JP6172278B2 - 薄膜圧電素子、圧電アクチュエータ、圧電センサ、ハードディスクドライブおよびインクジェットプリンタ装置 - Google Patents

薄膜圧電素子、圧電アクチュエータ、圧電センサ、ハードディスクドライブおよびインクジェットプリンタ装置 Download PDF

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Description

本発明は、薄膜圧電材料を用いた薄膜圧電素子、薄膜圧電素子を含む圧電アクチュエータおよび圧電センサ、ならびに圧電アクチュエータを含むハードディスクドライブおよびインクジェットプリンタ装置に関する。
近年、バルク圧電材料を用いる代わりに薄膜圧電材料を用いた薄膜圧電素子の実用化が進んでいる。素子の例としては、圧電膜に加えられた力を電圧に変換する圧電効果を利用したジャイロセンサ、ショックセンサ、マイクなど、圧電膜に電圧を印加することによって圧電膜を変形させる逆圧電効果を利用したアクチュエータ、インクジェットヘッド、スピーカー、ブザー、レゾネータなど、および同様のものが挙げられる。
圧電材料薄膜の使用は素子のサイズを縮小し、それゆえ、応用できる分野を広げることができ、基板上における多数の素子のバッチ生産も可能とし、そのため量産性が増す。また、センサを製作した場合には、センサは、感度の向上など性能面での利点を多く有する。しかし、バルク材料と比べ、薄膜材料は、素子を構成する他の層の熱膨張係数、ヤング率等の膜の物性、他の層から導入される外部応力、および圧電膜がもつ内部応力によって、圧電特性に大きな影響を与え、そのため、バルク材料のためのものとは異なる応力制御技術が必要となる。したがって、圧電膜のための応力制御技術による圧電特性の制御方法が薄膜圧電素子の設計において、重要な要素となる。
特開2000−113427号公報 特開2011−029591号公報
圧電特性の重要な要素の1つは抗電界Ecである。抗電界Ecとは、自発分極が反転される電界の値を表し、この電界以上の電界を圧電材料に印加することによって分極方向が反転され始める。図1は、典型的な圧電素子の分極P対電界Eのヒステリシス曲線、および抗電界Ecの位置を示す。逆圧電効果を利用した、すなわち、圧電薄膜の、そこに電圧が印加された際の変形を利用した素子では、分極方向と同方向に高い変位が得られる。
図2は、典型的な圧電素子の歪み量xと電界Eの関係(以下「バタフライカーブ」と呼ぶ)を示す。図2は、抗電界Ecを境に歪み方向が反転していることを示している。つまり、たとえ、大きな歪みの量xを得るために電界Eを大きくしても、抗電界Ecを超えた途端に分極方向が反転してしまい所望の方向の歪み量xを得ることができなくなってしまう。したがって、大きな歪みの量xを得るためには、大きな抗電界Ecを持つ圧電素子が望まれる。
抗電界を大きくする方法として、圧電薄膜の組成を変更する方法、膜構成に起因する外部応力を制御する方法、圧電薄膜の成膜条件を制御することによって内部応力を制御する方法、および同様のものがある。
圧電薄膜の組成を変更して抗電界をさらに大きくすると、圧電定数が低下する傾向があり、そのため、変位量を得にくくなる。成膜条件および膜厚を制御することによる歪みの量が調整可能である膜を含み、圧電薄膜に直接的もしくは間接的に接し、圧電薄膜の歪みの量を制御する応力制御層または同様のものを付与することによって外部応力が制御される場合には、構成層の数が増加し、それにより、薄膜圧電素子の製造コストが増加する。
内部応力の制御に関しては、応力は、圧電薄膜の形成に用いる反応性ガスの分圧、成膜速度、印加電源の出力など等の成膜条件を制御することによって制御され、それゆえ、抗電界を増加させることができるが、圧電定数を変化させてしまうこともある。圧電薄膜が不活性ガスを含有する場合には、圧電薄膜内に内部応力が発生するが、不活性ガスは、圧電薄膜を構成する組成元素と反応することがなく、圧電定数の変化への影響はほとんど生み出さない。しかしながら、反応性ガスの分圧、または同様のものを変化させることによって内部応力を発生させることは可能ではあるが、構成元素の反応物の組成比が変化し、圧電特性を変化させるという大きな影響を生じさせる。
より大きな内部応力を発生させるためには、圧電薄膜の内部に亘って出来るだけ多量に希ガスを含有させてもよい。しかし、含有量の増加は圧電薄膜の耐電圧を低め、それゆえ、リーク電流の増加により薄膜圧電素子の特性を低下させるおそれがある。
特許文献1は、薄膜磁気デバイスのシールド膜が希ガス元素としてのアルゴン(Ar)を含有することを開示しているが、デバイス作製のための研磨工程にてシールド膜の加工性を向上させるべく、膜の硬度を上げることが目的となっている。
特許文献2は、圧電薄膜の内部応力を調整するために、圧電薄膜が低濃度のArを圧電薄膜の全体に亘って均一に含有することを開示している。
