JP6156682B2 - 電動アクチュエータおよびそれを備えた変速駆動装置 - Google Patents
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Description
下記特許文献1では、電動モータ等を備え、電動モータにより発生される回転トルクによって、シフトセレクト軸を軸中心まわりに回転させてインターナルレバーをシフト動作させたり、シフトセレクト軸を軸方向移動させてインターナルレバーをセレクト動作させたりする電動アクチュエータが開示されている。
この構成によれば、電動モータを駆動させて操作レバーを特定のニュートラル位置から移動させ、そのときの操作軸位置センサの検出出力とモータ回転角センサの検出出力とを比較することにより、電動アクチュエータの異常を検出する。
これにより、異常の発生を、車両の発進に先立って自己検出することが可能である。
請求項2に記載のように、前記異常検出動作のために操作される、前記操作レバーの前記特定のニュートラル位置からの移動量が、他の変速段に変速するために要する移動量よりも小さく設定されていてもよい。
また、セレクト電磁クラッチが伝達状態にされかつ電動モータが駆動されて、特定のニュートラル位置にある操作レバーが軸方向移動させられる。そして、そのときのセレクトセンサの検出出力とモータ回転角センサの検出出力との比較により、電動アクチュエータのセレクト動作の異常を検出する。
請求項4に記載の発明は、前記第1条件は、前記操作レバーが前記特定のニュートラル位置にありかつ前記車両のエンジン始動時であることを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電動アクチュエータである。
請求項5に記載の発明は、前記車両に搭載された変速機(2)を変速するための操作レバー(16)が連結され、移動させられることにより前記操作レバーを変速動作させるための操作軸(15)と、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電動アクチュエータとを含む、変速駆動装置である。
図1は、本発明の一実施形態に係る変速駆動装置3が組み込まれた変速装置の概略構成を示す分解斜視図である。
変速装置1は、変速機2と、変速機2を変速駆動する変速駆動装置3とを備えている。
変速機2は、公知の常時かみ合い式の平行歯車式変速機であり、乗用車やトラックなどの車両に搭載される。変速機2は、ギヤハウジング7と、ギヤハウジング7内に収容される常時かみ合い式の平行歯車式変速機構(図示しない)とを備えている。
出力ギヤがニュートラル状態にあり、係合先のシフトブロック12A,12B,12Cに対応するシフトフォーク11がクラッチスリーブに非係合であるときのシフトレバー16の位置を、それぞれ第1、第2および第3ニュートラル位置N1,N2,N3という。前述した第2ニュートラル位置N2は、シフトレバー16の他端部16Bがシフトブロック12Bに係合しているニュートラル位置をいい、第1ニュートラル位置N1は、シフトレバー16の他端部16Bがシフトブロック12Aに係合しているニュートラル位置をいう。また、第3ニュートラル位置N3は、シフトレバー16の他端部16Bがシフトブロック12Cに係合しているニュートラル位置をいう。
運転席に設けられた運転者操作用のシフトノブ93(図7参照)が「P(パーキング)」に位置しているときには、シフトレバー16(の他端部)は、第2ニュートラル位置N2に位置(係合)している。
シフトレバー16の他端部16Bが第2ニュートラル位置N2にある状態から、電動アクチュエータ21が駆動されて、シフトセレクト軸15が第2軸方向M12移動させられることにより(図2中の白抜矢符D2)、シフトレバー16が第2軸方向M12移動して、シフトレバー16の他端部16Bがシフトヘッド12Aと係合する(第1ニュートラル位置N1に位置する)。次いで、電動アクチュエータ21が駆動されてシフトセレクト軸15が第2軸回転方向R2に回転させられ、これに同伴してシフトレバー16がシフトセレクト軸15まわりに揺動させられることにより、シフトヘッド12Aおよびシフトロッド10Aが軸方向M1移動させられる(図2中の白抜矢符E1)。シフトレバー16の他端部16Bが前記の1速シフト位置に達するまで電動アクチュエータ21の駆動が続行され、これにより1速へのギヤ入れが達成される。
