JP6155914B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、定着装置及び画像形成装置に関する。
特許文献1の定着装置は、一部もしくは全てが不揮発性の溶媒中にトナーを分散させてなる液体現像剤を用いて形成された記録媒体上の未定着画像を加熱定着する。また、特許文献1の定着装置には、記録媒体上の未定着画像に対して非接触で該未定着画像の加熱を行う非接触加熱手段と、該非接触加熱手段の加熱により析出せしめられた被析出溶媒を該画像表面から除去する多孔質弾性体とが設けられている。
特許文献2の定着装置は、未定着画像が転写された転写紙をプレ加熱部で加熱することで、キャリアを未定着画像の表面に析出させている。また、特許文献2の定着装置は、析出したキャリアを、キャリア除去部において、多孔質弾性体であるブロッタローラ側に転移させて除去した後、熱定着部で定着を行っている。
特開2003−98864号公報 特開2003−167456号公報
本発明は、トナー及びキャリア液を含む現像剤で現像されたトナー像を定着手段で記録媒体に定着するときの、トナー像の定着不良を抑制することができる定着装置及び画像形成装置を得ることを目的とする。
本発明の請求項1に係る定着装置は、トナー及びキャリア液を含む現像剤で現像されたトナー像を記録媒体に定着する定着手段と、記録媒体の前記トナー像側に配置され回転する金属製の回転体であって、金属面で前記キャリア液に接触する回転体と、記録媒体の搬送方向における前記回転体よりも上流側で記録媒体を非接触状態で加熱する上流側加熱部と、弾性層を有し前記回転体と共に記録媒体を加圧する加圧部材と、前記回転体を加熱する加熱手段と、を備え、前記搬送方向における前記定着手段よりも上流側に配置され、前記キャリア液の一部を記録媒体から除去する前処理を行う前処理手段と、を有する。
本発明の請求項2に係る定着装置は、前記前処理手段は、前記回転体、前記加圧部材、及び前記加熱手段が前記搬送方向に複数並べられている。
本発明の請求項3に係る定着装置は、前記回転体からキャリア液を回収する回収部材が設けられている。
本発明の請求項4に係る定着装置は、前記キャリア液は、ジメチルシリコーンオイルを含む。
本発明の請求項5に係る定着装置は、前記トナーは、ポリエステル樹脂を含む。
本発明の請求項に係る定着装置は、前記定着手段は、弾性層の外周面にトナー像と接触する離型層を形成した定着回転体を有する。
本発明の請求項に係る画像形成装置は、静電潜像を保持する像保持体と、前記像保持体に形成された静電潜像をトナー及びキャリア液を含む現像剤で現像する現像装置と、前記現像装置によって現像されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、前記転写装置によって記録媒体に転写されたトナー像を記録媒体に定着させる請求項1から請求項のいずれか1項に記載の定着装置と、を有する。
請求項1の発明は、キャリア液の除去に金属製の回転体を用いない構成に比べて、トナー及びキャリア液を含む現像剤で現像されたトナー像を定着手段で記録媒体に定着するときの、トナー像の定着不良を抑制することができる。
請求項2の発明は、回転体及び加圧部材が1組の構成に比べて、キャリア液を効率よく除去することができる。
請求項3の発明は、回転体からキャリア液を回収しない構成に比べて、回転体で回収したキャリア液が記録媒体に再度、付着するのを抑制することができる。
請求項4の発明は、キャリア液がジメチルシリコーンオイルを含まない構成に比べて、回転体でのキャリア液の除去量を増加させることができる。
請求項5の発明は、トナーがポリエステル樹脂を含まない構成に比べて、トナー像の定着不良を抑制することができる。
請求項の発明は、定着回転体の外周面に離型層が形成されていない構成に比べて、定着手段でのトナー像の定着性を向上させることができる。
請求項の発明は、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の定着装置を有していない構成に比べて、定着不良に起因する画像欠陥を抑制することができる。
本実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略図である。 本実施形態に係る定着装置の構成を示す概略図である。 (A)、(B)、(C)、(D)、(E)本実施形態に係るキャリア液除去部において用紙に存在するキャリア液を取り除くメカニズムを説明する模式図である。 本実施形態に係るキャリア液除去部における接触部での用紙の通過回数とキャリア液の残留量との関係を示すグラフである。 本実施形態に係るキャリア液除去部における接触部での用紙の通過回数と、トナー像のグロス及びキャリア液の残留量との関係を示すグラフである。 本実施形態に係る定着部におけるニップ部での用紙通過回数と、トナー像のグロス及びキャリア液の残留量との関係を示すグラフである。 本実施形態に係るキャリア液除去部において、金属ロールの温度を変更したときの接触部での用紙の通過回数とキャリア液の残留量との関係を示すグラフである。 本実施形態に係るキャリア液除去部における用紙の通過回数と温度との関係をトナーK、トナーM、及び用紙で比較したグラフである。 本実施形態に係る定着部における用紙の通過回数と、トナー像のグロス及びキャリア液の残留量との関係を、オイル回収部材の有無で比較したグラフである。 第1変形例に係る定着装置の構成を示す概略図である。 第1変形例に係るキャリア液除去部における接触部での用紙の通過回数とキャリア液の残留量との関係を金属ロールの径で比較したグラフである。 第2変形例の定着装置の構成を示す概略図である。 (A)第3変形例の定着装置の構成を示す概略図である。(B)第4変形例の定着装置の構成を示す概略図である。(C)第5変形例の定着装置の構成を示す概略図である。
以下、本実施形態の定着装置及び画像形成装置の一例を図面に基づき説明する。先ず、画像形成装置の全体構成及び動作を説明し、次いで、本実施形態の要部である定着装置の構成及び動作について説明する。
