以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態について、図1~図12を参照して説明する。
<外観概略構成>
まず、図1を参照しつつ、本実施形態のラベル作成装置の外観概略構成を説明する。なお、以下の説明において、前・後方向、左・右方向、上・下方向は、図1中等に適宜示す矢印の方向を表す。
図1に示すように、ラベル作成装置1(印刷装置に相当)は、フロントパネル6を備えた筐体2と、上カバーユニット3と、を有する。これら筐体2及び上カバーユニット3は、例えば樹脂製である。上カバーユニット3は、タッチパネル部3Aと、略矩形状の液晶パネル部3B(表示手段に相当)と、操作ボタン部3Cと、を備える。
上カバーユニット3は、後方端部において筐体2に回転軸部2a(後述の図3参照)を介して回動可能に接続されており、これにより、上カバーユニット3は、筐体2に対し開閉可能な構造となっている。なお、上カバーユニット3の下部には、筐体2の一部を構成する筐体カバー部2Aが一体に構成されており、上カバーユニット3の開閉時には、筐体カバー部2Aも一体となって開閉する(後述の図2参照)。
液晶パネル部3Bは、後方端部においてタッチパネル部3Aに回転軸部3a(後述の図3参照)を介して回動可能に接続されており、これにより、液晶パネル部3Bは、タッチパネル部3A(操作手段に相当)に対し開閉可能な構造となっている。
操作ボタン部3Cは、上カバーユニット3の前方寄りの上面位置に設けられ、ラベル作成装置1の電源ボタン4Aや、周辺機器作動状態を表示させるためのステータスボタン4B、フィードボタン4C、上ボタン4D、下ボタン4E等が配置されている。
筐体2の左右の両側壁には、解除つまみ5が設けられている(図1中では右側壁に設けられた解除つまみ5のみ図示)。この解除つまみ5を上方に押し上げることによって、筐体2への上カバーユニット3の係止が解除され、上カバーユニット3が開放可能な状態となる。
フロントパネル6には、第1排出口6Aと、第1排出口6Aよりも下方側の部位に位置する第2排出口6Bと、が設けられている。また、フロントパネル6のうち第2排出口6Bを備えた部分は、例えば後述の被印字テープ7の設置や排紙等の便宜を図るために、前方側へ回動可能な開閉蓋6Cとなっている。
第1排出口6Aは、上カバーユニット3を閉じ状態としたときに、筐体2の前面側上縁部と上カバーユニット3の前面側下縁部とによって形成される。なお、上カバーユニット3の第1排出口6A側における下縁部内側には、切断刃8が下方に向けて付設されている(後述の図2、図3、図5も参照)。
<内部構造>
次に、図2~図5を参照しつつ、ラベル作成装置1の内部構造を説明する。
図2及び図3に示すように、ラベル作成装置1は、筐体2の内部空間の後方に、凹状のロール収納部9(収納手段に相当)を有する。ロール収納部9は、所望の幅の1つの被印字テープ7(被印字媒体に相当)をロール状に巻回した1つのロールTRを、被印字テープ7がロール上側より繰り出されるように収納する。
ロールTRは、被印字テープ7の巻回の軸線を、前後方向と直交する左右方向となる状態で、回転可能にロール収納部9に収納されている。
<被印字テープ>
図2、図6(a)、及び図6(b)に示すように、ロールTRを構成する被印字テープ7には、例えば値札等に使用されるラベル台紙7Bが剥離材7A上に長手方向(言い換えれば搬送方向)に沿って離散的に連続配置されている。すなわち、ラベル台紙7Bは、この例では2層構造となっており、後述の印字ヘッド43によって印字が形成される被印字部7Ba(ラベル台紙7Bの基材部分)と、粘着剤7Bbと、の順で積層されている。そして、ラベル台紙7Bは、粘着剤7Bbの粘着力により所定間隔おきに剥離材7Aの一方側の面に接着されている。すなわち、被印字テープ7は、ラベル台紙7Bが接着された部分(以下適宜「ラベル台紙部分」という)70aでは、被印字部7Ba、粘着剤7Bb、及び剥離材7Aの3層構造となっており、ラベル台紙7Bが接着されていない部分(つまり隣り合うラベル台紙7B同士の間の部分。以下適宜「ラベル台紙間部分」という)70bでは、剥離材7Aのみの1層構造となっている。印字済みのラベル台紙7Bは、最終的に剥離材7Aが剥がされることで印字ラベルL(後述の図8(a)及び図8(b)等参照)として所定の物品等の被着体に貼り付けられる。なお、剥離材7Aにおける各ラベル台紙間部分70bの中央位置にミシン目7Eを設けてもよい。
<支持ローラ>
図2~図5に示すように、ロール収納部9の底面部には、3つの支持ローラ11~13が設けられている。支持ローラ11~13は、後述のプラテンローラ42が回転駆動されてロールTRより被印字テープ7を引き出す際に、少なくとも2つのローラがロールTRの外周面に接触することにより、従動的に回転してロールTRを回転可能に支持する。これら支持ローラ11~13は、ロールTRに対する周方向位置がそれぞれ異なっており、前方から後方に向かって、ロールTRの周方向に沿って、第1支持ローラ11、第2支持ローラ12、及び第3支持ローラ13、の順に配置されている。これら支持ローラ11~13は、左右方向(言い換えればロール幅方向)に複数の部分に分割されており、ロール幅に応じてロールTRが搭載された部分だけが回転するようになっている。
<ガイド部材>
ロール収納部9には、ロールTRの左側の端面に接触して被印字テープ7を左右方向(すなわち、搬送方向に直交するテープ幅方向)にガイドする第1ガイド部材14Aと、ロールTRの右側の端面に接触して被印字テープ7を左右方向にガイドする第2ガイド部材14Bと、が設けられている。このとき、ロール収納部9の底部には、左右方向の貫通穴状の第1ガイド穴及び第2ガイド穴(図示せず)が前後方向に間隔を空けて一部重なるように設けられ、これらガイド穴よりも前方に左右方向の凹状部が設けられている。ガイド部材14A,14Bは、下部に第1,第2のガイド穴に挿入される連結部15a,15bと、上記凹状部に挿入される突起部16a,16bとを有し、上記ガイド穴及び上記凹状部をガイドとして左右方向に遠近可能に配置されている。ロール収納部9の底部下方には、上記連結部15a,15bによってガイド部材14A,14Bに連結された、長方形状の左右方向の第1支持板17a及び第2支持板17bが配置されている。支持板17a,17bの対向する側の下面にはそれぞれラック18a,18bが設けられ、ラック&ピニオン機構を構成するピニオン19と噛合している。ピニオン19はロール収納部9の底部下方に設けられた図示しない支持枠に支持されている。ガイド部材14A,14Bは、支持板17a,17bの下面と上記支持枠との間に取り付けた図示しない引張バネにより、互いに近接方向に緩く付勢されている。
これにより、ユーザがガイド部材14A,14Bのうちの一方又は両方を手でつかんで左右方向に沿って押し広げるように離間方向に移動すると、ラック&ピニオン機構により両ガイド部材14A,14Bが離間方向に同量だけ移動する。そして、ガイド部材14A,14B間にロールTRを挿入し、ガイド部材14A,14Bの対向する面に設けられた図示しない支持突起をロールTRの巻芯に位置させた状態でガイド部材14A,14Bの保持を解くと、引張バネによる付勢力でガイド部材14A,14Bが近接方向に移動する。これにより、ガイド部材14A,14Bの上記支持突起がロールTRの巻芯の孔に嵌合しロールTRを回転自在に支持するとともに、ロールTRに対し第1ガイド部材14Aが左側から接触し第2ガイド部材14Bが右側から接触し、これによって、ロールTRを両側から挟み込みつつ、被印字テープ7をガイドする。ロールTRに対し、このようにガイド部材14A,14Bが左右方向に沿って進退可能に設けられていることから、収納したロールTRの幅に応じてガイド部材14A,14Bを進退させ位置を調整することで、任意な幅のロールTRに対し、ガイド部材14A,14BでロールTRを挟み込み、被印字テープ7の幅方向をガイドすることができる。
<幅センサ>
このとき、第1,第2のガイド部材14A,14Bのうちの一方(この例では、第1ガイド部材14A)に対し、図4に示すように、ロール収納部9に収納されたロールTRの被印字テープ7の幅方向の寸法を検出する幅センサ20(幅検出手段に相当)が設けられている。
幅センサ20は、可動端子がポテンションメータ接続された公知の抵抗センサであり、抵抗体から形成された左右方向の長方形状のセンサ本体21と、センサ本体21に設けられた左右方向のガイド孔21aに移動自在に嵌合された可動端子としてのスライダ22と、を備える。