シフトレバー16の他端部16Bが前記の1速シフト位置にある状態から、電動アクチュエータ21が駆動されて、シフトセレクト軸15が第1軸回転方向R1に回転させられ、これに同伴してシフトレバー16がシフトセレクト軸15まわりに揺動させられることにより、シフトヘッド12Aおよびシフトロッド10Aが軸方向M2移動させられる(図2中の白抜矢符E1と反対方向)。シフトレバー16の他端部16Bが第1ニュートラル位置N1に達すると、シフトセレクト軸15の回転は停止される。
図3は、図1に示す変速装置における変速駆動装置3の構成を示す斜視図である。図4は、変速駆動装置3の構成を示す底面図である。図5は、変速駆動装置3の構成を示す断面図である。図6は、図5のA−A線に沿う断面図である。
電動アクチュエータ21は、ギヤハウジング7(図1参照)の外表面に固定されている。図5に示すように、電動アクチュエータ21は、その外郭をなしてシフトセレクト軸15等を収容するボックス状の本体ハウジング22を備えている。
本体部19は、平面視(底面視)で矩形形状の輪郭を有するブロック形状である(図4も併せて参照)。本体部19の一側面には、凹状に窪む平面視矩形状の中空部分19Aが形成されている。
取付ステー18では、本体部19がギヤハウジング7(図1参照)に対してボルト(図示しない)によって組み付けられている。これによって、電動アクチュエータ21(換言すれば、変速駆動装置3全体)は、ギヤハウジング7の外表面に固定されている。この状態で、シフトセレクト軸15では、シフトレバー16側の部分が、本体ハウジング22の外にはみ出ている。シフトセレクト軸15における本体ハウジング22の外にはみ出た部分は、延設部20の内部および本体部19の中空部分19A内に配置されている。この状態で、当該部分は、本体部19の挿通孔19Bに対して挿通されているとともに、本体部19の中空部分19Aから外部に露出している。
図5を参照して、電動アクチュエータ21は、電動モータ23と、シフト変換機構24と、セレクト変換機構25と、切換ユニット26とを備えている。
軸ホルダ116において、厚み方向(図6に示す左右方向)における途中には、ロックピン106が配設されている。具体的には、通過孔104の内周面と、軸ホルダ116の外周面とを貫通する貫通孔105内にロックピン106が収容されている。ロックピン106は、通過孔104の中心軸線(すなわちシフトセレクト軸15の中心軸線17)と直交する方向に延びる略円筒状をなすとともに、当該方向に沿って移動可能に設けられている。ロックピン106の先端部は半球状をなしており、次に述べる係合溝107に係合する。
ラック部122の外周面には、その周方向における全域に、ラック歯形成領域125が設けられている。ラック歯形成領域125では、ラック部122の軸方向M4の一端(図6に示す左端)から他端(図6に示す右端)にわたって、複数のラック歯123がそれぞれ中心軸線17に沿って互いに平行に延びている。ラック歯形成領域125のラック歯123が、後述するピニオンギヤ36と噛み合っている。
クラッチ機構39は、第1ロータ42と断続して、伝達軸41と第1ロータ42とを連結/解放するシフト電磁クラッチ43と、第2ロータ44と断続して、伝達軸41と第2ロータ44とを連結/解放するセレクト電磁クラッチ45とを備えている。シフト電磁クラッチ43は、電動モータ23からの回転トルクを第1ロータ42に伝達して第1ロータ42を回転させることができる。セレクト電磁クラッチ45は、電動モータ23からの回転トルクを第2ロータ44に伝達して第2ロータ44を回転させることができる。
クラッチ機構39には、シフト電磁クラッチ43およびセレクト電磁クラッチ45を駆動するためのクラッチ駆動回路205(図7参照)が接続されている。クラッチ駆動回路205には、配線などを介して電源(図示しない)から電圧供給(給電)されている。クラッチ駆動回路205は、リレー回路などを含む構成であり、シフト電磁クラッチ43およびセレクト電磁クラッチ45に対し、それぞれ個別に給電および給電停止を切換え可能に設けられている。なお、クラッチ駆動回路205は、シフト電磁クラッチ43およびセレクト電磁クラッチ45の双方を駆動する構成に限られず、シフト電磁クラッチ43を駆動するためのクラッチ駆動回路205と、セレクト電磁クラッチ45を駆動するためのクラッチ駆動回路205とを個別に設けることもできる。
シフト変換機構24は、回転運動を直線運動に変換する減速機としてのボールねじ機構58と、このボールねじ機構58に備えられるナット59と、ナット59の軸方向移動に伴ってシフトセレクト軸15の中心軸線17まわりに回動するアーム60とを主に備えている。
