以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる移動装置の斜視図である。図2は、本発明の実施形態にかかる移動装置の平面図である。図3は、本発明の実施形態にかかる移動装置の正面図である。
本発明の実施形態にかかる移動装置は、吸引具10、マニピュレータ20を備える。
図1を参照して、吸引具10は、収容具102、支柱120、屋根140、パイプ150、フランジ152を有する。なお、図示の便宜上、吸引具10は、図2においては、収容具102およびフランジ152のみ図示し、図3においては、収容具102、パイプ150およびフランジ152のみ図示している。
吸引具10は、収容具102内にパック(吸引対象物)1を吸引する。収容具102は、直方体状であるが、下部が開放されている。収容具102の四隅に設けられた支柱120には屋根140が設置されている。屋根140と収容具102との間には、パイプ150が配置されている。パイプ150は、収容具102と吸気ポンプ(図示省略)とを接続する。収容具102内の空気が、吸気ポンプによって、パイプ150を介して吸気される。パイプ150は、フランジ152によって収容具102に固定されている。フランジ152を、収容具102に固定するボルトは図示省略する。なお、パイプ150は図示の便宜上、吸引具10の近傍の部分のみを図示するが、実際は、吸気ポンプまで延伸している。また、パイプ150は、エアホースでもよい。
図1および図2を参照して、パック1は、ベルトコンベア4によって、吸引具10に向かって搬送される。パック1は一列になって、ベルトコンベア4上を、吸引具10に向かって搬送される。また、パック1の向きは、多少、ふぞろいであってもかまわない。なお、ベルトコンベア4上のパック1は一列になっていなければならないわけではなく、二列以上でもかまわない。その点については後で図6を参照して説明する。
パック1は上から見るとほぼ正方形であり(図2参照)、薄いものである(図1参照)。パック1は例えば、透明なプラスチックのパックである。ただし、パック1を上から見た形状は、正方形でなければならないというわけではなく、他の形状、例えば、長方形でも円形でもよい。以後、パック1を上から見た形状が正方形である場合を例にとって、説明を続ける。
図3を参照して、パック1は、中央部1a、周縁部1bを有する。ただし、図3においては、パック1の厚みを誇張して図示している。また、図2の1個のパック1を除いて、図1および図2において、中央部1aおよび周縁部1bは図示省略する。中央部1aには、パック1の内容物2が入っている。内容物2は比較的軽いものであり、例えば、削り節(鰹節を細かく削ったもの)または粉末ポタージュである。周縁部1bは、極めて薄く、パック1を封じ、内容物2をパック1に閉じ込める機能を果たしている。
図1を参照して、マニピュレータ20は、第一接続具22、第二接続具24、パラレルリンク26a、26b、26cを有する。マニピュレータ20は、吸引具10を移動させるものである。
第一接続具22は、屋根140と第二接続具24とを接続する。第二接続具24は、第一接続具22と、パラレルリンク26a、26b、26cとを接続する。パラレルリンク26a、26b、26cは周知であり、説明を省略する。パラレルリンク26a、26b、26cを駆動することにより、吸引具10が移動する。なお、パラレルリンク26a、26b、26cは、ロボットアームであればよく、パラレルリンクは一例に過ぎない。
吸引具10は、パック1を複数個ずつ(例えば、2個ずつ)吸着する。その後、吸引具10は、マニピュレータ20によって、ベルトコンベア4上から、ベルトコンベア6上に移動される。ベルトコンベア6上に移動された吸引具10は、吸引を停止してパック1を2個ずつ重なった状態でベルトコンベア6上に落下させてから、ベルトコンベア4上に復帰する。
ベルトコンベア6は、複数個ずつ(例えば、2個ずつ)重ねられたパック1を、梱包する装置(図示省略)に搬送する。
図4は、本発明の実施形態にかかる移動装置の平面図および正面図であって、パック1を吸着する態様を示す図である。図5は、本発明の実施形態にかかる移動装置の平面図および正面図であって、パック1の吸着解除(図5(a))および吸引具10の位置の復帰(図5(b))を示す図である。