センサ本体21は、ロール収納部9の下方の上記支持枠に支持されている。上記支持板17aの後側の側面には、上部が開口した第1~第3の支持片25a~25cに装着された左右方向のロッド26が設けられている。ロッド26は、上記第1及び第2の支持片25a,25bにより不動に支持されるとともに、上記第3支持片25cにより離間方向に移動可能に支持されている。
スライダ22は、前方に突出した係止部22aを備え、係止部22aに設けられた図示しない左右方向の貫通孔にロッド26が移動可能に嵌合されている。ロッド26には、上記第2支持片25bとスライダ22の上記係止部22aとの間に、圧縮バネ27が嵌装されている。上記支持枠には、スライダ22の係止部22aと第3支持片25cとの間に位置しスライダ22の離間方向の移動を所定以下に規制する、規制部材28が設けられている。
上記構成の幅センサ20において、ロールTRを収納するためにガイド部材14A,14Bが離間方向に押し広げされて移動すると、ロッド26がガイド部材14Aと同方向に一体に移動し、センサ本体21に対しスライダ22が同方向に移動する。これにより、センサ本体21の両端に印加した電圧がスライダ22の移動位置に応じて分圧され、ガイド部材14A,14B間の間隔、すなわちガイド部材14A,14B間に支持されたロールTRの被印字テープ7の幅方向寸法W(以下、適宜「台紙幅W」という)を検出する。この台紙幅Wは、前述の図6(a)及び図6(b)に示す、ラベル台紙7Bの被印字部7Baの幅方向寸法WA(以下、適宜「ラベル幅WA」という)と、ラベル台紙7Bの幅方向両側の余白部分の剥離材7Aの幅方向寸法2WB(以下、適宜「余白幅2WB」、「片側余白幅WB」という。)と、を合計した値(W=WA+2WB)となる。
<プラテンローラ、印字ヘッド、及びその周辺構造>
上カバーユニット3の前端部下側には、印字ヘッド43(印字手段に相当)が設けられている。また、この印字ヘッド43に上下方向に対向するように、筐体2の前端部上側に、プラテンローラ42(搬送手段に相当)が設けられている。プラテンローラ42のローラ軸41は、軸方向両端に設けたブラケットにより回転自在に軸支されており、また、ローラ軸41の一方の軸端には、プラテンローラ42を駆動するギア(図示せず)が固定されている。
このとき、筐体2におけるプラテンローラ42の配置位置は、上カバーユニット3における印字ヘッド43の取り付け位置と対応している。ユーザによりロール収納部9に収納されたロールTRは、手で被印字テープ7をつまんでロールTRから、プラテンローラ42による被印字テープ7の搬送方向(以下適宜「テープ搬送方向」という)に引き出した状態にロール収納部9にセットされる。そして、上カバーユニット3を閉じることによって、上カバーユニット3側に設けられた印字ヘッド43と、筐体2側に設けられたプラテンローラ42とで被印字テープ7が挟持され、印字ヘッド43による印字が可能な状態になる。また、上カバーユニット3を閉じることによって、プラテンローラ42のローラ軸41に固定された上記ギアが、筐体2側の図示しないギア列に噛合し、ステッピングモータである搬送用モータ44によりプラテンローラ42を回転駆動する。これにより、プラテンローラ42は、ロール収納部9に収納されたロールTRから被印字テープ7を繰り出し、被印字テープ7をそのテープ幅方向を左右方向とした姿勢で搬送する。
印字ヘッド43は、その中間部を軸支されると共に適宜のバネ部材(図示せず)により下方に付勢されている。解除つまみ5によって上カバーユニット3を開放状態にすることで、印字ヘッド43は、プラテンローラ42から離間した状態となる。一方、上カバーユニット3を閉じることによって、上記バネ部材の付勢力により、印字ヘッド43は、被印字テープ7をプラテンローラ42に押圧付勢し、印字可能な状態となる。
なお、上記ロールTRは、この例では、上記ラベル台紙7Bが径方向外側となるように、被印字テープ7がロール状に巻回されて構成されている。その結果、被印字テープ7は、ラベル台紙7B側の面を上方とした状態でロールTRの上側から繰り出され(図3中の二点鎖線参照)、被印字テープ7の上側に配置された印字ヘッド43によって、ラベル台紙7Bの被印字部7Baに対し印字が形成される。これにより、印字済みの被印字部7Baである印字部7Ba′(図6(a)及び図6(b)及び後述の図8(a)及び図8(b)参照)が形成される。
また、プラテンローラ42よりも前方側には、被印字テープ7が後述の引き剥がし搬送態様で搬送されるときに、被印字テープ7をプラテンローラ42の下方側へ折り返すことで、剥離材7Aから、上記印字部7Ba′及び粘着剤7Bbを備えた上記印字ラベルLを引き剥がすための、剥離板51が設けられている。剥離板51により剥離材7Aから引き剥がされた印字ラベルLは、剥離板51のさらに前方側に位置する上記第1排出口6Aを介し筐体2の外部へ排出される。
上記切断刃8は、印字ヘッド43よりもテープ搬送方向に沿って下流側に設けられており、被印字テープ7が後述の通常搬送態様で搬送されるときに、上記剥離板51での引き剥がしが行われることなく、上記印字ラベルLと剥離材7Aとが一体となった状態で、上記第1排出口6Aを介し筐体2の外部へ排出される、被印字テープ7を、ユーザが所望の位置で切断するのに用いられる。
また、プラテンローラ42の下方には、プラテンローラ42の回転に従動して回転するピンチローラ61が設けられている。ピンチローラ61は、上記剥離板51により下方側へ折り返された剥離材7Aをプラテンローラ42との間に挟み込んで搬送する。ピンチローラ61により搬送された剥離材7Aは、上記第2排出口6Bから筐体2の外部へ排出される。なお、このピンチローラ61は、適宜の支持部材(図示せず)を介し、上記開閉蓋6Cに設けられている。
<長さセンサ>
図5に示すように、ロール収納部9の前方側における被印字テープ7の搬送経路(以下適宜「テープ搬送経路」という)には、凹部載置面であるセンサ配置部31が設けられている。このセンサ配置部31には、被印字テープ7の所定の基準位置を非接触で検出(この例では光学的に検出。なお、磁気的検出等、他の非接触の検出手法であってもよい)するための長さセンサ30(長さ検出手段に相当)の発光部32が設けられている。発光部32は、種々の幅を備えた複数種類の被印字テープ7が用いられる場合に備えて、センサ配置部31において、テープ搬送方向に直交する被印字テープ7の幅方向(すなわち左右方向)に沿って移動可能に配置されている。長さセンサ30は、上記発光部32と、上カバーユニット3の下面に配置され受光部34と、を有する、公知の透過型光学センサからなり、発光部32と受光部34とは、上カバーユニット3で筐体2の上面を覆った状態のときに、テープ搬送経路を挟んで対向する。
上記構成により、長さセンサ30は、発光部32から発光された光が被印字テープ7を透過した透過光を受光部34により受光して、このときの上記ラベル台紙部分70aと上記ラベル台紙間部分70bとの、例えば厚みの相違による受光量の差に基づき、ラベル台紙7Bとラベル台紙間部分70bとの境界位置(言い換えれば、ラベル台紙7Bやラベル台紙間部分70bのテープ搬送方向における両端部の位置)をそれぞれ検出する。これにより、結果として、前述の図6(a)及び図6(b)に示す、ラベル台紙部分70aのテープ搬送方向に沿った長さLA(以下、適宜「用紙長LA」という)、及び、ラベル台紙間部分70bのテープ搬送方向に沿ったギャップ長さLB(以下、適宜「ギャップ長LA」という)が、それぞれ検出されることとなる。
<制御系>
次に、図7を参照しつつ、ラベル作成装置1の制御系を説明する。
図7に示すように、ラベル作成装置1は、所定の演算を行う演算部を構成するCPU71を備える。CPU71は、RAM72の一時記憶機能を利用しつつROM73に予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行い、それによってラベル作成装置1全体の制御を行う。CPU71には、上記液晶パネル部3B、上記タッチパネル部3A、上記RAM72、上記ROM73、上記幅センサ20、上記長さセンサ30、上記電源ボタン4A、上記ステータスボタン4B、上記フィードボタン4C、上記上ボタン4D、上記下ボタン4E、不揮発性メモリ77(記憶手段に相当)、上記プラテンローラ42を駆動する上記搬送用モータ44の駆動制御を行うモータ駆動回路74、上記印字ヘッド43の発熱素子の通電制御を行う印字ヘッド制御回路75等が接続されている。
