JP6163801B2 - 硬化膜 - Google Patents
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Description
[3]ラジカル重合性モノマーが、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、(メタ)アクリル酸およびブチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1つである、項[2]に記載の硬化膜。
[5]不飽和脂肪酸が、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、ステアロール酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ−γ−リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、セトレイン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸およびニシン酸からなる群より選択される1種以上の化合物である、項[4]に記載の硬化膜。
[8]硬化膜が透明膜である、項[1]〜[7]のいずれか一項に記載の硬化膜。
[10](I)項[1]に記載の光硬化性組成物に、波長250nm〜500nmの放射線を照射して、硬化膜を形成する工程と、
(II)工程(I)で形成された硬化膜に、波長150nm〜300nmの紫外線を照射して、膜表面に親インク部を形成する工程と
を含む、膜表面に親インク部が形成された硬化膜の形成方法。
[11]項[1]〜[9]のいずれか一項に記載の硬化膜を有する電子部品。
なお、本明細書において、ベタ膜とは、基板表面全面が電子部品を構成する材料(インク等)によって覆われている膜を表し、パターン膜とは、基板表面が露出している箇所と電子部品を構成する材料(インク等)によって覆われている箇所とが混在している場合における、前記材料から形成されている膜をいう。また、インクとは、種々の印刷手法を利用して回路パターンを描画する際に用いられる溶液であって、電子部品を構成する導体および半導体等の材料を溶解または分散等させて含む溶液をいう。また、放射線とは、赤外線、可視光線、紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等の電磁波および粒子線をいう。
本発明に用いられる光硬化性組成物は、光硬化性化合物(A)および溶媒(B)を含む。さらに、必要に応じて界面活性剤(C)やその他の成分(D)を含んでもよい。以下において、光硬化性化合物(A)、溶媒(B)、界面活性剤(C)及びその他の成分(D)を、それぞれ成分(A)、成分(B)、成分(C)及び成分(D)と称することがある。
〔光硬化性化合物(a−1)〕
光硬化性化合物(A)は、下記式(1)で表される光硬化性化合物(a−1)を含む。
前記R1は、不飽和脂肪酸から得られたダイマー酸由来の基であることが好ましい。前記不飽和脂肪酸としては、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サビエン酸、オレイン酸、エライジン酸、ステアロール酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ビノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ−γ−リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、セトレイン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸およびニシン酸からなる群より選択される1種以上の化合物が好ましい。
光硬化性化合物(A)は、光硬化性化合物(a−1)以外の光硬化性化合物(以下「光硬化性化合物」(a−2)という。)を含んでもよい。
前記ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、γ−ブチロラクトン(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキシルジメタノールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、(メタ)アクリル酸およびブチル(メタ)アクリレートを挙げることができる。
本発明に用いられる光硬化性組成物が溶媒(B)を含有することにより、粘度調整ができ、インクジェット法、グラビア法、スピンコート法、ディップコート法、スクリーン法、フレキソ法等、様々な印刷法に対応できる。粘度は特に制限されないが、所望する印刷法に適した粘度に調製することが重要である。
