JP2012241891A - 電動アクチュエータおよび変速駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】シンクロタイミングを精度良く検出することができるとともに、そのタイミング後におけるシフト操作を良好に行うことができる電動アクチュエータおよび変速駆動装置を提供すること。
【解決手段】シンクロ状態では、シフト用電磁クラッチ43に作用するシンクロ時の負荷トルクが、駆動電流値が第1電流値であるときのシフト用電磁クラッチ43の駆動トルク(第1電流値で伝達可能なトルク)よりも大きくなるので、シフト用電磁クラッチ43にすべりが発生する。シフトセレクト軸の回転角とモータ回転速度センサ90の検出出力から算出される回転角との比較値が所定の閾値以上になったときは、シフト用電磁クラッチ43にすべりが発生したと判定される。すべり発生が判定されると、第1目標電流値決定部310は、第1電流値より高い第2電流値を目標値として決定する。
【選択図】図5
【解決手段】シンクロ状態では、シフト用電磁クラッチ43に作用するシンクロ時の負荷トルクが、駆動電流値が第1電流値であるときのシフト用電磁クラッチ43の駆動トルク(第1電流値で伝達可能なトルク)よりも大きくなるので、シフト用電磁クラッチ43にすべりが発生する。シフトセレクト軸の回転角とモータ回転速度センサ90の検出出力から算出される回転角との比較値が所定の閾値以上になったときは、シフト用電磁クラッチ43にすべりが発生したと判定される。すべり発生が判定されると、第1目標電流値決定部310は、第1電流値より高い第2電流値を目標値として決定する。
【選択図】図5
Description
この発明は、電動アクチュエータおよびそれを備えた変速駆動装置に関する。
従来から、マニュアルトランスミッションの変速が自動化された自動制御式マニュアルトランスミッション(Automated Manual Transmission)の変速装置が知られている。このタイプの変速装置の駆動源として、電動モータの動力を減速機構などで増幅して出力する構成の電動アクチュエータが提案されている(たとえば特許文献1参照)。特許文献1の記載では、電動モータと減速機構との間に電磁クラッチが介装されている。
ところで、電動アクチュエータを用いたシフトのギヤ入れ操作では、電動アクチュエータが駆動されてシフト軸が回転操作される。このとき、電動アクチュエータを用いたシフト軸の回転により、シフト軸と連結しているフォーク軸に固定されたシフトフォークがフォーク軸の軸方向の一方へと移動されることにより、シフトフォークがクラッチスリーブに係合されるとともに、クラッチスリーブが連結対象のギヤに連結される。
通常、変速機構には、ギヤ入れの際のエンジン回転数と車輪側回転数とを同期させるためにシンクロ機構が設けられている。そして、ギヤ入れの際にはシンクロナイザキーが、クラッチスリーブと係合して、シフトフォークおよびクラッチスリーブの軸方向移動に同伴して軸方向移動する。そして、シンクロナイザキーによって、シンクロ部材(シンクロナイザリング)に連結対象ギヤに押し付けられて、両者が摩擦接触される。シンクロ部材と連結対象ギヤとの摩擦接触により、クラッチスリーブおよび連結対象ギヤを同期させつつ、クラッチスリーブと連結対象ギヤとを連結させることができる。シンクロ部材と連結対象ギヤとが摩擦接触する(この状態を、以下「シンクロ状態」という場合がある。)ときのシフトフォークの軸方向位置(以下、「シンクロ位置」という場合がある。)は、電動アクチュエータの制御部に予め記憶されている。そして、電動アクチュエータによるギヤ入れ操作において、シンクロ位置が近づくと、制御部は電動アクチュエータを制御して、シフトフォークの軸方向移動を減速させる。
しかしながら、シフトフォーク、フォーク軸およびシフトセレクト軸などの加工精度や位置決め精度が十分に高くても、温度変化や経年劣化、その他の要因により、電動アクチュエータの制御部に記憶されているシンクロ位置と、実際にシンクロ状態が始まる位置との間で誤差が生じているおそれもある。この場合、誤差のあるシンクロ位置に基づいて、電動アクチュエータの制御部がシフトフォークの軸方向移動を制御する場合には、シンクロ部材が連結対象ギヤから大きく離れている状態でシフトフォークの減速が始まったり、シンクロ部材が減速不十分な状態で連結対象ギヤに衝突したりするおそれがある。したがって、シンクロ状態が発生する位置やタイミング(シンクロ状態が発生するタイミングを、以下「シンクロタイミング」という場合がある。)を精度良く検出することが求められている。
そこで、この発明の目的は、所定のタイミングを検出し、これにより、当該タイミング後におけるシフト操作を良好に行うことが可能な電動アクチュエータを提供することである。
また、この発明の他の目的は、シンクロタイミングを精度良く検出することができるとともに、そのタイミング後におけるシフト操作を良好に行うことができる変速駆動装置を提供することである。
また、この発明の他の目的は、シンクロタイミングを精度良く検出することができるとともに、そのタイミング後におけるシフト操作を良好に行うことができる変速駆動装置を提供することである。
前記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、操作部材(15)を操作するための電動アクチュエータであって、電動モータ(23)と、前記電動モータの動力を、前記操作部材にシフト操作を行わせるための駆動力に変換しつつ前記操作部材に伝達するためのシフト伝達機構(24)と、前記電動モータから前記シフト伝達機構への動力伝達を断接可能な摩擦式の第1電磁クラッチ(43)と、前記第1電磁クラッチの駆動電流値を設定する駆動電流値設定手段(310)と、前記駆動電流値設定手段に設定された駆動電流値で、前記第1電磁クラッチを駆動する電磁クラッチ駆動手段(312)と、前記電動モータを駆動するためのモータ駆動部(302)と、前記第1電磁クラッチにおけるすべりの発生を検出するためのすべり判定手段(330)とを含み、前記駆動電流値設定手段は、前記すべり判定手段により前記すべりの発生が検出される前は、前記第1電磁クラッチの駆動電流値を第1レベルに設定するとともに、前記すべり判定手段により前記すべりの発生が検出された後は、前記第1電磁クラッチの駆動電流値を、前記第1レベルよりも高い第2レベルに設定する、電動アクチュエータ(21)である。
なお、括弧内の英数字は、後述の実施形態における対応構成要素等を表すが、特許請求の範囲を実施形態に限定する趣旨ではない。以下、この項において同じ。
この構成によれば、第1電磁クラッチにすべりが発生する前は、第1電磁クラッチの駆動電流値は第1レベルに設定されている。操作部材を介して電動アクチュエータの内部に過大な負荷が入力されると、第1電磁クラッチに過大な負荷トルクが作用する。この過大な負荷トルクが、駆動電流値が第1レベルに設定されているときの第1電磁クラッチの静摩擦トルクを上回っている場合には、第1電磁クラッチにすべりが発生する。したがって、このすべりを検出することにより、電動アクチュエータ内に過大な負荷が入力されるタイミングを検出することができる。
この構成によれば、第1電磁クラッチにすべりが発生する前は、第1電磁クラッチの駆動電流値は第1レベルに設定されている。操作部材を介して電動アクチュエータの内部に過大な負荷が入力されると、第1電磁クラッチに過大な負荷トルクが作用する。この過大な負荷トルクが、駆動電流値が第1レベルに設定されているときの第1電磁クラッチの静摩擦トルクを上回っている場合には、第1電磁クラッチにすべりが発生する。したがって、このすべりを検出することにより、電動アクチュエータ内に過大な負荷が入力されるタイミングを検出することができる。
そして、すべり判定手段によるすべり発生の検出後、第1電磁クラッチの駆動電流値の設定が第2レベルに引き上げられる。駆動電流値の第2レベルへの引き上げに伴って、第1電磁クラッチの静摩擦トルクが上昇する。
このとき、駆動電流値が第2レベルに設定されているときの第1電磁クラッチの静摩擦トルクが第1電磁クラッチに作用している過大な負荷トルクを上回っている場合には、第1電磁クラッチに発生していたすべりが解消される。そして、すべりの解消後は、第1電磁クラッチに生じる静摩擦トルクが、第1電磁クラッチに作用している前記の過大な負荷トルクを上回り続け、そのため第1電磁クラッチにすべりが発生しない。したがって、第1電磁クラッチを介して電動モータの動力を操作部材に確実に伝達することができ、これにより、所定のタイミング後のシフト操作を良好に行うことができる。
