各種の穀物の原材料の表皮を分離し、その原材料の実を精白する種々の装置が知られている。表皮を持ちその内容物を精白して利用する穀物としては、米、麦、豆等が知られており、その精白を行う装置としては、精米機が代表的な例である。その表皮の分離の程度、つまり、その表面の削り具合の程度によって、多様な食材において食感やうまみが違うことは良く知られている。なお、精白度というときは、原材料等のもとの量に対しての精白後の得られた材料の量の割合である歩留まり(米では、精米率又は精米歩合ともいう)をいい、その精白の程度(米では、精米の程度=精米度)を表すことができる。
米について説明すると、精米前の玄米は中から胚乳、うまみ層(亜糊粉層)、糠層(肌糠、種皮、表皮等)となっており、精米して白米とすると肌糠を除いた糠部分が取り除かれる。その後、通常は水で研ぐ作業を行うことで肌糠を落とすようにしている。しかし、その際に、うまみ層までも落ちてしまう可能性が出る。水で研ぐ作業を軽減してうまみ層を残すためにも精白米の理想的な仕上がり状態は、玄米表面を均一に精米して糠層のみを取り除きその下の胚乳表面にあるうまみ層(亜糊粉層)を残すことである。
一方、精米不足により糠が残った状態では、糠臭さや艶が無いなどの理由により、美味しさを感じ難くなる。またこの状態で保存しておくと酸化が早まり、炊飯後に保温しておくとご飯が黄ばんだりする。また、精米し過ぎ(精米過多)の場合は、旨味やご飯特有の甘味を感じ難くなり、美味しさがなくなる。
このような精米を自動で行う簡易でコンパクトな精米機が、例えば本願出願人により出願された特開2011−062701号公報に開示されている。この精米機は、多数の分離孔を有した精米かご内で羽根や棒状の攪拌部を回転させて米をかき回しながら表面の糠を削り落とし、その削り落とされた糠を精米かごの分離孔に通して容器と精米かごとの間に分離する、いわゆる攪拌型の精米機と言われている。
本発明を理解するうえで必要な上記精米機の構造を、図8を参照してより具体的に説明する。
図8は、従来の精米機の要部分解図である。5は米(通常は、玄米や洗米するための白米等をさす)を収容する筒状、特に臼型形状の精米かご、9は回転することにより精米かご5内の米を撹拌する回転撹拌体、6は精米かご5を収容すると共に精米かご5によって米から削り落とされた糠を収容する例えばPP樹脂からなる筒状の糠ボックス(糠受容器)、30は糠ボックス6を収容する例えばABS樹脂からなる筒状の糠ボックス収容ケースである。精米時には、糠ボックス6、精米かご5、回転撹拌体9を、本体ケース11の糠ボックス収容ケース30内にセットした状態で、所望の量の玄米を精米かご5内に投入し、蓋体3を施蓋した状態で操作部より精米開始を指示することで精米が行なわれる。
制御回路ボックス8は当該精米機のモータ10の回転を制御する制御回路を収容する。制御回路は、コードリール組立体26に収容された電源プラグを交流電源に接続することで電源コードを介して給電される。電源コードは、コードリール組立体26に収容することができる。支持プレート24に支持されているモータ10のモータ駆動軸10aには、モータプーリー12が設けられている。支持プレート24には、さらにベアリングケース22の下端部がネジ32により固定されている。ベアリングケース22内では、ベアリング21が駆動軸23aを回転可能に軸支している。駆動軸23aは、その一端が支持プレート24の開口部24aを通して伸び、他端は、糠ボックス収容ケース30の底部30bに設けられた開口部を貫通して伸びている。駆動軸23aのその一端にはモータプーリー12と所定の減速比を有して形成された駆動プーリー25が固着され、他端は、例えばポリアセタール製の回転盤(下カップリング)20が糠ボックス収容ケース30内に露出するように固着されている。モータプーリー12と駆動プーリー25にはベルト13が掛けられており、それによって、モータ駆動軸10aの回転を駆動プーリー25に伝え、駆動プーリー25の回転に応じて下カップリング20が回転する。
精米かご5は、底部中央に軸回転可能に固定された駆動軸(攪拌部駆動軸)16を備えた有底筒状且つ臼型形状に形成され、底部フレームの下面側に延設された円筒状の下面側円筒中空突出部5iを有し、これらは例えばステンレスで形成されている。精米かご5の側周部5aから底面5mに至っては金網が張られ底部フレームと接合されている。金網としてはエキスパンドメタルや、あるいは糠を削ることのできる程度の硬さと強さ、細やかさを有する網目状のものであれば、必ずしも金網でなくても良く、精米かご5の本体と同一素材で作成される場合もある。
精米かご5の駆動軸16は精米かご5内部でその底部に対して垂直に起立して伸びている。駆動軸16は円筒状であり、例えばステンレスで一体成形されており、軸受である金属製の円筒状のスリーブメタルに受け入れられている。スリーブメタルは例えばステンレス製のメタルケース内に収容され、メタルケースが精米かご5の底部フレームの底中央で圧入固定されることで、駆動軸16が軸回転で軸支されることを可能としている。駆動軸16の下端部は上カップリング19がネジにより固定されており、糠ボックス収容ケース30内に露出した下カップリング20と噛み合うようになっている。その噛み合いを調整できるように、スリーブメタルの下には調整ワッシャが設けられている。
駆動軸16の先端部16aは樹脂(例えばポリアセタール)でコーティングされ、多角柱形状、例えば、六角柱形状をしており、回転撹拌体9の角軸受部9cときつく嵌合して駆動軸16の軸回転に伴い回転撹拌体9を回転させる。回転撹拌体9には、攪拌部9aが軸回転の中心から径方向に向かって等間隔で複数延在しており、回転撹拌体9の回転によって精米かご5の底部近傍で軸を中心に周動する。回転撹拌体9には様々な形状のものが知られており、回転撹拌体90、91、92、93として図9A〜図9Dに例示する。図9C、9Dに示した回転撹拌体92、93のような撹拌部92a、93aが軸回転の中心から径方向に向かって等角度間隔で4つ延在させることで、低速回転時の揺動(ハンチング)を抑制することができる。また、撹拌部を板状のものではなく、棒状としたものも知られており、これらを一般的に撹拌羽根と総称することもある。モータ10の反出力軸側にはモータ回転数を検出する回転センサ86が備えられ、モータの回転速度を制御することにより精米かご5内の攪拌部の回転速度を制御する。
糠ボックス6の底部フレーム6fには、底部中央に筒状の中空部6hを形成するように円筒状の円筒中空突出部6gが設けられている。その中空部6hには、上記したように上カップリング19と下カップリング20が遊離自在に収容される。糠ボックス6の上方には、外側に突出した上部フレームフランジ6bを有し、上部フレームフランジ6bの周縁部は糠ボックス収容ケース30の上部フランジ30cの上面で受けられて支持される。こうして、糠ボックス6は着脱自在に糠ボックス収容ケース30内に収容される。また、糠ボックス収容ケース30の上端部30aは、上蓋3を受ける受け部で、糠ボックス6、精米かご5を内側フレーム4bで挟んだ状態で上蓋3によって施蓋される。このとき上端部30aに設けられたノブ65が施蓋により付勢されて押されると同時に、精米機1の本体に設けられた制御スイッチ(図示せず)をオンして、モータによる回転撹拌体9の回転が可能となる。精米動作中上蓋3が外された場合は、ノブ65が解放され、制御スイッチがオフとなり回転撹拌体9の回転が停止するようになっている。
精米かご5の下面側の円筒中空突出部5iの内径は、糠ボックス6の円筒中空突出部6gの外径とほぼ同一かあるいは僅かに大きく、円筒中空突出部6gは、下面側円筒中空突出部5iの中空部内でゆるく嵌合されて、精米かご5の下部フレームと当接し、精米かご5は糠ボックス6の円筒中空突出部6gの上端に乗せられた状態となる。
従来から用いられている精米かご5は、網目形状の細い金属がその側面を底部から上部に向かって一面に張られ、精米して削れた糠が精米かごを通して糠ボックス6内に排出される。つまり、精米では、精米かご内の米は攪拌部9aの回転により撹拌され、その遠心力により精米かご5の金網の、例えばひし形の網目に擦り付けられ、金網に沿って斜め上方へぶつかりながら移動することで、糠が削り落とされる。ひし形のサイズは、米が金網の網目から飛び出さないようかつ網目に入り込まないよう、短目方向の長さ(Sw)が好ましくは約2.2−3.0mmの間、長目方向の長さ(Lw)が約2.8−4.6mmの間であり、組み合わせとしては例えば、(SW:LW)=(2.2mm:3.0mm)又は(2.5mm:3.5mm)又は(3.0mm:4.6mm)であることが好ましい。あるいは、金網の網目形状は四角形(長方形又は正方形)でも良く、この場合は縦及び横方向一辺の長さは共に約2.0−3.0mmの範囲が好まく、あるいはまた、網目形状は円形としても良く、直径が約1.3−3.0mmの範囲が好ましい。いずれの場合も、金網の厚さ、幅は共に例えば約0.4−0.6mmの間のものが好ましいとされている。以上の網目形状と寸法により、精米される良米が精米かごのその側周部の金網から外の糠ボックスに出ることを防止するとともに、実施例でも説明があるように、精米初期の比較的高速な攪拌部の回転によって粉砕された不良米は、その金網から出て外の糠ボックスに糠とともに収容されるため、比較的良米のみの精米が可能となる。
