JP5451469B2 - 燃料電池用インターコネクタの製造方法 - Google Patents

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本発明は、ステンレス鋼を主成分とする基材に酸化コバルトを主成分とする被膜を形成してなる固体酸化物型燃料電池(以下SOFCと略称する)用インターコネクタの製造方法に関する。
SOFC用セルは、電解質膜の一方面側に空気極を接合すると共に、同電解質膜の他方面側に燃料極を接合してなる単セルを、空気極又は燃料極に対して電子の授受を行う一対の電子導電性の合金等により挟み込んだ構造を有する。
しかしながら、かかるセルは、一つのセルで発生させることができる起電力が小さいため、通常の燃料電池においては、セルとセルの間に導電性のインターコネクタを介装しつつ複数のセルを積層することによって該単位セルを直列に接続し、その両端より所望の起電力を発生させるように構成される。
前記インターコネクタは、例えばSOFCにおいて、電解質膜の一方面側に空気極を接合すると共に、同電解質膜の他方面側に燃料極を接合してなるセルを、空気極又は燃料極に対して電子の授受を可能に挟み込んで用いられる電子導電性の合金等の基材からなり、セパレータとも呼ばれる。
かかるインターコネクタを用いて製造されるSOFC用セルは、例えば700〜900℃程度の作動温度で作動し、空気極側から燃料極側への電解質膜を介した酸化物イオンの移動に伴って、一対の電極の間に起電力が発生し、その起電力を外部に取り出し利用することができる。
このようなSOFC用セルで利用されるインターコネクタは、通常前記基材をプレス加工により所定形状に成型した後、前記基材と空気極及び燃料極との間の接触抵抗をできるだけ小さくする、後述するクロム被毒を抑制する、などの目的で、必要に応じて表面処理され、さらに、酸化チタンなどの単一系酸化物に不純物をドープしてなるn型半導体被膜等を形成することが行われている。(例えば、特許文献1を参照。)
国際公開WO2007/083627号パンフレット
クロム成分を含有する合金等と空気極とを接合してなるSOFC用セルでは、作動時等において合金等が高温にさらされることで、その合金等に含まれるクロム成分が空気極側に飛散して、空気極が劣化する(以下クロム被毒と称する)という問題がある。
このような空気極のクロム被毒は、空気極における酸化物イオンの生成のための酸素の還元反応を阻害し、空気極の電気抵抗を増加させ、更には基材のクロム成分濃度を減少させることにより基材の耐熱性の低下などの問題を引き起こし、結果、SOFCの性能低下を招く場合がある。
そのため、合金表面にクロム被毒を抑制するための表面処理を行う場合がある。表面処理により、合金基材中に含まれるクロム成分が、酸化されて6価の酸化物になり、飛散しやすくなるのを抑制する役割を果たすものである。
しかし、上記表面処理を目的として酸化コバルト被膜を前記基材の表面に設けた場合、クロム成分の飛散は防止できるものの、前記基材の耐酸化性能が低下する場合があることがわかってきた。これは、酸化コバルト被膜を、(1)基材に対してコバルトメッキを行いコバルトメッキ層を設ける、(2)そのコバルトメッキ層を酸化させ、酸化コバルト被膜とするという手順(以下メッキ酸化法という)で設けた場合に、明らかな耐酸化性能の低下が観測されたことによる。
そこで、本発明の目的は、インターコネクタの基材にメッキ酸化法にて酸化コバルト被膜を形成した場合でも、前記基材の耐酸化性を低下させにくくする技術を提供することにある。さらに言えば、インターコネクタの基材の耐酸化性の向上と、クロム成分の揮散に代表されるインターコネクタに接続される部材に対する悪影響の防止を両立させる点にある。
本発明者らは鋭意研究の結果、上記耐酸化性の低下は、前記インターコネクタの基材がプレス加工されているような場合に、プレス加工により表面が緻密かつ整った状態になっているような部分には、耐酸化性の低下があまり見られないものの、プレス加工された基材の側面など、表面が荒れた状態になっていると思われる部分で耐酸化性の低下が大きく発現することを見出し、耐酸化性の低下には、基材の表面状態が大きく関与していることを新たに見出した。つまり、前記基材に金属コバルトのメッキ層を形成した場合そのメッキ層は、基材表面を覆って形成されるものの、そのメッキ層を酸化して酸化コバルト被膜に変換する際、次の二つの反応が同時に起こっていると考えられる。