本発明は、関連技術の課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、高い抗電界を有する薄膜圧電素子を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明に係る薄膜圧電素子は、一対の電極層と、一対の電極層に挟まれた圧電薄膜とを含み、圧電薄膜は希ガス元素を含有しており、圧電薄膜の膜厚方向に希ガス元素の含有量勾配を有する。すなわち、薄膜圧電素子は、希ガスの含有量勾配を持つ圧電薄膜と、間に圧電薄膜を挟んで配置される一対の電極層とを含み、含有量の最大値が膜厚方向の所望の箇所に存在する。
圧電薄膜は希ガスを含有するため、内部応力が導入されることができ、抗電界を増加させることができる。しかし、上記のように膜が単に膜厚方向に均一に多量の希ガスを含有すると、圧電薄膜内にリークパスが作り出され、それにより、耐電圧が低下し、リーク電流が増加する。したがって、圧電薄膜は希ガス含有量勾配を持つ必要がある。
本発明に係る薄膜圧電素子では、圧電薄膜は、最大値が好ましくは圧電薄膜の電極層側のいずれの界面層にもない希ガス元素含有量を有する。加えて、圧電薄膜の希ガス元素含有量は好ましくは、圧電薄膜の電極層の一方側の界面層に最小値を有する。その結果、圧電薄膜内の一対のいずれの電極膜側の領域内の希ガス含有量を十分少なくし、それにより電極層側のリークパスの発生を抑制することが可能となる。
薄膜圧電素子に付与される電界の方向が固定されているなら、低い希ガス含有量を有する領域は一方の電極層側のみに配置されてもよい。しかし、双方向に電界が付与される場合は、希ガス含有量は両方の電極層側界面層において低いことがより好ましい。
さらに、電極層側の界面層が希ガスを含有しない場合は、不純物含有量という観点から圧電薄膜は理想的となり、圧電薄膜内のリークパスの発生を抑えることができ、それにより、リーク電流の問題のない薄膜圧電素子にとって好ましい状態が作り出される。
本発明に係る薄膜圧電素子の圧電薄膜は、より高い圧電特性を生み出すことができるペロブスカイト型強誘電体で構成されることが好ましい。特に、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)または同様のものよりも低い抗電界を有するニオブ酸カリウムナトリウム系の圧電薄膜が好ましい。
本発明に係る薄膜圧電素子は、従来の薄膜圧電素子を用いるのと比べ、抗電界を大きくすることができるため、高い電圧下で駆動ができるようになり、逆圧電効果を用いる素子においてさえも大きな変位量を得ることができる。本発明に係る圧電アクチュエータは、増大した抗電界を有する薄膜圧電素子を含み、大きな変位量を得ることができ、本発明に係る圧電センサは、増大した抗電界を有する薄膜圧電素子を含み、検出感度を向上させることができる。したがって、高性能のハードディスクドライブおよびインクジェットプリンタ装置を提供することができる。
典型的な圧電素子の分極P−電界Eのヒステリシス曲線、および抗電界Ecの位置を示す図である。 典型的な圧電素子の歪みの量xと電界Eの関係(以下「バタフライカーブ」と呼ぶ)を示す図である。 本発明の一実施形態に係る薄膜圧電素子の構成の図(圧電薄膜2層)である。 本発明の他の実施形態に係る薄膜圧電素子の構成の図(圧電薄膜5層)である。 本発明の実施例および比較例の圧電薄膜中アルゴン含有量を示す図である。 本発明に係る圧電アクチュエータの構造図である。 本発明に係る圧電アクチュエータの構造図である。 本発明に係る圧電センサの構造図である。 本発明に係る圧電センサの構造図である。 本発明に係る圧電センサの構造図である。 本発明に係る圧電センサの構造図である。 本発明に係るハードディスクドライブの構造図である。 本発明に係るインクジェットプリンタ装置の構造図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明する。図面において、同一または対応する要素は同一の参照符号によって示されている。また、上下左右の位置関係は図面に示す通りである。重複する説明は省略する。
図3は、本発明の一実施形態に係る薄膜圧電素子100を示す。薄膜圧電素子100は、基板7と、基板7上に設けられた第一電極層5と、第一電極層5上に形成された圧電薄膜3と、圧電薄膜3の上に形成された第二電極層1と、を含む。
基板7として、例えば、(100)面方位を有するシリコン基板を用いることができる。例えば、基板7は200μm以上1000μm以下の厚さを有する。また、基板7として、(100)面とは異なる面方位を有するシリコン基板、シリコン・オン・インシュレータ(Silicon−on−Insulator:SOI)基板、石英ガラス基板、GaAsもしくは同様のもので構成される化合物半導体基板、サファイア基板、ステンレスもしくは同様のもので構成される金属基板、MgO基板、SrTiO基板、および同様のものを用いることもできる。基板7は、薄膜圧電素子が形成された後に除去されてもよく、素子内に含まれなくてもよい。
