - Google Patents
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Description
そして、このようなSOFC用セルでは、たとえば700〜900℃程度の作動温度で作動し、空気極側から燃料極側への電解質膜を介した酸化物イオンの移動に伴って、一対の電極の間に起電力が発生し、その起電力を外部に取り出し利用することができる。セル間接部材にはインターコネクタやインターコネクタを介してセル間を電気的に接続する部材が該当する。
一般的な成膜法としては、下記のようなものが挙げられる。
たとえば、ウエットコーティング法あるいは、ドライコーティング法によって形成することができる。
ウエットコーティング法としては、スクリーン印刷法、ドクターブレード法、スプレーコート法、インクジェット法、スピンコート法、ディップコート、電気めっき法、無電解めっき法、電着塗装法等が例示できる。また、ドライコーティング法としては、たとえば蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学気相成長(CVD)法、電気化学気相成長(EVD)法、イオンビーム法、レーザーアブレーション法、大気圧プラズマ成膜法、減圧プラズマ成膜法、溶射法等が例示できる。圧プラズマ成膜法、溶射法等が例示できる。
また、レーザーアブレーション法を採用すると、CVD・EVD法や溶射法に比べて、製造コストが高くなるため、現実的には、安価に保護膜を製造できる技術として、ウエットコーティング法が採用される場合が多い。
そこで、本発明者らは、特許文献2に記載のように、保護膜を焼成する際の昇温速度を制御することにより、膜厚比の増加を抑制する技術を提案している。
固体酸化物形燃料電池用セルに用いられるCrを含有する合金または酸化物の基材表面に、電着塗装法により保護膜を形成する保護膜形成方法であって、
前記基材の表面を電解研磨する電解研磨工程を行った後、
金属酸化物微粒子と樹脂組成物との混合液を用いて、金属酸化物微粒子と樹脂からなる被膜を形成する被膜形成工程を行い、
表面に前記被膜を形成してなる前記基材を、前記樹脂が前記被膜から燃焼除去される際の重量減少が安定する重量安定温度である500℃以上に保持された炉内に投入して前記被膜を焼成する焼成工程を行い、
さらに前記焼成工程で得られた被膜を焼結させて金属酸化物からなる保護膜を形成する焼結工程を行い、
前記樹脂がアクリル樹脂であり、
前記金属酸化物微粒子が(Zn 0.15 Co 0.85 ) 3 O 4 である点にある。
同士が凝集して被膜を形成した保護膜を形成することができる。
この場合、形成される保護膜が緻密で高強度であるとともに、基材に対する密着性が高く、基材に含まれるCrの飛散防止効果が高いという利点がある。
本発明にかかるSOFC用セル接続部材およびその製造方法の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1および図2に示すSOFC用セルCは、酸化物イオン電導性の固体酸化物の緻密体からなる電解質膜30の一方面側に、酸化物イオンおよび電子電導性の多孔体からなる空気極31を接合するとともに、同電解質膜30の他方面側に電子電導性の多孔体からなる燃料極32を接合してなる単セル3を備える。
このセルスタックにおいて、積層方向の両端部に配置されたセル接続部材1は、燃料流路2bまたは空気流路2aの一方のみが形成されるものであればよく、その他の中間に配置されたセル接続部材1は、一方の面に燃料流路2bが形成され他方の面に空気流路2aが形成されるものを利用することができる。なお、かかる積層構造のセルスタックでは、上記セル接続部材1をセパレータと呼ぶ場合がある。
このようなセルスタックの構造を有するSOFCを一般的に平板型SOFCと呼ぶ。本実施形態では、一例として平板型SOFCについて説明するが、本願発明は、その他の構造のSOFCについても適用可能である。
