JP6165698B2 - Cb液の圧送方法及び瞬結性グラウト注入工法 - Google Patents

Cb液の圧送方法及び瞬結性グラウト注入工法 Download PDF

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本発明は、軟弱地盤や構造物背面の空洞などに注入されて水和反応により硬化することで地盤を強化するグラウト注入工法に関し、詳しくは、セメント類とベントナイトを含有するCB液と、水ガラスを含有する水ガラス液と、を別々に圧送して注入直前に混合して地盤や空洞に注入し、ゲル化時間を短縮して早期に地盤強化を図る瞬結性グラウト注入工法、及びそのCB液の圧送方法に関する。
従来、軟弱地盤の砂礫層等の大きな土粒子間隙、岩盤等の硬質地盤のクラック、構造物と地山との間に生じた空洞、トンネル等の裏込など、地盤に注入されて水和反応により硬化することで地盤を強化するグラウト注入工法が知られている。
このようなグラウト注入工法に用いられるグラウトとしては、安価で大量に入手容易なため、セメント類とベントナイトを含有するものが一般的であり、汎用性が高く、多くの用途に使用されている。以下、セメント類とベントナイトを含有するグラウトを単にCB液という。
このCB液において、ベントナイトは、ブリージングを抑えたり、セメント粒子が沈降するような材料分離を抑えたりする作用を有する、いわゆる増粘剤(粘着剤)として機能している。
このCB液は、主に2つの用途に使用される。1つ目の用途は、粗砂や砂礫土などの軟弱地盤の土粒子間への浸透性を高めた浸透性グラウトとしての用途であり、2つ目の用途は、トンネル等の裏込や構造物と地山との間に生じた空洞へ充填される空洞充填グラウトとしての用途である。
浸透性グラウトは、土粒子間隙への浸透性を重視して、増粘性を示すベントナイトの含有量を少なくして粘性を小さくしたものであり、ブリージングや材料分離が比較的生じ易くなる。一方、地盤の空洞に充填する場合は、圧送可能であれば粘性が大きくても充分充填可能であるため、空洞充填グラウトは、ベントナイトの含有量を高くして粘性を大きくしたものであり、ブリージングや材料分離が生じ難くなる。
このようにCB液は、安価で材料の入手が容易で、汎用性が高いが、次のような問題がある。(1)セメント類に水を加える(調合する)と水和反応を起こすが、非流動性となるには、2〜3時間を要する。このため、注入されたCB液は、不必要な遠方まで逸走してしまう。(2)また、非流動性の状態から硬化する(一定の固結強さに達する:所定の強度を発現する)には、さらに数時間を要する。
このような問題を解決するため、硬化剤として水ガラスを加えた瞬結性水ガラス系懸濁液を用いてゲル化時間を短縮して早期に地盤強化を図る瞬結性グラウト注入工法が実用化され、広く用いられている。
例えば、特許文献1には、ゲルタイムが約20秒以下に調整された瞬結性グラウトが開示され、特許文献2には、早期強度の発現(2時間)の瞬結性グラウトの具体例が開示されている(特許文献1の明細書の2頁〜4頁、特許文献2の明細書の2頁〜4頁等参照)。なお、これらの瞬結性グラウトに用いられた水ガラスは、いずれもJIS3号品である。
一方、施工場所(現場)、即ち、プラント(調合場所)から注入地点までの距離は、施工条件(注入地点の立地条件等)に左右される。例えば、トンネル等の裏込工事では、プラントから注入地点までの距離が、500〜1,000m、長い場合では、2,000m以上離れている場合も多々ある。このため、プラントから注入地点まで、圧送管(注入ホースも含む)を通じて、前述のセメント類とベントナイトを含有するCB液(A液)と水ガラスを含有する水ガラス液(B液)の2液に分けて別々に圧送することとなる。
