JP6163801B2 - 硬化膜 - Google Patents

硬化膜 Download PDF

Info

Publication number
JP6163801B2
JP6163801B2 JP2013050381A JP2013050381A JP6163801B2 JP 6163801 B2 JP6163801 B2 JP 6163801B2 JP 2013050381 A JP2013050381 A JP 2013050381A JP 2013050381 A JP2013050381 A JP 2013050381A JP 6163801 B2 JP6163801 B2 JP 6163801B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
cured film
meth
acrylate
photocurable composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2013050381A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014177505A (ja
Inventor
平 安井
平 安井
信太 諸越
信太 諸越
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JNC Corp
Original Assignee
JNC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JNC Corp filed Critical JNC Corp
Priority to JP2013050381A priority Critical patent/JP6163801B2/ja
Publication of JP2014177505A publication Critical patent/JP2014177505A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6163801B2 publication Critical patent/JP6163801B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Description

本発明は、光硬化性組成物を用いて形成される硬化膜に関し、より詳しくは、インクジェット法などによる印刷手法を用いて、所定のベタ膜やパターン膜を形成することに適した硬化膜およびその形成方法に関する。
近年、インクジェット法をはじめとした印刷手法を利用し、微細な回路パターンを直接描画してプリント配線基板などの各種電子部品を形成する手法が注目を浴びており、インクジェット法に使用する組成物(インクジェット用インク)が種々提案されている(例えば特許文献1参照)。これは、インクジェット法が、電子回路基板などの製造において、ベタ膜やパターン膜を形成する方法として、設備投資金額が少なく、材料の使用効率が高い等の長所をもつためである。
上記インクジェット法等により基板上に微細な配線パターンを描画するためには、配線パターンを反映した微細なパターンを持つ撥インク部および親インク部を基板上に作成する必要がある。また、インクの塗り分けを良くする観点から、撥インク部と親インク部の濡れ性の差が大きいことが求められる。近年の最終製品の小型化に伴い、基板上の配線パターンの一層の微細化が求められている。
本発明者らは、基板上に塗布することで、基板の撥インク処理を容易に行うことができ、かつ、必要に応じて親インク部を作成するために容易に除去できる表面処理剤を提案してきた(例えば特許文献2参照)。
さらに、最終製品の小型化に対応するために、上記配線パターンを有するパターン回路を積層する手法が用いられている。この場合、層間に絶縁膜が配置され、絶縁膜上に配線インクが描画される。絶縁膜上に微細な配線パターンを描画するためには、上記表面処理剤を絶縁膜上に均一に塗布して撥インク性能を付与する工程が必要になる。また、絶縁膜に対する表面処理剤の界面自由エネルギーが高いときは、表面処理剤を弾くために、均一に塗布することが困難となる場合がある。
さらに、最終製品の小型化、フレキシブル化に伴い、フレキシブルな基板上での硬化膜の形成が求められている。フレキシブル基板としては、フィルムが用いられることが多く、塗布された硬化膜材料を硬化するための加熱にあたっては、高温焼成できないという制約があり、低温で硬化できる硬化膜材料である必要がある。高温加熱をせずに硬化する材料として、光硬化性の組成物がある(例えば特許文献1参照)。しかし、光硬化を行うためには、一般的に光照射によりラジカルを発生させる光重合開始剤(光ラジカル重合開始剤)を含んでいる必要があるが、光重合開始剤は、その分解物による臭気や毒性が問題となっている。
また、表面処理剤を塗布することは、配線インクの微細化には好ましいが、絶縁膜上に均一に塗布できるかどうかは、絶縁膜と表面処理剤との界面自由エネルギーに依存している。界面自由エネルギーが高い場合には、液滴を弾くため、均一塗布することが困難となりうるのに対して、界面自由エネルギーが低い場合には、絶縁膜上に表面処理剤が濡れ広がり、均一な表面処理層が得られるが、いずれにしても表面処理剤塗布工程が加わることとなる。そこで、絶縁膜自体に撥インク性が付与されれば、表面処理剤塗布工程が省略でき、製造工程の簡略化にもなる。しかし、絶縁膜上の表面自由エネルギーが低い場合、すなわち表面撥液性が高い場合、配線インクも弾かれてしまい、絶縁膜上で精細パターンを形成できず、例えば直線を描画しても、インクの表面張力によりドットになってしまう、いわゆるバルジが形成されてしまう。
国際公開2004/099272号公報 特開2011−057963号公報
本発明の課題は、電子回路基板などの製造において微細な回路パターンを描くための所定のベタ膜やパターン膜に適した硬化膜およびその形成方法を提供することである。すなわち、硬化膜の形成に用いる光硬化性組成物は印刷手法による塗布が容易であり、加熱による硬化を必要とせず、硬化して得られる硬化膜自体が高い撥インク性を有し、該硬化膜表面に容易に親インク性領域を作製することができる硬化膜およびその形成法を提供することである。そのうえで、該硬化膜が透明であり、絶縁性に優れている硬化膜およびその形成方法を提供することである。
本発明者らは、前記問題を解決するために鋭意検討した結果、特定の光硬化性化合物と溶媒とを含む光硬化性組成物は印刷手法による塗布が容易であり、光重合開始剤を含まなくとも光照射(放射線照射)により低温で硬化させることができ、形成された硬化膜(以下「第一硬化膜」という。)は高い表面撥インク性を有し、該硬化膜表面を選択的に紫外線照射することによって、親インク部を容易に形成でき、所望の親インク部を有する本発明の硬化膜(以下「第二硬化膜」という。)が得られること、さらには、該硬化膜は高い光透過性を有し、絶縁膜として優れた電気特性を示すことを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は下記の事項を包含する。
