JP5083217B2 - ステムスライド装置 - Google Patents

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Description

本発明は、押出プレス装置に設けられたステムスライド装置に関し、特に、コンテナに装填したビレットを押圧するステムが水平に取り付けられたステムスライド台を、ビレット供給時に上昇させることができるステムスライド装置に関する。
一般に、金属材料、例えば、アルミニウムまたはその合金材料などによる押出材(ビレット)を押出プレス装置により押出す場合、油圧シリンダにより駆動されるメインラムの先端部にステムが取り付けられており、ダイスにコンテナを押し付けた状態で、ビレットローダ上のビレットをメインラム先端部のステムで押し付けて、該コンテナのビレット収容部内に装填する。そして、メインラムをさらに油圧シリンダの駆動により前進させることにより、ビレットがステムにて強力に押圧される。そこで、ダイスの出口部から、成形された製品が押し出される。
この従来型の押出しプレス装置では、コンテナにビレットを装填するときに、ステムの先端は、このビレットの長さ分、後退させなければならないため、メインラムのストロークはビレット長に、ステムの長さを加えたものとなっている。そこで、このメインラムのストロークを確保するには、従来型の押出プレス装置の全体が長大化してしまい、メインラムを駆動する油圧シリンダ自体も大型化し、これに伴って、作動させる作動油量も多く必要となる。
近年においては、押出プレスのコンパクト化が図られている。このコンパクト化により、押出プレス装置の省スペース化、省エネルギー化を達成することができる。このコンパクト化の一手法である、ショートストロークプレス方式と呼ばれる押出プレス装置が開発されている。従来型の押出プレス装置では、ビレットをコンテナ内に装填するために、ビレット供給用のスペースが必要であり、この長さ分だけ、メインラムのストロークが長くなっていた。そこで、このショートストロークプレス方式では、ビレット供給の仕方を工夫して、ビレット供給用スペースの長さの分だけ、メインラムストロークの長さを短くしている。
このショートストロークプレス方式によれば、押出プレス装置全体の機長を短くコンパクト化することができ、非押出時間(アイドルタイム)を短縮化でき、さらに、メインラム駆動用の油圧シリンダの作動油量を削減することができる。その結果、押出プレス装置の省スペース化、省エネルギー化を図ることができる。
このショートストロークプレス方式は、コンテナを基準においたビレットの供給方向で、2種類に分けられる。その一つの方式が、フロントローディング型と呼ばれるショートストロークプレス方式である。このフロントローディング型は、ビレット供給時には、コンテナをステム側に移動させておき、移動後のコンテナ位置よりダイス側にビレット供給用のスペースを確保するものである。つまり、ダイスとステム先端との間に、ビレットが供給される。
このフロントローディング型プレス方式では、ビレットを空中チャージで供給するため、ビレットローダ装置の芯精度の維持が重要となるため、ビレットローダ装置の保守、管理が必要となる。また、ビレットの径、曲がり、端面などの精度も要求される。そこで、実際には、コンテナの内径を大きくして対処している。しかし、この内径を大きくすることによって、製品へのブリスターの巻き込みの大きな要因となっている。
一方、もう一つの方式が、図3に示されるような、リアローディング型と呼ばれるショートストロークプレス方式が開発されている。このリアローディング型では、ビレット供給時には、ビレット供給用スペースを確保するため、ステムを水平移動又は上昇移動させている。当初のステム位置からステムを水平方向又は上方に移動させ、ステムの側方又は下方において、コンテナのステム側にビレット供給用のスペースを設けている。このスペースにビレットが供給される。(特開平4−231110号公報、特開平8−206727号公報を参照)
図3は、リアローディング型ショートストロークプレス方式が採用された押出プレス装置の概要を示し、押出プレス装置の上方から見た構成が示されている。この押出プレス装置では、エンドプラテン1とシリンダ取り付けブロック2がダイロッド3によって連結され固定されている。エンドプラテン1には、ビレットを製品に押し出す型を有するダイス4が取り付けられ、そのダイス4には、ビレット収容部Cを備えたコンテナ5が押し付けられている。