図8で開示されている精米かご5は、下方に略円筒状に形成された下部円筒部5c、下部円筒部5cから上方に次第に拡径した傾斜筒部5b、さらに傾斜筒部5bから上方に延設された玄米投入口である略円筒状の側周上部5aからなる臼型形状に側面全面に金網が形成され、各々が滑らかな曲線で繋がっている。下部円筒部5cの高さ(深さ)は最低精米量(1合)を投入したときほぼ埋まる高さに形成されているのが好ましく、これは後述する攪拌部の高さとほぼ同じである。また、下部円筒部5cの内径をd、上部開口部5aの内径をDとした時の比率d/Dを0.75〜0.9とし、精米かご5の高さHと下部円筒部5cの内径dとの比率H/dを0.7〜0.8とされている。
このような形状の精米かご5に構成することで、米粒が押圧される下部円筒部5cで攪拌部9aによる搗精圧力を増して白度を向上させると共に糠切れを良好にし、米粒がスパイラル状に傾斜筒部5bを経て側周上部(上部筒部)5aに向かって上昇しながら循環する際に、大きく円周方向に振って米粒に掛かる衝撃力を和らげ、砕米を防ぐことができるようにしている。
精米する時間や撹拌部の回転は、基本的に精米する米の量と目的とする精米率に応じて定められ、精米開始から終了までの精米工程が予めプログラミングがされている。この精米工程は、目的とする精米率になるべく近くなるように設定されたものである。米の種類は多種に及び、年度等によっても、米の硬さや水分量などその性質は大きく異なるために、得られた米が必ずしも目的とする精米率となるものではない。
そこで、米の種類等にかかわらず、所望の精米率を得るようにした精米機が以下の文献で開示されている。
例えば、特許第2626924号公報(特許文献2)には、循環式精米機及び歩留確認精米装置が開示されている。この特許文献2では、当初の投入量と各時点での量目から精米作業の歩留まり状況を得るようにしており、作業の歩留まりが、最初に設定した希望歩留まりに達した時に精米機を停止させる。その開示されている精米機は、その名称が示すように循環式のものであり、循環式貯留室と糠排出室とを隔壁で分離し(特許文献2の図2)、隔壁を通して糠排出室に入った糠は、そのまま糠排出口から排出するようにしている。計量機上に精米機が載っているので、排出された糠の量分に応じて軽くなった精米機によって、その歩留まりを判断しようとするものである。
しかし、この精米機は、糠をそのまま外に排出することで、その分軽くなった精米機全体の総重量から歩留まりを図るものであることから、一般家庭用のような、それ自体で所望の精米率に精白した精米と、そこから除去された糠を精米後に分けて処理するようにした、いわゆる一体型の精米機には適用することができない。
一方、特開2003−38967号公報(特許文献3)には、所望の歩留まりを得るための家庭で使用可能な一体型精米機が開示されている。この精米機の精米機構は、モータによって回転する回転軸の有した容器内に、多数の分離孔を有した分離かごを出し入れ可能に収容し、分離かご内でかき回し具をその回転軸によって回転させて米をかき回しながら、糠を分離かごの分離孔に通して容器と分離かごとの間に分離して米処理を行なうものである。特許文献2は、このような周知な精米機構に、米の重量をモータの駆動電流、つまり、かき回し具(撹拌具)を回転させる回転軸を駆動するモータの駆動電流を検出する装置を設けている。この駆動電流は、攪拌する米の量に応じてかき回し具が受ける負荷の大きさが変化することから、付加に応じた駆動電流を指標とし、糠の排除によって減少した分離かご内の米の重量と投入当初の米の重量による駆動電流の相違から、米の重量の変化、つまり歩留まりを推定しようとするものである。
しかし、負荷電流は必ずしも一定なものではなく、その負荷は水分率などの玄米の状態や攪拌状態によって変動が大きく、駆動電流の平均を取ったり、測定ミスを生じるノイズの除去というような処理を必要とするために、必ずしも容易ではなく、コストへの影響も大きい。
以下、図面を参照して本発明について説明する。
図1は、本発明による一実施例による精米機1の全体斜視図であり、図2A〜図2Cは、精米機1に組み込まれた荷重センサ測定機構100の各部を示している。図3Aは、荷重センサ測定機構100が組み込まれた精米機1の側部断面図、そして図3Bは、荷重センサ測定機構100の取り付け構造を示す図3Aの一部断面図である。また、図4Aは、本体ケース11の収容ケース30(以下で詳述する操作パネル70の表示内容はここでは省略して示す)内に糠ボックス6(分離物収容容器)、そして精米かご5(精白容器)を上斜め方向から見た展開斜視図であり、図4Bは、そのときの糠ボックス6と精米かご5の底斜め方向から見た展開斜視図である。
精米機1は、本体ケース11、本体ケース11の上部に設けられたヒンジ式の上蓋3を有している。本体ケース11の斜め前方には操作パネル70が置かれている。
精米機1内には、図3Aで示すように、図2Aに示す荷重センサ測定機構100が精米機本体内部の支持プレート24に取り付けられている。
図2Aの荷重センサ測定機構100は、センサ保持部101と下側荷重中継部材104、そして上側荷重中継部材105からなっている。図2Bに示すように、センサ保持部101には、荷重センサ102と荷重伝達作用部103から構成されている。センサ保持部101は、略3角形状の平板上の金属であり、3つの各頂点近傍を支点として荷重センサ102の一端が等角度間隔で取り付けられている。荷重センサ102は、市販の略長方形をしたストレインゲージを使用することができる。ストレインゲージからは、そのストレインゲージにかかる重さによって生じたひずみに応じた信号が出力される構造となっている。なお、ここでは、簡略のためにストレインゲージからの出力信号を取り出すための信号線は省略している。
荷重センサ102は、支点からセンサ保持部101の中央に向かって伸びており、その先端部でねじによって固定された荷重伝達作用部103が設けられている。荷重伝達作用部103は、荷重センサ102の上方で略並行に間をおいて荷重センサ102の支点方向へと折り返すように伸びて、その荷重センサ102のほぼ中央には、上部からの荷重を受けるための突出した荷重受け部103aを有している。
図2Cに示されているように、中心が中空の下側荷重中継部材104が3つの荷重受け部103aを支点にして荷重が均等になるように配置される。下側荷重中継部材104には、この例では4つの上方に起立した支持プレート104aが中央の穴の周囲に等間隔に設けられている。図2Aに示されているように、この支持プレート104aがその上部端部でリング状の上側荷重中継部材105と噛み合い、支持プレート104aと上側荷重中継部材105とが固定されるようになっている。
図3Bの部分的拡大図を参照すると、糠ボックス収容ケース30の底部30bからは、下カップリング20の周囲をほぼ隠すように円筒状の中空突出部30dが図8と比較してより高く精米かご5に向かって伸びている。
図2Aで示したリング状の上側荷重中継部材105は、中空突出部30dと、円筒状の中空突出部6gの間で精米かご5の底部5mと糠ボックス収容ケース30の底部30bとの間に置かれ、上側荷重中継部材105の内径は中空突出部30dの外形よりもわずかに大きく、その外径は、円筒中空突出部6gの内径よりも小さいため、中空突出部30dと円筒中空突出部6gとの隙間で上下に自由に動くことが可能となっている。
図2Cで示した細長い支持プレート104a(図3A、3Bでは断面図であるがゆえに見えていない)は、糠ボックス収容ケース30の中空突出部30d近傍の底部30bに設けられた穴を通して中空突出部30dと円筒中空突出部6gの間へと伸びて上側荷重中継部材105と結合している。
