JP6154029B2 - 睡眠改善剤、ノンレム睡眠時間増加剤及び鎮静剤 - Google Patents
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Description
睡眠改善としては、ただ睡眠時間を増加させるのではなく、熟眠感が求められている。熟眠感は、ノンレム睡眠時間の増加や、入眠潜時の短縮、中途覚醒の抑制などの睡眠時の鎮静、により得られると考えられている。睡眠改善効果としてノンレム睡眠時間を増加させる効果を有する組成物は、未だかつて得られていないのが現状である。
[1]αリポ酸を有効成分として含有し、更に亜鉛を含有する睡眠改善剤。
[2]亜鉛が酵母に取り込まれた形態である、[1]に記載の睡眠改善剤。
[3]αリポ酸を有効成分として含有し、更に亜鉛を含有するノンレム睡眠時間増加剤。
[4]亜鉛が酵母に取り込まれた形態である、[3]に記載のノンレム睡眠時間増加剤。
[5]αリポ酸を有効成分として含有し、更に亜鉛を含有する鎮静剤。
[6]亜鉛が酵母に取り込まれた形態である、[5]に記載の鎮静剤。
本発明に係る睡眠改善剤、ノンレム睡眠時間増加剤又は鎮静剤を用いると、ノンレム睡眠時間を増加させることができ、また、入眠潜時の短縮、中途覚醒の抑制、及び良好な覚醒を実現できる。これにより、熟眠感が得られ、起床時の覚醒も良くなり、結果として睡眠の質を向上することができる。
また本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示すものとする。
さらに本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
以下、本発明について説明する。
αリポ酸は、以下に示す構造を有する化学式C8H14O2S2(分子量206.3)で表される化合物である。
また、αリポ酸はシクロデキストリンの包接体として使用することもできる。これにより、他の抗酸化物質との接触による反応を防止し、経時安定性を改善することができる。
溶液状とする場合に好ましく用いられる担体としては、水などの水性媒体を挙げることができる。固形状にするために好ましく用いられる添加成分としては、結晶セルロースやステアリン酸マグネシウムのような賦形剤;コーンスターチやアルギン酸のような膨化剤;を用いることができる。
豚皮ゼラチン、豚骨ゼラチン、魚ゼラチンは、豚皮や豚骨や魚を原料として得られる蛋白質を温水抽出した蛋白質をいう。豚皮ゼラチン、豚骨ゼラチン、魚ゼラチンは、例えば、豚皮や、豚骨、スズキ目、鱈、鮪、深海魚などを、酸又はアルカリで処理した後に、水中で加温して抽出を行い、イオン交換処理工程を経て精製することができる。
本発明のノンレム睡眠時間増加剤におけるその他の事項については、本発明にかかる睡眠改善剤において説明した事項が適用できる。
本発明の鎮静剤のその他の事項については、本発明の睡眠改善剤において説明した事項をすべて適用する。
本発明において「有効成分」とは、ノンレム睡眠を増加させる効果、鎮静効果及び睡眠改善効果のうち少なくともいずれかを有する成分を意味し、任意に添加される低吸湿原料や吸湿剤、カプセルの皮膜などを除いた成分である。
1.方法
(i)使用動物
C57BL/6 マウス(オス、生後8週、体重22−26g)を日本エスエルシー株式会社より購入した。
(ii)飼育方法
恒温(22±2℃)、恒湿(50±2%)の、チャンバー内に設置した複数のアクリル製ゲージの各々に、5〜6匹ずつ上記マウスを入れた状態で、各々のマウスを管理した(マウスを群飼いした。)。マウスには、12時間ごとの明暗周期下(午前7時;明期の開始時刻)で、マウス用固形型飼料(飼料名:ラボMRストック、日本農産工業株式会社製)と水を自由に摂取させた。
その後、上記チャンバーとは別の、恒温(22±2℃)、恒湿(50±2%)のチャンバー(以下、記録用チャンバーと称する場合がある。)内に設置した複数のアクリル製ゲージの各々に、群飼い後のマウスを1匹ずつ移し、上記飼育条件(12時間ごとの明暗周期下(午前7時;明期の開始時刻)で、マウス用固形型飼料と水を自由に摂取できる条件)にて3日間順応させた(マウスを個飼いした)。記録用チャンバー内での3日目のマウスの行動量(下記サンプル投与前の24時間の行動量)を確認した。
行動量は、動物から放出される赤外線を検知するセンサー(Biotex Japan社製)とソフトウェアBiotex 16CH Act Monitor BAI2216(Biotex Japan社製)を用いて記録した。 このセンサーの感知範囲は90度の照射角度で広がりその範囲を8×8の64区画に分け、動物がその区画を横切った回数を行動量としてカウントする。
実施例1として、αリポ酸550mgを精製水10mLに溶かしてサンプルを調製した。このサンプルをゾンデ針を用いて個飼い後のマウス(n=7)に経口投与した。投与量は、マウスに1kgあたりサンプル10gとなるように調整した。
実施例2として、ビール酵母亜鉛(亜鉛10質量%含有)とαリポ酸を1:2で配合した混合物825mgを精製水10mLに溶かしてサンプルを調製した。このサンプルをゾンデ針を用いてマウスに経口投与した。投与量は、実施例1と同様にした。
比較例1ではサンプルとして精製水を用いた。この精製水を実施例1と同様の投与量(10g/kg)でゾンデ針を用いてマウスに経口投与した。
実施例1、2及び比較例1それぞれにおいて、マウスへのサンプルの投与は、午後7時(19時:暗期の開始時刻)に行なった(n=7)。
経口投与後、マウスにストレスを付与するため、記録用チャンバー内にてマウスを別のアクリル製ゲージに移し、記録用チャンバー内にて上記飼育条件(12時間ごとの明暗周期下(午前7時;明期の開始時刻)で、マウス用固形型飼料と水を自由に摂取できる条件)で飼育して、12時間にわたる行動量を測定し、1時間毎のカウントの回数を記録した。あわせて、経口投与から6時間までの行動量を累積して累積行動量を算出した。
その後、上記飼育条件、記録用チャンバー内での飼育を継続して24時間の観察を行った。
サンプル投与後12時間にわたる、1時間毎の行動量の回数(累積行動量)を図1に示す。経口投与から6時間までの累積行動量を図2に示す。なお、図1及び2において行動量はマウス1匹あたりの平均カウント回数を表す。
実施例1及び2では、投与量10g/kgにおいて、比較例1に比べて有意に行動量が減少した。
1.方法
(i)使用動物
C57BL/6 マウス(オス、生後12週、体重24−27g)を日本エスエルシー株式会社より購入した。
(ii)飼育方法
飼育方法については、12時間ごとの明暗周期における明期の開始時刻を午前4時とし暗期の開始時刻を午後4時とした以外は、実施例1と同様にした。
群飼い後のマウスに、脳波及び筋電位測定用の電極の処置手術を実施した。その後、群飼いしたチャンバーとは別の、恒温(22±2℃)、恒湿(50±2%)のチャンバー(以下、記録用チャンバーと称する場合がある。)内に設置した複数のアクリル製ゲージの各々に、処置手術後のマウスを1匹ずつ移し、上記飼育条件(12時間ごとの明暗周期下(午前4時;明期の開始時刻)で、マウス用固形型飼料と水を自由に摂取できる条件)に10日間おいて回復させた(マウスを個飼いした。)。続いて、電極に測定ケーブルを接続して、その環境において処置手術後のマウスを4日間順応させた。記録用チャンバー内での4日目のマウスの行動量(下記サンプル投与前の24時間の行動量)を確認した。
実施例3として、αリポ酸320mgを精製水10mLに溶かしてサンプルを調製した。このサンプルをゾンデ針を用いて個飼い後のマウス(n=7)に経口投与した。投与量は、マウス1kgあたりサンプル10gとなるように調整した。
比較例2ではサンプルとして精製水を用いた。この精製水を実施例3と同様の投与量(10g/kg)でゾンデ針を用いてマウスに経口投与した。
実施例3及び比較例2において、マウスへのサンプルの投与は、午後4時(16時:暗期の開始時刻)に行なった(n=7)。
脳波及び筋電位は、増幅(脳波:0.5〜30Hz、筋電位:20〜200Hz)した後、サンプリング速度128Hzにてデジタル化して記録した。
解析は、記録した脳波及び筋電位について、脳波記録ソフトウェア「SleepSign」(キッセイコムテック社製)を用いて行なった。10秒間のデータを1エポックとし、脳波及び筋電位の周波数成分及び波形に基づいて、各エポックを「覚醒」、「ノンレム睡眠」及び「レム睡眠」のいずれかに自動判定した。サンプル投与後12時間にわたる脳波データを解析し、1時間毎の「覚醒」、「ノンレム睡眠」及び「レム睡眠」の時間を算出した。あわせて、サンプル投与後6時間にわたる、覚醒時間及びノンレム睡眠時間を積算し、これらの積算時間を算出した。
サンプル投与後12時間にわたる、1時間ごとのノンレム睡眠時間を図3に示す。サンプル投与後6時間にわたるノンレム睡眠時間を積算した積算時間を図4に示す。サンプル投与後6時間にわたる、覚醒時間及びノンレム睡眠時間と、入眠までの時間とを表1に示す。なお、図3、4及び表1において、それぞれの時間はマウス1匹あたりの平均時間を表す。 実施例3では、投与量10g/kgにおいて、比較例2に比べて有意にノンレム睡眠時間を延長する効果が見られた。また、実施例3では、比較例2に比べて入眠までの時間が短縮した。
Claims (6)
- αリポ酸を有効成分として含有し、更に亜鉛を含有する睡眠改善剤。
- 前記亜鉛が酵母に取り込まれた形態である、請求項1に記載の睡眠改善剤。
- αリポ酸を有効成分として含有し、更に亜鉛を含有するノンレム睡眠時間増加剤。
- 前記亜鉛が酵母に取り込まれた形態である、請求項3に記載のノンレム睡眠時間増加剤。
- αリポ酸を有効成分として含有し、更に亜鉛を含有する鎮静剤。
- 前記亜鉛が酵母に取り込まれた形態である、請求項5に記載の鎮静剤。
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