JP5476855B2 - チタン薄板の製造方法 - Google Patents

チタン薄板の製造方法 Download PDF

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Description

この発明は、新規なチタンの薄板の製造方法に関する。
チタンは、活性金属であるが、室温付近では安定な不働態皮膜を形成することから、耐食性および耐候性に優れている。また、882℃以下での結晶構造が六方最密充填構造であることから、高強度であるが、難加工性であることが知られている。
チタンの用途は、海水プラント、製塩プラント、化学プラントなどの耐食性構造部材、ゴルフクラブ、腕時計のベルト、航空機部材、熱交換器部材、燃料電池部材、その他、多岐にわたる。
チタン薄板は、通常、クロール法によって、チタン鉱石からスポンジチタンを製造し、スポンジチタンを圧密成形および焼結してチタン消耗電極とし、チタン消耗電極を電極として真空アーク溶解してチタンインゴットを製造し、チタンインゴットを分塊、鍛造、圧延してチタンスラブとし、チタンスラブを熱間圧延、焼鈍、酸洗、冷間圧延、および真空熱処理してチタン冷間圧延コイルとし、チタン冷間圧延コイルを用途に応じた形状、寸法に切断することにより製造されている。
チタン薄板のもう一つの製造方法として、チタンインゴットを分塊、水素化粉砕、脱水素、粉末解砕、および分級してチタン粉末を製造し、チタン粉末を粉末圧延、焼結、および冷間圧延して製造する方法も知られている。
近年、地球温暖化対策、エネルギー問題対策の一環として、金属製品おいても省エネルギーの製造プロセスの開発が望まれている。しかしながら、チタン薄板に関して述べると、上述のチタンスラブを熱間圧延および冷間圧延するチタン薄板の製造方法は加工工程が多く、エネルギー的に効率のよい製造方法とは言えない。
また、チタン粉末を圧延する製造方法では、チタンが六方最密充填構造であって硬くて脆いという性質をもつことから、粉末圧延工程において圧延ロールに少量のチタン粉末を均一に供給して薄板を製造しようとすると、圧延圧密体にクラックが入りやすく、厚さ0.7mm以下の圧延圧密体を安定的に製造することが困難である。そのため、圧延圧密体を焼結および冷間圧延して得られるチタン薄板の厚さは、せいぜい0.5mm程度である。従って、厚さが0.5mmよりも薄いチタン薄板を製造するためには、さらに冷間圧延および焼鈍を繰り返す必要があり、やはりエネルギー的に効率の良い製造プロセスとは言えない。
チタン薄板製造プロセスのエネルギー効率を改善する方法として、チタンインゴットの川上材料であるスポンジチタンを直接、水素化粉砕、脱水素、および解砕してチタン粉末を製造し、得られるチタン粉末からチタン薄板を製造する方法が考えられる。それができれば、スポンジチタンからチタンインゴットを製造する工程を省くことができるので、エネルギー的に効率の良いプロセスになる。
さらに、水素化チタンは、真空中、あるいは不活性雰囲気中で加熱すると約430℃から脱水素反応が開始し、550℃以上に加熱するとほぼ全体が脱水素してチタンになる。そこで、水素化チタン粉から薄板を成形し、脱脂工程および焼結工程で脱水素してチタン薄板にできれば、前述の方法のエネルギー効率改善に加えて、水素化チタン粉を脱水素、および解砕してチタン粉を製造するプロセスを省くことができるので、さらに、エネルギー的に効率の良いプロセスになる。
しかし、スポンジチタンを水素化粉砕および脱水素して製造したチタン粉末は、炭素、酸素、窒素、シリコン、鉄などの不純物が微量に混入していて、チタンインゴットから製造したチタン粉末よりも加工性が悪く、厚さが0.5mmよりも薄いチタン薄板を製造することがよりいっそう困難になる。
さらに、水素化チタンを直接粉末圧延する場合、水素化チタンは脆性材料であって、圧延の荷重で一部が粉砕されてしまうために、厚さを薄く粉末圧延することはほとんど不可能である。