[1]下記式(1)で表される化合物を含む光硬化性化合物および溶媒を含有する光硬化性組成物に、波長280nm〜500nmの放射線を照射することで得られる硬化膜に、さらに波長150nm〜280nmの紫外線を照射して膜表面に親インク部を形成した硬化膜。
Figure 0006163801
式(1)中、R1は炭素数26〜54の脂肪族炭化水素基である。
[2]光硬化性組成物が、さらにラジカル重合性モノマーを含有する、項[1]に記載の硬化膜。
[3]ラジカル重合性モノマーが、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、(メタ)アクリル酸およびブチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1つである、項[2]に記載の硬化膜。
[4]式(1)におけるR1が、不飽和脂肪酸から得られたダイマー酸由来の基である、項[1]〜[3]のいずれか一項に記載の硬化膜。
[5]不飽和脂肪酸が、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、ステアロール酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ−γ−リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、セトレイン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸およびニシン酸からなる群より選択される1種以上の化合物である、項[4]に記載の硬化膜。
[6]式(1)におけるR1が、下記式(2)〜(7)のいずれかで表される基、または、これらの基中の一部もしくはすべての不飽和結合が単結合である基である、項[1]〜[5]のいずれか一項に記載の硬化膜。
Figure 0006163801
式(2)〜(7)中、m、n、pおよびqは、それぞれ独立に0〜15の整数である。ただし、m、n、pおよびqは、式(2)〜(7)それぞれにおける炭素数の合計が26〜54となるような整数である。
[7]光硬化性組成物が光重合開始剤を含有しない、項[1]〜[6]のいずれか一項に記載の硬化膜。
[8]硬化膜が透明膜である、項[1]〜[7]のいずれか一項に記載の硬化膜。
[9]硬化膜が絶縁膜である、項[1]〜[8]のいずれか一項に記載の硬化膜。
[10](I)項[1]に記載の光硬化性組成物に、波長250nm〜500nmの放射線を照射して、硬化膜を形成する工程と、
(II)工程(I)で形成された硬化膜に、波長150nm〜300nmの紫外線を照射して、膜表面に親インク部を形成する工程と
を含む、膜表面に親インク部が形成された硬化膜の形成方法。
[11]項[1]〜[9]のいずれか一項に記載の硬化膜を有する電子部品。
本発明に用いられる光硬化性組成物は、インクジェット法を始めとする様々な印刷手法により容易に塗布することができ、放射線照射により形成される第一硬化膜は優れた撥インク性を示す。さらに、紫外線照射により、撥インク膜表面を容易に親インク性の高い膜表面に変化させることができ、撥インク部と親インク部の濡れ性の差が大きい、所望の親インク部を有する第二硬化膜を得ることができる。該硬化膜は、インクジェットを始めとする様々な印刷手法で、親インク部に特異的にインクを載せることができ、精細な配線パターンを形成する用途に最適である。
本発明に用いられる光硬化性組成物は、紫外線や可視光線等の放射線照射により硬化できるため、低温での硬化による硬化膜形成が可能であり、フィルムなどのフレキシブル基板に使用できる。また、光重合開始剤を含まないため、その分解物による臭気や毒性の問題が生じない。さらに、本発明の第二硬化膜は透明であるため、液晶表示素子の構成材料として使用でき、優れた絶縁性を有するため、電子部品の積層パターン回路の構成材料として使用できる。このため、絶縁膜に表面処理剤等を塗布して撥インク処理をする工程を省略することができ、製造工程を簡略化でき、製造コストを下げることができる。
以下、本発明に用いられる光硬化性組成物および該組成物から形成した本発明の硬化膜について詳細に説明する。
なお、本明細書において、ベタ膜とは、基板表面全面が電子部品を構成する材料(インク等)によって覆われている膜を表し、パターン膜とは、基板表面が露出している箇所と電子部品を構成する材料(インク等)によって覆われている箇所とが混在している場合における、前記材料から形成されている膜をいう。また、インクとは、種々の印刷手法を利用して回路パターンを描画する際に用いられる溶液であって、電子部品を構成する導体および半導体等の材料を溶解または分散等させて含む溶液をいう。また、放射線とは、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等の電磁波および粒子線をいう。
<光硬化性組成物>
本発明に用いられる光硬化性組成物は、光硬化性化合物(A)および溶媒(B)を含む。さらに、必要に応じて界面活性剤(C)やその他の成分(D)を含んでもよい。以下において、光硬化性化合物(A)、溶媒(B)、界面活性剤(C)及びその他の成分(D)を、それぞれ成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)と称することがある。
≪光硬化性化合物(A)≫
〔光硬化性化合物(a−1)〕
光硬化性化合物(A)は、下記式(1)で表される光硬化性化合物(a−1)を含む。
Figure 0006163801
式(1)中、R1は炭素数26〜54の脂肪族炭化水素基である。
光硬化性化合物(a−1)は、以下の範囲にあれば、本発明の効果を有するより好ましい光硬化組成物および硬化膜を得ることができる。
前記R1は、不飽和脂肪酸から得られたダイマー酸由来の基であることが好ましい。前記不飽和脂肪酸としては、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サビエン酸、オレイン酸、エライジン酸、ステアロール酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ビノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ−γ−リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、セトレイン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸およびニシン酸からなる群より選択される1種以上の化合物が好ましい。
