JP6165499B2 - 多孔質チタン薄膜の製造方法 - Google Patents

多孔質チタン薄膜の製造方法 Download PDF

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本発明は、厚さ40μm以下、空隙率1〜65%の多孔質チタン薄膜の製造方法に関する。
チタンペーストを成膜して、その後バインダー除去処理、焼結処理をして多孔質チタン薄膜を製造するプロセスは、以下のように多くの報告がなされている。
特許文献1には、ペースト法による燃料電池用耐泡圧層の製造法が開示されている。これは、基板の上にペースト成膜、乾燥して膜を基板からはがし、加熱焼成し、多孔体シートとした後、空隙率の調整のために冷間圧延をし、コロイド液を含浸させる方法である。
特許文献2には、チタンペーストを用いて、成形、乾燥、脱脂・焼結、圧密化処理、再焼結の工程でチタン薄板を製造する方法が開示されている。成形、乾燥、脱脂・焼結までの工程でできた多孔体の空隙率調整のために、圧密化処理をして再焼結するのが特徴である。焼結温度(T1)、再焼結温度(T2)は、T1+50℃<T2、900℃<T1≦1300℃、1000℃<T2≦1400℃としている。
特許文献3には、発泡剤を含有する発泡性スラリーをキャリアシート上に塗布し、薄膜板状に成形する成形工程、発泡工程、乾燥工程、焼結工程、圧密化工程で、金属多孔質体を製造する方法が開示されている。
特許文献4には、炭素0.1〜0.6%、酸素0.6%以下、気孔率50〜98%の圧縮強度に優れたチタンまたはチタン合金スポンジ状焼結体が開示されている。本焼結体は、金属粉末スラリーをドクターブレード法によりシート状に成形し、得られたシート状成形体を発泡させてスポンジ状成形体を作製し、脱脂、真空中での焼結により製造するとしている。
特許文献5には、スラリー工程、成形体加工工程、乾燥工程、加熱工程、焼結工程をへてチタン多孔体を製造する方法が開示されている。気孔率が大きくかつ大面積の多孔質焼結板を生産性よく製造するために、1次粒子が凝集した2次粒子を用いてスラリー化するとしている。
特許文献6には、発泡スラリーを原料として用い、空隙率50〜98%の多孔体焼結体を製造できることが開示されている。
特許文献7には、チタンペーストを用いて、成形、乾燥、脱脂・焼結、圧密化処理、再焼結の工程でチタン薄板を製造する方法が開示されている。1回焼結した多孔体をさらにもう一度焼結することが特徴である。
しかしながら、これまでに報告のあるチタンペーストを成膜して多孔質チタン膜を製造する技術は、工程が複雑であり製造のためのサイクルタイムが長く、また製造コストも高い技術が多い。また、上記技術は、100μm前後の膜厚のシート製造に適する技術である。
特開昭63−184265号公報 特開2010−261093号公報 特開2010−95738号公報 特開2006−138005号公報 WO2007/138806号公報 特開2004−43976号公報 特開2009−102701号公報
また、本発明者の知る限りでは、これまで10〜40μmといった多孔質チタン薄膜を安価に製造する技術は報告されていない。本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、40μm以下、空隙率1〜65%の多孔質チタン薄膜を安価に製造する方法を提供するものである。
本発明の多孔質チタン薄膜の製造方法は、以下の(a)、(b)、(c)、(d)の工程を含み、焼結後の圧密化工程を含まないプロセスにより、厚さ40μm以下、空隙率1〜65%の多孔質チタン薄膜を製造することを特徴とする。
(a)基材上に、水素化チタン粉末または脱水素チタン粉末を含むチタン原料、バインダー成分、溶剤成分を含むペースト状組成物を塗工・成膜後、溶剤成分を揮発させる乾燥させ乾燥成形体を得る成形体製造工程
(b)乾燥成形体を基材から剥離する剥離工程
(c)剥離した乾燥成形体を加熱し、バインダー成分を除去する脱バインダー工程
(d)脱バインダー後の乾燥成形体を700℃〜1100℃にて焼結し、多孔質チタン薄膜を得る、1回のみの焼結工程
また、本発明の多孔質チタン薄膜の製造方法は、好ましくは、前記脱バインダー工程の加熱温度が、150℃以上450℃未満であることを特徴とする。
また、本発明の多孔質チタン薄膜の製造方法は、好ましくは、脱バインダー工程の加熱雰囲気が、酸化性雰囲気とすることを特徴とする。
また、本発明の多孔質チタン薄膜の製造方法は、好ましくは、チタン原料が金属チタン粉末及び水素化チタン粉末の混合物であり、水素化チタン粉の割合が金属チタン粉末及び水素化チタン粉末の混合物に対し質量比で0.1〜100%であることを特徴とする。
また、本発明の多孔質チタン薄膜の製造方法は、好ましくは、金属チタン粉末が、鉄、酸素、等の不可避的に含有される元素を日本工業規格1種、2種、3種、4種の範囲で含有している工業用純チタン粉末であることを特徴とする。
また、本発明の多孔質チタン薄膜の製造方法は、好ましくは、基材が、PETであることを特徴とする。