なお、以下の説明では、図1に矢印Zで示す方向を装置高さ方向、図1に矢印Xで示す方向を装置幅方向とする。また、装置高さ方向及び装置幅方向のそれぞれに直交する方向(Yで示す)を装置奥行き方向とする。そして、画像形成装置10をユーザ(図示省略)が立つ側から見て(正面視して)、装置高さ方向、装置幅方向、装置奥行き方向をZ方向、X方向、Y方向と記載する。
さらに、X方向、Y方向、Z方向のそれぞれ一方側と他方側を区別する必要がある場合は、画像形成装置10を正面視して、上側を+Z側、下側を−Z側、右側を+X側、左側を−X側、奥側を+Y側、前側を−Y側と記載する。
〔全体構成〕
図1に示すように、画像形成装置10は、4つの画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kと、4つの転写装置20Y、20M、20C、20Kと、搬送装置(図示省略)の一部を構成する搬送ロール30と、定着装置40とを有している。なお、添え字の「Y」はイエロー用、「M」はマゼンタ用、「C」はシアン用、「K」はブラック用であることを示している。また、画像形成装置10における各色に対応する各ユニットの配置は、後述する用紙Pの搬送方向に沿って上流側から順に、Y、M、C、Kとなっている。
搬送装置(図示省略)は、記録媒体の一例としての用紙Pを予め定められた搬送速度で図示の矢印A方向(搬送方向)に搬送するようになっている。用紙Pは、連張紙であり、一例として、搬送方向における搬送ロール30よりも上流側では−Z側から+Z側へ搬送され、搬送ロール30よりも下流側では+Z側から−Z側へ搬送されるようになっている。また、用紙Pの搬送方向において、搬送ロール30は、4つの画像形成ユニット11Y、11M、11C、11K及び4つの転写装置20Y、20M、20C、20Kの下流側に配置され、定着装置40は、搬送ロール30の下流側に配置されている。画像形成装置10の各部の動作は、制御部(図示省略)により制御されるようになっている。
画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、それぞれ、静電潜像を保持する像保持体の一例としての円筒状の感光体12Y、12M、12C、12Kを有している。また、画像形成ユニット11Y、11M、11C、11Kは、それぞれ、帯電装置14Y、14M、14C、14Kと、露光装置16Y、16M、16C、16Kと、現像装置18Y、18M、18C、18Kとを有している。
(感光体)
感光体12Y、12M、12C、12Kは、それぞれ、図中の矢印+R方向(時計回り方向)に回転可能とされている。また、帯電装置14Y、14M、14C、14K、露光装置16Y、16M、16C、16K及び現像装置18Y、18M、18C、18Kは、+R方向において、この順番で、感光体12Y、12M、12C、12Kの周囲に配置されている。
(帯電装置及び露光装置)
帯電装置14Y、14M、14C、14Kは、感光体12Y、12M、12C、12Kの外周面を帯電させるものである。露光装置16Y、16M、16C、16Kは、帯電装置14Y、14M、14C、14Kにより帯電された感光体12Y、12M、12C、12Kの外周面を画像データに基づいて露光して、静電潜像を形成するためのものである。
(現像装置)
現像装置18Y、18M、18C、18Kは、露光装置16Y、16M、16C、16Kによって感光体12Y、12M、12C、12Kの外周面に形成された静電潜像を現像剤Gにより現像することで、可視のトナー像TAを得るためのものである。
現像装置18Y、18M、18C、18Kにおいて用いられる現像剤Gは、粉体のトナーT(図3(A)参照)をキャリア液CA(図3(A)参照)に分散させて得た液状タイプの現像剤である。キャリア液CAとしては、パラフィン系オイル、エーテル系オイル、シリコーン系オイル、及び植物系オイルなどが挙げられ、これに限定されない。本実施形態では、一例として、トナーTが、ポリエステル樹脂を主成分としており、キャリア液CAが、ジメチルシリコーンオイルを主成分とするオイルとなっている。
(転写装置)
転写装置20Y、20M、20C、20Kは、中間転写ロール22Y、22M、22C、22Kと、バックアップロール24Y、24M、24C、24Kとを有している。なお、転写装置20Yと、転写装置20M、20C、20Kとは、トナーT(図3(A)参照)を除く他の構成が同様となっているため、ここでは、転写装置20Yについて説明し、転写装置20M、20C、20Kの説明を省略する。
中間転写ロール22Yは、感光体12Yの回転方向における帯電装置14Yの上流側で、且つ現像装置18Yの下流側の一次転写位置X1において、感光体12Yに接触し、矢印−Rで示す方向(反時計回り方向)に従動回転するようになっている。これにより、転写装置20Yでは、感光体12Yの表面に現像により形成されたトナー像TAが、一次転写位置X1において、中間転写ロール22Yへと一次転写される。また、トナー像TAが中間転写ロール22Yへ一次転写される際、キャリア液CA(図3(A)参照)も中間転写ロール22Yへ移行する。なお、感光体12Yと中間転写ロール22Yとの間には、電源(図示省略)により一次転写電圧(バイアス電圧)が印加されるようになっている。
バックアップロール24Yは、感光体12Yとは反対側において、中間転写ロール22Yに対向して配置されている。そして、バックアップロール24Yは、中間転写ロール22Yとバックアップロール24Yとの間に用紙Pが供給されるとき、矢印+Rで示す方向に回転する。ここで、中間転写ロール22Yと用紙Pとが接触する位置が二次転写位置X2であり、中間転写ロール22Yに一次転写されたトナー像TAが、二次転写位置X2において、用紙Pへと二次転写される。なお、中間転写ロール22Yとバックアップロール24Yとの間には、二次転写電圧(バイアス電圧)が印加されるようになっている。また、トナー像TAが用紙Pに二次転写されるとき、キャリア液CA(図3(A)参照)も用紙Pへと移行する。
(画像形成動作)
画像形成装置10では、以下のようにして画像が形成される。
画像形成ユニット11Yにおいて、感光体12Yが回転し、帯電装置14Yにより感光体12Yの外周面が帯電される。次いで、帯電された感光体12Yの表面を露光装置16Yによって露光走査することで、感光体12Yの外周面には、第一色(Y)の静電潜像(図示省略)が形成される。この静電潜像は、現像装置18Yによって現像され、感光体12Yの表面には、可視化されたトナー像TAが形成される。