このような圧延時の不具合を解決し、厚さが0.5mm以下のチタン薄板を製造可能な金属薄板製造プロセスを開発するべく実験、検討を進めた結果、本発明者らの一人が過去に考案した焼結シート圧延法を応用、最適化することで目的を達成できるであろうという考えを得るに至った。
焼結シート圧延法は、特許文献1に示されるように、Alを7〜20%含有するFe−Cr−Al系合金箔の製造方法として考案された方法であって、原料の合金粉を有機バインダー溶液とともに混練して粘性組成物とし、ドクターブレード法等で薄板状に成形し、ネック焼結して得られる多孔質焼結薄板をプリフォームとし、それを圧延して緻密化して箔を製造する方法である。難加工性の合金箔の製造に適したプロセスであって、圧延後に中間焼鈍を施すことで折り曲げ加工性などが改善される。
特開平8−81742号公報
そこで、チタン薄板の製造に焼結シート圧延法の適用を試みたところ、チタン焼結薄板は圧延時にクラックが入りやすく、1回の圧延では密度比を93%以上に圧密することが困難であり、既存のプロセスをそのまま適用することができなかった。
この発明は、前述の事情に鑑みてなされたものであり、発明の目的は厚さ500μm以下、好ましくは厚さ200μm以下、さらに好ましくは厚さ50μm以下のチタン薄板をエネルギー的に効率の良いプロセス、すなわち工程数の少ないプロセスで製造できる新たなチタン薄板の製造方法を提供することにあり、それを達成するために、焼結シート圧延法をチタン薄板の製造に適した方法に改良することを主眼においている。
そこで、チタン薄板の製造プロセスとして、焼結シート圧延法を適用した新プロセスを完成させるべく種々の実験、検討を重ねた結果、チタン焼結薄板は圧延時にクラックが入りやすいので、焼結薄板の破断伸びを0.4%以上、密度比を80%以上としておくことで、圧延によって密度比を少なくとも90%以上に圧密することができ、この圧密薄板を再焼結することにより、密度比が例えば98.5%以上の高密度のチタン薄板を製造できることを見出した。
さらに、本プロセスで安定的にチタン焼結薄板を製造するための管理項目を決定すべく各工程の中間体を分析し、データ整理、解析を進めた結果、圧密前の焼結薄板の炭素含有量ならびに酸素含有量が高くなると圧延工程でクラックが入りやすくなり、クラックを予防するためには、焼結体の炭素量を0.5%以下、望ましくは0.3%以下、酸素量を1%以下、望ましくは0.5%以下にするとよいことがわかった。
次に、チタン焼結薄板の炭素量と酸素量を効果的に低減する方法を検討した結果、本プロセスにおいてチタン焼結薄板は、結着剤、可塑剤、溶剤から構成される有機バインダー溶液と、チタン粉、水素化チタン粉、チタン合金粉から選ばれる1種又は2種以上の混合粉(以下、チタン原料粉と呼ぶ)とを混合して製造される粘性組成物(以下、チタン含有粘性組成物と呼ぶ)をドクターブレード法等で薄板状に成形し、乾燥した後、焼結して製造されるが、この場合、チタン含有粘性組成物の、結着剤とチタン原料粉の配合比率がチタン焼結薄板の炭素量と酸素量を決定づける因子の一つであって、結着剤の配合比が高くなると、多孔質焼結薄板の炭素含有量ならびに酸素含有量が高くなって、次工程の圧延工程でクラックが入りやすくなることが判明した。それを解決するためには、結着剤を減らすとともに、結着剤を減らす代わりに可塑剤を増やし、結着剤、可塑剤、およびチタン原料粉との配合比率をある一定の範囲に収めればよい、という知見を得るに至ったのである。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであり、以下の解決手段とした。
すなわち、本発明は、金属粉、結着剤、可塑剤、溶剤を含む粘性組成物を薄板状に成形、乾燥して焼結前成形体を製造する工程、前記焼結前成形体を焼結して焼結薄板を製造する焼結工程、前記焼結薄板を圧密して焼結圧密薄板を製造する圧密工程、前記焼結圧密薄板を再焼結する再焼結工程、を含み、前記金属粉がチタン粉、水素化チタン粉、チタン合金粉から選ばれる1種又は2種以上の混合粉である厚さ500μm以下のチタン薄板の製造方法において、前記焼結薄板の破断伸びを0.4%以上、密度比を80%以上とし、前記焼結圧密板の密度比を90%以上とし、前記粘性組成物の金属粉、結着剤、可塑剤の配合比において、金属粉の質量を100としたときの結着剤の質量B、可塑剤の質量Pを、
