本発明を具体化した実施の形態について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成などは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
[1.テープ印字装置1]
図1〜図3を参照して、テープ印字装置1を説明する。以下の説明では、図1および図2の左下側、右上側、左上側、右下側、上側、下側を、それぞれ、テープ印字装置1の前側、後側、左側、右側、上側、下側とする。
図1に示すように、テープ印字装置1は、フロントパネル6を備えた筐体2と、上カバーユニット5とを有する。上カバーユニット5は、筐体2の後端部に設けられた回転軸部2A(図3参照)を中心に回転することで、筐体2に対し開閉可能である。筐体2の左右両側には、解除つまみ17が設けられている。解除つまみ17が上側に押し上げられると、筐体2への上カバーユニット5の係止が解除され、上カバーユニット5が開放可能な状態となる。
上カバーユニット5は、タッチパネル51と、略矩形状の液晶パネル52と、操作ボタン部53とを備える。タッチパネル51は、上カバーユニット5の上面に設けられ、ユーザが各種情報(例えば、印字対象のテキスト)をタッチ操作で入力できる。液晶パネル52は、タッチパネル51の後側に設けられ、各種情報を表示可能である。操作ボタン部53は、上カバーユニット5の前側寄りの上面位置に設けられ、電源ボタン、ステータスボタン、フィードボタン等を含む。
フロントパネル6には、第一排出口6Aと、第一排出口6Aよりも下側に位置する第二排出口6Bとが設けられている。第一排出口6Aは、上カバーユニット5を筐体2に対して閉じた状態で、筐体2の前面側上縁部と上カバーユニット5の前面側下縁部とによって形成される。上カバーユニット5の第一排出口6A側における下縁部内側には、切断刃8が下側に向けて付設されている。
図2および図3に示すように、テープ印字装置1は、筐体2の内部空間の後方に、凹状のロール収納部4を有する。ロール収納部4は、印字用のテープ30をロール状に巻回したロール3を収容可能である。ロール収納部4に収容されたロール3は、テープ30の巻回中心が左右方向に延びる状態で、左右方向を中心に回転可能である。ロール収納部4の底面部には、複数の支持ローラ55が設けられている。複数の支持ローラ55は、プラテンローラ66の回転駆動時に、ロール3から引き出されるテープ30の外周面に接触して従動的に回転可能である。
テープ30の両面は、印字面30Aおよび反対面30Bである(図5、図6参照)。印字面30Aは、キャラクタ(文字、数字、図形等)が印字される領域である印字領域40を含む(図5参照)。反対面30Bは、印字領域40の位置を特定するための領域である基準部31を含む(図6参照)。ロール3では、印字面30Aが径方向外側を向くように(換言すれば、反対面30Bが径方向内側を向くように)、テープ30がロール状に巻回されている。
ロール収納部4には、左右方向に対向配置された一対のガイド部材20A,20Bが設けられている。ガイド部材20Aは、ロール収納部4に収容されたロール3の右側端面3Rに接触可能な板状部材である。ガイド部材20Bは、ロール収納部4に収容されたロール3の左側端面3Lに接触可能な板状部材である。ガイド部材20A,20Bは、左右方向に沿って進退することで互いに遠近可能である。ロール収納部4に収容されたロール3の幅(つまり、テープ30のテープ幅)に応じて、ガイド部材20A,20Bの左右方向位置を調整する。これによりガイド部材20A,20Bは、ロール収納部4に収容されたロール3を左右両側から挟み込んで、ロール3から引き出されるテープ30を幅方向にガイドする。
上カバーユニット5の前端部下側には、印字ヘッド61が設けられている。筐体2の前端部上側は、印字ヘッド61と上下方向に対向してプラテンローラ66が設けられている。プラテンローラ66のローラ軸66Aは、軸方向両端に設けたブラケット65によって回転自在に軸支されている。ローラ軸66Aの一方の軸端には、プラテンローラ66を駆動するギア(図示外)が固定されている。上カバーユニット5が筐体2に対して閉じられると、搬送経路上のテープ30が印字ヘッド61とプラテンローラ66とに挟持され、印字ヘッド61がテープ30に印字可能な状態となる。さらにローラ軸66Aに固定されたギアが筐体2側のギア列(図示外)に噛合して、ステッピングモータである搬送モータ214(図4参照)がプラテンローラ66を回転可能な状態となる。
プラテンローラ66よりも前方側には、剥離板58が設けられている。剥離板58は、テープ30が印字層、粘着剤層、及び剥離材層の3層構造を有するラベル用テープである場合、印字済みのテープ30から剥離材層を引き剥がす。プラテンローラ66の下方には、ピンチローラ59が設けられている。ピンチローラ59は、剥離板58により下方側へ折り返された剥離材層を、プラテンローラ66との間に挟み込んで搬送する。
上カバーユニット5を筐体2に対して閉じた状態で、ユーザはタッチパネル51から印字開始を指示する。搬送モータ214がプラテンローラ66を回転駆動するのに伴って、テープ30がガイド部材20A,20Bでガイドされながらロール3から引き出される。引き出されたテープ30は、印字ヘッド61によって印字された後、剥離板58を経由して第一排出口6Aから筐体2の外部へ排出される(図3の一点鎖線を参照)。印字済みのテープ30は、切断刃8によって切断される。
テープ30がラベル用テープである場合は、剥離板58によって印字済みのテープ30から剥離材層が引き剥がされる。引き剥された剥離材層は、ピンチローラ59によって第二排出口6Bから筐体2の外部へ排出される(図3の破線を参照)。一方、テープ30の印字層および粘着剤層は、第一排出口6Aから筐体2の外部へ排出された後、切断刃8によって切断される(図3の一点鎖線を参照)。
図2および図3を参照して、反射センサ100を説明する。反射センサ100は、プラテンローラ66とロール収納部4との間に形成された凹部であるセンサ配置部102に配置されている。上カバーユニット5の下面における印字ヘッド61の搬送方向上流側に、所定の色(例えば黒)で形成された面部である反射面101が設けられている。上カバーユニット5が筐体2に対して閉じられると、テープ30の搬送経路を挟んで反射センサ100と反射面101とが対向する。