まず、図4(a)を参照して、ベルトコンベア4上をパック1が一列になって、吸引具10の方に搬送されている。次に、図4(b)を参照して、吸引具10の真下に到達した1個目のパック1が、吸引具10により吸引される。さらに、図4(c)を参照して、吸引具10の真下に到達した2個目のパック1が、吸引具10により吸引される。結局、吸引具10によって、2個のパック1が吸着される。ここで、吸引具10は、マニピュレータ20によってベルトコンベア6上に移動される。
このように、2個のパック1を1個の吸引具10により吸着できるという点が、吸引具10の有利な効果というべき点である。
次に、図5(a)を参照して、ベルトコンベア6上で吸引具10は吸引を停止し、2個の重なったパック1がベルトコンベア6上に落下する。吸引具10は、2個の重なったパック1を引っ掛けないように、ベルトコンベア4上に復帰する。最後に、図5(b)を参照して、2個の重なったパック1がベルトコンベア6上を搬送される。そして、図4(a)の状態に戻る。
なお、上記のように、パック1を2個ずつ吸着するのは、パック1が比較的重い場合(例えば、内容物2が粉末ポタージュの場合)である。パック1が比較的軽い場合(例えば、内容物2が削り節の場合)は、パック1を3個以上ずつ吸着することも考えられる。
図6は、本発明の実施形態にかかる移動装置の平面図および正面図であって、2列に並んだパック1を吸着する態様を示す図である。図7は、本発明の実施形態にかかる移動装置の平面図および正面図であって、パック1の吸着解除(図7(a))および吸引具10の位置の復帰(図7(b))を示す図である。
まず、図6(a)を参照して、ベルトコンベア4上をパック1が二列になって、吸引具10の方に搬送されている。吸引具10の真下に到達した1個目のパック1(1)が、吸引具10により吸引される。さらに、吸引具10を、−Y方向に移動させて、2個目のパック1(2)を吸引する。さらに、吸引具10の真下に到達した3個目のパック1(3)が、吸引具10により吸引される。さらに、吸引具10を、+Y方向に移動させて、4個目のパック1(4)を吸引する。
結局、図6(b)を参照して、吸引具10によって、4個のパック1が吸着される。ここで、吸引具10は、マニピュレータ20によってベルトコンベア6上に移動される。
このように、4個のパック1を1個の吸引具10により吸着できるという点が、吸引具10の有利な効果というべき点である。
次に、図7(a)を参照して、ベルトコンベア6上で吸引具10は吸引を停止し、4個の重なったパック1がベルトコンベア6上に落下する。吸引具10は、4個の重なったパック1を引っ掛けないように、ベルトコンベア4上に復帰する。最後に、図7(b)を参照して、4個の重なったパック1がベルトコンベア6上を搬送される。そして、図6(a)の状態に戻る。
本発明の実施形態にかかる移動装置においては、吸引具10に色々な実施形態が考えられる。以下、吸引具10の色々な実施形態を説明する。
第一の実施形態
図8は、本発明の第一の実施形態にかかる吸引具10の斜視図である。図9は、本発明の第一の実施形態にかかる吸引具10の平面図である。図10は、本発明の第一の実施形態にかかる吸引具10のA−A断面図である。図11は、本発明の第一の実施形態にかかる吸引具10の正面図である。図12は、本発明の第一の実施形態にかかる吸引具10のB−B断面図である。図13は、本発明の第一の実施形態にかかる吸引具10のC−C断面図である。
本発明の第一の実施形態にかかる吸引具10は、前述のように、収容具102、支柱120、屋根140、パイプ150、フランジ152を有するほか、さらに、離隔プレート(離隔材)110、スペーサ122、ボルト130、六角ナット132、吸気口154を有する。
吸引具10は、収容具102内にパック(吸引対象物)1を吸引する。
収容具102は、パック(吸引対象物)1を収容し、側壁102Sと上部壁102T(図8〜図10を参照)とを有する。収容具102は直方体状であるが、上部壁102Tと平行な下部壁は存在しない。すなわち、収容具102の下部は開放されている。なお、収容具102は、下部が開放されていれば、立方体状でもよい。
なお、側壁102Sと上部壁102Tの厚みを無視し、直線として図示している。また、図9において、屋根140は図示省略している。さらに、図11においては、収容具102を透視して図示している。
図10および図13を参照して、円形の吸気口154が、上部壁102Tの中央に設けられている。図示省略した吸気ポンプによって、吸気口154を介して、収容具102の内部の空気が吸気される。なお、図10および図13に図示した吸気口154の大きさは単なる一例であり、もっと大きくしてもよく、もっと小さくしてもよい。