0.03<B≦3、2<P≦30、B<Pとすることを特徴とする。
また、本発明の製造方法において、前記焼結前成形体を焼結して得られるチタン焼結薄板の炭素含有量および酸素含有量は、質量%で、炭素含有量が0.5%以下、酸素含有量が1%以下であるとよい。
また、本発明の製造方法において、前記金属粉の平均粒子径が4μm〜200μmであるとよい。
金属粉の平均粒子径については、必ずしも限定されるものではないが、粘性組成物に適度な粘性と流動性を付与して、薄板状に成形し易くするために、4μm〜200μmが好ましい。
また、前記焼結工程において、前記焼結温度に加熱する前に、350℃〜600℃で10〜300分の脱脂処理を行うとよい。
脱脂処理は、焼結時に一般的に行われるものでもよいが、このような脱脂処理とすることにより、炭化チタンの発生を防止できるので好ましい。
さらに、本発明の製造方法において、前記焼結工程の前に、前記焼結前成形体を厚さ減少率1〜20%の範囲で圧密するとよい。
焼結前の段階で圧密することで、焼結後の密度を上げ、焼結後の伸びをさらに向上させることができ、最終的に極めて高密度のチタン薄板を製造することができる。
本発明のチタン薄板の製造方法によれば、密度比98.5%以上、さらには99.4%以上も可能であり、厚さ0.03mm〜500μmの高密度かつ薄肉のチタン薄板を製造することができる。
さらに、以下のような有利点がある。
(1)ドクターブレード法等であらかじめ薄板を成形するので、原料粉の平均粒子径の3倍以上の厚さであれば平面方向に均一な厚さのプリフォームを製造することができ、それ
を圧延するので、均一な厚さおよび荷重で圧延できる。そのため、厚さが500μm以下でも、チタンに多少の不純物が含まれていても、圧延時の破損を抑制できる。
(2)焼結体をプリフォームに使用するので、焼結工程の熱処理によって水素化チタンをチタンに脱水素することができる。従って、原料に水素化チタンを使用した場合にも、圧延工程の段階では脱水素してチタンになっているので、原料に水素化チタンを使用することができる。
(3)スポンジチタンから水素化チタンを製造し、それを原料に使用して焼結シート圧延法の概念を適用してチタン薄板を製造すれば、スポンジチタンからチタンインゴットを製造する工程を省くことができるので、エネルギー的に効率の良いプロセスになる。
したがって、従来のチタンインゴットを出発材料とする方法に比べて、少ない工程数でチタン薄板を製造できることが明らかであり、省エネルギー化が実現できる。
本発明の焼結シート圧延法を改良したチタン薄板の製造方法の実施形態を示すフローチャートである。 実施例において破断伸びの測定に用いた試料片の形状、チャック構造を示す模式図であり、(a)が正面図、(b)が側面図である。
以下、本発明のチタン薄板の製造方法の実施形態について説明する。
この実施形態の製造方法は、図1のフローチャートに示したように、結着剤、可塑剤、溶剤とチタン原料粉を混合してチタン含有粘性組成物を調製する工程と、チタン含有粘性組成物を薄板状に成形および乾燥して焼結前成形体を製造する工程と、焼結前成形体を脱脂・焼結してチタン焼結薄板を製造する工程と、チタン焼結薄板を圧密してチタン焼結圧密薄板を製造する工程と、チタン焼結圧密薄板を再焼結する工程とを含む。
これら各工程を順に説明する。S1〜S6の符号は図1のフローチャートの工程と対応する。
(チタン含有粘性組成物の調製工程:S1)
結着剤は、水溶性のものと有機溶剤溶解性のもののどちらも利用することができる。水溶性の結着剤にはたとえば、メチルセルロース系、エチルセルロース系、ポリビニルアルコール系の結着剤を使用でき、有機溶剤溶解性の結着剤にはたとえば、アクリル系、ポリビニルブチラール系、エチルセルロース系の結着剤を使用できる。