例えば、第一電極層5は白金(Pt)で構成される。第一電極層5は、0.02μm以上1.0μm以下の厚さを有することが好ましい。0.02μm未満の厚さを用いると、電極としての機能が不十分となり、その一方で、1.0μmを超える厚さを用いると、用いられる圧電材料の変位を阻害する問題がある。(100)面方位を有し、400℃〜500℃程度に加熱したシリコン基板上にスパッタリング法により形成したPt膜は、高い(100)配向性を有する膜となり、その後にPt膜上に形成する圧電薄膜3も高い配向性を提供されることができる。また、第一電極層5には、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、金(Au)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、および同様のもの等の金属材料を用いることができる。スパッタリングは、アルゴン(Ar)ガスを用い、0.1〜0.5Paのガス圧の下、0.5〜1.0W/cmの印加電源出力を用いて遂行することが好ましい。印加電源は高周波電源または直流電源のどちらでもよい。
圧電薄膜3は、それが圧電特性を示すものであれば特に限定されない。その例としては、PZT(ジルコン酸チタン酸鉛)、KNN(ニオブ酸カリウムナトリウム)、BT(チタン酸バリウム)、LN(ニオブ酸リチウム)、BNT(チタン酸ビスマスナトリウム)、ZnO(酸化亜鉛)、AlN(窒化アルミニウム)、および同様のものが挙げられる。圧電薄膜3の厚みは特に限定されず、例えば、0.5μm〜5μm程度とすることができる。スパッタリングは、アルゴン酸素混合(Ar+O)ガスを用い、0.1〜0.5Paのガス圧の下で遂行することが好ましい。印加電源としては高周波電源を用いることが好ましく、その出力は2.5〜5.5W/cmであることが好ましい。
上記の圧電材料の中でも、本発明に係る薄膜圧電素子の圧電薄膜には、より高い圧電特性を生み出すことができるペロブスカイト型強誘電体が好ましい。特に、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)および同様のものよりも小さい抗電界を有するニオブ酸カリウムナトリウム系の圧電薄膜が好ましい。
ニオブ酸カリウムナトリウム系の圧電薄膜とは、基本化学式(Na1−x)NbO(0<x 1)で表され、必要に応じアルカリ金属の存在するAサイト、およびNbの存在するBサイトに種々の添加物を含む組成を有する膜を意味する。さらに、圧電薄膜は上記の組成以外の少量の化合物を含有しても構わない。
圧電薄膜3は、15原子%程度を下回る含有量の希ガス元素を含有する。希ガス元素としては、アルゴン(Ar)、キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)、および同様のもの等の第18族元素の不活性ガスを用いることができるが、材料コストおよび入手性の観点からアルゴン(Ar)が好ましい。
圧電薄膜3は膜厚方向に希ガス元素の含有量勾配を有することが好ましく、希ガス元素含有量は10〜15原子%程度の最大値を有し、第一電極膜5および第二電極膜1のいずれか一方に接する界面層では5原子%以下であることが好ましい。勾配は線形的勾配または曲線的勾配のどちらにも限定されることはない。希ガス元素含有量の最小値(以下、単に「最小値」ともいう)は希ガス元素含有量の最大値(以下、単に「最大値」ともいう)の40%以下であることが好ましく、最大値は膜厚方向の両電極膜界面間の距離の100%に対して20〜80%の位置にあることが好ましい。圧電薄膜3内の希ガス元素は、印加電圧を変化させる、混合ガスの圧力を変化させる、混合ガスの希ガス分圧を変化させる、または同様のことの方法によって、含有量勾配を付与される。
圧電薄膜3内の希ガス元素含有量に関しては、膜の断面構造の透過型電子顕微鏡(transmission electron microscope、TEM)像をエネルギー分散型X線分析装置(energy dispersive X−ray analyzer、EDS)にて測定することによって検出が遂行され、膜厚方向の強度を測定することによって含有量を同定することができる。
圧電薄膜3内の希ガス元素の含有量勾配を測定するには、具体的には、膜の断面構造を電極層界面と平行な複数の薄層(通常20層以上)に分けて測定する。本発明では、界面層とは、複数の薄層のうち、最も電極層に近い薄層を指す。
希ガス元素含有量は、圧電薄膜3の各薄層において圧電薄膜3を構成する添加物を含む各元素の強度を検出し、希ガス元素分の強度と全元素の合計強度より原子組成比を求めることによって、求めることができる。
第二電極層1は、例えば、白金(Pt)で構成される。第二電極層1は、例えば、0.02μm以上1.0μm以下の厚さを有する。第二電極層1はスパッタリング法により形成することができ、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、金(Au)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、および同様のもの等の金属材料を用いることもできる。
(圧電アクチュエータ)
図6Aは、これらの圧電要素を含む圧電アクチュエータの一例としてのハードディスクドライブ上に装着されるヘッドアセンブリの構造図である。この図に示すように、ヘッドアセンブリ200は、その主なる構成要素として、ベースプレート9、ロードビーム11、フレクシャ17、駆動要素の役割を果たす第1および第2の圧電要素13、ならびにヘッド素子19aを備えたスライダ19を含む。
