JP6169435B2 - 基板検査装置および基板検査方法 - Google Patents

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Description

本発明は、回路基板における導体パターンの導通状態を検査する基板検査装置および基板検査方法に関するものである。
この種の基板検査装置として、特開2010−25871号公報において出願人が開示した導通検査装置が知られている。この導通検査装置は、回路基板における複数のネット(配線バターン)を対象として導通検査を行う際に、各ネット(各検査対象部)に接触しているプローブを用いて各ネットを直列に接続して各ネットを一括して検査することが可能に構成されている。このため、この導通検査装置では、各ネットを1つずつ検査する構成と比較して、導通検査の検査効率を十分に向上させることが可能となっている。
特開2010−25871号公報(第5−7頁、第1図)
ところが、上記の導通検査装置には、改善すべき以下の課題が存在する。すなわち上記の導通検査装置では、複数のネットを直列に接続して各ネットを一括して検査する。この場合、ネットが基板の表面に形成されたベアボード(電子部品が実装されていない回路基板)では、一般的に、各ネットが独立して互いに絶縁されているため、このようなベアボードを検査対象とするときには、上記の導通検査装置を用いて各ネットの導通状態を正確に検査することができる。一方、ネットが形成された層を複数有する近年の多層の回路基板では、電子部品が実装されていない場合であっても、基板内部のネット同士や、内部の基板表面のネットが導電性を有する部品を介して互いに接続されていることがある。このような多層の回路基板を検査対象とするときには、検査対象のネットに導通不良(断線)が生じているとしても、そのネットと他のネットとが低抵抗の部品で接続されているときにはネット間の抵抗値が低く検出されることがある。このため、上記の導通検査装置には、このような多層の回路基板を検査対象とするときには、検査対象のネットに導通不良(断線)が生じているにも拘わらず、導通状態が良好と誤判定されるおそれがあり、この点の改善が望まれている。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、検査精度を向上させ得る基板検査装置および基板検査方法を提供することを主目的とする。
上記目的を達成すべく請求項1記載の基板検査装置は、回路基板における導体パターンの導通状態を検査する検査処理を実行する処理部を備え、前記処理部は、前記回路基板に配設されている部品を介して他の前記導体パターンに接続されていない前記導体パターンの導通状態を検査するときには、当該各導体パターンを直列接続させた状態で当該各導体パターンの導通状態を一括して検査する一括検査処理を前記検査処理として実行し、前記一括検査処理の対象としない前記導体パターンの導通状態を検査するときには、当該各導体パターンを個別に検査する個別検査処理を前記検査処理として実行する基板検査装置であって、前記処理部は、前記部品が予め決められた低導電性の基準を満たすときに当該部品を介して他の前記導体パターンに接続されている前記導体パターンを前記一括検査処理の対象とする
また、請求項記載の基板検査装置は、請求項記載の基板検査装置において、前記処理部は、前記回路基板の構成を示す回路基板データに基づいて前記一括検査処理の対象とする前記導体パターンを特定する特定処理を実行する。
また、請求項記載の基板検査方法は、回路基板における導体パターンの導通状態を検査する検査処理を実行する際に、前記回路基板に配設されている部品を介して他の前記導体パターンに接続されていない前記導体パターンの導通状態を検査するときには、当該各導体パターンを直列接続させた状態で当該各導体パターンの導通状態を一括して検査する一括検査処理を前記検査処理として実行し、前記一括検査処理の対象としない前記導体パターンの導通状態を検査するときには、当該各導体パターンを個別に検査する個別検査処理を前記検査処理として実行する基板検査方法であって、前記部品が予め決められた低導電性の基準を満たすときに当該部品を介して他の前記導体パターンに接続されている前記導体パターンを前記一括検査処理の対象とする
また、請求項記載の基板検査方法は、請求項記載の基板検査方法において、前記回路基板の構成を示す回路基板データに基づいて前記一括検査処理の対象とする前記導体パターンを特定する特定処理を実行する。