可塑剤は、水溶性結着剤を使用する場合にはグリセリン、エチレングリコール、ポリエチレングリコールなどを使用でき、有機溶剤溶解性結着剤を使用する場合にはフタル酸エステルなどを使用できる。
溶剤は、水溶性結着剤を使用する場合には水を使用し、有機溶剤溶解性結着剤を使用する場合にはエタノール、トルエン、イソプロパノール、ターピネオール、ブチルカルビトール、シクロヘキサン、メチルエチルケトンなどが使用できる。ただし、工程の環境負荷低減を考慮すると水溶性の結着剤を使用することが望ましい。
チタン原料粉はチタン粉、水素化チタン粉、チタン合金粉の1種または2種以上の混合粉を使用できる。チタン原料粉の粒子径は、チタン含有粘性組成物が適度な粘性と流動性を示し、薄板状に成形しやすくできるような粒子径が望ましく、平均粒子径4μm〜200μm、さらに望ましくは8μm〜50μmの範囲がよい。この平均粒子径は、レーザー回折法により測定される。
チタン含有粘性組成物の配合組成において、チタン原料粉に対する結着剤の割合が、後述する焼結前成形体の強さを決めるので、焼結前成形体の強さという観点からは結着剤の割合が高い方がよい。しかし、それが高くなると、焼結前成形体を焼結して得られるチタン焼結薄板に含まれる炭素量と酸素量が増加して、次工程の圧密時に破損しやすくなる。従って、チタン原料粉に対する結着剤の割合を低く抑制する必要があり、その結果、チタン原料粉に対する結着剤の配合比率Bは質量%で0.03%〜3%、望ましくは0.1%〜1%の範囲がよい。
しかし、チタン原料粉に対する結着剤の配合比率が質量%で1%を下回ると、焼結前成形体の強さが不十分になり、例えばドクターブレード法で成形する場合にキャリヤシートから焼結前成形体を剥離できなくなるなどの不具合が生じる。そこで、その問題を解決するために種々の検討を行った結果、可塑剤の配合比率を調整することで不具合を克服できることを見出した。すなわち、チタン原料粉に対する可塑剤の配合比率を質量%で2%以上とすることで焼結前成形体に可撓性と伸び性が付与されて破損しにくくなる。一方で可塑剤の配合比率が30%を超えると乾燥時にベナードセル(コーティングした塗料の乾燥過程において未乾燥の塗料が対流して塗膜表面に多数発生する特殊なセル構造)が形成して焼結前成形体の密度が不均一になったり、乾燥しにくくなったりすることから、チタン原料粉に対する可塑剤の配合比率Pは2〜30%、望ましくは4%〜20%になるように配合するとよい。
(薄板成形および乾燥工程:S2)
次に、前述のように調製したチタン含有粘性組成物を薄板状に成形し、溶剤を蒸発させて、板状の焼結前成形体を製造する。
チタン含有粘性組成物の成形は、ドクターブレード法などの粘性組成物をキャリヤシート上に直接塗布する方法、リップコーティング法などの粘性組成物をキャリヤシート上に押出しながら塗布する方法、オフセット印刷、グラビア印刷などの粘性組成物を転写塗布する方法、のいずれの方法を利用してもよい。ドクターブレード法、リップコーティング法は、チタン含有粘性組成物が均一分散し易いので成形方法として好ましい。
乾燥は、溶剤の蒸発が速すぎると焼結前成形体にクラックが入ってしまうことがあるので、クラックが入らない温度および風量を選んで行う。
(焼結前圧密工程:S3)
次に、このようにして得られた焼結前成形体を厚さ減少率が1〜20%の範囲で圧密する。この焼結前の段階で圧密することで、焼結後の密度を上げ、焼結後の伸びを向上させることができる。圧密の方法は一軸プレス、ロール圧延、その他、どのような方法を用いてもよいが、長尺品を連続的に製造する場合にはロール圧延法が適している。
(焼結工程:S4)
次に、焼結前成形体を焼結してチタン焼結薄板を製造する。