また、本発明の多孔質チタン薄膜の製造方法は、好ましくは、前記焼結工程において、真空中で水素化チタンから水素が乖離する温度に加熱し、水素化チタンに含まれる水素を分離する工程を含むことを特徴とする。
また、本発明の多孔質チタン薄膜の製造方法は、好ましくは、水素化チタンに含まれる水素を分離する工程の加熱温度が400〜600℃であることを特徴とする。
また、本発明の多孔質チタン薄膜の製造方法は、好ましくは、前記焼結工程において、乾燥成形体をチタンと反応しない材質のセッターの上に載置することを特徴とする。
本発明によれば、焼結、圧密化処理、再焼結の工程後の圧密化工程を経ることなく、1回の焼結工程にて、厚さ40μm以下、空隙率1〜65%の多孔質チタン薄膜を得ることができる。また、脱バインダー処理時の酸化汚染、バインダーの有機物成分からの炭素汚染が生じない多孔質チタン薄膜を得ることが出来る。
まず、本発明の多孔質チタン薄膜の製造方法について、以下に説明する。
本発明の製造方法のペースト状組成物は、水素化チタン粉末(TiH粉末)または脱水素チタン粉末を含むチタン原料、バインダー成分と溶剤成分を含む。
水素化チタン粉末(TiH粉末)は、チタンを水素化処理して脆弱なチタン水素化物とし、これを機械的に粉砕することにより作製されたものである。水素化チタン粉末は、金属チタン粉末と比較して微細粉を得やすいため、薄いチタン多孔体薄膜の製造に適している。また、水素化チタン粉末を用いることで、靱性が高く、可撓性の高い(多孔質チタン薄膜を360°に折り曲げても折れずに割れない)チタン多孔体薄膜を得ることができる。更に、水素化チタン粉末は、金属チタン粉末より焼結性が高く、金属チタン粉末よりも焼結温度を低くすることができるので、焼結工程の負荷を低く抑えることが可能となる。本発明に使用される水素化チタン粉末は、最大粒径が10μm以下、平均粒径は4〜7μmの微細粉が好ましい。
また、チタン原料として、多孔質チタン薄膜の空隙率、膜厚を調整するために、金属チタン粉末と水素化チタン粉末の混合粉末を用いることができる。金属チタン粉末の粒径は、最大粒径が20μm以下、平均粒径が10〜15μmの微細粉が好ましい。金属チタン粉末と水素化チタン粉末の混合比率は、任意に設定することが可能であるが、金属チタン粉末及び水素化チタン粉末の混合物中の水素化チタン粉の割合が質量比で0.1〜100%であることが好ましい。さらに好ましくは、後述する脱水素工程における脱水素のしやすさの点から、0.1〜30%であり、さらに好ましくは、0.1〜10%である。
水素化チタン粉末は、金属チタン粉末よりも焼結性が高く、その混合比率によって、得られる多孔質チタン薄膜の空隙率が異なってくる。得たい空隙率によって、最適な混合比率が選ばれる。さらに、この範囲とすることで、靭性の高いチタン多孔体薄膜を得ることができる。
また、チタン原料として使用する金属チタン粉末は、脱水素チタン粉末であることが好ましい。脱水素チタン粉末とは、水素化チタン粉末を脱水素処理した金属チタン粉末のことである。
その他、チタンの他に、アルミニウム、バナジウム、ニオブ、ジルコニウム、タンタル、モリブデン、鉄等の金属元素を含む合金粉末も用いることができる。具体的には、Ti−6質量%Al−4質量%V粉末、Ti−6質量%Al−7質量%Nb粉末、Ti−6質量%Al−2質量%Nb−1質量%Ta粉末、Ti−15質量%Zr−4質量%Nb−4質量%Ta粉末、Ti−3質量%Al−2.5質量%V粉末、Ti−13質量%Nb―13質量%Zr粉末、Ti−15質量%Mo−5質量%Zr−3質量%Al粉末、Ti−12質量%Mo−6質量%Zr−2質量%Fe粉末、Ti−15質量%Mo粉末等が挙げられる。
なお、上記の最大粒径、平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製LA−300)によって求めたものである。
バインダー成分は、メチルセルロース系、ポリビニルアルコール系、エチルセルロース系、アクリル系、ポリビニルブチラール系など、溶剤成分は、水、エタノール、トルエン、イソプロパノール、ターピネオール、ブチルカルビトール、シクロヘキサン、メチルエチルケトンなどを用いることができる。また、必要に応じて、可塑材(グリセリン、エチレングリコール)や界面活性材(アルキルベンゼンスルホン酸塩)、発泡剤(炭酸水素アンモニウム)をペースト状組成物へ添加しても良い。
前記チタン原料、前記バインダー成分と前記溶剤成分を混合し、ペースト状組成物を得る。チタン原料、バインダー成分、溶剤成分の混合には、公知の方法を用いることができ、例えば、攪拌機付混合機、回転混合機、三本ロールミルなどが適宜使用できる。なお、混合は、粉砕を同時に行なっても良く、振動ミル、ボールミルなどの粉砕混合機等も使用できる。
多孔質チタン薄膜の空隙率は、上記のチタン原料の粒径、チタン原料の種類、バインダーや発泡剤等の成分と添加量、後述する焼結温度により調整することができる。