図10を参照して、離隔プレート(離隔材)110は、吸気口154から離れている。上部壁102Tと離隔プレート110との間には、スペーサ122が配置されている。スペーサ122によって、離隔プレート110が吸気口154から、スペーサ122の厚みの分だけ離れるようにされている。
スペーサ122は、例えば、六角ナットである。支柱120は、上部壁102Tを貫通して収容具102の内部に入り込んでいる。支柱120の収容具102の内部に入り込んでいる部分には雄ネジが切られている。この雄ネジに、六角ナットであるスペーサ122がねじこまれている。
離隔プレート110は、上部壁102Tと平行な、薄い平板状の部材である。なお、図10および図12を参照して、側壁102Sと離隔プレート110との間には空隙104が存在する。
図10および図11を参照して、ボルト130は、離隔プレート110を上部壁102Tに吊り下げるための部材である。ボルト130は、離隔プレート110および上部壁102Tを貫通する。ボルト130のボルト頭部130aが、離隔プレート110の下部に出ている(図12も参照)。六角ナット132が上部壁102Tの上部に出ている(図8および図9も参照)。
なお、図12を参照して、離隔プレート110には孔が開いていない(ボルト130が貫通する孔を除く)。また、図12において、収容具102は一辺d10の正方形として図示されており、離隔プレート110は一辺d110の正方形として図示されている。ここで、d10はd110よりも大きい。
次に、第一の実施形態にかかる吸引具10の動作を説明する。
図14は、本発明の第一の実施形態にかかる吸引具10の正面断面図であって、吸引具10において1個目のパック1を吸着するまでの空気の流れを示す図である。なお、図14および図15において、吸引具10は、収容具102、離隔プレート110、フランジ152、吸気口154のみを図示している。また、図14および図15においては、空気の流れをおおまかに図示したに過ぎず、必ずしも実際の空気の流れに厳密に一致しているわけではない。
まず、図14(a)を参照して、ベルトコンベア4上を搬送された1個目のパック1が、吸引具10の真下に到達すると、マニピュレータ20が吸引具10を動かして、吸引具10の収容具102がパック1に覆いかぶさるようにする。収容具102はその下部が開放されており、収容具102の内部にパック1が入り込んでいる。なお、パック1を上から見た場合、一辺d1の正方形であるとする。ただし、d1は、d10よりも小さく、d110よりも大きい。
ここで、図示省略した吸気ポンプによって、吸気口154を介して、収容具102の内部の空気を吸気する。すると、収容具102の側壁102Sに沿って、空隙104を通り吸気口154へと上昇する気流が発生する。この気流により、パック(吸引対象物)1の周縁部1bの上方の気圧が低くなり、周縁部1bが持ち上がる。これにより、パック1自体が、吸気口154の方に向かって吸引される。
次に、図14(b)を参照して、パック1が持ち上がると、収容具102の側壁102Sに沿って上昇する気流は、パック1の下部から、周縁部1bを回り込み、周縁部1bと側壁102Sとの間を通って上昇する。このとき、上昇する気流は周縁部1bを持ち上げることになる。よって、パック1自体が、吸気口154の方に向かって吸引され続ける。なお、図14(a)に示す状態においても、このような上昇する気流が、周縁部1bを持ち上げている可能性もある。
図27は、図14(b)のb−b断面図である。図27においては、パック1の外周が空隙104に、はみでている。これにより、側壁102Sに沿って空隙104に向かって上昇する気流が、パック1の外周にぶつかって、パック1を持ち上げることが分かる。
最後に、図14(c)を参照して、パック1が持ち上がり続けると、離隔プレート110に接触し、それ以上、上昇を続けることができなくなる。ただし、上昇する気流は依然として存在しているので、パック1は離隔プレート110に押し付けられたままとなる。すなわち、パック1が吸引具10に吸着される。
図14(c)を参照して、離隔プレート110は、吸気口154とパック1とを離隔している。離隔プレート110により、吸気口154はパック1によってふさがれることがない。このため、上昇する気流が発生し続ける。
図15は、本発明の第一の実施形態にかかる吸引具10の正面断面図であって、吸引具10において2個目のパック1を吸着する際の空気の流れを示す図である。