この点において、ロードビーム11は、ビーム溶接または同様のものによりベースプレート9に固着されている基端部11bと、この基端部11bから先細り状に延在する第1および第2の板バネ部11cおよび11dと、第1および第2の板バネ部11cおよび11dの間に配置された開口部11eと、第1および第2の板バネ部11cおよび11dに連続して直線的かつ先細り状に延在するビーム主部11fと、を含む。
第1および第2の圧電要素13は、互いからの所定の距離を保ちつつ、フレクシャ17の一部である配線用フレキシブル基板15上に配置されている。スライダ19はフレクシャ17の先端部に固定されており、第1および第2の圧電要素13の伸縮に応じて回転される。
第1および第2の圧電要素13は、第一電極層、第二電極層、および第一電極層と第二電極層との間に挟まれた圧電層から形成される。この圧電層として、本発明に係る、小さなリーク電流および大きな変位量を呈する圧電層を用いることによって、高い耐電圧および十分な変位量を得ることができる。
図6Bは、上記の圧電要素を含む圧電アクチュエータの他の例としてのインクジェットプリンタヘッドの圧電アクチュエータの構成図である。
圧電アクチュエータ300は、基板20上に、絶縁層23、下部電極層24、圧電層25、および上部電極層26を積層することによって形成されている。
所定の吐出信号が供給されず下部電極層24と上部電極層26との間に電圧が印加されていない場合、圧電層25には変形は生じない。吐出信号が供給されていない圧電要素が設けられている圧力室21には、圧力変化が生じず、そのノズル27からインク滴は吐出されない。
一方、所定の吐出信号が供給され、下部電極層24と上部電極層26との間に一定電圧が印加された場合、圧電層25に変形が生じる。吐出信号が供給された圧電要素が設けられている圧力室21では絶縁膜23が大きくたわむ。このため、圧力室21内の圧力が瞬間的に高まり、ノズル27からインク滴が吐出される。
ここで、圧電層として、本発明に係る、小さなリーク電流および大きな変位量を呈する圧電層を用いることによって、高い耐電圧および十分な変位量を得ることができる。
(圧電センサ)
図7Aは、上記の圧電要素を含む圧電センサの一例としてのジャイロセンサの構造図(平面図)である。図7Bは、図7Aに示した線A−Aに沿って見た断面の断面図である。
ジャイロセンサ400は、基部110と、基部110の一面に接続される2つのアーム120および130を設けたチューニングフォーク振動子型の角速度検出素子である。このジャイロセンサ400は、上述の圧電要素を構成する圧電層30、上部電極層36、および下部電極層37をチューニングフォーク振動子の形状と一致するように微細加工することによって得られる。個々の部分(基部110ならびにアーム120および130)は圧電要素によって一体的に形成される。
一方のアーム120の第一の主面には、駆動電極層36aおよび36b、ならびに検出電極層36dがそれぞれ配置されている。同様に、他方のアーム130の第一の主面には、駆動電極層36aおよび36b、ならびに検出電極層36cがそれぞれ配置されている。これらの電極層36a、36b、36c、および36dはそれぞれ、上部電極層36を所定の電極形状にエッチングすることにより得られる。
その一方で、基部110ならびにアーム120および130の第二の主面(第一の主面の裏側の主面)にべた状に配置されている下部電極層37は、ジャイロセンサ400のグランド電極として機能する。
ここで、それぞれのアーム120および130の長手方向をZ方向と指定し、2つのアーム120および130の主面を含む平面をXZ平面と指定し、それにより、XYZ直交座標系を定義する。
駆動電極層36aおよび36bに駆動信号が供給されると、2つのアーム120および130は、面内振動モードで励振される。面内振動モードとは、2つのアーム120および130の主面に平行な向きに2つのアーム120および130が励振される振動モードのことを称する。例えば、一方のアーム120が−X方向に速度V1で励振されているとき、他方のアーム130は+X方向に速度V2で励振される。
回転軸をZ軸と指定してこの状態でジャイロセンサ400に角速度ωの回転が加わる場合には、2つのアーム120および130のそれぞれに速度の方向に直交する向きにコリオリ力が作用し、面外振動モードで励振が起きる。面外振動モードとは、2つのアーム120および130の主面に直交する向きに2つのアーム120および130が励振される振動モードのことを称する。例えば、一方のアーム120に作用するコリオリ力F1が−Y方向であるとき、他方のアーム130に作用するコリオリ力F2は+Y方向である。
コリオリ力F1およびF2の大きさは角速度ωに比例し、したがって、コリオリ力F1およびF2によるアーム120および130の機械的な歪みを圧電層30によって電気信号(検出信号)に変換し、それらを検出電極層36cおよび36dから取り出すことにより角速度ωを求めることができる。
この圧電層として、本発明に係る、小さなリーク電流および大きな変位量を呈する圧電層を用いることによって、高い耐電圧および十分な検出感度を得ることができる。