前記R1は、下記式(2)〜(7)のいずれかで表される基、またはこれらの基中の一部もしくはすべての不飽和結合が単結合である基であることがさらに好ましい。
Figure 0006163801
式(2)〜(7)中、m、n、pおよびqは、それぞれ独立に0〜15の整数である。ただし、m、n、pおよびqは、式(2)〜(7)それぞれにおける炭素数の合計が26〜54となるような整数である。
光硬化性化合物(a−1)の具体例として、下記式(8)〜(25)で表わされる化合物が挙げられる。なお、以下において、式(8)で表わされる化合物を「化合物(8)」と称し、他の式で表わされる化合物についても同様に称することがある。
Figure 0006163801
Figure 0006163801
Figure 0006163801
光硬化性化合物(A)における光硬化性化合物(a−1)の含有量は、光硬化性化合物(A)全量に対して、好ましくは30〜100重量%、より好ましくは40〜95重量%、特に好ましくは45〜90重量%である。このような含有量の範囲であれば、上述した本発明の効果を得ることができる。光硬化性化合物(a−1)は、1種であっても、2種以上の混合物であってもよい。
なお、光硬化性化合物(a−1)は、米国特許公報7208566号公報を参考にして合成することができる。
[光硬化性化合物(a−2)]
光硬化性化合物(A)は、光硬化性化合物(a−1)以外の光硬化性化合物(以下「光硬化性化合物」(a−2)という。)を含んでもよい。
光硬化性化合物(a−2)としては、ラジカル重合性モノマーが挙げられる。ラジカル重合性モノマーは、ラジカル重合しうるモノマーであれば、特に限定されない。
前記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、γ−ブチロラクトン(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキシルジメタノールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、(メタ)アクリル酸およびブチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
これらの中では、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、(メタ)アクリル酸およびブチル(メタ)アクリレートが、光硬化性化合物(a−1)との混和性および印刷性に優れるため好ましい。
光硬化性化合物(A)における光硬化性化合物(a−2)の含有量は、光硬化性化合物(A)全量に対して、好ましくは0〜70重量%、より好ましくは5〜60重量%、特に好ましくは10〜55重量%である。光硬化性化合物(a−2)は、1種であっても、2種以上の混合物であってもよい。
本発明に用いられる光硬化性組成物において、光硬化性化合物(A)の含有量は、本発明の効果を有する硬化膜を得る観点および光硬化性組成物の粘度を適切に調整する観点から、成分(A)〜(D)の総量に対して、通常、1〜99重量%、好ましくは9〜91重量%、より好ましくは17〜77重量%である。
≪溶媒(B)≫
本発明に用いられる光硬化性組成物が溶媒(B)を含有することにより、粘度調整ができ、インクジェット法、グラビア法、スピンコート法、ディップコート法、スクリーン法、フレキソ法等、様々な印刷法に対応できる。粘度は特に制限されないが、所望する印刷法に適した粘度に調製することが重要である。
溶媒(B)は、特に限定されないが、沸点100℃以上であることが好ましい。沸点が100℃以上であれば、インクジェット時に組成物の乾燥を防ぐことができる。
沸点が100℃以上である好ましい溶媒(B)の例としては、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、乳酸エチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ジオキサン、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸i−プロピル、2−ヒドロキシイソ酪酸i−ブチル、2−ヒドロキシイソ酪酸n−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トルエン、キシレン、アニソール、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンおよびジメチルイミダゾリジノンが挙げられる。
これらの中でも、光硬化性化合物(a−1)との混和性に優れることから、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールメチルエチルエーテルおよびシクロペンタノンがより好ましい。
本発明に用いられる光硬化性組成物において、溶媒(B)の含有量は、光硬化性組成物の粘度を適切に調整する観点から、成分(A)〜(D)の総量に対して、通常、1〜99重量%、好ましくは9〜91重量%、より好ましくは23〜83重量%である。溶媒(B)は、1種であっても、2種以上の混合物であってもよい。
光硬化性組成物の粘度は、例えば、インクジェット法により塗布を行う場合、吐出精度を高くする観点から、好ましくは3〜300mPa・s、より好ましくは5〜200mPa・s、特に好ましくは10〜150mPa・sである。なお、本明細書において「粘度」とは、JIS K−7117−2に準拠してE型粘度計(東機産業(株)製 TV−22)を用いて測定した25℃における粘度である。
≪界面活性剤(C)≫
界面活性剤(C)としては、例えば、ポリフローNo.45、ポリフローKL−245、ポリフローNo.75、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95(商品名、共栄社化学工業(株)製)、ディスパーベイク(Disperbyk)161、ディスパーベイク162、ディスパーベイク163、ディスパーベイク164、ディスパーベイク166、ディスパーベイク170、ディスパーベイク180、ディスパーベイク181、ディスパーベイク182、BYK300、BYK306、BYK310、BYK320、BYK330、BYK342、BYK344、BYK346(商品名、ビックケミー・ジャパン(株)製)、KP−341、KP−358、KP−368、KF−96−50CS、KF−50−100CS(商品名、信越化学工業(株)製)、サーフロンSC−101、サーフロンKH−40(商品名、セイミケミカル(株)製)、フタージェント222F、フタージェント251、FTX−218(商品名、(株)ネオス製)、EFTOP EF−351、EFTOP EF−352、EFTOP EF−601、EFTOP EF−801、EFTOP EF−802(商品名、三菱マテリアル(株)製)、メガファックF−470、メガファックF−471、メガファックF−475、メガファックR−08、メガファックF-477、メガファックF-479、メガファックF-553、メガファックF-554(商品名、DIC(株)製)、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオルアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンオレエート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩およびアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩を挙げることができる。