トナー像TAは、感光体12Yの回転により一次転写位置X1に至り、一次転写電圧により中間転写ロール22Yに一次転写される。このとき、キャリア液CA(図3(A)参照)もトナーTと共に中間転写ロール22Yへ移行する。中間転写ロール22Yに転写されたトナー像TAは、中間転写ロール22Yの回転で二次転写位置X2に至り、二次転写電圧により用紙Pに二次転写される。このとき、キャリア液CAも用紙Pへと移行する。
同様にして、画像形成ユニット11M、11C、11Kによって形成される第二色(M)、第三色(C)、及び第四色(K)のトナー像TAが、中間転写ロール22M、22C、22Kを介して、用紙Pに重なるように順次転写される。なお、用紙Pにおいて、各色のトナー像TAの位置がずれないように、用紙Pの搬送速度と、感光体12Y、12M、12C、12Kの回転速度とが同期されている。これにより、用紙Pには、多重のトナー像TAが形成されることとなる。多重のトナー像TAは、後述する定着装置40において加熱処理及び加圧処理され、用紙Pに定着される。
中間転写ロール22Yへのトナー像TAの一次転写が終了した感光体12Yは、クリーナー(図示省略)により清掃され、残留しているキャリア液CAなどが取り除かれる。また、用紙Pへのトナー像TAの二次転写が終了した中間転写ロール22Yの外周面もクリーナー(図示省略)により清掃され、残留しているキャリア液CAなどが取り除かれる。
なお、用紙Pに単色画像を形成する場合、例えば、黒色(K)の画像を形成する場合には、他の画像形成ユニット11Y、11M、11Cが、中間転写ロール22Y、22M、22Cから離れる(リトラクトされる)。
〔要部構成〕
次に、定着装置40について説明する。
図2に示すように、定着装置40は、一例として、キャリア液CA(図3(A)参照)の一部を除去する前処理を行う前処理手段の一例としての前処理部50と、前処理後のトナー像TBを用紙Pに定着する定着手段の一例としての定着部70とを有している。すなわち、前処理部50は、用紙Pの搬送方向における定着部70よりも上流側に配置されている。
<前処理部>
前処理部50は、用紙P及び用紙P上のトナー像TAを加熱する上流側加熱部の一例としての補助加熱部52と、用紙Pの搬送方向で補助加熱部52よりも下流側に配置されたキャリア液除去部60とを有している。キャリア液除去部60は、回転体の一例としての金属ロール62と、加圧部材の一例としての加圧ロール64と、金属ロール62を加熱する加熱手段の一例としてのハロゲンヒータ66と、回収部材の一例としての回収ブレード69とを有している。また、キャリア液除去部60は、加圧ロール64を加熱するハロゲンヒータ68を有している。
(補助加熱部)
補助加熱部52は、一例として、8つのカーボンヒータ53を有している。カーボンヒータ53は、用紙Pの搬送方向における金属ロール62よりも上流側で、用紙Pの+X側と−X側にそれぞれ4つずつ設けられており、用紙Pに対して非接触配置となっている。そして、カーボンヒータ53は、通電により用紙Pに向けて赤外線を放射し、用紙P及びトナー像TAを加熱するようになっている。本実施形態では、一例として、用紙Pが90[℃]、用紙P上のトナー像TAが110[℃]となるように、カーボンヒータ53の出力が設定されている。
(金属ロール)
金属ロール62は、一例として、アルミニウム製であり、円筒状に形成されている。そして、金属ロール62は、用紙Pの+X側(トナー像TA側)にY方向を軸方向として回転可能に設けられている。また、金属ロール62の外周面は、研磨により鏡面状態とされている。具体的には、一例として、金属ロール62の表面粗さは、Ra≦1.0[μm]が望ましい。さらに、金属ロール62は、用紙Pの搬送方向(Z方向)に等間隔で6本設けられている。加えて、金属ロール62の外径は、加圧ロール64の外径とほぼ同じ大きさとなっている。なお、図2では、2本の金属ロール62を示しており、残り4本の金属ロール62の図示を省略している。
(回収ブレード)
回収ブレード69は、耐油性、耐磨耗性に優れた板状のゴム部材で構成され、一例として、フッ素ゴムが使用されている。また、回収ブレード69は、一端部が、金属ロール62の回転方向に対して逆方向を向くように、金属ロール62の外周面と接触している。これにより、金属ロール62の外周面に付着したキャリア液CA(図3(A)参照)が、金属ロール62の回転に伴って、回収ブレード69により回収されるようになっている。なお、図2では、2つの回収ブレード69を示しており、残り4つの回収ブレード69の図示を省略している。
(加圧ロール)
加圧ロール64は、一例として、円筒状に形成され、用紙Pの−X側にY方向を軸方向として回転可能に設けられている。また、加圧ロール64は、径方向内側から外側へ向けて、基層64A、弾性層64B、及び離型層64Cを有する多層構造となっている。さらに、加圧ロール64は、用紙Pを挟んで金属ロール62と対向するようにZ方向に等間隔で6本設けられており、金属ロール62と共に用紙Pを加圧している。なお、図2では、2本の加圧ロール64を示しており、残り4本の加圧ロール64の図示を省略している。また、用紙Pが無い状態で金属ロール62と加圧ロール64とが接触する部位を接触部Nと記載する。金属ロール62はほぼ一定の速度で回転するが、加圧ロール64は金属ロール62よりも低速で回転するようになっている。
基層64Aは、一例として、SUS(ステンレス鋼)製となっている。また、弾性層64Bは、一例として、シリコンゴム製となっている。さらに、離型層64Cは、一例として、PFA(4フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレンン共重合体)製となっている。
(ハロゲンヒータ)
ハロゲンヒータ66は、各金属ロール62の内側にY方向に沿って1本ずつ挿入されている。そして、各ハロゲンヒータ66は、電源(図示省略)からの通電によって発熱し、金属ロール62を内側から加熱するようになっている。また、各ハロゲンヒータ66は、一例として、金属ロール62の外周面の温度が120[℃]となるように、金属ロール62の温度を検出する温度センサ65の出力に基づいて、フィードバック制御されるようになっている。