また、CPU71には、パーソナルコンピュータ(PC)等からなる外部端末76が有線又は無線を介し情報送受信可能に接続されている。CPU71は、ユーザが外部端末76を操作して作成・指定した、所望の印刷データ、及び、上記印字ラベルLの作成枚数、を含む印刷コマンドを、外部端末76から受信して入力する。なお、印刷コマンドは、タッチパネル部3Aの操作に基づき作成・入力されてもよい。
また、不揮発性メモリ77は、例えば外部端末76から入力された、複数種類の被印字テープ7それぞれの幅情報(この例では上記台紙幅W)が予め記憶されている(後述の図9(a)参照)。
ROM73には、ラベル作成処理を実行するための各種の制御プログラム(後述の図10、図11等に示すフローチャートの各手順を実行する印刷処理プログラムを含む)等が記憶されている。
<被印字テープの搬送態様>
以上のように構成されたラベル作成装置1では、被印字テープ7の搬送態様として、通常搬送態様及び引き剥がし搬送態様の2種類が選択的に実現される。
<通常搬送態様>
被印字テープ7を通常搬送態様で搬送させる場合、ユーザがロール収納部9にロールTRを収納してセットする際、収納されたロールTRから手動で被印字テープ7を引き出して、剥離板51で被印字部7Baを引き剥がすことなく被印字テープ7を第1排出口6Aの位置まで導出し、その状態で上カバーユニット3を閉じてロールTRのセットを完了する。こうしてロールTRのセットが完了後、プラテンローラ42の回転によりロールTRから繰り出された被印字テープ7は、印字ヘッド43により被印字部7Baに印字形成が行われ印字部7Ba′が形成された後、剥離板51での引き剥がしが行われることなく、(印字ラベルLと剥離材7Aとが一体となった状態で)そのまま第1排出口6Aへと導かれる。この場合、ユーザは、第1排出口6Aを介し筐体2の外部へ排出された被印字テープ7を、切断刃8を用いて所望の位置で切断する。
<引き剥がし搬送態様>
被印字テープ7を引き剥がし搬送態様で搬送させる場合、ユーザは、収納されたロールTRから手動で被印字テープ7を引き出して、第1排出口6Aの位置に導出する一方、引き出した被印字テープ7から引き剥がして分離した剥離材7Aを剥離板51を経てプラテンローラ42の下方に折り返して第2排出口6Bの位置まで導出する。その後、ユーザは、開閉蓋6Cを閉めて、開閉蓋6Cに設けられたピンチローラ61とプラテンローラ42とで剥離材7Aを挟持させ、上カバーユニット3を閉じてロールTRのセットを完了する。こうしてロールTRのセットが完了後、上述と同様にロールTRから繰り出された被印字テープ7は、被印字部7Baに印字形成が行われ印字部7Ba′が形成された後、剥離板51において印字ラベルLの引き剥がしが行われる。この引き剥がしによって印字ラベルLが分離した剥離材7Aは、第2排出口6Bへと導かれ、引き剥がされた印字ラベルLは、第1排出口6Aへと導かれる。
<本実施形態の手法の背景>
本実施形態のラベル作成装置1においては、前述したように、上記被印字テープ7として、複数種類を交換して使用し(言い換えれば複数種類のうち適宜の1つを選択的に使用して)印刷を行うことができる。このため、ラベル作成装置1に装着された被印字テープ7がどのような種類であるかを検知するために上記した幅センサ20が設けられており、この幅センサ20が、ロールTRがロール収納部9に収納された状態において被印字テープ7の外形に係る上記台紙幅W(詳細には実測値である台紙幅Wr。後述)を検出する。そして、印字ヘッド43による印字形成動作が、その検出結果に対応して制御される。
しかしながら、上記のように幅センサ20の検出結果に基づき印字制御を行う場合、幅センサ20の検出誤差、搬送時の被印字テープ7の乱れ、ラベル作成装置1内の機械抵抗の変動、等により、検出される上記台紙幅Wの値が変動する結果、同一種類の被印字テープ7であっても印字形成動作の制御態様が変わってしまう可能性がある。
このように制御態様が変わる場合の挙動を、図8(a)及び図8(b)により説明する。例えば図8(a)に示すように、上記台紙幅Wの値が正しく検出されて正常な印字が行われる場合は、印字ヘッド43により、ラベル台紙7Bの被印字部7Baに対し、文字列「ABCDE」、文字列「FGHIJ」、文字列「KLNOP」が搬送方向に3行に配列された、印字部7Ba′が形成される。
このとき、上記検出が正確に行われずに台紙幅Wの値が正しい値より変動した場合、図8(b)に示すように、例えば印字部7Ba′の上記文字列「ABCDE」「FGHIJ」「KLNOP」のうち最後列の文字「E」「J」「P」の後部が印字部7Ba′からはみ出した状態で印字形成される(いわゆる文字切れの発生)等、印字品質の低下やばらつき等が発生する場合があり得る。
<第1実施形態の手法の特徴>
上記に対応するために、本実施形態では、上記幅センサ20によりロールTRの被印字テープ7の上記台紙幅Wを検出し、上記検出された台紙幅Wと上記不揮発性メモリ77に記憶された台紙幅Wと比較することで、当該被印字テープ7の種類を決定する。これにより、上記したような不都合を回避し、同一種類の被印字テープ7であれば、前述のように検出される台紙幅Wの値が仮に多少変動したとしても、安定的に同一の態様で印字形成動作を制御可能とする。以下、その詳細を順を追って説明する。
<媒体リスト>
本実施形態においては、例えばユーザが予め使用することが想定される複数種類の被印字テープ7それぞれについて、被印字テープ7の外形に係わるパラメータとしての上記台紙幅Wの値が、上記不揮発性メモリ77に予め例えば媒体リストの形で記憶されている。上記媒体リストの一例を図9(a)に示す。
図9(a)において、この例では、「A」「B」「C」「D」「E」の5種類を含む複数種類の被印字テープ7(以下適宜、各種類を「媒体A」「媒体B」「媒体C」・・のように称する。図示も同様)があらかじめ登録されている。例えば媒体「A」は、台紙幅Wが29.4[mm]、ラベル幅WAが25.4[mm]となっている。
例えば媒体「B」は、台紙幅Wが105.6[mm]、ラベル幅WAが101.6[mm]である。また媒体「C」は、台紙幅Wが54.0[mm]、ラベル幅WAが50.0[mm]である。媒体「D」は台紙幅Wが34.0[mm]、ラベル幅WAが30.0[mm]である。媒体「E」は、台紙幅Wが44.0[mm]、ラベル幅WAが40.0[mm]である。
そして、前述のようにしてラベル作成装置1において実際に収納された1つのロールTRの被印字テープ7に対し、幅センサ20によって上記台紙幅Wの実測値W(以下適宜、単に「台紙幅Wr」という)が検出される。そして、それら検出結果としての台紙幅Wrが、上記図9(a)に示す上記媒体リストに予め記録された複数種類の被印字テープ7それぞれの上記台紙幅Wと比較されることで、当該1つの被印字テープ7の種類が決定される。この例では特に、上記媒体リストに予め記録された複数種類の被印字テープ7それぞれの上記台紙幅Wのうち、上記台紙幅Wrに対して最も値が近いものが特定され、上記実際に収納されている1つの被印字テープ7の種類を、当該特定された被印字テープ7の種類であると決定する。
なお、図9(a)に示した上記複数の被印字テープ7の用紙幅Wは、ユーザがタッチパネル部3Aを介し事前に不揮発性メモリ77に登録し、媒体リストとして記憶させてもよい。あるいは、外部サーバから取得された複数の被印字テープ7の用紙幅Wを不揮発性メモリ77に登録し、媒体リストとして記憶させてもよい。
<媒体リストを用いた媒体種類決定手法>
上記の手法により被印字テープ7の種類(媒体種類)が決定されるときの例を図9(b)を用いて説明する。すなわちまず、本実施形態においては、上記不揮発性メモリ77に、互いに広さの異なる複数(この例では3つ)の幅情報範囲が予め設定され、記憶されている。この例では、3つの幅情報範囲は、幅センサ20の検出誤差の1/4,1/2,1/1にそれぞれ設定されている。すなわち、幅センサ20の検出誤差が2.4mmであるとすると、上記3つの幅情報範囲は、狭い順に±0.6[mm]、±1.2[mm]、±2.4[mm]となる。そして、台紙幅Wr(図9(b)では「台紙幅実測値」と表記。以下同じ)を基準値(中心値)として上記複数の幅情報範囲を狭い順に適用し、その適用後の数値範囲に、上記媒体リストの台紙幅Wが存在しているか否かが判定され、存在すると判定された被印字テープ7の種類を、媒体情報として特定する。
図9(b)は、上記検出された実際の台紙幅Wrの複数(この例では検出番号「1」~「5」の5つを例示)の例に対し、それぞれどのようにして被印字テープ7の種類が決定されるか、を表している。