反射センサ100は、公知の反射センサと同様に図示外の発光部及び受光部を有する。発光部は、反射面101に向けて検出光を照射する。搬送経路上にテープ30がある場合、照射された検出光がテープ30で反射して、受光部によって受光される。搬送経路上にテープ30がない場合、テープ30に照射された検出光が反射面101で反射して、受光部によって受光される。受光部が受光する光量(以下、反射光量)は、検出光がテープ30および反射面101のいずれで反射したか、およびテープ30において検出光が照射された部位の色に応じて異なる。
テープ印字装置1のCPU201(図4参照)は、反射光量が所定の閾値以上である検出位置を白色と判断する一方、反射光量が所定の閾値未満である検出位置を黒色と判断する。白色および黒色で表される縞模様状の検出パターン(一次元のコード)が、基準部31を示す指標である基準コード9(図6参照)と一致する場合、CPU201は基準部31を検出したと判断する。CPU201は、検出した基準部31に基づいて各種印字制御を行う。例えばCPU201は、検出した基準部31に基づいて、印字領域40(図5参照)の位置を特定する。CPU201は、印字領域40が印字ヘッド61と対向する位置までテープ30を搬送すると、印字ヘッド61によって印字を開始する。
反射センサ100は、テープ30の搬送方向に直交するテープ30の幅方向(本実施形態では、左右方向)に沿って、センサ配置部102内を移動可能である。ユーザはロール収納部4にロール3を収容したのち、基準部31の幅方向位置と一致するように、反射センサ100の左右方向を調整する。これによりテープ印字装置1では、テープ幅が異なる複数種類のテープ30に対応して、反射センサ100を用いて基準部31を検出できる。
図4を参照して、テープ印字装置1の電気的構成について説明する。テープ印字装置1は、テープ印字装置1の制御を行うCPU201を備えている。CPU201は、ROM202、フラッシュメモリ203、RAM204、CGROM205、通信I/F206、駆動回路209〜212、出力回路213、及び反射センサ100に接続されている。
ROM202には、CPU201が実行する各種プログラム(例えば、図7の基準部検出処理のプログラム等)が記憶されている。フラッシュメモリ203には、先述の閾値および後述のコード情報が記憶されている。ユーザは各種条件(例えば、テープ30の種類、テープ印字装置1の使用環境等)に応じて、フラッシュメモリ203に記憶されている閾値を所定の範囲(許容閾値幅)内で変更可能である。RAM204には、後述の各種変数を含む一時データが記憶される。CGROM205には、印字対象のテキストをテープ30に印字するための印字用のドットパターンデータが記憶されている。
駆動回路209は、印字ヘッド61を駆動するための電子回路である。駆動回路210は、搬送モータ214を駆動するための電子回路である。駆動回路211は、切断刃8を動作させるカッターモータ215を駆動するための電子回路である。駆動回路212は、タッチパネル51を駆動するための電子回路である。出力回路213は、液晶パネル52の表示制御を行う電子回路である。
[2.第一実施形態に係るテープ30]
図5および図6を参照して、第一実施形態に係るテープ30を説明する。本実施形態のテープ30は、リストバンド50を印刷および作成するための長尺状テープであり、白色用紙の一層構造を有する。テープ30では、複数のリストバンド50がテープ30の長手方向に連続して設けられている。テープ30の長手方向は、テープ30の搬送方向と同義である。テープ30において隣り合うリストバンド50の接続位置に、テープ30の短手方向全体に亘ってミシン目41が設けられている。テープ30の短手方向は、テープ30の幅方向と同義である。
各リストバンド50には、テープ30を厚み方向に貫通する穴である複数の調整穴42および一つの固定穴43が予め形成されている。複数の調整穴42は、搬送方向に沿って間隔を空けて並ぶように、リストバンド50における搬送方向下流側(図5、図6では左側)に設けられている。一つの固定穴43は、リストバンド50における搬送方向上流側(図5、図6では右側)に設けられている。これらの調整穴42および固定穴43は、リストバンド50における幅方向中央部に設けられている。本実施形態では、調整穴42および固定穴43は3mm径の円形穴であり、16個の調整穴42が均等間隔(例えば、10mm間隔)で搬送方向に並んでいる。
図5に示すように、テープ30の印字面30Aには、リストバンド50毎に印字領域40が設けられている。印字領域40は、複数の調整穴42と固定穴43との間に設けられた、搬送方向に長い長方状の白色領域である。印字領域40に各種情報が印字されたリストバンド50は、ミシン目41でテープ30から切り離される。ユーザは固定穴43と調整穴42とを図示外の留め具で固定することで、リストバンド50を腕に巻き付けることができる。ユーザは留め具で固定する調整穴42を変更することで、リストバンド50の巻き径を調整できる。
図6に示すように、テープ30の反対面30Bには、リストバンド50毎に基準部31および非基準部32,33が設けられている。非基準部32は、基準部31に対して搬送方向下流側に設けられた、複数の調整穴42が形成されている領域である。非基準部33は、基準部31に対して搬送方向上流側に設けられた、固定穴43が形成されている領域である。つまり、搬送方向における非基準部32、33の間に、基準部31が設けられている。
基準部31は、少なくとも調整穴42および固定穴43よりも幅方向に延びる基準コード9を含む。基準コード9は、複数の識別マークが所定の順序で搬送方向に隙間なく並んで配置された、後述の第一領域44よりも幅方向に延びるバーコードである。各識別マークは、第一マーク31Aおよび第二マーク31Bのいずれかである。第一マーク31Aは、黒色および白色のうちの一方である第一色の部分である。第二マーク31Bは、黒色および白色のうちの他方である第二色の部分である。本実施形態では、第一色は黒色、第二色が白色である。つまり、第一マーク31Aは、基準部31において予めテープ30に印刷された黒色部分である。第二マーク31Bは、基準部31における第一マーク31A以外の部分であり、テープ30の無着色部分である。