図3に示すように、シリンダ取り付けブロック2には、ステム6をコンテナ5のビレット収容部Cの軸に沿って移動させるためのメイン油圧シリンダ8が取り付けられている。図示されていないが、メイン油圧シリンダ8の内部には油圧によって駆動されるメインラムが配設され、このメインラムの先端に、ステム支持部材7が取り付けられている。このステム支持部材7に、ステム6が取り付けられており、メイン油圧シリンダ8のメインラムが駆動されると、ステム6が、コンテナ5のビレット収容部Cの軸線に沿って移動される。なお、図3では、ビレット供給時におけるステム6の水平移動又は上昇移動のための機構については、図示を省略している。
前述したリアローディング型ショートストロークプレス方式の押出プレス装置に適用されるステムの上昇移動機構の例を、図4A及び図4Bに示した。ここでは、図4Aに示されたステム支持台がステム上昇支持体71、スライドガイド部材72、ステムスライド台73、そして、ステムクランプ部材74で構成されている。ステムスライドガイド部材72は、ステム上下動支持体71に固定され、ステムスライド台73の両側端が上下に摺動できるスライド溝を備えている。
ステム6の基部が、ステムスライド台73にステムクランプ部材74によりクランプされ、ステム6が水平に保たれて支持される。さらに、ステムスライド台73は、ステム上下動駆動油圧シリンダ79の作動により、上下動される。図示していないが、ステムスライド台73の下降限のためのメカストッパが設けられており、このメカストッパの位置センサにより、ステム6の上下芯が許容値内に入っているか検知される。図4Aでは、ステムスライド台73が下降限にある状態が示され、ステム6の芯が、コンテナ5のビレット収容部Cの軸心に一致されている。
図5に示されたリアローディング型の押出プレス装置におけるビレット供給動作について、図5A乃至5Cを参照して説明する。図5A乃至5Cでは、図3の押出プレス装置と同じ部分には、同じ符号が付されている。
まず、図5Aに示されるように、ステム6が上昇移動され、その下方に形成されたスペースに、ビレットローダ装置BLに保持されたビレットBが、コンテナ5のビレット収容部Cの軸線位置に、押出プレス装置の側方から供給される。このときの、ステム6の上昇移動の状態が図4Bに示されている。
図4Bでは、ステム上下駆動油圧シリンダ79が作動して、ステムスライド台73が下降限の位置から所定の高さに押し上げられる。そうすると、ステムスライド台73の上昇移動で、これにクランプされているステム6も、軸Xの位置から所定の高さまで上昇移動される。そこで、ステム6が上昇移動した後には、軸Xの位置にスペースが形成され、このスペースに、図示のように次に押し出されるビレットBを供給することができる。
次いで、図5Bに示されるように、ビレットローダBLに備えられているビレット装入装置が該軸方向に駆動されて、ビレットBが、コンテナ5のビレット収容部C内に挿入されて、装填される。
図5Cに示されるように、ビレットBがさらに挿入されて、ビレット収容部Cへの装填が完了すると、ビレットローダ装置BLは、押出プレス装置から側方に退避され、次のビレットの保持に移行する。この後、上昇されていたステム6が、下降駆動されて当初のビレット収容部Cの軸位置に戻される。そこで、メイン油圧シリンダ8が駆動されて、メインラムが前進することにより、ステム6が、ビレットBへの押圧を開始し、以後、ビレットBは、ダイス4によって押出成形される。
ところで、リアローディング型ショートストロークプレス方式の押出プレス装置において、上述したようなステムの油圧シリンダ駆動による上昇移動機構を採用した場合には、ステムを上下動する駆動手段が油圧シリンダであることから、油圧駆動系統の経年変化や損傷などによる油漏れが発生するという問題があり、油漏れが発生した場合、ステムが前進した押出プレス装置の押出終了付近ではステムスライド機構と加熱されたコンテナとが近接するため、漏れた油に引火する恐れがあった。そのため、定期的に押出プレス装置を停止させて油圧駆動系統の保全を行なう必要があり、部保全の都度、設備が休転するといった問題があった。
そこで、本発明は、ステムが前進して押出プレス装置の押出終了付近でステムスライド機構と加熱されたコンテナとが近接しても、油漏れによる危険を回避し、保全作業を簡略化した、ビレット供給時にステムを上下移動させることができるステムスライド装置を提供することを目的とする。