一方、ハロゲンヒータ68は、各加圧ロール64の内側にY方向に沿って挿入されている。そして、ハロゲンヒータ68は、電源(図示省略)からの通電によって発熱し、加圧ロール64を内側から加熱するようになっている。また、ハロゲンヒータ68は、一例として、金属ロール62の外周面の温度が120[℃]に維持されるように、加圧ロール64の温度を検出する温度センサ(図示省略)の出力に基づいて、フィードバック制御されるようになっている。
ここで、6本の金属ロール62は、外周面が用紙Pから離れた位置を原点位置として、リトラクト機構部(図示省略)により、−X側(接触側)及び+X側(退避側)の一方に移動可能となっている。同様に、6本の加圧ロール64は、外周面が用紙Pから離れた位置を原点位置として、リトラクト機構部(図示省略)により、+X側(接触側)及び−X側(退避側)の一方に移動可能となっている。
リトラクト機構部(図示省略)は、後述する定着部70で定着を行うときに、6本の金属ロール62を−X側に移動させ、6本の加圧ロール64を+X側に移動させて、用紙Pを挟ませる。また、リトラクト機構部は、定着部70で定着を行わないときに、6本の金属ロール62を+X側に移動させ、6本の加圧ロール64を−X側に移動させて、用紙Pから退避させるようになっている。なお、ハロゲンヒータ66及び回収ブレード69は、金属ロール62に対する配置を維持した状態で移動され、ハロゲンヒータ68は、加圧ロール64に対する配置を維持した状態で移動されるようになっている。
<定着部>
定着部70は、定着回転体の一例としての定着ロール72と、用紙Pを挟んで定着ロール72と対向する対向ロール74とを有している。また、定着部70は、一例として、定着ロール72及び対向ロール74が、用紙Pの搬送方向(Z方向)に間隔をあけて3組配置されている。
(定着ロール)
定着ロール72は、円筒状に形成され、用紙Pの+X側にY方向を軸方向として回転可能に設けられている。また、定着ロール72は、径方向内側から外側へ向けて、基層72A、弾性層72B、及び離型層72Cを有する多層構造となっている。すなわち、定着ロール72は、弾性層72Bの外周面にトナー像TBと接触する離型層72Cが形成されている。なお、図2では、2本の定着ロール72を示しており、残り1本の定着ロール72の図示を省略している。
基層72Aは、一例として、SUS製となっている。弾性層72Bは、一例として、シリコンゴム製となっている。離型層72Cは、一例として、PFA製となっている。
また、定着ロール72は、内側にハロゲンヒータ76が設けられている。ハロゲンヒータ76は、電源(図示省略)からの通電によって発熱し、定着ロール72を内側から加熱するようになっている。また、ハロゲンヒータ76は、一例として、定着ロール72の外周面の温度が130[℃]に維持されるように、定着ロール72の温度を検出する温度センサ75の出力に基づいて、フィードバック制御されるようになっている。
(対向ロール)
対向ロール74は、一例として、円筒状に形成され、用紙Pの−X側にY方向を軸方向として回転可能に設けられている。また、対向ロール74は、径方向内側から外側へ向けて、基層74A、弾性層74B、及び離型層74Cを有する多層構造となっている。さらに、対向ロール74は、用紙Pを挟んで定着ロール72と対向しており、定着ロール72と共に用紙Pを加圧している。なお、図2では、2本の対向ロール74を示しており、残り1本の対向ロール74の図示を省略している。また、用紙Pが無い状態で定着ロール72と対向ロール74が接触する部位をニップ部NPと記載する。
基層74Aは、一例として、SUS製となっている。弾性層74Bは、一例として、シリコンゴム製となっている。離型層74Cは、一例として、PFA製となっている。
また、対向ロール74は、内側にハロゲンヒータ77が設けられている。ハロゲンヒータ77は、電源(図示省略)からの通電によって発熱し、対向ロール74を内側から加熱するようになっている。また、ハロゲンヒータ77は、一例として、定着ロール72の外周面の温度が130[℃]に維持されるように、対向ロール74の温度を検出する温度センサ(図示省略)の出力に基づいて、フィードバック制御されるようになっている。
〔作用〕
次に、本実施形態の作用について説明する。
(キャリア液除去のメカニズム)
図3(A)には、転写装置20Y、20M、20C、20K(図1参照)によって用紙Pにトナー像TAが転写された状態が模式的に示されている。図中の符号Tはトナーを、符号CAはキャリア液を、符号Wは用紙Pに存在する水分を示している。トナーTは、一例として、2層程度に積み重なった状態で用紙Pの表面に付着している。キャリア液CAは、用紙P及びトナーTの領域に渡って存在している。なお、図3(A)から図3(E)までは、トナーTが固化している状態をハッチングで示し、半溶融となっている状態をドットで示している。
続いて、図2に示すように、補助加熱部52に搬送された用紙P上のトナーTAは、8つのカーボンヒータ53で加熱される。これにより、図3(B)に示すように、トナーTは、流動開始温度以上であって融点以下の温度とされ、半溶融の状態となる。また、用紙Pに存在する水分Wは、カーボンヒータ53(図2参照)の加熱により膨張し、気化し始める。
続いて、カーボンヒータ53(図2参照)による用紙Pの加熱が終了した時点では、図3(C)に示すように、気化した水分Wが、その放出力により、用紙Pに存在するキャリア液CAの一部を、液状のまま用紙Pの表面外側に押し出すように移動させる。これにより、キャリア液CAの一部は、用紙Pの表面外側に浮き上がった状態となる。
続いて、用紙P及びトナー像TAは、キャリア液除去部60(図2参照)に搬送される。そして、キャリア液除去部60では、図3(D)に示すように、金属ロール62が、用紙Pの表面外側に浮き上がった状態のキャリア液CAに接触しつつ回転する。