本実施形態の基準コード9は、テープ30の幅方向全体に亘って延びており、本マーク91および安定マーク92を含む。本マーク91は、規定の搬送方向長さ(以下、長さL11)を有する第一マーク31Aである。本マーク91は、テープ印字装置1が印字領域40を特定するための原点位置を示す。安定マーク92は、規定の搬送方向長さ(以下、長さL12)を有する第二マーク31Bである。安定マーク92は、本マーク91に対して搬送方向の上流側または下流側に設けられた、テープ印字装置1が本マーク91を特定するための指標部である。本実施形態の安定マーク92は、基準コード9に含まれる識別マークのうちで最も搬送方向長さが大きく、且つ本マーク91に対して搬送方向下流側に隣り合っている。
安定マーク92の長さL12は、本マーク91の長さL11よりも大きい。さらに、長さL12は、搬送方向に隣り合う二つの調整穴42の離間距離M1(本実施形態では、10mm)よりも大きい。長さL12は、搬送方向に隣り合う調整穴42および後述の第一領域44の離間距離M2(本実施形態では、8mm)よりも大きい。
先述のテープ印字装置1(図4参照)は、搬送モータ214がテープ30を1ステップ分(一例として、0.1mm)搬送する毎に、反射センサ100が1ステップ分の色検出を実行する。本マーク91の長さL11は、40ステップ分の色検出に相当する搬送距離(つまり、4mm)である。安定マーク92の長さL12は、240ステップ分の色検出に相当する搬送距離(つまり、24mm)である。したがって長さL12は、長さL11および離間距離M1,M2のいずれよりも大きい。
非基準部32は、第一マーク31Aと同じ第一色の部分である第一領域44と、第二マーク31Bと同じ第二色の部分である第二領域45とを含む。本実施形態では、第一領域44は、非基準部32において予めテープ30に印刷された黒色部分である。第二領域45は、非基準部32における第一領域44以外の部分であり、テープ30の無着色部分である。複数の調整穴42の各々が黒色および白色の両方を示す部分であると仮定して、非基準部32が搬送方向に基準コード9を含まない配色となるように、第一領域44および第二領域45の配置、搬送方向長さ、形状等が規定されている。
第一領域44は、複数の調整穴42の少なくとも一つに対して、搬送方向の上流側および下流側の少なくとも一方に設けられる。第一領域44は、第一領域44と搬送方向に対向する調整穴42よりも幅方向に延びている。さらに、第一領域44の搬送方向長さ(以下、長さL21)は、本マーク91の長さL11よりも大きい。搬送方向に隣り合う二つの第一領域44の離間距離L22は、安定マーク92の長さL12とは異なる。
本実施形態では、9個の第一領域44が均等間隔(例えば、18mm間隔)で搬送方向に並んでいる。つまり、離間距離L22は18mmであり、長さL12(すなわち、24mm)とは異なる大きさである。各第一領域44は、テープ30における幅方向中心部に配置された、幅方向に長い長方形状の黒色部分である。各第一領域44の長さL21は8mmであり、長さL11(すなわち、4mm)よりも大きい。各第一領域44は、いずれかの調整穴42と長手方向に隣り合っているか、あるいは、いずれかの調整穴42の一部または全部が内側に形成されている。
非基準部33のうちで固定穴43以外の部位も、第二領域45である。したがって、非基準部33に含まれる第二領域45は、非基準部33の搬送方向上流側に設けられた非基準部32に含まれる第二領域45と、ミシン目41を挟んで連続する。
[3.基準部検出処理]
図7〜図11を参照して、テープ印字装置1の基準部検出処理を説明する。基準部検出処理は、基準部31をテープ30から検出するための処理である。例えばユーザがテープ印字装置1に印字実行を指示すると、CPU201はROM202に記憶されているプログラムを読み出して、基準部検出処理を実行する。図7に示すように、基準部検出処理では、まず初期化処理が実行される(S1)。
図8に示すように、初期化処理(S1)では、RAM204に記憶されている搬送カウンタcntが「0」に初期化される(S31)。搬送カウンタcntは、搬送モータ214がテープ30を搬送したステップ数(つまり、テープ30の搬送量)を示す変数である。RAM204に記憶されているレコード数recordNumが「0」に初期化される(S33)。レコード数recordNumは、反射センサ100による検出パターンを示すレコードの数量を示す変数である。各レコードは、テープ30において同一色が搬送方向に連続する領域である同一色領域(つまり、同一色が連続して検出された検出パターン)ごとに設けられ、色情報および長さ情報を含む。色情報は、同一色領域が黒色および白色のいずれであるかを示す。長さ情報は、同一色領域の搬送方向長さに対応するステップ数を示す。
RAM204に設けられた履歴バッファ(図示外)が初期化される(S35)。履歴バッファは、レコードが記憶される記憶領域である。履歴バッファでは、レコードが記憶された順に、各レコードに「1」番目から昇順に識別番号が割り振られる。最初のレコードが、初期化された履歴バッファに設定される(S37)。最初のレコードは、「白色」を示す色情報と、「0」を示す長さ情報とを含む。その後、処理は基準部検出処理(図7)に戻る。
図7に示すように、ステップS1の実行後、搬送モータ214が1ステップ分駆動されて、テープ30が所定距離(本実施形態では、0.1mm)搬送される(S3)。搬送カウンタcntが「1」加算される(S5)。基準コード9を検出したか否かを判定するバーコード判定処理が実行される(S7)。
図9に示すように、バーコード判定処理(S7)では、搬送カウンタcntが上限値よりも大であるか否かが判定される(S41)。例えば上限値は、リストバンド50の搬送方向長さに相当する搬送モータ214のステップ数である。搬送カウンタcntが上限値よりも大である場合(S41:YES)、テープ30の搬送量がリストバンド50の搬送方向長さを超えているため、判定結果として「エラー」が設定される(S43)。
搬送カウンタcntが上限値以下である場合(S41:NO)、反射センサ100による色検出が実行される(S45)。ステップS45では、1ステップ分搬送されるテープ30に照射された検出光の反射光量と、フラッシュメモリ203に記憶されている閾値とに基づいて、白色および黒色のいずれかが検出される。検出された色が、前回のステップS45で検出された色と同じであるか否かが判定される(S47)。