次いで、ペースト状組成物を、基材上に塗工、成膜し、溶剤を蒸発させて、膜状の乾燥成形体を作製する。ペースト状組成物は、例えば、20〜80μmの厚みで塗工、成膜する。
基材は、剥離工程において乾燥成形体と剥離可能な材料であれば制限は無い。例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)等のポリエステル類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール等のポリビニル類、金属箔、セラミック板等が挙げられるが、安価であるPETが好ましい。
塗工・成膜方法としては、ドクターブレード法などの粘性組成物を基材上に直接塗工し成膜する方法、リップコーティング法などの粘性組成物を基材上に押出しながら塗工し成膜する方法、オフセット印刷、グラビア印刷などの粘性組成物を転写塗工し成膜する方法のいずれの方法を利用してもよい。例えば、リエアドクターコーター、ブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、リバースロールコーター、トランスファロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、スロットダイコーター、キャストコーター、スプレイコーター、カーテンコーター、カレンダコーター、押出コーター、バーコーター等を用いることができる。中でも、連続的に成膜と乾燥を実施することができるドクターブレード法が好ましい。
成膜後の薄膜の厚さは、ペースト中に含まれる固体成分の粒径によって調整できる。本発明のように、最大粒径10μmの水素化チタン粉末、または最大粒径20μmの金属チタン粉末をペースト原料として使用することによって、20μmといった薄い膜も製造可能となる。勿論、微細なチタン原料を含むペーストを用いても、ドクターブレードのクリアランスを調整することにより、厚さ50μm、60μmといったやや厚い膜を製造することも可能である。
次いで、成膜後の成形体から溶剤成分を揮発させ(乾燥工程)、成形体を得る。乾燥工程は、常圧下、減圧下のいずれの条件でも可能であるが、溶剤の蒸発が速すぎると乾燥成形体にクラックが入るため、クラックの入らないように温度、圧力及び風量を選び行なう。通常、温度は80〜160℃、圧力は大気圧が望ましい。弱い風量を与えることも乾燥効率を高めるために効果的である。
また、本願発明においては、脱バインダー工程の雰囲気は、酸化性雰囲気で行なうことが好ましい。前記したような酸化性雰囲気で行なうことにより、焼結体中に残留するバインダー等の有機成分を効果的に揮発除去することができる、という効果を奏するものである。ここで、酸化性雰囲気とは、酸素原子を含む気体雰囲気であり、酸素ガス、空気、酸素ガスと不活性ガスの混合ガス等、酸素原子を1%以上含む気体が好ましい。
次に、本発明の剥離工程について、以下に説明する。
得られた乾燥成形体から基材を剥離するには、乾燥成形体が破損または変形しない範囲で適宜の方法を採用できるが、例えば、基材と乾燥成形体の間に、圧縮空気を吹き付けるまたは鋭利なナイフ状の材料を差し込むことで、乾燥成形体から基材を一部剥離し、剥離した部分を機械的につまんで基材全体を引き離す方法が挙げられる。
一方、基材を剥離しないで脱バインダー等の加熱を行った場合、基材と乾燥成形体の融着、基材の熱変形または基材−乾燥成形体間の熱膨張差による乾燥成形体の変形または破損等が起こるため好ましくない。
剥離した乾燥成形体は、次の脱バインダー工程及び焼結工程にてTiと反応しない材質からなるセッター上に載置する。ここでいう「セッター」とは、乾燥成形体を熱処理するための基板である。
セッターは、例えば、BN、ZrO、Alが挙げられる。また、モリブデン、ステンレス等のセッターと乾燥成形体の間にこれらの粉末を敷いてもよい。粉末を敷くことによって、焼結時の乾燥成形体の収縮に伴う材料移動が容易になり、焼結時の乾燥成形体のクラック防止に有効である。
次に、本発明の脱バインダー工程について、以下に説明する。
セッター上に載置した乾燥成形体は、焼結する前に、焼結温度より低温で加熱することで、乾燥成形体中のバインダー成分を分解、蒸発または燃焼によって除去する(脱バインダー工程)。上記加熱は、真空下、減圧下、不活性ガス雰囲気または酸化性雰囲気での加熱を行なうことにより、工程で酸化されることなく、靭性の高いチタン多孔体薄膜を得ることができる。不活性ガス雰囲気としては、アルゴン、ヘリウム等が挙げられ、酸化性雰囲気としては、大気、酸素、酸素富化大気等が挙げられる。特に、酸化性雰囲気での加熱の場合は、炭素含有量の低いチタン多孔体薄膜を得ることができるので好ましく、大気雰囲気での処理は、経費が安いとの理由で、特に好ましい。不活性ガス雰囲気及び酸化性雰囲気の場合、加圧下、減圧下、ガス流速のある状態のいずれであっても良い。
脱バインダー時の加熱条件は、使用するバインダー成分によって異なるが、その成分に応じて、150℃以上450℃未満で1〜2時間保持することが好ましい。