(a)金属コバルトが酸化コバルトに酸化される反応
(b)金属コバルトが基材の合金へ拡散する反応
(a)の反応が優先的に起こると、基材の合金表面に酸化コバルト層が形成され、目的とする耐久性の向上が実現できるが、(b)の反応が優先して起こると、合金表層部のクロム濃度がコバルトが拡散したことにより低下し、目的とする耐久性の向上は困難になる。また、(b)の反応は、基材の合金表面状態により、大きく異なると考えられる。
つまり、緻密で整った状態の基材表面には酸化コバルトは拡散浸入しにくく、荒れた表面には酸化コバルトが浸入しやすいために、プレス加工された基材の側面などで耐酸化性の低下が大きく観測されるものと考えられる。
〔構成〕
本発明に係るインターコネクタの製造方法の特徴構成は、ステンレス鋼を主成分とする基材に酸化コバルトを主成分とする被膜を形成してなる燃料電池用インターコネクタの製造方法であって、
(1)プレス成型したステンレス鋼からなる基材を、前記基材のプレス成型により生じた切断側面の表面粗さが、Ra1.2μm以下に平滑化されるまで電解研磨する研磨工程ののち、
(2)電解研磨された前記基材に金属コバルトをメッキするメッキ工程を行い、
(3)前記メッキ工程により形成されたメッキ層を酸化雰囲気下で酸化する酸化工程を行って、前記金属コバルトのメッキ層を酸化コバルトの被膜に変換する
点にある
〔作用効果〕
つまり上記新知見によると、前記研磨工程によりプレス成型したステンレス鋼からなる基材を、前記基材のプレス成型により生じた切断側面の表面粗さ(緻密さ、研磨状態)
を改善することによって、前記基材の耐酸化性を向上することができる。ここで、荒れの改善のために電解研磨を行うから、簡易に、かつ、複雑形状の基材であっても、全面に渡って均一に基材表面の研磨ができることになり、表面が良好に研磨されたインターコネクタ用基材が得られる。
尚、本願に言う電解研磨は、酸を主成分とする電解研磨液中で基材に通電しつつ加熱することにより、電気化学的に基材表面の凹凸を溶解し、平滑化するものである。
電解研磨では、通電用の設備が後述のメッキ工程と共通するため、設備コストを低く導入できる。また、機械研磨と異なって研磨工程で付着する粒子等がないことから機械研磨より処理後の洗浄に気を使わなくても良い利点がある。また、電解研磨によると、クロム酸化物被膜を有するステンレス鋼基材のような場合、基材表面のクロム濃度が向上し、基材の耐酸化性が向上する利点もある。
この基材にメッキ工程を行うと、前記基材表面に比較的薄い金属コバルトのメッキ層を形成することができる。メッキ方法としては、電気メッキ、無電解メッキが挙げられ、いずれを用いても比較的簡便に金属コバルトの薄い層を形成することができるが、無電解メッキでは、基材表面に電解液由来のリン、ホウ素等が含まれ、メッキ層を酸化雰囲気下で酸化する酸化工程を行って、前記金属コバルトのメッキ層を酸化コバルトの皮膜に変換する際にリンやホウ素が合金基材に拡散し、耐酸化性を低下させる懸念があるため、これらの元素を含まない電気メッキが好ましい。
前記メッキ層は、高温酸化雰囲気で酸化させることにより、酸化コバルト被膜に変換することができる。メッキ工程で得られるメッキ層は、通常薄い被膜とすることができるので、酸化工程によって、メッキ層全体が酸化コバルトの被膜に変換される。なお、電気メッキは、基本的に膜厚均一性が高い成膜方法であるが、電気メッキの特性として、プレス加工時等に生じるうち抜き面のエッジ部などのとがった箇所には平滑な圧延面よりもメッキ時の電流密度が高くなる傾向があるため、エッジ部は圧延面よりも膜厚がやや大きくなりやすい。高温作動時には、エッジ部は圧延面などの平滑な部位よりも酸化劣化が進みやすい。そのため、電気メッキのエッジ部が優先的に厚く成膜される特性は耐久性を確保する上で有利に働く。
これにより、基材表面に均一な酸化コバルト被膜を簡便に形成することができるとともに、その酸化コバルト被膜により、良好な電気伝導性、ステンレス鋼成分の拡散防止を実現しながら、前記基材は、前の研磨工程を経ているので、前記酸化コバルトによる前記基材の耐酸化性低下を抑制することができることになる。