焼結前成形体はチタン原料粉の他に結着剤と可塑剤を含んでいる。可塑剤は通常、300℃以下で蒸発してしまうのでチタンの焼結に悪影響を及ぼさない。これに対して、結着剤は、非酸化性雰囲気では約500℃までにほぼ90%以上が熱分解するが、一部が残炭成分として800℃以上まで残り、800℃を超えると残炭成分がチタンと反応して炭化チタン粒子を形成するようになる。炭化チタン粒子が形成するとチタン焼結薄板が脆くなって、次工程の圧密工程で破損する原因となる。従って、焼結の昇温過程では、残炭量を少なく抑制するために結着剤を十分に分解、除去できるように、結着剤の熱分解温度の前後で昇温速度を遅くしたり、保持時間を設定したりすることが望ましい。具体的には、350〜600℃の温度範囲に10〜300分保持するとよい。
焼結の雰囲気は、チタンは酸化しやすく、窒化しやすいので、アルゴン雰囲気、もしくは真空中で行う。焼結の温度(T)は、チタン原料粉の粒径等にも依存するが、950℃〜1400℃、望ましくは1000〜1360℃で20〜60分保持するとよい。この焼結により、破断伸びが0.4%以上、密度比が80%以上のチタン焼結薄板とする。破断伸びの測定方法については後述する。密度比は、寸法および質量から算出される。
(圧密工程:S5)
次に、チタン焼結薄板を圧密し、チタン焼結圧密板を製造する。
圧密の方法は一軸プレス、ロール圧延、その他、どのような方法を用いてもよいが、長尺品を連続的に製造する場合にはロール圧延法が適している。焼結シート圧延法では、被圧延材の面内の密度分布が小さいので、難加工材でも容易にロール圧延できる。圧密体の密度比としては90%以上のものを得ることができる。
(再焼結工程:S6)
次に、チタン焼結圧密板を再焼結して、チタン薄板を製造する。
再焼結の雰囲気は、焼結工程と同様に、アルゴン雰囲気、もしくは真空中で行う。この再焼結工程ではチタン原料粉の粒径等にも依存するが、再焼結温度(T)及びその保持時間を焼結工程時の焼結温度(T)及びその保持時間と同じ950℃〜1400℃、望ましくは1000〜1360℃で20〜60分とすることにより、密度比98.5%以上の緻密なチタン薄板が得られる。
以下、本発明の効果確認のために行った試験結果について説明する。
チタン含有粘性組成物としては、表1に示す成分組成のチタン原料粉、結着剤、可塑剤を混合して調整した。表1中、実施例4のチタン原料粉は、チタン(Ti)粉末と水素化チタン(TiH)粉末とを10:90の質量比で混合して得た混合粉である。また、結着剤の配合比B及び可塑剤の配合比Pは、それぞれチタン原料粉の質量を100としたときの質量比である。
次に、この表1に示す各試料をドクターブレード法により薄板状に成形し、これを乾燥して焼結前成形体を製造した。この焼結前成形体の厚さは0.07〜0.35mmであった。このうち、実施例6については、この焼結前成形体の段階でプレスによって圧延した。この圧延により、板厚は0.32mmから0.30mmに減少した。
そして、この焼結前成形体を表2に示す条件で脱脂処理を行った後に焼結処理することにより、チタン焼結薄板を製造した。焼結工程はアルゴン雰囲気で行った。製造されたチタン焼結薄板の厚さ、密度比、破断伸び、炭素量、酸素量を測定した。
密度比は試料の寸法及び重量から算出した。試料の平面寸法はノギスを用い、厚さはマイクロメータを用いて測定した。
破断伸びは、図2に示すように、幅10mm、長さ100mmの長方形板状の試料片1の両端部を引張り試験機のチャック2により挟持し、その標点間距離Lが60mm、クロスヘッドの速度が0.5mm/分として、破断時のチャック2間の標点間距離Lの伸び(%)をクロスヘッド位置で測定した。
炭素量は、燃焼−赤外線吸収法により、酸素量は、不活性ガス融解−赤外線吸収法により、それぞれ測定した。
次に、表2のようにして得られたチタン焼結薄板をロール圧延により圧密してチタン焼結圧密板とし、これを表3に示す条件で再焼結して、目的のチタン薄板を製造した。この再焼結工程も、アルゴン雰囲気で行った。中間製造体であるチタン焼結圧密板の厚さ、密度比、及び最終製品であるチタン薄板の厚さ、密度比はそれぞれ表3に示す通りであった。