検出された色が前回と同じでない場合(S47:NO)、反射センサ100によって検出される色が変化した(つまり反射センサ100の検出位置が、同一色領域の搬送方向上流側端部に到達した)ことを示す。この場合、取得済みの検出パターンを基準コード9と照合する後述のパターン照合処理が実行される(S49)。ステップS49の実行後、履歴バッファに新たなレコードが設定される(S51)。設定された新たなレコードの色情報に、ステップS45で検出された色が設定される(S53)。設定された新たなレコードの長さ情報に、「1」が設定される(S55)。レコード数recordNumが「1」加算される(S57)。
一方、検出された色が前回と同じである場合(S47:YES)、反射センサ100によって検出される色が変化していない(つまり反射センサ100の検出位置が、同一色領域の搬送方向上流側端部に到達していない)ことを示す。この場合、履歴バッファに記憶されている最新レコードの長さ情報が「1」加算される(S59)。次いで、基準コード9の最終マークの確定条件(詳細は後述)が「長さ以上」であるか否かが判定される(S61)。なお、最終マークは、基準コード9に含まれる複数の識別マークのうちで、搬送方向の最上流側に配置された識別マークである。
最終マークの確定条件が「長さ以上」である場合(S61:YES)、現在検出中の同一色領域の搬送方向長さが確定していなくても、後述の長さ照合処理(S91)を実行可能である。この場合、ステップS49と同様にパターン照合処理が実行される(S63)。一方、最終マークの確定条件が「同等長さ」である場合(S61:NO)、現在検出中の同一色領域の搬送方向長さが確定していなければ、後述の長さ照合処理(S91)を実行できない。この場合、判定結果として「継続」が設定される(S65)。
図10に示すように、パターン照合処理(S49またはS63)では、レコード数recordNumが基準コード9のマーク数未満であるか否かが判定される(S81)。基準コード9のマーク数は、基準コード9に含まれる複数の識別マークの数量である。
本実施形態では、基準コード9を識別するためのコード情報が、あらかじめフラッシュメモリ203に記憶されている。コード情報は、基準コード9に含まれる複数の識別マークの数量および配列と、各識別マークが白色または黒色のいずれであるかを示す色情報と、各識別マークの搬送方向長さを示す長さ情報と、後述する各識別マークの確定条件とを示す。コード情報では、搬送方向の下流側から上流側に向けて並ぶ複数の識別マークに、「1」番目から昇順に識別番号が割り振られている。CPU201は、フラッシュメモリ203のコード情報を参照することで、基準コード9のマーク数と、各識別マークの順番、色情報、長さ情報、および確定条件とを特定できる。
レコード数recordNumが基準コード9のマーク数未満である場合(S81:YES)、基準コード9と照合するのに必要な検出パターン数が不足しているため、判定結果として「継続」が設定される(S83)。一方、レコード数recordNumが基準コード9のマーク数以上である場合(S81:NO)、マーク数と同数以上の検出パターンが履歴バッファに記憶されている。この場合、RAM204に記憶されている変数nが「1」に初期化される(S85)。
次いで、履歴バッファに記憶されているn番目(つまり、変数nと同一番号)のレコードの色情報と、基準コード9に含まれるn番目の識別マーク(以下、n番目マークという。)の色情報とが比較される(S87)。ステップS87の比較結果に基づいて、n番目レコードの色情報が示す色と、n番目マークの色情報が示す色とが一致したか否かが判定される(S89)。色が一致した場合(S89:YES)、n番目レコードとn番目マークとに基づいて搬送方向長さを照合する長さ照合処理が実行される(S91)。
図11に示すように、長さ照合処理(S91)では、n番目マークの確定条件が、フラッシュメモリ203のコード情報を参照して取得される(S111)。フラッシュメモリ203のコード情報には、各識別マークの確定条件として「同等長さ」および「長さ以上」のいずれかが設定されている。
ステップS111で取得された確定条件が「同等長さ」である場合(S113:YES)、n番目マークの長さ情報とn番目マークの長さ情報とが比較される(S115)。ステップS115の比較結果に基づいて、n番目レコードの長さ情報が示す搬送方向長さが、n番目マークの長さ情報が示す搬送方向長さと同等であるか否かが判定される(S117)。例えば、n番目レコードの搬送方向長さが、n番目マークの搬送方向長さに対して0.8〜1.2の範囲内である場合、搬送方向長さが同等であると判定される(S117:YES)。この場合、照合結果として「長さ一致」が設定される(S119)。一方、搬送方向長さが同等でない場合(S117:NO)、照合結果として「長さ不一致」が設定される(S121)。
ステップS111で取得された確定条件が「長さ以上」である場合(S113:NO)、n番目マークの長さ情報とn番目マークの長さ情報とが比較される(S123)。ステップS123の比較結果に基づいて、n番目レコードの長さ情報が示す搬送方向長さが、n番目マークの長さ情報が示す搬送方向長さ以上であるか否かが判定される(S125)。n番目レコードの搬送方向長さがn番目マークの搬送方向長さ以上である場合(S125:YES)、照合結果として「長さ一致」が設定される(S127)。一方、n番目レコードの搬送方向長さがn番目マークの搬送方向長さ未満である場合(S125:NO)、照合結果として「長さ不一致」が設定される(S129)。ステップS119,S121,S127,S129のいずれかの実行後、処理はパターン照合処理(図10)に戻る。
図10に示すように、ステップS91の実行後、照合結果が「長さ一致」であるか否かが判定される(S93)。照合結果が「長さ一致」である場合(S93:YES)、変数nが基準コード9のマーク数未満であるか否かが判定される(S95)。変数nが基準コード9のマーク数未満である場合(S95:YES)、未判定の識別マークが存在する。この場合、変数nが「1」加算されて(S97)、処理はステップS87に戻る。これにより、互いに対応する順番のレコードおよび識別マークに基づいて、未判定の識別マークがなくなるまでステップS87〜S97が繰り返し実行される。