真空下での脱バインダーでは、脱バインダー時の圧力は、高真空であるほど、有機物成分の分解・蒸発が促進され好ましく、10−2mbar以下の真空が特に好ましい。一方、真空下の加熱で有機物が分解・蒸発すると、真空炉の内部が蒸発した有機物で汚染される。これを防ぐためには、減圧下で脱バインダーを行う。この場合、減圧下でアルゴン等の不活性ガスを少量炉内に導入しながら加熱処理することが好ましい。
このような用途のために、例えば、脱ワックス機能を有する真空焼結炉(例えば、島津メクテム株式会社の横型真空焼結炉 VHSG30/30/60)が市販されており、それらの設備を用いた処理が好ましい。脱ワックス機能を有する真空焼結炉では、炉内を1〜10−1mbarの減圧下で、Arガスを炉内に導入することで、蒸発した有機物成分をArガスの流れに沿ってコンデンサーに導くことが可能になる。脱ワックス機能を有する真空焼結炉の使用は、チタン乾燥成形体を酸化させることなく、かつ、炉内の汚染なしに脱バインダー処理を行えるだけでなく、脱バインダーとその後の焼結処理を同一炉で行えるという利点がある。
次に、焼結工程について説明する。
焼結工程は、本焼成工程からなり、好ましくは本焼成工程の前に水素化チタンから脱水素反応により水素ガスを除去する脱水素工程を含むものである。脱水素工程は、金属チタン粉末及び水素化チタン粉末の混合物中の水素化チタン粉末の割合が、質量比で10%以下のときは省略してもよい。
脱水素工程では、バインダー除去工程後の乾燥成形体が真空中(真空度:10−3mbar以下)に載置された状態から、完全に水素発生がなくなるまで、400〜600℃で処理を行う。
本焼成工程では、その焼結温度、昇温速度により、多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さによって適宜調整する。焼結温度は、通常、700〜1100℃の範囲で選択する。また、昇温速度は、材料の収縮が昇温に追いつかずに、部分的な不均一収縮が発生し、材料のクラックにつながらないように設定する。例えば、昇温速度は5℃/min以下が好ましい。なお、2℃/min以下では昇温に時間がかかりすぎ経済的ではない。
これらの一連の工程は、同一の設備で一つのプロセスとして連続して行ってもよい。
本発明の製造方法により、靱性が高く、可撓性の高い多孔質チタン薄膜を得ることができる。これは、焼結性の高い水素化チタン粉の微細粉を原料として用いていること、脱水素工程と本焼成工程を一連の工程で行なうため、脱水素工程で水素化チタン粉から活性の高い表面を有する純チタンができ、これが大気に曝されることなく(表面が酸化されることなく)、そのまま本焼成工程により焼結するためと考えられる。
すなわち、チタン原料の種類と本焼成工程の焼結温度を選ぶことによって、望む空隙率の多孔質チタン薄膜を1回の焼結で得ることが出来る。なお、多孔質チタン薄膜の空隙率は、バインダー成分の量を増加させることや発泡剤を添加することで増加させることができ、空隙率の調整は可能である。
本発明の多孔質チタン薄膜の製造方法により、空隙率1〜65%、厚さ40μm以下の靱性及び可撓性が高い高強度な多孔質チタン薄膜を得ることができる。
なお、多孔質チタン薄膜の空隙率は、多孔質チタン薄膜の厚さと面積から計算した多孔質チタン薄膜の体積(A)と、多孔質チタン薄膜の質量(W)と真密度(ρ)より下式により算出した。また、多孔質チタン薄膜の厚さは、マイクロメータを用い測定した。
空隙率(%)=(1−W/Aρ)×100=(A−W/ρ)/A×100
次に、実施例および比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の例により何ら制限されるものではない。
(最大粒径、平均粒径の測定方法)
最大粒径、平均粒径(体積積算粒度分布における積算粒度で50%の粒径)は、レーザー回折式粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製LA−300)を用い、フローセルに測定試料を投入して測定した。
(厚さの測定方法)
マイクロメータで、得られた多孔質チタン薄膜(長方形)を3方向に等間隔で3箇所、合計9箇所の厚さを測定し、その平均値を求めた。3方向とは、多孔質チタン薄膜の中央部、上辺部、下辺部である。
(空隙率の測定方法)
空隙率は、前記厚さと多孔質チタン薄膜(長方形)の大きさから計算した体積(A)と、測定試料の質量(W)と、チタンの真密度(4.506g/cm)から下式により算出した。
空隙率(%)=(A−W/4.506)/A×100
測定試料の大きさは、ノギスで測定し求めた。
(多孔質チタン薄膜の評価)
(焼結後のクラック)
得られた多孔質チタン薄膜のクラック等の発生の有無について、目視により確認した。
(可撓性の評価)
得られた多孔質チタン薄膜を360°に折り返した際のクラックの発生を目視により確認し、可撓性の評価を行なった。クラックが発生しなかったものを「良好」、クラックが発生したものを「不良」とした。
(酸素含有量、炭素含有量の分析)