まず、図15(a)を参照して、ベルトコンベア4上を搬送された2個目のパック1が、吸引具10の真下に到達すると、マニピュレータ20が吸引具10を動かして、吸引具10の収容具102が2個目のパック1に覆いかぶさるようにする。収容具102はその下部が開放されており、収容具102の内部に2個目のパック1が入り込んでいる。
吸気口154に向かって上昇する気流は依然として存在しており、図14(a)に示す場合と同様に、2個目のパック1も吸気口154の方に向かって吸引される。
次に、図15(b)を参照して、2個目のパック1が持ち上がると、図14(b)に示す場合と同様に、2個目のパック1は吸気口154の方に向かって吸引され続ける。
最後に、図15(c)を参照して、2個目のパック1が持ち上がり続けると、1個目のパック1に接触し、それ以上、上昇を続けることができなくなる。ただし、上昇する気流は依然として存在しているので、2個目のパック1は1個目のパック1に押し付けられたままとなる。すなわち、2個目のパック1が吸引具10に吸着される。
なお、図14および図15においては、パック1を2個吸着する例を説明したが、パック1が軽ければ3個以上(例えば、4個)吸着できる。3個目以降のパック1の吸着の際の動作は、図15と同様である。
また、吸気口154を介した収容具102の内部の吸気を停止すれば、図15(c)に示す2個の重なったパック1は落下する。よって、図15(c)に示す状態の吸引具10をベルトコンベア6上に移動させてから、収容具102の内部の吸気を停止すると、2個の重なったパック1がベルトコンベア6上に落下する。
図16は、比較例である吸引具30の空気の流れを示す図である。吸引具30は、離隔プレート110を有しない。収容具302、フランジ352および吸気口354は、収容具102、フランジ152および吸気口154と同様である。
図16(a)を参照して、ベルトコンベア4上を搬送された1個目のパック1が、吸引具10の真下に到達すると、マニピュレータ20が吸引具30を動かして、吸引具30の収容具302がパック1に覆いかぶさるようにする。収容具302はその下部が開放されており、収容具302の内部にパック1が入り込んでいる。
ここで、図示省略した吸気ポンプによって、吸気口354を介して、収容具302の内部の空気を吸気する。収容具302内に吸気口354へと上昇する気流が発生する。この気流により、パック(吸引対象物)1が持ち上がり、吸気口354の方に向かって吸引される。パック1は、やがて吸気口354をふさぐ位置まで上昇する(図16(b)参照)。
次に、図16(b)を参照して、ベルトコンベア4上を搬送された2個目のパック1が、吸引具10の真下に到達すると、マニピュレータ20が吸引具30を動かして、吸引具30の収容具302がパック1に覆いかぶさるようにする。収容具302はその下部が開放されており、収容具302の内部にパック1が入り込んでいる。
しかし、ここで重要な点は、1個目のパック1が吸気口354をふさいでいるという点である。このため、2個目のパック1を吸着することができない。すなわち、比較例である吸引具30によれば、パック1を1個しか吸着できない。
本発明の第一の実施形態によれば、1個の吸引具10により複数個(例えば、2個または4個)のパック1を吸着することができる。
すなわち、図14(c)および図15を参照して、パック1を1個吸着しても、吸気口154がふさがらない。このため、パック1を1個吸着しても、依然として、収容具102の側壁102Sに沿って、空隙104を通って上昇する気流が発生し続ける。この上昇気流が、2個目以降のパック1の周縁部1bを持ち上げるので、パック1を2個以上吸着できる。
比較例である吸引具30によれば、パック1を1個吸着すると、吸気口354がふさがってしまい、2個目のパック1を吸着できない。本発明の第一の実施形態は、比較例とは好対照である。
なお、これまで、d1がd110よりも大きいものとして説明を行った(図14(a)および図27を参照)。しかし、d1がd110よりもわずかに小さくても、空隙104を通って上昇する気流が、パック1を持ち上げるのに充分な程度に、パック1の周縁部1bにあたることが考えられる。すなわち、d1がd110よりもわずかに小さくてもかまわない。
なお、本発明の第一の実施形態においては、側壁102Sおよび上部壁102Tが平面である例を説明したが、側壁102Sおよび上部壁102Tが曲面であってもよい。
図26は、本発明の第一の実施形態にかかる吸引具10の収容具102の変形例を示す図である。
例えば、図26(a)に示すように、収容具102を円筒形状としてもよい。この場合、側壁102Sが曲面となる。
