JP6158781B2 - 型締装置 - Google Patents
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Description
小容量のモータによってボールねじの発生推力を大きくするには、転動体であるボールが破損しないように面圧を下げる為にボール径を大きくする必要があるが、ボール径を大きくすると、ボールが入る螺旋状の一筋の溝の幅が広くなり隣り合う溝同士が互いに干渉してしまう。この溝同士の干渉を防止するためにはリード(溝が一周して軸方向に進む量)を溝幅よりも大きくする必要があるが、リード(またはリード角)を大きくすると倍力効果が小さくなる。したがって、ボールが負担する推力(面圧)がさらに高くなるとともに、ボールねじを回転させるのに必要なモータの回転トルクが大きくなり、それに伴ってコストも高くなる。
本発明の型締装置は、ボールねじが、タイバーの一部をなすか、または、又は、タイバーと一体的に固定され、外周面に複数のそれぞれが独立するねじ溝が形成されるねじ軸と、ねじ溝のそれぞれに対応するナット溝が形成されるナットと、ねじ軸のねじ溝にナットのナット溝により形成される循環経路に収容される複数の転動体と、を備える。そして、ねじ軸のそれぞれのねじ溝は、一端から他端までの溝に沿った長さである溝長さDsがねじ軸の外周の1周未満であり、かつ、リードLが溝幅Wよりも小さくなるリード角を有することを特徴としている。これにより、ボール径を大きくしながら、リードを小さくできるため、小容量のモータで大きな推力が得られる。
これにより、ねじ軸及びナットが受ける荷重を分散させることでねじ軸及びナットが曲がるのを防ぐことができるので、ねじ軸及びナットの特定の部位に荷重がかかって寿命が短くなるのを防止できる。
これにより、本発明の型締装置が、異なる厚さの金型(固定金型,可動金型)を使用する場合に、調整手段により固定手段、例えば割りナットを用いる場合に、その位置を調整することにより、タイバー側の鋸歯の位置と、割りナット側の鋸歯の位置がきちんと噛み合うようにすることができる。
型締装置10は、図1に示すように、ベースフレーム11の一端側の上面に固定金型14が保持される固定プラテン12が固定されている。
ベースフレーム11の他端側の上面には固定プラテン12に対向して可動金型15を保持する可動プラテン13が前後方向に進退移動可能に設けられている。ベースフレーム11上には、ガイドレール26が敷設されており、このガイドレール26にガイドされたリニアベアリング27が、架台28を介して可動プラテン13を進退移動可能に支持している。
なお、本実施形態において、固定プラテン12が設けられる側を後(図中のB)と、また、可動プラテン13が設けられる側を前(図中のF)と定義する。
それぞれのタイバー17は、前端側が可動プラテン13に形成された貫通孔に臨むように配置され、可動プラテン13が型締めのために後方に移動して近づいてきたときに、対応する挿通孔を貫通する一方、後端側は固定プラテン12を貫通している。タイバー17は、後端側に、ボールねじ19を構成するねじ軸30を備えている。
ボールねじ19は、ねじ軸30と、ねじ軸30に噛み合うナット40とを備え、ねじ軸30とナット40の間には転動体として機能する鋼球B(図3,図4参照)が介在している。本実施形態は、ボールねじ19の構成に特徴を有しているが、この特徴については後述する。
電動モータ18は、ナット40をタイバー17(ねじ軸30)の中心軸を回転中心にして回転駆動させる。なお、電動モータ18からナット40への駆動力の伝達は、電動モータ18の出力軸に固定される歯車18Aと、ナット40と一体的に回転駆動される歯車40Aとを介して行われる。この回転駆動力は、ボールねじ19によりタイバー17の後方又は前方への直線運動に変換され、これにより型締め及び型締めの開放がなされる。
なお、電動モータ18が直接的に回転駆動させる相手をタイバー17(ねじ軸30)とし、ナット40を固定させる形態にしてもよく、これにより同じ効果が得られる。
それぞれのタイバー17の先端部には、等ピッチの複数のリング溝(雄ねじ)が形成されている。また、可動プラテン13の前方側の側面には、それぞれのタイバー17のリング溝と噛み合うリング溝(雌ねじ)を備える割りナット29が設けられている。
タイバー17と割りナット29とが結合された後、型締め機構16を動作させて型締めを行う。