請求項1記載の基板検査装置、および請求項記載の基板検査方法では、部品を介して他の導体パターンに接続されていない導体パターンの導通状態を検査するときには、各導体パターンを直列接続させた状態で各導体パターンの導通状態を一括して検査する一括検査処理を実行し、一括検査処理の対象としない導体パターンの導通状態を検査するときには、各導体パターンを個別に検査する個別検査処理を実行する。このため、この基板検査装置および基板検査方法では、一括検査対象の導体パターンに断線が生じているにも拘わらず、部品を経由する迂回経路を介して大きな電流が流れて、一括検査対象の導体パターンの導通状態が良好と誤判定される事態が確実に防止されて、導体パターンに断線が生じているときには、その導体パターンを含む一括検査対象の各導体パターンの導通状態が不良であるとの判定が高精度で行われる。したがって、この基板検査装置および基板検査方法によれば、導通状態が不良の導体パターンを導通状態が良好と誤判定されるおそれのある従来の構成および方法と比較して、導体パターンに対する検査精度を十分に向上させることができる。
また、この基板検査装置、およびこの基板検査方法では、部品が予め決められた低導電性の基準を満たすときに、その部品を介して他の導体パターンに接続されている導体パターンを一括検査処理の対象とする。このため、この基板検査装置および基板検査方法によれば、部品を介して他の導体パターンに接続されていない導体パターンだけを一括検査対象とする構成および方法と比較して、一度により多くの導体パターンの導通状態を検査することができるため、検査効率を十分に向上させることができる。
また、請求項記載の基板検査装置、および請求項記載の基板検査方法では、回路基板データに基づいて一括検査処理の対象とする導体パターンを特定する特定処理を実行する。したがって、この基板検査装置および基板検査方法によれば、例えば、回路基板の図面に基づいて一括検査対象の導体パターンを手動で特定する構成および方法と比較して、一括検査対象の導体パターンを容易に特定することができるため、検査効率をさらに向上させることができる。
基板検査装置1の構成を示す構成図である。 回路基板100aの模式的な構成を示す構成図である。 回路基板データDpの模式的な構成を示す構成図である。 回路基板100bの模式的な構成を示す構成図である。
以下、基板検査装置および基板検査方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、基板検査装置の一例としての図1に示す基板検査装置1の構成について説明する。基板検査装置1は、例えば図2,4に示す複数のネットN1〜N9(導体パターンに相当し、以下、区別しないときには「ネットN」ともいう)を有する回路基板100a,100b(以下、区別しないときには「回路基板100」ともいう)における各ネットNの導通状態を、後述する基板検査方法に従って検査可能に構成されている。具体的には、基板検査装置1は、図1に示すように、基板保持部2、プローブユニット3、移動機構4、スキャナ部5、検査部6、記憶部7および制御部8を備えて構成されている。この場合、検査部6と制御部8とによって処理部が構成される。
基板保持部2は、載置台および固定機構(いずれも図示せず)を備えて、回路基板100を保持可能に構成されている。プローブユニット3は、図1に示すように、複数のプローブ31を備えて治具型に構成されている。この場合、プローブユニット3は、回路基板100の各ネットN上に予め規定されている各接触ポイントP1〜P22(図2参照:以下、区別しないときには「接触ポイントP」ともいう)に対してプローブ31が1つずつ接触するように、プローブ31の数や配列パターンが規定されている。移動機構4は、制御部8の制御に従い、プローブユニット3を上下方向に移動させることによってプロービングを実行する。
スキャナ部5は、複数のスイッチ(図示せず)を備えて構成され、制御部8の制御に従って各スイッチをオン状態またはオフ状態に移行させることにより、プローブユニット3の各プローブ31と検査部6との接続および接続解除を行う。
検査部6は、図外の信号出力部を備えて構成され、制御部8の制御に従って検査用信号S(例えば、直流電圧)を生成して出力する。また、検査部6は、制御部8の制御に従い、プローブユニット3の各プローブ31を介して検査用信号Sが回路基板100のネットNに供給(出力)されている状態においてネットNに流れる電流(プローブ31を介して入力する電気信号)を測定して、その電流値に基づいてネットNの導通状態を検査する。