また、図26(b)は収容具102のさらなる変形例の正面断面図であるが、図26(b)に示すように、上部壁102Tが上に凸の曲面であってもよい。もちろん、上部壁102Tが下に凸の曲面でもよく、上部壁102Tとして色々な曲面を採用してもよい。
第二の実施形態
第二の実施形態にかかる吸引具10は、障害物160を備えている点で、第一の実施形態と異なる。
図17は、本発明の第一の実施形態にかかる吸引具10おいて、吸引具10の移動による収容具102内のパック1の偏りを示す図である。
吸引具10が左側に移動する(例えば、ベルトコンベア6上に移動する)と、その方向(左側)に、パック1が移動し、周縁部1bが左側の側壁102Sに接触する。すると、左側の側壁102Sに沿って上昇する気流が発生しなくなる。周縁部1bが気流を遮るからである。その結果、左側の側壁102Sに接触した周縁部1bを持ち上げる力が働かなくなる。これにより、吸引具10がベルトコンベア6上に移動しないうちに、パック1が落下してしまう。
図18は、本発明の第二の実施形態にかかる吸引具10の正面断面図(図18(a))およびD−D断面図(図18(b))である。ただし、図18(b)においては、パック1を図示省略する。
本発明の第二の実施形態にかかる吸引具10は、障害物160を有する。障害物160以外は、第一の実施形態と同様であり説明を省略する。
障害物160は、離隔プレート110よりも、左側の側壁102Sに近い。ただし、障害物160は、少なくとも離隔プレート110から見てパック1の方の空間内に、離隔プレート110よりも、左側の側壁102Sに近い部分(例えば、図18(a)において、周縁部1bが接触している障害物160の部分)を有していればよい。
なお、障害物160は、上部壁102Tに取り付けられており、上部壁102Tから遠ざかるにしたがい左側の側壁102Sとの距離が短くなっていく。例えば、障害物160は、上部壁102Tにおいて、左側の側壁102Sとの距離がdLであり、吸引具10の下端においては、左側の側壁102Sとの距離が0となるようにしてもよい。すると、障害物160の傾きθは90度未満となる。
ただし、dLはΔdよりも小さい。Δdは、図14(a)を参照して、(d10-d1)/2である。Δdは例えば2mm程度である。
本発明の第二の実施形態によれば、吸引具10が左側に移動することにより、パック1が左側に移動しても、周縁部1bが障害物160に衝突して、左側の側壁102Sには接触しない。よって、周縁部1bと左側の側壁102Sとの間には隙間が存在し続ける(この点が図17とは異なる)。これにより、左側の側壁102Sに沿って上昇する気流は依然として発生したままとなり、パック1が落下してしまうことを防止できる。
しかも、dLはΔdよりも小さく、しかも障害物160の傾きθが90度未満となっているため、障害物160がパック1の吸引の妨げにはなりにくい。
なお、本発明の第二の実施形態には、左側にのみ障害物160を設けたが、吸引具10の移動方向が前後左右であれば(図19(b)参照)、前後左右に障害物160を設けてもよい。
図19は、本発明の第二の実施形態の変形例にかかる吸引具10の正面断面図(図19(a))およびE−E断面図(図19(b))である。
吸引具10の移動方向が前後左右であることにあわせて、収容具102内の前後左右に障害物160を設けている。
なお、左側の障害物160は、上部壁102Tに取り付けられており、上部壁102Tから遠ざかるにしたがい左側の側壁102Sとの距離が短くなっていく。例えば、障害物160は、上部壁102Tにおいて、左側の側壁102Sとの距離がdLであり、吸引具10の下端においては、左側の側壁102Sとの距離が0となるようにしてもよい。すると、障害物160の傾きθ1は90度未満となる。
また、右側の障害物160は、上部壁102Tに取り付けられており、上部壁102Tから遠ざかるにしたがい右側の側壁102Sとの距離が短くなっていく。例えば、障害物160は、上部壁102Tにおいて、右側の側壁102Sとの距離がdRであり、吸引具10の下端においては、右側の側壁102Sとの距離が0となるようにしてもよい。すると、障害物160の傾きθ2は90度未満となる。
なお、dLとdRとが等しくてもよい。ただし、dLおよびdRはΔdよりも小さい。
第三の実施形態
第三の実施形態にかかる吸引具10は、離隔プレート110に連通孔112が設けられている点が、第一の実施形態と異なる。
図20は、本発明の第三の実施形態にかかる吸引具10のA−A断面図(図20(a))およびB−B断面図(図20(b))である。