本実施形態に係るボールねじ19は、図1に示すように、タイバー17の後端側に形成されるねじ軸30と、ねじ軸30に噛み合うナット40と、ねじ軸30とナット40の間に介在され、転動体として機能する鋼球Bと、を備えている。
第1ねじ溝31と第2ねじ溝33は、それぞれが、溝長さDsがねじ軸30の外周の1周未満、中心角として捉えると360°未満として形成されており、一端Sと他端Eを備えている。溝長さDsは、この一端Sから他端Eまでの溝に沿った長さである。第1ねじ溝31と第2ねじ溝33は、同じ向きの螺旋をなしているが、それぞれの一端Sと他端Eが設けられる位置、換言すると、溝が途切れる位置が、180°だけずれており、互いに対称をなしている。
また、第1ねじ溝31と第2ねじ溝33は、それぞれが、そのリードLが溝幅W未満として形成されており、リード角θが小さい。
第2ナット溝43も同様に、ナット40の内周面の周方向に沿って形成される主溝43Aと、主溝43Aの両端からナット40径方向に立ち上がる副溝43B,43Cと、を備える。主溝43Aは、ねじ軸30の第2ねじ溝33と同じリード角θをもって形成され、その溝長さDnは、第2ねじ溝33よりも短く、例えば、溝長さDnは溝長さDsの1/5程度とされている。
第1リターンチューブ45は、ナット40の外周面に第1ナット溝41に対応して設けられており、一端が第1ナット溝41の副溝41Bに接続され、他端が第1ナット溝41の副溝41Cに接続されており、第1ねじ溝31及び第1ナット溝41とともに、第1循環経路R1を構成する。
第2リターンチューブ47は、ナット40の外周面に第2ナット溝43に対応して設けられており、一端が第2ナット溝43の副溝43Bに接続され、他端が第2ナット溝43の副溝43Cに接続されており、第2ねじ溝33及び第2ナット溝43とともに、第2循環経路R2を構成する。
第1循環経路R1及び第2循環経路R2には、それぞれ、所定数の鋼球Bを転動体として設けられている。なお、図3及び図4には、鋼球Bを間引いて示しているが、実際は、隣接する鋼球Bが接するようにして第1循環経路R1及び第2循環経路R2に設けられる。
次に、図4を参照して、ボールねじ19の動作を説明する。なお、図4は、左右のそれぞれが第1ねじ溝31,第2ねじ溝33に対応する部分の断面を示している。
ボールねじ19は、固定金型14と可動金型15が接触して閉じた状態となり、かつ、タイバー17と割りナット29とが結合した後に、型締めのために動作する。型締めに必要なボールねじ19のストロークは、数mm程度である。
型締めを行うために、電動モータ18を回転駆動(例えば、時計回り)する。そうすると、図4(a)に示すように、第1リターンチューブ45および第2リターンチューブ47を備えたナット40は、例えば反時計回りCCWに回転し、この回転に伴って、鋼球Bは、第1循環経路R1及び第2循環経路R2をそれぞれ転動しながら循環する。そして、タイバー17のねじ軸30がナット40と鋼球Bを介して噛み合っているために、タイバー17は後方に向けて直線運動する。そうすると、先端においてタイバー17と割りナット29とが結合しているために、割りナット29を介して可動プラテン13が固定プラテン12に向けて移動され、これにより、固定金型14と可動金型15の型締めを行う。予め定められている量だけタイバー17を前進させたならば、電動モータ18の駆動を停止する。以後、一サイクルの射出成形の工程が順次行われる。なお、第1リターンチューブ45および第2リターンチューブ47の駆動力が予め定められている値に到達すること、または、第1リターンチューブ45および第2リターンチューブ47の回転角度が予め定められている値に到達したことを、電動モータ18の駆動停止の条件とすることで高精度な型締め力の調整もできる。
型開きするには、電動モータ18を、型締めとは逆向きに回転駆動させる。そうすると、図4(b)に示すように、第1リターンチューブ45および第2リターンチューブ47を備えたナット40は、例えば、時計回りCWに回転し、予め定められている量だけタイバー17を前進させたならば、電動モータ18の駆動を停止する。この場合も、第1リターンチューブ45および第2リターンチューブ47の駆動力が予め定められている値に到達すること、または、第1リターンチューブ45および第2リターンチューブ47の回転角度が予め定められている値に到達することを、電動モータ18の駆動停止の条件とすることもできる。