また、界面活性剤(C)が反応性基を少なくとも1つ含有する化合物であると、光硬化性組成物の硬化性が向上するため好ましい。そのような反応性基としては、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基(オキシラン基)およびオキセタニル基からなる群より選ばれる少なくとも1つの基であることが、硬化性の高い光硬化性組成物を得る観点から好ましい。
反応性基として(メタ)アクリロイル基を有する界面活性剤の具体例としては、RS−72K(商品名、DIC(株)製)、BYK UV3500、BYK UV3510、BYK UV3570(商品名、ビックケミー・ジャパン(株)製)、TEGO Rad2200N、TEGO Rad2250、TEGO Rad3500、TEGO Rad3570(商品名、エボニック デグサ ジャパン(株)製)等を挙げることができる。また、反応性基としてエポキシ基を有する界面活性剤としては、RS−211K(商品名、DIC(株)製)等を挙げることができる。
本発明に用いられる光硬化性組成物において、界面活性剤(C)の含有量は、光硬化性組成物の硬化性を向上させる観点から、成分(A)〜(D)の総量に対して、通常、0〜1重量%、好ましくは0〜0.8重量%である。界面活性剤(C)は、1種の化合物であっても、2種以上の化合物の混合物であってもよい。
≪その他の成分(D)≫
本発明に用いられる光硬化性組成物は、該組成物の吐出特性および保存安定性や、得られる硬化膜の耐久性等の向上のために、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分(D)を含むことができる。
その他の成分(D)としては、例えば、ポリアミック酸、ポリイミド、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、着色剤、重合禁止剤、アルカリ可溶性ポリマー、帯電防止剤、カップリング剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマーなどが挙げられる。これらの成分は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。
本発明に用いられる光硬化性組成物は、光重合開始剤(光ラジカル重合開始剤)を含まないことが好ましい。光重合開始剤を含まなければ、光重合開始剤の分解物による臭気や毒性が生じない。光重合開始剤を含まなくても、光硬化(光重合)が可能である理由としては、光照射により光硬化性化合物(a−1)のマレイミド部分において、光二量化反応が起きてマレイミド同士が結合されること、および/または、マレイミド環上にラジカルが発生することによるラジカル重合の可能性が考えられる。
<光硬化性組成物の調製>
本発明に用いられる光硬化性組成物は、原料となる成分(A)、成分(B)ならびに必要に応じて成分(C)および/または成分(D)を公知の方法により混合することで調製することができる。混合して得られた溶液は、塗布の際の吐出安定性の観点から、さらにろ過して脱気することがより好ましい。前記ろ過には、例えば、フッ素樹脂製のメンブレンフィルターなどが用いられる。
<硬化膜の形成>
≪光硬化≫
本発明に用いられる光硬化性組成物に、紫外線、可視光線等の放射線を照射することで第一硬化膜を得ることができる。これは、他の光硬化性組成物を含む、式(1)の化合物において、280nm〜500nmの光の照射によって、二重結合の部分が重合反応し、硬化膜を得ることができるということである。照射する放射線の波長は、特に限定されないが、十分に硬化させる観点から、好ましくは280〜500nm、より好ましくは300〜450nmである。照射する放射線の量は光硬化性組成物の組成に依存するが、照射する放射線として紫外線を用いた場合、露光量は、ウシオ電機(株)製の受光器「UVD−365PD」(商品名)を取り付けた積算光量計「UIT−201」(商品名)で測定して、好ましくは100〜3,000mJ/cm2程度、より好ましくは1,500〜2,500mJ/cm2である。このようにして得られる第一硬化膜は、十分硬化し、膜表面のべたつきが消失する。
上記のようにして得られた第一硬化膜の表面は、光硬化性化合物(a−1)によって高度に撥インク化されている。第一硬化膜表面の25℃における純水の接触角は、通常80度以上であり、好ましくは80〜110度、より好ましくは90〜110度である。なお、本明細書における接触角は、協和界面化学(株)製の接触角計「DropMaster500」(商品名)を用いて、25℃における水滴(純水)着弾1秒後の値を計測したものである。
≪親インク部の作製≫
得られた第一硬化膜の必要な部分にさらに紫外線を照射することによって、紫外線が照射された部分の親インク化がなされた第二硬化膜が得られる。これは、得られた硬化膜に、よりエネルギーが高い低波長の光を照射することにより、得られた硬化膜という重合体の構造や配列を変化させ、親インク化ができるということである。照射する紫外線の波長は、特に限定されないが、十分に親インク化する観点から、好ましくは150〜280nm、より好ましくは170〜280nmである。露光量は、光硬化性組成物の組成に依存するが、(株)カスタム製の紫外線強度計「UVC−254」(商品名)で測定して、好ましくは100〜3,000mJ/cm2、より好ましくは500〜2000mJ/cm2である。このようにして得られる第二硬化膜は、未照射部分は撥インク性が保たれ、照射された部分が親インク化するため、照射された部分にインク液滴を載せた場合の濡れ広がりが良好となる。
上記のようにして、必要な部分に紫外線照射することによって、膜上に撥インク部と親インク部が混在する。本発明の第二硬化膜における撥インク部と親インク部の25℃における純水の接触角の差(以下「接触角差」ともいう。)は、好ましくは40度以上であり、より好ましくは40〜60度であり、特に好ましくは45〜60度である。この範囲であれば、インクの塗りわけが良好である。なお、接触角差は下記式(e)により求められる。