本発明の第三の実施形態にかかる吸引具10の平面図は図9と同じであり、第三の実施形態にかかる図9のA−A断面図が図20(a)である。本発明の第三の実施形態にかかる吸引具10の正面図は図11と同じであり、第三の実施形態にかかる図11のB−B断面図が図20(b)である。
本発明の第三の実施形態にかかる吸引具10の離隔プレート110には連通孔112が設けられている。連通孔112以外の部分は、第一の実施形態と同様であり説明を省略する。
連通孔112は離隔プレート110を貫通している。より詳細には、連通孔112は、吸気口154の方の空間(離隔プレート110の上側の空間)とパック1が収容される方の空間(離隔プレート110の下側の空間:図22参照)とを連通する。連通孔112は一個設けられている。なお、図20に図示した連通孔112の直径は、単なる一例であり、もっと大きくしてもよく、もっと小さくしてもよい。また、連通孔112の直径と、吸気口154の直径との大小関係もまた任意である。
次に、第三の実施形態にかかる吸引具10の動作を説明する。
図22は、本発明の第三の実施形態にかかる吸引具10の正面断面図であって、吸引具10においてパック1を吸着する際の空気の流れを示す図である。
まず、図22(a)を参照して、ベルトコンベア4上を搬送された1個目のパック1が、吸引具10の真下に到達すると、マニピュレータ20が吸引具10を動かして、吸引具10の収容具102がパック1に覆いかぶさるようにする。収容具102はその下部が開放されており、収容具102の内部にパック1が入り込んでいる。
ここで、図示省略した吸気ポンプによって、吸気口154を介して、収容具102の内部の空気を吸気する。すると、収容具102内に、連通孔112を介して、吸気口154へと上昇する気流が発生する。この気流により、パック1が持ち上がり、吸気口154の方に向かって吸引される。パック1は、やがて連通孔112をふさぐ位置まで上昇する(図22(b)参照)。
次に、図22(b)を参照して、吸引具10の収容具102が2個目のパック1に覆いかぶさるようにすると、図15(a)に示す場合と同様に、2個目のパック1は吸気口154の方に向かって吸引され続ける。
最後に、図22(c)を参照して、2個目のパック1が持ち上がると、図15(b)に示す場合と同様に、2個目のパック1は吸気口154の方に向かって吸引され続ける。
2個目のパック1が持ち上がり続けると、1個目のパック1に接触し、それ以上、上昇を続けることができなくなる。ただし、上昇する気流は依然として存在しているので、2個目のパック1は1個目のパック1に押し付けられたままとなる。すなわち、2個目のパック1が吸引具10に吸着される。
第三の実施形態によれば、1個目のパック1を吸引する際の吸引力が強い(図22(a)参照)。特に、パック1が比較的重い場合(例えば、内容物2が粉末ポタージュの場合)に有効である。
すなわち、図14および図15に示すような側壁102Sに沿って上昇する気流は部分的な気流であるのに対し、図22(a)に示すような1個目のパック1を吸引する際の気流は収容具102内の全体の空気を吸入するものであり、より強い吸引力が生じるのである。
なお、連通孔は二個以上設けられていてもよい。
図21は、本発明の第三の実施形態の変形例にかかる吸引具10のA−A断面図(図21(a))およびB−B断面図(図21(b))である。
本発明の第三の実施形態の変形例にかかる吸引具10の平面図は図9と同じであり、第三の実施形態の変形例にかかる図9のA−A断面図が図21(a)である。本発明の第三の実施形態の変形例にかかる吸引具10の正面図は図11と同じであり、第三の実施形態にかかる図11のB−B断面図が図21(b)である。
本発明の第三の実施形態の変形例にかかる吸引具10の離隔プレート110には連通孔114、116が設けられている。連通孔114、116以外の部分は、第一の実施形態と同様であり説明を省略する。
連通孔114、116は、連通孔112と同様であるが、二個存在しているという点が、連通孔112と異なる。なお、図21に図示した連通孔114、116の直径は、単なる一例であり、もっと大きくしてもよく、もっと小さくしてもよい。また、連通孔114、116の直径と、吸気口154の直径との大小関係もまた任意である。
次に、第三の実施形態の変形例にかかる吸引具10の動作を説明する。
図23は、本発明の第三の実施形態の変形例にかかる吸引具10の正面断面図であって、吸引具10においてパック1を吸着する際の空気の流れを示す図である。