続いて、図3(E)に示すように、浮き上がった状態のキャリア液CAは、トナーTとの親和性よりも金属ロール62との親和性の方が高いため、その一部が金属ロール62の回転に伴い除去される。これにより、用紙Pに存在するキャリア液CAが低減される。そして、用紙Pの表面外側に浮き上がった状態のキャリア液CAが除去されると、気化した水分Wは、用紙Pの外部に放出される。なお、キャリア液CAがトナーTよりも金属ロール62に近い側に浮き上がっているため、溶融状態のトナーTが金属ロール62により除去されることが抑制されている。
続いて、図2に示すように、用紙P上のトナー像TAは、キャリア液除去部60において、残り5箇所の接触部Nを通過した後、定着部70において、3箇所のニップ部NPを通過する。これにより、用紙Pにトナー像TBが定着され、トナー画像TCが得られる。なお、キャリア液CAの一部が除去される前のものをトナー像TA、キャリア液CAの一部が除去されてトナーTの比率が高まったものをトナー像TBとして区別している。
(キャリア液の除去性能評価)
次に、前処理部50におけるキャリア液CA(図3(A)参照)の除去性能評価結果について説明する。なお、各部材については、図2を参照して説明する。
図4には、金属ロール62と加圧ロール64との間(接触部N)の用紙Pの通過回数を、0、1、3、4、5、6、7、8回と変えたときのトナー像TA中のキャリア液CAの残留量ΔW[g/m]が示されている。なお、通過回数とは、1本の金属ロール62と1本の加圧ロール64との接触部Nを用紙Pが通過した回数を1回として、キャリア液除去部60(図2参照)において、用紙Pが通過した接触部Nの合計数である。
金属ロール62及び加圧ロール64は、既述の設定温度で加熱されている。また、キャリア液CAの残留量ΔWは、用紙Pにトナー像TAが転写された直後の該トナー像TAの単位面積当たりの重量WA[g/m]と、金属ロール62で回収されたキャリア液CAの単位面積当たりの重量WB[g/m]との差で求めている。
図4におけるグラフG1は、本実施形態の金属ロール62と加圧ロール64とを用いた場合の測定結果である。また、グラフG2は、比較例として、最外層がシリコンゴムの弾性層であるゴムロール(図示省略)と加圧ロール64とを用いた場合の測定結果である。なお、通過回数が0回のときの用紙P上のキャリア液CAの残留量と、各通過回数での用紙P上のキャリア液CAの残留量との差が、金属ロール62により除去されたキャリア液CAの除去量となる。
ここで、グラフG1、G2共に、通過回数が1回から4回まで増加するほど、キャリア液CAの残留量ΔWが減少することが確認された。また、本実施形態の構成では、通過回数が4回以上において、キャリア液CAの残留量ΔWが横ばい状態で推移することが確認された。さらに、通過回数が1回から8回まで、本実施形態の金属ロール62と加圧ロール64とを用いた場合の方が、比較例のゴムロールを用いた場合に比べて、トナー像TB中のキャリア液CAの残留量ΔWが少なくなることが確認された。
(トナー像のグロス評価)
次に、前処理部50においてキャリア液CAを除去した直後のトナー像TBのグロス評価結果について説明する。なお、各部材については、図2を参照して説明する。
図5には、用紙P(トナー像TA含む)の接触部Nの通過回数を0、1、3、4、5、6、7、8回と変えたときのトナー像TBのグロス(グラフG3)と、キャリア液CAの残留量ΔW(グラフG1)とが示されている。本実施形態におけるグロス[%]とは、入射角60[%]の条件で測定対象に光を入射し、その反射光を測定した光沢度を表す指標である(JIS Z 8741参照)。また、本実施形態では、一例として、BYK−Gardner社のmicro−TRI−glossを用いてグロスを評価している。
図5において、接触部Nの通過回数が増加するほど、キャリア液CAの残留量ΔWが減少しグロスが増加する傾向が確認された。本実施形態では、一例として、グロス=30[%]をトナー像TBの光沢の目標値としているが、得られたグロスは、用紙Pの接触部Nの通過回数が8回であっても27[%]程度であり、30[%]より低くなっていた。これは、金属ロール62の表面の微小な凹凸にトナー像TBの表面が倣うことで発生していると考える。
図6には、定着部70における用紙P(トナー像TB含む)のニップ部NPの通過回数を、0、1、2、3回と変えたときのトナー像TBのグロス(グラフG4)と、キャリア液CAの残留量ΔW(グラフG1)とが示されている。なお、各回数において、前処理部50における接触部Nの通過回数は4回で同条件としている。また、グロスの測定方法は既述の通りである。
図6において、ニップ部NPの通過回数が増加するほど、トナー像TBのグロスが増加する傾向が確認された。そして、グロスは、用紙Pのニップ部NPの通過回数が2回以上になると、30[%]より高くなることが確認された。すなわち、本実施形態の定着装置40では、用紙Pへの定着後のトナー像TBについて、30[%]より高いグロスが得られることが確認された。
(キャリア液の残留量及びトナーオフセット評価)
次に、キャリア液CAの残留量ΔW及び金属ロール62でのトナーTのオフセットを評価した結果について説明する。なお、各部材については、図2を参照して説明する。
図7には、用紙P(トナー像TA)の接触部Nの通過回数を0、1、3、4、5、6、7、8回と変えたときのキャリア液CAの残留量ΔWを、金属ロール62の温度を変えて評価した結果が示されている。グラフG1は、金属ロール62の外周面の温度が120[℃]、グラフG5は、金属ロール62の外周面の温度が130[℃]、グラフG6は、金属ロール62の外周面の温度が140[℃]の場合である。
ここで、図7に示すように、グラフG1、G5、G6において、キャリア液CAの残留量ΔWは、ほとんど差が見られない。すなわち、本実施形態では、金属ロール62の温度が120[℃]以上140[℃]以下の範囲で変化しても、キャリア液CAの残留量ΔWが、ほとんど変わらないことが確認された。
一方、金属ロール62の設定温度を120、130、140[℃]と変えて、キャリア液CAを除去した後の各通過回数(1、3、4、5、6、7、8回)における金属ロール62の外周面を目視評価した結果を表1に示す。目視評価は、金属ロール62の外周面にトナーTの付着が見られないものを○、金属ロール62の外周面にトナーTの付着が見られるものを×として、2段階評価で行った。