図7Cは、上記の圧電要素を含む圧電センサの第2の例としての圧力センサの構成図である。
圧力センサ500は、圧力の印加に応答するための空洞45を有し、加えて、圧電要素40を支える支持部材44と、電流増幅器46と、電圧測定器47とから形成されている。圧電要素40は、共通電極層41、圧電層42、および個別の電極層43を含み、これらは支持部材44上にその順序で積層されている。ここで、外力がかかると圧電要素40がたわみ、電圧測定器47で電圧が検出される。
この圧電層として、本発明に係る、小さなリーク電流および大きな変位量を呈する圧電層を用いることによって、高い耐電圧および十分な検出感度を得ることができる。
図7Dは、上記の圧電要素を含む圧電センサの第3の例としての脈波センサの構成図である。
脈波センサ600は、基材51上に送信用圧電要素、および受信用圧電要素を搭載した構成となっている。ここで、送信用圧電要素においては、膜厚方向の送信用圧電層52の2つの表面上に電極層54aおよび55aが配置され、受信用圧電要素においては、膜厚方向の受信用圧電層53の2つの表面上に電極層54bおよび55bが同様に配置されている。加えて、基材51上には電極56および上面用電極57が配置されており、電極層54bおよび55bはそれぞれ配線で上面用電極57に電気的に接続されている。
生体の脈を検出するには、先ず、脈波センサ600の基板裏面(圧電要素が搭載されていない面)を生体に当接させる。そして、脈の検出時に、送信用圧電要素の両電極層54aおよび55aに特定の駆動用電圧信号を出力させる。送信用圧電要素は、両電極層54aおよび55aに入力された駆動用電圧信号に応じて励振し、それにより、超音波を発生し、該超音波を生体内に送信する。生体内に送信された超音波は血流により反射され、受信用圧電要素により受信される。受信用圧電要素は、受信した超音波を電圧信号に変換して、両電極層54bおよび55bから出力する。
両圧電層として、本発明に係る、小さなリーク電流および大きな変位量を呈する圧電層を用いることによって、高い耐電圧および十分な検出感度を得ることができる。
(ハードディスクドライブ)
図8は、図6Aに示したヘッドアセンブリを搭載したハードディスクドライブの構成図である。
ハードディスクドライブ700は、筐体60内に、記録媒体としての役割を果たすハードディスク61と、これに磁気情報を記録および再生するヘッドスタックアセンブリ62とが設けられている。図には示されていないが、ハードディスク61はモータによって回転させられる。
ヘッドスタックアセンブリ62においては、ボイスコイルモータ63により支軸周りに回転自在に支持されたアクチュエータアーム64と、このアクチュエータアーム64に接続されたヘッドアセンブリ65とから形成される組立て体を、図の奥行き方向に複数個積層している。ヘッドアセンブリ65の先端部には、ハードディスク61に対向するようにヘッドスライダ19が取り付けられている(図6A参照)。
ヘッドアセンブリ65に関しては、ヘッド素子19a(図6A参照)を2段階で変動させる形式を採用している。ヘッド素子19aの比較的大きな移動はボイスコイルモータ63に基づくヘッドアセンブリ65およびアクチュエータアーム64の全体の駆動で制御し、微小な移動はヘッドアセンブリ65の先端部によるヘッドスライダ19の駆動により制御する。
このヘッドアセンブリ65のために用いられるこの圧電要素内の圧電層として、本発明に係る、小さなリーク電流および大きな変位量を呈する圧電層を用いることによって、高い耐電圧および十分なアクセス性を得ることができる。
(インクジェットプリンタ装置)
図9は、図6Bに示したインクジェットプリンタヘッドを搭載したインクジェットプリンタ装置の構成図である。
インクジェットプリンタ装置800は、主にインクジェットプリンタヘッド70、本体71、トレイ72、およびヘッド駆動機構73を含んで構成されている。
インクジェットプリンタ装置800は、イエロー、マゼンダ、シアン、およびブラックの計4色のインクカートリッジを備えており、フルカラー印刷を遂行することができるように構成されている。また、このインクジェットプリンタ装置800は、内部に専用のコントローラボードおよび同様のものを備えており、インクジェットプリンタヘッド70のインク吐出タイミングおよびヘッド駆動機構73の走査を制御する。その一方で、本体71は背面にトレイ72を備えるとともに、内部にオートシートフィーダ(自動連続給紙機構)76を備え、それにより、記録用紙75を自動的に送り出し、正面に取り付けた排出口74から記録用紙75を排紙する。
このインクジェットプリンタヘッド70の圧電アクチュエータのために用いられる圧電要素内のこの圧電層として、本発明に係る、小さなリーク電流および大きな変位量を呈する圧電層を用いることによって、高い耐電圧および高い安全性を有するインクジェットプリンタ装置を提供することができる。
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図3は、実施例1の薄膜圧電素子100の構成を示す図である。