まず、図23(a)を参照して、ベルトコンベア4上を搬送された1個目のパック1が、吸引具10の真下に到達すると、マニピュレータ20が吸引具10を動かして、吸引具10の収容具102がパック1に覆いかぶさるようにする。収容具102はその下部が開放されており、収容具102の内部にパック1が入り込んでいる。
ここで、図示省略した吸気ポンプによって、吸気口154を介して、収容具102の内部の空気を吸気する。すると、収容具102内に、連通孔114、116を介して、吸気口154へと上昇する気流が発生する。この気流により、パック1が持ち上がり、吸気口154の方に向かって吸引される。パック1は、やがて連通孔114、116をふさぐ位置まで上昇する(図23(b)参照)。
次に、図23(b)を参照して、吸引具10の収容具102が2個目のパック1に覆いかぶさるようにすると、図15(a)に示す場合と同様に、2個目のパック1は吸気口154の方に向かって吸引され続ける。
最後に、図23(c)を参照して、2個目のパック1が持ち上がると、図15(b)に示す場合と同様に、2個目のパック1は吸気口154の方に向かって吸引され続ける。
2個目のパック1が持ち上がり続けると、1個目のパック1に接触し、それ以上、上昇を続けることができなくなる。ただし、上昇する気流は依然として存在しているので、2個目のパック1は1個目のパック1に押し付けられたままとなる。すなわち、2個目のパック1が吸引具10に吸着される。
本発明の第三の実施形態の変形例によっても、第三の実施形態と同様な効果を奏する。
第四の実施形態
第四の実施形態にかかる吸引具10は、連通孔112を介して気体が噴射される点が、第三の実施形態(図20参照)と異なる。
図24は、本発明の第四の実施形態にかかる吸引具10の正面図である。ただし、図示の便宜上、離隔プレート110のみ断面を図示している。
本発明の第四の実施形態にかかる吸引具10は、第三の実施形態にかかる吸引具10に、さらに吸気バルブ156、パイプ170、給気バルブ176を付加したものである。
吸気バルブ156を開くと、吸気口154を介する吸気が可能となる。吸気バルブ156を閉じると、吸気口154を介する吸気が不能となる。
パイプ170は、パイプ150および給気源(例えば、エアコンプレッサ)に接続されている。給気バルブ176を開くと、給気源による給気が可能となる。給気バルブ176を閉じると、給気源による給気が不能となる。
次に、第四の実施形態にかかる吸引具10の動作を説明する。
まず、吸気バルブ156を開いて、吸気口154を介する吸気を可能とする。給気バルブ176は閉じてある。それからは、パック1を吸着するが、それは第三の実施形態と同様である。
その後、吸引具10をマニピュレータ20によりベルトコンベア6上に移動させる。ここで、吸気バルブ156を閉じ、吸気を停止する。さらに、給気バルブ176を開いて、給気源からパイプ170を介して気体を噴射する。噴射された気体は、パイプ170およびパイプ150を通って、吸気口154を介して収容具102内に噴射される。噴射された気体は、吸気口154を通り、さらに連通孔112を介して、吸着されたパック1(図22参照)に噴射される。吸着されたパック1は、例えば2個重なっているが、吸気口154および連通孔112を介して噴射され気体を受け、その衝撃で、ベルトコンベア6上に落下する。
第四の実施形態によれば、吸着されたパック1を、より確実に落下させることができる。吸気を停止するだけでも、落下させることはできるが、吸気口154および連通孔112を介して気体を噴射して、吸着されたパック1に衝撃を与えることで、より確実に落下させることができる。ただし、吸気口154および連通孔112を介しての気体の噴射は、吸気口154付近を正圧にする程度のものでもかまわない。
なお、第三の実施形態の変形例(図21参照)についても、上記のような空気の噴射が可能である。
図25は、本発明の第四の実施形態の変形例にかかる吸引具10の正面図(図25(a))およびF−F断面図(図25(b))である。ただし、図示の便宜上、図25(a)において、離隔プレート110のみ断面を図示している。
本発明の第四の実施形態の変形例にかかる吸引具10は、第三の実施形態の変形例(図21参照)にかかる吸引具10に、さらに吸気バルブ156、パイプ170、排気口172、174、給気バルブ176を付加したものである。
吸気バルブ156は、第四の実施形態と同様であり説明を省略する。