例えば検出番号「1」の被印字テープ7では、上記台紙幅Wrが31.6[mm]である。まず、決定のための第1段階(図中「Check1」のように示す。以下同様)として、台紙幅Wr=31.6[mm]に対し、上記狭い順に沿ってまず上記検出誤差の1/4である±0.6[mm]を適用する。この場合、上記数値範囲は31.0[mm]~32.2[mm]となる。この数値範囲31.0-32.2[mm]を図9(a)の媒体リストと比較すると、台紙幅Wが31.0-32.2[mm]の数値範囲に存在する媒体種類はない(図9(b)中、該当する媒体がないことを「×」で示す。以下同じ)。
そこで、次に第2段階として、台紙幅Wr=31.6[mm]に対し上記検出誤差の1/2である±1.2[mm]を適用する。この場合、上記数値範囲は30.4[mm]~32.8[mm]となる。この範囲を図9(a)の媒体リストと比較すると、台紙幅Wが30.4-32.8[mm]の数値範囲に存在する媒体種類は依然として存在しない。
そこで、次に第3段階として、台紙幅Wr=31.6[mm]に対し上記検出誤差の1/1である±2.4[mm]を適用する。この場合、上記数値範囲は29.2[mm]~34.0[mm]となる。この範囲を図9(a)の媒体リストと比較すると、媒体「A」(台紙幅W=29.4[mm])と媒体「D」(台紙幅W=34.0[mm])の2つが、上記29.2-34.0[mm]の数値範囲に存在する(図9(b)中、該当する媒体種類の数を○囲いの数字で示す。以下同じ)。このように該当する媒体種類の候補が複数ある場合、複数の候補のうち、台紙幅Wrが台紙幅Wに最も近いものを、当該被印字テープ7の種類として決定する。この例では、台紙幅Wr=31.6[mm]に対し、媒体「A」の台紙幅W=29.4[mm]であってその偏差は2.2[mm]であるのに対し、媒体「D」の台紙幅W=34.0[mm]であってその偏差は2.4[mm]である。したがって、台紙幅Wr=31.6[mm]は、媒体「A」の台紙幅Wに近いことから、被印字テープ7の種類は、媒体「A」と決定(特定)される。この結果、この検出番号「1」の上記被印字テープ7の台紙幅Wは媒体「A」に対応する29.4[mm]と決定され、ラベル幅WA(=台紙幅W-余白幅2WB)は25.4[mm]と決定される(本実施形態ではWBは予め分かっているものとする。この例ではWB=2.0[mm])。
同様に、検出番号「2」の被印字テープ7では、上記台紙幅Wrが48.0[mm]である。上記同様、まず第1段階として、上記検出誤差の1/4である±0.6[mm]が適用され、上記数値範囲は47.4[mm]~48.6[mm]となる。図9(a)の媒体リスト中に、この数値範囲に存在する媒体種類はない。
次に第2段階として、台紙幅Wr=48.0[mm]に対し上記検出誤差の1/2である±1.2[mm]が適用され、上記数値範囲は46.8[mm]~49.2[mm]となる。図9(a)の媒体リスト中にこの数値範囲に存在する媒体種類は依然として存在しない。
次に第3段階として、台紙幅Wr=48.0[mm]に対し上記検出誤差の1/1である±2.4[mm]が適用され、上記数値範囲は45.6[mm]~50.4[mm]となる。図9(a)の媒体リスト中にこの数値範囲に存在する媒体種類は依然として存在しない。
この結果、当該検出番号「2」の被印字テープ7は上記媒体リストにない新規(図中「original」で示す)な媒体であるとみなされ、上記台紙幅Wは実測値である上記台紙幅Wr=48.0[mm]に決定される。この結果、ラベル幅WA=44.0[mm]と決定される。
同様に、検出番号「3」の被印字テープ7では、上記台紙幅Wrが53.0[mm]である。上記同様、まず第1段階として、上記検出誤差の1/4である±0.6[mm]が適用され、上記数値範囲は52.4[mm]~53.6[mm]となる。図9(a)の媒体リスト中に、この数値範囲に存在する媒体種類はない。
次に第2段階として、台紙幅Wr=53.0[mm]に対し上記検出誤差の1/2である±1.2[mm]が適用され、上記数値範囲は51.8[mm]~54.2[mm]となる。図9(a)の媒体リスト中には、この数値範囲に対応する媒体種類として、媒体「C」(台紙幅W=54.0[mm])が1つだけ存在する。この結果、被印字テープ7の種類は、媒体「C」と決定(特定)され、この検出番号「3」の上記被印字テープ7の台紙幅Wは媒体「C」に対応する54.0[mm]と決定され、ラベル幅WAは50.0[mm]と決定される。
同様に、検出番号「4」の被印字テープ7では、上記台紙幅Wrが29.2[mm]である。上記同様、まず第1段階として、上記検出誤差の1/4である±0.6[mm]が適用され、上記数値範囲は28.6[mm]~29.8[mm]となる。図9(a)の媒体リスト中には、この数値範囲に対応する媒体種類として、媒体「A」(台紙幅W=29.4[mm])が1つだけ存在する。この結果、被印字テープ7の種類は、媒体「A」と決定(特定)され、この検出番号「4」の上記被印字テープ7の台紙幅Wは媒体「A」に対応する29.4[mm]と決定され、ラベル幅WAは25.4[mm]と決定される。
同様に、検出番号「5」の被印字テープ7では、上記台紙幅Wrが107.5[mm]である。上記同様、まず第1段階として、上記検出誤差の1/4である±0.6[mm]が適用され、上記数値範囲は106.9[mm]~108.1[mm]となる。図9(a)の媒体リスト中に、この数値範囲に存在する媒体種類はない。
次に、第2段階として、上記検出誤差の1/2である±1.2[mm]が適用され、上記数値範囲は106.3[mm]~108.7[mm]となる。図9(a)の媒体リスト中に、この数値範囲に存在する媒体種類はない。
次に、第3段階として、上記検出誤差の1/1である±2.4[mm]が適用され、上記数値範囲は105.1[mm]~109.9[mm]となる。図9(a)の媒体リスト中には、この数値範囲に対応する媒体種類として、媒体「B」(台紙幅W=105.6[mm])が1つだけ存在する。この結果、被印字テープ7の種類は、媒体「B」と決定(特定)され、この検出番号「5」の上記被印字テープ7の台紙幅Wは媒体「B」に対応する105.6[mm]と決定され、ラベル幅WAは101.6[mm]と決定される。
<制御手順>
次に、図10を参照しつつ、上記の手法を実現するために、CPU71が実行する制御手順を説明する。
図10において、このフローチャートの処理は、例えばラベル作成装置1の電源がオンされると開始される。
まず、ステップS10において、CPU71は、上記外部端末76から前述の印刷コマンドが入力されたか否かを判定する。印刷コマンドが入力されるまではステップS10の判定は満たされず(S10:NO)、ループ待機し、印刷コマンドが入力されたらステップS10の判定が満たされて(S10:YES)、ステップS15に移る。
ステップS15では、CPU71は、ロール収納部9に収納された上記被印字テープ7に対し幅センサ20の検出結果に基づく被印字テープ7の幅情報(この例では実測値である上記台紙幅Wr)を取得する幅情報検出処理を行う。なお、このステップS15の手順でCPU71が実行する処理が各請求項記載の幅情報取得処理に相当する。ステップS15が終了すると、ステップS20に移る。
ステップS20では、CPU71は、上記モータ駆動回路74に制御信号を出力し、搬送用モータ44を駆動する。これにより、プラテンローラ42が駆動し、被印字テープ7の搬送を開始する。その後、ステップS40の媒体決定処理に移る。なお、図10中では、後述の第2実施形態における2つの媒体決定処理(1)及び媒体決定処理(2)(後述の図15参照)との内容の整合を図る観点から、ステップS40には「媒体決定処理(1)」の表記を付している(後述の図13も同様)。
ステップS40では、CPU71は、上記ステップS15で取得した被印字テープ7の上記台紙幅Wrに基づき、被印字テープ7の種類を決定する媒体決定処理を行う。このステップS40の媒体決定処理の詳細を図11に示す。
図11において、まずステップS410で、CPU71は、不揮発性メモリ77に記憶されている上記媒体リスト(図9(a)参照)を読み出す。その後、ステップS420に移る。
ステップS420で、CPU71は、ステップS410で読み出した上記媒体リストを参照し、台紙幅Wが、上記ステップS15で取得した台紙幅Wrに対し第1段階の幅情報範囲を適用後の上記台紙幅Wrの数値範囲(この例では、上記検出誤差の1/4に対応するWr±0.6[mm])内となる媒体種類が、上記媒体リスト中にあるか否かを判定する。上記媒体リスト中に、上記媒体種類が存在した場合は、ステップS420の判定が満たされ(S420:YES)、後述のステップS450に移る。上記媒体リスト中に、上記媒体種類が存在しない場合は、ステップS420の判定が満たされず(S420:NO)、ステップS430に移る。