図3Bと図4Bを参照すると、精米かご5の底部フレームからは、円筒中空突出部6gと中空突出部30dとの間を上側荷重中継部材105に向かって伸びる筒状壁5kが設けられて、上側荷重中継部材105上に筒状壁5kを介して精米かご5が乗ることで、すべての荷重が上側荷重中継部材105にかかるようになっている。精米かご5の重さの変化に応じて上側荷重中継部材105が上下に自由に動くように、円筒中空突出部6gの端部と精米かご5の底面とは支持プレート104aによってクリアランスが確保され、また、上側荷重中継部材105が糠ボックス収容ケース30の底部30bと接触しないように支持プレート104aの長さが調整され、上側荷重中継部材105と糠ボックス収容ケース30の底部30bの間でクリアランスが確保されている。
同様に、蓋3と精米かご5の上部の間、精米かご5の上部と糠ボックス6の間もクリアランスが確保されていて、このクリアランスにより精米かごのフリーな状態が担保され重量センサの精度を確保している。
尚、蓋3と精米かご5の間は精白した米が飛び出さない程度に狭く、好ましくは2mm以下、精米かご5と糠ボックス6の間も糠が精米時の気流で飛散しないように狭く、好ましくは2mm以下に設定されるよう、糠ボックスの形状を構成している。
上記した荷重センサはストレインゲージで説明したが、ほかの荷重センサ、例えば、圧電素子等を使用することも可能である。そして、その形状を略円形として直接または間接的に精米かご(精白容器)からの荷重を受けてその重さを量るようにしても良い。
精米かご5について述べると、図8を参照してすでに説明した従来の精米かごは、側周部全面に網目が張られ、撹拌で飛んできた米をその全面で削り落とそうというものである。一方、本願の例による精米機で使用する精米かごは、網目は下側周辺部、つまり側周部のうちの下側部分のみで、上部周辺には形成されていない。これは、撹拌による精米の重量測定の実験を行った結果、精米かご5と糠ボックス6との間にクリアランスがある関係上、特に精米量の少ない時に(1合か2合程度)米がかご上部にまで飛散するので、上部網目から出た糠が精米時の気流で上方へ拡散され蓋に付着したり、或いは糠ボックスに落ちた糠が上昇気流により精米かご5の上部の網目より、精米かご5の内部へ入り込むことが確認されたため精米かご5の上部を目潰し状態にして、循環されて上昇した糠が精米かご5の内部へ入り込むことを防止するためである。つまり、精米量が多い時はさほど影響しないが、特に少ない量の精米を行う場合に、精米かご5内での重量には、循環されて精米かご5の内部へ入り込む糠の重量も加わり、その誤差が顕著にでることが判明した。したがって、本発明の精米機1で使用する精米かご5は、側周上部5aには網目を形成せず、その内面は比較的滑らかな面が形成され、側周部高さ方向の略中程から下部5c周辺のみに米を擦り取る網目を設けるようにした。編目を設ける領域の目安は最大精米量(5合)の玄米を入れた時に埋まる程度の高さとする。これによって、削り取られた糠も糠ボックス6内へと落ちて重量の誤差も少なくすることができた。尚、網目はかごの側周部のみでなく、精米かご5の底面部にも設けるようにして良い。又、必要に応じて精米かご5の上部開口を別個の蓋体(内蓋)で施蓋しても良い。精米かごを施蓋することによって上昇気流による糠の飛散をより効果的に予防でき、特に精米かごの上部フランジ部への糠の付着を回避できる。尚この場合の内蓋は、精米かごだけを施蓋するものであり、糠ボックスとの間のクリアランスが維持されていることはいうまでもない。
精米かご5の底部の筒状壁5kの側周には膨出部5nが複数(4つ)配設されていて、糠ボックス6の中空突出部6gの溝部6mと緩く嵌合するようになっている。これにより運転中は回転撹拌体が回転しても、精米かご5の筒状壁5kが糠ボックスの溝部6mに当たって精米かご5が回転することを防止する役目をし、停止中は糠ボックスに対して精米かご5がフリーな状態になり、重量計測に支障ないようにしている。
尚、精米かご(精白容器)は、上記機能を有するものであれば、必ずしも金網形状のものである必要はなく、複数の孔が形成されて、その精米かご(精白容器)内で表面が削り取られて、その削り取られた物質がその孔から外に排出できるような形態のものであればよい。また、この例では、回転撹拌体9が精白容器に装着した構造で説明したが、上蓋3等の別な箇所に装着した構造を採用することもできるし、あるいは、実施例の回転撹拌体とは別な圧縮空気による回転急流を生じさせるような撹拌手段により精白する構造でも適用することが可能である。
図7には、本精米機で初めて適用された精米を撹拌するための新たな形状の回転撹拌体9を示している。この新たな回転撹拌体9は、図9に示すような特開2011−062701号公報に詳述している等角度間隔の4つの板状の撹拌部9bが延びている構成のものではあるが、その先端部のみが回転方向に対して後方へ湾曲している。これは精米量の少ない1合〜2合程度の時に過度な遠心力を抑えて精米かご5の上方へ米が飛散したり上昇気流を抑制するものである。これにより糠が蓋に付着したり、収容された糠ボックスから飛散することをより抑制できるようになり、精米率の誤差も軽減することが可能となった。先端部位のみを湾曲させ、大部分の米を押圧する面は湾曲の無い略直線状の平面となっているので、精米量が多い時の押圧力も確保することができ、当初の目的とした短い期間で精米することも可能としている。
次に精米機の動作について説明する。図5を参照すると、操作パネル(操作部)70は、精米のモードを設定するためのモードボタン71、精米動作の開始、停止を指示するためのスタート/ストップボタン75、重量を初期化(0調整)するためのリセットボタン76を有している。モードは、胚芽米モード、早炊き玄米、無洗米(玄米)、無洗米(白米)、FRESH、精米モードの各種があり、各モード表示73aを操作パネル(操作部)70に設けられている。液晶表示画面77にはいずれのモードに設定されているかを表示するための各モードを指し示すための複数の指示灯(▽状のもの)が各モードに対応して設けられている。モードの選択は、モードボタン71を押すごとに順々に切り替えるようになっており、たとえば、胚芽米のモードにあるときは、その隣の指示灯が点灯し、モードボタン71を押すと下の指示灯に点灯が移って、早炊き玄米を指すようにしている。さらに、モード中の「精米モード」を選択すると、より詳細な精米率として、詳細モード表示73bで示されている「○ ○ 3分 ○ 5分 ○ 7分 ○ 白米 ○ 上白米」といった詳細モードが用意されている。ここで、「○」は1分搗き、2分搗き等の表示値の間の分搗きモードを表わす。つまり、モード表示パネル73a上の精米モードに対する指示灯が表示点灯すると、その「○ ○ 3分 ○ 5分 ○ 7分 ○ 白米 ○ 上白米」といったより細かい精米率となる詳細モードを選択できるように、右、左作動ボタン74が有効となり、その矢印に応じて、選択する詳細モードに対応する指示灯に点灯が移ることで自分が選択している詳しい精米率がわかるようになっている。
各モードにおける精米率(搗精後の重量/投入(搗精前)重量 x 100(%))の設定を次の表1に示す。
玄米からさっと表皮を分離して精米する早炊き玄米モードの場合には、99.6%の精米率であればよい。また、玄米から白米へと精米するには、本発明における実験から91%の精米率が好ましい。このとき7種類の銘柄を実験した結果砕米率(砕米の重量/精白米(搗精後)の重量 x 100(%))を2%以下に抑えられることが判明した。さらに、胚芽米では、96%、3分搗き、5分搗き、7分搗きはそれぞれ97%、95%、93%に精米率が設定されている。更に、分搗きモードでは1%区切りで細分化している。(例、1分搗き:99%、2分搗き:98%、4分搗き:96%、6分搗き:94%、等)さらに、より精米率を高めた「上白米/無洗米(玄米)」モードでは、玄米から白米を経ていわゆる上白米に精米するものであり、上白米の精米率は89%の設定とされている。すなわち、上白米は、精米された白米をさらにさっと撹拌して表面の糠を取り去るものであることから、無洗米に該当するものである。無洗米とは水で洗うことなくそのまま炊飯可能な米である。但し無洗米の場合にはより糠切れを重視するので運転回転数や運転時間は異なる。なお、「(玄米)」というときは、玄米を投入することを意味する。
さらに本発明による精米機では、白米から無洗米にする「無洗米(白米)」モードの操作と、磨きを行う「FRESH」(磨き)モードの操作が追加されている。つまり、精米率は投入した時点の精米量(重さ)と、精米後の精米量(重さ)の比で表すものであることから、必ずしもその投入した米が玄米である必要はなく、利用者が白米から無洗米にしたい場合もあることから、操作パネル70のモード表示73a上には「無洗米(白米)」モードが用意されている。磨きを行うFRESHモードの場合は、たとえば、洗米してから時間が経過したような場合に、表面上の酸化した層をさっと削り落としたり、よごれを排除する場合に有効である。したがって、投入する米は必ずしも、玄米や白米でなくともよく、およそ0.3%の表面が削れることを意味する。