(100)面方位および400μmの厚さを有するシリコン基板7を400℃に加熱し、シリコン基板7の面方位にエピタキシャル成長させながらPtを200nmスパッタリング法によりシリコン基板7上に成膜し、第一電極層5を形成した。この場合には、成膜レートは0.2nm/secであった。
そして、シリコン基板7を550℃に加熱し、5%の酸素(O)含有量を有するアルゴン酸素混合(Ar+O)ガスを用い0.2Paのガス圧の下でニオブ酸カリウムナトリウム(KNN)を1000nmスパッタリング法によりエピタキシャル成長させ、圧電薄膜3の第1層31を形成した。印加電源として高周波電源を用い、直径150mmのターゲットに印加する出力値は成膜の開始時の800Wから成膜の終了時の1200Wまで線形変化させた。続けて、上述したのと同じガスを用い、同じガス圧の下で、ニオブ酸カリウムナトリウム(KNN)を1000nmスパッタリング法によりエピタキシャル成長させ、第2層32を形成した。印加出力値は成膜の開始時の1200Wから成膜の終了時の800Wまで線形変化させた。
次に、常温においてPtを200nmスパッタリング法により成膜し、第二電極層1を形成した。この場合には、成膜レートは0.2nm/secであった。
第二電極層1を形成した後、フォトリソグラフィおよびドライエッチングもしくはウェットエッチングにより圧電薄膜3、第一電極層5、および第二電極層1をパターニングし、さらにシリコン基板7を切断し、1mm×2mmの可動部分寸法を有する実施例1の薄膜圧電素子100を形成した。
(実施例2)
(100)面方位を有するシリコン基板7を400℃に加熱し、シリコン基板7の面方位にエピタキシャル成長させながらPtを200nmスパッタリング法によりシリコン基板7上に成膜し、第一電極層5を形成した。この場合には、成膜レートは0.2nm/secであった。
そして、シリコン基板7を550℃に加熱し、5%の酸素(O)含有量を有するアルゴン酸素混合(Ar+O)ガスを用い0.2Paのガス圧の下でニオブ酸カリウムナトリウム(KNN)を1500nmスパッタリング法によりエピタキシャル成長させ、圧電薄膜3の第1層31を形成した。印加電源として高周波電源を用い、直径150mmのターゲットに印加する出力値は成膜の開始時の800Wから成膜の終了時の1200Wまで線形変化させた。続けて、上述したのと同じガスを用い、同じガス圧の下で、ニオブ酸カリウムナトリウム(KNN)を500nmスパッタリング法によりエピタキシャル成長させ、第2層32を形成した。印加出力値は成膜の開始時の1200Wから成膜の終了時の1000Wまで線形変化させた。
次に、常温においてPtを200nmスパッタリング法により成膜し、第二電極層1を形成した。この場合には、成膜レートは0.2nm/secであった。
第二電極層1を形成した後、フォトリソグラフィおよびドライエッチングもしくはウェットエッチングにより圧電薄膜3、第一電極層5、および第二電極層1をパターニングし、さらにシリコン基板7を切断し、1mm×2mmの可動部分寸法を有する実施例2の薄膜圧電素子100を形成した。
(実施例3)
実施例3では、図3に示される圧電薄膜3は1つの層を含むものであった。(100)面方位を有するシリコン基板7を400℃に加熱し、シリコン基板7の面方位にエピタキシャル成長させながらPtを200nmスパッタリング法によりシリコン基板7上に成膜し、第一電極層5を形成した。この場合には、成膜レートは0.2nm/secであった。
そして、シリコン基板7を550℃に加熱し、5%の酸素(O)含有量を有するアルゴン酸素混合(Ar+O)ガスを用い0.2Paのガス圧の下でニオブ酸カリウムナトリウム(KNN)を2000nmスパッタリング法によりエピタキシャル成長させ、圧電薄膜3を形成した。印加電源として高周波電源を用い、直径150mmのターゲットに印加する出力値は成膜の開始時の800Wから成膜の終了時の1200Wまで線形変化させた。
次に、室温においてPtを200nmスパッタリング法により成膜し、第二電極層1を形成した。この場合には、成膜レートは0.2nm/secであった。
第二電極層1を形成した後、フォトリソグラフィおよびドライエッチングもしくはウェットエッチングにより圧電薄膜3、第一電極層5、および第二電極層1をパターニングし、さらにシリコン基板7を切断し、1mm×2mmの可動部分寸法を有する実施例3の薄膜圧電素子100を形成した。
(実施例4)
図4は、本発明の実施例4の薄膜圧電素子101の構成を示す図である。実施例4では、圧電薄膜3は5つの層を含むものであった。
(100)面方位を有するシリコン基板7を400℃に加熱し、シリコン基板7の面方位にエピタキシャル成長させながらPtを200nmスパッタリング法によりシリコン基板7上に成膜し、第一電極層5を形成した。この場合には、成膜レートは0.2nm/secであった。