記憶部7は、制御部8によって実行される後述する特定処理において用いられる回路基板データDpを記憶する。この場合、回路基板データDpは、回路基板100の構成を示すデータであって、例えば、図3に示すように、回路基板100に形成されている各ネットNを識別する情報(同図に示す「ネット名」)、各ネットNに設けられているプローブ31を接触させる接触ポイントPの数を示す情報(例えば、同図に示す「ポイント数」)、各接触ポイントPを識別する情報(同図に示す「ポイント番号」)、各ネットNに接続されている各部品を識別する情報(同図に示す「接続部品名」)、各部品の種別を示す情報(同図に示す「部品種別」)、各部品の定格値示す情報(同図に示す「定格値」)、および各ネットNが後述する一括検査処理および個別検査処理のどちらの対象となるかを示す情報(同図に示す「対象の検査」)を含んで構成されている。
この場合、この構成では、当初(初期状態)の回路基板データDpには、「対象の検査」を示す情報が含まれておらず、制御部8によって実行される後述する特定処理によって「対象の検査」が特定されたときに、制御部8が当初の回路基板データDpに「対象の検査」を示す情報を加えて(上書きして)記憶部7に記憶させる。また、記憶部7は、検査部6および制御部8によって実行される一括検査処理および個別検査処理の結果を記憶する。
制御部8は、図外の操作部から出力される操作信号に従って基板検査装置1を構成する各部を制御する。具体的には、制御部8は、移動機構4によるプローブユニット3の移動を制御する。また、制御部8は、複数のネットNを直列接続させた状態で各ネットNの導通状態を一括して検査する一括検査処理、およびネットNを1つ1つ個別に検査する個別検査処理(以下、一括検査処理および個別検査処理を区別しないときには「検査処理」ともいう)を検査部6と共に実行する。
また、制御部8は、回路基板データDpに基づいて特定処理を実行し、一括検査処理の対象(以下、「一括検査対象」ともいう)とするネットN、および一括検査処理の対象とはせずに個別検査処理の対象(以下、「個別検査対象」ともいう)とするネットNを特定する。制御部8は、この特定処理において、回路基板100に配設されている部品(例えば、図2に示す抵抗R1,R2やコンデンサC1,C2)を介して他のネットNに接続されていない非接続状態のネットNを一括検査対象のネットNとして特定する。また、制御部8は、部品を介して他のネットNに接続されている接続状態のネットNが存在しているときに、その部品が予め決められた低導電性の基準を満たすときには、そのネットNを一括検査対象とする。なお、「低導電性」とは、導電性の低さ(電流の流れ難さ)を意味するものとし、以下、低導電性の基準を満たす部品を「低導電性部品」ともいう。また、制御部8は、一括検査対象としたネットN以外のネットNを個別検査対象とする。
次に、一例として、図2,4に示す回路基板100a,100bにおける各ネットNの導通状態を基板検査装置1を用いて検査する基板検査方法、およびその際の基板検査装置1の動作について、図面を参照して説明する。
まず、検査対象の回路基板100aを基板保持部2の載置台(図示せず)に載置し、次いで、基板保持部2の固定機構(図示せず)で回路基板100aを固定して、回路基板100aを基板保持部2に保持させる。続いて、図外の操作部を用いて検査開始操作を行う。この際に、制御部8が、操作部から出力された操作信号に従って移動機構4を制御して、図1に示すように、プローブユニット3を回路基板100aに向けて(下向きに)移動させる。これにより、プローブユニット3の各プローブ31の先端部が各ネットNの各接触ポイントPにそれぞれ接触(プロービング)させられる。
次いで、制御部8は、記憶部7から回路基板データDpを読み出す。続いて、制御部8は、特定処理を実行する。この特定処理では、制御部8は、回路基板100aに形成されている各ネットNの中から回路基板100に配設されている部品を介して他のネットNに接続されていない非接続状態のネットNを回路基板データDpに基づいて特定する。具体的には、図2に示すように、回路基板100aでは、ネットN7,N10が他のネットNに接続されていない状態(非接続状態)となっている。制御部8は、回路基板データDpに含まれている各ネットNに接続されている部品を示す情報(図3参照)に基づいてその旨を判別して、非接続状態のネットN7,N10を一括検査対象として特定する。また、制御部8は、特定したネットN7,N10が一括検査対象である旨を示す情報をネットN7,N10を示す情報に関連付けて回路基板データDpに加えて記憶部7に記憶させる。