なお、各精米率に対しての実際の許容可能な精米率は、なるべくその差が少ないことが理想であるが、一般的には+/−1%、つまり、白米モードでは91%の設定に対して90〜92%の範囲内の精米率で許容とする。ただし、許容差はこれに限定されるものではなく、制御回路のマイクロコンピュータによる重量測定の精度や荷重センサ測定機構100の精度に応じて変えてもよい。なお、FRESHモードや早炊き玄米モードでは、撹拌する時間が短いために、その許容差も、より小さく、例えば、設定された精米率にさらに+/−0.2%の範囲内であることが好ましい。
次に、本発明による精米機の制御回路及び精米動作を説明する。図6は制御回路ボックス内(従来の精米機の図8の符号8によって参考として示している)の制御回路(制御部)80の機能ブロック図である。制御回路80はマイクロコンピュータ81とモータ10を駆動制御するモータ駆動回路88を有する。マイクロコンピュータ81は操作パネル70、速度センサ86、モータ駆動回路88に加えて荷重センサ102が接続された入出力(I/O)回路82と、CPU83とメモリ(ROM、RAM)84と、これらを接続するバス85を有する。メモリ84内には精米量に応じた精米率毎の攪拌部の回転速度(PWM比で与えられるモータ駆動により設定される攪拌部の回転速度、±20回転/分程度の誤差精度)と精米時間(攪拌部の回転時間、±2秒程度の誤差精度)が予め設定又はプログラムされている。
次に、主に玄米を投入した場合の精米の動作を説明する。精米機1の電源プラグが電源ソケットに差し込まれると、マイクロコンピュータ81が初期化のプロセスを実行して、図2Aの上側荷重中継部材105から支持プレート104a、荷重伝達作用部103、そして荷重センサ102へと荷重が伝達され、その荷重センサ102のひずみに応じて発生された信号が図2のマイクロコンピュータ81に伝達し、工場出荷時に設定した回転撹拌体を含めた精米かご5の重量に相当する信号が着ているかどうかをチェックし、液晶表示画面77をONする。
もし、回転撹拌体を含めた精米かご5に相当する重量が検出されない場合には、液晶表示画面77にユーザに注意を喚起する画面を表示し、一方、その重量に相当する場合には、米の投入を促す画面、例えば「玄米投入してください。重量を計測します」といった表示を行い、ユーザに玄米の投入を促す。
実際の玄米が入れられると、その重量を測定して、精米機が処理できる規定の合数以内の重量に相当するかどうかをチェックし、もし少ない場合には、すでに表示している「玄米投入してください。重量を計測します」を継続して表示して、さらなる投入を促す。逆に多い場合には、液晶表示画面77にエラー表示により投入量が多すぎることを注意喚起する警告を表示しつつ、規定の範囲におさまる重量かをチェックし、規定の範囲におさまった場合まで、その警告処理を継続する。
規定の範囲に収まった場合には、その重量測定の結果を表示するとともに、搗精量(精米率)を測定するための0調整(0g合せ)を行う。尚、機体使用初期段階では行う必要が無いが、撹拌部や精米かごは使用頻度に応じて経年摩耗してくるので、精米動作の都度リセットボタン76を押して0g合せを行うようにしても良い。液晶表示画面77に、各モードでの各精米率から、精米後に相当する合数をそれぞれ表示することで、ユーザが希望するモードでどの程度の合数が投入されているかを、投入段階で詳細に把握できるようにしている。
つぎに、実際のユーザが希望するモードが選択されると、そのモードに応じた精米率と、最終的に得られる予想合数が表示される。
精米機は、投入された米の量(重さ)と設定されたモードに応じて、撹拌部の回転を制御する。例えば、あらかじめ一定に設定された回転数と時間で精米を行ういわゆる定速撹拌(低速回転)運転と、運転初期には比較的高回転で撹拌して精米を行い、その後時間の経過に応じてその回転速度を落としながら運転する逓減撹拌(逓減回転)運転が可能なようになっている。
逓減撹拌運転には、時間の経過に応じて回転数を直線的、あるいは曲線的に落としていく連続逓減運転のほか、時間の経過に応じて回転数を1段、あるいは複数段にわたって落としていく段階的逓減運転が存在する。
この逓減運転の詳細は、特開2011−062701号公報の表1〜表10に例示されている。その表1〜表10には、1合〜5合までの玄米を投入した場合の各合数に対して、2分〜8分搗きの各分搗き、さらに、白米や胚芽米への精米の工程表を示したものである。
それらの表の例示からわかるように、比較的精米率の値が大きい「5分搗き」程度までの精米の場合では、玄米の糠層を比較的多く残した精米であり、高回転で一気に糠を削り取るように定速度運転による精米が可能である。高速回転であっても玄米の糠層が衝撃力を吸収して剥離し、攪拌部を回転させる時間が短いので砕米の発生は少ないので、定速撹拌(低速回転)運転で行うことができる。その運転時間は、投入される量に応じて変化し、例えば、1合程度の少ない合数であれば、30秒程度で十分であり、5合程度の多い合数の場合には、1分か1分強の時間で定速撹拌運転を行う。
一方、玄米から胚芽米にする場合には、その胚芽率を高めるために、「3分搗き」、「5分搗き」よりも低い回転で最初に運転し、その後に1または2段程度で段階的に、あるいは連続的に回転数を逓減する逓減撹拌運転を行うことが好ましい。
玄米から7分搗きや白米にする場合には、精米時間を短縮するために、初期の回転速度を「3分搗き」、「5分搗き」の回転速度よりも大きくし、その後に2段程度の段階的、あるいは連続的に回転数を逓減する逓減撹拌運転を行うことが好ましい。また、1合〜2合程度の少ない精米量の場合には、精米量が少なく米粒密度が小さいため精米時の米の飛び跳ね、蓋体などへの衝突により砕米が発生し易いので最初の段階の精米時間を最小にしている。
初期の段階を入れて2段や3段、あるいはそれ以上の段数による段階的逓減運転を行う場合には、初期の1段目の回転は比較的高回転で一気に糠を削り取り、次の段階では攪拌部の回転速度を落とすことによって、米の回転方向(米粒個々の自転方向)が変わるので玄米の糠層の表面が均一に削り取られる。精米時間は、第1回転より第2回転を少し長めか、ほぼ同じ時間で精米すると米を磨く作用が生じ、糠切れも良くなり砕米の発生も抑制できる。
このように、精米量と精米率によっては、必ずしも3段階やそれ以上の工程を行う必要がない場合もあることから、1段階や2段階の工程による精米や洗米、磨きが可能なように、合数ごとに精米機のメモリ84に記憶又はプログラムされる。
本願発明の実施例による精米機では、特開2011−062701号公報の表1〜表10と同様の精米工程が実行するように、1合から5合までの合数ごとに対応したプログラミングがされている。ただし、白米および胚芽米にある、弱、標準、強という分類はなく、標準の精米工程のみが設定されている。更に、早炊き玄米や無洗米の各モード、また、FRESH(磨き)のモードも設定され、米種によらず精米率を直に測定できるので多彩なモードを搭載可能としている。本発明は歩留まりを直に測定する所謂クローズドループで制御するため前述の弱、標準、強という概念は必要なく、精米率を、例えば、白米、○、上白という数値に置き換えれば多彩な精白度の設定が可能になる。
以下に示す表2および表3は、特開2011−062701号公報の表5および表10に対応して本願発明による精米機1に設定された工程である。
ユーザが玄米を投入し、希望するモードを選択し、運転が始動すると、基本的にその工程に従った精米運転が行われる。ここで、最後の段階、例えば3段階による精米であれば3段階目、1段階の精米であれば1段階目の運転を終える前(例えば、20秒〜10秒程度前に)に、精米を一時停止して、精米かご5の中の重量を測定し、初期投入と測定時の量の差から、一時停止時の精米率を算出する。そして、その算出した精米率と目的の精米率とを比較して、どの程度の時間の精米がさらに必要かどうかを算出する。その後停止した時点の精米条件から精米工程を開始してその算出した時間精米を行う。ただし、過度な精米が行われないように、ある程度の余裕をもって時間も短めにするようにしてもよい。そして、その精米の終了後に再度重量を測定してその精米率を計算し、もしさらに精米が必要な場合には、その精米率の差に応じて決定された時間だけ再度精米を行う。したがって、米の品質や投入される米の量に応じて目的とする精米率になるための時間はそのつど異なることから、表2、表3の総時間は参考時間として表されている。
「早炊き玄米」、「胚芽米」は精米率の値が大きいことから、定速撹拌(低速回転)運転の工程が適用できる。さらに、玄米を投入する代わりに、白米を投入して無洗米にするモードや、FRESH、つまり投入された米の表面を磨くモードも精米率の値が大きいため、比較的低速による30秒程度の定速撹拌運転が好ましい。