式(e);接触角差(度)=撥インク部の接触角(度)−親インク部の接触角(度)
このような膜の親インク部のみ、または全体にインク材料を塗布することにより、インク材料が撥インク部には残らず、親インク部に集積するため、インクのパターン形成が容易となる。このようにしてパターン形成された膜は、必要に応じてさらに乾燥してもよい。
<硬化膜の特性>
≪膜厚≫
本発明の第二硬化膜の膜厚は、本発明の効果が得られるものであれば特に限定はされず、使用目的に応じて適宜調整すればよいが、通常0.1〜100μm、好ましくは0.5〜20μm、より好ましくは1〜10μmである。なお、膜厚は、KLA−Tencor Japan(株)製の触針式膜厚計「P−15」(商品名)を使用して、前記硬化膜の3箇所を測定した時の平均値である。
≪透明膜≫
本発明の第二硬化膜は、透明膜であることが好ましい。透明膜であれば、液晶表示素子の構成材料として使用することができる。本明細書において「透明膜」とは、可視光(波長380−780nm)の光透過率が95%以上である膜をいい、より具体的には、日本電子(株)製の透過率測定装置「V−670」(商品名)を用いて測定した時、波長400nmの光透過率が95%以上である膜をいう。第二硬化膜の光透過率は97%以上であることが、上記使用の観点から好ましい。
≪絶縁膜≫
本発明の第二硬化膜は、絶縁膜であることが好ましい。絶縁膜であれば、電子部品の積層パターン回路の構成材料として使用することができる。本明細書において「絶縁膜」とは、(株)エーディーシー製の抵抗率計「R8340」(商品名)を用いて、JIS−K−6911に準拠して測定した体積抵抗率が、1.0×1014Ω・cm以上である膜をいう。本発明において、絶縁膜の体積抵抗率は、1.0×1014Ω・cm以上であることが好ましく、1.0×1015Ω・cm以上であることがより好ましい。
<基板への塗布>
本発明に用いられる光硬化性組成物は、一般的に知られている塗布方法により基板上に塗布することができる。そのような塗布方法としては、例えば、スピンコート、ディップコート、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷などが挙げられる。
本発明に用いられる光硬化性組成物は、基板上に塗布後、光硬化を行う前に、乾燥させることが好ましい。乾燥させる方法は特に限定されないが、ホットプレート上や、オーブンなどで行なうことが好ましい。また、50〜120℃の温度範囲で、1〜30分乾燥させると、溶媒が効果的に蒸発し、表面のべたつきが少ない膜を得ることができる。
また、必要に応じて基板の表面に塗布され、光照射された光硬化組成物をさらに加熱・焼成してもよい。加熱温度は基板の材質にもよるが、120〜250℃で、10〜60分間加熱することが好ましい。
なお、本明細書中、「基板」は、本発明の光硬化性組成物が塗布される対象となり得るものであれば、特に限定されず、その形状は平板状に限られず、曲面状であってもよい。
また、使用できる基板の材質は特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスチックフィルム、セロハン、アセテート、金属箔、ポリイミドと金属箔の積層フィルム、目止め効果があるグラシン紙、パーチメント紙、あるいはポリエチレン、クレーバインダー、ポリビニルアルコール、でんぷん、カルボキシルメチルセルロース(CMC)などで目止め処理した紙、ガラスなどを挙げることができる。なお、これらの基板を構成する物質には、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲において、さらに、顔料、染料、酸化防止剤、劣化防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤および電波防止剤等の添加剤を含んでもよい。
前記基板の厚さは、特に限定されないが、通常10μm〜2mm程度であり、使用する目的により適宜調整されるが、20μm〜1.5mmが好ましく、50μm〜1mmがさらに好ましい。上記の基板の硬化膜を形成する面には、必要によりコロナ処理、プラズマ処理、ブラスト処理等の易接着処理を施したり、易接着層を設けたりしてもよい。
<電子部品>
本発明の電子部品は、前述した本発明の第二硬化膜を有する。本発明の電子部品としては、例えば、液晶表示素子、EL表示素子、プリント配線基板が挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
[光硬化性化合物(a−1)の合成]
光硬化性化合物(a−1)は、US7208566号公報を参考にして、合成した。
<合成例1>
1Lの四つ口フラスコにトルエン200mLを投入し、トリエチルアミン38.45g(0.38mol)を加え、攪拌しながらメタンスルホン酸37.44g(0.39mol)をゆっくり滴下した。30分間攪拌した後、無水マレイン酸25.90g(0.26mol)を加え、ダイマージアミンであるCRODA社製「プリアミン 1074」(商品名)56.98g(0.11mol)をゆっくり滴下した。室温下で30分間攪拌した後、加熱し、トルエン還流をしながら、水分留器で反応中に生成した水を分離させた。8時間毎に、一旦40℃まで冷却し、メタンスルホン酸5.00g(0.05mol)を追加投入した。再び加温し、トルエン還流をしながら、水の除去を行った。取得した水の量が理論値3.96gに達した後、加温を止め、液温が40℃以下になるまで冷却した。反応液にトルエン100mLを投入し、室温で10〜15分間攪拌後、終夜放置し、塩と生成物を分液させた。下層の塩を100mLのトルエンにて洗浄した。この洗浄を2回行った。下層の塩を洗浄した際の上澄みを生成物溶液と混合し、得られた混合液を100mLの食塩水にて洗浄した。この洗浄を2回行った。洗浄後の生成物溶液を30gのシリカゲルにてろ過した後、減圧でトルエンを除去することにより、褐色粘性液体56.8gが得られた(理論収量78.9gに対して収率72%)。トルエンが除去されたことをガスクロマトグラフィーで確認した。得られた生成物は化合物(11)を主成分とするビスマレイミド化合物であった。
<合成例2>
CRODA社製「プリアミン 1074」(商品名)の代わりに、ジアミン化合物であるハンツマン社製「ジェファーミン D−400」(商品名)47.3gを使用したこと以外は、合成例1と同様の方法で、下記式(26)で表わされるビスマレイミド化合物29.2gを得た(理論収量64.9gに対して収率45%)。合成例1と同様に、トルエンが除去されたことをガスクロマトグラフィーで確認した。
Figure 0006163801
[光硬化性組成物の調製]
(粘度の測定)