この2液のうち、B液である水ガラス液は、液体で硬化成分を含まないので、長距離圧送しても問題とならないが、A液であるCB液は、ブリージングや時間とともに硬化するため長距離圧送の際問題となる。
CB液のセメント類は、水を加えると水和反応を起こし、粘性が増大していき、非流動性を経て硬化する。例えば、普通ポルトランドセメントとベントナイトのみからなるCB液の流動性保持時間(P漏斗流出時間で18秒程度)は、約2〜3時間程度であり、この流動性保持時間を超えると圧送が困難となるため、CB液を圧送する圧送管内にCB液を放置することはできない。このため、圧送終了時(一般には、施工した日の作業終了時)には、CB液を圧送する圧送管内を水洗いしてCB液を排出(廃棄)しているのが実情である。
例えば、圧送管2インチ、長さ1,000mの場合、圧送管内に約2m3滞留しており、このCB液の排出時間、排水液の処理、そして、次の圧送開始時(例えば、次の日)に新たにCB液を圧送管の先端まで送り込むのに要する作業時間、人的労力及び処理費を含めた諸費用が掛かるという問題があった。
特開昭58−37080号公報 特開昭59−49281号公報
そこで、本発明は、前述したセメント類の水和反応に起因した短い流動性保持時間にかかわる問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、セメント類の水和反応を抑制させることにより、CB液の流動性保持時間を長くするCB液の圧送方法及び、その圧送方法により圧送したCB液に注入直前において水ガラス液を混合して地盤や空洞に注入し、ゲル化時間を短縮して早期に地盤強化を図る瞬結性グラウト注入工法を提供することにある。
第1発明に係るCB液の圧送方法は、セメント類とベントナイトを含有するCB液と、水ガラスを含有する水ガラス液と、を別々に圧送して地盤や構造物背面の空洞への注入直前に混合して注入し、ゲル化時間を短縮して早期に地盤強化を図る瞬結性グラウト注入工法におけるCB液の圧送方法であって、前記CB液に、圧送可能な流動性を時間以上保持するために縮合リン酸塩を1m3あたり1.0kg以上添加したうえ、このCB液を放置したまま圧送を時間以上中断し、その後、CB液の圧送管内を洗浄することなく放置した前記CB液を前記圧送管内に存置させたまま新たなCB液を圧送することを特徴とする。
第2発明に係るCB液の圧送方法は、第1発明において、前記縮合リン酸塩は、ヘキサリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、又はこれらの混合物であることを特徴とする。
第3発明に係る瞬結性グラウト注入工法は、セメント類とベントナイトを含有するCB液と、水ガラスを含有する水ガラス液と、を別々に圧送して地盤や構造物背面の空洞への注入直前に混合して注入し、ゲル化時間を短縮して早期に地盤強化を図る瞬結性グラウト注入工法であって、請求項1又は2に記載のCB液の圧送方法によって、前記CB液を圧送することを特徴とする。
第4発明に係る瞬結性グラウト注入工法は、第3発明において、前記水ガラス液は、モル比が3.3〜4.0の範囲にある水ガラスであることを特徴とする。
第1発明〜第4発明によれば、前記CB液に、圧送可能な流動性を長時間保持するために縮合リン酸塩を1m3あたり1.0kg以上添加したうえ、このCB液を放置したまま圧送を長時間中断し、その後、CB液の圧送管内を洗浄することなく放置した前記CB液を前記圧送管内に存置させたまま新たなCB液を圧送するので、圧送管内に滞留したCB液の排出に係る時間や、排水液の処理に掛かる費用を削減することができる。また、第1発明〜第4発明によれば、圧送開始時に新たにCB液を圧送管の先端まで送り込む時間等に要する作業時間、人的労力含めた諸費用を削減することもできる。
特に、第2発明によれば、食品添加物としても使用される安全性の高いリン酸類の塩により、前記作用効果を達成することができ、環境汚染のおそれも少ない。