以上の問題を解決するために、本発明のステムスライド装置は、コンテナに装着したビレットを押圧するステムが水平に取り付けられたステムスライド台と、ステム上下動支持体に取り付けられ、前記ステムスライド台の側端部が嵌合し上下に摺動されるガイド溝を形成したスライドガイド部材と、前記スライドガイド部材に設けられ、前記ステムスライド台の側端部を押圧するロック手段とを備えたステムスライド装置において、前記スライド台を摺動方向に動かすための電動モータを有する駆動機構を設けている。
本発明のステムスライド装置では、前記駆動機構が、電動モータと、電動モータの出力軸の回転を直線運動に変換するネジ軸及びボールナットからなるボールネジ変換装置とを備えていることが好ましい。
本発明のステムスライド装置では、前記駆動機構は、前記電動モータが前記ボールネジ変換装置の軸線上に並列に配設されていることが好ましい。
本発明のステムスライド装置では、前記電動モータを電動サーボモータに置き換えることも可能である。
以上のように、本発明のステムスライド装置によれば、ステムの上昇によって、コンテナ収容部内へビレットを供給するためのスペースが確保されて、コンテナ収容部内へビレットが装填され、次いで、ステムの下降によってビレットのコンテナ収容部内での押圧が開始される。このビレット供給時に、ステムをステムスライド台とともに摺動方向に動かすステム上昇機構を、電動モータを有する駆動機構とした。そのため、油圧駆動系統の経年変化や損傷などによる油漏れや、該油漏れなどに伴う危険の回避と定期的な保全作業を低減でき、設備を休転させる必要性が減少する。
また、駆動機構は、電動モータと、電動モータの出力軸の回転を直線運動に変換するネジ軸及びボールナットからなるボールネジ変換装置としたので、構造が簡単で摩耗部分がなく、保全性に優れており、部品を交換する頻度を低減でき、設備の休転を減少させ生産性に寄与する。
さらに、駆動源を電動モータによる構成としたので、ステムスライド装置の運転制御性及び操作性が向上するとともに、駆動効率が向上し作動エネルギーの低減を図ることができる。
以下、添付図面と本発明の好適な実施形態の記載から、本発明を一層十分に理解できるであろう。
図1は、本発明による押出プレス装置におけるステムスライド装置の実施形態を説明する図である。
図2は、実施形態におけるステムスライド装置のビレット供給時のステム上昇位置を説明する図である。
図3は、リアローディング型押出プレス装置の構成を説明する図である。
図4A,4Bは、従来のリアローディング型押出プレス装置におけるステムスライド構成を説明する図である。
図5A〜5Cは、図3に示されたリアローディング型押出プレス装置におけるビレット供給及び挿入の手順を説明する図である。
符号の説明
1 エンドプラテン
2 シリンダ取り付けブロック
3 タイロッド
4 ダイス
5 コンテナ
6 ステム
7 ステム支持台
8 メイン油圧シリンダ
10 駆動機構
11 電動モータ
12 ボールナット
13 ボールネジ
14 ボールナット支持体
15 軸受
16 軸受支持体
17a,17b プーリ
18 タイミングベルト
71 ステム上下動支持体
72,72a,72b スライドガイド部材
73 ステムスライド台
74,74a,74b ステムクランプ部材
77a,77b ロック手段
B ビレット
BL ビレットローダ
次に、図1及び図2を参照しながら、本発明のステムスライド装置の実施形態について説明する。本発明のステムスライド装置は、前述したリアローディング型ショートストロークプレス方式による押出プレス装置に適用されることを基礎とする。
図1に、本発明のステムスライド装置の実施形態が示されている。図1に示された実施形態のステムスライド装置は、図3に示された押出プレス装置のステム先端部の位置における縦断面で表わされている。図2は、ステム上昇位置を説明する図で、図1に示されたステムスライド装置のステム軸の位置における横断面で表わされている。
図1に示されたステムスライド装置は、ステム上下動支持体71、スライドガイド部材72a及び72b、ステムスライド台73、そして、ステムクランプ部材74a及び74bで基本構成される。スライドガイド部材72a及び72bが、ステム上下動支持体71に固定され、スライドガイド部材72a及び72bと、ステム上下動支持体71に施された図示しないライナとの間に、スライド溝が形成されている。このスライド溝内を、ステムスライド台73の両側端部が各々上下に摺動できるようになっている。符号77a及び77bはステムスライド台の側端部を押圧するロック手段である。
ステム6のステム基部が、ステムスライド台73にステムクランプ部材74a及び74bによりクランプされ、ステム6が水平に保たれて支持される。さらに、ステムスライド台73は、ステム上下動の駆動機構10の作動により上下動される。