前記セル接続部材1の基材としては、図1、図3に示すように、各単セル3の間に空気流路2a、燃料流路2bを形成しつつ接続可能にする溝板状に形成してあるものを用いる。このような基材表面の加工を行う方法としては、棒状あるいは板状の基材を圧延加工する、エッチング加工する、等種々公知の工程を採用することができる。
前記保護膜12は、たとえば、Crを22%含むフェライト系ステンレス鋼等からなる前記基材11の表面に凹凸面を形成するエッチング工程を行うとともに、その基材表面に電解研磨を施す電解研磨工程を行ったのち、たとえば、ZnCo2O4や(Zn0.15Co0.85)3O4やCo−Mn系スピネル等の金属酸化物微粒子と樹脂とを含んでなる被膜を形成し、その被膜を焼成して前記電着塗膜中の樹脂成分を焼失させた焼成被膜を形成する焼成工程を行い、さらに前記焼成被膜を焼結させて金属酸化物からなる保護膜12を形成する焼結工程を行うことにより形成されている。前記被膜を形成するにはアニオン電着塗装法により電着塗膜を形成する電着工程を採用することができ、樹脂としてはポリアクリル酸等のアニオン型樹脂を、金属酸化物微粒子との混合比(質量比)で(金属酸化物微粒子:アニオン型樹脂)=(0.5:1)〜(3:1)の割合で含有している混合液を用いることができる。
まず、比較例として、基材にエッチング加工により凹凸面を形成するとともに、電解研磨を行うことなく
(Zn0.15Co0.85)3O4[粒子径0.5μm]等の金属酸化物微粒子を電着液1リットル当り100gになるように分散し、ポリアクリル酸等のアニオン型樹脂とを含有している混合液を用いて電着塗装を行った。ここでは、(金属酸化物微粒子:アニオン型樹脂)=(1:1)(質量比)とした。
電着塗装条件も特に制限されず、基材11である金属の種類、前記混合液の種類、通電槽の大きさおよび形状、得られるセル接続部材1の用途などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるが、通常は、浴温度(前記混合液温度)10〜40℃程度、印加電圧10〜450V程度、電圧印加時間1〜10分程度、前記混合液の液温10〜40℃とすればよい。
なお、電着電圧、電着時間を変更することにより電着塗膜の膜厚をコントロールできる。また、基材に対して、種々前処理を行うこともできる。
前記混合液として(Zn0.15Co0.85)3O4微粒子:樹脂=1:1(質量比)のものを用いて形成した電着塗膜を、350℃の電気炉に投入し、1hr保持し、前記電着塗膜を乾燥硬化させた。次に500℃まで1hrで昇温し、2hr保持して、前記電着塗膜中の樹脂成分を焼失させた(焼成工程)。さらに、1000℃まで2hrで昇温し、2hrその温度で保持して前記電着塗膜中の金属酸化物微粒子を焼結させて、その後電気炉電源をOFFして徐冷した。すなわち、図4(1)に太実線で示す昇温過程を経て、加熱処理、焼成工程および焼結工程を行った。これにより、基材11に対して密着力があり、かつ緻密な保護膜12を形成したセル接続部材試験片を得た。この場合、前記基材を前記樹脂が軟化流動化する下限温度よりも低い硬化状態維持温度から、前記樹脂が軟化流動化する上限温度よりも高く、前記樹脂を前記被膜から燃焼除去可能な樹脂焼失温度に達するまでに極めて短時間(1分以内)で昇温過程が完了し、前記樹脂成分が焼失しはじめることになっている。
上記比較例1で用いた基材に対して、電解研磨処理を行い、同様に試験を行った。
電解処理により、図3(a)に示す電解処理のない鋭利なバリを有する状態から、圧延面、エッチング面ともに滑らかになり、図3(b)のようにエッジ部分においても尖った部分がなく、なめらかな面が形成される。
(Zn0.15Co0.85)3O4[粒子径0.5μm]等の金属酸化物微粒子を電着液1リットル当り100gになるように分散し、ポリアクリル酸等のアニオン型樹脂とを含有している混合液を用いて電着塗装を行った。ここでは、(金属酸化物微粒子:アニオン型樹脂)=(1:1)(質量比)とした。
前記混合液を用い、基材11をプラス、対極としてSUS304の極板にマイナスの極性として通電を行うことによって、基材11表面に未硬化の電着塗膜が形成される。
電着塗装は、公知の方法に従い、たとえば、前記混合液を満たした通電槽中に基材11を完全にまたは部分的に浸漬して陽極とし、通電することにより実施される。