以上説明した本実施形態によるボールねじ19は、第1ねじ溝31と第2ねじ溝33のそれぞれが、そのリードLが溝幅W未満として形成されており、リード角θが小さいので、高い倍力効果が得られる。しかも、本実施形態によるボールねじ19は、第1ねじ溝31と第2ねじ溝33のそれぞれの溝長さDsがねじ軸30の外周の1周未満であるから、第1ねじ溝31と第2ねじ溝33のそれぞれにおいて干渉が生ずることがない。
よって、通常のボールねじと同様にボール溝と鋼球Bの間の隙間をほぼ無くすことで、制御された電動モータの回転運動を正確に直線運動に変換できるために、高精度な位置制御、速度制御、力制御が可能になり、発泡成形のために金型内に溶融樹脂を充填後、可動金型を固定金型との密着位置から離間する方向に移動させるコアバック成形動作、および金型内に溶融樹脂を充填する前あるいは充填中に、可動金型を固定金型との密着位置から型開方向に移動させた後、キャビティ内の溶融樹脂を潰すように可動金型を固定金型に接近させる方向に移動させる射出圧縮成形動作が高精度化される。
例えば、ねじ溝の長さは、上記実施形態で示した1周分に近い値に限らず、例えば図5(a)に示すように、半周分程度、中心角でいうと180°程度にすることもできるし、3/4周程度、中心角でいうと270°程度にすることもできる。
また、ねじ溝(ナット溝)は、二つに限らず、例えば図5(b)に示すように、四つのねじ溝(ナット溝)を設けることもできるし、図示を省略するが、三つなどの奇数のねじ溝を設けることもできる。
調整装置50は、くさび型をなす第1ゲージ51と、第1ゲージ51を昇降させるアクチュエータ53と、割りナット29に固定され、くさび型をなし、可動ゲージ51とは上下が反転する第2ゲージ55と、を備える。
第1ゲージ51は、可動面51Aと背面51Bを備え、背面51Bが可動プラテン13に摺動可能に設けられ、背面51Bに対して傾斜する可動面51Aが第2ゲージ55に対向して設けられる。
第2ゲージ55は、可動面55Aと背面55Bを備え、背面55Bの側が割りナット29に固定され、背面55Bに対して傾斜する可動面55Aが第1ゲージ51の可動面51Aに摺動可能に設けられる。
11 ベースフレーム
12 固定プラテン
13 可動プラテン
14 固定金型
15 可動金型
16 型締め機構
17 タイバー
18 電動モータ
19 ボールねじ
20 軸受箱
21 軸受箱
22 サーボモータ
23,24 動力伝達ギア
25 ねじ軸
26 ガイドレール
27 リニアベアリング
28 架台
29 割りナット
30 ねじ軸
31 第1ねじ溝
33 第2ねじ溝
40 ナット
41 第1ナット溝
41A 主溝
41B,41C 副溝
43 第2ナット溝
43A 主溝
43B,43C 副溝
45 第1リターンチューブ
47 第2リターンチューブ
B 鋼球
R1 循環経路
R2 循環経路
Claims (3)
- 固定金型を保持する固定プラテンと、
前記固定プラテンに対して進退可能に設けられ、可動金型を保持する可動プラテンと、
前記固定プラテン又は可動プラテンのいずれか一方に設けられる電動モータと、
型締めの際に前記固定プラテンと前記可動プラテンを接続する複数のタイバーと、を備え、
前記電動モータの回転駆動力を直線運動に変換するボールねじを介して、前記タイバーを牽引することにより前記固定金型と前記可動金型との間に型締め力を生じさせる型締装置であって、
前記ボールねじは、
前記タイバーの一部をなすか、又は、前記タイバーと一体的に固定され、外周面に複数のそれぞれが独立するねじ溝が形成されるねじ軸と、
前記ねじ溝のそれぞれに対応するナット溝が形成されるナットと、
前記ねじ軸の前記ねじ溝に前記ナットの前記ナット溝により形成される循環経路に収容される複数の転動体と、を備え、
前記ねじ軸のそれぞれの前記ねじ溝は、
一端から他端までの溝に沿った長さである溝長さDsが前記ねじ軸の外周の1周未満であり、かつ、
リードLが溝幅Wよりも小さくなるリード角を有する、
ことを特徴とする型締装置。 - 前記ナットは、
複数の独立する前記ナット溝を、軸方向に間隔をあけて備え、
隣接する前記ナット溝は、周方向において対称配置の位置に設けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載の型締装置。 - 前記ねじ軸は、
複数のそれぞれが独立する前記ねじ溝を、軸方向に間隔をあけて備え、
隣接する前記ねじ溝は、周方向において対称配置の位置に設けられる、
請求項1又は請求項2に記載の型締装置。
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