そして、シリコン基板7を550℃に加熱し、5%の酸素(O)含有量を有するアルゴン酸素混合(Ar+O)ガスを用い0.2Paのガス圧の下で、直径150mmのターゲットに印加される600Wの出力値を有する高周波電源を用いて、ニオブ酸カリウムナトリウム(KNN)を100nmスパッタリング法によりエピタキシャル成長させ、圧電薄膜3の第1層31を形成した。続けて、上述したのと同じガスを用い、同じガス圧の下で、ニオブ酸カリウムナトリウム(KNN)を400nmスパッタリング法によりエピタキシャル成長させ、第2層32を形成した。印加した出力値は成膜の開始時の600Wから成膜の終了時の1200Wまで線形変化させた。続けて、上述したのと同じガスを用い、同じガス圧の下、1200Wの出力値を用いて、ニオブ酸カリウムナトリウム(KNN)を1000nmスパッタリング法によりエピタキシャル成長させ、第3層33を形成した。続けて、上述したのと同じガスを用い、同じガス圧の下で、ニオブ酸カリウムナトリウム(KNN)を400nmスパッタリング法によりエピタキシャル成長させ、第4層34を形成した。印加した出力値は成膜の開始時の1200Wから成膜の終了時の600Wまで線形変化させた。続けて、上述したのと同じガスを用い、同じガス圧の下、600Wの出力値を用いて、ニオブ酸カリウムナトリウム(KNN)を100nmスパッタリング法によりエピタキシャル成長させ、第5層35を形成した。
次に、室温においてPtを200nmスパッタリング法により成膜し、第二電極層1を形成した。この場合には、成膜レートは0.2nm/secであった。
第二電極層1を形成した後、フォトリソグラフィおよびドライエッチングもしくはウェットエッチングにより圧電薄膜3、第一電極層5、および第二電極層1をパターニングし、さらにシリコン基板7を切断し、1mm×2mmの可動部分寸法を有する実施例4の薄膜圧電素子101を形成した。
(実施例5)
実施例5では、図4に示される圧電薄膜3は3つの層を含むものであった。
(100)面方位を有するシリコン基板7を400℃に加熱し、シリコン基板7の面方位にエピタキシャル成長させながらPtを200nmスパッタリング法によりシリコン基板7上に成膜し、第一電極層5を形成した。この場合には、成膜レートは0.2nm/secであった。
そして、シリコン基板7を550℃に加熱し、5%の酸素(O)含有量を有するアルゴン酸素混合(Ar+O)ガスを用い0.1Paのガス圧の下でニオブ酸カリウムナトリウム(KNN)を500nmスパッタリング法によりエピタキシャル成長させ、圧電薄膜3の第1層31を形成した。続けて、0.5%の酸素(O)含有量を有するアルゴン酸素混合(Ar+O)ガスを用い1.0Paのガス圧の下でニオブ酸カリウムナトリウム(KNN)を1000nmスパッタリング法によりエピタキシャル成長させ、第2層32を形成した。続けて、5%の酸素(O)含有量を有するアルゴン酸素混合(Ar+O)ガスを用い0.1Paのガス圧の下でニオブ酸カリウムナトリウム(KNN)を500nmスパッタリング法によりエピタキシャル成長させ、第3層33を形成した。印加電源としては高周波電源を用い、直径150mmのターゲットに印加する出力値は第1層31から第3層33までのために800Wで一定とした。
次に、室温においてPtを200nmスパッタリング法により成膜し、第二電極層1を形成した。この場合には、成膜レートは0.2nm/secであった。
第二電極層1を形成した後、フォトリソグラフィおよびドライエッチングもしくはウェットエッチングにより圧電薄膜3、第一電極層5、および第二電極層1をパターニングし、さらにシリコン基板7を切断し、1mm×2mmの可動部分寸法を有する実施例5の薄膜圧電素子101を形成した。
(比較例1)
比較例1では、印加電源出力を600Wで接触を保ち圧電薄膜3を2000nm成膜した以外は実施例1におけるのと同じ方法によって薄膜圧電素子を製作した。
(比較例2)
比較例2では、印加電源出力を800Wで接触を保ち圧電薄膜3を2000nm成膜した以外は実施例1におけるのと同じ方法によって薄膜圧電素子を製作した。
(比較例3)
比較例3では、印加電源出力を1000Wで接触を保ち圧電薄膜3を2000nm成膜した以外は実施例1におけるのと同じ方法によって薄膜圧電素子を製作した。
(比較例4)
比較例4では、印加電源出力を1200Wで接触を保ち圧電薄膜3を2000nm成膜した以外は実施例1におけるのと同じ方法によって薄膜圧電素子を製作した。
図5は、実施例1〜5および比較例1〜4の各々において作製した薄膜圧電素子100における圧電薄膜3の膜厚方向のアルゴン(Ar)含有量の測定の結果を示す。アルゴン(Ar)含有量が印加電源の出力値に応じて変化しており、含有量は600Wでは0%に近いことが確認できる。
実施例1〜5および比較例1〜4の各々の薄膜圧電素子を、18μmの厚さおよびフレキシブルケーブル配線を有するステンレスの薄板に固定し、その後、薄膜圧電素子に印加電圧120Hz±27kV/cmにて電流を印加して抗電界Ecおよびリーク電流密度を測定した。測定の結果を表1に示す。
Figure 0006172278
比較例1から4にアルゴン(Ar)含有量の勾配を持たせない圧電薄膜を含む薄膜圧電素子における印加電源の出力値を見ると、出力値を増加させる毎にアルゴン含有量の増加のために、抗電界Vcが増加していることが確認できる。しかし、アルゴン含有量の増加によりリーク電流密度が増加しており、それゆえ、不純物としての役割を果たすアルゴン(Ar)が電極間のリークパスを発生させていると考えられる。したがって、比較例1および2の薄膜圧電素子は抗電界Vcの値が十分ではなく、比較例3および4の薄膜圧電素子はリーク電流密度が十分ではない。抗電界Vcは測定装置から直接得られ、これを圧電薄膜の単位厚さ当たりの値に換算して抗電界Ecを求める。