このとき、駆動電流値が第2レベルに設定されているときの第1電磁クラッチの静摩擦トルクが第1電磁クラッチに作用している過大な負荷トルクを上回っている場合には、第1電磁クラッチに発生していたすべりが解消される。そして、すべりの解消後は、第1電磁クラッチに生じる静摩擦トルクが、第1電磁クラッチに作用している前記の過大な負荷トルクを上回り続け、そのため第1電磁クラッチにすべりが発生しない。したがって、第1電磁クラッチを介して電動モータの動力を操作部材に確実に伝達することができ、これにより、所定のタイミング後のシフト操作を良好に行うことができる。
請求項2に記載のように、前記電動モータの動力を、前記操作部材にセレクト操作を行わせるための駆動力に変換しつつ前記操作部材に伝達するためのセレクト伝達機構(25)と、前記電動モータから前記セレクト伝達機構への動力伝達を断接可能な摩擦式の第2電磁クラッチ(45)とをさらに含んでいてもよい。
また、前記の目的を達成するための請求項3記載の発明は、複数のフォーク軸(10A,10B,10C)と、各フォーク軸に固定され、被操作部材(201)を操作するためのシフトフォーク(11)とを有し、前記シフトフォークを前記フォーク軸の軸方向(M1,M2,M3)に移動させることにより、シンクロ部材(211)を連結対象ギヤ(200)に摩擦接触させつつ、当該連結対象ギヤに前記被操作部材を連結させて変速させる変速駆動装置(3)であって、前記変速駆動装置は、前記フォーク軸を、その軸方向に軸方向移動させるためのシフト操作部材と、前記シフト操作部材を操作して、前記フォーク軸を軸方向移動させる前記請求項1または2記載の電動アクチュエータとを含む、変速駆動装置である。
また、前記の目的を達成するための請求項3記載の発明は、複数のフォーク軸(10A,10B,10C)と、各フォーク軸に固定され、被操作部材(201)を操作するためのシフトフォーク(11)とを有し、前記シフトフォークを前記フォーク軸の軸方向(M1,M2,M3)に移動させることにより、シンクロ部材(211)を連結対象ギヤ(200)に摩擦接触させつつ、当該連結対象ギヤに前記被操作部材を連結させて変速させる変速駆動装置(3)であって、前記変速駆動装置は、前記フォーク軸を、その軸方向に軸方向移動させるためのシフト操作部材と、前記シフト操作部材を操作して、前記フォーク軸を軸方向移動させる前記請求項1または2記載の電動アクチュエータとを含む、変速駆動装置である。
この構成によれば、シフトのギヤ未入れの状態では、第1電磁クラッチの駆動電流値は第1レベルに設定されている。
そして、シフトフォークのフォーク軸軸方向への移動によってシンクロ部材と連結対象ギヤとが摩擦接触している状態(シンクロ状態)では、シフトフォークからの過大な負荷が操作部材を介して電動アクチュエータの内部に入力され、その結果、接触式の第1電磁クラッチに過大な負荷トルクが作用する。このシンクロ状態で第1電磁クラッチに作用している負荷トルクが、第1レベルの駆動電流値によって定められる静摩擦トルクを上回っている場合には、第1電磁クラッチにすべりが発生し、そのすべり発生がすべり判定手段によって検出される。したがって、すべり判定手段によるすべり発生の検出に基づいて、シンクロタイミングを精度良く検出することができる。
そして、シフトフォークのフォーク軸軸方向への移動によってシンクロ部材と連結対象ギヤとが摩擦接触している状態(シンクロ状態)では、シフトフォークからの過大な負荷が操作部材を介して電動アクチュエータの内部に入力され、その結果、接触式の第1電磁クラッチに過大な負荷トルクが作用する。このシンクロ状態で第1電磁クラッチに作用している負荷トルクが、第1レベルの駆動電流値によって定められる静摩擦トルクを上回っている場合には、第1電磁クラッチにすべりが発生し、そのすべり発生がすべり判定手段によって検出される。したがって、すべり判定手段によるすべり発生の検出に基づいて、シンクロタイミングを精度良く検出することができる。
そして、第1電磁クラッチにおけるすべりの検出後、第1電磁クラッチの駆動電流値の設定が第2レベルに引き上げられる。駆動電流値の第2レベルへの引き上げに伴って、第1電磁クラッチの静摩擦トルクが上昇する。
このとき、駆動電流値が第2レベルに設定されているときの第1電磁クラッチの静摩擦トルクがシンクロ状態で第1電磁クラッチに作用している負荷トルクを上回っている場合には、第1電磁クラッチに発生していたすべりが解消される。そして、すべりの解消後は、第1電磁クラッチに生じる静摩擦トルクが、シンクロ状態で第1電磁クラッチに作用している負荷トルクを上回り続け、そのため、第1電磁クラッチにすべりが発生しない。したがって、第1電磁クラッチを介して操作部材に電動モータの動力を確実に伝達することができ、これにより、シンクロタイミング後のシフト操作を良好に行うことができる。
このとき、駆動電流値が第2レベルに設定されているときの第1電磁クラッチの静摩擦トルクがシンクロ状態で第1電磁クラッチに作用している負荷トルクを上回っている場合には、第1電磁クラッチに発生していたすべりが解消される。そして、すべりの解消後は、第1電磁クラッチに生じる静摩擦トルクが、シンクロ状態で第1電磁クラッチに作用している負荷トルクを上回り続け、そのため、第1電磁クラッチにすべりが発生しない。したがって、第1電磁クラッチを介して操作部材に電動モータの動力を確実に伝達することができ、これにより、シンクロタイミング後のシフト操作を良好に行うことができる。
また、この明細書において、第1レベルとは、駆動電流値の値が一定の電流値(たとえば第1電流値)である場合だけでなく、一定の幅を有する範囲内にあることを示す趣旨である。また、第2レベルとは、駆動電流値の値が一定の電流値(たとえば第2電流値)である場合だけでなく、一定の幅を有する範囲内にあることを示す趣旨である。
また、第1レベルは、摩擦式の第1電磁クラッチに、シンクロ状態でないときに作用する負荷トルクと同等の静摩擦トルクを発生させるのに必要な駆動電流値よりも高い値の範囲であり、かつ第1電磁クラッチに、シンクロ状態時に作用する負荷トルクと同等の静摩擦トルクを発生させるのに必要な駆動電流値よりも低い値の範囲であってもよい。
また、第1レベルは、摩擦式の第1電磁クラッチに、シンクロ状態でないときに作用する負荷トルクと同等の静摩擦トルクを発生させるのに必要な駆動電流値よりも高い値の範囲であり、かつ第1電磁クラッチに、シンクロ状態時に作用する負荷トルクと同等の静摩擦トルクを発生させるのに必要な駆動電流値よりも低い値の範囲であってもよい。
また、第2レベルは、摩擦式の第1電磁クラッチに、シンクロ状態でないときに作用する負荷トルクと同等の静摩擦トルクを発生させるのに必要な駆動電流値よりも高い値の範囲であってもよい。
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る変速駆動装置3が組み込まれた変速装置1の概略構成の分解斜視図である。図2は、変速機構5の要部を拡大して示す断面図である。
図1および図2を参照して、変速装置1は、変速機2と、変速機2を変速駆動する変速駆動装置3とを備えている。変速機2は、公知の常時かみ合い式の平行歯車式変速機であり、乗用車やトラックなどの車両に搭載される。変速機2は、ギヤハウジング7と、ギヤハウジング7内に収容される常時かみ合い式の平行歯車式の変速機構5(図1には不図示。図2参照)を備えている。
図1は、本発明の一実施形態に係る変速駆動装置3が組み込まれた変速装置1の概略構成の分解斜視図である。図2は、変速機構5の要部を拡大して示す断面図である。
図1および図2を参照して、変速装置1は、変速機2と、変速機2を変速駆動する変速駆動装置3とを備えている。変速機2は、公知の常時かみ合い式の平行歯車式変速機であり、乗用車やトラックなどの車両に搭載される。変速機2は、ギヤハウジング7と、ギヤハウジング7内に収容される常時かみ合い式の平行歯車式の変速機構5(図1には不図示。図2参照)を備えている。
変速機2は、変速機構5と、変速機構5の動力伝達経路を、複数の動力伝達経路の間で切り換えるための変速操作機構6と、これら変速機構5および変速操作機構6を収容するギヤハウジング7とを備え、乗用車やトラックなどの車両に搭載される。変速機構5における動力伝達経路の切換えにより、動力伝達比を異ならせることができる。