また、制御部8は、特定処理において、部品を介して他のネットNに接続されている接続状態のネットNが存在しているときに、その部品が予め決められた低導電性の基準を満たすときには、そのネットNを一括検査対象として特定する。具体的には、制御部8は、まず、回路基板データDpに含まれている各ネットNに接続されている部品を示す情報に基づき、ネットN1,N2が部品としての抵抗R1を介して互いに接続され、ネットN3,N4が部品としての抵抗R2を介して互いに接続され、ネットN5,N6が部品としてのコンデンサC1を介して互いに接続され、ネットN8,N9が部品としてのコンデンサC2を介して互いに接続されている旨を判別する(図2参照)。
次いで、制御部8は、各部品が低導電性の基準を満たすか否かを回路基板データDpに含まれている部品の定格値示す情報(図3に示す「定格値」)に基づいて判別する。この場合、一例として、部品としての抵抗の抵抗値が100Ω以上のとき、および部品としてのコンデンサの静電容量が1μF以下のときに、それらの部品が「低導電性の基準を満たす」と予め決められているものとする。このときには、制御部8は、上記した抵抗R1,R2のうちの抵抗R2が基準を満たすため、抵抗R2を介して互いに接続されているネットN3,N4を一括検査対象として特定する。また、制御部8は、上記したコンデンサC1,C2のうちのコンデンサC2が基準を満たすため、コンデンサC2を介して互いに接続されているネットN8,N9を一括検査対象として特定する。
また、制御部8は、特定処理において、一括検査対象としたネットN以外のネットN(この例では、ネットN1,N2,N5,N6)を個別検査対象とする。また、制御部8は、特定した「対象の検査」を示す情報(図3に示す「個別」および「一括」示す情報)を各ネットNを示す情報に関連付けて回路基板データDpに加えて記憶部7に記憶させる。
次いで、検査部6および制御部8が、一括検査処理を実行する。この一括検査処理では、制御部8は、回路基板データDpを記憶部7から読み出して、回路基板データDpによって示される各ネットNの中から、一括検査対象とするネットN(図3に示すように、「対象の検査」において「一括」を示す情報が付加されているネットN3,N4,N7〜N10)を選択する。
続いて、制御部8は、選択したネットN3,N4,N7〜N10が直列接続されるように、スキャナ部5を制御して、ネットN3,N4,N7〜N10の各接触ポイントPに接触しているプローブ31を接続させる。具体的には、例えば、ネットN3の接触ポイントP6とネットN4の接触ポイントP7とが接続され、ネットN4の接触ポイントP8とネットN7の接触ポイントP14とが接続され、ネットN7の接触ポイントP15とネットN8の接触ポイントP16とが接続され、ネットN8の接触ポイントP17とネットN9の接触ポイントP18とが接続され、ネットN9の接触ポイントP20とネットN10の接触ポイントP21とが接続されるようにスキャナ部5を制御する。この場合、各接触ポイントPに接触している各プローブ31、およびその各プローブ31に接続されているスキャナ部5の内部配線を介して、各接触ポイントPが直列接続される。
次いで、制御部8は、スキャナ部5を制御して、直列接続されたネットN3,N4,N7〜N10の両端部に位置する接触ポイントP(この例では、ネットN3の接触ポイントP5、およびネットN10の接触ポイントP22)に接触しているプローブ31を検査部6に接続させる。続いて、制御部8は、検査部6を制御して検査用信号Sを出力させる。これにより、直列接続されたネットN3,N4,N7〜N10に対して検査用信号Sが供給される。
次いで、制御部8は、検査部6を制御してネットN3,N4,N7〜N10の導通状態を検査させる。この場合、検査部6は、検査用信号Sの供給に伴ってネットN3,N4,N7〜N10に流れる電流をプローブ31を介して入力して測定する。続いて、検査部6は、電流の測定値および検査用信号Sの電圧値に基づいて抵抗値を算出し、その抵抗値と基準値とを比較してネットN3,N4,N7〜N10の導通状態を検査する。
この場合、図2に示すように、ネットN3,N4,N7〜N10に断線(導通不良箇所)がなく正常に繋がっているときには、抵抗値が基準値以下となるため、検査部6は、ネットN3,N4,N7〜N10の導通状態が良好であると判定する。次いで、制御部8は、検査部6を制御して検査用信号Sの出力を停止させる。また、制御部8は、検査部6による導通状態の検査結果を記憶部7に記憶させる。