第3発明及び第4発明によれば、圧送管内に滞留したCB液の排出に係る時間や、排水液の処理に掛かる費用、圧送開始時に新たにCB液を圧送管の先端まで送り込むのに要する作業時間、人的労力含めた諸費用を削減することができるだけでなく、グラウトが非流動性となるまで時間を要し、不必要な遠方まで逸走してしまうということを防止することができる。また、第3発明及び第4発明によれば、非流動性の状態から硬化するまでの時間、即ち、ゲル化時間を短縮し早期に地盤を強化することができる。
以下、本発明を適用した瞬結性グラウト注入工法、及びそのCB液の圧送方法を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の実施の形態に係る瞬結性グラウト注入工法では、セメント類とベントナイトを含有するA液であるCB液と、水ガラスを含有するB液である水ガラス液と、を別々に圧送して地盤への注入直前に(グラウトを地盤や空洞に注入する付近にて)これらを混合して注入する。この瞬結性グラウトは、軟弱地盤の土粒子間隙、岩盤等の硬質地盤のクラック、構造物と地山との間に生じた空洞、トンネル等の裏込などに用いられ、地盤に注入されて水和反応により硬化することで地盤を強化・改良する性能を有している。
先ず、A液であるCB液について説明する。この実施の形態に係るCB液は、セメント類とベントナイトと、縮合リン酸塩を含有している。
(セメント類)
ここで、セメント類とは、水との水和反応により水酸化カルシウム(Ca(OH)2)を溶出して硬化する難溶性、高アルカリ性の粉末のことを指す。具体的には、セメント類には、普通、早強、中庸熱、超早強、及び低熱等の各種ポルトランドセメント、これらポルトランドセメントにフライアッシュや高炉スラグ等の微粒子を混合した各種混合セメント、微粒子セメント等が含まれる。また、セメント類には、ポルトランドセメントに水酸化カルシウムを加えたものも含まれる。さらに、スラグに水酸化カルシウムを加えて、スラグを硬化させることもセメント類に含まれる。
本実施の形態に係るCB液に使用するセメント類の量は、グラウトの使用目的に応じた強度(通常、0.5〜5.0N/mm2程度の範囲)によって定まるものである。使用するセメントの種類によっても異なるが、本実施の形態に係るCB液に使用するセメント類の量の具体的な数値としては、一般的な使用目的の範囲では、200〜600kg/m3の範囲と考えられる。
(ベントナイト)
ベントナイトは、粘土鉱物であるモンモリロナイトを主成分とする粘土であり、水と接することにより膨潤性を示す混合物である。また、ベントナイトは、天然鉱物を主成分とするため、ベントナイトの品質、即ち、ベントナイトをグラウトに加えた場合の膨潤度、増粘度などの増粘剤としての効能は、モンモリロナイトの産地によって大きく異なるものである。
本実施の形態に係るCB液におけるベントナイトの添加量は、瞬結性グラウトの使用目的、即ち、背景技術で述べた浸透性グラウトとして使用するか、又は空洞充填グラウトとして使用するかなどで大きく相違するものである。また、ベントナイトの添加量は、ベントナイトの品質、グラウト中の水量、セメント類の種類や数量、骨材(細骨材)の種類や数量など、を考慮し、グラウトの使用目的に応じた粘性となるように適宜定められるものである。但し、前述のように、産地によって品質や性能が大きく異なるため、グラウトに添加するベントナイトの具体的数量の範囲を一律に特定することは、非常に困難と云える。
(縮合リン酸塩)
縮合リン酸塩は、リン酸アルカリ金属塩に属し、正リン酸(オルトリン酸:H3PO4)を加熱することにより脱水反応が起こり、縮合して無機高分子となった物の総称である。実施の形態に係るCB液に添加する縮合リン酸塩としては、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサリン酸ナトリウム、又はこれらの混合物が好適である。
