JP6172900B2 - 列車速度計測装置 - Google Patents
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Description
また、本発明に係る列車速度計測装置は、レール上を走行する列車に搭載され、一対の電磁波送信部それぞれから前記レールに向けて電磁波を送信し、前記レールからの反射波に基づいて前記列車の速度を計測する列車速度計測装置であって、前記一対の電磁波送信部は、指向方向が前記列車の左右方向及び前後方向の双方において前記レールに斜めに交差し、前記列車の前後方向において面対称をなして1本のレールに2方向から電磁波を照射するよう配置される。
図1は、レール上を走行する列車(鉄道車両)に搭載され、反射波を利用して当該列車の速度(対地速度)を計測するレーダ式列車速度計測装置の一例を示す。
図1において、左右一対のレール(軌条)1は、路盤2上に枕木3を介して設けられ、車輪4を介して列車5の加重を支持し、かつ、列車5を誘導走行させる。
列車速度計測装置7は、ドップラ効果を利用するドップラ式速度計であり、電磁波を送信する電磁波送信部71と、反射波を受信する反射波受信部72とを含み、反射波の周波数に基づき列車5の速度(対地速度)を計測する。
尚、図1には、角度θを、列車5の側方から見た場合の列車5の走行方向(速度方向)と電磁波送信部71の電磁波の指向方向とがなす角度として示したが、数1で用いる角度θは、図3〜図12における列車5の側方から見た場合の列車5の走行方向(レール1)と電磁波送信部71の電磁波の指向方向とがなす角度θ3の他、レール1を真上から見たときのレール1と電磁波送信部71の電磁波の指向方向とがなす角度θ1、レール1の横断面に直交する方向から見たときのレール1の踏み面と電磁波送信部71の電磁波の指向方向とがなす角度θ2などを考慮し、更には、電磁波送信部71とレール1との距離などの要素も考慮した値とする。
そして、電磁波送信部71を列車5に設置する場合には、上記の3つの角度θ1〜θ3及びレール1との距離が適切になるように、電磁波送信部71の設置位置、指向方向が調整される。
図2において、電磁波送信部71は、送信電磁波発生部71a、送信電磁波発生部71aが発生した電磁波を増幅する増幅部71b、増幅部71bで増幅された電磁波(周波数f0)を送信する送信アンテナ71cを含む。
そして、処理部73は、復調部71bが出力するドップラ周波数fd成分を入力し、数1に従って列車5の速度Vを演算し、演算した速度Vの信号を出力する。
送信アンテナ71cからレール1に向けて送信する電磁波としては、周波数が30〜300GHzの電磁波であるミリ波(60GHz帯)を用いることができる。周波数の高い電磁波を用いることで、電磁波の指向性を高め、速度Vの検出精度を高めることができる。
また、送信と受信とを交互に実施することで、1つのアンテナを送信と受信とに共用することができる。
路盤2などからの反射波に基づいて列車5の速度Vを計測する場合、列車5が橋梁を走行するときに、枕木3の間の隙間部分で反射波を受信できず、速度計測が行えなくなってしまうが、レール1は橋梁部分でも途切れることなく連続して設けられるため、橋梁部分でも継続した速度計測が可能である。
図3は、レール1の踏面(頭頂部)1aからの反射波に基づいて速度計測を行わせる場合の送信アンテナ71c及び受信アンテナ72aの配置の一例を示す。
そして、レール1を真上から見た場合に、列車5の前後方向、換言すれば、レール1の延設方向に略沿って電磁波が照射されるように、送信アンテナ71cの左右方向における指向方向を設定してある。換言すれば、送信アンテナ71cの指向方向とレール1の延設方向とが平行で、送信アンテナ71cの指向方向とレール1の延設方向とがなす角度θ1が0degになるようにしてある。
これにより、レール1の横断面に直交する方向から見たときに、図3(B)に示すように、レール1の踏面1aに対して電磁波が略直角に照射されることになる。換言すれば、送信アンテナ71cの指向方向とレール1の踏面1aとがなす角度θ2が90degになるようにしてある。
そして、送信アンテナ71cから送信され、レール1の踏面1aで反射する電磁波のうち、送信アンテナ71c側に戻るように反射する反射波が、受信アンテナ72aに受信されるように、受信アンテナ72aの指向方向を送信アンテナ71cの指向方向と略平行に設定してある。