電着塗装条件も特に制限されず、基材11である金属の種類、前記混合液の種類、通電槽の大きさおよび形状、得られるセル接続部材1の用途などの各種条件に応じて広い範囲から適宜選択できるが、通常は、浴温度(前記混合液温度)10〜40℃程度、印加電圧10〜450V程度、電圧印加時間1〜10分程度、前記混合液の液温10〜40℃とすればよい。
なお、電着電圧、電着時間を変更することにより電着塗膜の膜厚をコントロールできる。また、基材に対して、種々前処理を行うこともできる。
この未硬化の電着塗膜が形成された基材11に加熱処理することによって、基材11表面に硬化した電着塗膜が形成される。
加熱処理は、電着塗膜を乾燥させる予備乾燥と、電着塗膜を硬化させる硬化加熱とを含み、予備乾燥後に硬化加熱が行われる。
前記混合液として(Zn0.15Co0.85)3O4微粒子:樹脂=1:1(質量比)のものを用いて形成した電着塗膜を、350℃の電気炉に投入し、1hr保持し、前記電着塗膜を乾燥硬化させた。次に500℃まで1hrで昇温し、2hr保持して、前記電着塗膜中の樹脂成分を焼失させた(焼成工程)。さらに、1000℃まで2hrで昇温し、2hrその温度で保持して前記電着塗膜中の金属酸化物微粒子を焼結させて、その後電気炉電源をOFFして徐冷した。すなわち、図4(1)に太実線で示す昇温過程を経て、加熱処理、焼成工程および焼結工程を行った。これにより、基材11に対して密着力があり、かつ緻密な保護膜12を形成したセル接続部材試験片を得た。この場合、前記基材を前記樹脂が軟化流動化する下限温度よりも低い硬化状態維持温度から、前記樹脂が軟化流動化する上限温度よりも高く、前記樹脂を前記被膜から燃焼除去可能な樹脂焼失温度に達するまでに極めて短時間(1分以内)で昇温過程が完了し、前記樹脂成分が焼失しはじめることになっている。
上記比較例2で用いた基材を、図4(2)に示す昇温過程を経て、加熱処理、焼成工程および焼結工程を行った。すなわち、電着塗膜を形成した基材を、500℃の電気炉に投入し、2時間保持し、前記電着塗膜を乾燥硬化させるとともに、前記電着塗膜中の樹脂成分を焼失させた(焼成工程)。さらに、1000℃まで2hrで昇温し、2hrその温度で保持して前記電着塗膜中の金属酸化物微粒子を焼結させて、その後電気炉電源をOFFして徐冷した。これにより、保護膜12を形成したセル接続部材を得た。
上記実施例における加熱処理温度の違いにより保護膜の性質が大きく変化する要因を検証する実験を行った。
実施例と同様にして基材表面に被膜を形成する際の重量変動及び熱フローをTG/DTA分析した結果を図5に示す。なお、実験は空気中で行い、昇温速度は10℃/分とした。
なお、ひびや剥離は、被膜中に含まれる気泡成分を起点に生じると思われるが、樹脂を消失する時間が短い時、ひびや剥離が進展するために必要な時間よりも十分短く、そのために良好な被膜が得られると推測される。
2 :溝
2a :空気流路
2b :燃料流路
3 :単セル
11 :基材
12 :保護膜
30 :電解質膜
31 :空気極
32 :燃料極
C :SOFC用セル
Claims (1)
- 固体酸化物形燃料電池用セルに用いられるCrを含有する合金または酸化物の基材表面に、電着塗装法により保護膜を形成する保護膜形成方法であって、
前記基材の表面を電解研磨する電解研磨工程を行った後、
金属酸化物微粒子と樹脂組成物との混合液を用いて、金属酸化物微粒子と樹脂からなる被膜を形成する被膜形成工程を行い、
表面に前記被膜を形成してなる前記基材を、前記樹脂が前記被膜から燃焼除去される際の重量減少が安定する重量安定温度である500℃以上に保持された炉内に投入して前記被膜を焼成する焼成工程を行い、
さらに前記焼成工程で得られた被膜を焼結させて金属酸化物からなる保護膜を形成する焼結工程を行う保護膜形成方法であり、
前記樹脂がアクリル樹脂であり、
前記金属酸化物微粒子が(Zn 0.15 Co 0.85 ) 3 O 4 である保護膜形成方法。
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