この表3から明らかなように、実施例の方法とすることにより、99.4%以上の高密度で薄肉のチタン薄板を製造することができた。この場合、いずれの実施例も炭素量は0.3%以下、酸素量は0.5%以下で、従来のチタン薄板の用途において実用上問題ない純度であった。一方、比較例の方法の場合、試料7及び試料8では、チタン焼結圧密板にクラックが生じたものがあったため、クラックが生じなかったものについて密度比を測定し、再焼結したが、チタン薄板を所望の密度比にまで高めることはできなかった。また、実施例6に示すように、焼結前に成形体を若干圧延して焼結することにより、破断伸びを向上させ(表2参照)、再焼結後に密度比100%のチタン薄板を得ることができた。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態の構成のものに限定されるものではなく、細部構成においては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。たとえば、水溶性の結着剤を使用する場合に粘性組成物にアルコールなどの消泡剤を添加するなどしてもよい。
また、図1に示す工程では、焼結前成形体を圧密加工してから焼結するようにしたが、焼結前成形体の圧密加工は必ずしも必須ということではない。
さらに、最初の焼結工程と、後の再焼結工程とで、その温度及び保持時間の範囲はいずれも同じ範囲としたが、その範囲内で、最初の焼結工程時の温度より再焼結工程時の温度を高くし、保持時間は再焼結工程の方を短く設定してもよいし、逆に、最初の焼結工程時の温度より再焼結工程時の温度より低くし、保持時間は再焼結工程の方を長く設定してもよい。また、両焼結工程とも同じ温度、同じ保持時間に設定してもよい。
本発明の製造方法は、高密度で薄いチタン薄板を製造することができるので、海水プラントや製塩プラントの部材、化学反応容器やタンク等の表面被覆材、電圧印荷状態で長時間使用される電極材や電池の容器材、熱交換器部材、屋根材等の建材など、耐食性および耐候性が要求される構造部材の製造に適している。
1 試料片
2 チャック

Claims (5)

  1. 金属粉、結着剤、可塑剤、溶剤を含む粘性組成物を薄板状に成形、乾燥して焼結前成形体を製造する工程、前記焼結前成形体を焼結して焼結薄板を製造する焼結工程、前記焼結薄板を圧密して焼結圧密薄板を製造する圧密工程、前記焼結圧密薄板を再焼結する再焼結工程、を含み、前記金属粉がチタン粉、水素化チタン粉、チタン合金粉から選ばれる1種又は2種以上の混合粉である厚さ500μm以下のチタン薄板の製造方法において、
    前記焼結薄板の破断伸びを0.4%以上、密度比を80%以上とし、前記焼結圧密板の密度比を90%以上とし、
    前記粘性組成物の金属粉、結着剤、可塑剤の配合比において、金属粉の質量を100としたときの結着剤の質量B、可塑剤の質量Pを、
    0.03<B≦3、
    2<P≦30、
    B<P
    とすることを特徴とするチタン薄板の製造方法。
  2. 前記焼結前成形体を焼結して得られる焼結薄板の炭素含有量および酸素含有量は、質量%で、炭素含有量が0.5%以下、酸素含有量が1%以下であることを特徴とする請求項1に記載のチタン薄板の製造方法。
  3. 前記金属粉の平均粒子径が4μm〜200μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載のチタン薄板の製造方法。
  4. 前記焼結工程において、前記焼結温度に加熱する前に、350〜600℃で10〜300分の脱脂処理を行うことを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のチタン薄板の製造方法。
  5. 前記焼結工程の前に、前記焼結前成形体を厚さ減少率1〜20%の範囲で圧密することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のチタン薄板の製造方法。
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