ステップS430では、CPU71は、上記台紙幅Wが、上記ステップS15で取得した台紙幅Wrに対し第2段階の幅情報範囲を適用後の上記台紙幅Wrの数値範囲(この例では、上記検出誤差の1/2に対応するWr±1.2[mm])内となる媒体種類が、上記媒体リスト中にあるか否かを判定する。上記媒体リスト中に、上記媒体種類が存在する場合は、ステップS430の判定が満たされ(S430:YES)、後述のステップS450に移る。上記媒体リスト中に、上記媒体種類が存在しない場合は、ステップS430の判定が満たされず(S430:NO)、ステップS440に移る。
ステップS440では、CPU71は、上記台紙幅Wが、上記ステップS15で取得した台紙幅Wrに対し第3段階の幅情報範囲を適用後の上記台紙幅Wrの数値範囲(この例では、上記検出誤差の1/1に対応するWr±2.4[mm])内となる媒体種類が、上記媒体リスト中にあるか否かを判定する。上記媒体リスト中に、上記媒体種類が存在する場合は、ステップS440の判定が満たされ(S440:YES)、後述のステップS450に移る。上記媒体リスト中に、上記媒体種類が存在しない場合は、ステップS440の判定が満たされず(S440:NO)、ステップS470に移る。ステップS470では、CPU71は、上記ステップS15で取得した台紙幅Wrを、最終的な台紙幅Wとして決定する。ステップS470が終了すると、後述のステップS480に移る。
上記ステップS420、若しくはステップS430、若しくはステップS440から移行したステップS450では、CPU71は、上記媒体リスト中に、上記の上記台紙幅Wrの数値範囲内となった(言い換えれば、ステップS420、若しくはステップS430、若しくはステップS440のいずれか1つの条件を満たした)媒体種類が複数個存在するか否かを判定する。上記媒体リスト中に、上記媒体種類が複数個存在する場合は、ステップS450の判定が満たされ(S450:YES)、ステップS460に移る。ステップS460では、CPU71は、上記複数の媒体種類それぞれの上記台紙幅Wのうち、上記台紙幅Wrに最も近いものを最終的な台紙幅Wとして決定する。ステップS460が終了すると、後述のステップS480に移る。
一方、上記ステップS450において、上記媒体リスト中に、上記媒体種類が1つのみ存在した場合は、ステップS450の判定が満たされず(S450:NO)、(ステップS460を経ることなく)ステップS480に移る。この結果、媒体リスト中に、上記媒体種類が1つしか存在しない場合は、上記ステップS420、ステップS430、ステップS440のいずれか1つの条件を満たした1つの媒体種類の台紙幅Wが、そのまま最終的な台紙幅Wとして決定されることとなる。
ステップS480では、CPU71は、決定された台紙幅Wから上記余白幅2WB(本実施形態ではCPU71において既知である4.0[mm])を差し引いてラベル幅WAを決定する。ステップS480が終了すると、ステップS490に移る。
ステップS490では、CPU71は、上記媒体リストを参照して、上記ステップS450、ステップS460、ステップS470で決定されたそれぞれの台紙幅Wに基づき、各被印字テープ7の種類(媒体種類)を決定する。ステップS490が終了すると、このルーチンを終了して図10のステップS50に戻る。なお、このステップS490の手順でCPU71が実行する処理が各請求項記載の種類決定処理に相当する。
図10に戻り、ステップS50では、CPU71は、被印字テープ7が印字ヘッド43による印字開始位置まで到達したか否か(言い換えれば、ラベル台紙7Bの被印字部7Baの印字領域のテープ搬送方向の前端位置に相当する位置に印字ヘッド43が正対するようになるまで、被印字テープ7が搬送されたか否か)を、公知の手法で判定する。印字開始位置まで到達するまではステップS50の判定は満たされず(S50:NO)、ループ待機し、印字開始位置まで到達したらステップS50の判定が満たされ(S50:YES)、ステップS60に移る。
ステップS60では、CPU71は、上記印字ヘッド制御回路75に制御信号を出力し、上記ステップS10で入力された印刷コマンドにおける印刷データに基づき、印字ヘッド43の発熱素子を通電制御する。これにより、ラベル台紙7Bの被印字部7Baに対する上記印刷データに対応した印字形成が開始される。
その後、ステップS70で、CPU71は、上記ステップS10で入力された印刷コマンドにおける印刷データに基づき、被印字テープ7のテープ搬送方向の位置が印字終了位置まで到達したか否か(言い換えれば、ラベル台紙7Bの被印字部7Baの印字領域のテープ搬送方向の後端位置に相当する位置に印字ヘッド43が正対するようになるまで、被印字テープ7が搬送されたか否か)を、公知の手法で判定する。印字終了位置まで到達するまではステップS70の判定は満たされず(S70:NO)、上記ステップS60に戻り同様の手順を繰り返す。印字終了位置まで到達したらステップS70の判定が満たされて(S70:YES)、ステップS80に移る。
ステップS80では、CPU71は、上記印字ヘッド制御回路75に制御信号を出力し、印字ヘッド43の発熱素子への通電を停止する。これにより、ラベル台紙7Bの被印字部7Baへの印字を停止する。
その後、ステップS90で、CPU71は、上記ステップS10で入力された印刷コマンドにおける印字ラベルLの作成枚数に対応する全枚数の印字ラベルLの作成が完了したか否かを判定する。全枚数の印字ラベルLの作成が完了していない場合には、ステップS90の判定は満たされず(S90:NO)、上記ステップS50に戻り同様の手順を繰り返す。全枚数の印字ラベルLの作成が完了している場合には、ステップS90の判定が満たされて(S90:YES)、ステップS100に移る。
ステップS100では、CPU71は、上記モータ駆動回路74に制御信号を出力し、被印字テープ7の搬送を停止する。そして、このフローを終了する。なお、上記ステップS50~ステップS100でCPU71が実行する処理が各請求項記載の印字制御処理に相当する。
<第1実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態においては、ユーザが予め使用することが想定される複数種類の被印字テープ7それぞれについて、予め上記台紙幅Wの値が上記不揮発性メモリ77に媒体リストの形で記憶されている(図9(a)参照)。そして、ロール収納部9に収納されたロールTRの被印字テープ7に対し幅センサ20が検出した上記台紙幅Wrを、上記媒体リストの複数種類の被印字テープ7それぞれの上記台紙幅Wと比較することで、被印字テープ7の種類が決定される。そして、上記複数種類の被印字テープ7のうち、上記検出された値に最も近い台紙幅Wの値を与えるものを、上記ロールTRの被印字テープ7に対応する種類である、と決定(特定)することができる。
これにより、同一種類の被印字テープ7であれば、幅センサ20が検出する台紙幅Wrの値が仮に多少変動したとしても、安定的に同一の態様で印字形成動作を制御することができる。この結果、被印字テープ7の種類ごとに各種類に適した最適な印字制御を行い、印字品質の低下やばらつきを防止することができるので、ユーザにとっての利便性を向上することができる。
また、本実施形態では特に、互いに広さの異なる複数の幅情報範囲(前述の例では検出誤差の1/4,1/2,1/1)が設定されている。そして、幅センサ20で検出した台紙幅Wrの値を基準値(中心値)として、上記複数の幅情報範囲を狭い順に適用しつつ(上記検出誤差の1/4→1/2→1/1の順)、その適用後の数値範囲に、上記媒体リストの台紙幅Wが存在するか否かが判定される。そして、存在するとされた台紙幅Wに基づき、ロールTRに備えられる1つの被印字テープ7の種類が決定される。
これにより、幅センサ20の検出結果に基づく被印字テープ7の種類の絞り込みを、自動的にかつ円滑に行うことができる。
また、本実施形態では特に、上記複数の幅情報範囲を狭い順に適用しつつ(前述の例では検出誤差の1/4→1/2→1/1の順)、その適用後の1つの数値範囲に上記媒体リストの複数種類それぞれの台紙幅Wが存在する場合には、それら複数の台紙幅Wのうち、上記台紙幅Wrに最も近いものに基づき上記1つの被印字テープ7の種類を決定する。これにより、被印字テープ7の種類の絞り込みを精度よく行うことができる。