光硬化性組成物の粘度の測定は、東機産業(株)製E型粘度計「TV−22」(商品名)を用いて、JIS K−7117−2に準拠して、温度25℃にて測定した。
<調製例1>
光硬化性化合物(a−1)として、合成例1で得られたビスマレイミド化合物5.0g、光硬化性化合物(a−2)として、4−ヒドロキシブチルアクリレート5.0g、および溶媒(B)としてジエチレングリコールメチルエチルエーテル(以下「EDM」という。)20.0gを混合溶解した後、フッ素樹脂製のメンブレンフィルター(0.5μm)でろ過することにより、光硬化性組成物1を得た。得られた光硬化性組成物1の粘度は10mPa・sであった。
<調製例2>
光硬化性化合物(a−1)として、合成例1で得られたビスマレイミド化合物5.0g、光硬化性化合物(a−2)としてEO変性ビスフェノールAジメタクリレート(日立化成工業(株)製「FA−321M」(商品名))5.0g、溶媒(B)としてEDM20.0gを用いたこと以外は、調製例1と同様にして光硬化性組成物2を得た。得られた光硬化性組成物2の粘度は11mPa・sであった。
<調製例3>
光硬化性化合物(a−1)として、合成例1で得られたビスマレイミド化合物5.0g、光硬化性化合物(a−2)として、EO変性ビスフェノールFジアクリレート(東亞合成(株)製「M208」(商品名))5.0g、および溶媒(B)としてEDM20.0gを用いたこと以外は、調製例1と同様にして光硬化性組成物3を得た。得られた光硬化性組成物3の粘度は12mPa・sであった。
<比較調製例1>
配合成分および配合量を、ブチルメタクリレート1.3g、シクロヘキシルメタクリレート2.0g、ジシクロペンタニルアクリレート(日立化成工業(株)製「FA−513AS」(商品名))2.0g、テトラヒドロフルフリルメタクリレート1.0g、東亞合成(株)製「アロニックスM208」(商品名)2.5g、およびBASF社製「イルガキュア379」(商品名)1.6gに変更したこと以外は、調製例1と同様にして光硬化性組成物4を得た。得られた光硬化性組成物4の粘度は12mPa・sであった。
<比較調製例2>
配合成分および配合量を、東亞合成(株)製「アロニックスM309」(商品名)4.75g、東亞合成(株)製「アロニックスM450」(商品名)1.75g、ブチルメタクリレート4.0g、およびBASF社製「LucirinTPO」(商品名)1.65gに変更したこと以外は、調製例1と同様にして光硬化性組成物5を得た。得られた光硬化性組成物5の粘度は10mPa・sであった。
<比較調製例3>
配合成分および配合量を、合成例2で得られたビスマレイミド化合物(26)5.0g、東亞合成(株)製「アロニックスM208」(商品名)5.0g、およびEDM20.0gに変更したこと以外は、調製例1と同様にして光硬化性組成物6を得た。得られた光硬化性組成物6の粘度は11mPa・sであった。
<比較調製例4>
配合成分および配合量を、ケイ・アイ化成(株)製「ビスマレイミドBMI−70」(商品名)5.0g、東亞合成(株)製「アロニックスM208」(商品名)5.0g、およびEDM20.0gに変更したこと以外は、調製例1と同様にして光硬化性組成物7を得た。得られた光硬化性組成物7の粘度は8mPa・sであった。
[実施例1〜3および比較例1〜4]
上記調製例1〜3および比較調製例1〜4で得られた各光硬化性組成物を、スピンコーターで、膜厚が2μmになるように回転数を調整して、コーニング社製ガラス基板「EAGLE XG」(商品名、厚さ0.7mm)上に塗布した。次いで、光硬化性組成物が塗布された基板を、ホットプレート上で、100℃で2分間乾燥後、下記条件で放射線照射することにより、第一硬化膜を有する試験基板を作製した。
(放射線照射の条件)
露光装置:(株)トプコン製「TME−400PRC」(商品名)
露光光源:超高圧水銀灯(300nm未満の紫外線はカット)
露光量:2000mJ/cm2 (ウシオ電機(株)製の受光器「UVD−365PD」(商品名)を取り付けた積算光量計「UIT−201」(商品名)で測定)
得られた第一硬化膜を有する試験基板を用いて、ラインアンドスペース幅50μmのメタルマスクを介して、下記条件で紫外線光照射を行い、親インク部を形成した第二硬化膜を有する試験基板を作製した。
(親インク部の作製条件)
紫外線照射装置:セン特殊光源(株)製「PHOTO SURFACE PROCESSOR PL2003N−12」(商品名)
露光光源:低圧水銀灯
露光量:1050mJ/cm2((株)カスタム製の紫外線強度計「UVC−254」(商品名)で測定)
なお、親インク部形成(紫外線照射)前後の水接触角を、本明細書中に記載した方法で測定した。
<評価>
得られた第二硬化膜を有する基板について、下記特性の測定および評価を行った。結果を表1に示す。
(膜厚)
KLA−Tencor Japan(株)製「触針式膜厚計P−15」(商品名)を用いて、第二硬化膜の3箇所を測定し、その平均値を膜厚とした。
(誘電率)
第二硬化膜の誘電率を、アジレントテクノロジー社製「LCRメーター4284A」(商品名)を使用し、第二硬化膜の上下に電極を作製して、測定周波数1MHzで測定した。
(体積抵抗率)
第二硬化膜の体積抵抗率を、アジレントテクノロジー社製抵抗率計「E4980A」(商品名)を用いて、JIS−K−6911に準拠して、25℃にて測定した。
(光透過率)
第二硬化膜の光透過率を、日本電子(株)製透過率測定装置「V−670」(商品名)を用いて、波長400nmの条件で測定した。
(パターンインク幅)
第二硬化膜上に、アクリルモノマーである2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を、インクジェット法で塗布し、形成されたラインアンドスペースの幅を測定した。インクジェット法による塗布は、FUJIFILM Dimatix社製印刷装置「DMP−2831」(商品名)を用い、ヘッド温度(30℃)、ピエゾ電圧(20V)、駆動周波数(5kHz)の条件で行った。
Figure 0006163801
表1中、HEMAのパターン幅における「‐」は、設定した親インク部からインクが溢れたことを示す。これは、親インク部が形成されていないということである。
表1に示すように、実施例の硬化膜は、比較例に比べ、紫外線照射前の水接触角が高く、かつ紫外線照射前後での接触角差が大きかった。また、紫外線照射により所望の親インク部が適切に形成されていた。さらに、比較例に比べ、より高い体積抵抗率および同等の低い誘電率を示した。
以上から明らかなように、本発明の硬化膜は、光硬化により高い撥インク性を示し、紫外線照射により親インク部を容易に形成でき、かつ、撥インク部と親インク部との親インク性の差が大きい。したがって、親インク部に選択的にインクが載るため、インクの塗り分けが良く、精細な回路パターン形成(パターニング)が容易にできる。また、体積抵抗率も高く、誘電率が低い絶縁膜材料として有効に利用できる。