これに対し、図3に示すように、送信アンテナ71c及び受信アンテナ72aを配置することで、レール1の踏面1aに電磁波を照射し、踏面1aからの反射波に基づいて速度計測を行うようにすれば、レール1の曲線区間で電磁波の照射角度が変化することがなく、曲線区間で速度計測値に誤差が生じることを抑制できる。
尚、列車5の偏倚とは、レール1の曲線区間(カーブ)でのレール1に対する車体の内外へのずれである。
図4に示す列車速度計測装置7では、列車5の左右方向(左右レール1の並び方向)において、1本のレール1を挟んで、一方側に送信アンテナ71c(電磁波送信部)、他方側に受信アンテナ72a(反射波受信部)を配置してある。
また、受信アンテナ72aの指向方向も、レール1の踏面1aの中央に向けられており、受信アンテナ72aの反射波の受信範囲にレール1の踏面1aが含まれるようにしてある。更に、レール1の直線区間における受信ンテナ72aの指向方向とレール1の踏面1aとがなす角度θ2を、送信アンテナ71c側と同じ角度(例えば75deg)に設定してある。
上記指向方向の設定により、レール1を垂直方向の真上から見た場合には、図4(A)に示すように、レール1の外側に配置された送信アンテナ71cが、レール1の踏面1aに向けて斜めに電磁波を照射し、レール1を挟んで逆側に配置された受信アンテナ72aが、レール1の踏面1aでの反射波を受信することになる。
列車速度計測装置7の送信アンテナ71c及び受信アンテナ72aの指向方向を、レール1の直線区間において図4に示すような方向になるように設定しても、レール1の曲線区間において列車5の偏倚が生じると、受信アンテナ72aと送信アンテナ71cとの位置に対して相対的にレール1の位置が左右にずれることで、例えば、図5に示すような位置関係に変化する。
このとき、レール1の踏面1aは、送信アンテナ71cの電磁波送信範囲内で、かつ、受信アンテナ72aの反射波受信範囲内で変位するように、送信アンテナ71c及び受信アンテナ72aに指向角度を設定してあり、レール1の曲線区間でもレール1の踏面1aからの反射波に基づいて速度Vを計測することが可能である。
レール1の曲線区間で、送信アンテナ71cからレール1に向けて送信される電磁波の一部が、図5におけるレール1の右側面1bRに照射されても、右側面1bRは、受信アンテナ72a側から見えるレール1の左側面1bLの裏面であり、レール1が遮蔽物となって右側面1bRでの反射波が受信アンテナ72aに受信されることが抑制される。
図4に示す送信アンテナ71c及び受信アンテナ72aの配置においては、送信アンテナ71c及び受信アンテナ72aが、レール1を挟んで左右対称となるように配置し、かつ、各アンテナ71c,72aの指向方向がレール1を向くように、指向方向を内側に傾けてある。そして、曲線区間で偏倚が生じてもレール1が各アンテナ71c,72aのビーム照射範囲に含まれるように、各アンテナ71c,72aの位置及び放射範囲の調整を行う。
従って、レール1の直線区間で図4に示すように送信アンテナ71c及び受信アンテナ72aを配置してあれば、レール1の曲線区間で列車5の偏倚が発生しても、レール1の踏面1aからの反射波を受信でき、かつ、レール1の側面1bからの反射波を受信することが抑制され、レール1の曲線区間における計測誤差の発生を抑えることができる。
偏倚に伴う計測誤差の発生を抑制するために、送信アンテナ71c(電磁波送信部)と受信アンテナ72a(反射波受信部)との組み合わせを2組設け、2つの送信アンテナ71cによるレール1に対する電磁波の照射角度が、レール1の直線区間では同じであって、レール1の曲線区間では、一方がプラス側に、他方がマイナス側に変化するように、2つの送信アンテナ71cそれぞれの指向方向を設定する。
特に、プラス側に変化する角度と、マイナス側に変化する角度とが同等になるようにすれば、これらの計測結果の平均値(中央値)が実際の速度に近似することになる。換言すれば、速度計測値の誤差としてプラス側の誤差とマイナス側の誤差とが発生するようにし、かつ、誤差の絶対値が近似するように設定すれば、2つの計測結果の平均値(中央値)が実際の速度に近似することになる。
但し、曲線区間での照射角度の変化の絶対値に差異があっても、2つの計測結果を用いて最終的な計測値を求めることで、計測誤差の抑制を図ることができ、プラス側に変化する角度とマイナス側に変化する角度とにずれがある配置とすることができる。
ここで、レール1の曲線区間において、一方の電磁波の照射角度がプラス側に、他方の電磁波の照射角度がマイナス側に同じ角度αだけ変化するようにするには、一対の送信アンテナ71cが、レール1の真上から左右方向にずれた位置からレール1に対して傾斜角を有して電磁波を照射し、かつ、一対の送信アンテナ71cを、列車5の左右方向又は前後方向において面対称をなすように配置する。