水素化チタン粉末、チタン粉末、チタン多孔体の酸素含有量、炭素含有量は、それぞれ不活性ガス溶融―赤外線吸収法、燃焼―赤外線吸収法で測定した。
[実施例1]
最大粒径が8μm、平均粒径が5μm、酸素含有量0.22%、炭素含有量0.004%のTiH粉に、ポリビニルブチラール、イソプロピルアルコールを混合し、粘度が1200mPa・Sになるよう調整し、ペースト状組成物を作製した。このペースト状組成物を、スロットダイヘッド式コーティングマシーンでPETシートにコーティングし、成形体を作製した。このとき、ペーストの吐出量とPETの走行速度を調整して、成形体厚みが30μmになるように調整した。また、成形体は150℃で乾燥処理を行い、成形体に含まれるイソプロピルアルコールは完全に除去し、乾燥成形体を得た。
乾燥成形体を、300mm×300mmに切断し、乾燥成形体をPETシートから剥離した。乾燥成形体の一端をつまみ、乾燥成形体と基材のすき間にナイフを差し込むことで、乾燥成形体をPETから剥離させた。PETシートから剥した乾燥成形体を、BN板の上にセットし、大気炉にセットした。3℃/minの昇温速度で300℃まで昇温し、300℃で2時間保持した(脱バインダー工程)。この後、チタン成形体を大気炉から取り出し、真空焼結炉にセットした。炉内を真空排気し、1×10−4mbar以下の高真空で400℃まで昇温した。更に、真空排気システムを油拡散ポンプシステムに切換えて1×10−4mbarの真空度を維持しながら3℃/minの昇温速度で焼成温度800℃まで加熱し、1時間保持した。800℃での保持終了後、炉を冷却し、十分冷却してから、材料を取り出した(本焼成工程)。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さを測定した。クラック発生はなく、可撓性も良好であった。酸素含有量は粉末より0.02%増加していたが、炭素含有量は粉末と変わりなかった。空隙率、厚さ、クラック発生有無、可撓性評価結果、酸素含有量、炭素含有量を表1に示す。
[実施例2]
最大粒径が8μm、平均粒径が5μm、酸素含有量0.22%、炭素含有量0.004%のTiH粉末と、最大粒径18μm、平均粒径12μm、酸素含有量0.28%、炭素含有量0.004%のTi粉末を、質量比で50%/50%の割合で混合し、実施例1と同じ手順で、ペースト状組成物を作製した。このペースト状組成物を用いて、実施例1と同じ設備でPETシートにコーティングし、乾燥成形体を作製した。このとき、ペーストの吐出量とPETの走行速度を調整して、乾燥成形体厚みが35μmになるように調整した。
実施例1と同じ手順で、剥離、大気炉での脱バインダー工程、真空焼結炉での本焼成工程を行った。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、クラック発生有無、可撓性評価結果、酸素含有量、炭素含有量を表1に示す。
[実施例3]
最大粒径が8μm、平均粒径が5μm、酸素含有量0.22%、炭素含有量0.004%のTiH粉末と、最大粒径18μm、平均粒径12μm、酸素含有量0.28%、炭素含有量0.004%のTi粉末を、質量比で10%/90%の割合で混合し、実施例1と同じ手順でペースト状組成物を作製した。このスラリー状組成物を用いて、実施例1と同じ設備でPETシートにコーティングし、乾燥成形体を作製した。このとき、ペーストの吐出量とPETの走行速度を調整して、乾燥成形体厚みが40μmになるように調整した。
実施例1と同じ手順で、剥離、大気炉での脱バインダー工程、真空焼結炉での本焼成工程を行った。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、クラック発生有無、可撓性評価結果、酸素含有量、炭素含有量を表1に示す。
Figure 0006165499
[実施例4]
実施例1のPETシートから剥した乾燥成形体の本焼成工程の焼成温度を、700℃、900℃、1000℃、1100℃の各温度とした以外は、実施例1と全く同じ手順で多孔質チタン薄膜を製造した。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、クラック発生有無、可撓性評価結果、酸素含有量、炭素含有量を表2に示す。
Figure 0006165499
[実施例5]
実施例2のPETシートから剥した乾燥成形体の本焼成工程の焼成温度を、700℃、900℃、1000℃、1100℃の各温度とした以外は、実施例2と全く同じ手順で多孔質チタン薄膜を製造した。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、クラック発生有無、可撓性評価結果、酸素含有量、炭素含有量を表3に示す。
Figure 0006165499
[実施例6]