本実施の形態に係るCB液に添加する縮合リン酸塩の量は、1m3あたり1.0kg以上である。これは、後で詳述するが、縮合リン酸塩が、CB液1m3あたり1.0kg以上添加されると、圧送可能な流動性保持時間が長時間(8時間以上)となることが明らかになったからである。
また、縮合リン酸塩の添加量がCB液1m3あたり1.0kgを超えて増やしていくと漸次CB液の流動性保持時間も長くなる傾向を示すことも明らかとなった。本実施の形態に係るCB液に添加する縮合リン酸塩の量は、CB液1m3あたり2.0〜5.0kgが好ましく、1.0kg未満であれば、CB液の流動性保持時間が8時間に至らず、瞬結性グラウト注入作業を中断して、次の作業開始時に数時間前にプラントで生成した圧送管内の残留CB液をそのまま圧送することができない。
(水ガラス)
次に、B液である水ガラス液について説明する。水ガラスは、珪酸ナトリウム又は珪酸ソーダと呼ばれており、単一の化合物ではなく、Na2O(酸化ソーダ)とSiO2(無水珪酸)が種々の比率で混合された水飴状の粘性の高い液体である。分子式はNa2O・nSiO2であり、nはモル比である。水ガラスは、このモル比nが種々のものが存在し、従来一般的に使用されているJIS3号品は、このモル比nが2.8〜3.2のものであり、重量パーセントでは、Na2O(酸化ソーダ)が9〜10%、SiO2(無水珪酸)が28〜30%となっている。
しかし、後述の実験により、ゲル化時間を短縮して早期に地盤強化を図る瞬結性グラウトを生成するためCB液に混合する縮合リン酸塩としてJIS3号品を混合した場合は、生成されたグラウトのゲルタイムが遅延される傾向を示し、瞬結性グラウトとしては適さないことが明らかになった。
しかも、後述の実験により、水ガラスのモル比を高めてn≧3.3とすると、生成されたグラウトのゲルタイムは短縮され、併せて、早期強度の発現が認められ、早期に地盤強化できることを見出した。そこで、本発明に係る瞬結性グラウト注入工法に用いる水ガラスとしては、モル比が3.3以上、好ましくは、モル比が3.3〜4.0の水ガラスが好適に用いられる。
(その他)
本実施の形態に係るグラウトは、前述の物質の他、必要に応じて一次鉱物である砂等の細骨材を含有しても構わない。また、ベントナイト以外の二次鉱物である粘土鉱物、フライアッシュや高炉スラグ等の微粒子物質、石膏等を含有しても構わない。さらに、目的に応じて、本実施の形態に係るグラウトは、分散剤、遅延剤、強度促進並びに増強剤、ゲル化剤、増粘剤、粘着剤等、各種の混和剤(混和材)・添加剤が添加されていてもよい。
[瞬結性グラウト注入工法]
次に、本発明を適用した実施の形態に係る瞬結性グラウト注入工法について説明する。本実施の形態に係る瞬結性グラウト注入工法は、前述の実施の形態に係るCB液をA液として、前述の実施の形態に係る水ガラス液をB液として、これらの液を別々に調合・圧送し、地盤や構造物背面の空洞への注入直前、即ち、グラウトを地盤や空洞に注入する注入地点付近にてこれらを混合して注入する工法である。この瞬結性グラウト注入工法は、砂礫層等の軟弱地盤の大間隙、硬質地盤のクラック、構造物背面の空洞等に注入充填する工程で行われる工法である。
この2液のうち、A液であるCB液は、ブリージングや時間とともに硬化するため長距離圧送の際問題となる。そこで、後述のように、A液であるCB液を圧送する。一方、B液である水ガラス液は、液体で硬化成分を含まないので、長距離圧送しても問題とならない。しかし、圧送を容易とするため、液の粘度を20〜30cP(センチポイズ)[mPa・s(ミリパスカル秒)]程度に調整することが好ましい。