最初の投入時点の説明に関連して、設定したモードと最初に投入した重量に応じて、精米後に得ることのできるおよその合数が液晶表示画面77に表示され、必要であれば、ユーザは玄米をより多く精米かご5に投入したり、あるいはそこから抜き取ることも可能である。しかし、投入する量によっては、必ずしも1〜5の各合数に一致することはなく、その各合数から多少ずれる場合も少なくない。本発明による精米機では、精米後の合数が各合数の20%以内の場合には精米を可能とし、それ以外の場合には、米を取り除くか、投入するかの注意を喚起する表示を液晶表示画面77に表示させる。
精米動作の別な実施例としては、搗精量の量目(合数)を制限せずに、使用者が好みの量目を無段階に投入可能に構成しても良い。この場合は、仕上がり合数で精米機の精米下限量目(この例では1合)未満か精米上限量目(この例では5合)を超える量目を投入した時はNG警告を発するようにし、それ以外の端を含む合数、例えば、2.5合が投入された場合は2合や3合の運転モード、あるいはそれらを基準として調整された運転条件で動作し、4.7合が投入された場合は、4合や5合のモード、あるいはそれらを基準として調整された運転条件で精米動作するというように、途中の重量計測により所定の精米率まで追加精米するようにプログラミングして良い。このように計測時点まで過度な精米が行われないようにだけ注意しておけば、実質的に量目を無段階に精米可能となる。このようにバッチ式(すなわち一括して穀物を入れて精穀する方式)の精穀機において投入する穀類の量を気にせず所望の精白米や分搗き米、或いは胚芽米などを得ることが可能となる。
尚、米で言えば計量カップは一般的に、カップ上端を目一杯使ったすり切り一杯で200ml(約165g)、目盛り部分で180ml(1合=約150g)であり、精米率約91%の白米1合(約150g)を得るのに必要な玄米1合はすり切り一杯(約165g)として投入することで達成できる。尚、使用者により若干の誤差や変動はあるがおよそ1合160g前後の投入量となる。また、他の穀類であればその種類に応じた軽量カップとその重さが概ね決まってくる。以上のように、所定の精米工程を事前にプログラミングし、終了の所定時間前のその精米途中で精米を一時停止して重量を測定してその時点での精米率を算出し、その時点の重量から算出した精米率と目的とする精米率との差から、その後に必要な精米時間を算出する。或いは、目的とする精米率にするための必要な精米時間を精米率毎に予め定めてメモリ84に記憶させておき、そのメモリから必要な精米時間を得るようにしてもよい。そしてその精米時間で精米を再度行うことで、ユーザの望む精米率を有した精米を行うことが可能となる。
このように、米の品質や、硬さ、湿度に応じても、適切な精米率が得ることができるようになり、品質の良い精米や洗米を可能とし、人それぞれの微妙に異なる食感に対しても対応することができるようにした。
尚、精米時には、精米の進行に応じて回転撹拌体への負荷が変動する。回転速度を直接または間接的に監視し、その結果に応じて回転速度を制御する、いわゆるフィードバック方式の精米機を使用すると、決められた所望の回転速度を達成できるが、フィードバック制御を行わないと、糠が削り取られて負荷が軽くなるに従って、回転速度が増大する場合もある。本発明では、特に限定しない限り、時間経過に応じて回転数を引き下げたり、途中で停止できる精米機であれば、その間にたとえ回転数の変動を生じるような精米機であっても、本発明の技術的範囲に属するものと解釈すべきである。
上記実施形態は、精米機を例として説明したが、撹拌式の精白装置であれば本質的な機能を維持したままその製品に適合するように改良して使用することができる。従って、本発明は上記実施形態に限定されるものでなければ、その名称に拘束されるものではない。さらに、攪拌部の回転速度や回転時間は、この発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜改変可能である。例えば、表2および表3を例にすると、第2段階目の精米時間を少し長めに設定し、第3段階目の精米時間をその分短めに設定しても良く、或いは、第2段階目の回転速度を少し高めに設定して、その時間を短くすると共に、第3段階目の時間を延ばしたりすることで、各速度区分の中で精米時間を微調整することも可能である。更に、少なくともいずれか1つの段階における回転速度を少し落としてその分精米時間を延ばして、精米完了までの総時間を多少延ばしても良く、得られる効果に大きな影響はない。また、段階的逓減と曲線的逓減とを組み合わせて精米を行ってもよい。さらに、各精米率の値とモードとの関係も例示であって特許請求の範囲に具体的に規定される場合を除いて特に限定されるものではないことに留意すべきである。
次に、精米を行うための制御例を図10A、図10Bのフローチャートを使用して具体的に説明する。
[マイクロコンピュータによる精米の初期化プロセス]
(処理1)
電源プラグを電源ソケットに差し込むと精米機1の電源がオンし、マイクロコンピュータ81は初期化プロセスを実行する(SA01)。この初期化プロセスでは、マイクロコンピュータ81は、荷重センサ測定機構100から出力された出力信号を取得して、その荷重を測定する。そして、その測定された荷重が、セットされた精米かご5から受ける荷重と一致しているかをどうかを判断する。この例では、精米かご5から荷重センサ測定機構100にかかる荷重は、精米かご5の重さと回転撹拌体9の重さである。この精米かご5の重さと回転撹拌体9の重さは、あらかじめ工場出荷段階で精米機1のメモリにセット(記憶)されている。マイクロコンピュータ81は、精米かご5の重さと回転撹拌体9の重さを合わせた重さと、荷重センサ測定機構100によって測定した荷重とを比較する。そして、荷重の差が所定の許容範囲内であった場合には、精米かご5と回転撹拌体9がセットされていると判断する。一方、許容範囲内でない場合には、マイクロコンピュータ81は、精米かご5か回転撹拌体9のいずれかが、あるいは、その両方が正しくセットされていないと判断して、表示画面77に表示し、ユーザに対して精米かご5と回転撹拌体9とを正しくセットするように促す。
精米かご5と回転撹拌体9は、その目的に応じて異なった種類のものを交換可能に使用できるようにしても良い。その種類に応じて異なった重さを有する場合には、精米かごと回転撹拌体の重さをその種類ごとに予め精米機1に設定しておくようにする。これによって、この初期化プロセスにおいて、設定された重さと測定した荷重とを比較して、何の精米かごと回転撹拌体とがセットされているかを自動的に認識できる。また、本例では、精白する対象を米を例とし、“精米かご”という用語を使用して説明しているが、本願明細書の冒頭で説明したように、精白は、米に限定されず、異なった種類の穀類等にも可能である。従って、“精米機”、“精米かご”という用語に限定されず、米以外の広く一般の穀類等に利用可能な“精白機”“精白かご”の用語に置き換えて使用することも可能であることは、本願の開示内容を読めば当業者は容易に理解することができる。
米を精白する例に戻ると、初期化プロセスにおいて、精米かご5と回転撹拌体9とがセットされているかどうかの判断や、複数種類の精米かごと回転撹拌体の中から、何の精米かごと回転撹拌体とがセットされているかを自動的に認識できる。精米かごと回転撹拌体の種類に応じて、例えば、表2や表3で説明した精米運転の時間と回転速度(“精米動作プロファイル”(広く総称して“精白動作プロファイル”)と言う)は異なる場合がある。従って、精米かごと回転撹拌体の種類に応じた精米動作プロファイルのデータを予めメモリに記憶し、自動的に測定した精米かごと回転撹拌体の重さから、精米かごと回転撹拌体の種類を特定し、その特定した精米かごと回転撹拌体に対応した精米動作プロファイルのデータを呼び出し、そのプロファイルに沿った精米を行うようにしても良い。
尚、荷重センサ測定機構100に加わるべき重さを、この例では、精米かご5と回転撹拌体9としているが、セットされた際にそれ以外の他の部品も荷重に加わるような構成である場合には、その部品の重さも加味するのは当然である。