実施例3のPETシートから剥した乾燥成形体の本焼成工程の焼成温度を、700℃、900℃、1000℃、1100℃の各温度とした以外は、実施例3と全く同じ手順で多孔質チタン薄膜を製造した。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、クラック発生有無、可撓性評価結果、酸素含有量、炭素含有量を表4に示す。
Figure 0006165499
[実施例7]
実施例1のBN板に変え、アルミナ板とした以外は、実施例1と全く同じ条件で、多孔質チタン薄膜を製造した。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、クラック発生有無、可撓性評価結果、酸素含有量、炭素含有量を表1に示す。
[実施例8]
実施例1のPETシートから剥した乾燥成形体の脱バインダー工程の昇温速度、保持温度、保持時間を5℃/min、250℃、4時間とした以外は、実施例1と同様に多孔質チタン薄膜を得た。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、得られた多孔質チタン薄膜のクラック発生有無、可撓性評価結果、酸素含有量、炭素含有量を表5に示す。
[実施例9]
実施例1のPETシートから剥した乾燥成形体の脱バインダー工程の昇温速度、保持温度、保持時間を5℃/min、345℃、1.5時間とした以外は、実施例1と同様に多孔質チタン薄膜を得た。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、クラック発生有無、可撓性評価結果、酸素含有量、炭素含有量を表5に示す。
[実施例10]
実施例2のPETシートから剥した乾燥成形体の脱バインダー工程の昇温速度、保持温度、保持時間を5℃/min、250℃、4時間とした以外は、実施例2と同様に多孔質チタン薄膜を得た。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、クラック発生有無、可撓性評価結果、酸素含有量、炭素含有量を表5に示す。
[実施例11]
実施例2のPETシートから剥した乾燥成形体の脱バインダー工程の昇温速度、保持温度、保持時間を5℃/min、345℃、1.5時間とした以外は、実施例2と同様に多孔質チタン薄膜を得た。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、クラック発生有無、可撓性評価結果、酸素含有量、炭素含有量を表5に示す。
[実施例12]
実施例3のPETシートから剥した乾燥成形体の脱バインダー工程の昇温速度、保持温度、保持時間を5℃/min、250℃、4時間とした以外は、実施例3と同様に多孔質チタン薄膜を得た。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、クラック発生有無、可撓性評価結果、酸素含有量、炭素含有量を表5に示す。
[実施例13]
実施例3のPETシートから剥した乾燥成形体の脱バインダー工程の昇温速度、保持温度、保持時間を5℃/min、345℃、1.5時間とした以外は、実施例3と同様に多孔質チタン薄膜を得た。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、クラック発生有無、可撓性評価結果、酸素含有量、炭素含有量を表5に示す。
Figure 0006165499
[実施例14]
最大粒径が8μm、平均粒径が5μm、酸素含有量0.22%、炭素含有量0.004%のTiH粉に、ポリビニルブチラール、イソプロピルアルコールを混合し、粘度が1200mPa・Sになるよう調整し、ペースト状組成物を作製した。このペースト状組成物を、スロットダイヘッド式コーティングマシーンでPETシートにコーティングし、成形体を作製した。このとき、ペーストの吐出量とPETの走行速度を調整して、成形体厚みが30μmになるように調整した。また、成形体は150℃で乾燥処理を行い、成形体に含まれるイソプロピルアルコールは完全に除去し、乾燥成形体を得た。
乾燥成形体を、300mm×300mmに切断し、乾燥成形体をPETシートから剥離した。乾燥成形体の一端をつまみ、乾燥成形体と基材のすき間にナイフを差し込むことで、乾燥成形体をPETから剥離させた。PETシートから剥した乾燥成形体を、BN板の上にセットし脱ワックス機能を有する真空焼結炉(島津メクテム株式会社製の真空焼結炉 VHSG30/30/30)にセットした。10−1mbarの減圧下で、Arガスを導入しながら3℃/minの昇温速度で300℃まで昇温し、300℃で2時間保持した(脱バインダー工程)。この後、Arガス導入を停止し、チタン成形体を炉から取出すことなくそのまま真空排気し、1×10−4mbar以下の高真空で400℃まで昇温した。更に、真空排気システムを油拡散ポンプシステムに切換えて1×10−4mbarの真空度を維持しながら3℃/minの昇温速度で焼成温度800℃まで加熱し、1時間保持した。800℃での保持終了後、炉を冷却し、十分冷却してから、材料をとりだした(本焼成工程)。冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、酸素含有量、炭素含有量を測定した。酸素含有量は粉末と比べて増減なかった。炭素含有量は粉末と比べて0.001%増加していたが、曲げ特性に悪影響が出ることは無かった。空隙率、厚さ、クラック発生有無、可撓性評価結果、酸素含有量、炭素含有量を表6に示す。