変数nが基準コード9のマーク数以上である場合(S95:NO)、未判定の識別マークが存在しない。この場合、基準コード9に含まれる全ての識別マークが取得済みの検出パターンと一致するため、照合結果として「パターン一致」が設定される(S99)。一方、色が一致しない場合(S89:NO)、あるいは照合結果が「長さ不一致」である場合(S93:NO)、照合結果として「パターン不一致」が設定される(S101)。ステップS83,S99,S101のいずれかの実行後、処理はバーコード判定処理(図9)に戻る。
図9に示すように、ステップS57,S63のいずれかの実行後、照合結果が「パターン一致」であるか否かが判定される(S67)。照合結果が「パターン一致」である場合(S67:YES)、判定結果として「検出完了」が設定される(S69)。照合結果が「パターン不一致」である場合(S67:NO)、判定結果として「再実行」が設定される(S71)。ステップS43,S65,S69,S71のいずれかの実行後、処理は基準部検出処理(図7)に戻る。
図7に示すように、ステップS7の実行後、判定結果が「継続」であるか否かが判定される(S9)。判定結果が「継続」である場合(S9:YES)、処理はステップS3に戻る。これにより、反射センサ100によって検出される色が変化するか(図9のS47:YES)、あるいは履歴バッファのレコード数が基準コード9のマーク数に達するまで(図10のS81:NO)、ステップS3〜S9が繰り返し実行される。
判定結果が「継続」でない場合(S9:NO)、判定結果が「再実行」であるか否かが判定される(S11)。判定結果が「再実行」である場合(S11:YES)、履歴バッファから最も古いレコードが削除される(S13)。レコード数recordNumが「1」減算される(S15)。その後、処理はステップS3に戻る。これにより、次回のパターン照合処理(図10参照)では、前回判定されたレコードに対する次のレコード(つまり、前回判定された検出パターンに対して搬送方向上流側に隣り合う検出パターン)を先頭として、基準コード9に含まれる複数の識別レコードと順に照合される。
判定結果が「再実行」でない場合(S11:NO)、判定結果が「検出完了」であるか否かが判定される(S17)。判定結果が「検出完了」である場合(S17:YES)、検出された基準コード9に基づいて基準部31が特定される(S19)。例えば、基準コード9のうちで最も搬送方向長さが大きい識別マークが、安定マーク92として特定される。安定マーク92に対して搬送方向上流側に位置する識別マークが、本マーク91として特定される。以降の印字制御では、例えば本マーク91と安定マーク92との境界位置が、印字ヘッド61を印字領域40に対して位置決めするための原点位置として使用される。
判定結果が「エラー」である場合(S17:NO)、例えば基準コード9を適正に検出できないことを報知する等のエラー処理が実行される(S21)。ステップS19,S21のいずれかの実行後、基準部検出処理が終了される。
[4.基準部31の検出態様]
図6、図12、図13を参照して、テープ印字装置1が基準部31を検出する具体的態様を説明する。フラッシュメモリ203には、図6に示すテープ30のコード情報が記憶されている。具体的にコード情報は、基準コード9に二つの識別マーク(本マーク91および安定マーク92)が含まれることを示す。コード情報は、1番目の識別マークである安定マーク92の色情報「白色」、長さ情報「24mm」、確定条件「長さ以上」を示す。コード情報は、2番目の識別マークである本マーク91の色情報「黒色」、長さ情報「4mm」、確定条件「同等長さ」を示す。
先述したように、フラッシュメモリ203に記憶されている閾値は、許容閾値幅内で変更可能である。図12および図13では、フラッシュメモリ203に記憶されている閾値として、閾値T1,T2を例示する。閾値T1は、許容閾値幅内において相対的に大きい閾値である。閾値T2は、許容閾値幅内において相対的に小さい閾値である。したがって、閾値T1は閾値T2よりも、反射光量に基づいて黒色であると判定されやすい。
先述したように、反射センサ100は幅方向位置を変更可能である。図6に示すように、幅方向位置K1は、テープ30において複数の第一領域44よりも幅方向の一端側(図6では上側)に位置する。幅方向位置K2は、テープ30における幅方向中央部に位置する。反射センサ100が幅方向位置K1,K2のいずれにある場合でも、基準部検出処理(図7参照)の実行時には、テープ30の搬送に伴って、非基準部32、基準部31、非基準部33の順に反射センサ100の検出光が照射される。
このとき、反射センサ100が幅方向位置K1にある場合、非基準部32では、第二領域45のみに検出光が照射される。基準部31では、安定マーク92、本マーク91の順に検出光が照射される。非基準部33では、第二領域45のみに検出光が照射される。一方、反射センサ100が幅方向位置K2にある場合、非基準部32では、複数の調整穴42、第一領域44、および第二領域45に検出光が照射される。基準部31では、安定マーク92、本マーク91の順に検出光が照射される。非基準部33では、固定穴43および第二領域45に検出光が照射される。
図12は、反射センサ100が幅方向位置K1(図6参照)にある状態で、上記の基準部検出処理(図7参照)において検出される信号波形を示す。閾値T1,T2のいずれに基づいて色検出が行われる場合でも、第二領域45および安定マーク92に照射される検出光の反射光量に基づいて、白色が検出される。本マーク91に照射される検出光の反射光量に基づいて、黒色が検出される。
この場合、パターン照合処理(図10参照)では、非基準部32の第二領域45と安定マーク92とに基づく「白色」の検出パターンが、1番目マークである安定マーク92と照合される。さらに、本マーク91に基づく「黒色」の検出パターンが、2番目マークである本マーク91と照合される。これにより、照合結果が「パターン一致」に設定される(S99)。バーコード判定処理(図8参照)では、判定結果が「検出完了」に設定される(S69)。基準部検出処理(図7参照)では、検出された基準コード9に基づいて、基準部31が特定される(S19)。
図13は、反射センサ100が幅方向位置K2(図6参照)にある状態で、上記の基準部検出処理(図7参照)において検出される信号波形を示す。図12と同様に、閾値T1,T2のいずれに基づいて色検出が行われる場合も、第二領域45および安定マーク92から白色が検出され、本マーク91から黒色が検出される。一方、調整穴42および固定穴43に照射される検出光は、テープ30を厚み方向に通過して反射面101(図2参照)で反射するため、閾値T1と閾値T2との間に収まる反射光量が検出される。閾値T1に基づいて色検出が行われる場合、調整穴42および固定穴43の反射光量に基づいて、黒色が検出される。閾値T2に基づいて色検出が行われる場合、調整穴42および固定穴43の反射光量に基づいて、白色が検出される。