変速機構5は、複数の出力軸(連結対象ギヤ)200(図2では1つのみ図示)と、各出力軸200に関連して配設されたクラッチスリーブ201(被操作部材)を備えている。クラッチスリーブ201の内周には、クラッチスリーブ側スプライン部206が形成されている。
変速機構5は、複数の出力軸(連結対象ギヤ)200(図2では1つのみ図示)と、各出力軸200に関連して配設されたクラッチスリーブ201(被操作部材)を備えている。クラッチスリーブ201の内周には、クラッチスリーブ側スプライン部206が形成されている。
出力軸200の他端部(図2で示す左端部)には出力側スプライン部203が形成されている。出力側スプライン部203の外周には、円筒状のシンクロナイザハブ204が回転不能に、かつ出力軸200の軸方向M1,M2,M3移動可能にスプライン嵌合されている。シンクロナイザハブ204の外周には、ハブ側スプライン部205が形成されている。また、シンクロナイザハブ204の外周には、シンクロナイザキー213が配置されている。シンクロナイザキー213の内面はハブ側スプライン部205と係合しており、また、シンクロナイザキー213の外面には、径方向外方に突出し、クラッチスリーブ201のクラッチスリーブ側スプライン部206に係合する突起213Aが形成されている。
出力軸200における出力側スプライン部203に対し一端側(図2で示す右側)寄りには、出力ギヤ(図2ではたとえばサードギヤ)220が外嵌固定されている。また、出力軸200における出力側スプライン部203の他端部(図2で示す左端部)には、クラッチシャフト208が軸受209を介して回転可能に外嵌されている。
出力ギヤ220の他端部(左端部)の外周には、当該他端側に向かうに従って縮径を示すコーン状の第1コーン面210が形成されている。出力ギヤ220の第1コーン面210には、略円筒状の第1シンクロナイザリング211が遊びを持って外嵌されている。第1シンクロナイザリング211の内周面は第1コーン面210に整合するコーン状に形成されている。
出力ギヤ220の他端部(左端部)の外周には、当該他端側に向かうに従って縮径を示すコーン状の第1コーン面210が形成されている。出力ギヤ220の第1コーン面210には、略円筒状の第1シンクロナイザリング211が遊びを持って外嵌されている。第1シンクロナイザリング211の内周面は第1コーン面210に整合するコーン状に形成されている。
クラッチシャフト208の一端部(右端部)の外周には、当該一端側に向かうに従って縮径を示すコーン状の第2コーン面222が形成されている。クラッチシャフト208の第2コーン面222には、略円筒状の第2シンクロナイザリング223が遊びを持って外嵌されている。第2シンクロナイザリング223の内周面は第2コーン面222に整合するコーン状に形成されている。
変速操作機構6は、ギヤハウジング7内に収容され、互いに平行に延びる複数のフォーク軸10A,10B,10Cを有している。複数のフォーク軸10A,10B,10Cは、軸方向M1,M2,M3から見て一直線上に位置するように並置されている。各フォーク軸10A,10B,10Cの途中部には、変速駆動装置3によって駆動されるフォークヘッド12A,12B,12Cが固定されている。これらのフォークヘッド12A,12B,12Cは、軸方向M1,M2,M3に関して揃っている。また、各フォーク軸10A,10B,10Cには、クラッチスリーブ201と係合するためのシフトフォーク11が固定されている(図1ではフォーク軸10Aに設けられたシフトフォーク11のみを示す)。
シフトフォーク11の軸方向M1,M2,M3移動により、シフトフォーク11をクラッチスリーブ201に係合させることができ、そのクラッチスリーブ201を軸方向M1,M2,M3駆動することができる。
変速駆動装置3は、変速操作機構6にシフト操作またはセレクト操作を行わせるシフトセレクト軸(操作部材)15と、シフトセレクト軸15をシフト操作またはセレクト操作させるための共通の駆動源として用いられる電動アクチュエータ21とを含む。
変速駆動装置3は、変速操作機構6にシフト操作またはセレクト操作を行わせるシフトセレクト軸(操作部材)15と、シフトセレクト軸15をシフト操作またはセレクト操作させるための共通の駆動源として用いられる電動アクチュエータ21とを含む。
シフトセレクト軸15の途中部には、ギヤハウジング7内に収容されるインターナルレバー16の一端16aが固定されている。インターナルレバー16は、シフトセレクト軸15の中心軸線17まわりに、シフトセレクト軸15と同伴回転する。シフトセレクト軸15の一端部(図1に示す右上部)は、ギヤハウジング7外に突出している。
電動アクチュエータ21により、シフトセレクト軸15が、その軸方向M4に移動されると、インターナルレバー16が軸方向M4に移動される。シフトセレクト軸15の軸方向M4移動により、インターナルレバー16の他端16bが所期のシフトブロック12A,12B,12Cに係合し、これによりセレクト操作が達成される。
電動アクチュエータ21により、シフトセレクト軸15が、その軸方向M4に移動されると、インターナルレバー16が軸方向M4に移動される。シフトセレクト軸15の軸方向M4移動により、インターナルレバー16の他端16bが所期のシフトブロック12A,12B,12Cに係合し、これによりセレクト操作が達成される。
一方、電動アクチュエータ21により、シフトセレクト軸15がその中心軸線17まわりに回転されると、インターナルレバー16が中心軸線17まわりに揺動する。その結果、インターナルレバー16と係合しているシフトブロック12A,12B,12Cが、フォーク軸10A,10B,10Cの軸方向M1,M2,M3に移動し、このシフトブロック12A,12B,12Cの移動に同行して、フォーク軸10A,10B,10Cおよびシフトフォーク11が軸方向M1,M2,M3の一方(図2に示すたとえば右側)に移動する。このとき、シフトフォーク11がクラッチスリーブ201に係合するともに、クラッチスリーブ201がシンクロナイザキー213に係合し、そのため、シフトフォーク11、クラッチスリーブ201およびシンクロナイザキー213が軸方向M1,M2,M3の一方(図2に示すたとえば右側)に同行移動する。そして、シンクロナイザキー213が第1シンクロナイザリング211に係合して、この第1シンクロナイザリング211を出力ギヤ220の第1コーン面210に押し付ける。このとき第1シンクロナイザリング211と第1コーン面210との間に摩擦力が生じ、これにより出力ギヤ220の回転がクラッチスリーブ201の回転速度に近づく。
出力ギヤ220およびクラッチスリーブ201の回転が同期した後、シフトフォーク11が軸方向M1,M2,M3の一方(図2に示すたとえば右側)に向けて移動させられる。このとき、クラッチスリーブ201が、シフトフォーク11に同行して、軸方向M1,M2,M3の一方に向けてギヤ噛み合い位置(図2に示す二点鎖線)まで移動される。クラッチスリーブ201がギヤ噛み合い位置に位置するときは、第1シンクロナイザリング211の外周および出力ギヤ220の他方側(図2に示すたとえば左側)端部の外周を、クラッチスリーブ201が取り囲んでいる。
この状態では、クラッチスリーブ側スプライン部206が、出力ギヤ220の出力側スプライン部215と係合し、クラッチスリーブ201と出力ギヤ220とが連結されている。この状態では、シフトのギヤ入れ操作が完了している。
ところで、このような電動アクチュエータ21を用いたシフトのギヤ入れ操作の場合、出力ギヤ220の回転とクラッチスリーブ201の回転とを同期させるために、電動アクチュエータ21が駆動され、シフトセレクト軸15およびシフトフォーク11の軸方向M1,M2,M3移動により、第1シンクロナイザリング211が出力ギヤ220の第1コーン面210に摩擦接触して押し付けられる(この摩擦接触状態を、以下「シンクロ状態」という場合がある。)。シフトのギヤ入れ操作を良好に行うために、第1シンクロナイザリング211と第1コーン面210とが摩擦接触し始めるタイミング(このタイミングを、以下「シンクロタイミング」という場合がある。)を高精度で検出する必要がある。