本体ハウジング22の底壁(蓋27とは反対側の壁。図5に示す右壁)には、その内外面を貫通するセンサ用孔85が形成されている。セレクトセンサ87は、センサ部(図示しない)と、センサ部に連結された第1センサ軸99とを備えている。第1センサ軸99の先端部は、センサ用孔85を通ってピニオン軸95の他端部82に同伴回転可能に連結されている。ピニオン軸95が回転すると、そのピニオン軸95に同伴して第1センサ軸99がその軸まわりに回転する。セレクトセンサ87は第1センサ軸99の回転角度に基づいて、ピニオン軸95の回転角度を検出する。
シフトセンサ89は、センサ部(図示しない)が内蔵された本体90と、本体90のセンサ部に一体回転可能に連結された第2センサ軸94と、第2センサ軸94に外嵌固定されたセクタ歯車91とを備えている。このセクタ歯車91は、シフトセレクト軸15に同伴回転可能に設けられた(外嵌固定された)センサ用歯車92と噛み合っている。シフトセレクト軸15がその軸まわりに回転すると、そのシフトセレクト軸15に同伴してセンサ用歯車92およびセクタ歯車91が回転し、これに伴って第2センサ軸94がその軸まわりに回転する。シフトセンサ89は、第2センサ軸94の回転角度に基づいてシフトセレクト軸15の回転角度を検出する。
変速駆動装置3は、たとえば、マイクロコンピュータで構成される制御部(異常検出動作実行手段)88を備えている。制御部88の一例としてECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)を挙げることができ、制御部88はインターフェイス部(図示しない)を介して、車両全体を制御するための上位ECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)300と通信可能に設けられている。
制御部88には、運転者による変速操作用のシフトノブ93の位置情報、レゾルバ130の検出出力、セレクトセンサ87の検出出力、およびシフトセンサ89の検出出力がそれぞれ入力されるようになっている。これらの情報は、制御部88に含まれる記憶部(図示しない)に記憶される。制御部88は、セレクトセンサ87の検出出力に基づいて、シフトセレクト軸15の軸方向位置を求めることができ、また、シフトセンサ89の検出出力に基づいて、シフトセレクト軸15の回転角を求めることができる。
図8は、変速駆動装置3におけるエンジン始動時の動作を示すフローチャートである。
図7および図8に示すように、ECU88は、エンジン始動の旨を通知するための信号を、上位ECU300から受信するか否かを監視している(ステップS1)。
図9Aおよび図9Bは、初期状態異常検出処理の内容を示すフローチャートである。
初期状態異常検出処理は、変速駆動装置3のシフト動作に異常があるか否かを調べるシフト動作異常検出処理と、変速駆動装置3のセレクト動作に異常があるか否かを調べるセレクト動作異常検出処理とを含む。図9Aおよび図9Bに示す実施形態では、シフト動作異常検出処理およびセレクト動作異常検出処理の順で実行される。
そして、制御部88は、シフトセンサ89の検出角に基づく揺動角と、レゾルバ130の検出角に基づく揺動角とを比較し、両者が一致するか否かを調べる(ステップS16)。
一方、両者が一致する場合には(ステップS16でYES)、制御部88は、シフト動作が正常であると判断しその旨を記憶し、ステップS17の処理はスキップする。
その後、制御部88はシフト電磁クラッチ43を伝達状態(オン)にし、かつ電動モータ23を回転方向の反対側に、前記回転角と同じ回転角だけ回転(オン)させ、これにより、シフトレバー16(他端部16B)を元の第2ニュートラル位置に戻し(ステップS18)、シフト動作異常検出処理が終了する。
両者が一致しない場合には(ステップS24でNO)、制御部88は、セレクト動作異常と判断し(ステップS25)、その旨を上位ECU300に通知する。
その後、制御部88はセレクト電磁クラッチ45を伝達状態(オン)にし、かつ電動モータ23を回転方向の反対側に、前記回転角と同じ回転角だけ回転(オン)させ、これにより、シフトレバー16(他端部16B)を元の第2ニュートラル位置に戻し(ステップS18)、セレクト動作異常検出処理が終了する。
初期状態異常検出処理では、シフト電磁クラッチ43が伝達状態にされかつ電動モータ23が駆動されて、第2ニュートラル位置N2にあるシフトレバー16(他端部16B)が揺動させられる。そして、そのときのシフトセンサ89の検出角とレゾルバ130の検出角との比較により、電動アクチュエータ21のシフト動作の異常が検出される。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、本発明は他の形態で実施することもできる。