表1に示すように、金属ロール62の設定温度が120、130[℃]の場合は○、金属ロール62の設定温度が140[℃]の場合は×となった。すなわち、金属ロール62の設定温度が140[℃]になると、金属ロール62へのトナーTのオフセットが生じることが確認された。本実施形態では、金属ロール62の設定温度を120[℃]としているので、金属ロール62へのトナーTのオフセットはほとんど生じない。なお、金属ロール62の設定温度は、使用するトナーTのガラス転移温度や溶融温度に応じて適宜設定されるため、120[℃]に限らない。
ここで、図8には、金属ロール62の設定温度を120[℃]として、用紙Pの接触部Nの通過回数を1、2、3、4、5、6、7回と変えたときのトナーK(ブラック)、トナーM(マゼンタ)、及び用紙Pの温度が示されている。グラフG7はトナーKの温度、グラフG8はトナーMの温度、グラフG9は用紙Pの温度をそれぞれ表している。なお、各温度は、放射温度計を用いて非接触状態で測定した。
図8に示すように、接触部N(図2参照)を通過する毎にトナーK、トナーM、用紙Pの各温度が120[℃]へ向けて収束し、通過回数が6回以上になると、各温度が120[℃]となることが確認された。すなわち、複数の金属ロール62を用いることで、トナーTの種類(Y、M、C、K)によらず、トナー像TB(図2参照)及び用紙Pの温度がほぼ同程度とされ、トナー像TBの用紙Pへの定着性が安定する。
(定着部におけるオイル回収部材の評価)
図9には、定着部70における用紙P(トナー像TB含む)のニップ部NPの通過回数を、0、1、2、3回と変えたときのトナー像TBのグロス(グラフG10、G11)と、キャリア液CAの残留量ΔW(グラフG12、G13)とが示されている。ここでの通過回数とは、1本の定着ロール72と1本の対向ロール74とのニップ部NPを用紙Pが通過した回数を1回として、定着部70(図2参照)において、用紙Pが通過したニップ部NPの合計数である。なお、各回数において、前処理部50における接触部Nの通過回数は、4回で同条件としたが、6回としてもよい。また、グロスの測定方法は既述の通りであり、各部材は図2を参照して説明する。
グラフG10は、本実施形態の定着部70におけるトナー像TBのグロスの変化を示している。なお、本実施形態では、定着ロール72の外周面にオイル回収部材が接触していない。一方、グラフG11は、比較例として、定着ロール72の外周面に板状のオイル回収部材(図示省略)を接触させたときのトナー像TBのグロスの変化を示している。
グラフG12は、本実施形態の定着部70に進入する前の用紙Pのキャリア液CAの残留量ΔWを示している。一方、グラフG13は、比較例として、定着ロール72の外周面に板状のオイル回収部材(図示省略)を接触させた構成において、定着部70に進入する前の用紙Pのキャリア液CAの残留量ΔWを示している。
ここで、グラフG12、G13から、本実施形態、比較例、共に、定着部70に進入する前の用紙Pのキャリア液CAの残留量が、ほぼ同量となっていることが確認された。すなわち、本実施形態及び比較例は、キャリア液CAの残留量ΔWが同程度の用紙Pが、定着部70に搬送されている。また、グラフG10、G11から、本実施形態、比較例、共に、定着部70におけるトナー像TB定着後のグロスが同程度であることが確認された。
これらから、金属ロール62によるキャリア液CAの除去で、トナー像TA中のキャリア液CAがある程度の量まで減少されていれば、定着部70におけるオイル回収部材の有無に拘らず、本実施形態と比較例とでトナー像TBのグロスが同程度となることが分かる。つまり、キャリア液CAが付着した用紙Pが定着部70のニップ部NPを通過しても、キャリア液CAがトナー像TBの定着の妨げにはならないので、定着ロール72にオイル回収部材を接触させなくて済む。そして、定着ロール72にオイル回収部材が接触しないことから、定着ロール72表面に作用する負荷が減るので、定着ロール72を交換する画像形成装置10において、定着ロール72の長期間の使用が可能となる。
(定着装置及び画像形成装置の作用)
以上説明したように、本実施形態の定着装置40では、補助加熱部52により予め加熱されることで、用紙P中のキャリア液CAがトナーTに対して浮き上がる。これにより、用紙P中のキャリア液CAが金属ロール62で除去される。また、定着装置40では、キャリア液CAの除去に金属ロール62を用いており、金属ロール62は、ゴムロールよりもキャリア液CAとの親和性が高い(ぬれ性がよい)ので、ゴムロールを用いる構成に比べて、キャリア液CAの除去量が上がる。
さらに、定着装置40では、接触部Nにおいて、加圧ロール64の弾性層64Bに生じたひずみが解放される力によって、キャリア液CAが金属ロール62へ移動する。これにより、加圧ロール64が弾性層64Bを有していない構成に比べて、金属ロール62で除去されるキャリア液CAの量が増加する。そして、定着装置40では、トナー像TA中の不要なキャリア液CAが除去され、定着ロール72からトナーTへ熱と圧力が伝わり、定着可能となるので、キャリア液CAを含むトナー像TAを定着装置40で用紙Pに定着するときのトナーTの定着不良が抑制される。
また、定着装置40では、金属ロール62を用いてキャリア液CAを除去しているので、ゴムロールを用いる構成に比べて耐磨耗性が高く、金属ロール62の長期間の使用が可能となる。
さらに、定着装置40では、金属ロール62及び加圧ロール64を用紙Pの搬送方向に間隔をあけて複数並べているので、金属ロール62及び加圧ロール64が1組の構成に比べて、キャリア液CAが効率よく除去される。
加えて、定着装置40では、金属ロール62により用紙Pから除去されたキャリア液CAが、回収ブレード69により金属ロール62から回収される。これにより、定着装置40では、金属ロール62の外周面に付着したキャリア液CAを回収しない構成に比べて、回収したキャリア液CAが金属ロール62の回転に伴い用紙Pに再度、付着することが抑制される。
また、定着装置40では、キャリア液CAが、金属との親和性が高いジメチルシリコーンオイルを含んでいるので、ジメチルシリコーンオイルを含まない構成に比べて、金属ロール62でのキャリア液CAの除去量が増加する。