本実施形態では、複数の調整穴42の各々が黒色および白色の両方を示す部分であると仮定して、非基準部32が搬送方向に基準コード9を含まない配色となるように、第一領域44および第二領域45が設けられている。つまり、複数の調整穴42の各々が黒色および白色のいずれとして検出された場合でも、上記の基準部検出処理(図7参照)において非基準部32から基準コード9と同じ検出パターンは検出されない。これにより、テープ印字装置1では、閾値T1,T2のいずれに基づいて色検出が行われる場合でも、図12に示す例と同様に基準部31が特定される。
[5.第一実施形態の主たる作用・効果]
以上説明したように、テープ印字装置1は、長手方向に搬送されるテープ30に検出光を照射し、反射光量に基づいて基準コード9を検出することで、基準部31を特定可能である。テープ印字装置1は、複数の調整穴42をそれぞれ第一色(黒色)および第二色(白色)のいずれとして検出した場合でも、基準部31を示す基準コード9と同一の白黒パターンを非基準部32から誤って検出することが抑制される。これにより、テープ印字装置1の構造が複雑化することを抑制しつつ、テープ印字装置1が基準部31を正確に検出できる。
基準コード9は本マーク91を含む。第一領域44の搬送方向長さは、本マーク91の搬送方向長さよりも大きい。これにより、第一領域44の検出パターンは、本マーク91の搬送方向長さと一致しない。テープ印字装置1が第一領域44を誤って本マーク91として検出することを抑制できる。
基準コード9は安定マーク92を含む。安定マーク92は、本マーク91に対して搬送方向の下流側または上流側に接し、且つ本マーク91よりも搬送方向長さが大きい。これにより、テープ印字装置1は安定マーク92を基準として本マーク91を検出できる。
安定マーク92の搬送方向長さは、搬送方向に隣り合う二つの調整穴42の離間距離よりも大きい。図13に示す例において、閾値T1に基づいて色検出が行われる場合、複数の調整穴42はいずれも第一色(黒色)として検出される。搬送方向に隣り合う二つの調整穴42の間に配置されている第二領域45は、第二色(白色)の同一色領域として検出される。この同一色領域の検出パターンが示す搬送方向長さは、安定マーク92の搬送方向長さよりも小さい。これにより、搬送方向に隣り合う二つの調整穴42の間に配置されている第二領域45を、テープ印字装置1が誤って安定マーク92として検出することを抑制できる。
安定マーク92の搬送方向長さは、搬送方向に隣り合う調整穴42および第一領域44の離間距離よりも大きい。図13に示す例において、閾値T1に基づいて色検出が行われる場合、複数の調整穴42はいずれも第一色(黒色)として検出される。搬送方向に隣り合う調整穴42および第一領域44の間に配置されている第二領域45は、第二色(白色)の同一色領域として検出される。この同一色領域の検出パターンが示す搬送方向長さは、安定マーク92の搬送方向長さよりも小さい。これにより、搬送方向に隣り合う調整穴42および第一領域44の間に配置されている第二領域45を、テープ印字装置1が誤って安定マーク92として検出することを抑制できる。
第一領域44は、搬送方向に間隔を空けて複数設けられる。搬送方向に隣り合う二つの第一領域44の離間距離は、安定マーク92の搬送方向長さとは異なる。図13に示す例において、閾値T2に基づいて色検出が行われる場合、複数の調整穴42はいずれも第二色(白色)として検出される。搬送方向に隣り合う二つの第一領域44の間に配置されている第二領域45および調整穴42は、第二色(白色)の同一色領域として検出される。この同一色領域の検出パターンが示す搬送方向長さは、安定マーク92の搬送方向長さよりも小さい。これにより、搬送方向に隣り合う二つの第一領域44の間に配置されている第二領域45を、テープ印字装置1が誤って安定マーク92として検出することを抑制できる。
さらに、図6に示す例において、幅方向位置K3は、複数の調整穴42の幅方向の他方側端部(図6では下側端部)と、複数の第一領域44の幅方向の他方側端部との間に位置する。反射センサ100が幅方向位置K3にある場合、非基準部32では、第一領域44および第二領域45に検出光が照射される。基準部31では、安定マーク92、本マーク91の順に検出光が照射される。非基準部33では、第二領域45のみに検出光が照射される。つまり、調整穴42および固定穴43には、検出光が照射されない。
この場合、閾値T1,T2のいずれに基づいて色検出を行っても、搬送方向に隣り合う二つの第一領域44の間に配置されている第二領域45は、第二色(白色)の同一色領域として検出される。この同一色領域の検出パターンが示す搬送方向長さは、安定マーク92の搬送方向長さよりも小さい。これにより、上記と同様に、搬送方向に隣り合う二つの第一領域44の間に配置されている第二領域45を、テープ印字装置1が誤って安定マーク92として検出することを抑制できる。
第一領域44は、第一領域44と搬送方向に対向する調整穴42よりも幅方向に延びる。基準コード9は、第一領域44よりも幅方向に延びる。これにより、テープ30において検出光が照射される幅方向位置(つまり、反射センサ100の幅方向位置)が、複数の調整穴42に検出光が照射される位置である場合、必ず第一領域44および基準コード9にも検出光が照射される。したがって、テープ印字装置1が基準コード9を誤検出することを抑制できる。
基準コード9は、テープ30における幅方向の全体に亘って延びる。これにより、テープ30において検出光が照射される幅方向位置にかかわらず、テープ印字装置1が基準部31を正確に検出できる。
[6.第二実施形態のテープ130]
本発明の第二実施形態を説明する。以下の説明では、第一実施形態と同一構成については、同一の符号を付して説明を省略する。図14に示すように、第二実施形態に係るテープ130は、先述した三層構造のラベル用テープである。テープ130では、複数のラベル60がテープ130の長手方向に連続して設けられている。テープ130において隣り合うラベル60の接続位置に、ミシン目41が設けられている。図示しないが、テープ130の印字層である印字面30A(図5参照)には、ラベル60毎に印字領域40が設けられている。