先述の、プレス加工されたステンレス鋼材からなるインターコネクタ用の基材の場合、プレス成型された圧延面では酸化コバルトの基材への浸入がほとんどなく、側面では浸入が観測されたことから、研磨工程では、プレス成型したステンレス鋼からなる基材を、前記基材のプレス成型により生じた切断側面の表面粗さが、Raが0.2μm以下まで研磨することが理想的であるが、実際には、Ra 1.2μm以下であれば効果は確認される。
また、メッキ層の厚さは、酸化工程によりメッキ層全体が均一に酸化コバルト被膜に変換される厚さとして0.5μm以上5.0μm以下が好ましい。0.5μm未満であると、前記メッキ層の均一性に問題が生じやすくなるとともに、薄すぎて劣化を抑制するための表面処理としての効果が不十分となる。5.0μmを超えると前記メッキ層が、全体的に酸化されにくくなり、前記メッキ層が基材表面へ拡散して合金化したり、剥がれやすくなったりする問題が生じやすくなるためである。
また、酸化工程は、前記メッキ層が全体として酸化コバルト被膜に変換される条件を選定すれば良いが、大気中500℃以上1000℃以下で1時間以上50時間以下熱処理を行うことにより、前記メッキ層を均一かつ酸化劣化しにくい酸化コバルト被膜に変換することができるので好ましい。尚、500℃未満とすると酸化が進行しにくくメッキ層全体が均一な酸化コバルト被膜となるのに時間を要するとともに、1000℃を超えるとステンレス鋼材からなる基材自体が酸化を受け始めるので好ましくない。また、これに要する時間は、同様の理由から1時間以上50時間以下の熱処理時間とすることが好ましい。即ち、1時間未満では、比較的高温でも酸化が進行しにくく熱処理条件のバラツキを抑えることが困難になる一方、50時間を超えると酸化が進行しすぎ、ステンレス鋼材からなる基材自体が酸化を受け始めるので好ましくない。
SOFC用セルの各要素の分解状態を示す概略斜視図である。 SOFC用セルの作動原理を説明する図である。 電解研磨された基材に酸化コバルト被覆を形成したインターコネクタのコバルト元素分布図である。 電解研磨されていない基材に酸化コバルト被覆を形成したインターコネクタのコバルト元素分布図である。 実施例1で得られたインターコネクタ断面における基材中へのコバルト成分拡散状況を示す図である。 実施例2で得られたインターコネクタ断面における基材中へのコバルト成分拡散状況を示す図である。 実施例3で得られたインターコネクタ断面における基材中へのコバルト成分拡散状況を示す図である。 比較例2で得られたインターコネクタ断面における基材中へのコバルト成分拡散状況を示す図である。 比較例3におけるコバルトメッキの光学顕微鏡写真である。 実施例4におけるコバルトメッキの光学顕微鏡写真である。 図5〜8において(a)は鉄成分の元素分布図、(b)はコバルト成分の元素分布図であり(a)、(b)ともに試料片側面の断面を電子線マイクロアナライザー(EPMA)により分析したものである。
本発明に係るインターコネクタの製造方法をSOFC用セルに用いられるインターコネクタの実施の形態を例に、図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すSOFC用セルCは、酸化物イオン電導性の固体酸化物の緻密体からなる電解質膜30の一方面側に、酸化物イオン及び電子電導性の多孔体からなる空気極31を接合すると共に、同電解質膜30の他方面側に電子電導性の多孔体からなる燃料極32を接合してなる単セル3を備える。
更に、SOFC用セルCは、この単セル3を、空気極31又は燃料極32に対して電子の授受を行うと共に空気及び水素を供給するための溝2が形成された一対の電子電導性の合金又は酸化物からなるインターコネクタ1により、適宜外周縁部においてガスシール体を挟持した状態で挟み込んだ構造を有する。そして、空気極31側の上記溝2が、空気極31とインターコネクタ1とが密着配置されることで、空気極31に空気を供給するための空気流路2aとして機能し、一方、燃料極32側の上記溝2が、燃料極32とインターコネクタ1とが密着配置されることで、燃料極32に水素を供給するための燃料流路2bとして機能する。