沸点が100℃以上である好ましい溶媒(B)の例としては、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、乳酸エチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ジオキサン、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸i−プロピル、2−ヒドロキシイソ酪酸i−ブチル、2−ヒドロキシイソ酪酸n−ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トルエン、キシレン、アニソール、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンおよびジメチルイミダゾリジノンが挙げられる。
界面活性剤(C)としては、例えば、ポリフローNo.45、ポリフローKL−245、ポリフローNo.75、ポリフローNo.90、ポリフローNo.95(商品名、共栄社化学工業(株)製)、ディスパーベイク(Disperbyk)161、ディスパーベイク162、ディスパーベイク163、ディスパーベイク164、ディスパーベイク166、ディスパーベイク170、ディスパーベイク180、ディスパーベイク181、ディスパーベイク182、BYK300、BYK306、BYK310、BYK320、BYK330、BYK342、BYK344、BYK346(商品名、ビックケミー・ジャパン(株)製)、KP−341、KP−358、KP−368、KF−96−50CS、KF−50−100CS(商品名、信越化学工業(株)製)、サーフロンSC−101、サーフロンKH−40(商品名、セイミケミカル(株)製)、フタージェント222F、フタージェント251、FTX−218(商品名、(株)ネオス製)、EFTOP EF−351、EFTOP EF−352、EFTOP EF−601、EFTOP EF−801、EFTOP EF−802(商品名、三菱マテリアル(株)製)、メガファックF−470、メガファックF−471、メガファックF−475、メガファックR−08、メガファックF-477、メガファックF-479、メガファックF-553、メガファックF-554(商品名、DIC(株)製)、フルオロアルキルベンゼンスルホン酸塩、フルオルアルキルカルボン酸塩、フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル、フルオロアルキルアンモニウムヨージド、フルオロアルキルベタイン、フルオロアルキルスルホン酸塩、ジグリセリンテトラキス(フルオロアルキルポリオキシエチレンエーテル)、フルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、フルオロアルキルアミノスルホン酸塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンオレエート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンラウリルアミン、ソルビタンラウレート、ソルビタンパルミテート、ソルビタンステアレート、ソルビタンオレエート、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンオレエート、ポリオキシエチレンナフチルエーテル、アルキルベンゼンスルホン酸塩およびアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩を挙げることができる。
本発明に用いられる光硬化性組成物は、該組成物の吐出特性および保存安定性や、得られる硬化膜の耐久性等の向上のために、本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分(D)を含むことができる。
本発明に用いられる光硬化性組成物は、原料となる成分(A)、成分(B)ならびに必要に応じて成分(C)および/または成分(D)を公知の方法により混合することで調製することができる。混合して得られた溶液は、塗布の際の吐出安定性の観点から、さらにろ過して脱気することがより好ましい。前記ろ過には、例えば、フッ素樹脂製のメンブレンフィルターなどが用いられる。
≪光硬化≫
本発明に用いられる光硬化性組成物に、紫外線、可視光線等の放射線を照射することで第一硬化膜を得ることができる。これは、他の光硬化性組成物を含む、式(1)の化合物において、280nm〜500nmの光の照射によって、二重結合の部分が重合反応し、硬化膜を得ることができるということである。照射する放射線の波長は、特に限定されないが、十分に硬化させる観点から、好ましくは280〜500nm、より好ましくは300〜450nmである。照射する放射線の量は光硬化性組成物の組成に依存するが、照射する放射線として紫外線を用いた場合、露光量は、ウシオ電機(株)製の受光器「UVD−365PD」(商品名)を取り付けた積算光量計「UIT−201」(商品名)で測定して、好ましくは100〜3,000mJ/cm2程度、より好ましくは1,500〜2,500mJ/cm2である。このようにして得られる第一硬化膜は、十分硬化し、膜表面のべたつきが消失する。