実施の形態に係る瞬結性グラウト注入工法におけるA液とB液の混合比率は、1対1の等量でもよいが、A液の量に対してB液の量が少ない比率で混合した場合、即ち、水ガラスの濃度を高めてA液に対してB液が少量となるように混合した場合の方が、ゲルタイムを短縮することが可能となるため好ましい。また、A液の量に対してB液の量が少ない比率で混合する場合は、A液とB液を混合する合流地点に撹拌装置(例えば、ラインミキサー)を設置すると均一に混合できるため好ましい。
(CB液の圧送方法)
次に、実施の形態に係る瞬結性グラウト注入工法における、本発明の特徴部分であるA液であるCB液の圧送方法について詳細に説明する。前述の実施の形態に係るCB液は、プラントでセメント類及びベントナイトに水を加えて調合すると、その中でセメント類が水和反応を起こして次第に粘性が増大していき、圧送不能な非流動性の状態を経て硬化する。
CB液のポンプで圧送可能な粘性、ひいては、流動性保持時間は、ポンプの性能、CB液の性質、圧送距離等に左右されるが、一般に、P漏斗での流出時間が18秒程度と言われており、本発明でもこの値を基準としている。
一方、施工(現場)、即ち、プラント(調合場所)から注入地点までの距離は、施工条件(注入地点の立地条件等)に左右される。例えば、トンネル等の裏込工事では、プラントから注入地点までの距離が、500〜1,000m、長い場合では、2,000m以上離れている場合も多々ある。このため、プラントから注入地点まで、圧送管(注入ホースも含む)を通じて、前述のように、CB液(A液)と水ガラス液(B液)の2液に分けて別々に圧送することになる。
しかし、縮合リン酸塩を添加しない従来のCB液の流動性保持時間は、約2〜3時間程度であり、それ以上の時間圧送管内にCB液を滞留させておくことができないため、圧送管内に残留したCB液を廃棄して圧送管内を水洗いしなければならなかった。
そこで、本発明の実施の形態に係るCB液の圧送方法では、前述のCB液に縮合リン酸塩を1m3あたり1.0kg以上添加したうえ、このCB液を放置したまま圧送を長時間(少なくとも8時間以上、好ましくは16時間以上)中断し、その後、A液圧送管内を洗浄することなく放置したCB液をA液圧送管内に存置させたまま新たなCB液を圧送する。
なお、前述の中断には、その日の瞬結性グラウト注入作業の終了によるCB液の圧送中断だけでなく、昼休みによる中断、注入地点の移動による圧送中断、ポンプなどの注入機器の故障や圧送管の詰まりなどその他のトラブルによる圧送中断等が含まれるものである。
但し、圧送を中断してから再開するまでの時間は、CB液の流動性保持時間内であることを原則とする。勿論、中断してから再開するまでの時間に応じて、CB液に添加する縮合リン酸塩の量を調整する。
また、8時間を目安にしたのは、トンネル工事等のグラウト注入の作業現場においてプラントやグラウト注入作業を、24時間、8時間3交代制で続けた場合、何らかのトラブルでそのうちの8時間が稼働できずに中断した場合を想定している。16時間は、通常作業現場の作業時間が朝8時〜夕方の5時まであり、その日の5時に作業を終了し、次の日の朝8時から準備を始めポンプ圧送を開始できる9時までポンプ圧送を中断していた場合を想定している。
以上説明した本実施の形態に係る瞬結性グラウト注入工法、及びCB液の圧送方法によれば、圧送管内に滞留したCB液の排出に係る時間や、排出液の処理に掛かる費用を削減することができるだけでなく、圧送開始時に新たにCB液を圧送管の先端まで送り込む時間等に要する作業時間、人的労力含めた諸費用を削減することもできる。
以上、前述した実施の形態は、いずれも本発明を実施するにあたって具体化した一実施の形態を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
[効果確認実験]