さらに、マイクロコンピュータ81は、精米かご5と回転撹拌体9がセットされたと判断した後、モータをある一定回転速度まで回転させて、そのモータの回転軸に取り付けられたロータリーエンコーダからの出力を測定して、その出力波形に変動がないかどうかをチェックしても良い。つまり、精米かご5や回転撹拌体9が精米機1の中の糠ボックス内に正しく取り付けられていない場合や、モータの回転に支障が生じるような場合には、回転途中で負荷が変動してモータの回転が不規則になるため、モータの回転を測定するロータリーエンコーダからの出力に変動が生じるからである。もし、エンコーダからの出力波形が異常を示して、精米かご5や回転撹拌体9が正しくセットされていないと判断したら、マイクロコンピュータ81は、ユーザに対して、精米かご5や回転撹拌体9を正しくセットするよう促すためのメッセージ、あるいは表示を表示画面77に行う。
マイクロコンピュータ81は、精米かご5と回転撹拌体9とが正しくセットされていると判断すると、荷重をゼロに設定し、精米への立ち上げ画面に表示する工程(SA02)に処理を移す。
(代替処理2)
上記処理1の代わりに以下の代替処理2を行えるように精米機1をプログラミングすることも可能である。
代替処理2は、精米かご5と回転撹拌体9の荷重を測定せず、予め決めてあった精米かご5と回転撹拌体9が正しくセットされていることを前提にした処理である。精米かごには何も入っていない状態と想定し、荷重をゼロと設定する。この処理2は、精米機を初期設定するためのリセットがすでにユーザによって任意に行われており、そのリセットを行ったことを示す情報が精米機1に記憶されていた場合、マイクロコンピュータ81は、処理1の代わりに代替処理2を実行し、すぐ精米機の動作に入ることができ、ユーザの利便性が向上する。
代替処理2により測定した荷重をゼロと設定(つまり米が全く投入されていない状態として設定)して初期化を終了すると、精米への立ち上げ画面を表示画面77に表示する(SA02)。
工程SA03〜SA04、そしてSA06は、ユーザの動作を受け付ける処理を示している。工程SA03は蓋を開けて精米かご5の中に米を投入する動作であり、工程SA04はユーザが操作パネル70を通して、所望する精米モードの選択を行う動作である。SA06は、精米かご5に米を入れる動作である。
まず、蓋を開けると、モータを駆動するために精米機1の本体に設けられてる制御スイッチはオフし、モータの回転を抑止する安全状態になるが、精米機1本体の電源プラグが電源ソケットに差し込まれたままの状態で精米機1に電気が通電していると、精米機1は継続してマイクロコンピュータの動作を可能にしている。モータを駆動するための上記制御スイッチはマイクロスイッチから構成することができる。そして、精米機1は、精米かご5に入れられた米の重さをリアルタイムに計ることができるため、精米かご5に投入されている米の量を測定して、ユーザが選択したモードに対する精米率と投入された米の量から精米後の米の量(いわゆる、仕上がり米の量)を計算して、リアルタイムにその計算した仕上がり米の量を表示画面77に表示する動作を開始する(SA05)。
ただし、精米かご5に入れた米の量が、精米機1が精米できる量を超える(この例では仕上がり合数で5合超過)場合には、マイクロコンピュータ81は、表示画面にエラー表示を行う(SA09)。ユーザはその画面表示を見ながら精米かご5に入れた米を取り除いて、その量を減らすことができる(SA06)。
一方、精米かご5に入れた米が精米機1が精米できる量より少ない(この例では仕上がり合数で1合未満)場合には、表示画面にエラー表示を行い、投入する米の量を増やすようにユーザに知らせる(SA10)。ユーザはその画面表示を見ながら精米かご5に米を投入して、その量を増やすことができる(SA06)。
このように、精米かご5に投入する米の量を調整して(SA06)、精米かご5に入れた米の量が、精米機1が処理可能な量の範囲内になったとき(この例では、仕上がり後の量が1合から5合)(SA07の“OK”)、表示画面77には、ユーザが選択したモードに対する精米率と投入した米の量から計算された仕上がり米の量が示されるため(SA05)、ユーザは、精米モードに対してどの程度の合数となるかを米の投入段階で詳細に把握できるようにしながら米の量を調整することができる。尚、表示画面77には、仕上がり米の量を重さで表示するようにしても良く、重さの代わりにその重さに対応する合数で表示しても良く、1合数に対する重さと一般的な計量カップとの関係は前に述べたとおりである。また、ユーザの利便性を考慮して、仕上がり米の量を表示するようにしているが、仕上がり前(つまり、精米する前)の実際に投入した米の測定量を表示するようにしてもよい。または、計算した仕上がり米の量と、実際の米の測定量も同時に、あるいは交互に表示するようにしてもよい。
尚、機体使用初期段階では行う必要が無いが、撹拌部や精米かごは使用頻度に応じて経年摩耗してくるので、精米運転を行う前にリセットボタン76を押して0g合せを行うようにしても良い。
上蓋3が閉じられると、モータ駆動のための制御スイッチがONし(SA08)、図10Bに示すように、ユーザの指示による精米運転に入ることができる。ユーザが、操作パネル70を操作してスタート/ストップ・ボタン75をONすると(SB01)、表示画面77に「精米中」と表示され(SB02)、精米モードと精米量に応じた精米動作プロファイルで示した運転条件を決定し(SB03)、その決定した運転条件に基づき精米運転を開始する(SB04)。
すでに説明したように、精米機1は、投入された米の量(重さ)と設定されたモードに応じて、モータの回転を制御し、一定回転速度の定速撹拌運転、比較的高回転からそれより低い回転速度へと変わる逓減撹拌(逓減回転)運転が可能である。そして、逓減撹拌(逓減回転)運転には、複数の回転速度からなる段階的逓減回転運転や、回転速度が曲線的あるいは直線的に変化する継続的逓減運転、さらにはそれらが複合的に組み合わされた運転が可能である。それらの複数種類の運転条件は、精米量と精米モードに応じて決定される。
また、すでに説明したように、精米動作を開始すると(SB04)、設定したモードに対応した精米度(精米率)とするために、そして過多な精米を防止するために、モータを一時停止(SB05)して精米重量を測定して現在の精米度(精米率)を求め(SB08)、残りの必要な精米時間を計算して、必要な精米運転を行う(SB10)。そのような精米運転をおこなうための工程SB03で行う精米運転条件の決定のための処理の具体例を、表2および表3を参照して説明する。
ただし、精米率の測定は、その後に行う精米運転の時間を予測するためのものであり、この目的を達成できるかぎり、何時の時点で精米率を計るのか、何回モータを止めて精米率を計るのかは、当業者であれば自由に決めることが可能である。
従って、次に説明するのは、5合の玄米を「白米」モードによって精米する運転条件を決定する処理例を示すが、本願発明を説明するための例示であり、本願発明を限定するものと解釈するものではない。
表2は、5合を精米するための段階的に撹拌回転速度を変化させて精米する精米工程の基本的な精米動作プロファイルの例を示している。
ここでは、「早炊き玄米」モード、「FRESH」モード、「白米〜無洗米」モード、「3分搗き」モード、そして「5分搗き」モードでは、1速のみの定速撹拌によって精米する運転、いわゆる定速撹拌運転が行われ、「7分搗き」モードでは、2速による逓減撹拌運転、「白米」モード、「上白米」モード、「胚芽」モードでは、3速による逓減撹拌運転、そして、「玄米から無洗米」モードは、4速による逓減撹拌運転が行われることを示している。
「白米」モードの精米動作プロファイル(3速による逓減撹拌運転)は、初期の段階(つまり第1速目)の「2550回転/分、45秒間」の運転、次の第2段階(つまり第2速目)の「2350回転/分、90秒間」の運転、そして、最後の第3段階(つまり第3速目)の「2100回転/分、30秒間」の運転の、3段階の運転からなっている。最後の第3段階目(第3速目)は、比較的遅い回転速度による短い時間の精米であり、米を削るというよりも、むしろ米を磨くという作用が強い。従って、精米率の測定は、第3速目ではなく、第2速目の運転途中で行う。第2速目の運転途中のどこで止めるか、すなわち一時的精米停止時期を何時にするかは任意であるが、この例では、精米動作プロファイルで示された第2速目運転時間90秒を経過する60秒前、つまり、第2速目の運転を開始してから30秒後に測定を行うようにしている。ただし、この30秒の値は、事前の幾つかの精米試験から、精米動作プロファイルに従って精米した場合に、第2速の30秒後で平均して92.5%の精米度となる結果から得たものである。その米の生産時期や種類、保存期間等による米の質によっても、さらには、その精米機の特性や、精米かごや回転撹拌体の形状によっても精米度が影響されるため、30秒後で92.5%となることを保証するものではない。