得られた第一硬化膜の必要な部分にさらに紫外線を照射することによって、紫外線が照射された部分の親インク化がなされた第二硬化膜が得られる。これは、得られた硬化膜に、よりエネルギーが高い低波長の光を照射することにより、得られた硬化膜という重合体の構造や配列を変化させ、親インク化ができるということである。照射する紫外線の波長は、特に限定されないが、十分に親インク化する観点から、好ましくは150〜280nm、より好ましくは170〜280nmである。露光量は、光硬化性組成物の組成に依存するが、(株)カスタム製の紫外線強度計「UVC−254」(商品名)で測定して、好ましくは100〜3,000mJ/cm2、より好ましくは500〜2000mJ/cm2である。このようにして得られる第二硬化膜は、未照射部分は撥インク性が保たれ、照射された部分が親インク化するため、照射された部分にインク液滴を載せた場合の濡れ広がりが良好となる。
このような膜の親インク部のみ、または全体にインク材料を塗布することにより、インク材料が撥インク部には残らず、親インク部に集積するため、インクのパターン形成が容易となる。このようにしてパターン形成された膜は、必要に応じてさらに乾燥してもよい。
≪膜厚≫
本発明の第二硬化膜の膜厚は、本発明の効果が得られるものであれば特に限定はされず、使用目的に応じて適宜調整すればよいが、通常0.1〜100μm、好ましくは0.5〜20μm、より好ましくは1〜10μmである。なお、膜厚は、KLA−Tencor Japan(株)製の触針式膜厚計「P−15」(商品名)を使用して、前記硬化膜の3箇所を測定した時の平均値である。
本発明の第二硬化膜は、透明膜であることが好ましい。透明膜であれば、液晶表示素子の構成材料として使用することができる。本明細書において「透明膜」とは、可視光(波長380−780nm)の光透過率が95%以上である膜をいい、より具体的には、日本電子(株)製の透過率測定装置「V−670」(商品名)を用いて測定した時、波長400nmの光透過率が95%以上である膜をいう。第二硬化膜の光透過率は97%以上であることが、上記使用の観点から好ましい。
本発明の第二硬化膜は、絶縁膜であることが好ましい。絶縁膜であれば、電子部品の積層パターン回路の構成材料として使用することができる。本明細書において「絶縁膜」とは、(株)エーディーシー製の抵抗率計「R8340」(商品名)を用いて、JIS−K−6911に準拠して測定した体積抵抗率が、1.0×1014Ω・cm以上である膜をいう。本発明において、絶縁膜の体積抵抗率は、1.0×1014Ω・cm以上であることが好ましく、1.0×1015Ω・cm以上であることがより好ましい。
本発明に用いられる光硬化性組成物は、一般的に知られている塗布方法により基板上に塗布することができる。そのような塗布方法としては、例えば、スピンコート、ディップコート、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷などが挙げられる。
また、使用できる基板の材質は特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスチックフィルム、セロハン、アセテート、金属箔、ポリイミドと金属箔の積層フィルム、目止め効果があるグラシン紙、パーチメント紙、あるいはポリエチレン、クレーバインダー、ポリビニルアルコール、でんぷん、カルボキシルメチルセルロース(CMC)などで目止め処理した紙、ガラスなどを挙げることができる。なお、これらの基板を構成する物質には、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲において、さらに、顔料、染料、酸化防止剤、劣化防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤および電波防止剤等の添加剤を含んでもよい。
本発明の電子部品は、前述した本発明の第二硬化膜を有する。本発明の電子部品としては、例えば、液晶表示素子、EL表示素子、プリント配線基板が挙げられる。
[光硬化性化合物(a−1)の合成]
光硬化性化合物(a−1)は、US7208566号公報を参考にして、合成した。