以下、実施例と比較例を挙げて実験により本発明の効果を検証する。実験には、セメント類として普通ポルトランドセメント、ベントナイトとしてホージュン製250メッシュ、縮合リン酸塩としてヘキサリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、縮合リン酸以外のリン酸として第1リン酸ナトリウム(リン酸二水素ナトリウム)を用いた。また、水ガラスには、モル比2.9、3.3、4.0の3種類でいずれも1リッターあたりSiO2が312gであるものを用いた。
(流動性試験)
先ず、効果確認実験において行ったCB液の流動性の一指標であるP漏斗流下試験の試験方法について説明する。このP漏斗流下試験は、土木学会基準JSCE−F521(P漏斗による方法)に準じて行われる。具体的には、P漏斗流下試験は、流出口径13mmの漏斗からCB液1725mLが流出する時間(秒)を測定することにより行う。なお、単にP漏斗流出時間とは、調合直後、即ち、調合5分後のCB液の流出時間の測定値である。
(ゲルタイムの測定)
次に、瞬結性グラウトのゲルタイムの測定方法について説明する。ビニール袋(cm×40cm)内にCB液を入れ、CB液の上部でビニール袋を手で閉じ、その上部に水ガラス液を入れる。次に、ビニール袋のCB液と水ガラス液とを隔てている手を離すと同時に、両手でビニール袋の両端を持ち、上下、左右に激しく動かして両液を瞬時に混合するビニール袋内混合法によりゲルタイムの測定を行った。この方法は、ゲルタイムが非常に短い瞬結性グラウトに適している。
(一軸圧縮強度試験)
次に、一軸圧縮強度試験の試験方法について説明する。詳細は、JISA1132「コンクリート強度試験用供試体の作り方」に準じて行われるが、概要としては、内径5cm×高さ10cmの塩化ビニル製の円筒管に前述のビニール袋内混合法(ゲルタイムの測定参照)により生成した瞬結性グラウトを直ちに投入してゲル化させて複数の共試体を作成した。そして、その後1時間と、28日湿潤養生後の共試体の一軸圧縮強度をそれぞれ測定した。
[実験I]
実験Iは、CB液の調合直後のP漏斗流出時間とP漏斗流出時間が18秒になるまでに
要した時間を測定し、次の表1に示す結果を得た。
Figure 0006165698
表1から分かるように、調合直後のP漏斗流出時間は、実験No.1〜10のいずれも8.6〜9.0秒の範囲内であり、ほとんど同じであった。
また、CB液は、調合後時間の経過とともに増粘していき、流動性の指標であるP漏斗流出時間も増加していくことになる。CB液の圧送可能な流動性の限界を示す指標としては、一般にP漏斗流出時間が18秒となった状態といわれており、本実験では、CB液のP漏斗流出時間が18秒に達した時が、調合後何時間であったかを記録し、CB液の流動性保持時間とした。
表1に示すように、縮合リン酸塩を含まない比較例1の流動性保持時間は、2.5時間であり、縮合リン酸塩としてヘキサリン酸ナトリウムをCB液1m3あたり0.5kg添加した比較例2の流動性保持時間は、6.7時間であり、前述のように、圧送の中断時間との目安である8時間をクリアしていない。
しかし、ヘキサリン酸ナトリウムをCB液1m3あたり1.0kg添加した実施例1の流動性保持時間は、9.1時間、さらにヘキサリン酸ナトリウムの添加量を増した実施例2〜4の性保持時間は、長くなる傾向を示し、ヘキサリン酸ナトリウムをCB液1m3あたり5.0kg添加した実施例5に至っては、流動性保持時間が29.3時間と大幅に長くなることが判明した。
また、表1に示すように、縮合リン酸塩のヘキサリン酸ナトリウム(実施例2、4)とトリポリリン酸ナトリウム(実施例6,7)を比較すると流動性保持時間は、略同じであることも判明した。
一方、縮合リン酸塩に属さない第1リン酸ナトリウム(リン酸二水素ナトリウム)を添加した比較例3の流動性保持時間は、CB液1.0m3あたり3.0kg添加したにもかかわらず5.4時間であり、目安とした8時間に達しなかった。
以上実験Iにより、CB液1m3あたり縮合リン酸塩を1.0kg以上添加すると、C