また、本実施形態では特に、上記複数の幅情報範囲を狭い順に適用しつつ(前述の例では検出誤差の1/4→1/2→1/1の順)、その適用後の数値範囲に上記媒体リストのどの媒体種類の台紙幅Wも存在しなかった場合には、上記台紙幅Wrを用いて(検出された台紙幅Wrを最終的な台紙幅Wとして)上記1つの被印字テープ7の種類が決定される。これにより、幅センサ20の検出結果に基づく被印字テープ7の種類の絞り込みを行えなかった場合であっても、当該幅センサ20の検出結果に対応した態様での、印字形成動作の制御を行うことができる。
また、本実施形態では特に、上記媒体リストには、タッチパネル部3Aを介したユーザの操作によって事前に登録された各種類の被印字テープ7の台紙幅Wが記憶されている。すなわち、幅センサ20の検出結果に基づき被印字テープ7の種類を絞り込むときの比較対象を、ユーザが事前に登録した台紙幅Wとする。これにより、上記検出結果に対応した被印字テープ7の種類を、ユーザの通常の使用態様や使用履歴を反映した形で確実に決定することができる。
なお、前述したように、上記CPU71は、上記外部サーバより複数種類の媒体種類の台紙幅Wを取得し媒体リストとして不揮発性メモリ77に記憶する(幅情報記憶処理に相当)ようにしてもよい。この場合、上記ステップS15で取得された上記台紙幅Wrと、外部サーバから取得されて記憶された台紙幅Wと、の比較に基づき、被印字テープ7の種類が決定される(上記ステップS490参照)。
この場合、幅センサ20の検出結果に基づき被印字テープ7の種類を絞り込むときの比較対象を、外部サーバから事前に取得して記憶した台紙幅Wとすることで、上記検出結果に対応した被印字テープ7の種類を、世間一般における被印字テープ7の使用状況を反映した形で確実に決定することができる。
なお、本発明は、上記第1実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例について説明する。上記第1実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
<第1実施形態の変形例>
(1)複数の媒体種類候補からユーザに1つを選択させる場合
本変形例において媒体種類の決定に使用する媒体リストの一例を、上記第1実施形態の図9に対応する図12に示す。
図12に示す媒体リストでは、媒体「A」「B-1」「B-2」「B-3」「C」「D」「E」・・を含む複数種類の被印字テープ7が、上記図9と同様に予め登録されている。それらのうち、媒体「A」「C」「D」「E」の台紙幅W、ラベル幅WA、用紙長LAは、それぞれ上記図9と同一の値となっている。
またこの媒体リストでは、図9と異なり、前述した用紙長LAの値も登録されている。すなわち、媒体「A」の用紙長LA=25.0[mm]、媒体「C」の用紙長LA=50.0[mm]、媒体「D」の用紙長LA=30.0[mm]、媒体「E」の用紙長LA=40.0[mm]、となっている。
一方、この媒体リストには、上記図9の媒体「B」に対応した、3種類の媒体「B-1」「B-2」「B-3」が含まれている。媒体「B-1」「B-2」「B-3」の台紙幅W及びラベル幅WAは上記図9の媒体「B」と同様、それぞれ、105.6[mm]、101.6[mm]である(すなわち、これら3種類については幅情報が共通の値となっている)。そして、これら媒体「B-1」「B-2」「B-3」の用紙長LAは互いに異なる値であり、媒体「B-1」はLA=60.0[mm]、媒体「B-2」はLA=60.0[mm]、媒体「B-3」はLA=100.0[mm]となっている。
<変形例による媒体種類決定手法>
本変形例では、上記実施形態と同様、CPU71により、幅センサ20による検出結果としての台紙幅Wrと、上記図12の上記媒体リストに予め記録された複数種類の被印字テープ7それぞれの上記台紙幅Wとの比較に基づき、当該被印字テープ7の種類を決定する。その際、そのようにして決定された被印字テープ7の種類が複数あった場合には、本変形例では、その決定された種類の複数の候補を選択可能に上記液晶パネル3Bに表示し、ユーザによる選択操作で1種類を決定させる。すなわち、図9を用いて前述したように、実際に検出された被印字テープ7の台紙幅Wrに基づき媒体種類が決定されるとき、(前述のように媒体「B-1」「B-2」「B-3」は台紙幅Wの値が共通であることから)上記第1実施形態における前述の手法によれば、例えば被印字テープ7の種類が上記媒体「B-1」「B-2」「B-3」のどれかであることはわかっても、それら3つのうちのいずれであるか、までは判別できない。したがって、このような場合には、上記液晶パネル3Bに、上記媒体「B-1」、媒体「B-2」、媒体「B-3」が被印字テープ7の媒体種類の候補であることを表示し、ユーザの操作によってそれらのうち1つを選択させる。
<制御手順>
上記の手法を実現するために本変形例のCPU71が実行する上記図10に示した制御手順のうち、上記ステップS40の媒体決定処理の詳細手順を、上記図11に対応する図13に示す。
図13に示すフローは、上記図11の上記ステップS490の後に、新たなステップS500~ステップS530を追加した点が異なる。
すなわち、図13において、上記図11と同様のステップS410~ステップS480を経て、図11と同様のステップS490において、検出した台紙幅Wrに基づく被印字テープ7の種類の決定が行われる。但しこのステップS490では、前述した例のように同一の台紙幅Wを備えた媒体種類が複数ある場合には、上記被印字テープ7の種類が(1種類に絞られることなく)それら複数の種類(候補)に決定される。その後、新たに設けたステップS500に移る。
ステップS500では、CPU71は、上記ステップS490で決定された被印字テープ7の種類に複数の候補が存在するか否かを判定する。複数の候補が存在しない場合はステップS500の判定が満たされず(S500:NO)、このフローを終了する。上記ステップS490で決定された被印字テープ7の種類に複数の候補が存在した場合はステップS500の判定が満たされ(S500:YES)、新たに設けたステップS510に移る。
ステップS510では、CPU71は、液晶パネル部3B(又はタッチパネル3Aでもよい。以下同様)に制御信号を出力し、上記ステップS490で決定された上記被印字テープ7の種類の複数の候補を液晶パネル部3Bに表示する。ステップS510が終了すると、新たなステップS520に移る。なお、上記ステップS510の手順でCPU71が実行する処理が各請求項記載の種類表示処理に相当する。
ステップS520では、CPU71は、上記ステップS510で液晶パネル部3Bに表示した複数の候補のうち1種類に対する、タッチパネル部3Aを介したユーザの選択操作を受け付ける。ステップS520が終了すると、新たなステップS530に移る。なお、上記ステップS520の手順でCPU71が実行する処理が各請求項記載の選択受付処理に相当する。
ステップS530では、CPU71は、上記ステップS520で受け付けた被印字テープ7の1つの種類を被印字テープ7の種類として最終決定する。ステップS530が終了すると、図13のルーチンを終了し、上記図10のステップS50に戻る。
以上のように、本変形例によれば、候補となる被印字テープ7の種類が複数あった場合に、最終的な1種類への絞り込みをユーザの意思に委ねることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について、図14~図17を参照して説明する。本実施形態では、上記幅センサ20により検出した被印字テープ7の上記幅情報(前述の例では台紙幅W)に加え、被印字テープ7の搬送時に上記長さセンサ30により検出した被印字テープ7の長さ情報(この例では用紙長LA及びギャップ長LB)にも基づき、被印字テープ7の種類を決定する。以下、その詳細手法を順を追って説明する。上記第1実施形態及びその変形例と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
本実施形態では、まず、幅センサ20の検出した上記台紙幅Wrに基づき、図9の媒体リストを用いて前述した手法により対応する被印字テープ7の種類が決定される。その一方、長さセンサ30の検出した上記用紙長LAに基づき、別の媒体リストを用いた手法(後述の図14(a)及び図14(b)参照)により対応する被印字テープ7の種類が決定される。そして、それら2つの決定内容の整合度に応じて、最終的な被印字テープ7の種類が決定される。
<別の媒体リスト>
本実施形態では、上記不揮発性メモリ77に、例えばユーザが予め使用することが想定される複数種類の被印字テープ7それぞれについての、前述の図9(a)に示した媒体リスト(台紙幅Wが記録されている)に加え、上記用紙長LAの値が記録された上記別の媒体リストが記憶されている。上記別の媒体リストの一例を図14(a)に示す。