テープ130の剥離材層である反対面30Bには、ラベル60毎に基準部31および非基準部32,33が設けられている。基準部31は、第一実施形態と同様に基準コード9を含む。第一実施形態と同様に、安定マーク92の長さL12(例えば、30mm)は、本マーク91の長さL11(例えば、5mm)よりも大きい。なお、非基準部33は、第一実施形態と異なり固定穴43(図6参照)が設けられず、全体が第二領域45である。
非基準部32は、第一実施形態と同様に第一領域44および第二領域45を含む一方、第一実施形態と異なり調整穴42(図6参照)が設けられていない。第一実施形態と同様に、第一領域44の長さL21(例えば、8mm)は、本マーク91の長さL11よりも大きい。搬送方向に隣り合う二つの第一領域44の離間距離L22(例えば、20mm)は、安定マーク92の長さL12とは異なる。
非基準部32には、複数の印刷画像48が設けられている。各印刷画像48は、白色と黒色との中間色(例えば、グレー)の領域、および複雑または微細な模様の領域、の少なくとも一方である。本実施形態の印刷画像48は、グレーの背景色に対して微細な文字が白抜きで印刷された長方形状の画像である。図14に示す例では、6つの印刷画像48が、テープ130における幅方向中心部に配置され、且つ均等間隔で搬送方向に並んでいる。
第一領域44は、複数の印刷画像48の少なくとも一つに対して、搬送方向の上流側および下流側の少なくとも一方に設けられる。第一領域44は、第一領域44と搬送方向に対向する印刷画像48よりも幅方向に延びている。図14に示す例では、6個の第一領域44がそれぞれ複数の印刷画像48のいずれかと隣り合うように、均等間隔で搬送方向に並んでいる。安定マーク92の長さL12は、搬送方向に隣り合う二つの印刷画像48の離間距離M1(例えば、18mm間隔)よりも大きい。長さL12は、搬送方向に隣り合う印刷画像48および第一領域44の離間距離M2(例えば、5mm)よりも大きい。
テープ印字装置1では、第一実施形態のテープ30と同様に、テープ130に対して基準部検出処理(図7参照)が実行される。印刷画像48の反射光量は、白色部分の反射光量よりも小さく、閾値T1と閾値T2との間に収まる。したがって、印刷画像48に検出光が照射された場合、調整穴42(図6参照)に検出光が照射された場合と同様に、印刷画像48の反射光量に基づいて検出される色(白色または黒色)が閾値に応じて異なる場合がある。
テープ130では、複数の印刷画像48の各々が黒色および白色の両方を示す部分であると仮定して、非基準部32が搬送方向に基準コード9を含まない配色となるように、第一領域44および第二領域45が設けられている。つまり、複数の印刷画像48の各々が黒色および白色のいずれとして検出された場合でも、上記の基準部検出処理(図7参照)において非基準部32から基準コード9と同じ検出パターンは検出されない。これにより、テープ印字装置1では、第一実施形態のテープ30と同様に基準部31が特定される。
[7.主たる技術的特徴]
上記の第一、第二実施形態は、いずれも以下の主たる技術的特徴を開示する。テープ30,130は、第一色(黒色)の部位である第一色部と、第二色(白色)の部位である第一色部と、後述の不安定部とを含む。第一色部は、色検出に使用される閾値に関わらず、テープ印字装置1が反射光量に基づいて第一色(黒色)を検出できる。第二色部は、色検出に使用される閾値に関わらず、テープ印字装置1が反射光量に基づいて第二色(白色)を検出できる。上記実施形態では、本マーク91および第一領域44が第一色部であり、安定マーク92および第二領域45が第二色部である。
不安定部は、色検出に使用される閾値の大きさに応じて、反射光量が閾値未満または閾値以上となる部位である。上記実施形態では、調整穴42および印刷画像48が不安定部である。テープ印字装置1は、閾値が大きくなるほど、不安定部の反射光量に基づいて第一色(黒色)および第二色(白色)の一方を検出しやすい。テープ印字装置1は、閾値が小さくなるほど、不安定部の反射光量に基づいて第一色(黒色)および第二色(白色)の他方を検出しやすい。
テープ30,130に第一領域44が設けられていないと仮定した場合、複数の不安定部の各々から検出される色と、第二領域45から検出される第二色(白色)との組み合わせが、基準コード9と一致する可能性がある。テープ印字装置1は、非基準部32から誤って基準コード9を検出するおそれがある。そこで、テープ30,130では、複数の不安定部(調整穴42または印刷画像48)の各々が黒色および白色の両方を示す部分であると仮定して、非基準部32が搬送方向に基準コード9を含まない配色となるように、第一領域44および第二領域45を設けている。
テープ印字装置1では、プラテンローラ66によって搬送されるテープ30,130に、反射センサ100によって検出光を照射されて、反射光量が計測される(S3〜S7)。計測された反射光量に基づいて、第一色(黒)および第二色(白)の一方が所定長さ以上連続する第一連続部が検出される(図10参照)。計測された反射光量に基づいて、第一色(黒)および第二色(白)の他方が所定範囲内(上記実施形態では、同等長さの範囲内)で連続し、且つ第一連続部に対して搬送方向に隣り合う第二連続部が検出される(図10参照)。上記実施形態では、第二色(白)の連続する安定マーク92が第一連続部であり、第一色(黒)の連続する本マーク91が第二連続部である。
検出された第一、第二連続部を含む基準部31に基づいて、プラテンローラ66によって搬送されるテープ30,130の印字領域40に、印字ヘッド61によってキャラクタが印字される(S19)。これにより、テープ印字装置1は、反射センサ100とは別に発光センサを備えることなく、且つ色検出に使用する閾値の大きさに関係なく、基準部31を正確に検出できる。つまり、テープ印字装置1の構造が複雑化することを抑制しつつ、テープ印字装置1が基準部31を正確に検出できる。
上記実施形態において、テープ30が本発明の「印字用テープ」に相当する。複数の調整穴42が本発明の「複数の貫通穴」に相当する。基準コード9が本発明の「バーコード」に相当する。なお、「第一色」および「第二色」は、テープ印字装置1が閾値に関わらず区別できる二色であればよい。「第一色」は、黒色に限定されず、黒色に近似する色でもよい。「第二色」は、白色に限定されず、白色に近似する色でもよい。「第一色」を白色または白色に近似する色とし、「第二色」を黒色または黒色に近似する色としてもよい。後述の変形例で説明するように、例えば「第一領域」および「第二領域」の配置、形状、搬送方向長さなどは、上記の条件を満たす範囲で変更可能である。