たとえば、前述の実施形態では、初期状態異常検出処理を、シフト動作異常検出処理およびセレクト動作異常検出処理の順で実行したが、セレクト動作異常検出処理を先に実行してもよい。
また、エンジン始動時(初期状態)でかつシフトノブ93が「P(パーキング)」に位置しているときに実行される異常検出処理を例に挙げたが、異常検出処理は、車両の停車状態を前提に、エンジン始動時、シフトノブ93が「P」に位置しているときまたはシフトノブ93が「N(ニュートラル)」に位置しているときの少なくとも1つを満たす実行させるようにしてもよい。
Claims (5)
- 車両に搭載されて、操作レバーが連結された操作軸を移動させることで前記操作レバーを変速操作させる電動アクチュエータであって、
回転トルクを発生させるための電動モータと、
前記回転トルクを前記操作軸に伝達するための伝達機構と、
前記電動モータの回転角を検出するためのモータ回転角センサと、
前記操作軸の位置を検出するための操作軸位置センサと、
前記操作レバーが特定のニュートラル位置に位置していることを含む、所定の第1条件を満たす場合に、前記電動モータを駆動させることにより前記操作レバーを操作させ、その操作時における前記操作軸位置センサの検出出力と前記モータ回転角センサの検出出力とに基づいて前記電動アクチュエータの異常を検出する異常検出動作を実行する異常検出動作実行手段と
を含む、電動アクチュエータ。 - 前記異常検出動作のために操作される、前記操作レバーの前記特定のニュートラル位置からの移動量が、他の変速段に変速するために要する移動量よりも小さく設定されている、請求項1に記載の電動アクチュエータ。
- 前記操作軸は、前記操作レバーが連結されて、軸まわりに回転させることで前記操作レバーをシフト動作させるとともに軸方向移動させることで前記操作レバーをセレクト動作させるためのシフトセレクト軸を含み、
前記伝達機構は、
前記電動モータによって発生される回転トルクを、前記シフトセレクト軸を軸まわりに回転させる力に変換して、前記シフトセレクト軸に伝達するシフト変換機構と、
前記電動モータによって発生される回転トルクを、前記シフトセレクト軸を軸方向移動させる力に変換して、前記シフトセレクト軸に伝達するセレクト変換機構とを含み、
前記電動アクチュエータは、
前記電動モータによって発生される回転駆動力を前記シフト変換機構に伝達/遮断するシフト電磁クラッチと、
前記電動モータによって発生される回転駆動力を前記セレクト変換機構に伝達/遮断するセレクト電磁クラッチとさらに含み、
前記操作軸位置センサは、
前記シフトセレクト軸の回転方向に関する前記操作レバーの位置を検出するためのシフトセンサと、
前記シフトセレクト軸の軸方向に関する前記操作レバーの位置を検出するためのセレクトセンサとを含み、
前記異常検出動作実行手段により実行される前記異常検出動作は、
前記電動モータを駆動させ、前記シフト電磁クラッチを伝達状態にしかつ前記セレクト電磁クラッチを遮断状態にすることにより、前記操作レバーをシフト操作させ、そのシフト操作時における前記シフトセンサの検出出力と前記モータ回転角センサの検出出力とに基づいて前記シフト動作の異常を自己で判断するシフト異常検出動動作と、
前記電動モータを駆動させ、前記セレクト電磁クラッチを伝達状態にしかつ前記シフト電磁クラッチを遮断状態にすることにより、前記操作レバーをセレクト操作させ、そのセレクト操作時における前記セレクトセンサの検出出力と前記モータ回転角センサの検出出力とに基づいて前記セレクト動作の異常を自己で判断するセレクト異常検出動作と含む、請求項1または2に記載の電動アクチュエータ。 - 前記第1条件は、前記操作レバーが前記特定のニュートラル位置にありかつ前記車両のエンジン始動時であることを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電動アクチュエータ。
- 前記車両に搭載された変速機を変速するための操作レバーが連結され、移動させられることにより前記操作レバーを変速動作させるための操作軸と、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の電動アクチュエータとを含む、変速駆動装置。
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