[実施例15]
最大粒径が8μm、平均粒径が5μm、酸素含有量0.22%、炭素含有量0.004%のTiH粉末と、最大粒径18μm、平均粒径12μm、酸素含有量0.28%、炭素含有量0.004%のTi粉末を、質量比で50%/50%の割合で混合し、実施例14と同じ手順で、ペースト状組成物を作製した。このペースト状組成物を用いて、実施例14と同じ設備でPETシートにコーティングし、乾燥成形体を作製した。このとき、ペーストの吐出量とPETの走行速度を調整して、乾燥成形体厚みが35μmになるように調整した。
実施例14と同じ手順で、剥離し、脱ワックス機能を有する真空焼結炉にセットし、脱バインダー処理を行った後、同一の炉で本焼成工程を行った。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、クラック発生有無、可撓性評価、酸素含有量、炭素含有量の測定を実施した。それらの結果を表6に示す。
[実施例16]
最大粒径が8μm、平均粒径が5μm、酸素含有量0.22%、炭素含有量0.004%のTiH粉末と、最大粒径18μm、平均粒径12μm、酸素含有量0.28%、炭素含有量0.004%のTi粉末を、質量比で10%/90%の割合で混合し、実施例14と同じ手順でペースト状組成物を作製した。このスラリー状組成物を用いて、実施例14と同じ設備でPETシートにコーティングし、乾燥成形体を作製した。このとき、ペーストの吐出量とPETの走行速度を調整して、乾燥成形体厚みが40μmになるように調整した。
実施例14と同じ手順で、剥離し、脱ワックス機能を有する真空焼結炉にセットし、脱バインダー処理を行った後、同一の炉で本焼成工程を行った。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、クラック発生有無、可撓性評価、酸素含有量、炭素含有量の測定を実施した。それらの結果を表6に示す。
Figure 0006165499
[実施例17]
実施例14のPETシートから剥した乾燥成形体の本焼成工程の焼成温度を、700℃、900℃、1000℃、1100℃の各温度とした以外は、実施例14と全く同じ手順で多孔質チタン薄膜を製造した。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、クラック発生有無、可撓性評価、酸素含有量、炭素含有量の測定を実施した。それらの結果を表7に示す。
Figure 0006165499
[実施例18]
実施例15のPETシートから剥した乾燥成形体の本焼成工程の焼成温度を、700℃、900℃、1000℃、1100℃の各温度とした以外は、実施例15と全く同じ手順で多孔質チタン薄膜を製造した。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、クラック発生有無、可撓性評価、酸素含有量、炭素含有量の測定を実施した。それらの結果を表8に示す。
Figure 0006165499
[実施例19]
実施例16のPETシートから剥した乾燥成形体の本焼成工程の焼成温度を、700℃、900℃、1000℃、1100℃の各温度とした以外は、実施例16と全く同じ手順で多孔質チタン薄膜を製造した。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、クラック発生有無、可撓性評価、酸素含有量、炭素含有量の測定を実施した。それらの結果を表9に示す。
Figure 0006165499
[実施例20]
実施例14のBN板に変え、アルミナ板とした以外は、実施例14と全く同じ条件で、多孔質チタン薄膜を製造した。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、クラック発生有無、可撓性評価、酸素含有量、炭素含有量の測定を実施した。それらの結果を表6に示す。
[実施例21]
実施例14のPETシートから剥した乾燥成形体の脱バインダー工程の昇温速度、保持温度、保持時間を5℃/min、250℃、4時間とした以外は、実施例14と同様に多孔質チタン薄膜を得た。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、クラック発生有無、可撓性評価、酸素含有量、炭素含有量の測定を実施した。それらの結果を表10に示す。
[実施例22]
実施例14のPETシートから剥した乾燥成形体の脱バインダー工程の昇温速度、保持温度、保持時間を5℃/min、345℃、1.5時間とした以外は、実施例14と同様に多孔質チタン薄膜を得た。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、クラック発生有無、可撓性評価、酸素含有量、炭素含有量の測定を実施した。それらの結果を表10に示す。