さらに、定着装置40では、トナーTが、他の樹脂に比べて凝集性が高いポリエステル樹脂を含んでいる。これにより、ポリエステル樹脂を含むトナーTは、金属ロール62によりトナー像TA中のキャリア液CAが除去されるとき、金属ロール62に付着しにくいので、ポリエステル樹脂を含まない構成に比べて、トナーTの用紙Pへの定着不良が抑制される。
加えて、定着装置40では、定着部70において、定着ロール72の外周面に離型層72Cが形成されている。これにより、定着装置40では、定着ロール72が離型層72Cを有していない構成に比べて、定着ロール72の外周面にトナーTが付着しにくくなるので、定着部70でのトナー像TBの定着性が向上する。
また、画像形成装置10では、トナーTの定着不良が抑制されるので、定着不良に起因するトナー画像TCの画像欠陥が抑制される。
[変形例]
次に、本実施形態の定着装置40の変形例として、第1、第2、第3、第4、第5変形例について説明する。なお、前述した本実施形態の定着装置40と基本的に同一の部材及び部位には、定着装置40と同一の符号を付与してその説明を省略する。
(第1変形例)
図10には、第1変形例に係る定着装置100が示されている。定着装置100は、画像形成装置10(図1参照)において、定着装置40(図1参照)に換えて設けられる。また、定着装置100は、キャリア液CAの一部を除去する前処理を行う前処理手段の一例としての前処理部110と、定着部70とを有している。
前処理部110は、補助加熱部52と、用紙Pの搬送方向で補助加熱部52よりも下流側に配置されたキャリア液除去部120とを有している。キャリア液除去部120は、回転体の一例としての金属ロール122と、加圧部材の一例としての加圧ロール124と、金属ロール122を加熱するハロゲンヒータ66と、回収ブレード69とを有している。また、キャリア液除去部120は、加圧ロール124を加熱するハロゲンヒータ68を有している。
金属ロール122は、既述の金属ロール62(図2参照)よりも外径を小さくしたものであり、一例として、外径が50[mm]となっている。金属ロール122の材質及び構造は、金属ロール62と同様となっている。また、金属ロール122は、Z方向に等間隔で6本設けられている。なお、図10では、2本の金属ロール122を示しており、残り4本の金属ロール122の図示を省略している。
加圧ロール124は、既述の加圧ロール64(図2参照)の外径を小さくしたものであり、材質及び構造は、加圧ロール64と同様となっている。また、加圧ロール124は、Z方向に等間隔で6本設けられ、それぞれ金属ロール122と対向している。なお、図10では、2本の加圧ロール124を示しており、残り4本の加圧ロール124の図示を省略している。
図11には、定着装置100において、金属ロール122と加圧ロール124(図10参照)との接触部Nにおける用紙Pの通過回数を、0、1、3、4、5、6、7、8回と変えたときのトナー像TA中のキャリア液CAの残留量ΔW[g/m]が示されている。なお、1本の金属ロール122と1本の加圧ロール124との接触部Nの間を用紙Pが通過した回数を1回としている。
図11におけるグラフG14は、定着装置100(図10参照)を用いた場合の測定結果であり、用紙Pの接触部N(図10参照)の通過時間t1=8[ms]となっている。グラフG15は、比較例として、金属ロール122の外径を120[mm]とし、用紙Pの接触部N(図10参照)の通過時間t2=16[ms]とした場合の測定結果である。
ここで、グラフG14、G15共に、通過回数が1回から4回まで増加するほど、キャリア液CAの残留量ΔWが減少することが確認された。また、グラフG14、G15共に、通過回数が4回以上において、キャリア液CAの残留量ΔWが横ばい状態で推移することが確認された。さらに、グラフG14とグラフG15は、キャリア液CAの残留量ΔWが同程度となることが確認された。
すなわち、図10に示す定着装置100において、接触部Nにおけるキャリア液CAを除去する時間が短くなっても、キャリア液CAの除去性能にはほとんど影響しないことが分かる。これにより、金属ロール122の外径を金属ロール62(図2参照)の外径よりも小径化して用いてもよい。
(第2変形例)
図12には、第2変形例に係る定着装置130が示されている。定着装置130は、画像形成装置10(図1参照)において、定着装置40(図1参照)に換えて設けられる。また、定着装置130は、キャリア液CAの一部を除去する前処理を行う前処理手段の一例としての前処理部140と、定着部70とを有している。
前処理部140は、補助加熱部52と、用紙Pの搬送方向で補助加熱部52よりも下流側に配置されたキャリア液除去部150とを有している。キャリア液除去部150は、2本のロール151A、151Bに巻き掛けられた回転体の一例としてのベルト152と、加圧ロール124と、ロール151Aの内側に設けられベルト152を加熱するハロゲンヒータ66と、回収ブレード69とを有している。また、キャリア液除去部150は、ベルト152の温度を検出する温度センサ155と、加圧ロール124を加熱するハロゲンヒータ68を有している。
ベルト152は、金属製であり、一例として、SUS製となっている。なお、ベルト152は、ニッケル電鋳ベルトなどを用いてもよい。また、ベルト152は、Z方向に等間隔で6本設けられている。なお、図12では、2本のベルト152を示しており、残り4本のベルト152の図示を省略している。また、6本のベルト152には、それぞれ、ロール151Aに巻き掛けられた部位に加圧ロール124が接触しており、接触部Nを形成している。このように、前処理部140にベルト152を用いることで、接触部NのX−Z面での断面形状、及び接触部NのZ方向の幅が変更可能となる。
(第3変形例)
図13(A)には、第3変形例に係るキャリア液除去部160が示されている。キャリア液除去部160は、第2変形例の定着装置130(図12参照)において、キャリア液除去部150に換えて設けられる。また、キャリア液除去部160は、キャリア液除去部150のベルト152(図12参照)が、3本のロール151A、151B、151Cに巻き掛けられて三角形状となっている。このように、ロール151Cを加えて、接触部Nにおけるベルト152の移動方向を変えてもよい。なお、ベルト152の温度を検出する温度センサの図示は省略している。