Claims (10)

  1. (I)下記式(1)で表される化合物を含む光硬化性化合物および溶媒を含有する光硬化性組成物に、波長280nm〜500nmの放射線を照射して硬化膜を形成する工程と
    (II)工程(I)で形成された硬化膜に、波長150nm〜280nmの紫外線を照射して膜表面に親インク部を形成する工程と
    を含む、膜表面に親インク部が形成された硬化膜の形成方法
    Figure 0006163801
    [式(1)中、R1は炭素数26〜54の脂肪族炭化水素基である。]
  2. 光硬化性組成物が、さらにラジカル重合性モノマーを含有する、請求項1に記載の硬化膜の形成方法
  3. ラジカル重合性モノマーが、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、(メタ)アクリル酸およびブチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項2に記載の硬化膜の形成方法
  4. 式(1)におけるR1が、不飽和脂肪酸から得られたダイマー酸由来の基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化膜の形成方法
  5. 不飽和脂肪酸が、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、ステアロール酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ−γ−リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、セトレイン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸およびニシン酸からなる群より選択される1種以上の化合物である、請求項4に記載の硬化膜の形成方法
  6. 式(1)におけるR1が、下記式(2)〜(7)のいずれかで表される基、または、これらの基中の一部もしくはすべての不飽和結合が単結合である基である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化膜の形成方法
    Figure 0006163801
    [式(2)〜(7)中、m、n、pおよびqは、それぞれ独立に0〜15の整数である。ただし、m、n、pおよびqは、式(2)〜(7)それぞれにおける炭素数の合計が26〜54となるような整数である。]
  7. 光硬化性組成物が光重合開始剤を含有しない、請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化膜の形成方法
  8. 硬化膜が透明膜である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬化膜の形成方法
  9. 硬化膜が絶縁膜である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の硬化膜の形成方法
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の硬化膜の形成方法含む電子部品の製造方法
JP2013050381A 2013-03-13 2013-03-13 硬化膜 Expired - Fee Related JP6163801B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013050381A JP6163801B2 (ja) 2013-03-13 2013-03-13 硬化膜