続いて、検査部6および制御部8は、個別検査処理を実行する。この個別検査処理では、制御部8は、回路基板データDpによって示される各ネットNの中から、個別検査対象とするネットN(図3に示すように、「対象の検査」において「個別」を示す情報が付加されているネットN1,N2,N5,N6)の1つ(例えば、ネットN1)を選択する。
次いで、制御部8は、スキャナ部5を制御して、選択したネットN1の両端部に位置する接触ポイントP1,P2に接触しているプローブ31を検査部6に接続させる。次いで、制御部8は、検査部6を制御して検査用信号Sを出力させる。
続いて、制御部8は、検査部6を制御してネットN1の導通状態を検査させる。この場合、図2に示すように、ネットN1に断線がないため、検査部6は、ネットN1の導通状態が良好であると判定する。次いで、制御部8は、検査部6を制御して検査用信号Sの出力を停止させると共に、検査部6による導通状態の検査結果を記憶部7に記憶させる。
続いて、検査部6および制御部8は、個別検査対象とする他の1つのネットN(例えば、ネットN2)を選択して、上記と同じ手順で個別検査処理を実行する。以下、制御部8は、個別検査対象とする全てのネットN(残りのネットN5,N6)について、1つずつ個別検査処理を実行する。以上により、回路基板100aの検査が終了する。
ここで、この基板検査装置1では、上記したように、複数のネットNを直列接続させた状態で導通状態を検査する一括検査処理を実行する。このため、導通状態の良否の検査を一括検査対象のネットNの1つ1つに対して個別に行う構成と比較して、検査効率を十分に向上させることが可能となっている。
次に、図4に示す回路基板100bの検査を行う際には、上記したように、回路基板100bを基板保持部2に保持させて検査開始操作を行う。この際に、制御部8が、移動機構4を制御してプローブユニット3を移動させ、これにより、プローブユニット3の各プローブ31の先端部が各ネットNの各接触ポイントPにそれぞれ接触(プロービング)させられる。
続いて、検査部6および制御部8は、一括検査処理を実行する。この場合、制御部8は、上記した回路基板100aに対する検査と同様にして、一括検査対象とするネットNとして、ネットN3,N4,N7〜N10を選択する。
次いで、制御部8は、スキャナ部5を制御して、選択したネットN3,N4,N7〜N10を直列接続させ、続いて、直列接続されたN3,N4,N7〜N10の両端部に位置する接触ポイントPに接触しているプローブ31を検査部6に接続させる。次いで、制御部8は、検査部6を制御して検査用信号Sを出力させ、続いて、検査部6を制御してネットN3,N4,N7〜N10の導通状態を検査させる。ここで、図4に示すようにネットN3に断線(導通不良箇所Nb)が生じているときには、抵抗値が基準値を超えるため、検査部6は、ネットN3,N4,N7〜N10(これらのうちの1つ以上のネットN)の導通状態が不良であると判定する。次いで、制御部8は、検査部6を制御して検査用信号Sの出力を停止させると共に、検査部6による導通状態の検査結果を記憶部7に記憶させる。
ここで、低導電性の基準を満たしていない高導電性の部品(例えば、抵抗値が100Ω未満の抵抗や、静電容量が1μFを超えるコンデンサ:以下「高導電性部品」ともいう)を介して他のネットNと接続されているか否かを考慮することなく検査対象としてのネットNを選択する構成および方法では、高導電性部品を介して接続されている複数のネットN(例えば、抵抗値が50Ωの抵抗R1を介して接続されている複数のネットN1,N2)を一括検査対象として選択する可能性がある。このようなネットN1,N2が一括検査対象として選択されたときには、同図に示すように、ネットN1に導通不良箇所Nbが存在しているにも拘わらず、ネットN1,N2の導通状態が良好と誤判定されることとなる。
具体的には、例えば、ネットN1,N2を一括検査対象として選択して、ネットN1の接触ポイントP2とネットN2の接触ポイントP3とを接続させてネットN1,N2を直列接続させると共に、ネットN1,N2の両端部に位置する接触ポイントP1,P4に接触しているプローブ31を検査部6に接続させて一括検査処理を実行したときには、ネットN1に導通不良箇所Nbが存在しているにも拘わらず、抵抗R1を経由する迂回経路を介して抵抗R1の抵抗値に応じた大きな電流が流れて、ネットN1、抵抗R1およびネットN2によって構成される回路の抵抗値が基準値よりも低い値に測定される結果、ネットN1,N2の導通状態が良好と誤判定される。