パイプ170は、排気口172、174および給気源(例えば、エアコンプレッサ)に接続されている。給気バルブ176を開くと、給気源による給気が可能となる。給気バルブ176を閉じると、給気源による給気が不能となる。排気口172は連通孔114のほぼ真上に設けられている。排気口174は連通孔116のほぼ真上に設けられている。排気口172、174は、吸気口154とは別のものである。
次に、第四の実施形態の変形例にかかる吸引具10の動作を説明する。
まず、吸気バルブ156を開いて、吸気口154を介する吸気を可能とする。給気バルブ176を閉じてある。それからは、パック1を吸着するが、それは第三の実施形態の変形例と同様である。
その後、吸引具10をマニピュレータ20によりベルトコンベア6上に移動させる。ここで、吸気バルブ156を閉じ、吸気を停止する。さらに、給気バルブ176を開いて、給気源からパイプ170を介して気体を噴射する。噴射された気体は、パイプ170および排気口172、174を介して収容具102内に噴射される。噴射された気体は、さらに連通孔114、116を介して、吸着されたパック1(図23参照)に噴射される。吸着されたパック1は、例えば2個重なっているが、排気口172、174および連通孔114、116を介して噴射され気体を受け、その衝撃で、ベルトコンベア6上に落下する。
第四の実施形態の変形例によっても、吸着されたパック1を、より確実に落下させることができる。
第五の実施形態
第五の実施形態は、第一の実施形態における離隔プレート110を不要としたものである。
図28は、本発明の第五の実施形態にかかる吸引具10のA−A断面図である。図29は、本発明の第五の実施形態にかかる吸引具10の正面図である。図30は、図28のB1−B1断面図である。
本発明の第五の実施形態にかかる吸引具10の平面図は図9と同じであり、第五の実施形態にかかる図9のA−A断面図が図28である。
本発明の第五の実施形態にかかる吸引具10は、収容具102、支柱120、屋根140、パイプ150、フランジ152を有するほか、さらに、ボルト130、六角ナット132、吸気口154を有する。なお、第一の実施形態と同様な部分は、同一の番号を付して説明を省略する。
ただし、支柱120は上部壁102Tを貫通しない。また、第一の実施形態における離隔プレート(離隔材)110およびスペーサ122は、第五の実施形態には存在しない。結局、収容具102内に、ボルト130が4本突き出ている。ただし、ボルト130の本数は4本に限定されず、その位置も図示のものに限定されない。すなわち、ボルト130の本数および位置は、パック1の位置が安定するようにできるものであればよい。
次に、第五の実施形態にかかる吸引具10の動作を説明する。
図31は、本発明の第五の実施形態にかかる吸引具10の正面断面図であって、吸引具10においてパック1を吸着する際の空気の流れを示す図である。
まず、図31(a)を参照して、ベルトコンベア4上を搬送された1個目のパック1が、吸引具10の真下に到達すると、マニピュレータ20が吸引具10を動かして、吸引具10の収容具102がパック1に覆いかぶさるようにする。収容具102はその下部が開放されており、収容具102の内部にパック1が入り込んでいる。
ここで、図示省略した吸気ポンプによって、吸気口154を介して、収容具102の内部の空気を吸気する。すると、収容具102内に、吸気口154へと上昇する気流が発生する。この気流により、パック1が持ち上がり、吸気口154の方に向かって吸引される。パック1は、やがてボルト頭部130aに接触する位置まで上昇する(図31(b)参照)。
次に、図31(b)を参照して、吸引具10の収容具102が2個目のパック1に覆いかぶさるようにすると、図15(a)に示す場合と同様に、2個目のパック1は吸気口154の方に向かって吸引され続ける。
最後に、図31(c)を参照して、2個目のパック1が持ち上がると、図15(b)に示す場合と同様に、2個目のパック1は吸気口154の方に向かって吸引され続ける。
2個目のパック1が持ち上がり続けると、1個目のパック1に接触し、それ以上、上昇を続けることができなくなる。ただし、上昇する気流は依然として存在しているので、2個目のパック1は1個目のパック1に押し付けられたままとなる。すなわち、2個目のパック1が吸引具10に吸着される。
第五の実施形態によれば、第三の実施形態と同様な効果を奏する。しかも、第一の実施形態における離隔プレート(離隔材)110およびスペーサ122を必要としないので、その分、部品点数を削減することができる。