図14(a)において、この例では、媒体「A」「B」「C」「D」「E」の5種類(この例では上記図9の媒体「A」「B」「C」「D」「E」とそれぞれ同一種類である)を含む複数種類の被印字テープ7があらかじめ登録されている。
例えば媒体「A」は、用紙長LAが25.0[mm]、ギャップ長LBが2.0[mm]、媒体長L(=LA+LB)が27.0[mm]となっている。なお、この例では、図9を用いて前述した台紙幅W=29.4[mm]も併せて記録されている。
例えば媒体「B」は、用紙長LAが60.0[mm]、ギャップ長LBが3.0[mm]、媒体長Lが63.0[mm]であり、台紙幅W=105.6[mm]も記録されている。また媒体「C」は、用紙長LAが85.0[mm]、ギャップ長LBが3.5[mm]、媒体長がL88.5[mm]であり、台紙幅W=54.0[mm]も記録されている。媒体「D」は、用紙長LAが50.0[mm]、ギャップ長LBが3.0[mm]、媒体長Lが53.0[mm]であり、台紙幅W=34.0[mm]も記録されている。媒体「E」は、用紙長LAが92.0[mm]、ギャップ長LBが3.5[mm]、媒体長Lが95.5[mm]であり、台紙幅W=44.0[mm]も記録されている。
そして、前述のようにしてラベル作成装置1において被印字テープ7が搬送されとき、長さセンサ30によって上記用紙長LA及びギャップ長LBそれぞれの実測値LAr,LBr(以下適宜、単に「用紙長LAr」「ギャップ長LBr」という)が検出される。そして、その用紙長LArとギャップ長LBrとの和に相当する実測値相当の媒体長Lr(以下適宜、単に「媒体長Lr」という)が、上記図14(a)に示す上記媒体リストに予め記録された複数種類の被印字テープ7それぞれの上記媒体長Lと比較されることで、当該1つの被印字テープ7の種類が決定される。
なお、図9(a)と同様、図14(a)に示した上記複数の被印字テープ7の用紙長LA及びギャップ長LBは、ユーザがタッチパネル部3Aを介し事前に不揮発性メモリ77に登録し、媒体リストとして記憶させてもよい。あるいは、外部サーバから取得された複数の被印字テープ7の用紙長LA及びギャップ長LBを不揮発性メモリ77に登録し、媒体リストとして記憶させてもよい。
<別の媒体リストを用いた媒体種類決定手法>
上記の手法により図14(a)の媒体リストに基づき被印字テープ7の種類(媒体種類)が決定されるときの例を図14(b)を用いて説明する。
図14(b)は、上記検出された実際の用紙長LA及びギャップ長LBの複数(この例では検出番号「11」~「14」の4つを例示)の例に対し、それぞれどのようにして被印字テープ7の種類が決定されるか、を表している。
例えば検出番号「11」の被印字テープ7では、上記用紙長LAr(図14(b)では「用紙長実測値」と表記。以下同じ)が24.7[mm]、上記ギャップ長LBr(図14(a)では「ギャップ長実測値」と表記。以下同じ)が2.20[mm]であり、上記媒体長Lr=26.9[mm]となる。この値を上記図14(a)に示す媒体リストと比較すると、値が最も近くなるのは媒体「A」の媒体長L=27.0[mm]であることがわかる。この結果、当該検出番号「11」の上記被印字テープ7の種類は、媒体「A」と決定(特定)され、媒体長Lは媒体「A」に対応する27.0[mm]と決定される。
同様に、検出番号「12」の被印字テープ7では、上記用紙長LArが84.4[mm]、上記ギャップ長LBrが3.20[mm]であり、上記媒体長Lr=87.6[mm]となる。この値を上記媒体リストと比較すると、値が最も近くなるのは媒体「C」の媒体長L=88.5[mm]であることがわかる。この結果、当該検出番号「12」の上記被印字テープ7の種類は、媒体「C」と決定(特定)され、媒体長Lは媒体「C」に対応する88.5[mm]と決定される。
同様に、検出番号「13」の被印字テープ7では、上記用紙長LArが25.2[mm]、上記ギャップ長LBrが2.10[mm]であり、上記媒体長Lr=27.3[mm]となる。この値を上記媒体リストと比較すると、値が最も近くなるのは媒体「A」の媒体長L=27.0[mm]であることがわかる。この結果、当該検出番号「13」の被印字テープ7の種類は、媒体「A」と決定(特定)され、媒体長Lは媒体「A」に対応する27.0[mm]と決定される。
同様に、検出番号「14」の被印字テープ7では、上記用紙長LArが60.4[mm]、上記ギャップ長LBrが3.05[mm]であり、上記媒体長Lr=63.45[mm]となる。この値を上記媒体リストと比較すると、値が最も近くなるのは媒体「B」の媒体長L=63.0[mm]であることがわかる。この結果、当該検出番号「14」の上記被印字テープ7の種類は、媒体「B」と決定(特定)され、媒体長Lは媒体「B」に対応する63.0[mm]と決定される。
<制御手順>
上記手法を実現するために、CPU71が実行する制御手順を説明する。
図15に示すフローでは、図10の上記ステップS20とステップS40との間に新たなステップS30を追加し、上記図10の上記ステップS40とステップS50の間に新たなステップS45とステップS48とを追加した点が異なる。
図15において、上記図10と同様のステップS10及びステップS15を経て、上記同様のステップS20において被印字テープ7の搬送が開始されると、新たに設けたステップS30に移行する。
ステップS30では、CPU71は、搬送される上記被印字テープ7に対し長さセンサ30の検出結果に基づく被印字テープ7の長さ情報(この例では実測値である上記用紙長LAr及びギャップ長LBr)を取得する長さ情報検出処理を行う。
ステップS30の長さ情報検出処理の詳細を図16に示す。図16において、まずステップS110で、CPU71は、上記長さセンサ30によりラベル台紙7Bの前端Ef(上記図6(b)参照)が検出されたか否かを判定する。上記ステップS110で上記前端Efが検出されない間はステップS110の判定は満たされず(S110:NO)、ステップS170に移る。
ステップS170では、CPU71は、上記長さセンサ30によりラベル台紙7Bの後端Er(上記図6(b)参照)が検出されたか否かを判定する。後端Erが検出されない間はステップS170の判定は満たされず(S170:NO)、ステップS110に戻って同様の手順を繰り返す。
上記のようにしてステップS110→ステップS170→ステップS110→・・と繰り返されている間に上記前端Efが検出された場合は、ステップS110の判定が満たされ(S110:YES)、ステップS120に移る。
ステップS120では、CPU71は、上記長さセンサ30によりラベル台紙7Bの後端Er(上記図6(b)参照)が検出されたか否かを判定する。後端Erが検出されない場合はステップS120の判定は満たされず(S120:NO)、ループ待機する。後端Erが検出された場合にはステップS120の判定が満たされて(S120:YES)、ステップS130に移る。
ステップS130では、CPU71は、上記ステップS110での上記前端Efの検出結果と、上記ステップS120での上記後端Erの検出結果とに基づき、それら前端Efと後端Erとの間の距離を前述の用紙長LArとする。ステップS130が終了すると、ステップS140に移る。
ステップS140では、CPU71は、上記長さセンサ30により上記前端Ef及び後端Erを検出したラベル台紙7Bの次の順番のラベル台紙7Bの前端Efが検出されたか否かを判定する。前端Efが検出されない場合にはステップS140の判定は満たされず(S140:NO)、ループ待機する。前端Efが検出された場合にはステップS140の判定が満たされ(S140:YES)、ステップS150に移る。
ステップS150では、CPU71は、上記ステップS120での上記後端Erの検出結果と、上記ステップS140での上記前端Efとの検出結果とに基づき、それら後端Erと前端Efとの間の距離を前述のギャップ長LBrとする。その後、後述のステップS160に移行する。
一方、前述のようにステップS110→ステップS170→ステップS110→・・と繰り返されている間に上記後端Erが検出された場合は、ステップS170の判定が満たされ(S170:YES)、ステップS180に移る。
ステップS180では、CPU71は、上記ステップS110と同様、センサ30によりラベル台紙7Bの上記前端Efが検出されたか否かを判定する。検出されない場合はステップS180の判定は満たされず(S180:NO)ループ待機する。前端Efが検出された場合はステップS180の判定が満たされ(S180:YES)、ステップS190に移る。