1Lの四つ口フラスコにトルエン200mLを投入し、トリエチルアミン38.45g(0.38mol)を加え、攪拌しながらメタンスルホン酸37.44g(0.39mol)をゆっくり滴下した。30分間攪拌した後、無水マレイン酸25.90g(0.26mol)を加え、ダイマージアミンであるCRODA社製「プリアミン 1074」(商品名)56.98g(0.11mol)をゆっくり滴下した。室温下で30分間攪拌した後、加熱し、トルエン還流をしながら、水分留器で反応中に生成した水を分離させた。8時間毎に、一旦40℃まで冷却し、メタンスルホン酸5.00g(0.05mol)を追加投入した。再び加温し、トルエン還流をしながら、水の除去を行った。取得した水の量が理論値3.96gに達した後、加温を止め、液温が40℃以下になるまで冷却した。反応液にトルエン100mLを投入し、室温で10〜15分間攪拌後、終夜放置し、塩と生成物を分液させた。下層の塩を100mLのトルエンにて洗浄した。この洗浄を2回行った。下層の塩を洗浄した際の上澄みを生成物溶液と混合し、得られた混合液を100mLの食塩水にて洗浄した。この洗浄を2回行った。洗浄後の生成物溶液を30gのシリカゲルにてろ過した後、減圧でトルエンを除去することにより、褐色粘性液体56.8gが得られた(理論収量78.9gに対して収率72%)。トルエンが除去されたことをガスクロマトグラフィーで確認した。得られた生成物は化合物(11)を主成分とするビスマレイミド化合物であった。
CRODA社製「プリアミン 1074」(商品名)の代わりに、ジアミン化合物であるハンツマン社製「ジェファーミン D−400」(商品名)47.3gを使用したこと以外は、合成例1と同様の方法で、下記式(26)で表わされるビスマレイミド化合物29.2gを得た(理論収量64.9gに対して収率45%)。合成例1と同様に、トルエンが除去されたことをガスクロマトグラフィーで確認した。
(粘度の測定)
光硬化性組成物の粘度の測定は、東機産業(株)製E型粘度計「TV−22」(商品名)を用いて、JIS K−7117−2に準拠して、温度25℃にて測定した。
光硬化性化合物(a−1)として、合成例1で得られたビスマレイミド化合物5.0g、光硬化性化合物(a−2)として、4−ヒドロキシブチルアクリレート5.0g、および溶媒(B)としてジエチレングリコールメチルエチルエーテル(以下「EDM」という。)20.0gを混合溶解した後、フッ素樹脂製のメンブレンフィルター(0.5μm)でろ過することにより、光硬化性組成物1を得た。得られた光硬化性組成物1の粘度は10mPa・sであった。
光硬化性化合物(a−1)として、合成例1で得られたビスマレイミド化合物5.0g、光硬化性化合物(a−2)としてEO変性ビスフェノールAジメタクリレート(日立化成工業(株)製「FA−321M」(商品名))5.0g、溶媒(B)としてEDM20.0gを用いたこと以外は、調製例1と同様にして光硬化性組成物2を得た。得られた光硬化性組成物2の粘度は11mPa・sであった。
光硬化性化合物(a−1)として、合成例1で得られたビスマレイミド化合物5.0g、光硬化性化合物(a−2)として、EO変性ビスフェノールFジアクリレート(東亞合成(株)製「M208」(商品名))5.0g、および溶媒(B)としてEDM20.0gを用いたこと以外は、調製例1と同様にして光硬化性組成物3を得た。得られた光硬化性組成物3の粘度は12mPa・sであった。
配合成分および配合量を、ブチルメタクリレート1.3g、シクロヘキシルメタクリレート2.0g、ジシクロペンタニルアクリレート(日立化成工業(株)製「FA−513AS」(商品名))2.0g、テトラヒドロフルフリルメタクリレート1.0g、東亞合成(株)製「アロニックスM208」(商品名)2.5g、およびBASF社製「イルガキュア379」(商品名)1.6gに変更したこと以外は、調製例1と同様にして光硬化性組成物4を得た。得られた光硬化性組成物4の粘度は12mPa・sであった。
配合成分および配合量を、東亞合成(株)製「アロニックスM309」(商品名)4.75g、東亞合成(株)製「アロニックスM450」(商品名)1.75g、ブチルメタクリレート4.0g、およびBASF社製「LucirinTPO」(商品名)1.65gに変更したこと以外は、調製例1と同様にして光硬化性組成物5を得た。得られた光硬化性組成物5の粘度は10mPa・sであった。
配合成分および配合量を、合成例2で得られたビスマレイミド化合物(26)5.0g、東亞合成(株)製「アロニックスM208」(商品名)5.0g、およびEDM20.0gに変更したこと以外は、調製例1と同様にして光硬化性組成物6を得た。得られた光硬化性組成物6の粘度は11mPa・sであった。
配合成分および配合量を、ケイ・アイ化成(株)製「ビスマレイミドBMI−70」(商品名)5.0g、東亞合成(株)製「アロニックスM208」(商品名)5.0g、およびEDM20.0gに変更したこと以外は、調製例1と同様にして光硬化性組成物7を得た。得られた光硬化性組成物7の粘度は8mPa・sであった。