(第4変形例)
図13(B)には、第4変形例に係るキャリア液除去部170が示されている。キャリア液除去部170は、第2変形例の定着装置130(図12参照)において、キャリア液除去部150に換えて設けられる。また、キャリア液除去部170は、キャリア液除去部150のベルト152(図12参照)が、4本のロール172A、172B、172C、172Dに巻き掛けられて台形状となっている。
ロール172A、172Bは、加圧ロール124と共に用紙Pを挟み、接触部Nを形成している。また、ロール172Aは、用紙Pの搬送方向でロール172Bよりも上流側に配置されており、ロール172Aの内側には、ハロゲンヒータ66が設けられている。このように、ロール172A、172Bを用いて接触部Nを形成することで、接触部Nの用紙P及びトナー像TAとの接触幅が広がる。これにより、用紙Pが高速で搬送される場合でも、キャリア液CAが除去される。なお、ベルト152の温度を検出する温度センサの図示は省略している。
(第5変形例)
図13(C)には、第5変形例に係るキャリア液除去部180が示されている。キャリア液除去部180は、第1変形例の定着装置100(図10参照)において、金属ロール122及び加圧ロール124が、用紙Pの搬送方向で1組毎に用紙Pの+X側と−X側とに入れ替わった配置(交互配置)となっている。この構成では、用紙Pの両面にトナー像TA(図2参照)が形成される場合でもキャリア液CAが除去される。
なお、本発明は上記の実施形態及び変形例に限定されない。
上流側加熱部は、カーボンヒータ53を用いた非接触加熱方式に限らず、ロールなどを用いた接触加熱方式であってもよい。なお、前処理手段は、上流側加熱部が無いものであってもよい。
複数の金属ロール62及び複数のベルト152の温度は、同じ温度としたものに限らず、各段で異なる温度としてもよい。一例として、設定温度±10[℃]の範囲で温度が異なっていてもよい。また、金属ロール62は、アルミニウム製に限らず、SUS製や、他の金属で構成されていてもよい。さらに、金属ロール62は、モータで駆動しても、従動させてもよい。加圧部材は、加圧ロール64に限らず、ベルト材を用いてもよい。また、加圧部材は、回転するものに限らず、固定されたものであってもよい。
各キャリア液除去部は、回収ブレード69が設けられていないものであってもよい。また、各キャリア液除去部は、金属ロール62及び加圧ロール64が1組でもよい。
定着手段は、定着ロール72を用いたロール方式に限らず、ベルト方式であってもよい。また、定着手段は、トナー像TBのグロスが設定値まで得られる場合は、接触加熱方式に限らず、非接触加熱方式であってもよい。
トナーTは、ポリエステル樹脂に限らず、他の樹脂であってもよい。また、キャリア液CAは、ジメチルシリコーンオイルに限らず、他のオイルを用いてもよい。
10 画像形成装置
12C 感光体(像保持体の一例)
12K 感光体(像保持体の一例)
12M 感光体(像保持体の一例)
12Y 感光体(像保持体の一例)
18C 現像装置
18K 現像装置
18M 現像装置
18Y 現像装置
20C 転写装置
20K 転写装置
20M 転写装置
20Y 転写装置
40 定着装置
50 前処理部(前処理手段の一例)
52 補助加熱部(上流側加熱部の一例)
62 金属ロール(回転体の一例)
64 加圧ロール(加圧部材の一例)
64C 弾性層
66 ハロゲンヒータ(加熱手段の一例)
69 回収ブレード(回収部材の一例)
70 定着部(定着手段の一例)
72 定着ロール(定着回転体の一例)
72C 離型層
100 定着装置
110 前処理部(前処理手段の一例)
130 定着装置
140 前処理部(前処理手段の一例)
152 ベルト(回転体の一例)
C キャリア液
TA トナー像
TB トナー像
T トナー

Claims (7)

  1. トナー及びキャリア液を含む現像剤で現像されたトナー像を記録媒体に定着する定着手段と、
    記録媒体の前記トナー像側に配置され回転する金属製の回転体であって、金属面で前記キャリア液に接触する回転体と、記録媒体の搬送方向における前記回転体よりも上流側で記録媒体を非接触状態で加熱する上流側加熱部と、弾性層を有し前記回転体と共に記録媒体を加圧する加圧部材と、前記回転体を加熱する加熱手段と、を備え、前記搬送方向における前記定着手段よりも上流側に配置され、前記キャリア液の一部を記録媒体から除去する前処理を行う前処理手段と、
    を有する定着装置。
  2. 前記前処理手段は、前記回転体、前記加圧部材、及び前記加熱手段が前記搬送方向に複数並べられている請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記回転体からキャリア液を回収する回収部材が設けられている請求項1又は請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記キャリア液は、ジメチルシリコーンオイルを含む請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の定着装置。
  5. 前記トナーは、ポリエステル樹脂を含む請求項4に記載の定着装置。
  6. 前記定着手段は、弾性層の外周面にトナー像と接触する離型層を形成した定着回転体を有する請求項1から請求項のいずれか1項に記載の定着装置。
  7. 静電潜像を保持する像保持体と、
    前記像保持体に形成された静電潜像をトナー及びキャリア液を含む現像剤で現像する現像装置と、
    前記現像装置によって現像されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
    前記転写装置によって記録媒体に転写されたトナー像を記録媒体に定着させる請求項1から請求項のいずれか1項に記載の定着装置と、
    を有する画像形成装置。
JP2013143884A 2013-07-09 2013-07-09 定着装置及び画像形成装置 Active JP6155914B2 (ja)

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