ステップS190では、CPU71は、上記ステップS150と同様、上記ステップS170での上記後端Erの検出結果と、上記ステップS180での上記前端Efの検出結果とに基づき、それら後端Erと前端Efとの間の距離を前述のギャップ長LBrとする。ステップS190が終了すると、ステップS200に移る。
ステップS200では、CPU71は、上記ステップS120と同様、センサ30によりラベル台紙7Bの上記後端Erが検出されたか否かを判定する。後端Erが検出されない場合はステップS200の判定が満たされず(S200:NO)ループ待機する。後端Erが検出された場合はステップS200の判定が満たされ(S200:YES)、ステップS210に移る。
ステップS210では、CPU71は、上記ステップS130と同様、上記ステップS180での上記前端Efの検出結果と、上記ステップS200での上記後端Erの検出結果とに基づき、それら前端Efと後端Erとの間の距離を前述の用紙長LArとする。その後、後述のステップS160に移行する。
上記ステップS150(又はステップS210)から移行したステップS160では、CPU71は、上記ステップS130(又は上記ステップS210)で検出した用紙長LArと、上記ステップS150(又は上記ステップS190)で検出したギャップ長LBrとに基づき、それらの和Lrを算出する。ステップS160が終了すると、図16のルーチンを終了し、上記図15のステップS40の媒体決定処理(1)に移行する。なお、上記ステップS30の手順でCPU71が実行する処理が各請求項記載の長さ情報取得処理に相当する。
ステップS40の媒体決定処理(1)は、図10と同様であり説明を省略する。ステップS40が終了すると、新たに設けたステップS45の媒体決定処理(2)に移行する。
ステップS45の媒体決定処理(2)の詳細を図17に示す。図17において、まずステップS310で、CPU71は、不揮発性メモリ77に記憶されている上記図14(a)の上記媒体リストを読み出す。ステップS310が終了すると、ステップS320に移る。
ステップS320では、CPU71は、ステップS310で読み出した媒体リストを参照し、上記ステップS160にて算出した媒体長Lrと上記媒体リスト中の各種類の媒体長Lとの媒体長差分△L(=|Lr-L|)が最小となる、媒体長Lを備えた1つの被印字テープ7の種類(媒体種類)を決定する。なお、上記媒体長差分△が最小となる種類が複数あった場合には、予め定めた適宜の手法により、それらのうち1つの種類に決定するようにすれば足りる。なお、このステップS320の手順と上記ステップS40中のステップS490の手順(図11参照)とでCPU71が実行する処理が、本実施形態における各請求項記載の種類決定処理に相当する。
その後、ステップS330で、CPU71は、上記ステップS320で決定した媒体長差分△Lが、予め定められた所定のしきい値未満であるか否かを判定する。媒体長差分△Lが上記しきい値以上であればステップS330の判定は満たされず(S330:NO)、図15に戻って当該図15のフローを終了する。媒体長差分△Lがしきい値未満であればステップS330の判定が満たされ(S330:YES)、このルーチンを終了して図15に新たに設けたステップS48に移る。
図15に戻り、ステップS48では、CPU71は、上記ステップS40で幅センサ20の検出結果に基づき決定した被印字テープ7の媒体種類と、上記ステップS45で長さセンサ30の検出結果に基づき決定した被印字テープ7の媒体種類とが、一致したか否かを判定する。2つの決定結果(媒体種類)が一致しない場合はステップS48の判定が満たされず(S48:NO)、上記ステップS20に戻って同様の手順を繰り返す。上記決定結果が一致した場合はステップS48の判定が満たされ(S48:YES)、ステップS50に移る。
ステップS50~ステップS100は、上記図10と同様であり、説明を省略する。
以上説明したように、第2実施形態においては、ユーザが予め使用することが想定される複数種類の被印字テープ7それぞれについて、上記台紙幅Wの値の他に、上記媒体長Lの値も上記不揮発性メモリ77に媒体リストとして記憶されている(図9(a)及び図14(a)参照)。そして、実際に使用される被印字テープ7に対し、長さセンサ30の検出結果に基づき媒体長Lrが取得されたら、幅センサ20の検出結果に基づき取得された上記台紙幅Wrと上記媒体リストの複数種類の被印字テープ7の幅Wとの比較に加え、上記取得された媒体長Lrと上記媒体リストの複数種類の被印字テープ7の媒体長Lとの比較も行って、当該被印字テープ7の種類が決定される。
これにより、同一種類の被印字テープ7に対しては確実に同一の態様で印字形成動作を制御することができ、各被印字テープ7の種類ごとにさらに最適な印字制御を行うことができる。
<第2実施形態の変形例>
なお、第2実施形態は、上記の態様に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例について説明する。上記第1実施形態及びその変形例や第2実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
(2-1)無定長タイプの被印字テープを用いる場合
上記第2実施形態では、ラベル台紙7Bが一定間隔で連続配置された被印字テープ7(いわゆるダイカットラベル)を用いたが、これに限られない。すなわち、図18に示すように、それぞれ長尺の、受像層(図示せず)、感熱層(図示せず)、粘着剤層(図示せず)、及び剥離材層7Aがこの順序で積層された4層構造からなる、いわゆる無定長タイプの被印字テープ7′を用いてもよい。この例では、当該被印字テープ7′の裏面側(すなわち上記剥離材7A)に所定のピッチで黒マークBM(検出マークに相当)が設けられた被印字テープ7′(いわゆるマーク付き媒体)となっている。
この場合、上記幅センサ20により被印字テープ7の搬送方向に直交する幅方向の寸法W′(=テープ幅。この変形例における幅情報に相当)が検出される。また、上記長さセンサ30により黒マークBMが検出されることで、上記黒マークBMの上記搬送方向における長さLB′(この場合のギャップ長)と、上記搬送方向に隣接する2つの黒マークBM,BMの間の上記搬送方向における長さLA′(この場合の用紙長)とが検出される。なお、長さセンサ30として、透過型光学センサに代えて、発光部から発光された光の被印字テープ7′による反射光を受光部で受光する反射型の光学センサを用いても良い。また、長さセンサ30を透過型光学センサ又は反射型光学センサで構成するのにも限られず、透過型光学センサと反射型光学センサとを併用してもよい。
この変形例においても、検出した上記テープ幅W′と不揮発性メモリ77に記憶した媒体リストに予め記憶された対応するテープ幅との比較、及び、検出した媒体長(上記用紙長LA′と上記ギャップ長LBとの和)と上記媒体リストに予め記憶された対応する媒体長との比較に基づき、上記第2実施形態と同様の手法により被印字テープ7′の種類を決定することができ、上記第2実施形態と同様の効果を得る。
また、以上の説明において、「垂直」「平行」「平面」等の記載がある場合には、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「垂直」「平行」「平面」等とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に垂直」「実質的に平行」「実質的に平面」等という意味である。
また、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」等とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」等という意味である。但し、例えばしきい値や基準値等、所定の判定基準となる値あるいは区切りとなる値の記載がある場合は、それらに対しての「同一」「等しい」「異なる」等は、上記とは異なり、厳密な意味である。
なお、以上において、図7中に示す矢印は、信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
また、図10、図11、図13、図15、図16、図17に示すフローチャートは、本発明を図示する手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用してもよい。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。