図6に示す例では、一対の送信アンテナ71cが、列車5の左右方向において面対称をなすように左右のレール1で挟まれる領域内に配置され、一方の送信アンテナ71cが一方のレール1に対して電磁波を照射し、他方の送信アンテナ71cが他方のレール1に対して電磁波を照射する。
図6に示すように、一対の送信アンテナ71cは、左右のレール1の内側から、列車5の前後方向に離れた位置のレール1の踏面1a及び/又は側面1bに対して電磁波を照射させるべく指向方向が設定され、かつ、各送信アンテナ71cの指向方向(電磁波の照射範囲)が、列車5の左右方向において面対称をなすようにしてある。
レール1の横断面に直交する方向から見た場合、図6(B)に示すように、レール1の直線区間における送信アンテナ71cの指向方向とレール1の踏面1aとがなす角度θ2が、例えば54degとなるように、各送信アンテナ71cの指向方向を設定してある。
図6は、レール1の直線区間における電磁波のレール1に対する照射角度を示し、レール1の曲線区間になると、例えば図7に示すように照射角度が変化する。
図6(A)及び図7(A)に示した例では、レール1の直線区間では、一対の送信アンテナ71cによるレール1に対する照射角度θ1が、双方共に30degであるのに対し、レール1の曲線区間では、一方(カーブの内側となる送信アンテナ71c)の照射角度θ1が30degから20degに減少し、他方(カーブの外側となる送信アンテナ71c)の照射角度θ1が30degから40degに増大している。即ち、一方の照射角度θ1が減少した角度α(図7の例では、α=10deg)だけ、他方の照射角度θ1が増大する。
従って、一方の送信アンテナ71cから送信した電磁波の反射波に基づき計測した速度V1と、他方の送信アンテナ71cから送信した電磁波の反射波に基づき計測した速度V2との平均値Vav(Vav=(V1+V2)/2)を最終的な計測結果として出力することで、レール1の曲線区間(偏倚発生状態)においても十分な精度で速度Vを計測できる。
また、図6及び図7に示した例では、左右のレール1それぞれに対して電磁波を照射させる設定としたが、1本のレール1に対して、2方向から電磁波を照射させ、かつ、レール1の直線区間では同じ照射角度であって、レール1の曲線区間では一方がプラス側に他方がマイナス側に同じ角度αだけ照射角度が変化するように設定することができる。
図9に示す例では、一対の送信アンテナ71cが、列車5の前後方向(レール1の延設方向)において面対称をなすように、一方のレール1の内側に沿って配置され、前記一方のレール1に向けてそれぞれ電磁波を照射する。
図9に示すように、一対の送信アンテナ71cは相互に近接配置され、一方は、設置位置よりも列車5の前方向に離れた位置のレール1の踏面1a及び/又は側面1bに対して電磁波を照射させるべく指向方向が設定され、他方は、設置位置よりも列車5の後方に離れた位置のレール1の踏面1a及び/又は側面1bに対して電磁波を照射させるべく指向方向が設定され、各送信アンテナ71cの指向方向(換言すれば、電磁波の照射範囲)が、列車5の前後方向において面対称をなすようにしてある。
図9(B)は、レール1の横断面に直交する方向から見た場合であり、レール1の直線区間における送信アンテナ71cの指向方向とレール1の踏面1aとがなす角度θ2が例えば54degとなるように、各送信アンテナ71cの指向方向を設定してある。
図9は、レール1の直線区間における電磁波のレール1に対する照射角度を示し、レール1の曲線区間になると、例えば、図10に示すように、照射角度が変化する。
そして、図9(A)及び図10(A)に示す例では、レール1の直線区間では、一対の送信アンテナ71cによる照射角度θ1が、双方共に30degであるのに対し、レール1の曲線区間では、一方(レール1までの距離が遠くなる送信アンテナ71c)の照射角度θ1が30degから20degに減少し、他方(レール1までの距離が近くなる送信アンテナ71c)の照射角度θ1が30degから40degに増大している。
即ち、直線区間で角度θ1は同じであるのに、曲線区間では、一方の角度θ1がθ1−αに変化し、他方の角度θ1がθ1+αに変化する。
各送信アンテナ71cに対応して設けられる2つの受信アンテナ72aは、レール1で反射する電磁波のうち、送信アンテナ71c側に戻るように反射する反射波を受信するように、一対の送信アンテナ71cと同様に、列車5の左右方向において面対称をなすように1本のレール1を挟んで配置される。