ところで、このような電動アクチュエータ21を用いたシフトのギヤ入れ操作の場合、出力ギヤ220の回転とクラッチスリーブ201の回転とを同期させるために、電動アクチュエータ21が駆動され、シフトセレクト軸15およびシフトフォーク11の軸方向M1,M2,M3移動により、第1シンクロナイザリング211が出力ギヤ220の第1コーン面210に摩擦接触して押し付けられる(この摩擦接触状態を、以下「シンクロ状態」という場合がある。)。シフトのギヤ入れ操作を良好に行うために、第1シンクロナイザリング211と第1コーン面210とが摩擦接触し始めるタイミング(このタイミングを、以下「シンクロタイミング」という場合がある。)を高精度で検出する必要がある。
このシンクロタイミングの検出精度が悪いと、第1シンクロナイザリング211が第1コーン面210から大きく離れた状態で第1シンクロナイザリング211の減速が始まったり、第1シンクロナイザリング211が減速不十分な状態で出力ギヤ220に衝突したりするおそれがある。前者の場合は、減速期間が比較的長くなるので、第1シンクロナイザリング211と出力ギヤ220とを同期させるための一連の動作時間が長くなるおそれがある。また、後者の場合は、第1シンクロナイザリング211や出力ギヤ220に破損が生じるおそれがあるばかりか、電動アクチュエータ21に過大な負荷を与える結果、電動アクチュエータ21に破損を生じさせたり、電動アクチュエータ21をフェール状態に陥らせたりするおそれがある。
電動アクチュエータ21は、ハウジング22を備えている。電動アクチュエータ21は、ギヤハウジング7の外表面または車両の所定箇所に固定されている。
図3は、図1に示す電動アクチュエータの構成を示す断面図である。図4は、図3の切断面線IV−IVで切断したときの断面図である。
電動アクチュエータ21は、たとえばブラシレスモータからなる電動モータ23と、電動モータ23の回転トルク(動力)を、シフトセレクト軸15を中心軸線17まわりに回転させる力に変換するためのシフト変換機構(シフト伝達機構)24と、電動モータ23の回転トルク(動力)を、シフトセレクト軸15をその軸方向M4(図3に示す紙面に直交する方向。図4に示す左右方向)に移動させる力に変換するためのセレクト変換機構(セレクト操作駆動機構)25と、電動モータ23の動力の伝達先を、シフト変換機構24とセレクト変換機構25との間で切り換えるためのクラッチ機構を含む切換ユニット26とを備えている。これら電動モータ23、シフト変換機構24、セレクト変換機構25および切換ユニット26は、ハウジング22内に収容されている。
図3は、図1に示す電動アクチュエータの構成を示す断面図である。図4は、図3の切断面線IV−IVで切断したときの断面図である。
電動アクチュエータ21は、たとえばブラシレスモータからなる電動モータ23と、電動モータ23の回転トルク(動力)を、シフトセレクト軸15を中心軸線17まわりに回転させる力に変換するためのシフト変換機構(シフト伝達機構)24と、電動モータ23の回転トルク(動力)を、シフトセレクト軸15をその軸方向M4(図3に示す紙面に直交する方向。図4に示す左右方向)に移動させる力に変換するためのセレクト変換機構(セレクト操作駆動機構)25と、電動モータ23の動力の伝達先を、シフト変換機構24とセレクト変換機構25との間で切り換えるためのクラッチ機構を含む切換ユニット26とを備えている。これら電動モータ23、シフト変換機構24、セレクト変換機構25および切換ユニット26は、ハウジング22内に収容されている。
ハウジング22の開口部(図3に示す左側)は、略板状の蓋27によって閉塞されている。このハウジング22および蓋27は、それぞれたとえば鋳鉄やアルミニウムなどの金属材料を用いて形成されており、蓋27の外周がハウジング22の開口部に嵌め合わされている。蓋27にはその内面(図3に示す右面)と外面(図3に示す左面)とを貫通する円形の貫通孔29が形成されている。
ハウジング22は、シフトセレクト軸15における先端側の領域や、シフト変換機構24の各構成部品を主に収容する略箱状の主ハウジング22Aを含んでいる。主ハウジング22Aは、第1側壁111(図4参照)と、第2側壁112(図4参照)と、シフトセレクト軸15における先端部よりもやや基端寄りを支持するための第1の軸ホルダ113(図4参照)と、シフトセレクト軸15の先端部を収容支持するための第2の軸ホルダ114(図4参照)と備えている。
第1側壁111の内側の側面は、平坦面からなる第1内壁面111A(図4参照)である。
第2側壁112の内側の側面は、平坦面からなる第2内壁面112A(図4参照)である。第2内壁面112Aは第1内壁面111Aと対向し、第1内壁面111Aと平行に形成されている。
第2側壁112の内側の側面は、平坦面からなる第2内壁面112A(図4参照)である。第2内壁面112Aは第1内壁面111Aと対向し、第1内壁面111Aと平行に形成されている。
第1の軸ホルダ113は、第1側壁111の外壁面(第1内壁面111Aとは反対側の面)から外方に膨出して形成されており、たとえば円柱状に形成されている。第1の軸ホルダ113は第1側壁111と一体的に形成されている。第1の軸ホルダ113および第1側壁111には、円筒状の挿通孔104が形成されている。円筒状の挿通孔104は、第1の軸ホルダ113および第1側壁111を、それらの厚み方向(図4に示す左右方向)に貫通している。挿通孔104には、シフトセレクト軸15が挿通されている。
挿通孔104の内周壁には、第1すべり軸受101(図4参照)が内嵌固定されている。第1すべり軸受101は、挿通孔104に挿通されているシフトセレクト軸15の途中部(先端部よりもやや基端寄り)の外周を取り囲み、シフトセレクト軸15の途中部の外周を摺接支持する。
第2の軸ホルダ114は、第2側壁112の外壁面(第2内壁面112Aとは反対側の面)から外方に膨出して形成されており、たとえば略円筒状に形成されている。第2の軸ホルダ114は第2側壁112と一体的に形成されている。第2の軸ホルダ114の内周面および底面によって、シフトセレクト軸15の先端部(図4に示す右端部)を収容する円柱状の収容溝115(図4参照)が区画されている。収容溝115の内周壁は、円筒状の挿通孔104と同軸の中心軸線を有する円筒状に形成されている。
第2の軸ホルダ114は、第2側壁112の外壁面(第2内壁面112Aとは反対側の面)から外方に膨出して形成されており、たとえば略円筒状に形成されている。第2の軸ホルダ114は第2側壁112と一体的に形成されている。第2の軸ホルダ114の内周面および底面によって、シフトセレクト軸15の先端部(図4に示す右端部)を収容する円柱状の収容溝115(図4参照)が区画されている。収容溝115の内周壁は、円筒状の挿通孔104と同軸の中心軸線を有する円筒状に形成されている。
収容溝115の内周壁には、第2すべり軸受102(図4参照)が内嵌固定されている。第2すべり軸受102は、収容溝115に収容されているシフトセレクト軸15の先端部の外周を取り囲んで、当該先端部の外周を摺接支持する。シフトセレクト軸15は、これら第1および第2すべり軸受101,102によって、その中心軸線17まわりに回転可能にかつ軸方向M4移動可能に支持されている。
挿通孔104における第1すべり軸受101の外側の部分には、ごみや埃がハウジング22内(主ハウジング22A内)に進入しないように、シフトセレクト軸15の外周と挿通孔104の内周壁との間をシールするためのシール部材103が介装されている。
第1の軸ホルダ113において、厚み方向(図4に示す左右方向)に関しシール部材103と第1すべり軸受101との間には、ロックボール106が配設されている。具体的には、挿通孔104の内周壁と、第1の軸ホルダ113の外周面とを貫通する貫通孔105内にロックボール106が収容されている。ロックボール106は、円筒状の収容溝115の中心軸線(すなわちシフトセレクト軸15の中心軸線17)と直交する方向(直交方向)に延び、略円筒状をなすとともに、当該方向(直交方向)に沿って移動可能に設けられている。ロックボール106の先端部は半球状をなしており、次に述べる係合溝107に係合する。
第1の軸ホルダ113において、厚み方向(図4に示す左右方向)に関しシール部材103と第1すべり軸受101との間には、ロックボール106が配設されている。具体的には、挿通孔104の内周壁と、第1の軸ホルダ113の外周面とを貫通する貫通孔105内にロックボール106が収容されている。ロックボール106は、円筒状の収容溝115の中心軸線(すなわちシフトセレクト軸15の中心軸線17)と直交する方向(直交方向)に延び、略円筒状をなすとともに、当該方向(直交方向)に沿って移動可能に設けられている。ロックボール106の先端部は半球状をなしており、次に述べる係合溝107に係合する。
シフトセレクト軸15の外周には、軸方向M4に間隔を空けて、周方向に延びる複数本(たとえば3本)の係合溝107が形成されている。各係合溝107は全周にわたって設定されている。ロックボール106がその長手方向に移動することにより、先端部が挿通孔104の内周壁よりも中心軸線17側(図4に示す下方)に突出して、その先端部が係合溝107と係合して、シフトセレクト軸15の軸方向M4移動を阻止する。これにより、シフトセレクト軸15は、軸方向M4への移動が阻止された状態で、一定力で保持される。
シフトセレクト軸15の外周における第1すべり軸受101が摺接する部分と第2すべり軸受102が摺接する部分との間には、雄スプライン部121(図4参照)と、ピニオン36が噛み合う後述するラック部122(図4参照)とが、第1すべり軸受101側からこの順で形成されている。
図3に示すように、電動モータ23としてはたとえばブラシレスモータが採用されている。電動モータ23は、その本体ケーシングがハウジング22外に露出するように取り付けられている。電動モータ23の出力軸40は、シフトセレクト軸15と直交する所定の方向(図3に示す左右方向)に沿って延びている。
図3に示すように、電動モータ23としてはたとえばブラシレスモータが採用されている。電動モータ23は、その本体ケーシングがハウジング22外に露出するように取り付けられている。電動モータ23の出力軸40は、シフトセレクト軸15と直交する所定の方向(図3に示す左右方向)に沿って延びている。
切換ユニット26は、電動モータ23の出力軸40と同軸に連結された伝達軸41と、伝達軸41と同軸にかつ、同伴回転可能に設けられた第1ロータ42と、伝達軸41に同軸にかつ、同伴回転可能に設けられた第2ロータ44と、第1ロータ42と第2ロータ44との間で伝達軸41の連結先を切り換えるためのクラッチ機構39とを備えている。
伝達軸41は、電動モータ23側に設けられた小径の主軸部46と、主軸部46の第1ロータ42側の軸方向端部(図3に示す右端部)に、主軸部46と一体的に設けられ、主軸部46よりも大径の大径部47とを備えている。
伝達軸41は、電動モータ23側に設けられた小径の主軸部46と、主軸部46の第1ロータ42側の軸方向端部(図3に示す右端部)に、主軸部46と一体的に設けられ、主軸部46よりも大径の大径部47とを備えている。
第1ロータ42は、伝達軸41に対し電動モータ23側と反対側に配置されている。
第1ロータ42は、電動モータ23側の軸方向端部(図3に示す左端部)の外周から径方向外方に向けて張り出す第1アーマチュアハブ54を備えている。第1アーマチュアハブ54は大径部47の電動モータ23側と反対側の面(図3に示す右面)に対向して配置されている。
第1ロータ42は、電動モータ23側の軸方向端部(図3に示す左端部)の外周から径方向外方に向けて張り出す第1アーマチュアハブ54を備えている。第1アーマチュアハブ54は大径部47の電動モータ23側と反対側の面(図3に示す右面)に対向して配置されている。
第2ロータ44は、伝達軸41の大径部47に対し第1ロータ42と反対側、すなわち電動モータ23側に配置されており、伝達軸41の主軸部46の周囲を取り囲んでいる。第2ロータ44は、電動モータ23側と反対側の軸方向端部(図3に示す右端部)の外周から径方向外方に向けて張り出す第2アーマチュアハブ55を備えている。第2アーマチュアハブ55は大径部47の電動モータ23側の面(図3に示す左面)に対向して配置されている。言い換えれば、第1ロータ42(の第1アーマチュアハブ54)および第2ロータ44(の第2アーマチュアハブ55)が、伝達軸41の大径部47を挟むように配置されている。
クラッチ機構39は、第1ロータ42と断接して、伝達軸41と第1ロータ42とを連結/解放するシフト用電磁クラッチ(第1電磁クラッチ)43と、第2ロータ44と断接して、伝達軸41と第2ロータ44とを連結/解放するセレクト用電磁クラッチ(第2電磁クラッチ)45とを備えている。
シフト用電磁クラッチ43は、第1フィールド48と第1アーマチュア49とを備えている。第1アーマチュア49は、伝達軸41の大径部47の軸方向他方側の面(図3に示す右面)に第1アーマチュアハブ54の電動モータ23側の面(図3に示す左面)と微小間隔を隔てて配置されており、略円環板状をなしている。第1アーマチュア49は鉄などの強磁性体を用いて形成されている。第1フィールド48は、ヨーク内に第1電磁コイル50を内蔵しており、ハウジング22に固定されている。
シフト用電磁クラッチ43は、第1フィールド48と第1アーマチュア49とを備えている。第1アーマチュア49は、伝達軸41の大径部47の軸方向他方側の面(図3に示す右面)に第1アーマチュアハブ54の電動モータ23側の面(図3に示す左面)と微小間隔を隔てて配置されており、略円環板状をなしている。第1アーマチュア49は鉄などの強磁性体を用いて形成されている。第1フィールド48は、ヨーク内に第1電磁コイル50を内蔵しており、ハウジング22に固定されている。
セレクト用電磁クラッチ45は第2フィールド51と、第2アーマチュア52とを備えている。第2アーマチュア52は、伝達軸41の大径部47の軸方向一方側の面(図3に示す左面)に第2アーマチュアハブ55の電動モータ23と反対側の面(図3に示す右面)と微小間隔を隔てて配置されており、略円環板状をなしている。第2アーマチュア52は鉄などの強磁性体を用いて形成されている。第2フィールド51はヨーク内に第2電磁コイル53を内蔵しており、ハウジング22に固定されている。第1フィールド48および第2フィールド51は、大径部47、第1アーマチュアハブ54および第2アーマチュアハブ55を挟んで軸方向に沿って並置されている。
第1電磁コイル50に通電されると、その第1電磁コイル50が励磁状態になり、第1電磁コイル50を含む第1フィールド48に電磁吸引力が発生する。そして、第1アーマチュア49が第1フィールド48に吸引されて第1フィールド48に向けて変形し、第1アーマチュア49が第1アーマチュアハブ54と摩擦接触する。したがって、第1電磁コイル50への通電により第1電磁コイル50が第1ロータ42に接続され、伝達軸41が第1ロータ42に連結される。そして、第1電磁コイル50に切電(電流供給停止)されることにより第1電磁コイル50が第1ロータ42に断続され、伝達軸41が第1ロータ42から解放される。つまり、第1電磁コイル50への通電/切電を切り換えることにより、シフト用電磁クラッチ43の締結状態と解放状態とを切り換えることができる。
一方、第2電磁コイル53に通電されると、その第2電磁コイル53が励磁状態になり、第2電磁コイル53を含む第2フィールド51に電磁吸引力が発生する。そして、第2アーマチュア52が第2フィールド51に吸引されて第2フィールド51に向けて変形し、第2アーマチュア52が第2アーマチュアハブ55と摩擦接触する。したがって、第2電磁コイル53への通電により、第2電磁コイル53が第2ロータ44に接続され、伝達軸41が第2ロータ44に連結される。そして、第2電磁コイル53に切電(電流供給停止)されることにより第2電磁コイル53が第2ロータ44に断続され、伝達軸41が第2ロータ44から解放される。つまり、第2電磁コイル53への通電/切電を切り換えることにより、セレクト用電磁クラッチ45の締結状態と、解放状態とを切り換えることができる。
この実施形態では、シフト用電磁クラッチ43およびセレクト用電磁クラッチ45の一方のみが選択的に締結されるようになっている。すなわち、シフト用電磁クラッチ43が締結状態にあるときには、セレクト用電磁クラッチ45が解放状態にあり、セレクト用電磁クラッチ45が締結状態にあるときには、シフト用電磁クラッチ43が解放状態にある。
第2ロータ44の外周には、小径の円環状の第1歯車56が外嵌固定されている。第1歯車56は第2ロータ44と同軸に設けられている。第1歯車56は転がり軸受57によって支持されている。転がり軸受57の外輪は、第1歯車56に内嵌固定されている。転がり軸受57の内輪は、伝達軸41の主軸部46の外周に外嵌固定されている。
シフト変換機構24は、回転運動を直線運動に変換する減速機としてのボールねじ機構58と、このボールねじ機構58のナット59の軸方向移動に伴って、シフトセレクト軸15の中心軸線17まわりに揺動するアーム60とを備えている。
シフト変換機構24は、回転運動を直線運動に変換する減速機としてのボールねじ機構58と、このボールねじ機構58のナット59の軸方向移動に伴って、シフトセレクト軸15の中心軸線17まわりに揺動するアーム60とを備えている。
ボールねじ機構58は、第1ロータ42と同軸(または伝達軸41と同軸)に延びるねじ軸61と、ねじ軸61にボール(図示しない)を介して螺合するナット59とを備えている。ねじ軸61はシフトセレクト軸15と、食い違い角が90°の食い違い軸の関係をなしている。
ねじ軸61は転がり軸受64によって軸方向への移動が規制されつつ支持されている。具体的には、ねじ軸61の一端部(図3に示す左端部)は、転がり軸受64によって支持されている。転がり軸受64の内輪は、ねじ軸61の一端部に外嵌固定されている。また、転がり軸受64の外輪は、ハウジング22に固定された、切換ユニット26のケーシングの底壁65の内外面を貫通する貫通孔に内嵌されている。また、転がり軸受64の外輪にはロックナット66が係合されて、ねじ軸61の軸方向の他方(図3に示す右方)への移動が規制されている。ねじ軸61の一端部における転がり軸受64よりも電動モータ23側(図3に示す左側)の部分は、第1ロータ42の内周に挿通されて、この第1ロータ42に同伴回転可能に連結されている。ねじ軸61の他端部(図3に示す右端部)は、転がり軸受67によって支持されている。転がり軸受67の外輪は、ハウジング22に固定されている。
ねじ軸61は転がり軸受64によって軸方向への移動が規制されつつ支持されている。具体的には、ねじ軸61の一端部(図3に示す左端部)は、転がり軸受64によって支持されている。転がり軸受64の内輪は、ねじ軸61の一端部に外嵌固定されている。また、転がり軸受64の外輪は、ハウジング22に固定された、切換ユニット26のケーシングの底壁65の内外面を貫通する貫通孔に内嵌されている。また、転がり軸受64の外輪にはロックナット66が係合されて、ねじ軸61の軸方向の他方(図3に示す右方)への移動が規制されている。ねじ軸61の一端部における転がり軸受64よりも電動モータ23側(図3に示す左側)の部分は、第1ロータ42の内周に挿通されて、この第1ロータ42に同伴回転可能に連結されている。ねじ軸61の他端部(図3に示す右端部)は、転がり軸受67によって支持されている。転がり軸受67の外輪は、ハウジング22に固定されている。
ナット59の一側面(図3に示す手前側側面。図4に示す左側側面)、および当該一側面とは反対側の他側面(図3に示す奥側側面。図4に示す右側側面)には、それぞれシフトセレクト軸15の軸方向M4に沿う方向(図3に示す紙面に直交する方向。図4に示す左右方向)に延びる円柱状の突出軸70(図3では一方のみ図示。図4を併せて参照)が突出形成されている。一対の突出軸70は同軸である。ナット59はアーム60の第1係合部72によって、ねじ軸61まわりの回転が規制されている。したがって、ねじ軸61の回転に同伴して、ナット59がねじ軸61の軸方向に移動する。
アーム60は、ナット59に係合するための第1係合部72と、シフトセレクト軸15に係合するための第2係合部73(図4参照)と、第1係合部72と第2係合部73とを接続する直線状の接続ロッド74とを備えている。第2係合部73は略円筒状をなし、シフトセレクト軸15に外嵌されている。
第1係合部72は互いに対向する一対の支持板部76と、一対の支持板部76の基端辺同士(図3および図4に示す下端辺)を連結する連結板部77とを備え、側面視で略U字状をなしている。各支持板部76には、各突出軸70の外周と、当該突出軸70の回転を許容しつつ係合するU字係合溝78が形成されている。U字係合溝78は前記の基端辺と反対側の先端辺から切り欠かれている。そのため、第1係合部72は、ナット59に、突出軸70まわりに相対回転可能にかつ、ねじ軸61の軸方向に同行移動可能に係合している。
第1係合部72は互いに対向する一対の支持板部76と、一対の支持板部76の基端辺同士(図3および図4に示す下端辺)を連結する連結板部77とを備え、側面視で略U字状をなしている。各支持板部76には、各突出軸70の外周と、当該突出軸70の回転を許容しつつ係合するU字係合溝78が形成されている。U字係合溝78は前記の基端辺と反対側の先端辺から切り欠かれている。そのため、第1係合部72は、ナット59に、突出軸70まわりに相対回転可能にかつ、ねじ軸61の軸方向に同行移動可能に係合している。
また、各U字係合溝78と突出軸70との係合により、ナット59はアーム60の第1係合部72によって、ねじ軸61まわりの回転が規制される。したがって、ねじ軸61の回転に伴って、ナット59および第1係合部72がねじ軸61の軸方向に移動する。
シフトセレクト軸15と第2係合部73とはスプライン嵌合している。具体的には、第2係合部73の内周に設けられた雌スプライン75に、シフトセレクト軸15の外周に設けられた雄スプライン121が噛み合っている。言い換えれば、シフトセレクト軸15の外周には第2係合部73が、当該シフトセレクト軸15に対して相対回転不能にかつ相対軸方向移動が許容された状態で連結されている。したがって、ねじ軸61が回転し、これに伴ってナット59がねじ軸61の軸方向に移動すると、アーム60がシフトセレクト軸15の中心軸線17まわりに揺動し、このアーム60の揺動に同伴してシフトセレクト軸15が回転する。
シフトセレクト軸15と第2係合部73とはスプライン嵌合している。具体的には、第2係合部73の内周に設けられた雌スプライン75に、シフトセレクト軸15の外周に設けられた雄スプライン121が噛み合っている。言い換えれば、シフトセレクト軸15の外周には第2係合部73が、当該シフトセレクト軸15に対して相対回転不能にかつ相対軸方向移動が許容された状態で連結されている。したがって、ねじ軸61が回転し、これに伴ってナット59がねじ軸61の軸方向に移動すると、アーム60がシフトセレクト軸15の中心軸線17まわりに揺動し、このアーム60の揺動に同伴してシフトセレクト軸15が回転する。
セレクト変換機構25は、第1歯車56と、伝達軸41と平行に延び、回転可能に設けられたピニオン軸95と、ピニオン軸95における一端部(図3に示す左端部)寄りの所定位置に同軸に固定された第2歯車81と、ピニオン軸95の他端部(図3に示す右端部)寄りの所定位置に同軸に固定された小径のピニオン36とを備え、全体として減速機を構成している。なお、第2歯車81は、第1歯車56およびピニオン36の双方よりも大径に形成されている。
ピニオン軸95の一端部(図3に示す左端部)は、ハウジング22に固定された転がり軸受96によって支持されている。転がり軸受96の内輪は、ピニオン軸95の一端部(図3に示す左端部)に外嵌固定されている。また、転がり軸受96の外輪は、蓋27の内面に形成された円筒状の凹部97内に固定されている。また、ピニオン軸95の他端部(図3に示す右端部)は、転がり軸受84によって支持されている。
ピニオン軸95の他端部に関連して、ピニオン軸95の回転角(回転位置)を検出するための第1回転角センサ87が配設されている。この第1回転角センサ87の検出出力により、シフトセレクト軸15の軸方向位置を求めることが可能である。第1回転角センサ87の検出出力は、次に述べるECU88に入力されるようになっている。
また、ハウジング22内には、シフトセレクト軸15の雄スプライン部121に関連して、シフトセレクト軸15の回転角(回転位置)を検出するための第2回転角センサ89が配設されている。第2回転角センサ89の検出出力は、次に述べるECU88に入力されるようになっている。
また、ハウジング22内には、シフトセレクト軸15の雄スプライン部121に関連して、シフトセレクト軸15の回転角(回転位置)を検出するための第2回転角センサ89が配設されている。第2回転角センサ89の検出出力は、次に述べるECU88に入力されるようになっている。
電動モータ23には、電動モータ23の回転角(回転位置)や電動モータ23の回転速度を検出するためのモータ回転速度センサ90が配設されている。モータ回転速度センサ90としてたとえばレゾルバが採用されている。モータ回転速度センサ90の検出出力は、次に述べるECU88に入力されるようになっている。
図5に示すように、ECU88(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)には、車両の変速操作用の操作レバー93の位置情報が入力されるようになっている。操作レバー93の操作に基づいて、シフトセレクト軸15をシフト操作させるシフト制御、およびシフトセレクト軸15をセレクト操作させるためのセレクト制御を実行する。
図5に示すように、ECU88(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)には、車両の変速操作用の操作レバー93の位置情報が入力されるようになっている。操作レバー93の操作に基づいて、シフトセレクト軸15をシフト操作させるシフト制御、およびシフトセレクト軸15をセレクト操作させるためのセレクト制御を実行する。
図5は、電動アクチュエータ21の電気的構成を示すブロック図である。ECU88は、シフトセレクト軸15の回転角や軸方向M4位置、および操作レバー93の変速位置に基づいて、予め記憶された制御マップを用いて動作内容(シフト操作またはセレクト操作)を決定する動作内容決定部301と、決定された動作内容に基づいて電動モータ23を駆動するモータ駆動部302と、シフト用電磁クラッチ43を駆動するためのシフト用電磁クラッチ駆動部303と、セレクト用電磁クラッチ45を駆動するためのセレクト用電磁クラッチ駆動部304とを備えている。
動作内容決定部301には、第1回転角センサ87によって検出されたシフトセレクト軸15の軸方向M4位置、第2回転角センサ89によって検出されたシフトセレクト軸15の回転角、および操作レバー93の変速位置の位置情報がECU88に入力されるようになっている。モータ駆動部302は、電動モータ23をたとえばPWM(Pulse Width Modulation)制御によって駆動するモータ駆動回路(図示しない)と、電動モータ23への供給電流を制御する供給電流制御部(図示しない)とを備えている。
シフト用電磁クラッチ駆動部303は、動作内容決定部301によって決定された動作内容に基づいて第1電磁コイル50への供給電流の目標値(駆動電流値)を決定する第1目標電流値決定部(駆動電流値設定手段)310と、供給電流が目標値となるように出力電流を制御する第1出力電流制御部311と、シフト用電磁クラッチ43を駆動する第1クラッチ駆動回路(電磁クラッチ駆動手段)312とを備えている。第1クラッチ駆動回路312に対する供給電流の電流値は、第1検出回路313によって検出される。第1検出回路313が検出した電流値はフィードバックされ、第1出力電流制御部311によって供給電流が目標値となるように制御される。
セレクト用電磁クラッチ駆動部304は、動作内容決定部301によって決定された動作内容に基づいて第2電磁コイル53への供給電流の目標値を決定する第2目標電流値決定部320と、供給電流が目標値となるように出力電流を制御する第2出力電流制御部321と、セレクト用電磁クラッチ45を駆動する第2クラッチ駆動回路322とを備えている。第2クラッチ駆動回路322に対する供給電流の電流値は、第2検出回路323によって検出される。第2検出回路323が検出した電流値は、フィードバックされ、第2出力電流制御部321によって供給電流が目標値となるように制御される。
また、ECU88は、シフト用電磁クラッチ43におけるすべりの発生の有無を判定するすべり判定部(すべり判定手段)330をさらに有している。このようなすべりの発生の有無は、すべり判定部330が、シフトセレクト軸15の回転角と、モータ回転速度センサ90からの検出出力から算出される回転角(電動モータ23の回転角度)との比較値(差分の絶対値。たとえば、電動モータ23の回転角度、ねじ軸61のリードおよびアーム60の長さから算出されるシフトセレクト軸15の回転角と、第2回転角センサ89の出力値(回転位置)との比較値)を所定の閾値と比較することにより判定する。具体的には、すべり判定部330は、第2回転角センサ89の検出出力およびモータ回転速度センサ90の検出出力に基づいて前記の比較値を算出し、その比較値が前記の閾値以上である場合にすべりの発生を判定する。
図6は、シフト操作に伴う種々の変化を示すグラフである。(a)はシフトフォーク11の軸方向移動量の変化を示し、(b)はシフトセレクト軸15に作用する負荷の変化を示し、(c)は電動モータ23の回転速度の変化を示す。図7は、シフト用電磁クラッチ43の駆動電流値(第1電磁コイル50への供給電流の目標値)の変化を示すグラフである。
次に、図2、図5〜図7を参照して、たとえば中立状態からシフトのギヤ入れを行う場合について説明する。変速機2において中立状態では、シフトフォーク11は中立位置(図6(a)参照)に位置している。
中立状態においては、図6(b)に示すように、シフトセレクト軸15に作用する負荷の量は小さく、また、図6(c)に示すように、電動モータ23の回転速度はほぼ0である。この状態から、セレクト用電磁クラッチ45が解放状態にされるとともに、シフト用電磁クラッチ43が締結状態にされる。図7に示すように、シフト用電磁クラッチ43の駆動電流値が第1電流値(第1レベル)に設定されている。この第1電流値は、摩擦式のシフト用電磁クラッチ43に通常時(すなわち、シンクロ状態でないとき)に作用する負荷トルク(「通常時の負荷トルク」と言う。以下同じ。)と同等の静摩擦トルク(第1電流値で伝達可能なトルク。)を発生させるのに必要な駆動電流値よりも高い値に、かつ摩擦式のシフト用電磁クラッチ43にシンクロ状態時に作用する負荷トルク(「シンクロ時の負荷トルク」と言う。以下同じ。)と同等の静摩擦トルクを発生させるのに必要な駆動電流値(「シンクロ状態時基準電流値」という。以下同じ。)よりも低い値に設定されている。換言すると、駆動電流値が第1電流値であるときのシフト用電磁クラッチ43の静摩擦トルクは、通常時の負荷トルクよりも大きく、シンクロ時の負荷トルクよりも小さい。
中立状態においては、図6(b)に示すように、シフトセレクト軸15に作用する負荷の量は小さく、また、図6(c)に示すように、電動モータ23の回転速度はほぼ0である。この状態から、セレクト用電磁クラッチ45が解放状態にされるとともに、シフト用電磁クラッチ43が締結状態にされる。図7に示すように、シフト用電磁クラッチ43の駆動電流値が第1電流値(第1レベル)に設定されている。この第1電流値は、摩擦式のシフト用電磁クラッチ43に通常時(すなわち、シンクロ状態でないとき)に作用する負荷トルク(「通常時の負荷トルク」と言う。以下同じ。)と同等の静摩擦トルク(第1電流値で伝達可能なトルク。)を発生させるのに必要な駆動電流値よりも高い値に、かつ摩擦式のシフト用電磁クラッチ43にシンクロ状態時に作用する負荷トルク(「シンクロ時の負荷トルク」と言う。以下同じ。)と同等の静摩擦トルクを発生させるのに必要な駆動電流値(「シンクロ状態時基準電流値」という。以下同じ。)よりも低い値に設定されている。換言すると、駆動電流値が第1電流値であるときのシフト用電磁クラッチ43の静摩擦トルクは、通常時の負荷トルクよりも大きく、シンクロ時の負荷トルクよりも小さい。
また、シフト用電磁クラッチ43の締結状態化に併せて、電動モータ23が回転駆動開始される。これにより、シフト変換機構24(図3参照)が駆動されて、シフトセレクト軸15が回転される。この電動モータ23の回転速度は、所定の回転速度まで上昇した後、一定に維持される(図6(c)参照)。シフトセレクト軸15の回転により、シフトフォーク11が、軸方向M1,M2,M3の一方(図2に示すたとえば右側)に向けて移動させられる。このとき、シフトセレクト軸15に作用する負荷の量は比較的小さい(図6(b)参照)。
シフトフォーク11が軸方向M1,M2,M3の一方に向けて移動することにより、第1シンクロナイザリング211が出力ギヤ220に摩擦接触し、第1シンクロナイザリング211が出力ギヤ220を押し付ける。第1シンクロナイザリング211と出力ギヤ220とが摩擦接触すると、シフトフォーク11からの過大な負荷がシフトセレクト軸15を介して電動アクチュエータ21に入力され、その結果、シフト用電磁クラッチ43に作用するシンクロ時の負荷トルクが、駆動電流値(第1電磁コイル50に通電させる電流値)が第1電流値であるときのシフト用電磁クラッチ43の静摩擦トルクを上回る。そのため、シフト用電磁クラッチ43にすべりが発生する(図6(b)、図6(c)および図7参照)。このシフト用電磁クラッチ43にすべりが発生すると、電動モータ23の駆動力のうち一部しか、シフト変換機構24に伝達されないので、電動モータ23の回転速度に対するシフトセレクト軸15の回転角の割合が急激に小さくなる。シフト操作中において、すべり判定部330は、第2回転角センサ89の検出出力から得られるシフトセレクト軸15の回転角と、モータ回転速度センサ90の検出出力から算出される回転角との比較値を算出し、この比較値を監視している。
そして、シフトフォーク11を停止させるためのタイミング以外のタイミングで、前記の比較値が閾値以上となったときは、すべり判定部330は、シフト用電磁クラッチ43にすべりが発生していることを判定(検出)し、これにより、シンクロタイミングを検出することができる。ゆえに、シンクロタイミングを検出するための新たな構成を設けることなく、電動アクチュエータ21に備えられた既存の構成(シフト用電磁クラッチ43、第2回転角センサ89およびモータ回転速度センサ90)を用いて、シンクロタイミングを検出することができる。
すべり判定部330によってシンクロタイミングが判定されると、その旨が第1目標電流値決定部310に通知され、第1目標電流値決定部310は、第1電流値より高い第2電流値(第2レベル)を目標値として決定する。すなわち、図7に示すように、シフト用電磁クラッチ43の駆動電流値(第1電磁コイル50に通電させる電流値)の設定が第1電流値から第2電流値に引き上げられる。この第2電流値は、図7に示すように、シンクロ状態時基準電流値よりも高い値に設定されている。換言すると、駆動電流値が第2電流値であるときのシフト用電磁クラッチ43の静摩擦トルク(第2電流値で伝達可能なトルク。)は、シンクロ時の負荷トルクよりも大きい。
そのため、駆動電流値が第2電流値であるときのシフト用電磁クラッチ43の静摩擦トルクがシンクロ時の負荷トルクを上回り、シフト用電磁クラッチ43に発生していたすべりが解消され、シフト用電磁クラッチ43は再び確実に連結するようになる。
すべりの解消後は、第2電流値によって定められるシフト用電磁クラッチ43の静摩擦トルクが、シンクロ時の負荷トルクを上回り続け、その結果、シフト用電磁クラッチ43にすべりが発生しない。したがって、シフト用電磁クラッチ43を介して、電動モータ23の駆動力をシフトセレクト軸15に確実に伝達することができる。
すべりの解消後は、第2電流値によって定められるシフト用電磁クラッチ43の静摩擦トルクが、シンクロ時の負荷トルクを上回り続け、その結果、シフト用電磁クラッチ43にすべりが発生しない。したがって、シフト用電磁クラッチ43を介して、電動モータ23の駆動力をシフトセレクト軸15に確実に伝達することができる。
シンクロタイミングの検出後は、ECU88はたとえば電動モータ23の制御電圧値を下げ、電動モータ23の回転速度を極めて低値にする。その後、シンクロタイミングの検出から、シンクロ状態の期間の経過後、ECU88は再び電動モータ23の制御電圧値を上げ、電動モータ23の回転速度を高値にする。これにより、出力ギヤ220(図2参照)とクラッチスリーブ201(図2参照)を連結することができ、これによりギヤ入れが達成し、シフト操作が完了する。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は他の形態でも実施することができる。
たとえば、発生検出手段としては、シフトセレクト軸15の回転角とモータ回転速度センサ90の検出出力から算出される回転角との比較値に基づいて前記のすべりの発生を判定するものに限られず、たとえば、ねじ軸61の回転角とモータ回転速度センサ90の検出出力から算出される回転角との比較値や、アーム60の揺動位置とモータ回転速度センサ90の検出出力から算出される回転角との比較値とに基づいて、シフト用電動クラッチ43のすべりを検出していてもよい。
たとえば、発生検出手段としては、シフトセレクト軸15の回転角とモータ回転速度センサ90の検出出力から算出される回転角との比較値に基づいて前記のすべりの発生を判定するものに限られず、たとえば、ねじ軸61の回転角とモータ回転速度センサ90の検出出力から算出される回転角との比較値や、アーム60の揺動位置とモータ回転速度センサ90の検出出力から算出される回転角との比較値とに基づいて、シフト用電動クラッチ43のすべりを検出していてもよい。
また、電動アクチュエータ21は、シフト操作とセレクト操作とを選択的に切り替え可能なものではなく、シフト操作のみを行うものであってもよい。
また、操作手段としては、インターナルレバー16が軸に一体化されたシフトセレクト軸15に限られず、インターナルレバー16とは別体で設けられたシフト軸を採用することもできる。
また、操作手段としては、インターナルレバー16が軸に一体化されたシフトセレクト軸15に限られず、インターナルレバー16とは別体で設けられたシフト軸を採用することもできる。
さらに、前述の実施形態では、電動アクチュエータ21が変速駆動装置3に適用された場合を例に挙げて説明したが、この電動アクチュエータ21は、種々の用途の駆動源として用いることができる。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
3…変速駆動装置、10A…フォーク軸、10B…フォーク軸、10C…フォーク軸、11…シフトフォーク、15…シフトセレクト軸(操作部材)、21…電動アクチュエータ、23…電動モータ、24…シフト変換機構(シフト伝達機構)、25…セレクト変換機構(セレクト伝達機構)、43…シフト用電磁クラッチ(第1電磁クラッチ)、45…セレクト用電磁クラッチ(第2電磁クラッチ)、200…出力軸(連結対象ギヤ)、201…クラッチスリーブ、211…第1シンクロナイザリング、302…モータ駆動部、310…第1目標電流値決定部(駆動電流値設定手段)、312…第1クラッチ駆動回路(電磁クラッチ駆動手段)、330…シンクロタイミング判定部(すべり判定手段)、M1,M2,M3…軸方向
Claims (3)
- 操作部材を操作するための電動アクチュエータであって、
電動モータと、
前記電動モータの動力を、前記操作部材にシフト操作を行わせるための駆動力に変換しつつ前記操作部材に伝達するためのシフト伝達機構と、
前記電動モータから前記シフト伝達機構への動力伝達を断接可能な摩擦式の第1電磁クラッチと、
前記第1電磁クラッチの駆動電流値を設定する駆動電流値設定手段と、
前記駆動電流値設定手段に設定された駆動電流値で、前記第1電磁クラッチを駆動する電磁クラッチ駆動手段と、
前記電動モータを駆動するためのモータ駆動部と、
前記第1電磁クラッチにおけるすべりの発生を検出するためのすべり判定手段とを含み、
前記駆動電流値設定手段は、前記すべり判定手段により前記すべりの発生が検出される前は、前記第1電磁クラッチの駆動電流値を第1レベルに設定するとともに、前記すべり判定手段により前記すべりの発生が検出された後は、前記第1電磁クラッチの駆動電流値を、前記第1レベルよりも高い第2レベルに設定する、電動アクチュエータ。 - 前記電動モータの動力を、前記操作部材にセレクト操作を行わせるための駆動力に変換しつつ前記操作部材に伝達するためのセレクト伝達機構と、
前記電動モータから前記セレクト伝達機構への動力伝達を断接可能な摩擦式の第2電磁クラッチとをさらに含む、請求項1記載の電動アクチュエータ。 - 複数のフォーク軸と、各フォーク軸に固定され、被操作部材を操作するためのシフトフォークとを有し、前記シフトフォークを前記フォーク軸の軸方向に移動させることにより、シンクロ部材を連結対象ギヤに摩擦接触させつつ、当該連結対象ギヤに前記被操作部材を連結させる変速機を駆動するための変速駆動装置であって、
前記変速駆動装置は、前記フォーク軸を、その軸方向に軸方向移動させるためのシフト操作部材と、
前記シフト操作部材を操作して、前記フォーク軸を軸方向移動させる前記請求項1または2記載の電動アクチュエータとを含む、変速駆動装置。
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-
2011
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