[実施例23]
実施例15のPETシートから剥した乾燥成形体の脱バインダー工程の昇温速度、保持温度、保持時間を5℃/min、250℃、4時間とした以外は、実施例15と同様に多孔質チタン薄膜を得た。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、クラック発生有無、可撓性評価、酸素含有量、炭素含有量の測定を実施した。それらの結果を表10に示す。
[実施例24]
実施例15のPETシートから剥した乾燥成形体の脱バインダー工程の昇温速度、保持温度、保持時間を5℃/min、345℃、1.5時間とした以外は、実施例15と同様に多孔質チタン薄膜を得た。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、クラック発生有無、可撓性評価、酸素含有量、炭素含有量の測定を実施した。それらの結果を表10に示す。
[実施例25]
実施例16のPETシートから剥した乾燥成形体の脱バインダー工程の昇温速度、保持温度、保持時間を5℃/min、250℃、4時間とした以外は、実施例16と同様に多孔質チタン薄膜を得た。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、クラック発生有無、可撓性評価、酸素含有量、炭素含有量の測定を実施した。それらの結果を表10に示す。
[実施例26]
実施例16のPETシートから剥した乾燥成形体の脱バインダー工程の昇温速度、保持温度、保持時間を5℃/min、345℃、1.5時間とした以外は、実施例16と同様に多孔質チタン薄膜を得た。
冷却後取出した多孔質チタン薄膜の空隙率、厚さ、クラック発生有無、可撓性評価、酸素含有量、炭素含有量の測定を実施した。それらの結果を表10に示す。
Figure 0006165499
本発明の製造方法は、原料として水素化チタン粉末または脱水素チタン粉末を用いること、ペースト状組成物を塗工、成形する基材として安価なPETを用いることなどの特徴を有するため、安価に製造することができる。また、膜厚40μm以下、空隙率1〜65%の靱性が高く、可撓性の高い多孔質チタン薄膜を製造することが可能となる。

Claims (9)

  1. 以下の(a)、(b)、(c)、(d)の工程を含み、焼結後の圧密化工程を含まないプロセスにより、厚さ40μm以下、空隙率1〜65%の多孔質チタン薄膜を製造することを特徴とする多孔質チタン薄膜の製造方法。
    (a)基材上に、水素化チタン粉末または脱水素チタン粉末を含むチタン原料、バインダー成分、溶剤成分を含むペースト状組成物を塗工・成膜後、溶剤成分を揮発させる乾燥させ乾燥成形体を得る成形体製造工程
    (b)乾燥成形体を基材から剥離する剥離工程
    (c)剥離した乾燥成形体を加熱し、バインダー成分を除去する脱バインダー工程
    (d)脱バインダー後の乾燥成形体を700℃〜1100℃にて焼結し、多孔質チタン薄膜を得る、一回のみの焼結工程
  2. 前記脱バインダー工程の加熱温度が、150℃以上450℃未満であることを特徴とする請求項1に記載の多孔質チタン薄膜の製造方法。
  3. 前記脱バインダー工程の加熱雰囲気が、酸化性雰囲気とすることを特徴とする請求項1に記載の多孔質チタン薄膜の製造方法。
  4. 前記チタン原料が金属チタン粉末及び水素化チタン粉末の混合物であり、水素化チタン粉末の割合が金属チタン粉末及び水素化チタン粉末の混合物に対し質量比で0.1〜100%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質チタン薄膜の製造方法。
  5. 前記金属チタン粉末が、鉄、酸素、等の不可避的に含有される元素を日本工業規格1種、2種、3種、4種の範囲で含有している工業用純チタン粉末であることを特徴とする請求項4に記載の多孔質チタン薄膜の製造方法。
  6. 前記基材が、PETであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の多孔質チタン薄膜の製造方法。
  7. 前記焼結工程において、真空中で水素化チタンから水素が乖離する温度に加熱し、水素化チタンに含まれる水素を分離する工程を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の多孔質チタン薄膜の製造方法。
  8. 水素化チタンに含まれる水素を分離する工程の加熱温度が400〜600℃であることを特徴とする請求項7に記載の多孔質チタン薄膜の製造方法。
  9. 焼結工程において、乾燥成形体をチタンと反応しない材質のセッターの上に載置することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の多孔質チタン薄膜の製造方法。
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