もし、精米運転を開始して(SB04)、第2速目の運転開始から30秒後に行った精米率の測定結果(SB08)が、92.5%を示している場合には、基本の精米動作プロファイルに従って精米されていると考えることができる。従って、残りの精米運転は、基本の精米動作プロファイルに従い、第2速の2350回転/分を残りの60秒(=90秒―30秒)間行い、さらに、つぎに、第3速の2100回転/分で30秒間精米運転を行う(SB10)。
事前の予想の92.5%よりもより多く精米している場合、例えば、測定した精米率が92%の場合には、予想より早く精米が進んでいることを意味している。従って、第2速での残りの精米時間は、基本の精米動作プロファイルで示されている残りの精米時間60秒(=90秒−30秒)よりも小さい精米時間、例えば、40秒で行うようにする。また、測定精米率が91.5%の場合には、さらにより早く精米が進んでいることを意味している。従って、第2速での残りの精米時間は、基本の精米動作プロファイルで示されている残りの精米時間60秒(=90秒−30秒)よりも更に小さい精米時間、例えば、20秒で行うようにする。
測定した精米率がすでに目標とした白米の精米率91%に到達してしまっていた場合には、もうそれ以上第2速での精米を行わずに、基本の精米動作プロファイルの第3速運転に入る。この第3速でも多少の精米は行われるが前述のように米を磨く作用の方が強いため、基本の精米動作プロファイルの3速目の運転条件に従っても、精米率は許容範囲に収まるものと推定される。
一方、測定した精米率がすでに目標の白米の精米率91%よりも小さい90.5%であり、過多に精米をしてしまった場合には、第3速での精米運転の時間である30秒よりも少なく、例えば、10秒短縮して、第3速での精米運転時間を20秒とする。このように、次の段階での精米運転の時間を調整して、許容範囲の精米率となるようにしてもよい。
以上で説明したように、測定した精米度の違いにより、残りの精米運転の時間を調整することで、精米対象の玄米の特性の違いによる精米度合いの違いを吸収して、より精度の高い精米を行うことが可能となる。
2速あるいはそれ以上の段階からなる精米運転では、第2速目で主に時間調整し、場合によって、第3速目やそれ以降の段階の運転で時間調整を行うのは、4速からなる玄米〜無洗米モードにおいても同様である。「玄米〜無洗米」モードは、玄米を白米にし、さらに米を水で研がずにそのまま炊くことができる状態の無洗米にするモードである。4速目(2100回転/分、300秒)は、3速目(2100回転/分、30秒)と同様に、米を削るというよりも、むしろ米を磨くという作用が強いため、基本的に測定した精米率と、目標とする精米率との差による精米時間の調整は、第2速目に対して行う。
表2の7分搗きモードにおいても、第2速目を精米時間の調整に使用するのは、白米モードと同様である。7分搗きモードでは、第1速目は2250回転/分で60秒間運転し、第2速目は2100回転/分で60秒間運転する運転条件となっており、いずれも比較的長めの精米を行っている。従って、精米度の測定は、第2速目の運転途中で行い、その測定した結果に応じて、第2速目の残りに運転時間が調整されることが好ましいが、第1速と第2速との切換時に測定を行ってもよく、あるいは第1速目の途中から測定を行ってもよい。
一方、1速のみによる精米運転では、基本的な精米条件を示す精米動作プロファイルで定められた1速の精米時間が経過する前に精米率の測定を行い、そこから残りの精米運転の時間を求め、その求められた時間だけ1速での精米運転を行う。
以上で説明したように、ここでは、第1速目又は第2速目で主に時間調整を行っているが、精米時間の測定と調整をどのように行うかは、目標とする精米度が得られる限り任意に決めることができる。つまり、どの速度の段階で、何時の時点でモータを止めるか、何度モータを止めて測定するかは、精米率の精度や、精米するために必要な全体の時間や、精米する環境等を考慮して、自由に決めることが可能である。
また、測定した精米率の違いによって、目的とした精米率またはその許容範囲とするまでの残りの精米運転の時間をどのように予測するかについても、多様な手法から選択することができる。例えば、何回かの精米運転から得られた精米度のデータに基づいて人工知能や予測関数等を使って予測するなど、様々な予測手法が考えられる。さらに、この例では、白米モードにおける白米の精米度を精米率として91%として設定しているが、この数値は例示であり、これに限定されるものではないことは、すでに説明したとおりである。
表3に示した精米工程の精米動作プロファイルは、連続して回転数が低減していく精米運転である。精米率の測定と、その測定した結果に応じて残りの精米時間が調整される点で表2の段階的低減で説明したものと基本的に相違しない。ただし、測定した精米率の結果によって、残りの精米運転時間が、基本的な精米動作プロファイルで示した運転時間よりも短くなったり、あるいは長くなるような場合、例えば、基本の精米動作プロファイルでは残りが60秒あるにもかかわらず、精米率の測定によって40秒に短縮させる場合に、モータをどの回転数から始めるかを決定する必要がある。この様な決定の方法の好適な一例としては、基本の精米動作プロファイルから、60秒後の時点から遡って40秒手前のモータの回転数を求め、その回転数から精米動作プロファイルに従った連続減衰回転による精米を40秒間行うようにしてもよい。尚、表2、表3でも、「早炊き玄米」は、表1に示したように、その精米率は99.6%と、削る量が非常に少なく、しかも、精米時間も30秒と短い。また、「FRESH」も、表面をさっと磨くためのものであるから、他の精米とは目的がやや異なる。従って、「早炊き玄米」や「FRESH」モードでは、精米途中の精米率の測定を行なわないように設定可能としてもよい。また、それ以外の精米モードについても、急ぎの精米が必要な場合等を考慮し、ユーザの任意で精米途中の精米率の測定は行わないように設定できるようにしても良い。
基本とする精米動作プロファイルは、特開2011−062701号公報の表1〜表10にも示されているように、1、2、3、4、5の整数単位の合数が用意されている。一方、精米機1が精米できる量は、各整数合に限らず、精米可能な最小量と最大量の間(この例では、1合〜5合の間)であれば、どのような量でもよい。中間の精米量を精米処理するための精米運転条件は、整数の各合の精米動作プロファイルを基準として決定される。その決定する手法の一例を以下に示す。
まず、精米かごに投入された米の重さを測定する。そしてその重さから、対応する合数を算出する。本願の例では、1合=約150gとして算出する。そして、その算出した量の下2桁を四捨五入して精米量とする。例えば、測定した米の重さが651gであれば、米の測定量は4.34合となり、その下2桁を四捨五入して、精米量は4.3合となる。また、米の測定量が4.67合であったときは、下2桁を四捨五入した精米量は4.7合となる。
つぎに、精米量の下一桁を四捨五入して基準となる合数(以下、“基本合数”という)とし、その基本合数に対応した精米運転条件を基準の精米運転条件(以下“基本精米運転条件”という)とする。例えば、精米量が4.3合であるときは、その下一桁を四捨五入した合数は4合であるために、4合が基本合数となり、その基本合数に対応した精米動作プロファイルに基づいて基本の精米運転条件が定められている。一方、精米量が4.73であるときは、その下一桁を四捨五入して基本合数5合を求め、その5合の精米動作プロファイルに基づいて、基本の精米運転条件が定められる。
さらに、その基本精米運転条件のなかから、途中でモータを停止して精米率を測定する時間を、基本合数から精米合数の差に応じて、短縮または増加させる。
例えば、表2を例にすると、精米量が4.7合のときは、5合の精米動作プロファイルを基本精米動作プロファイル(3速による逓減撹拌運転)とする。そして、5合の「白米」モードの精米運転の場合、すでに説明したように、精米動作プロファイルで示された第2速目運転時間90秒を経過する60秒前、つまり、一時的精米停止時期を30秒後とし、第2速目の運転を開始してから30秒後にモータを一時的に停止して米の重さを測定して精米率を求めるようにしている。一方、5合よりもやや少ない4.7合の精米量の場合には、より精米が進むことが予想されるために、例えば、一時的精米運転停止時期を30秒から10秒減らして20秒後とする。そして、第2速目の運転開始から20秒後の時間にモータを停止して精米率を求める。
3合を基本合数としたときの白米モードでの精米量(A)と第2速目での一時的精米運転停止時期(B)の例(A:B)を以下に示す。