これに対して、この基板検査装置1および基板検査方法では、上記したように、低導電性の基準を満たしていない高導電性部品を介して他のネットNと接続されているネットNを一括検査対象に含めないで一括検査処理を実行する。このため、この基板検査装置1および基板検査方法では、一括検査対象のネットNに断線が生じているにも拘わらず、高導電性部品を経由する迂回経路を介して大きな電流が流れて、一括検査対象のネットNの導通状態が良好と誤判定される事態が確実に防止される。つまり、ネットNに断線が生じているときには、そのネットNを含む一括検査対象の各ネットNの導通状態が不良であるとの判定が高精度で行われる。
また、この基板検査装置1および基板検査方法では、低導電性部品を介して他のネットNに接続されている接続状態のネットNを一括検査対象とする。この場合、ネットNが低導電性部品を介して接続されているときには、一括検査処理の際に、低導電性部品を経由する迂回経路を介して電流が流れたとしても、低導電性部品が抵抗のときには、その抵抗値が大きいため、迂回経路を流れる電流が僅かであり、また、低導電性部品がコンデンサのときにも、その静電容量が小さいため、迂回経路を流れる電流が僅かとなる。このため、この基板検査装置1および基板検査方法では、低導電性部品を一括検査対象として選択して一括検査処理を実行した場合においても、一括検査対象のネットNの導通状態が良好と誤判定される事態が確実に防止されて、ネットNに断線が生じているときには、そのネットNを含む一括検査対象の各ネットNの導通状態が不良であるとの判定が高精度で行われる。
続いて、検査部6および制御部8は、上記した回路基板100aに対する検査と同様にして、個別検査対象のネットN1,N2,N5,N6について、1つずつ個別検査処理を実行する。この場合、図4に示すように、ネットN1に断線が生じているため、検査部6は、ネットN1の導通状態が不良であると判定する。また、同図に示すように、ネットN1以外のネットN2,N5,N6には断線が生じていないため、検査部6は、ネットN2,N5,N6の導通状態が良好であると判定する。
なお、上記したように一括検査処理において、一括検査対象の各ネットN(上記の例では、ネットN3,N4,N7〜N10)のうちの1つ以上のネットNの導通状態が不良であると判定しているときには、検査部6および制御部8に対して、一括検査対象の各ネットNに対して1つずつ個別検査処理を実行して導通状態が不良のネットNを特定する処理を実行させることもできる。
このように、この基板検査装置1および基板検査方法では、部品を介して他のネットNに接続されていないネットNの導通状態を検査するときには、各ネットNを直列接続させた状態で各ネットNの導通状態を一括して検査する一括検査処理を実行し、一括検査処理の対象としないネットNの導通状態を検査するときには、各ネットNを個別に検査する個別検査処理を実行する。このため、この基板検査装置1および基板検査方法では、一括検査対象のネットNに断線が生じているにも拘わらず、部品を経由する迂回経路を介して大きな電流が流れて、一括検査対象のネットNの導通状態が良好と誤判定される事態が確実に防止されて、ネットNに断線が生じているときには、そのネットNを含む一括検査対象の各ネットNの導通状態が不良であるとの判定が高精度で行われる。したがって、この基板検査装置1および基板検査方法によれば、導通状態が不良のネットNを導通状態が良好と誤判定されるおそれのある従来の構成および方法と比較して、ネットNに対する検査精度を十分に向上させることができる。
また、この基板検査装置1および基板検査方法では、部品が予め決められた低導電性の基準を満たすときに、その部品を介して他のネットNに接続されている接続状態のネットNを一括検査処理の対象とする。このため、この基板検査装置1および基板検査方法によれば、非接続状態のネットNだけを一括検査対象とする構成および方法と比較して、一度により多くのネットNの導通状態を検査することができるため、検査効率を十分に向上させることができる。
また、この基板検査装置1および基板検査方法では、回路基板データDpに基づいて一括検査処理の対象とするネットNを特定する特定処理を実行する。したがって、この基板検査装置1および基板検査方法によれば、例えば、回路基板100の図面に基づいて一括検査対象のネットNを手動で特定する構成および方法と比較して、一括検査対象のネットNを容易に特定することができるため、検査効率をさらに向上させることができる。