B液のポンプによる圧送可能な流動性の指標である流動性保持時間が8時間以上となることが判明した。これは、通常カルシウム溶出量調整剤等として利用される縮合リン酸塩の大量添加により、縮合リン酸塩がCB液のセメント類の水和反応を抑制して硬化遅延効果を発揮したからではないかと考えられる。
[実験II]
実験IIは、実験I(表1)のCB液をA液とし、モル比の異なる3種類の水ガラスをB
液として、両液を混合した瞬結性グラウトのゲルタイムと一軸圧縮強度を測定し、次の表2に示す結果を得た。
Figure 0006165698
表2に示すように、縮合リン酸塩を添加しない比較例4は、モル比2.9の水ガラスであってもゲルタイムは、16秒であり、瞬結性グラウトとして実用可能な範囲であることが判明した。
一方、縮合リン酸塩を添加したうえ、モル比2.9の水ガラスを混合した比較例5及び6のゲルタイムは、27秒、28秒であり、瞬結性グラウトとして実用不適であることが判明した。これは、縮合リン酸塩の効果により水和反応が遅延するからと考えられる。
しかし、縮合リン酸塩を添加したうえ、モル比3.3の水ガラスを混合した実施例8、10のゲルタイムは、15秒、16秒と、比較例5及び6と比べて短縮され、モル比4.0の水ガラスを混合した実施例9、11のゲルタイムは、9秒、10秒と短縮され、瞬結性グラウトとして充分実用可能であることが確認できた。
また、表2に示すように、1時間後の一軸圧縮強度は、実施例8〜11すべてに亘り、0.05N/mm2以上の早期強度の発現が認められ、瞬結性グラウトとして実用可能な固結強さを示している。なお、実験No.12〜17の比較により、縮合リン酸でもトリポリリン酸ナトリウムよりヘキサリン酸ナトリウムの方が、総じて1時間後の一軸圧縮強度の値が高いことが判明した。
一方、湿潤養生28日後の一軸圧縮強度は、実験No.11〜17全てに亘り、ほとんど差は認められなかった。
以上実験IIにより、CB液1m3あたり縮合リン酸塩を1.0kg以上添加したA液に
、モル比3.3〜4.0の水ガラスをB液として混合したグラウトのゲルタイム及び一軸圧縮強度は、瞬結性グラウトとして実用可能な範囲であることが確認できた。

Claims (4)

  1. セメント類とベントナイトを含有するCB液と、水ガラスを含有する水ガラス液と、を別々に圧送して地盤や構造物背面の空洞への注入直前に混合して注入し、ゲル化時間を短縮して早期に地盤強化を図る瞬結性グラウト注入工法におけるCB液の圧送方法であって、
    前記CB液に、圧送可能な流動性を時間以上保持するために縮合リン酸塩を1m3あたり1.0kg以上添加したうえ、このCB液を放置したまま圧送を時間以上中断し、その後、CB液の圧送管内を洗浄することなく放置した前記CB液を前記圧送管内に存置させたまま新たなCB液を圧送すること
    を特徴とするCB液の圧送方法。
  2. 前記縮合リン酸塩は、ヘキサリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、又はこれらの混合物であること
    を特徴とする請求項1に記載のCB液の圧送方法。
  3. セメント類とベントナイトを含有するCB液と、水ガラスを含有する水ガラス液と、を別々に圧送して地盤や構造物背面の空洞への注入直前に混合して注入し、ゲル化時間を短縮して早期に地盤強化を図る瞬結性グラウト注入工法であって、
    請求項1又は2に記載のCB液の圧送方法によって、前記CB液を圧送すること
    を特徴とする瞬結性グラウト注入工法。
  4. 前記水ガラス液は、モル比が3.3〜4.0の範囲にある水ガラスであること
    を特徴とする請求項3に記載の瞬結性グラウト注入工法。
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