上記調製例1〜3および比較調製例1〜4で得られた各光硬化性組成物を、スピンコーターで、膜厚が2μmになるように回転数を調整して、コーニング社製ガラス基板「EAGLE XG」(商品名、厚さ0.7mm)上に塗布した。次いで、光硬化性組成物が塗布された基板を、ホットプレート上で、100℃で2分間乾燥後、下記条件で放射線照射することにより、第一硬化膜を有する試験基板を作製した。
露光装置:(株)トプコン製「TME−400PRC」(商品名)
露光光源:超高圧水銀灯(300nm未満の紫外線はカット)
露光量:2000mJ/cm2 (ウシオ電機(株)製の受光器「UVD−365PD」(商品名)を取り付けた積算光量計「UIT−201」(商品名)で測定)
得られた第一硬化膜を有する試験基板を用いて、ラインアンドスペース幅50μmのメタルマスクを介して、下記条件で紫外線光照射を行い、親インク部を形成した第二硬化膜を有する試験基板を作製した。
紫外線照射装置:セン特殊光源(株)製「PHOTO SURFACE PROCESSOR PL2003N−12」(商品名)
露光光源:低圧水銀灯
露光量:1050mJ/cm2((株)カスタム製の紫外線強度計「UVC−254」(商品名)で測定)
なお、親インク部形成(紫外線照射)前後の水接触角を、本明細書中に記載した方法で測定した。
得られた第二硬化膜を有する基板について、下記特性の測定および評価を行った。結果を表1に示す。
KLA−Tencor Japan(株)製「触針式膜厚計P−15」(商品名)を用いて、第二硬化膜の3箇所を測定し、その平均値を膜厚とした。
第二硬化膜の誘電率を、アジレントテクノロジー社製「LCRメーター4284A」(商品名)を使用し、第二硬化膜の上下に電極を作製して、測定周波数1MHzで測定した。
第二硬化膜の体積抵抗率を、アジレントテクノロジー社製抵抗率計「E4980A」(商品名)を用いて、JIS−K−6911に準拠して、25℃にて測定した。
第二硬化膜の光透過率を、日本電子(株)製透過率測定装置「V−670」(商品名)を用いて、波長400nmの条件で測定した。
第二硬化膜上に、アクリルモノマーである2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を、インクジェット法で塗布し、形成されたラインアンドスペースの幅を測定した。インクジェット法による塗布は、FUJIFILM Dimatix社製印刷装置「DMP−2831」(商品名)を用い、ヘッド温度(30℃)、ピエゾ電圧(20V)、駆動周波数(5kHz)の条件で行った。
Claims (10)
- 光硬化性組成物が、さらにラジカル重合性モノマーを含有する、請求項1に記載の硬化膜の形成方法。
- ラジカル重合性モノマーが、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、(メタ)アクリル酸およびブチル(メタ)アクリレートからなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項2に記載の硬化膜の形成方法。
- 式(1)におけるR1が、不飽和脂肪酸から得られたダイマー酸由来の基である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化膜の形成方法。
- 不飽和脂肪酸が、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、ステアロール酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ブラシジン酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ−γ−リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、セトレイン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸およびニシン酸からなる群より選択される1種以上の化合物である、請求項4に記載の硬化膜の形成方法。
- 光硬化性組成物が光重合開始剤を含有しない、請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化膜の形成方法。
- 硬化膜が透明膜である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬化膜の形成方法。
- 硬化膜が絶縁膜である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の硬化膜の形成方法。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の硬化膜の形成方法を含む電子部品の製造方法。
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