なお、部品を介して他のネットNに接続されていない(非接続状態の)ネットNに加えて、予め決められた低導電性の基準を満たす部品を介して他のネットNに接続されているネットNを一括検査対象とする例について上記したが、部品を介して他のネットNに接続されていないネットNだけを一括検査対象とする構成および方法を採用することもできる。
また、ネットNの導通状態だけを検査する構成および方法に適用した例について上記したが、導通状態の検査に加えて、各ネットN間の絶縁状態を検査する構成および方法に適用することもできる。この場合、導通状態の検査(一括検査処理)を終了した後に、絶縁状態の検査を行うこともできるし、絶縁状態の検査を行った後に導通状態の検査を行うこともできる。なお、一括検査対象の複数のネットN同士が短絡して絶縁状態が不良のときには、それらのネットNに断線が生じている場合であっても、各ネットNの短絡によって一括検査処理において各ネットNの導通状態が良好と判定されるおそれがある。このため、一括検査処理に先立って絶縁状態の検査を行い、絶縁状態が良好なネット群Gだけを一括検査対象として一括検査処理を実行することで、検査精度をさらに向上させることができる。
また、部品としての抵抗R1,R2およびコンデンサC1,C2が配設された回路基板100a,100bを検査する例について上記したが、コイル、ダイオード、トランジスタ等の抵抗およびコンデンサ以外の各種の部品が配設されて、これらの部品を介して接続されているネットNの導通状態を検査する際に適用することができる。この場合、これらの部品の種類に応じて、低導電性の基準を予め決めることで、上記した各効果を実現することができる。
また、回路基板データDpに基づいて制御部8が一括検査対象のネットNおよび個別検査対象のネットNを特定する構成および方法に上記したが、一括検査対象のネットNおよび個別検査対象のネットNを示す情報を予め記憶部7に記憶させておき、一括検査処理および個別検査処理の際にその情報を読み出して一括検査対象のネットNおよび個別検査対象のネットNを選択する構成および方法を採用することもできる。
1 基板検査装置
6 検査部
8 制御部
100a,100b 回路基板
C1,C2 コンデンサ
Dp 回路基板データ
N1〜N10 ネット
R1,R2 抵抗

Claims (4)

  1. 回路基板における導体パターンの導通状態を検査する検査処理を実行する処理部を備え、
    前記処理部は、前記回路基板に配設されている部品を介して他の前記導体パターンに接続されていない前記導体パターンの導通状態を検査するときには、当該各導体パターンを直列接続させた状態で当該各導体パターンの導通状態を一括して検査する一括検査処理を前記検査処理として実行し、前記一括検査処理の対象としない前記導体パターンの導通状態を検査するときには、当該各導体パターンを個別に検査する個別検査処理を前記検査処理として実行する基板検査装置であって、
    前記処理部は、前記部品が予め決められた低導電性の基準を満たすときに当該部品を介して他の前記導体パターンに接続されている前記導体パターンを前記一括検査処理の対象とする基板検査装置。
  2. 前記処理部は、前記回路基板の構成を示す回路基板データに基づいて前記一括検査処理の対象とする前記導体パターンを特定する特定処理を実行する請求項1記載の基板検査装置。
  3. 回路基板における導体パターンの導通状態を検査する検査処理を実行する際に
    前記回路基板に配設されている部品を介して他の前記導体パターンに接続されていない前記導体パターンの導通状態を検査するときには、当該各導体パターンを直列接続させた状態で当該各導体パターンの導通状態を一括して検査する一括検査処理を前記検査処理として実行し、前記一括検査処理の対象としない前記導体パターンの導通状態を検査するときには、当該各導体パターンを個別に検査する個別検査処理を前記検査処理として実行する基板検査方法であって、
    前記部品が予め決められた低導電性の基準を満たすときに当該部品を介して他の前記導体パターンに接続されている前記導体パターンを前記一括検査処理の対象とする基板検査方法。
  4. 前記回路基板の構成を示す回路基板データに基づいて前記一括検査処理の対象とする前記導体パターンを特定する特定処理を実行する請求項記載の基板検査方法。
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