[8.変形例]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。以下、本発明の変形例を説明する。以下の説明では、上記実施形態のテープ30と同一構成については、同一の符号を付して説明を省略する。テープ30の変形例を例示するが、調整穴42を印刷画像48に読み替えることで、テープ130も同様に変形可能である。
(1)テープ30は、基準コード9とは異なるバーコードを含んでもよい。図15に示すテープ230では、基準部31が基準コード9、IDコード10、および境界マーク99を含む。IDコード10は、基準コード9と同様に、複数の識別マークとして第一マーク31Aおよび第二マーク31Bを含むバーコードである。IDコード10は、テープ230の種類(例えば、テープ230の材質およびテープ幅)を示す。
図15に示すIDコード10では、搬送方向の下流側から上流側に向けて、三つの識別マーク11〜13が並ぶ。識別マーク11は、IDコード10において搬送方向の最下流側に配置された第一マーク31Aである。識別マーク13は、IDコード10において搬送方向の最上流側に配置された第一マーク31Aである。識別マーク12は、識別マーク11,13の間に配置された第二マーク31Bである。識別マーク11,13の各搬送方向長さは3mm、識別マーク12の搬送方向長さは9mmである。
境界マーク99は、規定の搬送方向長さ(例えば、4mm)の第一マーク31Aである。IDコード10は、基準コード9の搬送方向上流側に設けられる。境界マーク99は、IDコード10の搬送方向上流側に設けられる。つまり、IDコード10は、搬送方向において本マーク91と境界マーク99との間に設けられる。境界マーク99は、IDコード10の配置される領域を示す指標である。
テープ印字装置1では、基準部検出処理(図7参照)によって基準部31が検出されたのち、さらにテープ230を搬送しながら反射センサ100による色検出が行われる。本マーク91に対して搬送方向上流側に隣り合う黒色の同一色領域が、IDコード10の先頭マーク(図15の例では、識別マーク11)として検出される。境界マーク99に対して搬送方向下流側に隣り合う黒色の同一色領域が、IDコード10の末尾マーク(図15の例では、識別マーク13)として検出される。検出されたIDコード10(つまり、識別マーク11〜13の配列パターン)によって、テープ230の種類が特定される。
複数の調整穴42の各々が黒色および白色の両方を示す部分であると仮定して、非基準部32が搬送方向に基準コード9およびIDコード10のいずれも含まない配色となるように、第一領域44および第二領域45が設けられている。これにより、上記実施形態と同様に、テープ印字装置1は、複数の調整穴42をそれぞれ第一色(黒色)および第二色(白色)のいずれとして検出した場合でも、基準コード9およびIDコード10と同一の検出パターンを非基準部32から誤って検出することが抑制される。
(2)テープ30は、本マーク91と安定マーク92との配置を変更してもよい。図16に示すテープ330では、安定マーク92が本マーク91に対して搬送方向上流側に設けられている。この場合、先述のステップS19(図7参照)では、安定マーク92に対して搬送方向下流側に位置する識別マークが、本マーク91として特定される。
さらにテープ30は、複数のバーコードの配置を変更してもよい。図17に示すテープ430では、図16に示すテープ330に対してIDコード10が設けられている。IDコード10は、基準コード9の搬送方向下流側に設けられる。境界マーク99は、IDコード10の搬送方向下流側に設けられる。この場合、テープ印字装置1では、境界マーク99に対して搬送方向上流側に隣り合う黒色の同一色領域が、IDコード10の先頭マーク(図17の例では、識別マーク11)として検出される。本マーク91に対して搬送方向下流側に隣り合う黒色の同一色領域が、IDコード10の末尾マーク(図17の例では、識別マーク13)として検出される。
(3)第一領域44は、複数の調整穴42を含む範囲に亘って設けられた第一色(黒色)の部分であってもよい。図18に示すテープ530では、非基準部32に一つの第一領域44が設けられている。第一領域44は、複数の調整穴42が内側に形成された一の連続した第一色(黒色)の部分である。この場合、非基準部32に印刷する第一領域44の数量が少ないため、テープ530の製造が容易となる。
第一領域44は、他の第一色(黒色)の部分と連続した領域でもよい。図19に示すテープ630は、図18に示すテープ530に対して基準部31の位置が異なる。テープ630では、基準部31が第一領域44に対して搬送方向上流側に隣接している。基準部31では、本マーク91が搬送方向の最下流側に配置されて、第一領域44と連続している。
第一領域44および基準コード9は、少なくとも調整穴42と同じ幅方向位置を含む範囲に設けられればよい。図20に示すテープ730は、図19に示すテープ630よりも第一領域44の幅方向長さが大きい。テープ730では、基準コード9および第一領域44がいずれもテープ730の幅方向全体に亘って延びている。図21に示すテープ830は、図19に示すテープ630よりも基準コード9の幅方向長さが小さい。テープ830では、基準コード9および第一領域44が互いに同幅でテープ830の幅方向中央部に配置されている。テープ730,830はいずれも、第一領域44および基準コード9が調整穴42と同じ幅方向位置を含んでいる。
(4)第一領域44は、搬送方向の離間距離が所定長さ(安定マーク92の搬送方向長さ)よりも大きい二つの隣り合う調整穴42の間に設けられてもよい。図22に示すテープ930では、搬送方向に隣り合う二つの調整穴42の離間距離M1が均等ではない。複数の第一領域44の少なくとも一つは、離間距離M1が安定マーク92の長さL12よりも大きい二つの調整穴42の間に設けられている。これにより、第一領域44の数量を抑制しつつ、搬送方向に隣り合う二つの調整穴42の間に配置されている第二領域45を、テープ印字装置1が誤って安定マーク92として検出することを抑制できる。