ここで、図1に示す実施形態のステム上下動の駆動機構10は、電動モータ11、ボールナット12、ボールネジ13、ボールナット支持体14、軸受15、軸受支持体16、プーリ17a及び17b、タイミングベルト18などで基本構成される。
図1に示すように、ステム上下動支持体71の下方には出力軸にプーリ17aが取り付けられた電動モータ11が固定して配設されている。さらに、ステム上下動支持体71の下方には電動モータ11の軸線上に並列に軸受支持体16に固定された軸受15が配設され、ボールネジ13は軸受15に回転自在に支持されている。ボールネジ13の入力軸にはプーリ17bが取り付けられており、タイミングベルト18を介して電動モータ11に連結されている。
ネジ軸13にはボールナット12が螺合しており、ボールナット12はステムスライド台73の下端に固定されたボールナット支持体14内にその回転方向及び軸方向への移動が規制されて取り付けられている。このような構成において、電動モータ11が回転するとネジ軸13が回転しボールナット13を介してステムスライド台73は直線運動するようになっている。
図2は、図5Aに示されたビレット供給時に、ビレット供給用スペースを確保するため、当初のステム位置からステムを上方に移動させ、ステムの下方において、コンテナのステム側にビレット供給用のスペースを設けた状態を示している。このスペースにビレットが供給される。Xで示す軸線が当初のステム位置を表わしている。
そして、図1に示す実施形態では、ステムスライド台73が下降限位置に達し、図示しないメカストッパが作用したとき、ステムスライド台73をステム上下動支持体71側に押圧することにより、摺動ライナ等の摩耗によりステム6の中心軸がコンテナのビレット収容部Cの軸Xからのズレを修正できるようにした。このズレの修正は、ステムスライド台73の側端部に対向するスライドガイド部材72a及び72bに、油圧で駆動するロック手段77a及び77bを設け、ステムスライド台73が下降限位置に達したことが検知されたとき、ロック手段77a及び77bを作用させステムスライド台73の側端部を押圧することによって行なうこととした。
さらに、電動モータ11を電動サーボモータに置き換えると、モータ部の小型化によりステムスライド装置全体のコンパクト化と、制御性及び操作性が向上する効果を有する。
上記の実施形態において、電動モータ11とボールネジ13とを並列に配設する構成としたが、ボールナット支持体14を設けることなくボールナット12をステムスライド台73内にその回転方向及び軸方向への移動が規制するように取り付け、ボールネジ13の入力軸端と電動モータ11の出力軸端をカップリングなどで連結され、電動モータ11とボールネジ13が直列で同芯上に配設された構成であっても良い。また、上記実施形態においては、電動モータ11がステムスライド台73の下方に配置された構成で説明しているが、電動モータ11をステムスライド台73の上方に配置しても良い。
更に、インバータ及びインバータモータを用いてステムの上下動の速度調整制御を行なう構成であっても良い。

Claims (4)

  1. コンテナに装着したビレットを押圧するステムが水平に取り付けられたステムスライド台と、ステム上下動支持体に取り付けられ、前記ステムスライド台の側端部が嵌合し上下に摺動されるガイド溝を形成したスライドガイド部材と、前記スライドガイド部材に設けられ、前記ステムスライド台の側端部を押圧するロック手段とを備えたステムスライド装置において、
    前記スライド台を摺動方向に動かすための電動モータを有する駆動機構を設けたことを特徴とするステムスライド装置。
  2. 前記駆動機構は、電動モータと、電動モータの出力軸の回転を直線運動に変換するネジ軸及びボールナットからなるボールネジ変換装置とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のステムスライド装置。
  3. 前記駆動機構は、前記電動モータが前記ボールネジ変換装置の軸線上に並列に配設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のステムスライド装置。
  4. 前記電動モータを電動サーボモータに置き換えたことを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載のステムスライド装置。
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