A(3.0合):B(30秒)、A(2.9合):B(25秒)、A(2.8合):B(25秒)、A(2.7合):B(20秒)、A(2.6合):B(20秒)、A(2.5合):B(20秒)、A(3.1合):B(35秒)、A(3.2合):B(40秒)、A(3.3合):B(45秒)、A(3.4合):B(45秒)
以上のように、一時的精米停止時期は、基本の精米運転条件を基準にして、およそ5秒から15秒程度調整される。
当然ながら、精米量に応じて、他のステージでの精米の進む程度が変るものと予想される。従って、その求めた精米率と米の量に応じて残りの精米運転の条件を決定すれば、より精度の高い精米を得ることが可能となる。残りの精米運転の条件は、様々な予測手法を使って決定できることはすでに述べたとおりである。精米機1のメモリには、基準となる精米条件、すなわち各基本合数ごとの基本の精米動作プロファイルで示された基本の精米運転条件のデータと、その基本の精米運転条件のデータを基にして、精米量に応じた精米運転の条件が0.1合単位で予め定められて、記憶されている。従って、精米動作を開始するときに、測定した米の重さから精米量を求め、それに対応する精米時間をメモリから読み出して、精米運転全体の運転条件が決定される。尚、精米量に応じてどの段階の精米時間を増減するかは任意に選択可能である。また、その増減値も本願の例に限定されるものではなく、例えば、その精米量と基本合数との差に比例して精米時間を増減させてもよい。
このようにして、基本の精米動作プロファイルから、精米率を求めるための一時的精米運転停止時期が決められ、基本合数と精米量との差から一時的精米運転停止時期がさらに調整されて、精米量に対する精米条件が決定される。
図10Bの動作フローチャートの説明に戻ると、精米率を測定するために、前述して決定した精米動作条件に基づいて動作を開始し(SB04)、決められた時間にモータをストップさせる(SB05)。ここで、モータの回転は、駆動軸に取りつけられた下カップリング20と、精米かご5に取り付けられた上カップリング19とが結合して、モータの回転力を精米かご5に伝えるようにしている(図8を参照)。運転中は、回転撹拌体9は高速に回転しているために、モータにストップがかけられると、回転撹拌体9の回転運動慣性により、下カップリング20と上カップリング19とがずれた状態になったり、あるいは、下カップリング20に上カップリング19が乗り上げる状態となる場合がある。そのような状態になると、精米かご5の重さが筒状壁5k(図4B)を通して上側荷重中継部105(図2A)に正確に伝えられずに、精米かご5内の精米重量も正確に測定できない。
図4Bから明らかなように、精米かごの筒状壁5k内で露出している上カップリング19は、垂直に伸びた面と傾斜した面とから形成された突起が円周状に複数形成されており、通常の運転では、垂直に伸びた面とモータ軸に取りつけられた下カップリング20の面とが合わさることで、回転力を伝えながらその噛み合わせが簡単に外れないようにしている。一方、傾斜した面は、たとえ下カップリング20と精米かご5に取り付けられた上カップリング19とがずれた状態や乗り上げた状態となったとしても、モータを逆回転させて正常なかみ合わせ状態になるようにしたものである。つまり、モータを逆回転させると、上カップリング19のその傾斜した面に沿って下カップリング20の突起が上カップリング19の隣の突起へと移動して、一方のカップリングの突起が他方のカップリングの隣接する突起の間に自由な状態で噛み合うようにすることができる。
従って、下カップリング20と精米かご5に取り付けられた上カップリング19とがずれた状態や乗り上げた状態となった状態を想定して、モータの回転を監視するエンコーダからの信号により、モータの回転が停止したこと、つまり、0rpmとなったことをマイクロコンピュータ81が確認すると(SB06)、モータを約0.1秒ほど一瞬逆回転運動させて(SB07)、突起どおしを適正な位置関係にした後に精米重量を測定する(SB08)。
精米運転の設定の段階で、すでに精米の最初の重さや、これまでの精米によって想定される現時点の精米重量はおよそ推定することが可能である。従って、マイクロコンピュータ81は、その推定した精米重量が、測定した精米重量との間で、大きな差があった場合には、その主な原因は、下カップリング20と上カップリング19との間で正しい位置状態に復帰されていないことを示している。そこで、マイクロコンピュータ81は、測定した精米重量が、推定した精米重量より所定の誤差範囲以上外れていると判断すると(SB09の判断“異常”)、再度モータを瞬間的に再度逆回転させるようにしている。尚、本例では、モータを逆回転することでカップリング間の調整をしているが、そのカップリングどうしの形状によっては、順方向に一瞬回転させてもよく、あるいは正逆の回転動作を小刻みに行っても良い。
そして、上記ステップを踏んで、SB09において、測定した精米量が“正常”の場合、先に説明したように精米度の測定から残りの精米条件が決定され、さらなる精米が必要な場合には、精米運転を再開する(SB10)。また、1回の精米測定では十分な精米度を得られない場合には、さらなる精米が可能なように、追加運転も可能である(SB10)。一方、マイクロコンピュータ81は、測定された精米度が、目標とする許容可能な精米度の範囲にあると判断すると、精米運転を終了して表示画面に運転終了を表示して、再スタートができないように制御する(SB11)。ユーザは蓋体3を開けて米を取り出すことで(SB12)精米が終了する。尚、前述のように3速の逓減撹拌運転の場合の精米度の最終測定は2速目の延長運転終了時点で行い、測定された精米度が目標値内であると判断された場合、3速の磨き運転に移行した後3速の運転を終了した時点で精米運転を終了するようにしても良い(SB11)。
このように、マイクロコンピュータ81は、測定した精米重量が、推定した精米重量から所定の誤差範囲内に収まったことを確認すると、測定した精米重量から現在の精米率を計算し、その計算した精米率と目的とした精米率とから、残りの精米運転条件を決定し、その決定した精米運転条件に応じて精米運転を行い、必要に応じて再度精米重量の測定の工程を繰り返すことで、目的とする精度の精米度に精米することが可能となる。
[運転条件プロファイルの更新]
本願では、精米度を測定するために、精米工程中に一時的にモータを停止し、精米重量を測定している。したがって、この精米重量を測定して精米する一連のプロセスにより、より適正な精米運転プロファイルを得ることができる。
精米する対象、例えば、品種や米等の穀類が栽培される国によって、その硬さや性質、さらには壊れやすさがまちまちである。例えば、硬い米で精米がしにくいような場合には、目的とする精米度にするためには、初期の設定した精米時間より多くの時間が必要となる。本願の精米機1によって、一度精米すると、精米の回転数と、その精米時間によって、どれだけの精米度となるかのデータを得ることができるため、後で同じ米を精米する場合には、その得られたデータを有効利用することで、より正確な精米を行うことが可能となる。
精米機1は、その得られたデータを記憶し、精米動作プロファイルを更新し、更新した精米動作プロファイルのデータに基づき、新たな精米を行い、その新たな精米によって、さらに、精米のためのモータの回転速度とその運転時間と、精米度との関係データを得るようにしてもよい。そして、そのデータにより、より精度の高い精米を行うことが可能となる。メモリ84は、書き換え可能なメモリであって電源を切っても内容が消えないメモリ、例えば、フラッシュROM等の半導体メモリを含み、マイクロコンピュータ81は、その書き換え可能なメモリに、更新された精米運転プロファイルが実行可能なようにデータが記憶される。そして、その記憶されたデータに基づいて、更新された精米動作プロファイルに従った運転を行うように、マイクロコンピュータ81はプログラミングされている。
また、精米機1のメモリには、複数の種類の米ごとにその更新した精米動作プロファイルを記憶するようにしてもよい。精米を行うときは、記憶した精米の種類を表示画面77に表示し、操作パネル部を介して、米の種類の入力や選択を行えるようにしても良い。そして、精米を行う前に選択された米に応じた精米動作プロファイル用データが読み出されて、その精米運転が行われる。この場合、かなりの精度で精米が可能な精米動作プロファイル用データが得られているために、精米途中の精米率の測定は行わずに、通常の精米機のように更新された精米動作プロファイルに従った精米を行えるようにしてもよく、精米率の測定をするか、精米率を途中で測定せずに一貫した精米を行うかをユーザによって指示可能としてもよい。さらに、精米機1の精米運転プロファイル用データはリセットされ、初期の工場出荷時のデフォルト・データに戻すことも可能である。