図11(A)は、左右のレール1を垂直方向の真上から見た場合であり、レール1の直線区間における各送信アンテナ71cの指向方向とレール1の延設方向とがなす角度θ1が例えば30degとなるように、即ち、各送信アンテナ71cの指向方向とレール1の延設方向とが斜めに交差するように、各送信アンテナ71cの指向方向を設定してある。
図11(C)は、レール1の側面1b側から見た場合であり、送信アンテナ71cの指向方向と、レール1の踏面1aとがなす角度θ3が例えば45degとなるように、各送信アンテナ71cの指向方向を設定してある。
図11及び図12に示した例においても、計測速度に影響する角度は、図11(A)及び図12(A)に示したレール1を垂直方向の真上から見たときの照射角度である。
そして、図10(A)及び図11(A)に示す例では、レール1の直線区間では、一対の送信アンテナ71cによる照射角度θ1が、双方共に30degであるのに対し、レール1の曲線区間では、一方(カーブの外側となる送信アンテナ71c)の照射角度θ1が30degから20degに減少し、他方(カーブの内側となる送信アンテナ71c)の照射角度θ1が30degから40degに増大している。
即ち、直線区間で角度θ1は同じであるのに、曲線区間では、一方の角度θ1がθ1−αに変化し、他方の角度θ1がθ1+αに変化する。
尚、レール1に対して2方向から電磁波を照射させる装置においても、電磁波の送信と反射波の受信とを交互に行わせることで、1つのアンテナを送信用と受信用とに共用することができる。
ここで、列車5の車体の長さをL1、列車5の台車中心間距離をL0、レール1の曲線区間における曲率半径をR、車体中央部の変位をδ1、車端部の変位をδ2とすると、変位δ1、δ2は、数2に従って演算できる。
図13は、レール1の曲線区間でレール1に対する電磁波の照射角度θ1がα=2.5degだけ増減した場合での速度毎の誤差量を示す。
この場合、図13に示すように、照射角度θ1が減った側は、速度Vの計測値が実際値よりも遅くなるマイナスの誤差を生じ、逆に、照射角度θ1が増大した側は、速度Vの計測値が実際値よりも速くなるプラスの誤差を生じる。
速度Vが増すに従って計測誤差の絶対値は増大するものの、真値に対する誤差の割合(誤差率)は0.15%程度を維持するから、曲線区間において照射角度θ1が増大する側の計測値と減少する側の計測値との平均値を演算すれば、十分な精度の速度計測値を出力できることになる。
Claims (6)
- レール上を走行する列車に搭載され、一対の電磁波送信部それぞれから前記レールに向けて電磁波を送信し、前記レールからの反射波に基づいて前記列車の速度を計測する列車速度計測装置であって、前記一対の電磁波送信部は、指向方向が前記列車の左右方向及び前後方向の双方において前記レールに斜めに交差し、前記列車の左右方向において面対称をなして1本のレールに2方向から電磁波を照射するよう配置される、列車速度計測装置。
- レール上を走行する列車に搭載され、一対の電磁波送信部それぞれから前記レールに向けて電磁波を送信し、前記レールからの反射波に基づいて前記列車の速度を計測する列車速度計測装置であって、前記一対の電磁波送信部は、指向方向が前記列車の左右方向及び前後方向の双方において前記レールに斜めに交差し、前記列車の前後方向において面対称をなして1本のレールに2方向から電磁波を照射するよう配置される、列車速度計測装置。
- 前記一対の電磁波送信部それぞれが送信した電磁波の反射波の周波数に基づいて、前記列車の速度をそれぞれに計測し、これらの速度計測値の平均値を計測結果として出力する、請求項1又は請求項2記載の列車速度計測装置。
- 直線区間及び曲線区間での偏倚発生状態で前記一対の電磁波送信部による電磁波照射範囲に前記レールが含まれる、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の列車速度計測装置。
- 前記一対の電磁波送信部それぞれが送信した電磁波の反射波をそれぞれに受信する一対の反射波受信部を備える、請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の列車速度計測装置。
- 前記一対の電磁波送信部は、左右一対のレール間に配置される、請求項2記載の列車速度計測装置。
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