尚、上記SOFC用セルCを構成する各要素で利用される一般的な材料について説明を加えると、例えば、上記空気極31の材料としては、LaMO3(例えばM=Mn,Fe,Co)中のLaの一部をアルカリ土類金属AE(AE=Sr,Ca)で置換した(La,AE)MO3のペロブスカイト型酸化物を利用することができ、上記燃料極32の材料としては、Niとイットリア安定化ジルコニア(YSZ)とのサーメットを利用することができ、更に、電解質膜30の材料としては、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を利用することができる。
更に、上記SOFC用セルCでは、インターコネクタ1の材料としてフェライト系ステンレス鋼であるFe−Cr合金や、オーステナイト系ステンレス鋼であるFe−Cr−Ni合金が利用されている。
そして、複数のSOFC用セルCが積層配置された状態で、複数のボルト及びナットにより積層方向に押圧力を与えて挟持され、セルスタックとなる。
このセルスタックにおいて、積層方向の両端部に配置されたインターコネクタ1は、燃料流路2b又は空気流路2aの一方のみが形成されるものであればよく、その他の中間に配置されたインターコネクタ1は、一方の面に燃料流路2bが形成され他方の面に空気流路2aが形成されるものを利用することができる。
このようなセルスタックの構造を有するSOFCを一般的に平板型SOFCと呼ぶ。本実施形態では、一例として平板型SOFCについて説明するが、本願発明は、その他の構造のSOFCについても適用可能である。
そして、このようなSOFC用セルCを備えたSOFCの作動時には、図2に示すように、空気極31に対して隣接するインターコネクタ1に形成された空気流路2aを介して空気を供給すると共に、燃料極32に対して隣接するインターコネクタ1に形成された燃料流路2bを介して水素を供給し、例えば750℃程度の作動温度で作動する。すると、空気極31においてO2が電子e-と反応してO2 -が生成され、そのO2 -が電解質膜30を通って燃料極32に移動し、燃料極32において供給されたH2がそのO2 -と反応してH2Oとe-とが生成されることで、一対のインターコネクタ1の間に起電力Eが発生し、その起電力Eを外部に取り出し利用することができる。
また、このSOFC用セルCは、その製造工程において、インターコネクタ1と空気極31及び燃料極32との間の接触抵抗をできるだけ小さくするなどの目的で、それらを積層配置した状態で、作動温度よりも高い1000℃〜1150℃程度の焼成温度で焼成する焼成処理を行う場合がある。
そして、上記のようにクロム成分を含有する合金等からなるインターコネクタ1と空気極31とを接合してなるSOFC用セルCでは、焼成処理時又は作動時において、高温にさらされることで、インターコネクタ1に含まれるクロム成分が酸化蒸発して空気極31側に飛散し、その空気極31のクロム被毒が発生するという問題がある。
また、このようなクロム被毒は、インターコネクタ1に含まれるクロム成分やそのクロム成分が酸化して生成されたクロム(III)の酸化物であるCr23が、空気極31側等に存在するO2やH2Oにより酸化して、気相状態のクロム(VI)の酸化物であるCrO3やCrO2(OH)2が生成され、そのクロム(VI)の酸化物が空気極31側に移動して電解質膜30との界面付近や電極内で還元されてCr23として、又は空気極31との反応によるクロム化合物として析出することで発生する。尚、水蒸気存在下では、CrO2(OH)2が生じやすく、クロム(VI)が飛散しやすくなる。
そして、このように空気極31のクロム被毒が発生すると、作動時において、空気極31と電解質膜30との界面や電極内部で起こるO2 -の生成のための酸素の還元反応が阻害されてしまい、更には、このクロム成分が空気極31にドープされているSrやCaなどを奪ってSrCr24、SrCrO4やCaCr24、CaCrO4などの高抵抗化合物が形成され、また、SrやCaが無くなることによる空気極31自身の電気抵抗が増加することで、SOFCの性能低下を招く場合がある。また、合金等に含有されているクロム成分量が減少し(クロム枯れ)、合金等自体の耐熱性が低下する場合もある。
本発明に係るSOFC用セルCでは、空気極31のクロム被毒の発生を良好に抑制し、且つ合金等のクロム枯れを抑制する酸化コバルト被膜を備えたインターコネクタを提供すると同時に、前記酸化コバルト被膜を構成するコバルト成分が前記インターコネクタ内に拡散するのを抑制するための特徴を有しており、その詳細について以下に説明する。
かかるSOFCは、インターコネクタ1に含まれるクロム成分におけるクロム(VI)の酸化物の生成を抑制するべく、インターコネクタ1の表面に、酸化コバルト被膜を、
(1)プレス成型したステンレス鋼からなる基材を、前記基材のプレス成型により生じた切断側面の表面粗さが、Ra1.2μm以下に平滑化されるまで電解研磨する研磨工程
(2)電解研磨された前記基材に金属コバルトをメッキするメッキ工程
(3)前記メッキ工程により形成されたメッキ層を酸化雰囲気下で酸化して、前記金属コバルトのメッキ層を酸化コバルトの被膜に変換する酸化工程
を順に行うことにより形成する。
前記研磨工程は、電解研磨により行う。電解研磨は、りん酸、硫酸を主成分とする電解研磨液中で、加温条件下、前記基材を陽極として電解処理を行う。研磨後の基材表面は、表面粗さが最も大きい部分でRa1.2μm以下を目標値とする。
前記メッキ工程は、前記基材にコバルトメッキを行うことによりメッキ層を形成する。前記メッキ層の厚さは、0.5μm〜5.0μmとした。
前記酸化工程は、前記メッキ層を形成した基材を、酸化性雰囲気下で、500℃以上1000℃以下の高温に1時間以上50時間以下処理することによって行う。この酸化工程により、前記メッキ層は、酸化を受け、メッキ層全体が、酸化コバルトに変換された状態となる。
ここで酸化コバルト(Co3O4)の平衡解離酸素分圧(金属と酸素などの単体から作られる酸化物の標準生成自由エネルギーから求められる値であって、エリンガム図から算出される値である)は、750℃において3.44×10−13atmであり、インターコネクタ1に含まれるクロム成分が、価数が6+のクロム(VI)となって酸化することが抑制されるので、気相状態のクロム(VI)の酸化物であるCrO3やCrO2(OH)2の生成が充分に抑制され、そのクロム(VI)の酸化物の空気極31側への移動に起因する空気極31のCr被毒の発生を良好に抑制することができる。また、合金等のクロム成分含有量の低下(クロム枯れ)も抑制できるため、合金等自体の耐熱性の低下も抑制できる。
次に、酸化工程の際にインターコネクタ1に対してコバルト成分が拡散するのを抑制するために行うインターコネクタ製造方法を具体的に説明する。
〔研磨工程〕
インターコネクタの基材としてクロム鋼を用いプレス加工により所定形状のインターコネクタ用基材とした。この基材の圧延面の表面粗さは、Ra0.2μm、切断側面の表面粗さはRa2.7μmであった。
次に、前記基材を電解研磨により、前記切断側面の表面粗さが、Ra1.2μmに平滑化されるまで電解研磨を行った。
〔メッキ工程〕
次に、研磨工程を経た基材にコバルトメッキをする。比較として、前記研磨工程を行っていない基材に対してもコバルトメッキを行った(比較例1)。メッキは、前記基材の表面に、圧延面、側面ともに2μmのコバルトのメッキ層が形成されるまで電気メッキを行った。
〔酸化工程〕
前記めっき工程により形成されたメッキ層を種々の酸化条件で酸化工程を行った。比較として酸化工程を行わなかったものも用意した(比較例2)。以下に酸化条件を示す。
○酸化条件
実施例1 500℃ 48時間
実施例2 800℃ 2時間
実施例3 1000℃ 2時間
比較例1 800℃ 2時間(電解研磨なし)
比較例2 酸化工程なし
上記実施例1〜3および比較例1、2において得られたインターコネクタを耐久試験に供した後、インターコネクタを切断しての断面における基材中へのコバルト成分拡散状況を調べたところ図3、4のようになった。尚、コバルト成分の拡散状況は、電子線マイクロアナライザー(EPMA)により分析した。耐久試験は、下記条件で行った。
○耐久試験
雰囲気 大気雰囲気中
加熱温度 900℃
電流 0.3A/cm2の直流電流
時間 285時間保持
図3,4より、実施例2および比較例1を比較すると、電解研磨を行った基材(図3)は、圧延面からも側面からも基材中へのコバルト(図中濃点)の拡散が見られず、良好な酸化コバルト被覆が形成されていることがわかった。これに対し、比較例1のもの(図4)は、側面からコバルトの拡散が観測され、基材表面のクロム濃度が相対的に低下していることが読み取れる。
また、電解研磨を行わない基材側面の表面粗さではコバルト成分の拡散を抑制できないが、基材の圧延面程度の表面粗さや、電解研磨を行った後の基材側面の表面粗さであればコバルト成分の拡散が抑制できているので、基材の表面粗さは、表面粗さがRa=1.2μm以下であることが好ましいことがわかる。
実施例1〜3、および比較例2で得られたインターコネクタ断面における基材中へのコバルト成分拡散状況を調べたところ図5〜図8のようになった。
図5〜8において左図(a)における濃色部分が鉄の分布を示し、右図(b)における濃色部分がコバルトの分布を示す。即ち、A領域がコバルトメッキの酸化された酸化被覆、B領域がステンレス鋼基材である。各図において、B領域にコバルト成分の拡散が観測されている(鉄が主成分の領域にコバルトが観測されている)が、実施例2(図6)においてコバルトの拡散が最も少ない結果となっていることがわかる。比較例2(図8)において、酸化工程が無いと耐久試験(実使用環境)でメッキ層が酸化コバルトの被膜に変化する際に、基材への拡散が起き、基材の酸化耐久性の低下が発生していることがわかる。また、実施例3(図5)では、低温長時間である場合にも、コバルトの拡散抑制効果は十分に高くないことがわかる。さらに、酸化条件が強い実施例3では、実施例2よりもコバルト成分の拡散傾向が強まっていることがわかり、酸化工程を行う酸化条件は、大気中500℃以上1000℃以下で1時間以上50時間以下熱処理が好ましいことがわかる。
〔比較例3〕
コバルト電気メッキを5μm施した後、800℃×2hr酸化工程を行った。
外観写真を図9に示す。このように、メッキ層の剥がれが見られた。
実施例4
コバルト電気メッキを2μm施した後、800℃×2hr酸化工程を行った。
外観写真を図10に示す。外観上、メッキ層の剥がれは見られず、良好であった。
尚、各実施例からもコバルトメッキ層の厚さは2μmで十分耐久試験に耐え、基材の酸化劣化、クロム成分の飛散を抑制していること、および、5μmを超えるとメッキのはがれが生じ始めること、および、均一にメッキ層を形成できる厚みの限界などから、0.5μm以上5.0μm以下程度であることが好ましいことがわかった。
本発明にかかるインターコネクタの製造方法により製造されたインターコネクタは、クロム成分の飛散を抑制するとともに、基材表面におけるコバルト成分の拡散を防止して、前記基材の耐酸化性の低下を抑制することができるようになりSOFC用セルとして有効に利用可能である。
1:インターコネクタ(合金又は酸化物)
1a:境界面
2a:空気流路
2:溝
2b:燃料流路
3:単セル
30:電解質膜
31:空気極
32:燃料極
C:SOFC用セル(固体酸化物形燃料電池用セル)

Claims (3)

  1. ステンレス鋼を主成分とする基材に酸化コバルトを主成分とする被膜を形成してなる燃料電池用インターコネクタの製造方法であって、
    プレス成型したステンレス鋼からなる基材を、前記基材のプレス成型により生じた切断側面の表面粗さが、Ra1.2μm以下に平滑化されるまで電解研磨する研磨工程ののち、
    電解研磨された前記基材に金属コバルトをメッキするメッキ工程を行い、
    前記メッキ工程により形成されたメッキ層を酸化雰囲気下で酸化する酸化工程を行って、前記金属コバルトのメッキ層を酸化コバルトの被膜に変換する
    燃料電池用インターコネクタの製造方法。
  2. 前記金属コバルトのメッキ層の厚さが0.5μm以上5.0μm以下である請求項1に記載の燃料電池用インターコネクタの製造方法。
  3. 前記酸化工程が、大気中500℃以上1000℃以下で1時間以上50時間以下熱処理を行うものである請求項1または2に記載の燃料電池用インターコネクタの製造方法。
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