実施例1の薄膜圧電素子は、電極層側界面層においては、比較例2におけるものと同等のアルゴン含有量を有し、比較例2におけるものと同様のリーク電流密度を呈するが、比較例4におけるものと同様のアルゴン含有量を膜厚の中心部に設けたことにより実用に足る大きな抗電界を生み出すことができる。
実施例2の薄膜圧電素子は、反対の第一電極層側界面層および第二電極層側界面層において、比較例2および3におけるものと同等のアルゴン含有量をそれぞれ有し、それゆえ、両比較例の中間であるリーク電流密度を呈する。しかし、実施例1におけるのと同様に、膜内に比較例4と同様のアルゴン(Ar)含有量を設けたことによって実用に足る大きな抗電界を生み出すことができる。
実施例2におけるのと同様に、実施例3の薄膜圧電素子は、第一電極層側界面層においては、比較例2におけるものと同等のアルゴン(Ar)含有量を有し、反対側の第二電極層側界面層においては、比較例4におけるものと同様のアルゴン含有量を有する。したがって、第二電極層側にリークパスと成り得る欠損ができ、それにより、リーク電流特性を実施例1および2に比較し少々低下させている。しかし、実施例3では、アルゴン(Ar)含有量の増加による抗電界の増加は十分確認できる。
実施例4の薄膜圧電素子は、第一電極層側界面層および第二電極層側界面層において、比較例1におけるものと同様のアルゴン含有量を有し、それゆえ、非常に良好なリーク電流特性を呈する。また、実施例4では、圧電薄膜内において比較例4におけるのと同様のアルゴン(Ar)含有量を持つ領域の増加により大きな抗電界を生み出すことができると考えられる。
実施例5の薄膜圧電素子は、第一電極層側界面層および第二電極層側界面層において、比較例2におけるものと同様のアルゴン含有量を有し、それゆえ、比較例2と同等の良好なリーク電流特性の結果を呈する。さらに、アルゴン(Ar)分圧の増加によりプラズマ中のアルゴン分子のイオン化が促進され、それにより、Ar含有量が増加し、その結果として抗電界が増加したと考えられる。
実施例および比較例では、圧電薄膜に希ガス元素としてのアルゴン(Ar)を加えることにより抗電界を増加させることができ、かつ圧電薄膜に含有量勾配を持たせ、それにより、含有量は電極層側で低くなり、圧電薄膜の中央付近で高くなるようにすることによりリーク電流特性を向上させることができる。したがって、本発明が、薄膜圧電素子の圧電特性を向上させる効果を有することが確認された。
また、薄膜圧電素子として実用的な圧電薄膜は−15V以下のの抗電界Vcを有し、本発明の各実施例では、抗電界Ecは−75kV/cm以下に相当する。さらに、実用的なリーク電流密度は1.0×10−6A/cm以下であり、実施例1から5において作製される圧電薄膜が抗電界およびリーク電流特性の双方に関して実用性があることが確認できる。
本発明に係る圧電アクチュエータは、増大した抗電界を有する薄膜圧電素子を含み、大きな変位量を得ることができ、本発明に係る圧電センサは、増大した抗電界を有する薄膜圧電素子を含み、検出感度を向上させることができる。したがって、高性能のハードディスクドライブおよびインクジェットプリンタ装置を提供することができる。

Claims (8)

  1. 一対の電極層と、前記一対の電極層に挟まれた圧電薄膜とを備えた薄膜圧電素子であって、前記圧電薄膜は希ガス元素を含有しており、前記圧電薄膜の膜厚方向に前記希ガス元素の含有量勾配を有し、前記含有量勾配の最大値は前記圧電薄膜の膜厚方向の距離を100%としたときに対して20〜80%の位置にあり、前記希ガス元素の含有量の最小値が前記圧電薄膜の前記電極層の一方側の界面層に存在する、薄膜圧電素子。
  2. 一対の電極層と、前記一対の電極層に挟まれた圧電薄膜とを備えた薄膜圧電素子であって、前記圧電薄膜は希ガス元素を含有しており、前記圧電薄膜の膜厚方向に前記希ガス元素の含有量勾配を有し、前記含有量勾配の最大値は前記圧電薄膜の膜厚方向の距離を100%としたときに対して20〜80%の位置にあり、前記圧電薄膜が前記電極層の両方もしくは片方側の界面層に前記希ガス元素を含有していない、薄膜圧電素子。
  3. 前記圧電薄膜がペロブスカイト型強誘電体で構成される、請求項1または2に記載の薄膜圧電素子。
  4. 前記圧電薄膜がニオブ酸カリウムナトリウム系の薄膜である、請求項1または2に記載の薄膜圧電素子。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の薄膜圧電素子を備える圧電アクチュエータ。
  6. 請求項1〜のいずれかに記載の薄膜圧電素子を備える圧電センサ。
  7. 請求項に記載の圧電アクチュエータを備えるハードディスクドライブ。
  8. 請求項に記載の圧電アクチュエータを備えるインクジェットプリンタ装置。
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