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013050381A JP6163801B2 (ja) 2013-03-13 2013-03-13 硬化膜

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014177505A JP2014177505A (ja) 2014-09-25
JP6163801B2 true JP6163801B2 (ja) 2017-07-19

Family

ID=51697805

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013050381A Expired - Fee Related JP6163801B2 (ja) 2013-03-13 2013-03-13 硬化膜

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6163801B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6702319B2 (ja) * 2015-06-09 2020-06-03 日産化学株式会社 インクジェット塗布用膜形成用組成物
JP2020172600A (ja) * 2019-04-12 2020-10-22 岩崎電気株式会社 硬化方法、及び硬化システム

Family Cites Families (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH083463A (ja) * 1994-06-24 1996-01-09 Matsushita Electric Ind Co Ltd 光応答性高分子材料の製造法
JP3539609B2 (ja) * 1997-07-10 2004-07-07 株式会社リコー 画像形成方法とこれに用いるインキ及び光極性変換記録体
JPH11106455A (ja) * 1997-10-06 1999-04-20 Hitachi Chem Co Ltd 樹脂ペースト組成物及びこれを用いた半導体装置
JP4900632B2 (ja) * 2000-08-30 2012-03-21 Dic株式会社 光配向膜用材料、光配向膜及びその製造方法
JP4803412B2 (ja) * 2001-03-14 2011-10-26 Dic株式会社 マレイミド誘導体を含有する光配向材料及び光配向膜の製造方法
JP4756296B2 (ja) * 2001-03-14 2011-08-24 Dic株式会社 マレイミド誘導体及びそれを用いた光配向膜の製造方法
JP4056036B2 (ja) * 2002-02-21 2008-03-05 株式会社リコー 画像形成方法
JP2005134743A (ja) * 2003-10-31 2005-05-26 Nitto Denko Corp 硬化型フォトレジストとこれを用いる画像形成方法
TWI391424B (zh) * 2005-01-12 2013-04-01 Taiyo Holdings Co Ltd A hardened resin composition for inkjet and a hardened product thereof, and a printed circuit board using the same
JP5132088B2 (ja) * 2006-06-09 2013-01-30 キヤノン株式会社 液体組成物の製造方法、画像形成方法および画像形成装置
JP5317611B2 (ja) * 2008-09-25 2013-10-16 株式会社東芝 感光性組成物、およびそれを用いたパターン形成方法
JP5549555B2 (ja) * 2010-11-16 2014-07-16 Jnc株式会社 硬化性組成物
JP5895732B2 (ja) * 2011-07-01 2016-03-30 Jnc株式会社 熱硬化性インク組成物およびその用途
JP2013213157A (ja) * 2012-04-03 2013-10-17 Jnc Corp 樹脂組成物および該樹脂組成物からなる樹脂膜

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014177505A (ja) 2014-09-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101098529B1 (ko) 고경도 하드코팅 필름 조성물
EP2738226B1 (en) Photocurable ink jet ink and electronic circuit board
TWI598413B (zh) 噴墨用硬化性組合物及電子零件之製造方法
JP5727623B2 (ja) インクジェット用硬化性組成物及び電子部品の製造方法
JP5617201B2 (ja) 光硬化性インクジェット用インク
WO2012039379A1 (ja) インクジェット用硬化性組成物及び電子部品の製造方法
TWI518105B (zh) A hardening composition for inkjet and a method for manufacturing an electronic component
KR101992154B1 (ko) 광경화성 잉크젯 잉크, 표면 발액성 경화막, 마이크로렌즈 및 이의 형성 방법, 광학 부품 및 영상 표시 장치
JP2014132066A (ja) 硬化性組成物およびその用途
JP2011132349A (ja) インクジェット用インク
WO2017217243A1 (ja) エポキシ(メタ)アクリレート樹脂及びレジスト部材
JP5799144B2 (ja) インクジェット用硬化性組成物及び電子部品の製造方法
JP2012087298A (ja) インクジェット用硬化性組成物及び電子部品の製造方法
JP2019139091A (ja) 感光性組成物
JP6163801B2 (ja) 硬化膜
TW201510055A (zh) 熱硬化性樹脂組成物、硬化膜、帶硬化膜基板及電子零件
JP5652725B2 (ja) 透明膜形成用インクジェット組成物及びその製造方法
JP5862901B2 (ja) 光硬化性インクジェット用インク
JP5504769B2 (ja) 重合性組成物
JP2008133336A (ja) インクジェット用インクおよび当該インクにより得られる硬化膜形成方法
TWI557143B (zh) 活性能量線硬化性組成物、使用其的活性能量線硬化性塗料及活性能量線硬化性印刷墨水
TWI610990B (zh) 噴墨用硬化性組合物及電子零件之製造方法
JP5435054B2 (ja) インクジェット用インクおよび当該インクにより得られる硬化膜形成方法
JP7405632B2 (ja) 組成物、硬化物、硬化物の製造方法
JP2016035058A (ja) 樹脂組成物、それから形成される有機膜、及びそれを用いた電子部品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160219

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161024

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161108

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161205

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170523

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170605

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6163801

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees