JP2014065694A - アスパラギン酸を含有する睡眠改善剤 - Google Patents

アスパラギン酸を含有する睡眠改善剤 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、副作用を生じるおそれが少なく、効果的に睡眠障害を改善することができる剤を提供することである。
【解決手段】本発明は、アスパラギン酸を有効成分として含有してなる睡眠改善剤を提供する。また、本発明は、グリシンをさらに含有する睡眠改善剤を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、アミノ酸を含有してなる睡眠改善剤に関し、より詳細には、アスパラギン酸を含有してなる睡眠改善剤に関する。
近年、社会生活の変化に伴い、日常的なストレス等により睡眠障害に悩む人々が増加している。その自覚症状としては、従来は「睡眠時間が短い」等の睡眠の量に関する症状であったところから、「寝付きが悪い」、「眠りが浅い」、「何度も目覚める」、「目覚めが悪い」、「熟睡感がない」、「昼間に眠気がある」等の睡眠の質的な症状へと変化している。睡眠は、身体の休息のみならず、身体をコントロールする大脳を休め、肉体的及び精神的なストレスを解消するために重要な役割を果たす。そのため、睡眠機能の障害は慢性的な疲労や集中力、判断力、記憶力の低下を引き起こし、日常生活や社会生活の上で様々な障害をもたらす。
肉体的及び精神的なストレスから身体を守るためには、十分な睡眠時間を確保することに加えて睡眠の質を向上させることが重要である。一般に、夜間における健常人の睡眠は、レム睡眠(浅い眠りで、身体は眠っているが脳は活動している状態)とノンレム睡眠(深い眠りで、レム睡眠以外の状態)との睡眠相により構成されている。健常人の睡眠では、入眠後30分から1時間程度で最も深いノンレム睡眠に入り、その後は60〜120分間の間隔で浅くなったり深くなったりを繰り返す睡眠周期を経た後、覚醒に到る。また、睡眠周期中のレム睡眠は時間の経過とともに長くなり、ノンレム睡眠の深度は次第に浅くなる傾向が見られる。このような睡眠のバランスが崩れることにより睡眠の質が低下し、睡眠障害の自覚症状が顕在化する。
睡眠障害を軽減するためには、寝具や睡眠時の環境を改善する等のほか、ベンゾジアゼピン系睡眠薬、チエノジアゼピン系睡眠薬、バルビツール酸系睡眠薬等の医療用医薬品、及び塩酸ジフェンヒドラミンを主とする一般用医薬品が広く使用されている。医療用医薬品は、主に慢性的な睡眠障害と診断されている患者に対して処方されており、比較的強い中枢抑制作用を有する。このため、医師の診断が必要であり、軽度の睡眠障害である患者に対しては処方されにくい。また、起床時の頭重感、悪心、頭痛、薬物依存性、持ち越し効果等の副作用を生じるおそれもある。一方、一般用医薬品は、軽度又は一時的な睡眠障害を改善するために販売されている。特に、抗ヒスタミン剤である塩酸ジフェンヒドラミンは、一時的な寝付きの悪さや浅い眠り等の症状を緩和するために睡眠障害に悩む多くの人々に服用されている。しかし、該症状の緩和に十分量の抗ヒスタミン剤を服用すると、起床時においても睡眠効果が持続し、過剰な眠気のために起床時の目覚めの良さに対する十分な効果は期待できない。起床時における眠気を減弱させるために抗ヒスタミン剤を減量すると、寝付きの悪さや浅い眠りを十分に改善できず、目覚めはさらに悪化するという問題がある。このことから、睡眠障害に対して十分な改善効果を有すると同時に、副作用を生じるおそれのない睡眠改善剤が望まれている。
これまでに、グリシンが熟眠障害の改善効果を有することが報告されている(特許文献1)。グリシンは、食品添加剤として認められているアミノ酸であり、多くの食品に含まれている。そのため副作用を生じる可能性は極めて低く、十分に安全性が確保された素材であるといえる。アミノ酸は、食品のみならず生体内にも存在することから、一般に他の薬剤よりも副作用のおそれがないと考えられている。アミノ酸の睡眠改善効果に関する研究結果は他にも報告されており、例えば、分岐鎖アミノ酸の慢性腎障害患者に対する睡眠の質の改善効果や(特許文献2)、プロリン及びシステインの脳室内投与による睡眠作用等が挙げられる(非特許文献1、2)。しかし、その一方で、ヒスチジンは脳室内投与をしても睡眠作用を示さないことが報告されている(非特許文献3)。このように、アミノ酸の睡眠への効果はアミノ酸の種類によって異なっている。また、その効果の程度もアミノ酸の種類によって異なることが考えられる。そのため、副作用のおそれのないアミノ酸の中でも、より優れた睡眠改善効果を奏する素材が求められている。
特許第4913410号公報 特開平7−324030号公報
Hamasu K et al., Amino Acids. 2010 Jan;38(1):57-64. Yamane H et al., Anim Sci J. 2009 Aug;80(4):428-32. Tomonaga S et al., Brain Res Bull. 2004 Mar;63(1):75-82.
本発明は、副作用を生じるおそれが少なく、効果的に睡眠障害を改善することができる剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、アミノ酸の一種であるアスパラギン酸を投与することによって睡眠の障害が効果的に改善されることを見出した。また、本発明者らは、アスパラギン酸をグリシンと組み合わせて用いることにより、グリシンの睡眠改善効果が高くなることを見出した。これらの知見に基づき、本発明者らはさらに研究を重ねることによって、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下に関する。
[1]アスパラギン酸を有効成分として含有してなる、睡眠改善剤。
[2]アスパラギン酸がD−アスパラギン酸である、上記[1]に記載の剤。
[3]グリシンをさらに含有する、上記[1]又は[2]に記載の剤。
[4]睡眠改善が不眠症の改善である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の剤。
[5]不眠症が、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒または熟眠障害である、上記[4]に記載の剤。
[6]睡眠改善が概日リズム睡眠障害の改善である、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の剤。
[7]概日リズム睡眠障害が睡眠相後退症候群である、上記[6]に記載の剤。
本発明によれば、効果的に睡眠障害を改善することができる睡眠改善剤を提供することができる。本発明の睡眠改善剤は、その有効成分がアミノ酸であることから、副作用を生じるおそれが少ないという点で安全性に優れており、日常的に連用することも可能である。上記睡眠障害の改善により、「睡眠時間が短い」等の睡眠の量のみならず、「寝付きが悪い」、「眠りが浅い」、「何度も目覚める」、「目覚めが悪い」、「熟睡感がない」、「昼間に眠気がある」等の睡眠の質も改善することができる。
また、本発明の睡眠改善剤によれば、睡眠障害の改善を通じて、睡眠障害によって引き起こされる慢性的な疲労、ならびに集中力、判断力および記憶力の低下(具体的には、日中傾眠、仕事の能率低下、事故、イライラ、短気、起床時の頭痛、気分の変調、性欲減退、幻覚、難聴、夜間の異常行動等)を防止することができ、さらには睡眠障害により惹起される各種症状による社会的不適応、不安および鬱状態を防止することができる。
図1は、D−アスパラギン酸投与後3時間の睡眠構造の割合を示したグラフである。 図2は、D−アスパラギン酸群及び対照群の睡眠時間を示した図である。上の図は、両群の10分毎の睡眠時間の変化を示したグラフであり、グラフの縦軸は睡眠時間(分)、横軸は被験物質投与後の時間(分)を示す。左下の図は、両群の睡眠潜時(分)を示す。右下の図は、両群の睡眠時間(分)を示す。 図3は、D−アスパラギン酸の自発行動量に対する効果を示したグラフである。上の図はD−アスパラギン酸を1.77g/kg投与した場合、左下の図はD−アスパラギン酸を0.89g/kg投与した場合、右下の図はD−アスパラギン酸を0.44g/kg投与した場合のグラフをそれぞれ示す。いずれのグラフも、縦軸は自発行動量(回数)を示し、横軸は被験物質投与後の時間(分)を示す。 図4は、D−アスパラギン酸およびL−アスパラギン酸の自発行動量に対する効果について比較したグラフである。グラフの縦軸は自発行動量(回数)を示し、横軸は被験物質投与後の時間(分)を示す。 図5は、被験物質投与後30分毎のグリシンおよびD−アスパラギン酸の併用効果について示したグラフである。グラフの縦軸は自発行動量を示し、横軸は30分毎の時間を示す。 図6は、D−アスパラギン酸高含有餌の時間帯別摂取による行動の位相後退作用および位相前進作用を示した図である。
本発明は、アスパラギン酸を有効成分として含有してなる睡眠改善剤を提供する。
本発明の睡眠改善剤に含まれるアスパラギン酸は、L体(L−アスパラギン酸)、D体(D−アスパラギン酸)又はこれらの混合物(例えば、ラセミ体)のいずれであってもよいが、本発明では、好ましくはD体及びD体とL体との混合物が使用され、より好ましくはD体が使用される。
本発明においてアスパラギン酸は、動物や植物に由来する天然のもの、或いは化学合成法、発酵法、酵素法、遺伝子組換え法によって得られるもののいずれを使用してもよい。
L−アスパラギン酸は、例えば、フマル酸にアンモニアを反応させてフマル酸アンモニウムを生成した上で、アスパルターゼ又はこれを産生する微生物(大腸菌等)を更に反応させてL−アスパラギン酸アンモニウムを生成し、これに硫酸等の無機酸を添加することにより製造することができる。
D−アスパラギン酸は、例えば、DL−アスパラギン酸を酵素的に脱炭酸してL−アスパラギン酸からL−アラニンを生成させ、その後、生成されたL−アラニンから未反応D−アスパラギン酸を分離することにより製造することができる。
本発明において用いられるアスパラギン酸は、遊離体のみならず、塩の形態であってもよい。塩の形態としては、酸付加塩や塩基との塩等を挙げることができ、薬理学的に許容される塩を選択することが好ましい。そのような塩としては、例えば、無機酸との塩、有機酸との塩、無機塩基との塩、有機塩基との塩が挙げられる。
無機酸との塩としては、例えば、ハロゲン化水素酸(塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸等)、硫酸、硝酸、リン酸等との塩が挙げられる。
有機酸との塩としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸等との塩が挙げられる。
無機塩基との塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アンモニウムとの塩等が挙げられる。
有機塩基との塩としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、エタノールアミン、モノアルキルエタノールアミン、ジアルキルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等との塩が挙げられる。
本発明の睡眠改善剤は、有効成分そのままであってもよく、或いは、製剤上の必要に応じて、適宜の薬学的に許容される担体を配合して、自体公知の方法により医薬として製剤化されていてもよい。薬学的に許容される担体としては、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤、溶剤、崩壊剤、溶解補助剤、懸濁化剤、乳化剤、等張化剤、安定化剤、無痛化剤、防腐剤、抗酸化剤、矯味矯臭剤、着色剤等が挙げられる。
賦形剤としては、乳糖、ブドウ糖、D−マンニトールなどの糖類、でんぷん類、結晶セルロースなどのセルロース類などの有機系賦形剤、炭酸カルシウム、カオリンなどの無機系賦形剤などが、結合剤としては、α化デンプン、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、D−マンニトール、トレハロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどが、滑沢剤としては、ステアリン酸、ステアリン酸塩などの脂肪酸塩、タルク、珪酸塩類などが、溶剤としては、精製水、生理的食塩水などが、崩壊剤としては、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、化学修飾されたセルロースやデンプン類などが、溶解補助剤としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが、懸濁化剤あるいは乳化剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、アラビアゴム、ゼラチン、レシチン、モノステアリン酸グリセリン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース類、ポリソルベート類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが、等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、糖類、グリセリン、尿素などが、安定化剤としては、ポリエチレングリコール、デキストラン硫酸ナトリウム、その他のアミノ酸類などが、無痛化剤としては、ブドウ糖、グルコン酸カルシウム、塩酸プロカインなどが、防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが、抗酸化剤としては、亜硫酸塩、アスコルビン酸などが、矯味矯臭剤としては、医薬分野において通常に使用される甘味料、香料などが、着色剤としては、医薬分野において通常に使用される着色料が挙げられる。
製剤化された本発明の睡眠改善剤の剤形は、特に限定されないが、経口投与用として、例えば、散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤、チュアブル剤等の固形剤、溶液剤、シロップ剤等の液剤等とすることができる。また、上記剤形は、非経口投与用として、例えば、注射剤、輸液剤、経鼻・経肺用スプレー剤等とすることもできる。
本発明の睡眠改善剤はまた、食品としても有用である。本明細書において「食品」とは、食品全般(飲料を含む)を意味し、消費者庁の特別用途食品制度に規定される特別用途食品(病者用食品、特定保健用食品)や、ダイエタリーサプリメント(栄養補助食品)も包含するものである。
本発明の睡眠改善剤を食品として利用する場合、本発明の睡眠改善剤は有効成分そのままであってもよいが、適宜の食品として許容される担体を用いて自体公知の方法により製剤化されていてもよい。製剤化された本発明の睡眠改善剤の剤形としては、例えば、散剤、錠剤、カプセル剤、ドリンク剤等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。食品として許容される担体としては、例えば、加工用食材、調味料、香料、甘味料等が挙げられ、上記の薬学的に許容される担体も含まれる。また、製剤化に際しては、ビタミン類や他の栄養補給用添加剤等を配合することもできる。
製剤化された場合の本発明の睡眠改善剤におけるアスパラギン酸の含有量は、特に限定されるものではなく、本発明の効果を奏するのに必要な量を含有するように適宜調整することができる。アスパラギン酸の含有量は、剤形の種類や使用される担体の種類によっても異なるが、製剤の全重量に対し、例えば0.015〜100重量%であり、好ましくは0.02〜99重量%であり、より好ましくは0.025〜98.5重量%であり、さらに好ましくは0.03〜98重量%である。尚、アスパラギン酸が塩を形成する場合、含有量の計算は、その塩を遊離体に換算した上で行うものとする。
本発明の睡眠改善剤によれば、睡眠障害を改善することができる。本明細書において「睡眠障害」とは、入眠又は睡眠に何らかの異常のある状態をいい、睡眠の量の低下及び睡眠の質の低下を包含する。睡眠の量の低下の症状としては、例えば、寝入るまでの時間の増加、中途覚醒又は早朝覚醒による不十分な睡眠時間等が挙げられる。また、睡眠の質の低下の症状としては、例えば、睡眠時刻のずれ、深い睡眠(ノンレム睡眠)の減少、レム睡眠の減少、中途覚醒による睡眠の分断、活動時間帯での居眠り等が挙げられる。睡眠障害の診断では、通常、複数の質問項目からなるテストが利用される。また、確定診断のためには、脳波測定または脳波測定を含む複数の項目を計測する睡眠ポリグラフィーを利用することができる。診断結果は、国際的に認められている基準に従い分類することができる(The International Classification of Sleep Disorder, ICSD)。尚、本明細書において「改善」は、睡眠障害及びそれにより発生する症状の修復、抑制(進行の遅延)、緩和、調節及び防止(発生防止及び再発防止の両方を含む)を包含する意味で使用される。
本発明において、睡眠障害には、睡眠異常、概日リズム睡眠障害、睡眠時随伴症、精神障害に関連する睡眠障害、身体的疾患に関連する睡眠障害、及び薬物に関連する睡眠障害等が含まれる。
睡眠異常は、不眠症及び過眠症の概念を包含する。不眠症は、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒又は熟眠障害のいずれかの訴えがあることをいう。また、過眠症は、日中の過剰な眠気又は実際に眠り込むことが繰り返し見られる状態をいう。いずれも持続期間は少なくとも1ヶ月間とされるが、特にこれに限定されない。睡眠異常の具体例としては、精神生理性不眠症、原発性過眠症、ナルコレプシー、睡眠時無呼吸症候群、反復性過眠症、突発性過眠症、周期性四肢運動障害、むずむず脚症候群、時間帯域変化症候群、環境因性睡眠障害等が挙げられる。
概日リズム睡眠障害とは、昼夜のサイクルと体内時計のリズムとが合わないため、1日の中で社会的に要求される時間帯、或いは自ら望む時間帯に睡眠をとることができず、活動に困難をきたすような睡眠障害である。概日リズム睡眠障害には、明け方まで寝付けず早朝に起床するのが困難な睡眠相後退症候群と、夕方早くから眠くなり早朝に覚醒する睡眠相前進症候群とが包含される。
睡眠時随伴症は、睡眠の経過中に生じる心身機能の異常の総称であり、その具体例としては、特に限定されないが、睡眠時遊行症、夜驚症、レム睡眠行動障害、睡眠麻痺等が挙げられる。
精神障害に関連する睡眠障害の原因となる疾患としては、例えばうつ病、躁病、精神分裂病等が挙げられる。また、身体的疾患に関連する睡眠障害の原因となる疾患としては、例えばアルツハイマー型痴呆、脳血管性痴呆、パーキンソン病等が挙げられる。薬物に関連する睡眠障害としては、例えば、抗痙攣薬、抗不安薬、抗精神病薬、精神賦活薬、抗パーキンソン病薬、抗癌薬、ホルモン剤等により誘発される睡眠障害が挙げられる。
本発明の睡眠改善剤は、覚醒期の割合の低下とともに、特に睡眠潜時の短縮に優れた効果を奏するため、寝付きを良くするという点で睡眠の質を改善することができる。これにより、本発明の睡眠改善剤は不眠症に適用することが好ましく、その中でも特に入眠障害に適用することが好ましい。
また、本発明の睡眠改善剤は、ノンレム睡眠期の割合およびノンレム睡眠時間を増加させることから、安定した睡眠を維持させる作用を有している。これにより、本発明の睡眠改善剤は、睡眠の量の改善や、深い眠り、目覚める回数の低減、十分な熟睡感といった点で睡眠の質の改善に寄与する。したがって、本発明の睡眠改善剤は、上記入眠障害のみならず、中途覚醒、早朝覚醒および熟眠障害に適用することも好ましい。
さらに、本発明の睡眠改善剤は概日リズムの調節作用を有することから、概日リズム睡眠障害に適用することも好ましい。特に、本発明の睡眠改善剤は概日リズムの前進に寄与するため、概日リズム睡眠障害の中でも睡眠相後退症候群に対して有用である。概日リズムの調節作用を通じて、時差症状(時差ぼけ)、シフトワークに伴う体調不良および視力低下の改善、ならびに視覚障害時の体内時計調節等を図ることができる。
本発明の睡眠改善剤の適用対象としては、哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、ネコ、イヌ、ウシ、ヒツジ、サル等)が挙げられる。本発明の睡眠改善剤の適用対象は、好ましくはヒトである。尚、ヒト以外の哺乳動物に適応する場合、本発明の睡眠改善剤の投与量は、動物の体重若しくは大きさに応じて適宜加減すればよい。
本発明の睡眠改善剤を医薬として用いる場合の投与方法は、経口投与及び非経口投与のいずれであってもよい。対象への負担を軽減する観点からは、本発明の睡眠改善剤は対象に対して経口投与することが好ましい。経口投与の場合、長期に亘る効果が期待できる。一方、経口投与が困難な対象に対しては、輸液として経静脈又は経動脈投与することができる。
本発明の睡眠改善剤の成人1日当たりの投与量(摂取量)は、対象患者の年齢、体重、症状、投与方法等によっても異なるが、有効成分であるアスパラギン酸の重量として、通常0.000625〜2.0g/kg/day(体重1kgあたりの一日あたりの摂取量)であり、好ましくは0.0007〜1.5g/kg/dayであり、より好ましくは0.00075〜1.0g/kg/dayであり、さらに好ましくは0.0008〜0.5g/kg/dayである。アスパラギン酸が塩を形成している場合、投与量の計算は、その塩を遊離体に換算した上で行うものとする。
本発明で使用する有効成分であるアスパラギン酸の投与量について算出する際、本発明の目的である睡眠改善のために使用される薬剤の有効成分として前記の算定範囲が決められているので、これとは別目的で、例えば通常の食生活の必要から、あるいは別の疾患の治療目的で、摂取または投与されるアスパラギン酸についてはこれを前記算定に含める必要はない。例えば、通常の食生活から摂取される一日あたりのアスパラギン酸の量を前記本発明における有効成分の一日あたりの投与量から控除して算定する必要はない。
本発明においては、上記の1日量を、1回、又は必要に応じて2〜数回、好ましくは朝晩の2回に分割して適宜の間隔をあけて投与する。投与の時期としては、特に限定されないが、例えば起床時、就寝前、食前、食間、食後、等、好ましくは起床時と就寝前が挙げられる。上述した通り、本発明の睡眠改善剤は概日リズムを前進させ得ることから、起床時や朝食時(食前、食間、食後)、シフトワーク時の就業前等のような早朝や活動開始時に投与することも可能であり、それによって夜間の入眠を効果的に促進することができる。
本発明の睡眠改善剤の投与期間は、本発明の効果が得られる限りにおいて特に限定されないが、投与直後の睡眠効果を望む場合においては、通常1日以上、好ましくは3日以上である。また、その場合、本発明の睡眠改善剤は、通常毎日、好ましくは入眠困難時に投与される。一方、概日リズムの前進効果を望む場合においては、本発明の睡眠改善剤の投与期間は、通常1日以上、好ましくは3日以上である、より好ましくは4日以上である。また、その場合、本発明の睡眠改善剤は、通常、時差症状期間中やシフトワーク期間中、好ましくはその期間の起床から6時間以内、さらに好ましくはその期間の起床時に投与される。
本発明の睡眠改善剤は、グリシンをさらに含有することができる。グリシンは、上述したように熟眠障害を改善する作用を有しており、睡眠の質を改善する効果を奏する。本発明の睡眠改善剤に含まれるアスパラギン酸は、かかるグリシンの睡眠改善効果を増強する作用を有している。
本発明においてグリシンは、動物や植物に由来する天然のもの、或いは化学合成法、発酵法、酵素法、遺伝子組換え法によって得られるもののいずれを使用してもよい。また、本発明において用いられるグリシンは、遊離体のみならず、塩の形態であってもよい。かかる塩の形態としては、特に限定されないが、上記に例示したものが挙げられる。
本発明の睡眠改善剤において、アスパラギン酸とグリシンとは併用される態様であってよい。ここで、本明細書において「併用」とは、アスパラギン酸の投与の前、同時または後におけるグリシンの使用を意味し、また、両者を混合させた配合剤としての使用も含むことを意味する。アスパラギン酸及びグリシンの両方を使用し、且つ、グリシンの睡眠改善効果が増強される限り、それらの投与形態は限定されない。
このような投与形態としては、例えば、(1)アスパラギン酸とグリシンとを同時に製剤化して得られる単一の製剤の投与、(2)アスパラギン酸とグリシンとを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での同時投与、(3)アスパラギン酸とグリシンとを別々に製剤化して得られる2種の製剤の同一投与経路での時間差をおいての投与、(4)アスパラギン酸とグリシンとを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での同時投与、(5)アスパラギン酸とグリシンとを別々に製剤化して得られる2種の製剤の異なる投与経路での時間差をおいての投与(例えば、アスパラギン酸を先に投与し、次いでグリシンを投与するという順序、或いはその逆の順序での投与)等が挙げられる。本発明においては、投与回数や投与の手間を省略するという観点から、上記(1)又は(2)の投与形態が好ましく、上記(1)の投与形態がより好ましい。
本発明の睡眠改善剤におけるグリシンの含有量は、特に限定されるものではなく、本発明の効果を奏するのに必要な量を含有するように適宜調整することができる。グリシンが塩を形成する場合、含有量の計算は、その塩を遊離体に換算した上で行うものとする。
本発明の睡眠改善剤に含まれるアスパラギン酸およびグリシンの比(重量比)は、本発明の効果を有する範囲で適宜調整することが可能である。例えば、両アミノ酸の比(アスパラギン酸:グリシン)は、重量比として、通常0.005:1.0〜1.0:1.0であり、好ましくは0.01:1.0〜0.8:1.0であり、より好ましくは0.02:1.0〜0.6:1.0である。尚、アスパラギン酸およびグリシンが塩を形成する場合、重量比の計算は、各アミノ酸の塩を全て遊離体に換算した上で行うものとする。上記「重量比」は、本発明の睡眠改善剤に含まれるそれぞれのアミノ酸の重量の比を示し、例えば、アスパラギン酸およびグリシンの各有効成分を1つの組成物中に含めた場合には個々のアミノ酸の含有量の比であり、アスパラギン酸およびグリシンのそれぞれを単独で2つの組成物中に含めた場合には、各組成物に含まれる各有効成分の重量の比である。
本発明においてグリシンの投与量(摂取量)、投与期間および投与間隔は、対象患者や症状等に応じて適宜設定することができる。グリシンの投与量は、特に限定されないが、通常0.00208〜2.5g/kg/day(体重1kgあたりの一日あたりの摂取量)であり、好ましくは0.0025〜2.0g/kg/day、より好ましくは0.0125〜1.5g/kg/dayである。尚、グリシンが塩を形成している場合、上記投与量の計算は、その塩を遊離体に換算した上で行うものとする。グリシンの投与期間および投与間隔は特に限定されず、例えば、上記の本発明の睡眠改善剤の投与期間および投与間隔と同様にすることができる。
上記アスパラギン酸と同様に、グリシンの投与量について算出する際は、本発明の目的である睡眠改善のために使用される薬剤の有効成分として前記の算定範囲が決められているので、これとは別目的で、例えば通常の食生活の必要から、あるいは別の疾患の治療目的で、摂取または投与されるグリシンについてはこれを前記算定に含める必要はない。
上述したように、本発明の睡眠改善剤を投与するに際しては、アスパラギン酸およびグリシンを同時期に投与してもよく、アスパラギン酸を先に投与した後、グリシンを投与してもよいし、グリシンを先に投与し、その後でアスパラギン酸を投与してもよい。
以下、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
四宮ら(Psychopharmacol. Berl., 173:1-2, 203, 2004)が確立したラット睡眠障害モデルを用いてD-アスパラギン酸の睡眠改善効果を評価した。
<測定方法>
雄性Wistarラット(200〜300g)を麻酔下にて手術を行い、腹腔内に脳波測定用テレメトリー送信器(TL11M2-F40-EET:DSI社)を挿入し、脳波取得用電極を頭部、筋電位取得用電極を頚部に埋め込んだ。術後は10日間の回復期間を設け、全期間中、自由摂食、自由飲水とした。
休息期である明期の開始からストレス負荷を3時間かけて睡眠障害状態とし、これらのラットについて被験物質投与後3時間の睡眠脳波を測定した。ストレス負荷および睡眠脳波測定は四宮らの方法に準じて実施した。具体的にはケージ内に足場として金網を置き、この金網の1cm下に水面が来るように水を張ることでラットにストレス負荷がかかる状態を作成し、ストレス負荷開始から3時間後に被験物質を投与し、投与後3時間における脳波および筋電図のデータを測定した。
<データ解析>
脳波および筋電図はテレメトリー送信器から受信ボードに無線で伝送され、受信ボードからデータ変換マトリックスを介して、PC内に内臓のソフトウェア(Dataquest)に取り込み、波形を観察した。睡眠-覚醒周期は取り込んだ脳波、筋電図及び行動量からコンピューターによる自動解析の後、最終的に目視による確認を行い、各エポックを覚醒期、ノンレム睡眠期、レム睡眠期のいずれかに分類した。なお、覚醒期は高振幅筋電図および低振幅脳波でシータ波(4〜8Hz)活動が認められる場合、ノンレム睡眠は低振幅筋電図および高振幅脳波でデルタ波(1〜4Hz)活動が中心の場合、レム睡眠は低振幅筋電図および低振幅脳波でシータ波活動が中心の場合として判定した
睡眠時間の評価は、測定開始から3時間に占める覚醒期、ノンレム睡眠期、レム睡眠期の時間の割合を算出して比較した。
睡眠潜時の評価は、測定開始後、60秒以上連続するノンレム睡眠が初めて出現した時間として評価した。
<被験物質>
対照群のラットには5重量%カルボキシメチルセルロース水溶液を投与し、D-アスパラギン酸群のラットには対照群に投与した試料に体重kgあたり0.89gのD-アスパラギン酸を添加したものを投与した。投与は経口ゾンデを用いて行った。
<結果>
睡眠障害条件下の被験物質投与後3時間における覚醒期、ノンレム睡眠期、レム睡眠期の時間の割合を図1に示す。対照群に比較して、D-アスパラギン酸群では覚醒期の割合が低下する傾向があり、さらにノンレム睡眠期の割合が増加する傾向があった。即ち、D-アスパラギン酸の投与により睡眠改善傾向が認められた。
また、睡眠障害条件下の被験物質投与後3時間における10分毎のノンレム睡眠時間変化、睡眠潜時、投与90〜140分後のノンレム睡眠時間を図2に示す。D-アスパラギン酸群では、対照群に比べて投与110分後で有意にノンレム睡眠時間が増加し、投与90-140分後のノンレム睡眠量が有意に増加した。また、D-アスパラギン酸群では睡眠潜時についても有意な短縮が見られた。これらの結果から、D-アスパラギン酸の投与は睡眠の質の改善、すなわち寝付きを良くし、安定した睡眠を与えることが認められた。
(実施例2)
睡眠時は自発行動量が減少するため、自発行動量を示す数値は睡眠を評価する間接指標として用いられる。そこで、D-アスパラギン酸の濃度依存効果を評価するため、1.77g/kg、0.89g/kg、0.44g/kgの3つの濃度で自発行動量を測定した。
<測定方法>
9〜11週令の雄性C57Bl/6Jマウスを用い、明期開始2時間後から自発行動量測定装置(MELQUEST, MV-40)にて自発行動量を評価した。
<被験物質>
対照群のマウスには5重量%カルボキシメチルセルロース水溶液を投与し、D-アスパラギン酸群のマウスには対照群に投与した試料に体重kgあたり1.77g、0.89g、0.44gのD-アスパラギン酸を添加したものを投与した。投与は経口ゾンデを用いて行った。
<結果>
以上の結果を図3に示す。D-アスパラギン酸(1.77g/kg)で最も大きな自発行動量低下作用が示され、続いて0.89g/kg、0.44g/kgの順に大きな自発行動量低下作用が示された。尚、0.44g/kgでは有意な差は見られなかった。これにより、D-アスパラギン酸には濃度依存的な睡眠改善効果があることが認められた。
(実施例3)
アスパラギン酸の光学異性体であるD-アスパラギン酸およびL-アスパラギン酸について自発行動量低下作用の違いを評価した。
<測定方法>
上記実施例2と同じとした。
<被験物質>
対照群のマウスには5重量%カルボキシメチルセルロース水溶液を投与し、D-アスパラギン酸群およびL-アスパラギン酸群のマウスには、対照群に投与した試料に体重kgあたり1.77gのD-アスパラギン酸およびL-アスパラギン酸をそれぞれ添加したものを投与した。投与は経口ゾンデを用いて行った。
<結果>
D-アスパラギン酸群およびL-アスパラギン酸群での自発行動量低下作用について比較した結果を図4に示す。D-アスパラギン酸群では有意な自発行動量の低下が見られた。また、L-アスパラギン酸群では、対照群との差はD-アスパラギン酸群ほど大きくないもののD-アスパラギン酸群と同様の時間帯で自発行動量が低下する傾向が示された。これらの結果から、D-アスパラギン酸およびL-アスパラギン酸は共に睡眠改善作用を有することが考えられた。
(実施例4)
睡眠改善作用を有するグリシンとD-アスパラギン酸との同時投与による自発行動量低下作用について評価した。
<測定方法>
上記実施例2と同じとした。
<被験物質>
対照群のマウスには5重量%カルボキシメチルセルロース水溶液を投与し、それ以外の群のマウスには、それぞれ以下に示した量のグリシンおよびD-アスパラギン酸を添加した試料を投与した。投与は経口ゾンデを用いて行った。
グリシン(1.5g)群 (グリシン:1.5g/kg)
グリシン(1g)群 (グリシン:1g/kg)
D-アスパラギン酸(0.5g)群 (D-アスパラギン酸:0.5g/kg)
グリシン(1g)+D-アスパラギン酸(0.5g)群 (グリシン:1g/kg、D-アスパラギン酸:0.5g/kg)
<結果>
以上の結果を図5に示す。投与30〜60分後および投与60〜90分後において、グリシン(1.5g)群、グリシン(1g)群およびD-アスパラギン酸(0.5g)群の自発行動量は対照群と有意な差は見られなかったが、グリシン(1g/kg)とD-アスパラギン酸(0.5g/kg)とを同時投与したグリシン(1g)+D-アスパラギン酸(0.5g)群では自発行動量の有意な低下が見られ、その差はグリシン(1.5g)群よりも顕著に大きかった。この結果より、D-アスパラギン酸にはグリシンの睡眠改善作用を増強する効果があると考えられた。
(実施例5)
24時間暗条件で飼育したマウスに対するD-アスパラギン酸の位相後退作用及び位相前進作用を評価した。
24時間暗条件でマウスを飼育すると、外部情報(光の明暗周期)が得られなくなるため、マウスは生物時計固有の周期で活動するようになる(同調から自由になったという意味でフリーラン(自由継続)とも称する)。この自由継続周期を24時間に換算して横軸に示し、概日時刻とした場合、その前半の12時間は主観的明期(生物時計で昼と判断している時間帯:CT0-12)、後半は主観的暗期(生物時計で夜と判断している時間帯:CT12-24)と称される。
このような条件下で、マウスの自発行動量(自由継続周期の行動パターン)を放出赤外線検出型の自発行動量センサー(株式会社ニューロサイエンス、NS-AS01)を用いて測定した。さらにD-アスパラギン酸を餌1gあたり6mg添加した餌を用意し、一日のうちの4時間だけ通常の餌と置き換えて摂食させた。摂取させる時間はCT2-6(主観的明期の前半)、CT8-12(主観的明期の後半)、CT14-18(主観的暗期の前半)、CT20-24(主観的暗期の後半)の4つの時間帯に分けた。このような餌の置き換えを4日間行った後に行動パターンの位相変化を判定した。
判定基準日をD-アスパラギン酸高含有餌の最終摂取日の4日後に設定した場合のマウスの行動開始時刻の位相のずれを図6に示した。その結果、主観的明期ではD-アスパラギン酸の効果は認められなかったが、主観的暗期の後半での摂取により、概日リズムを前進させることが明らかとなった。
以上の実施例1〜5の結果より、D-アスパラギン酸およびL-アスパラギン酸は、概日リズムの調節および睡眠量の増加だけでなく、睡眠の質の改善や入眠促進作用も有することが明らかとなり、概日リズム睡眠障害を含む睡眠障害の改善に有効であることが確認された。これにより、D-アスパラギン酸およびL-アスパラギン酸は、時差ぼけやシフトワークに伴う体調不良等の概日リズム睡眠障害や、眠りが浅い、目覚めが悪い、寝付きが悪いといった睡眠に関する不満を解消することに優れた効果を示すことがわかった。
本発明の睡眠改善剤は効果的に睡眠障害を改善することができるとともに、その有効成分はアミノ酸であるため安全性の点でも優れている。そのため、本発明の睡眠改善剤は医薬分野で利用可能である。また、アミノ酸は多くの食品に含まれており経口摂取が可能であることから、本発明の睡眠改善剤は食品分野においても有用である。

Claims (7)

  1. アスパラギン酸を有効成分として含有してなる、睡眠改善剤。
  2. アスパラギン酸がD−アスパラギン酸である、請求項1に記載の剤。
  3. グリシンをさらに含有する、請求項1又は2に記載の剤。
  4. 睡眠改善が不眠症の改善である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の剤。
  5. 不眠症が、入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒または熟眠障害である、請求項4に記載の剤。
  6. 睡眠改善が概日リズム睡眠障害の改善である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の剤。
  7. 概日リズム睡眠障害が睡眠相後退症候群である、請求項6に記載の剤。
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